説明

深層水取水装置

【課題】揚水管が潮流から受ける力の作用によっても破損することなく、揚水管の吸水口が一定の深度にて定位置を保持し、低コストな装置で多量の深層水を取水することを可能にする。
【解決手段】剛性揚水管は、ヘッド部4、剛性揚水管本体3及び中途取水部5よりなる。ヘッド部4は剛性揚水管本体3の管径よりも大径に形成され、圧縮空気の噴出口をヘッド部4の内側に開口し、下面開口にはストレーナ13が張設している。中途取水部5内には管軸方向中途部位で剛性揚水管本体3の上端が開口配設され、剛性揚水管本体3の周面には平視放射状にガイド板23が円筒体部19と連続して設けられ、中途取水部5の下面開口はガイド板23にて周方向に区画されている。中途取水部5の上端には可撓性揚水管2が連通接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海洋或いは湖の深層部から深層水を取水するための深層水取水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光が水面に届く光量の1%未満の海洋等の深層部に存在する深層水は、第1に表面層水に比較して年中略一定の温度を保持する低温安定性を有すること、第2に太陽光が届かないため植物プランクトンが光合成できず、その結果、窒素、燐、珪酸等の無機塩類が消費されず深層へ沈殿され、無機塩類に富むこと、第3にプランクトンや病原性微生物を含む微生物が極めて少なく、換言すれば物理的及び生物学的清浄性を有すること、第4に大気や陸水からの影響が少ないため化学的汚染度が低いこと、第5に人体にとって大量摂取すると害になるが、銅、亜鉛等の人の健康保持に関わる必須微量元素等をバランスよく含有していること、第6に深層水は太洋を循環してきた熟成された海水であり、有機物が少ないため表層水と比較してpHが低いこと、等の理由により、近年、養殖場海洋牧場の水産資源分野や、ダム湖、湖沼、海洋、港湾等の水質浄化等の環境分野や、海洋温度差発電、濃度差発電等のエネルギー分野等の環境破壊防止目的の環境分野、及び飲料水、化粧水等の健康分野等の種々の幅広い分野に利用されている。
【0003】
深層水を取水するための装置としては、上下両端面を開口した同径管よりなる湧昇管の長さ方向中途位置にエアパイプの下端を開口連通接続して取付け、エアパイプは水面上にて空気室及びコンプレッサーを介装し、エアパイプ上端には回転羽根を設けてエアパイプ内に空気を取り込み可能にし、エアパイプより湧昇管に導出された圧縮空気はエアパイプ下端開口部より上方の水は気泡と共に管内を上昇して湧昇流を発生させ、この湧昇流がエアパイプ下端開口部下方の水にも湧昇流の発生を促し、該湧昇流により湧昇管下端開口から深層水を汲み上げる構成の装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の装置は、湧昇管が定型性を有した状態で海面下の上層部から深層部へ垂設した状態で使用する。そのため、潮流により湧昇管に横方向への力が作用し、湧昇管上端部は定位置を保持した状態で傾斜し、エアパイプが湧昇管の位置的変化に対応しきれず折損したり、或いは深層水の取り込み口である湧昇管下端開口の位置が上昇し、取水予定の深層部に存在する水の取水が困難であるという問題点があった。
【0004】
同径で上下両端を開口した揚水管の上部には、揚水管の軸心と略90度の角度を有して揚水管の内側に移流管の管端を開口連通接続し、移流管取付位置よりも僅かばかり下方位置における揚水管内側には、多数の穿孔を具備し揚水管内径と同一径の円形板よりなる水量安定装置を取り付け、空気配管の一端は揚水管内側下部に於いて開口配設され他端は揚水管上端開口の外部にて圧縮空気発生装置と連通接続され、空気配管の他端から送り込まれた圧縮空気が揚水管内側下部にて圧縮空気を吐出し、揚水管内外の水の比重差で揚水を行うエアリフトポンプの揚水の際に発生する気泡の大きさを水量安定装置で均一化するようにした装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の装置は浄化槽に使用するものであるが、揚水管の長さを海洋の深層部に到達する長さに形成すると仮定すると、揚水管が水面に対して略90度の角度を有して水中に垂設するように水面上方で固定して使用する必要がある。そうであると、特許文献1の発明と同様に、揚水管の長さ方向中途部位が潮流により破損する可能性が高く、又、長さが数10メートル以上の鋼鉄製の揚水管を製造するにはコストが高くなるという経済面での問題点があった。
