説明

混合周波数振幅ベースサーボパターン

【課題】混合周波数振幅ベースサーボパターンを提供する。
【解決手段】本発明は冗長位置決め情報を提供するように異なる周波数で書き込まれたサーボウインドを含むサーボフレームに関する。サーボフレームは碁盤の目状パターンに配列された第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含む。サーボウインドの異なる周波数によりサーボフレームは位置決め情報冗長性の向上を達成することができる。サーボトラックは本明細書に記載されている複数のサーボフレームを含むことにより、データ読取/書込ヘッドを対応するデータトラックに隣接して適正に位置決めし得る。サーボフレームの各々に組み込まれた冗長性は位置決め情報の誤差をほぼ最小限に抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ記憶媒体に関し、特に振幅ベースサーボパターンで記録された磁気記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
データ記憶媒体はデータの記憶および検索に一般的に用いられており、磁気テープ、磁気ディスク、光テープ、光ディスク、ホログラフィーディスクまたはカード等などの多様な形式がある。磁気テープ媒体は依然として大量のデータを記憶するために経済的である。例えば大型計算センターでは磁気テープカートリッジまたは磁気テープの大型スプールを用いてデータをバックアップすることが多い。また磁気テープカートリッジはデスクトップまたはノートブックコンピュータなどのより小型のコンピュータに記憶されたデータのバックアップに用途がある。
【0003】
磁気媒体においてデータは通例媒体表面に磁気的に記録された磁気信号として記憶されている。媒体に記憶されたデータは通例「データトラック」に沿って編成されるとともに、トランスデューサヘッドがデータトラックに対して位置決めされてデータをトラックに書き込みまたはデータをトラックから読み取る。磁気テープなどの代表的磁気記憶媒体は通例データバンド内に数本のデータトラックを含む。光媒体、ホログラフィー媒体、および他の媒体形式もデータトラックを利用することができる。
【0004】
サーボパターンとはトラッキング目的で用いられる媒体上の信号または他の記録されたマークを指す。換言すればサーボパターンは媒体上に記録されてデータトラックに対する基準点を提供する。サーボコントローラは検出したサーボパターンを解釈するとともに位置誤差信号を生成する。この位置誤差信号を用いてデータトラックに対するトランスデューサヘッドの横方向の距離を調整し、トランスデューサヘッドがデータトラックに沿って適正に位置決めされるようにしてデータトラックに対してデータの効率的な読み取り及び/又は書き込みをするようにする。
【0005】
磁気テープなどのいくつかのデータ記憶媒体の場合、サーボパターンは「サーボトラック」と呼ばれる媒体上の特定トラックに記憶される。サーボトラックはサーボコントローラの基準として機能する。サーボトラックは通例、サーボコントローラが媒体の表面に対してトランスデューサヘッドの位置決めを識別するのに有用な情報以外データは保持しない。複数のサーボトラックをサーボバンド内に規定し得る。いくつかの磁気媒体は複数のサーボバンドを含み、データトラックはサーボバンド間に配置されている。
【0006】
サーボトラック内に記録されたサーボパターンは1つ以上のサーボヘッドによって感知され得る。例えばサーボヘッドはサーボトラック内のサーボパターンのみを読み取る専用ヘッドであり得る。代替的にはサーボヘッドは読取/書込ヘッドと一体化され得る。いずれの場合も特定のサーボトラックがサーボヘッドによって場所を特定されると、1つ以上のデータトラックがサーボトラックからのデータトラックの既知の変位により媒体上で位置が特定される。サーボコントローラはサーボヘッドから検出したサーボ信号を受け取るとともに位置誤差信号を生成し、その信号はデータトラックに対する読取/書込ヘッドの位置決めを調整するのに用いられる。
【0007】
振幅ベースサーボパターンとは、サーボ信号振幅の検出が媒体に対するヘッド位置決めの識別を可能にするサーボパターンを指す。振幅ベースサーボパターンは通例、信号が記録または媒体から消去された記録または消去ウインドである振幅ベースサーボウインドを利用する。媒体に対してヘッドが通過する際、検出されたサーボ信号の信号振幅を用いてヘッドが媒体上のトラックに対して正しく位置決めされているか否かを判断することができる。振幅ベースサーボパターンは一般に磁気テープ媒体に組み込まれるが他の媒体でも有用であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に本発明は冗長位置決め情報を提供するように異なる周波数で書き込まれたサーボウインドを有するサーボフレームを含む磁気データ記憶媒体に関する。サーボフレームは第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと、第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含む。これらの組の第1および第2のサーボウインドは碁盤の目(checkerboard)状パターンに配列されている。異なる周波数ウインドによりサーボフレームは、サーボフレーム長またはサーボサンプリング期間を延長することなく位置決め情報冗長性を達成することができる。サーボトラックは本明細書に説明する複数のサーボフレームを含むことにより、データ読取/書込ヘッドを対応するデータトラックに隣接して適正に位置決めし得る。サーボフレームの各々に組み込まれた冗長性は位置決め情報の誤差をほぼ最小限に抑える。
【0009】
例えばサーボ読取ヘッドは本明細書に説明するようにパターン化されたサーボフレームに隣接して通過する際に混合周波数サーボ信号を検出する。第1の周波数及び第2の周波数に調整されたフィルタは、混合周波数サーボ信号からそれぞれ第1の周波数サーボ信号と第2の周波数サーボ信号とを生成する。第1の位置誤差信号(PES)が第1の周波数サーボ信号から算出されるとともに、第2のPESが第2の周波数サーボ信号から算出される。第1のPESと第2のPESとを平均することにより全体PESを算出し得る。混合周波数サーボ信号が一定である場合、第1のPESおよび第2のPESの両方が同一方向の読取/書込ヘッドの位置決めを調整する。混合周波数サーボ信号が信号ドロップアウトを含む場合、第1のPESおよび第2のPESはドロップアウトが平均PESに影響を及ぼさないように広がる。このように本明細書に説明するサーボパターンは対応するデータトラックに対するデータ読取/書込ヘッドの位置決め精度を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態において本発明はサーボトラックと1つ以上のデータトラックとを備えるデータ記憶媒体に関する。サーボトラックは第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含む複数のサーボフレームを備える。第1のサーボウインドおよび第2のサーボウインドはサーボフレーム内に碁盤の目状パターンに配列されている。
