説明

混合弁ユニット

【課題】部品点数の削減及び取扱い性の向上を図る。
【解決手段】給水管に接続される給水管接続部25と熱交換器の入口側に接続されるイン側配管接続部32と熱交換器の出口側に接続されるアウト側配管接続部37と給湯管に接続される給湯管接続部41とが一体に形成されたケーシング24を一体に形成する。ケーシング24内には、フローセンサ3と流量調整弁4と、この流量調整弁4の下流側でイン側配管接続部32の出口より上流側において分岐するバイパス通路7と、バイパス通路7から流入する水量と第1通路38から流入する湯量との混合比を制御して混合弁8とが組込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は混合弁ユニットに関するものであり、特に熱交換器を通過した湯とバイパス通路を通過した水との混合比を調整しつつ出湯する混合弁ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱交換器を通過した湯とバイパス通路を通過した水との混合比を調整しつつ出湯する給湯システムを開示するものとして、下記特許文献1が知られている。
【0003】
このものにおいては、フローセンサを有する給水路は下流側で分岐し、一方は熱交換器の入口側と接続し、他方はバスパス通路を介してバイパス流量調整弁の流入側に接続されている。熱交換器の出口側とバイパス流量調整弁の流出側は合流した後に水比例弁に接続されている。水比例弁の出口側は分岐し、一方は給湯路と接続されている。他方はフローセンサ、電磁弁、逆止弁等を介して浴槽へ接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−254604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した給湯システムにおいては、給水路に設けられたフローセンサ、バイパス通路に設けられたバイパス流量調整弁及び水比例弁といった湯水混合に係る各部品が独立して設けられており、部品点数の多さからコスト高や取扱いの煩雑さといった問題があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、給湯システムのうち湯水混合に係る部品をユニット化することで部品点数の削減及び取扱い性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、熱交換器を通過して加熱された湯と、前記熱交換器を通過しない水との混合比を制御する混合弁を含む混合弁ユニットであって、給水管に接続される給水管接続部と前記熱交換器の入口側に接続されるイン側配管接続部と前記熱交換器の出口側に接続されるアウト側配管接続部と給湯管に接続される給湯管接続部とが一体に形成されたケーシングを有し、このケーシング内には、前記給水管接続部から流入した水の水量を計測するフローセンサと、このフローセンサの下流側に設けられ通過水量を制御可能な流量調整弁と、この流量調整弁の下流側で前記イン側配管接続部の出口より上流側において分岐するバイパス通路と、このバイパス通路、前記アウト側配管接続部及び前記給湯管接続部の両接続部内に形成された第1、第2通路の計3つの通路に連通するバルブ収容部と、このバルブ収容部内に回動可能に設けられ前記バイパス通路から流入する水量と前記第1通路から流入する湯量との混合比を制御して前記第2通路を介して給湯する前記混合弁とが設けられているところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記バイパス通路は、前記流量調整弁の下流側から前記イン側配管接続部の出口へと至る第3通路に対しほぼ直交するようにして分岐して形成されるとともに、前記第3通路における前記バイパス通路の分岐口と反対側には前記バイパス通路と同軸で成形用の型抜き孔が開口し、かつ前記ケーシングにはこの型抜き孔を閉止するプラグ板が取り付けられているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、一体に形成されたケーシング内にフローセンサ、流量調整弁、混合弁等を組み込んで混合弁ユニットを構成するようにしたため、部品点数の削減と取扱い性の向上も図ることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、バイパス通路を型抜き孔側への型抜きによって形成するようにしている。仮に、バイパス通路を収容部側への型抜きによって形成するようにしたのでは、バイパス通路の流路面積とこのバイパス通路に連通する収容部や第1通路との流路面積との大小関係によっては型抜きができなくなる。その場合には、バイパス通路の途中でケーシングを分割せざるを得ず、ケーシングの一体化が損なわれてしまう。その点、請求項2の発明であれば、型抜き孔を設定することで、バイパス通路を収容部とは反対側へ型抜きして形成することができるため、ケーシングの一体化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】給水システム全体の回路図