【0005】
海底に取水ポンプと水車等駆動装置よりなる取水装置を設置し、陸上、海洋上から圧力水若しくは圧力作動媒体を送り、この圧力媒体で水底部に設けた水車等駆動装置を回転させ、取水ポンプを作動させて軟性管若しくは剛性管よりなる取水ホースで取水目的の水を目的地まで圧送する深層水等の取水装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3に記載の深層水等の取水装置は、取水ホースに軟性管を使用した場合は運搬時にホースを折り畳んで運搬し、現地ではホースに空気を入れながら運搬船より延出し、沈設時にはホース内の空気を抜き取り、また、取水装置のメンテナンス作業の際には抜き取った空気を再注入することが出来る等の利便性があるという長所があるものの、海底に取水ポンプと水車等駆動装置よりなる取水装置を設置するため必要な部品点数が多く、装置の組立作業に人手及び時間を要し、高コスト化するという問題点があった。
【特許文献1】特開2001−123999号公報
【特許文献2】特開平8−4700号公報
【特許文献3】特開平8−4657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、揚水管をその吸水口を海洋の深層水取水深度まで垂下した場合、揚水管が潮流から受ける力の作用によっても破損することなく、揚水管の吸水口が一定の深度にて定位置を保持し、低コストな装置で多量の深層水を取水することを可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に記載の発明は、剛性揚水管本体の下端にヘッド部を上端に中途取水部を一体的に設けて成る剛性揚水管と、可撓性揚水管とよりなり、前記ヘッド部は前記剛性揚水管本体の管径よりも大径の筒状に形成され、外部に設けた圧縮空気発生装置と連通接続された空気配管から送り込まれた圧縮空気の噴出口を前記ヘッド部の内側に開口配設させ、ヘッド部下面は開口し、該開口にはストレーナが取り付けられ、前記中途取水部は、前記剛性揚水管本体の管径よりも大径の円筒体部を設け、該円筒体部の軸心と前記剛性揚水管本体の軸心が同一直線上に位置するように前記円筒体部内に前記剛性揚水管本体上端が開口し、前記円筒体部の内側に於ける前記剛性揚水管本体外周面から平視放射状にガイド板が配設され、前記円筒体部下面には前記ガイド板により周方向に区画された複数の吸水用開口を設け、前記円筒体部の上端には前記可撓性揚水管との接続部を設けてなり、該接続部に前記可撓性揚水管の下端を管軸方向に連通接続して1本の揚水路を形成し、前記ヘッド部内に開口した圧縮空気噴出口から圧縮空気を噴出さ *せ、揚水管内外の水の比重差によって、前記ヘッド部下面開口と前記中途取水部下面開口から深層水を吸引揚水せしめるようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、剛性揚水管本体の下端にヘッド部を上端に中途取水部を一体的に設けて成る剛性揚水管と、可撓性揚水管と、上部剛性揚水管とよりなり、前記ヘッド部は前記剛性揚水管本体の管径よりも大径の筒状に形成され、外部に設けた圧縮空気発生装置と連通接続された空気配管から送り込まれた圧縮空気の噴出口を前記ヘッド部の内側に開口配設させ、ヘッド部下面は開口し、該開口にはストレーナが取り付けられ、前記中途取水部は、前記剛性揚水管本体の管径よりも大径の円筒体部を設け、該円筒体部の軸心と前記剛性揚水管本体の軸心が同一直線上に位置し、且つ前記円筒体部内に前記剛性揚水管本体上端が開口配設