【0011】
他の実施形態において本発明は、第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと、第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含み、第1および第2のサーボウインドが碁盤の目状パターンに配列されている複数のサーボフレームを備えるサーボトラックを読み取る方法に関する。この方法は混合周波数サーボ信号を検出するステップと、混合周波数サーボ信号から第1の周波数をフィルタリングして第1の周波数サーボ信号を生成するステップと、混合周波数サーボ信号から第2の周波数をフィルタリングして第2の周波数サーボ信号を生成するステップとを含む。その後第1の周波数サーボ信号と第2の周波数サーボ信号とに基づいて位置誤差信号を算出する。
【0012】
他の実施形態において本発明はデータ記憶媒体のサーボトラックを読み取るように位置決めされたサーボ読取ヘッドを備えるシステムを対象とし、サーボトラックは第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと、第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含む複数のサーボフレームを備える。第1および第2のサーボウインドは碁盤の目状パターンに配列され得る。サーボ読取ヘッドはサーボトラックから混合周波数サーボ信号を検出する。またこのシステムはサーボ読取ヘッドに結合されたサーボコントローラを備える。サーボコントローラは混合周波数サーボ信号から第1の周波数をフィルタリングして第1の周波数のサーボ信号を生成し、混合周波数サーボ信号から第2の周波数をフィルタリングして第2の周波数サーボ信号を生成し、さらに第1の周波数サーボ信号と第2の周波数サーボ信号とに基づいて位置誤差信号を算出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は1つ以上の利点を提供可能であり得る。例えば異なる周波数サーボウインドは、PES値の向上した冗長性を提供することにより誤差を最小限に抑える。また本発明のサーボパターンは信号対ノイズ比(SNR)を大幅に改善する全振幅混合周波数サーボ信号を生成する。さらにまた隣接ライタギャップを有する単一または二重バンプサーボ書込ヘッドを用いてサーボフレームの単純な碁盤の目状パターンを書き込み得る。サーボパターンが複雑なサーボ書込ヘッド構成を必要としないため、テープドライブによってサーボパターンを書き込み得る。この場合サーボ記録はより複雑なサーボライタを必要としない。
【0014】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細が添付の図面と以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴と、目的と利点とは説明と図面とからおよび特許請求の範囲から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1はサーボ読取ヘッド19を含むサーボ読取装置18に対する従来技術の磁気テープ10のサーボバンド部の図である。磁気テープ10には従来の振幅ベースサーボパターンが記録されている。図1に図示された従来のサーボパターンは、碁盤の目状パターンに配列された多数のサーボウインド14A〜14L(「サーボウインド14」)を含む。サーボウインド14は事前に記録された磁気信号12が磁気テープ10から消去された区域を備え得る。消去サーボウインド14A〜14Lは磁気テープ10のサーボフレーム11内にある。
【0016】
図示の実施形態において、磁気テープ10は5本のサーボトラック16A〜16E(「サーボトラック16」)を含む。サーボトラック16は中心線を規定し、例えばサーボトラック16Aは中心線17を規定している。サーボトラック16は一括してサーボバンドを規定する。一般にサーボバンドは複数のサーボトラックの集合として規定される。このためサーボバンドは任意の数のサーボトラックを含み得る。サーボトラック16の各々は対応するデータトラックまたは一組のデータトラック(図示せず)から既知の距離離れている。
【0017】
磁気テープ10をサーボ書込ヘッド(図示せず)のギャップの下を通過させることによりサーボパターンを書き込むことができる。サーボヘッドの比較的広いギャップを用いて、第1の周波数を有する磁気信号12を磁気テープ10の表面上に記録することができる。さらにまた第2の周波数を有する磁気信号は遷移領域13を規定して、サーボフレーム11の開始を示す。遷移領域13を記録するには、テープがサーボヘッドのギャップの下を通過する間に書き込まれた信号の周波数を短期間変更する。遷移領域13は従来技術のサーボ検出方式の同期マークとしての役目を果たす。
【0018】
サーボトラック方向を横断する方向の比較的小さい書き込みギャップトラック幅を有するサーボ書込ヘッド(または別体の消去ヘッド)を用いて、消去サーボウインド14を生成することができる。例えば消去サーボウインド14は、サーボ読取ヘッド19にトラック箇所の特定させることができる碁盤の目状構成を形成し得る。従来技術によれば中心線17のそれぞれ上方および下方に位置決めされた消去サーボウインド14は共通幅を有する。
【0019】
