説明

混合撹拌装置

【課題】小さな動力であっても高い撹拌性能を確保することが可能な混合撹拌装置を提供する。
【解決手段】地盤と固化材とを混合して撹拌する混合撹拌装置1である。そして、固化材の吐出口22が設けられた掘削軸2と、その先端付近から突出される掘削翼3と、掘削翼の上方に掘削軸に対して回転自在に軸方向に間隔を置いて設けられる下回動部44及び上回動部45から延出される下枠41、側枠43及び上枠42を有する共回り防止フレーム4と、共回り防止フレームによって干渉されることなくその内側を回転可能な掘削軸から斜め上方に向けて突出される第1撹拌翼51と、共回り防止フレームによって干渉されることなくその内側を回転可能な前記掘削軸から斜め下方に向けて突出される第2撹拌翼52とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤とセメントミルクなどの固化材とを原位置で混合して撹拌する混合撹拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤を切削しながらセメント系や石灰系のスラリー状固化材を吐出し、切削された地盤と固化材とを原位置において混合して撹拌することによって、地中に柱状改良体を形成する混合撹拌装置が知られている(特許文献1−3など参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、掘削軸に対して回転自在な外筒に一対の側面視略コ字状の停止翼が取り付けられ、その停止翼の内側に掘削軸とともに回動する水平撹拌翼が突出された混合撹拌装置が開示されている。また、特許文献2には、共回り防止翼の内側に複数組の水平撹拌翼が設けられた混合撹拌装置が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、掘削軸の先端付近から突出される掘削翼を斜め上方に向けるとともに、掘削翼の上方にそれと平行となる角度で共回り防止翼が設けられた混合撹拌装置が開示されている。
【0005】
これら特許文献1−3に開示された混合撹拌装置は、混合効率を向上させたり、切削抵抗を低減させたりするために開発された装置である。また、特許文献1の背景技術の段落には、掘削軸が多重軸構造となっていて、複数の撹拌翼を互いに反対方向に回転させることが可能な混合撹拌装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3962042号公報
【特許文献2】特開2008−57322号公報
【特許文献3】特開2001−115445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、軟弱地盤などの改良を必要とする地盤の土質によっては、地盤が塊になって固化材との撹拌が充分におこなわれない場合もあり、高品質の改良体を構築するために撹拌性能の高い混合撹拌装置が望まれている。
【0008】
また、住宅などの小規模建物の基礎として柱状改良体を構築する場合は、敷地や搬入路が狭く、大型のベースマシンが必要な多重軸構造の掘削軸は使用できない場合もあり、小型のベースマシンを使用しても充分な撹拌性能が確保できる装置の開発が望まれる。
【0009】
そこで、本発明は、小さな動力であっても高い撹拌性能を確保することが可能な混合撹拌装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の混合撹拌装置は、地盤と固化材とを混合して撹拌する混合撹拌装置であって、前記固化材の吐出口が設けられた掘削軸と、前記掘削軸の先端付近から突出される掘削翼と、前記掘削翼の上方に前記掘削軸に対して回転自在に軸方向に間隔を置いて設けられる下回動部及び上回動部から延出される下枠、側枠及び上枠を有する共回り防止フレームと、前記共回り防止フレームによって干渉されることなくその内側を回転可能な前記掘削軸から斜め上方に向けて突出される第1撹拌翼と、前記共回り防止フレームによって干渉されることなくその内側を回転可能な前記掘削軸から斜め下方に向けて突出される第2撹拌翼とを備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記第1撹拌翼の取り付け位置は、前記第2撹拌翼の取り付け位置より下方であるのが好ましい。また、前記掘削翼は斜め上方に向けて突出されるとともに、前記共回り防止フレームの前記下枠が前記掘削翼と略同じ角度に形成される構成とすることができる。
【0012】
さらに、前記共回り防止フレームの前記上枠は、前記下枠と線対称となる角度で斜め下方に向けて形成されることが好ましい。また、前記下枠が前記第1撹拌翼と略同じ角度に形成され、前記上枠が前記第2撹拌翼と略同じ角度に形成されるように構成することができる。さらに、前記下枠と前記側枠の角及び前記側枠と前記上枠の角に補強部がそれぞれ設けられる構成であってもよい。