され、前記円筒体部の内側に於ける前記剛性揚水管本体外周面には平視放射状にガイド板が取り付けられ、前記円筒体部の下面には前記ガイド板により周方向に区画された複数の吸水用開口を設け、前記円筒体部の上端には前記可撓性揚水管との接続部を設け、該接続部に前記可撓性揚水管の下端を管軸方向に連通接続し、前記上部剛性揚水管は、円筒体部の軸心と揚水管の軸心が同一直線上に位置し、且つ前記円筒体部内にて前記揚水管上端が開口配設され、円筒体部の内側に於ける前記揚水管外周面には平視放射状にガイド板が取り付けられ、前記円筒体部の下面には前記ガイド板により周方向に区画された複数の吸水用開口を設け、前記揚水管下端は前記可撓性揚水管の上端を管軸方向に連通接続し、前記剛性揚水管と、前記可撓性揚水管、及び前記上部剛性揚水管とで1本の揚水路を形成し、前記ヘッド部内に開口した圧縮空気噴出口から圧縮空気を噴出させ、管内外の水の比重差によって、前記ヘッド部下面開口と前記中途取水部下面開口及び前記上部剛性揚水管下面開口から深層水を吸引揚水せしめるようにしたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、上記ヘッド部の内径と上記中途取水部の内径が、上記剛性揚水管本体の内径の4倍の大きさに設定されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、上記可撓性揚水管の内径が、上記中途取水部の内径の1/2に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願発明は剛性揚水管と可撓性揚水管を連通接続しているため、潮流による力の作用を受けた場合、潮流の作用力で可撓性揚水管を撓ませ、剛性揚水管部分は水中で傾斜することなく垂設状態を保持する。つまり、可撓性揚水管に反作用力を有させないことで、剛性揚水管の深層水吸水口の深層部に於ける位置が一定位置を保持し、取水予定深度の深層部から取水することが可能であると共に、剛性揚水管の破損を防止するという効果がある。
本願発明は中途取水部を設けているため、揚水管の揚水路途中でも深層水を吸引して水路内に取り込むことで、結果的に取水量の増量化を図ることが出来るという効果がある。
本願発明は、上部剛性揚水管の下面開口から水を吸引することで、深層部から揚水される水の水温を上昇させることが出来るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
潮流による力の作用に対する揚水管の反作用を原因とする揚水管の破損防止という目的を、剛性揚水管と可撓性揚水管を長さ方向に連通接続し、潮流による加圧を受けた場合は可撓性揚水管部分を撓ませることで実現した。又、装置の低コスト化、且つ取水量の増量化という目的を、剛性揚水管本体の上端に剛性揚水管本体の内径よりも大径の筒状中途取水部を設けることで実現した。
【実施例1】
【0010】
図1から図4を参照にして実施例1を説明する。図1から図4において、深層水取水装置は海洋の深層部に向け下ろされる剛性揚水管1と可撓性揚水管2とが長さ方向(管軸方向)に接続され、剛性揚水管1と可撓性揚水管2の中空部が連通した1本のパイプ状に形成されている。剛性揚水管1は防錆性、耐腐食性、耐薬品性、及び高剛性を有する材料、例えばステンレス鋼や硬質プラスチック等を材料とし、剛性揚水管本体3の下端にヘッド部4を、上端には中途取水部5を夫々具備してなる。剛性揚水管本体3は、横断面真円の同径中空管に形成され、下端外周には剛性揚水管本体3の軸心線と90度の角度を有して外側方向に張り出すフランジ部6を一体的に設けている。フランジ部6には周方向に沿って一定間隔を有してボルト取付孔が穿設されている。補強用リブ7は、フランジ部6と剛性揚水管本体3との位置関係を安定的に保持し接続強度を増大する目的で剛性揚水管本体3の下端外面とフランジ部6との間に設けられている。補強用リブ7には、ワイヤーロープ取付部8を取り付けている。
【0011】