動作中、磁気テープ10が第1のトラック16Aの上方に配置されたサーボ読出しヘッド19を通過する際、読出しヘッド19により検出された磁気信号は中心線17に対するサーボヘッド19の箇所を識別することができる。例えばサーボヘッド19が中心線17に沿ってサーボウインド14Aの上方を部分的に移動する際、サーボヘッド19が厳密にオントラックである場合には検出された信号振幅は50パーセント減少することになる。検出信号は、サーボヘッド19がサーボウインド14のうちの1つの上方を通過していない場合100パーセントであるが、サーボヘッド19がサーボウインド14のうちの1つの上方を部分的に通過する場合、サーボウインドの上方を通過するサーボヘッド19の部分が信号にさらされないため減少する。サーボヘッド19が中心線17に沿ってサーボウインド14Aの上方を部分的に通過する際、検出された信号振幅の低下が50パーセントより多いまたは少ない場合には、サーボ読取装置18を移動させてサーボ読取ヘッド19を中心線17上方でより適切に位置決めにすることができる。このようにしてサーボトラック16Aの中心線17を位置特定することができる、対応するデータトラック(図示せず)は、サーボトラック16の中心線17から規定の変位で位置特定される。同様にサーボトラック16B〜16Eの中心線を磁気パターン12に対して様々な消去サーボウインドにより規定することができる。
【0020】
また磁気テープ10はトラック識別マーク15を含み得る。トラック識別マーク15によりサーボコントローラはトラック16Aをトラック16Cおよび16Eから区別することができる。磁気テープ10上にトラック識別マーク15がなければ、トラック16A、16Cおよび16Eに関連する検出信号は通常識別不能である。例えばトラック識別マーク15は信号12とは異なる識別可能周波数を有する磁気信号を備え得る。トラック識別マーク15は従来サーボウインド14とは異なる形状に形成されている。またサーボウインド14とは異なり、トラック識別マーク15は振幅ベースサーボ位置決め用に位置決めまたは使用されない。例えばトラック識別マーク15は通例1つ以上の中心線17と交差している。隣接のサーボバンドはマーク15と同様のトラック識別マークを含み得るが、所与のバンド内に異なって位置決めされているためトラック16C、16Dおよび16Eを識別することができる。
【0021】
図2は図1に対応する例示的出力信号を図示する。具体的には図2は中心線17に沿ってサーボトラック16A上方を通過するサーボ読取ヘッド19に関連する出力サーボ信号20を図示する。一般には信号20の振幅の変動を用いてサーボヘッド19がオントラックか否かを識別することができる。サーボ読取装置18に結合されたサーボコントローラは、サーボ信号20の振幅変動に基づいて位置誤差信号(PES)を生成するとともに、サーボ読取装置18を移動してサーボ読取ヘッド19をサーボトラック16Aと適正に位置合わせし得る。
【0022】
サーボヘッド19が中心線17に沿って通過する際、サーボ搬送信号12は信号20で箇所21、23、25、27、29および31において全振幅応答を提供する。信号20の振幅は、トラック識別マーク15に対応する箇所26で100パーセント低下する。サーボ信号20の振幅は、消去サーボウインド14Aの上方を部分的に通過するサーボヘッド19に対応する箇所22において振幅(A)に減少する。サーボ信号20の振幅は、消去サーボウインド14Bの上方を部分的に通過するサーボヘッド19に対応する箇所24において振幅(B)に減少する。
【0023】
振幅AおよびBは中心線17に対するサーボヘッド19の位置を示す。例えば図2に示すように箇所22および24の両方における信号20の振幅のおよそ50パーセントの低下は、サーボヘッド19のオントラック位置決めを示すことになる。一例として振幅Aが振幅Bより大きい場合には、サーボヘッド19が中心線17の若干上方に位置決めされている場合がある。サーボ読取ヘッド19のトラックピッチ(T)ならびに振幅AおよびBに基づいて信号20から第1のPES(PES)を算出し得る。
【数1】

第1のPESは中心線17に対する位置決め情報を提供し、この位置決め情報は振幅AおよびBを信号20で振幅の50パーセント低下に対応させる位置へのサーボヘッド19の移動を生じ、オントラック位置決めを示す。
【0024】
ある場合には、サーボコントローラは第1のPESのみを用いてサーボヘッド19をサーボトラック16Aに隣接して位置決めし得る。しかしサーボトラック16Aに沿ったサーボウインド14Aおよび14Bからのサーボ信号のみを含む第1のPESには冗長性がない。冗長性がないことによりサーボ信号20のドロップアウト誤差が見つからずに済んでしまう恐れがある。例えば磁気テープ10またはサーボ読取ヘッド19上のごみまたは欠陥はサーボ信号20に信号ドロップアウトを生じ得るが、サーボコントローラはそれを他の消去サーボウインドとして見る恐れがある。PES冗長性がないため、誤差を検出または補正することができず、サーボトラック16Aに対するサーボ読取ヘッド19の不正確な位置決めにつながり、それが対応するデータトラックに対するデータ読取ヘッドの不正確な位置決めにつながり得る。
【0025】
PES冗長性を提供するために、サーボトラック16Aに沿ったサーボウインド14Gおよび14Hからのサーボ信号に基づいて第2のPESを算出する。図2に図示するようにサーボ信号20の振幅は、消去サーボウインド14Gの上方を部分的に通過するサーボヘッド19に対応する箇所28において振幅(C)に減少する。サーボ信号20の振幅は消去サーボウインド14Hの上方を部分的に通過するサーボヘッド19に対応する箇所30において振幅(D)に減少する。
【0026】
振幅CおよびDは中心線17に対するサーボヘッド19の位置を示す。例えば図2に示すように箇所28および30の両方における信号20の振幅のおよそ50パーセントの低下は、サーボヘッド19のオントラック位置決めを示すことになる。一例として振幅Cが振幅Dより大きかった場合には、サーボヘッド19が中心線17の若干上方に位置決めされている場合がある。サーボ読取ヘッド19のトラックピッチ(T)ならびに振幅CおよびDに基づいて信号20から第2のPES(PES)を算出し得る。
【数2】

第2のPESは中心線17に対する位置決め情報を提供し、この位置決め情報は振幅CおよびDを信号20で振幅の50パーセント低下に対応させる位置へのサーボヘッド19の移動を生じ、オントラック位置決めを示す。他の実施形態においてPES冗長性は追加サーボ読取ヘッドおよびサーボバンドを用いて磁気テープにわたり達成し得る。第1のPESおよび第2のPESを平均することにより全体PESを算出することで、サーボ信号20のドロップアウトまたは他の信号誤差の影響を低減する。
【0027】
トラックピッチが振幅ベースサーボパターンで減少するにつれて、サーボ書込ヘッドのアセンブリはパターンを作製するために複数バンプギャップ位置合わせが必要なためより複雑になる。サーボ読取ヘッドがサーボパターンを読み取る際、実効ダイナミックレンジおよびプレイバックサーボ信号の線形性は消去ウインド内のSNRおよびサーボ書込ヘッド上の各消去ギャップ間の消去電流誤差により影響を受ける。
【0028】