【図2】混合弁ユニットの断面図
【図3】混合弁部分の拡大断面図
【図4】混合弁の開度と湯水の混合状況との関係を示すグラフ
【図5】ケーシングの成形状況を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
まず、図1によって本実施形態の給水システムの回路構成について説明する。同図において1は上水道に接続された給水管であり、途中には給水管1内の水温を計測するサーミスタ2が接続されている。サーミスタ2の下流側には、混合弁ユニットU内に組み込まれ、通過水量を測定するフローセンサ3および給水流量を調整可能な流量調整弁4が接続されている。さらに、その下流側には熱交換器5が接続され、その出口部分には湯温を計測可能なサーミスタ6が接続されている。上記した流量調整弁4から熱交換器5へ至る流路の途中にはバイパス通路7が分岐し、混合弁8の水流入側に接続されている。
【0013】
一方、熱交換器5の出口部分に接続されたサーミスタ6の下流側は混合弁8の湯流入側に接続されている。混合弁8はバイパス通路7からの水と熱交換器からの湯とを変更可能な混合比で混合し、混合弁8に接続された給湯管9へ流出させる。給湯管9は途中にサーミスタ10が接続され、下流端には例えば台所等の蛇口が接続されている。
【0014】
また、給湯管9においてサーミスタ10より下流側は分岐配管11に接続されている。同配管11はフローセンサ12、パイロット弁13および2つの逆止弁14,15を介して浴槽16に接続されている。パイロット弁13には分岐路17が接続され、ここには電磁弁18が接続されている。分岐路17は、電磁弁の上流側及び下流側の流路において共にオリフィス状に形成されたブリード孔19およびパイロット孔20が設けられ、下流側は一方の逆止弁14の上流部に接続されている。また、上記した二つの逆止弁14,15の間には分岐配管21を介して排水弁22が接続されている。この排水弁22にはフローセンサ12の上流側の圧力を導入するための圧力導入管23が接続されている。
【0015】
次に、混合弁ユニットUの構造について説明する(図2参照)。なお、以下の説明中、X方向及びY方向は図2おける左右方向及び上下方向をそれぞれ指すものとする。
【0016】
さて、混合弁ユニットUは、合成樹脂材によって一体に形成されたケーシング24を有している。ケーシング24には給水管1を接続可能な給水管接続部25がY方向に沿って突出形成されている。給水管接続部25の内部には軸心に沿って流水路25Aが形成され、その内部には前記したフローセンサ3が組込まれている。
【0017】
流水路25Aの下流端には流量調整弁4を収容するための調整弁収容室26が連通して形成されている。この調整弁収容室26は流水路26とほぼ直交するようX方向に沿って形成されている。また、調整弁収容室26は軸方向両端が開口して形成され、内部には流量調整弁4が組込まれて通過水量を調整可能である。流量調整弁4は弁用モータ27(ステッピングモータ)と、同モータ27によって軸心周りに正逆方向へ回動可能でかつ軸方向へ往復移動可能な弁軸28と、同弁軸28の軸端寄りに固定された弁体29とからなっている。
【0018】
一方、調整弁収容室26の下流側には小径の接続路30が形成されている。接続路30の入口部分には弁座31が形成され、流量調整弁4の弁体29はこの弁座39に対して接離可能とされ、弁座39の開放量に応じて接続路30への流入水量が制御されるようになっている。
【0019】
接続路30の下流側にはバイパス通路7を挟んで第3通路31が同軸で形成されている。第3通路31はケーシング24に突出形成されたイン側配管接続部32の軸心に沿って、つまりX方向に沿って形成されている。イン側配管接続部32は熱交換器5の入口側に接続されている。
【0020】
バイパス通路7は接続路30および第3通路31と直交するようY方向に沿って形成されている。バイパス通路7の下流端は混合弁8の内部に連通可能である。バイパス通路7において収容部33と反対側の端部にはケーシング24の壁面に開口する型抜き孔3434が形成されている。この型抜き孔3434はOリング36を介してプラグ板35によってシール状態で閉止されている。
【0021】