ヘッド部4は、横断面真円で上下両端方を開口した中空円筒体部9の上下開口縁全外周縁に外側方に張り出す取付用フランジ部10、11を夫々設けている。実施例1では、中空円筒体部9は高さと外径が略同一長さに形成されているが、本願発明は高さと外径の長さが同一長さのものに限定するものではない。又、実施例1の中空円筒体部9の内径は、剛性揚水管本体3の内径の4倍の大きさに形成されているが、本願発明における中空円筒体部9の内径と剛性揚水管本体3の内径の比率は4:1に限定するものではない。ストレーナ取付板12は、平視同心円の内外周縁を設けた円輪状板の内周縁に囲まれる内側空間部にストレーナ13を張設している。フランジ部6と、フランジ部10、11及びストレーナ取付板12の外径は同径に形成されている。フランジ部10とフランジ部6の夫々の外周縁を上下に一致させて重合した場合、フランジ部6に穿設された各ボルト取付孔と一致するボルト取付孔をフランジ部10に穿設している。フランジ部6はフランジ部10と夫々のボルト取付孔と一致するように重合し、ボルト取付孔にはボルトを挿通し、該ボルトの上下両端にはナット14、15を締着してフランジ部6とフランジ部10を緊締し、ヘッド部4を剛性揚水管本体3に取り付けている。フランジ部10とストレーナ取付板12には、周方向に同一間隔を有してボルト取付孔を夫々穿設し、フランジ部11とストレーナ取付板12の外周縁を上下に一致重合させ、重合した上下のボルト取付孔にボルトを挿通し、該ボルトの上下両端にはナット16、17で緊締し、中空円筒体部9の底部にストレーナ13を張設している。
外部に設けた圧縮空気発生装置(図示せず)と連通接続した空気配管18は、フランジ部6を気密且つ水密に貫通し、圧縮空気噴出口をヘッド部4の内側に開口配設している。
【0012】
中途取水部5は、横断面が真円で上下両端方が開口した円筒体部19の上端外側縁には外側方に張り出すフランジ部20が設けられている。実施例1では、中途取水部5の円筒体部19の内径と剛性揚水管本体3の内径の比率が4:1に設定されているが、本願発明は円筒体部16の内径と剛性揚水管本体3の内径の比率をこれに限定するものではない。フランジ部20には周方向に一定間隔離隔してボルト取付孔が穿設されている。フランジ部20と円筒体部19に側縁が連接して取付板21が取り付けられている。取付板21にはワイヤーロープ挿通部22が設けられている。剛性揚水管本体3の上端は、剛性揚水管本体3の軸心と円筒体部19の軸心とが一致するように、円筒体部19の下端開口から円筒体部19の長さ方向(軸方向)中途位置に亘り配設されている。円筒体部19の内側に配設された剛性揚水管本体3の外周縁と円筒体部19の内面との間にはガイド板23が連設され、剛性揚水管本体3を円筒体部19の内側に固定的に配設している。ガイド板23は、剛性揚水管本体3の外周縁を周方向に一定間隔離隔して平視放射状に設けられ、円筒体部19の下端開口をガイド板23で周方向に複数区画している。
【0013】
連結管24は、上下両端方を開口し、中途取水部5の内径と略同一の内径を有し、外周面に管軸方向に沿って交互に凹凸を形成し、下端には外側方向に張り出すフランジ部25を設けている。フランジ部25の外径とフランジ部20の外径は同一径に形成されている。フランジ部25には、フランジ部20のボルト取付孔と対応した位置にボルト取付孔が穿設されている。フランシ部20の上面とフランジ部25の下面を当接し、夫々のボルト取付孔を上下一致させ、ボルト取付孔にボルトを挿通し、該ボルトの上下両端部にナット26、27を螺着緊締して中途取水部5に連結管24を連通接続している。連結管24の外周に設けた凹凸は可撓性揚水管2の下端内側に嵌入され、可撓性揚水管2の外周に環状緊締具28にて、可撓性揚水管2を連結管24に離脱不可能に連通接続している。可撓性揚水管2は、中途取水部5の円筒体部19と内径が同径に形成され、ポリ塩化ビニル製ホース、ゴム製ホース、布製ゴム引きホース等を用いてなる。
【0014】