本発明は異なる冗長PESを提供するように周波数で書き込まれたサーボウインドを含むサーボフレームを備えるデータ記憶媒体に関する。サーボフレームは碁盤の目状パターンに配列された、第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含む。サーボウインドの異なる周波数によりサーボフレームはPES冗長性を達成することができる。サーボトラックは本明細書に説明する複数のサーボフレームを含むことにより、データ読取/書込ヘッドを対応するデータトラックに隣接して適正に位置決めし得る。サーボフレームの各々に組み込まれたPES冗長性はPES全体の誤差を最小限に抑える。またサーボパターンはSNRを大幅に改善する全振幅混合周波数サーボ信号を生成する。さらにまた隣接ライタギャップを有する単一または二重バンプサーボ書込ヘッドは、単純な碁盤の目状パターンを書き込み、複雑なサーボ書込ヘッドアセンブリの必要性を排除し得る。
【0029】
図3はサーボ読取ヘッド51を含むサーボ読取装置50に対する磁気テープ36のサーボトラック部分の図である。磁気テープ36は混合周波数、振幅ベースサーボパターンで記録されたサーボフレーム37を含む。図3に図示されたサーボパターンは、第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインド42Aおよび42B(「第1のサーボウインド42」)と、第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインド44Aおよび44B(「第2のサーボウインド44」)とを含む。一組の第1のサーボウインド42と一組の第2のサーボウインド44とは碁盤の目状パターンに配列されている。サーボフレーム37内のサーボウインド42および44の異なる周波数は組込みPES冗長性を提供する。
【0030】
図示の実施形態において磁気テープ36は中心線49を規定する1つのサーボトラック48しか含まない。サーボフレーム37は第1の部分38と第2の部分40とを含む。サーボフレーム37の第1の部分38内では、第1のサーボウインド42Aが中心線49の上方に位置決めされているとともに第2のサーボウインド44Aが中心線49の下方に位置決めされている。サーボフレーム37の第2の部分40内では、第1のサーボウインド42Bが中心線49の下方に位置決めされているとともに第2のサーボウインド44Bが中心線49の上方に位置決めされている。サーボトラック48は1つ以上のデータトラック(図示せず)からの既知の距離にある。換言すれば多数のデータトラックはサーボトラック48に対して規定され得る。他の実施形態では磁気テープ36は集合的にサーボバンドを規定する任意の数のサーボトラックを含み得る。
【0031】
サーボトラック48は同期領域により分離された複数のサーボフレーム(図示せず)を含む。図3に示すように同期領域46Aおよび46B(「同期領域46」)はサーボフレーム37をサーボトラック48に沿った他のサーボフレームから分離する。サーボトラック48はサーボフレーム37の前に同期領域46Aを含むことによりサーボフレーム37の開始を示す。同期領域46は消去ウインド、未記録ウインド、または第3の周波数で記録されたウインドを含み得る。場合によっては同期ウインド46の異なる幅を、複数のサーボフレームにわたってデジタルワードを符号化するように変えることができる。例えば同期ウインド46は磁気テープ36の直線位置決め(LPOS)情報を符号化し得る。
【0032】
磁気テープ36をサーボ書込ヘッド(図示せず)のギャップの下を通過させることによりサーボパターンを書き込むことができる。隣接するライタギャップを有する単一または二重バンプサーボ書込ヘッドを用いて第1の周波数で第1のサーボウインド42と、第2の周波数で第2のサーボウインド44とを記録することができる。そのため本明細書に説明するサーボパターンは複雑なヘッド構成が必要ないためドライブにおいて容易に書き込むことができる。第1および第2のサーボウインド42および44は碁盤の目状構成を形成し、その構成によりサーボ読取ヘッド51はトラック48の箇所を特定することができる。本発明によれば中心線49の上方および下方に位置決めされた第1および第2のサーボウインド42および44は共通幅を有する。第1の周波数および第2の周波数は実質的に異なるとともに共通の高調波を有さないように選択され得る。例えば第1の周波数はおよそ1.2MHzであり、第2の周波数はおよそ2.0MHzであり得る。
【0033】
動作中、磁気テープ36がサーボトラック48の上方に位置決めされたサーボ読取ヘッド51を通過する際、サーボヘッド51により検出された磁気信号は中心線49に対するサーボヘッド51の箇所を識別することができる。サーボヘッド51は中心線49に沿って一組の第1のサーボウインド42および一組の第2のサーボウインド44上方を移動する際、サーボ読取ヘッド51は混合周波数サーボ信号を検出する。検出された信号振幅ピークは中心線49に対するサーボヘッド51の位置に関係なく100パーセント残る。検出された混合周波数サーボ信号はフィルタリングされて第1の周波数サーボ信号と第2の周波数サーボ信号とを生成する。第1の周波数サーボ信号および第2の周波数サーボ信号の変動は中心線49に対するサーボヘッド51の箇所を識別する。
【0034】
混合周波数サーボ信号が一定であり信号ドロップアウトを含まない場合、第1のPESおよび第2のPESの両方が同一方向のサーボ読取ヘッド51の位置決めを調整する。換言すれば2つの位置誤差信号はサーボヘッド51に対して冗長な位置決め情報を生成することになる。混合周波数サーボ信号が信号ドロップアウトを含まない場合は、第1のPESおよび第2のPESは広がるが、それらの大きさは同等でありドロップアウトが位置決め誤差信号の平均に影響を及ぼさない。
【0035】
第1の周波数サーボ信号の振幅が第2の周波数サーボ信号の振幅とだいたい同等でない場合には、サーボ読取装置50を移動させて位置決めサーボ読取ヘッド51を中心線49上方でより適切に位置決めすることができる。このようにしてサーボトラック48の中心線49を位置特定することができる。対応するデータトラック(図示せず)はサーボトラック48の中心線49から規定された変位で位置特定される。
【0036】
磁気テープ36が2つ以上のサーボトラックを含む実施形態では、磁気テープ36はトラック識別マークも含み得る。トラック識別マークは図1の識別マーク15とほぼ同様であり得る。トラック識別マークによりサーボコントローラはサーボバンド内で所与のトラックを他のトラックから区別することができる。
【0037】