熱交換器5の出口側はケーシング24に突出形成されたアウト側配管接続部37に接続されている。アウト側配管接続部37の内部には軸心に沿って第1通路38が形成されている。第1通路38は混合弁8の収容部33を挟んでバイパス通路7と同軸で、つまりY方向に沿って形成され、その下流側は混合弁8の内部に連通可能である。
【0022】
収容部33は、バイパス通路7、第1通路38に加え、第2通路40にも連通している。第2通路40は給湯管9を接続するための給湯管接続部41の軸心に沿って形成されている。第2通路40はバイパス通路7及び第1通路38とは直交するようX方向に沿って形成されるが、収容部33とは同軸をなすようにして形成されている。
【0023】
図3に示すように、収容部33の穴径はバイパス通路7及び第1通路38の流路径よりも大きく形成されている。このことにより、収容部33が形成されている部分の対称位置ではケーシング24の壁面が外方に膨出して形成されている。この膨出部分の一方側では、収容部の内周壁のうちバイパス通路及び第1通路に面した側がこれら両通路内に突出するようにして第1・第2の迫出し部42,43が形成されている。
【0024】
混合弁8は収容部33内において回動可能に収容されている。混合弁8の回動軸44は正逆回転可能な弁用モータ45(ステッピングモータ)に接続されている。また、ケーシング24内には収容部33を挟んで第2通路40と反対側には混合弁8の回動軸44に対する軸受を収容するための軸受収容室46がX方向に沿って同軸で形成されている。図3に示すように、混合弁8のバルブ部分は第2通路40との対向面が開放した円筒形状に形成されるとともに、その周面にはほぼ半周に亘って開口47が形成されている。この実施形態においては、図3に示す混合弁の位置が初期位置(回転角度0°)として設定され、この位置では混合弁の開口47は第1通路38の全断面領域が連通し、逆にバイパス通路7側の全断面領域は混合弁8のバルブ部分の周壁によって閉じられている。したがって、初期位置においては水の混合はなく湯のみが第2通路40を経て給湯管9へと流出することになる。
【0025】
上記初期位置から混合弁が図3における時計回りにθ1だけ回動すると、図4に示すように、混合弁8の開口47の一端部が第1迫出し部42の外面に臨むようになる。この位置から混合弁8の回動がさらに進行すると、混合弁8の内部にバイパス通路8からの水の流入が開始される。そして、混合弁8の回動角度がθ2に達すると、混合弁8の開口47はバイパス通路7の全断面領域を含むが、逆に第1通路38側の全断面領域が閉じられている。したがって、θ2の角度位置では湯の混合がなく、水のみが給湯管9へと流出する。こうした状況は混合弁8の回動角度がθ3の位置に至るまで継続する。そして、混合弁8の回動角度がθ4に達すると、混合弁8の開口47はバイパス通路7側に対して連通しなくなるが、逆に、開口47の一端部が第2迫出し部43の外面に臨むため、開口47は第1通路8側の全断面領域に連通するため、混合弁8のバルブ部分に対しては再び湯のみが流入する状況となる。
【0026】
なお、図示はしないが、混合弁の回動角度がθ4を超えてさらに回動すると、所定角度位置においてモータ45の回転軸がストッパ(図示しない)に当接してこれ以上に回動できないようになっている。
【0027】
次に、図5によってケーシング24の内部構造を成形するための金型構造について説明する。但し、図5ではケーシング24の外面側を成形するための金型については省略してある。
【0028】
まず、給水管接続部25およびフローセンサ3を収容する流水路25AはY方向に沿って進退可能な第1成形ピン48によって成形される。第1成形ピン48の先端は調整弁収容室26を成形するためにX方向に沿って進退可能な第2成形ピン49の外周面に直角に突き当てられる。第2成形ピン49の先端は型抜き孔3434およびバイパス通路7を成形するためにY方向に沿って進退可能な第3成形ピン50の外周面に直角に突き当てられる。第3成形ピン50を挟んで第2成形ピンと反対側の同軸上には、イン側配管接続部32を成形するためにX方向に沿って進退可能な第4成形ピン51が配され、その先端は第3成形ピン50の外周面に直角に突き当てられる。
【0029】
第3成形ピン50の先端は軸受収容室46及び収容部33を成形するためにX方向に沿って進退可能な第5成形ピン52の外周面に直角に突き当てられる。第5成形ピン52の先端は給湯管接続部41の第2通路40を成形するためにX方向に沿って進退可能な第6成形ピン53の先端面に同軸で突き当てられる。なお、第5成形ピン52と第6成形ピン53との突き当て部分において混合弁8のバルブ部分に対するリング状の支持面54が形成される。