次に、実施例1の使用状態について、図4を参照にして説明する。図4に示すように、実施例1の深層水取水装置は、海面29上でワイヤロープ30上端を所定位置に取付け、海中にてワイヤーロープ30をワイヤーロープ挿通部22を挿通させてワイヤーロープ30下端をワイヤーロープ取付部8に取付け、深層水取水装置の海中での一層の位置的安定性を図らんとしている。ヘッド部4を所望の深層部に垂下し、可撓性揚水管2の上端吐出口を海面29上に配設させた状態で使用する。
コンプレッサー31を駆動し、発生する圧縮空気を空気配管18を通ってヘッド部4の内側に開口した圧縮空気噴出口よりヘッド部4の内側に噴出させる。ヘッド部4の内側に噴出した空気は気泡となり、剛性揚水管1及び可撓性揚水管2内を上昇する。気泡の上昇により、圧縮空気噴出口より上方の水は気泡と共に上昇を開始し、湧昇流が発生する。管内上方の湧昇流は管内下方の湧昇流を促し、ヘッド部4の下面開口からストレーナ13で濾過された深層水がヘッド部4から管内を上昇する。又、剛性揚水管本体3の上端開口より上方へと上昇する気泡と共に、気泡より上方の水は上昇し、可撓性揚水管2内で湧昇流が発生する。可撓性揚水管2内の湧昇流は、中途取水部5のガイド板23により区画された下面開口より深層水を取り込んで、円筒体部19を経て可撓性揚水管2内を上昇する。ガイド板23は、円筒体部19の下面開口から水を静流(層流)化して吸込むことで、吸込み水量を増やす為に設けたものである。
【実施例2】
【0015】
図5を参照にして実施例2について説明する。剛性揚水管本体3の下端にはヘッド部4を、上端には中途取水部32を設けている。中途取水部32は円筒体部33の上端にフランジ部34を設け、上端外面には取付板35を設けている。取付板35にはワイヤーロープ挿通部36を設けている。可撓性揚水管37の下端内側に嵌入されている連結部は周面に凹凸を具備した円筒状に形成されており、外径の大きさは円筒体部33の外径の約1/2に設定されている。環状緊締具38で可撓性揚水管37が連結部から脱落しないようにしている。上部剛性揚水管39は、円筒体部40の内側に揚水管41とガイド板42を設け、円筒体部40の上端にはフランジ部43と、ワイヤーロープ挿通部44を具備した取付板45を備えている。揚水管41は、円筒体部40の管軸方向中途位置から円筒体部40の下端下方に突出し、揚水管41の軸心は円筒体部40の軸心と一致して配設されている。揚水管41の下端には可撓性揚水管37の上端が脱落しないように緊締具38で接続している。円筒体部40の内側に於いて、揚水管41の周面から平視放射状にガイド板42が円筒体部40に連設され、円筒体部40の下面開口をガイド板42で複数区画している。剛性揚水管46の下端にはフランジ部47を設け、フランジ部43の穿孔とフランジ部47の穿孔を上下に重合一致させてボルトを挿通し、ナット48、49で緊締する。
上部剛性揚水管39の下面開口からも吸水することで、中途取水部5やヘッド部4から取水した深層水の水温を上昇させることができるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0016】
ヘッド部下面にストレーナを設けず、ヘッド部下方に高圧水等を噴射することで、海洋の底に堆積した土砂やヘドロ等の除去装置としての用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】深層水取水装置の要部を示す一部切欠正面図である。(実施例1)
【図2】図1の中央縦断面図である。(実施例1)
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。(実施例1)
【図4】使用状態を示す説明図である。(実施例1)
【図5】深層水取水装置の要部を示す一部省略正面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0018】
1 剛性揚水管
2、37 可撓性揚水管
3 剛性揚水管本体
4 ヘッド部
5、32 中途取水部
13 ストレーナ
18 空気配管
19、33、40 円筒体部
23、42 ガイド板
39 上部剛性揚水管