【0013】
また、前記共回り防止フレームの上方の前記掘削軸から突出される上部撹拌翼を備えた構成とすることもできる。さらに、前記上部撹拌翼は、前記上枠と略同じ角度で斜め下方に向けて突出される構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成された本発明の混合撹拌装置は、共回り防止フレームの内側の掘削軸に、斜め上方に向けて突出される第1撹拌翼と、斜め下方に向けて突出される第2撹拌翼とを備えている。
【0015】
このため、共回り防止フレームの内側に位置する土塊は、第1撹拌翼と第2撹拌翼とによって異なる方向から切り込まれることになって、充分に撹拌されることになる。また、共回り防止フレームを備えた装置であれば一軸構造の掘削軸が使用でき、小型のベースマシンに装着することができる。
【0016】
さらに、斜め上方に向けて突出される第1撹拌翼の取り付け位置を、斜め下方に向けて突出される第2撹拌翼の取り付け位置より下方に設けることで、第1撹拌翼の撹拌領域と第2撹拌翼の撹拌領域とがラップすることになり、ラップする部分に侵入した土塊を充分に撹拌することができる。
【0017】
また、掘削翼を斜め上方に向けることで、切削抵抗や掘削軸を押し込む際の圧入抵抗が小さくなるため、小型のベースマシンを使用した場合でも砂礫や硬い粘土層の地盤において掘削軸を回転させることができる。
【0018】
さらに、共回り防止フレームの下枠を掘削翼と同じ角度にすることで、掘削翼と下枠との間隔が広がりすぎることがなく、これらの間でも充分に撹拌をおこなうことができる。
【0019】
また、共回り防止フレームの上枠と下枠とが線対称となる角度で斜めに形成されることによって、共回り防止フレーム内に閉じ込められた土塊を、第1撹拌翼と第2撹拌翼とによって充分に撹拌させることができる。特に、下枠と第1撹拌翼とを略同じ角度にするとともに、上枠と第2撹拌翼とを略同じ角度にすることによって、それぞれの撹拌翼と共回り防止フレームとの間隔が広がりすぎることがなく、均等な撹拌をおこなうことができる。
【0020】
さらに、共回り防止フレームの角に補強部を設けることによって、地盤との接触が多く、大きな外力が作用する部分を効率的に補強することができる。
【0021】
また、共回り防止フレームの上方に上部撹拌翼を設けることで、掘削翼と上部撹拌翼との間に挟まれた土塊を、第1撹拌翼と第2撹拌翼と共回り防止フレームとによって充分に撹拌させることができる。さらに、共回り防止フレームの上枠を上部撹拌翼と同じ角度にすることによって、上枠と上部撹拌翼との間で均等な撹拌をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態の混合撹拌装置の構成を説明する正面図である。
【図2】本発明の実施の形態の混合撹拌装置の構成を説明する側面図である。
【図3】第1撹拌翼と第2撹拌翼の構成を説明する斜視図である。
【図4】実施例の混合撹拌装置の構成を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態の混合撹拌装置1について図面を参照して説明する。
【0024】
この混合撹拌装置1は、住宅などの建物を建設する地盤が、軟弱地盤だったり、地耐力が不足していたりする場合に、地盤の改良をおこなうために使用される。ここでは、切削された地盤と固化材とを原位置で混合して撹拌することによって柱状改良体Gを構築する場合について説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態の混合撹拌装置1の構成を示した正面図、図2は図1の混合撹拌装置1を側方から見た側面図である。
【0026】
この混合撹拌装置1は、掘削軸2と、その先端付近から突出される掘削翼3,3と、掘削翼3,3の上方に掘削軸2に対して回転自在に設けられる共回り防止フレーム4,4と、その共回り防止フレーム4,4の内側の掘削軸2から斜め上方に向けて突出される第1撹拌翼51,51と、共回り防止フレーム4,4の内側の掘削軸2から斜め下方に向けて突出される第2撹拌翼52,52と、共回り防止フレーム4,4の上方の掘削軸2から突出される上部撹拌翼6,6とを主に備えている。
【0027】
この掘削軸2は、ベースマシン(図示省略)に装備されたロッドの下端に対して着脱自在のジョイント部24を備えた中空部材である。この掘削軸2の先端には、円錐状の先端コーン21が設けられる。
【0028】
また、掘削軸2の内空には、固化材を搬送させるための注入管23が軸方向に延設される。さらに、注入管23の下端付近の掘削軸2の外殻には、吐出口22が形成される。
【0029】
そして、この吐出口22からは、注入管23を搬送された固化材が地盤に向けて吐出される。この固化材には、セメント系又は石灰系のスラリー状の固化材(例えばセメントミルク等)が使用できる。