図4は本発明の実施形態による磁気テープ52の図である。磁気テープ52はサーボトラック54A〜54C(「サーボトラック54」)とデータバンド56Aおよび56B(「データバンド56」)とを含む。サーボトラック54は図3に図示した磁気テープ36上のサーボトラック48とほぼ同様である。データバンド56A、56Bはそれぞれ異なるサーボトラック54間に位置決めされている。データバンド56の各々は複数のデータトラックを規定する。例えば32以上のデータトラックは連続サーボトラック間にある。他の実施形態では磁気テープ52は少なくとも1つのサーボバンドを規定するように互いに隣接して位置決めされた複数のサーボトラックを含み得る。
【0038】
数組の混合周波数、振幅ベースサーボウインド58が中心線55A〜55C(「中心線55」)に対して配列され、個々のサーボウインドは通例1つ以上の中心線55に隣接している。図示のように数組の混合周波数サーボウインド58が繰り返されて磁気テープ52の長さに沿った連続サーボフレームを規定する。
【0039】
図4の例では一組の混合周波数、振幅ベースサーボウインド58が碁盤の目状構成で配列されている。一組の混合周波数、振幅ベースサーボウインド58を従来の振幅ベースサーボパターンと同様に配列し得る。しかし一組の混合周波数サーボウインド58は、第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含む。異なる周波数は1フレーム長内にPES冗長性を提供することにより、位置決め情報誤差を実質的に最小限に抑える。加えて全振幅出力はサーボ信号のSNRを改善する。
【0040】
図5A〜5Cは図3に対応する例示的出力信号を図示する。具体的には図5Aは中心線49に沿ってサーボトラック48上を通過するサーボ読取ヘッド51に関連する混合周波数サーボ信号60を図示する。図5Bは混合周波数サーボ信号60から第1の周波数をフィルタリングすることにより生成される第1の周波数サーボ信号66を図示する。図5Cは混合周波数サーボ信号60から第2の周波数をフィルタリングすることにより生成される第2の周波数サーボ信号72を図示する。混合周波数サーボ信号60から抽出される第1の周波数サーボ信号66および第2の周波数サーボ信号72はPES冗長性を提供する。
【0041】
一般に第1の周波数サーボ信号66および第2の周波数サーボ信号72の振幅の変動を用いてサーボヘッド51がオントラックであるか否かを識別することができる。サーボ読取装置50に結合されたサーボコントローラは第1の周波数サーボ信号66および第2の周波数サーボ信号72の振幅変動に基づいて全体PESを生成するとともに、サーボ読取ヘッド51をサーボトラック48と適正に位置合わせするようにサーボ読取装置50を移動し得る。
【0042】
サーボヘッド51が中心線49に沿って通過する際、一組の第1のサーボウインド42と一組の第2のサーボウインド44とが常に、図5Aに示すように信号60の全振幅応答を提供する。混合周波数サーボ信号60はサーボフレーム37の第1の部分38に対応する第1のバースト62と、サーボフレーム37の第2の部分40に対応する第2のバースト64とを含む。信号60の振幅は同期領域46Aおよび46Bに対応する箇所61および65において100パーセント降下する。低下振幅はサーボフレームの開始をサーボコントローラに示す。
【0043】
上記のように第1のバースト62(A)は、第1のサーボウインド42Aが中心線49の上方に位置決めされるとともに第2のサーボウインド44Aが中心線49の下方に位置決めされている、サーボフレーム37の第1の領域38に対応する。第2のバースト64(B)は、第1のサーボウインド42Bが中心線49の下方に位置決めされるとともに第2のサーボウインド44Bが中心線49の上方に位置決めされている、サーボフレーム37の第2の領域40に対応する。
【0044】
サーボコントローラは混合周波数サーボ信号60からの第1の周波数をフィルタリングして第1の周波数サーボ信号66を生成する。サーボコントローラは混合周波数サーボ信号60から第2の周波数を実質的に排除するように調整された第1のフィルタを含む。場合によっては第1のフィルタは第1の周波数でピークを有するとともに第2の周波数でヌルを有するように調整されている。このように第1の周波数サーボ信号66は一組のサーボウインド42から生成された信号のみを含む。
【0045】
図5Bに示すように第1の周波数サーボ信号66の振幅は、サーボフレーム37の第1の部分38の第1のサーボウインド42A上方を部分的に通過するサーボヘッド51に対応する箇所68で振幅(A(F))に減少する。第1の周波数サーボ信号66の振幅は、サーボフレーム37の第2の部分40の第1のサーボウインド42B上方を部分的に通過するサーボヘッド51に対応する箇所70で振幅(B(F))に減少する。信号66の振幅は同期領域46Aおよび46Bに対応する箇所67および71で100パーセント降下する。サーボヘッド51が同期領域46上方を通過するとき、サーボヘッド51はサーボフレームの開始を示す同期信号を検出する。
【0046】
振幅A(F)およびB(F)は中心線49に対するサーボヘッド51の位置を示す。例えば箇所68および70の両方におけるほぼ同等の信号66の振幅の降下はサーボヘッド51のオントラック位置決めを示すことになる。図4Bに示すように振幅A(F)が振幅B(F)よりも小さかった場合には、サーボヘッド51が中心線49の若干下方に位置決めされている恐れがある。サーボ読取ヘッド51のトラックピッチ(T)ならびに振幅A(F)およびB(F)に基づいて第1の周波数サーボ信号66から第1のPES(PES)を算出し得る。
【数3】

第1のPESは中心線49に対する位置決め情報を提供し、この位置決め情報は振幅A(F)およびB(F)を信号66の振幅でほぼ同等の降下に対応させる位置へのサーボヘッド51の移動を生じ、オントラック位置決めを示す。
【0047】
またサーボコントローラは混合周波数サーボ信号60から第2の周波数をフィルタリングして第2の周波数サーボ信号72を生成する。サーボコントローラは混合周波数サーボ信号60から第1の周波数をほぼ排除するように調整された第2のフィルタを含む。場合によっては第2のフィルタは第2の周波数においてピークを有するとともに第1の周波数においてヌルを有するように調整されている。このように第2の周波数サーボ信号72は一組の第2のサーボウインド44から生成された信号のみを含む。
【0048】