41、46 揚水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性揚水管本体の下端にヘッド部を上端に中途取水部を一体的に設けて成る剛性揚水管と、可撓性揚水管とよりなり、
前記ヘッド部は前記剛性揚水管本体の管径よりも大径の筒状に形成され、外部に設けた圧縮空気発生装置と連通接続された空気配管から送り込まれた圧縮空気の噴出口を前記ヘッド部の内側に開口配設させ、ヘッド部下面は開口し、該開口にはストレーナが取り付けられ、
前記中途取水部は、前記剛性揚水管本体の管径よりも大径の円筒体部を設け、該円筒体部の軸心と前記剛性揚水管本体の軸心が同一直線上に位置するように前記円筒体部内に前記剛性揚水管本体上端が開口し、前記円筒体部の内側に於ける前記剛性揚水管本体外周面から平視放射状にガイド板が配設され、前記円筒体部下面には前記ガイド板により周方向に区画された複数の吸水用開口を設け、前記円筒体部の上端には前記可撓性揚水管との接続部を設けてなり、
該接続部に前記可撓性揚水管の下端を管軸方向に連通接続して1本の揚水路を形成し、
前記ヘッド部内に開口した圧縮空気噴出口から圧縮空気を噴出させ、揚水管内外の水の比重差によって、前記ヘッド部下面開口と前記中途取水部下面開口から深層水を吸引揚水せしめるようにしたことを特徴とする深層水取水装置。
【請求項2】
剛性揚水管本体の下端にヘッド部を上端に中途取水部を一体的に設けて成る剛性揚水管と、可撓性揚水管と、上部剛性揚水管とよりなり、
前記ヘッド部は前記剛性揚水管本体の管径よりも大径の筒状に形成され、外部に設けた圧縮空気発生装置と連通接続された空気配管から送り込まれた圧縮空気の噴出口を前記ヘッド部の内側に開口配設させ、ヘッド部下面は開口し、該開口にはストレーナが取り付けられ、
前記中途取水部は、前記剛性揚水管本体の管径よりも大径の円筒体部を設け、該円筒体部の軸心と前記剛性揚水管本体の軸心が同一直線上に位置し、且つ前記円筒体部内に前記剛性揚水管本体上端が開口配設され、前記円筒体部の内側に於ける前記剛性揚水管本体外周面には平視放射状にガイド板が取り付けられ、前記円筒体部の下面には前記ガイド板により周方向に区画された複数の吸水用開口を設け、前記円筒体部の上端には前記可撓性揚水管との接続部を設け、該接続部に前記可撓性揚水管の下端を管軸方向に連通接続し、
前記上部剛性揚水管は、円筒体部の軸心と揚水管の軸心が同一直線上に位置し、且つ前記円筒体部内にて前記揚水管上端が開口配設され、円筒体部の内側に於ける前記揚水管外周面には平視放射状にガイド板が取り付けられ、前記円筒体部の下面には前記ガイド板により周方向に区画された複数の吸水用開口を設け、前記揚水管下端は前記可撓性揚水管の上端を管軸方向に連通接続し、
前記剛性揚水管と前記可撓性揚水管及び前記上部剛性揚水管とで1本の揚水路を形成し、前記ヘッド部内に開口した圧縮空気噴出口から圧縮空気を噴出させ、管内外の水の比重差によって、前記ヘッド部下面開口と前記中途取水部下面開口及び前記上部剛性揚水管下面開口から深層水を吸引揚水せしめるようにしたことを特徴とする深層水取水装置。
【請求項3】
上記ヘッド部の内径と上記中途取水部の内径が、上記剛性揚水管本体の内径の4倍の大きさに設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の深層水取水装置。
【請求項4】
上記可撓性揚水管の内径が、上記中途取水部の内径の1/2に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の深層水取水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−197572(P2009−197572A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79108(P2008−79108)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(508090114)
【Fターム(参考)】