アウト側配管接続部37内の第1通路38はY方向に沿ってかつ第3成形ピン50と同軸で進退可能な第7成形ピン55によって成形され、その先端は第5成形ピン52の先端部の外周面に直角に突き当てられる。
【0030】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果について説明すると、給水管1からの水はフローセンサ3を通過し、流量調整弁4による流量調整の作用を受けながらバイパス通路7を経て混合弁8へと至る。その一方で、水は第3通路31を経て熱交換器5へ流入し、ここで加熱されて所定温度の湯となった後に、混合弁5へと還流する。混合弁8においては、前記したように、混合弁8の回動角度に応じて湯水が所定の混合比でもって進入し、そのバルブ部分の内部において混合され、所定温度の湯あるいは水となって第2通路40を経て給湯管9へと流出する。そして、最終的には浴槽16への湯張りがされたり、台所等の蛇口から所定温度の湯あるいは水となって使用される。
【0031】
ところで、本実施形態では混合弁ユニットUのケーシング24のうち、特にバイパス通路7の形成にあたり、ケーシング24に型抜き孔3434を開口する、という新規な構成を採用することで、バイパス通路7全体がY方向に沿って進退する第3成形ピン50によって一つの連続した通路として形成可能となった。本実施形態の混合弁ユニットUは、上記のようにした一体形成されたケーシング24の内部に、フローセンサ3、流量調整弁4及び混合弁8を一体に組み込むことで、全体として一つの独立したユニットが構成されるようになった。したがって、給湯システム全体としての部品点数を削減することができるとともに、取扱い性の向上にも寄与することができる、という効果を発揮することができる。
【0032】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では第2通路40をX方向に沿いつつ軸受収容室46と同軸で形成したが、これに代えてZ方向(図2における紙面と直交する方向)に形成するようにしてもよい。
(2)上記実施形態ではサーミスタをケーシングの外部に配した場合を示したが、そのいずれかあるいは全部をケーシング内に組込むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…給水管
3…フローセンサ
4…流量調整弁
5…熱交換器
7…バイパス通路
8…混合弁
9…給湯管
24…ケーシング
33…収容部
34…型抜き孔
35…プラグ板
37…アウト側配管接続部
38…第1通路
40…第2通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を通過して加熱された湯と、前記熱交換器を通過しない水との混合比を制御する混合弁を含む混合弁ユニットであって、
給水管に接続される給水管接続部と前記熱交換器の入口側に接続されるイン側配管接続部と前記熱交換器の出口側に接続されるアウト側配管接続部と給湯管に接続される給湯管接続部とが一体に形成されたケーシングを有し、
このケーシング内には、
前記給水管接続部から流入した水の水量を計測するフローセンサと、このフローセンサの下流側に設けられ通過水量を制御可能な流量調整弁と、この流量調整弁の下流側で前記イン側配管接続部の出口より上流側において分岐するバイパス通路と、このバイパス通路、前記アウト側配管接続部及び前記給湯管接続部の両接続部内に形成された第1、第2通路の計3つの通路に連通するバルブ収容部と、このバルブ収容部内に回動可能に設けられ前記バイパス通路から流入する水量と前記第1通路から流入する湯量との混合比を制御して前記第2通路を介して給湯する前記混合弁とが設けられていることを特徴とする混合弁ユニット。
【請求項2】
前記バイパス通路は、前記流量調整弁の下流側から前記イン側配管接続部の出口へと至る第3通路に対しほぼ直交するようにして分岐して形成されるとともに、前記第3通路における前記バイパス通路の分岐口と反対側には前記バイパス通路と同軸で成形用の型抜き孔が開口し、かつ前記ケーシングにはこの型抜き孔を閉止するプラグ板が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の混合弁ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36517(P2013−36517A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172440(P2011−172440)
【出願日】平成23年8月6日(2011.8.6)
【出願人】(000108557)タイム技研株式会社 (15)
【Fターム(参考)】