図5Cに示すように、第2の周波数サーボ信号72の振幅はサーボフレーム37の第1の部分38の第2のサーボウインド44A上方を部分的に通過するサーボヘッド51に対応する箇所74において振幅(A(F))に減少する。第2の周波数サーボ信号72の振幅はサーボフレーム37の第2の部分40の第2のサーボウインド44Bを部分的に通過するサーボヘッド51に対応する箇所76において振幅(B(F))に減少する。信号72の振幅は同期領域46Aおよび46Bに対応する箇所73および77において100パーセント降下する。
【0049】
振幅A(F)およびB(F)は中心線49に対するサーボヘッド51の位置を示す。例えば箇所74および76の両方におけるほぼ同等の信号72の振幅の降下はサーボヘッド51のオントラック位置決めを示すことになる。図4Cに示すように振幅A(F)が振幅B(F)よりも大きかった場合には、サーボヘッド51は中心線49の若干下方に位置決めされている恐れがある。サーボ読取ヘッド51のトラックピッチ(T)ならびに振幅A(F)およびB(F)に基づいて第2のサーボ信号72から第2のPES(PES)を算出し得る。
【数4】

第2のPESは中心線49に対する位置決め情報を提供し、この位置決め情報は振幅A(F)およびB(F)を信号72の振幅でほぼ同等の降下に対応させる位置へのサーボヘッド51の移動を生じ、オントラック位置決めを示す。第2のPESは式(3)で与えられた第1のPESに対して180度相補関係にある。
【0050】
図5Aに示すように混合周波数サーボ信号が一定である場合、第1のPESおよび第2のPESの両方が同一方向のサーボ読取ヘッド51の位置決めを調整する。換言すれば混合周波数サーボ信号が信号ドロップアウトを含まない場合、2つの位置誤差信号はサーボヘッド51に対する冗長位置決め情報を生成することになる。混合周波数サーボ信号が信号ドロップアウトを含まない場合、第1のPESおよび第2のPESは広がるが、それらの大きさは同等でありドロップアウトが位置決め誤差信号の平均に影響を及ぼさない。
【0051】
第1のPESおよび第2のPESを平均して全体PESを算出する。位相のずれた位置誤差信号を平均することで誤差を実質的に最小限に抑える。混合周波数サーボ信号60のドロップアウトまたは他の信号誤差は全体PESで実質的に排除される。サーボ信号60は全振幅信号を備えるため、ドロップアウト誤差は出力サーボ信号の一部であるとはみなされない。例えばドロップアウト誤差は第1の周波数サーボ信号66の信号損失と、第2の周波数サーボ信号72の同等信号損失とを生じ得る。第1および第2の位置誤差信号を平均するとドロップアウト誤差が最小限に抑えられて、サーボ信号60の一部が損失しても全体PESが算出され得る。加えて全振幅混合周波数サーボ信号はSNRを改善する。アンチエイリアスフィルタとバンドパスフィルタとを組み合わせることで、混合周波数サーボ信号のバーストフィールドを評価するための良好なノイズ低減を提供する。
【0052】
いくつかの従来のサーボパターンでは1トーン周波数を同様のサーボ書込ヘッド構成で書き込むとともに未消去ウインドを有し得る。しかし1トーン周波数がサーボトラックにわたって書き込まれた領域において、2つのライタギャップ間の搬送波位相を一致させることは非常に困難である場合がある。位相の不一致は信号キャンセル、生じる搬送波信号の追加、または振幅変調(AM)を生じる恐れがある。速度ジッターなどの他の乱れを説明する際、これらの影響が特に顕著になる場合がある。本明細書に説明するように異なる周波数を書き込むことにより、搬送波位相は重要でなくなる。
【0053】
図6は磁気テープ86に記録されたサーボトラックを読み取る例示的システム78を図示する。サーボトラックは本明細書に説明するように碁盤の目状パターンに配列された、第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとで書き込まれたサーボフレームを含む。例えば磁気テープは磁気テープ36(図3)のサーボトラック48とほぼ同様のサーボトラックを含み得る。システム78はサーボ読取ヘッド80とサーボ読取ヘッド80に結合されたサーボコントローラ82とを含む。サーボ読取ヘッド80は、スプール88および89上に巻かれた磁気テープ86に近接して位置決めされる。図示の実施形態ではシステム78は磁気テープドライブを備える。スプール88および89の一方または両方は、磁気テープ86を収容するデート記憶カートリッジ内に存在し得る。
【0054】
磁気テープ86はサーボ読取ヘッド80に近接して通過しつつスプール88からスプール89へ送られる。磁気テープ86がサーボ読取ヘッド80上方を通過する際、サーボ読取ヘッド80は磁気テープ86上に記録されたサーボトラックから混合周波数サーボ信号を検出する。サーボコントローラ82はサーボ読取ヘッド80から混合周波数サーボ信号を受け取る。サーボコントローラ82は混合周波数サーボ信号から第1の周波数をフィルタリング可能な第1のフィルタ83を含む。またサーボコントローラ82は混合周波数サーボ信号から第2の周波数をフィルタリング可能な第2のフィルタ84を含む。
【0055】
図7は第1のフィルタ83の例示的応答のプロット90を図示する。プロット90は第1の周波数(F)においてピーク91と第2の周波数(F)においてヌル92とを含む。例えば第1の周波数はおよそ1.2MHzであるとともに、第2の周波数はおよそ2.0MHzであり得る。いずれの場合も第1および第2の周波数はいかなる共通高調波も有さないように互いに大幅に異なる。第1のフィルタ83をサーボ読取ヘッド80から受け取った混合周波数サーボ信号から第2の周波数を実質的に排除するように特別に調整し得る。
【0056】
図8は第2のフィルタ84の例示的応答のプロット94を図示する。プロット94は第1の周波数(F)においてヌル95と第2の周波数(F)においてピーク96とを含む。第2のフィルタ84をサーボ読取ヘッド80から受け取った混合周波数サーボ信号から第1の周波数を実質的に排除するように特別に調整し得る。
【0057】
図6をさらに参照すると、サーボコントローラ82は第1のフィルタ83を混合周波数サーボ信号に適用するとともに第1のフィルタ83の出力に基づいて第1の周波数サーボ信号を生成する。またサーボコントローラ82は第2のフィルタ84を混合周波数サーボ信号に適用するとともに第2のフィルタ84の出力に基づいて第2の周波数サーボ信号を生成する。そしてサーボコントローラ82は第1の周波数サーボ信号に基づいて第1のPESを算出するとともに、第2の周波数サーボ信号に基づいて第2のPESを算出する。サーボコントローラ82は第1のPESと第2のPESとを平均することにより全体PESを算出する。
【0058】
図9Aは信号ドロップアウトを有する例示的なフィルタリングされた混合周波数サーボ信号のプロット98を図示する。また、図9A-1は、図9Aのプロットをより明瞭に表示するために図9Aを白黒反転した図である。プロット98は混合周波数振幅ベースサーボパターンから検出された混合周波数サーボ信号に適用された第1の周波数フィルタおよび第2の周波数フィルタの両方からの出力を含む。上記のように第1のフィルタを第1の周波数のみを通すとともに第2の周波数を実質的に排除するように調整し得る。第2のフィルタを第2の周波数のみを通すとともに第1の周波数を実質的に排除するように調整し得る。プロット98は第1の周波数サーボ信号および第2の周波数サーボ信号の両方を含む。図9Aに図示するように検出された混合周波数サーボ信号の信号ドロップアウトは第1および第2の周波数サーボ信号の信号ドロップアウト100および101を生じる。
【0059】
図9Bは信号ドロップアウト100および101の存在下でサーボコントローラ82により算出された例示的位置誤差信号のプロット102を図示する。プロット102は第1のPES103と、第2のPES104と、全体PES106とを含む。サーボコントローラ82は上記の式(3)を用いて第1の周波数サーボ信号から第1のPES103を算出する。第1のPES103は混合周波数サーボ信号のドロップアウトなどの誤差によるいくつかの変動を含む。サーボコントローラ82は上記の式(4)を用いて第2の周波数サーボ信号から第2のPES104を算出する。第2のPES104は第1のPES103とは位相がずれている。図9Bに示すように第2のPES104の変動は第1のPES103の変動に対して180度相補関係にある。換言すれば信号ドロップアウトに直面すると第1のPES103および第2のPES104は広がる。
【0060】
サーボコントローラ82は第1のPES103と第2のPES104を平均して全体PES106を算出する。第1のPES103および第2のPES104は信号ドロップアウト100および101により広がる場合同等な大きさを維持する。そのため全体PES106は第1のPES103および第2のPES104に対して単にミラー変動を含む。上記のように位相のずれた位置誤差信号103および104を平均することで混合周波数サーボ信号の誤差をほぼ最小限に抑える。換言すれば第1のPES103の変動は第2のPES104の変動により相殺される。このように組み込み冗長PESを有するサーボフレームを提供することで全体PESの精度を向上させ、それが磁気テープからのデータ読み取りを向上させる。
【0061】
図10は磁気テープに記録されたサーボトラックを読み取る方法を図示するフロー図である。サーボトラックは碁盤の目状パターンに配列された第1の周波数で記録された一組のサーボウインドと第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとで書き込まれたサーボフレームを含む。図6のサーボ読み取りシステム78に関連してこの方法を説明する。例えばサーボトラックを磁気テープ86に記録し得る。
【0062】
サーボ読取ヘッド80を磁気テープ86に近接位置決めする。磁気テープ86がサーボ読取ヘッド80上方を通過する際、サーボヘッド80は磁気テープ86に記録されたサーボトラックから混合周波数サーボ信号を検出する(110)。サーボコントローラ82はサーボ読取ヘッド80から混合周波数サーボ信号を受け取る。混合周波数サーボ信号はサーボフレームにわたる全振幅サーボ信号を備える。全振幅信号はSNRを大幅に改善する。
【0063】
サーボコントローラ82は第1のフィルタ83を用いて混合周波数サーボ信号から第1の周波数をフィルタリングする(112)。そしてサーボコントローラ82は第1のフィルタ83の出力に基づいて第1の周波数サーボ信号を生成する(113)。またサーボコントローラ82は第2のフィルタ84を用いて混合周波数サーボ信号から第2の周波数をフィルタリングする(114)。そしてサーボコントローラ82は第2のフィルタ84の出力に基づいて第2の周波数サーボ信号を生成する(115)。
【0064】
単一のサーボフレームから生成された2つの離れたサーボ信号は、サーボサンプリング期間を延長するサーボフレーム長を延長せずにPES冗長性を提供する。サーボコントローラ82は第1の周波数サーボ信号に基づいて第1のPESを算出する(116)。またサーボコントローラ82は第2の周波数サーボ信号に基づいて第2のPESを算出する(118)。混合周波数サーボ信号が一定である場合、第1のPESおよび第2のPESの両方は同一方向のサーボ読取ヘッド80の位置決めを調整する。換言すれば混合周波数サーボ信号が信号ドロップアウトを含まない場合、2つの位置誤差信号はサーボヘッド80に対する冗長位置決め情報を生成することになる。
【0065】
サーボコントローラ82は第1のPESと第2のPESとを平均して全体PESを決定する(120)。第1のPESと第2のPESとは同等の大きさを有する位相のずれた信号を備える。そのため第1のPESと第2のPESとを平均することで、磁気テープ83またはサーボ読取ヘッド80上のごみにより生じるいかなるドロップアウトまたは他の誤差も実質的に排除する。このようにして全体PESの精度が大幅に改善される。
【0066】
本発明の様々な実施形態を説明してきた。例えば第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含み碁盤の目状パターンに配列された複数のサーボフレームを含むサーボトラックを説明した。またさらに混合周波数サーボ信号を個々にフィルタリングして第1の周波数サーボ信号と第2の周波数サーボ信号とを生成することと、第1および第2の周波数サーボ信号に基づいてPESを算出することを含む、サーボトラックを読み取るシステムと方法とを説明した。これらおよび他の実施形態は以下の特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】サーボ読取ヘッドを含むサーボ読取装置に対する従来技術の磁気テープのサーボバンド部の図である。
【図2】図1に対応する例示的出力信号を図示する。
【図3】サーボ読取ヘッドを含むサーボ読取装置に対する磁気テープのサーボトラック部分の図である。
【図4】本発明の実施形態による磁気テープの図である。
【図5A】図3に対応する例示的出力信号を図示する。
【図5B】図3に対応する例示的出力信号を図示する。
【図5C】図3に対応する例示的出力信号を図示する。
【図6】磁気テープに記録されたサーボトラックを読み取る例示的システムを図示する。
【図7】第1のフィルタの例示的応答のプロットを図示する。
【図8】第2のフィルタの例示的応答のプロットを図示する。
【図9A】信号ドロップアウトを有する例示的なフィルタリングされた混合周波数サーボ信号のプロットを図示する。
【図9A−1】図9Aのプロットをより明瞭に表示するために図9Aを白黒反転した図である。
【図9B】信号ドロップアウトの存在下でサーボコントローラにより算出された例示的位置誤差信号のプロットを図示する。
【図10】磁気テープに記録されたサーボトラックを読み取る方法を図示するフロー図である。
【符号の説明】
【0068】
10 磁気テープ
11 サーボフレーム
12 磁気信号
13 遷移領域
14(14A〜14L) 消去サーボウインド
15 トラック識別マーク
16(16A〜16E) サーボトラック
17 中心線
18 サーボ読取装置
19 サーボ読取ヘッド
20 信号
21 箇所
22 箇所
23 箇所
24 箇所
25 箇所
26 箇所
27 箇所
28 箇所
29 箇所
30 箇所
31 箇所
36 磁気テープ
37 サーボフレーム
38 第1の部分
40 第2の部分
42(42Aおよび42B) 第1のサーボウインド
44(44Aおよび44B) 第2のサーボウインド
46(46Aおよび46B) 同期領域
48 サーボトラック
49 中心線
50 サーボ読取装置
51 サーボ読取ヘッド
52 磁気テープ
54(54A〜54C) サーボトラック
55(55A〜55C) 中心線
56(56Aおよび56B) データバンド
58 サーボウインド
60 混合周波数サーボ信号
61 箇所
62 第1のバースト
64 第2のバースト
65 箇所
66 第1の周波数サーボ信号
67 箇所
68 箇所
70 箇所
71 箇所
72 第2の周波数サーボ信号
73 箇所
74 箇所
76 箇所
77 箇所
78 システム
80 サーボ読取ヘッド
82 サーボコントローラ
83 第1のフィルタ
84 第2のフィルタ
86 磁気テープ
88 スプール
89 スプール
90 プロット
91 ピーク
92 ヌル
94 プロット
95 ヌル
96 ピーク
98 プロット
100 信号ドロップアウト
101 信号ドロップアウト
102 プロット
103 第1のPES
104 第2のPES
106 全体PES
A 振幅
B 振幅
C 振幅
D 振幅
A(F) 振幅
A(F) 振幅
B(F) 振幅
B(F) 振幅
サーボトラックピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボトラックと1つ以上のデータトラックとを備えるデータ記憶媒体であって、前記サーボトラックが複数のサーボフレームを備え、前記複数のサーボフレームが、
第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと、
第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含み、
前記第1および第2のサーボウインドが碁盤の目状パターンに配列されている媒体。
【請求項2】
前記一組の第1のサーボウインドが前記一組の第2のサーボウインドに隣接して位置決めされて中心線を規定している、請求項1に記載の媒体。
【請求項3】
前記サーボトラックが前記複数のサーボフレームの各々の前に同期領域を含んでサーボフレームの開始を示し、前記同期領域が前記複数のサーボフレームにわたってデジタルワードを符号化するとともに、前記デジタルワードが直線位置決め(LPOS)情報を備える、請求項1に記載の媒体。
【請求項4】
第1の周波数で記録された一組の第1のサーボウインドと、第2の周波数で記録された一組の第2のサーボウインドとを含み、前記第1および第2のサーボウインドが碁盤の目状パターンに配列されている複数のサーボフレームを備えるサーボトラックを読み取る方法であって、
混合周波数サーボ信号を検出するステップと、
前記混合周波数サーボ信号から前記第1の周波数をフィルタリングして第1の周波数サーボ信号を生成するステップと、
前記混合周波数サーボ信号から前記第2の周波数をフィルタリングして第2の周波数サーボ信号を生成するステップと、
前記第1の周波数サーボ信号と前記第2の周波数サーボ信号とに基づいて位置誤差信号を算出するステップとを含む方法。
【請求項5】
前記第1の周波数をフィルタリングするステップが前記混合周波数サーボ信号に第1のフィルタを適用するステップを含み、前記第2の周波数をフィルタリングするステップが前記混合周波数サーボ信号に第2のフィルタを適用するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記位置誤差信号を算出するステップが、
前記第1の周波数サーボ信号に基づいて第1の位置誤差信号を算出するステップと、
前記第2の周波数サーボ信号に基づいて第2の位置誤差信号を算出するステップと、
前記第1の位置誤差信号と前記第2の位置誤差信号を平均するステップとを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
【数1】

により前記第1の位置誤差信号を算出するステップをさらに含み、ここでA(F)は前記第1の周波数サーボ信号の第1のバーストパターンであり、B(F)は前記第1の周波数サーボ信号の第2のバーストパターンであり、Tはサーボトラックピッチである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
【数2】

により前記第2の位置誤差信号を算出するステップをさらに含み、ここでA(F)は前記第2の周波数サーボ信号の第1のバーストパターンであり、B(F)は前記第2の周波数サーボ信号の第2のバーストパターンであり、Tはサーボトラックピッチである、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図9A】
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【図9A−1】
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【図9B】
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【公開番号】特開2007−12254(P2007−12254A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−178110(P2006−178110)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(596099398)イメイション・コーポレイション (37)
【氏名又は名称原語表記】Imation Corp.
【Fターム(参考)】