【0030】
また、先端コーン21の直上の掘削軸2の周面には、掘削翼3,3の下端が固着される。この掘削翼3,3は、掘削軸2に対して左右対称となるように斜め上方に向けて突出される。例えば、掘削翼3と掘削軸2との内角(上方側の角度)を60度に設定する。
【0031】
また、この掘削翼3の下縁には、複数のビット31,・・・を取り付ける。すなわち、ロッドの回転によって掘削軸2を回転させると、この掘削翼3のビット31,・・・によって地盤が切削される。
【0032】
そして、この掘削翼3,3の上方の掘削軸2に共回り防止フレーム4,4を取り付ける。この共回り防止フレーム4,4は、掘削軸2に対して回転自在に取り付けられる。
【0033】
すなわち、共回り防止フレーム4,4を掘削軸2に取り付けるための下回動部44と上回動部45は、例えば掘削軸2に外装される円筒状に形成されており、掘削軸2が回転しても一緒に回転しないようになっている。
【0034】
そして、この下回動部44と上回動部45に、掘削軸2に対して左右対称となるように共回り防止フレーム4,4をそれぞれ取り付ける。この共回り防止フレーム4は、下回動部44から斜め上方に突出される下枠41と、下枠41の上端から鉛直に立設される側枠43と、上回動部45から斜め下方の側枠43の上端に向けて延設される上枠42とによって、掘削軸2を底辺とする台形状に形成される。
【0035】
この下枠41は、掘削翼3と略平行となるように掘削軸2に対して略同じ角度で斜め上方に突出される。また、側枠43は、掘削翼3の上端よりも掘削軸2から離れた位置に配置される。例えば、側枠43が柱状改良体Gの側方の地盤に70mm程度、差し込まれるように、掘削翼3と共回り防止フレーム4との掘削軸2から側方に張り出す長さの差を調節する。
【0036】
このように共回り防止フレーム4を掘削翼3より側方に張り出させることによって、図1に示すように側枠43が柱状改良体Gの側壁に埋没して固定され、掘削軸2のみが回転することになる。
【0037】
また、上枠42は、例えば、掘削軸2との内角(下方側の角度)を60度に設定する。すなわち、共回り防止フレーム4の中央で掘削軸2に直交する水平線に対して、下枠41と上枠42とは略線対称になる。
【0038】
そして、この共回り防止フレーム4,4に干渉されることなく回転可能となるように、第1撹拌翼51,51と第2撹拌翼52,52とが設けられる。この第1撹拌翼51,51は、掘削軸2に対して下枠41,41と略同じ角度で突出され、図1の位置関係では下枠41,41と略平行になる。
【0039】
これに対して、第2撹拌翼52,52は、掘削軸2に対して上枠42,42と略同じ角度で下方に向けて突出される。そして、第1撹拌翼51,51の掘削軸2への取り付け位置は、第2撹拌翼52,52の取り付け位置より下方になる。
【0040】
また、第1撹拌翼51と第2撹拌翼52は、掘削軸2の軸方向に対して60度傾いた姿勢で取り付けられる。すなわち、掘削軸2の回転方向が下がるように第1撹拌翼51と第2撹拌翼52を取り付けておくことで、撹拌時の抵抗を低減することができる。
【0041】
さらに、第2撹拌翼52の撹拌領域は、図3に示すように、掘削軸2への取り付け位置となる第2撹拌翼52の上端52bから下端52aまでの範囲となる。
【0042】
一方、第1撹拌翼51の撹拌領域は、掘削軸2への取り付け位置となる第1撹拌翼51の下端51aから上端51bまでの範囲となる。そして、この第1撹拌翼51,51による撹拌領域と、第2撹拌翼52,52による撹拌領域とは、図3に示すようにラップしているため、このラップする範囲に侵入してきた土塊を、第1撹拌翼51,51と第2撹拌翼52,52との両方で切り込むことができる。
【0043】
また、上部撹拌翼6,6は、掘削軸2に対して上枠42,42と略同じ角度で斜め下方に突出され、図1の位置関係では上枠42,42と略平行になる。さらに、上部撹拌翼6,6は、掘削軸2に対して左右対称となるように設けられる。
【0044】
次に、本実施の形態の混合撹拌装置1の作用について説明する。
【0045】
このように構成された本実施の形態の混合撹拌装置1は、掘削軸2の先端付近から斜め上方に向けてV字状に突出される掘削翼3,3と、掘削軸2の上部から斜め下方に向けて逆V字状に突出される上部撹拌翼6,6との間に挟まれた土塊を、第1撹拌翼51,51と第2撹拌翼52,52と共回り防止フレーム4,4とによって撹拌することができる。
【0046】
すなわち、掘削軸2を回転させると、掘削翼3,3のビット31,・・・によって地盤が切削されるとともに、吐出口22から地盤に向けて吐出されるスラリー状の固化材と混合される。また、掘削軸2を回転させながら地盤に押し込むと、固化材と混合された地盤が共回り防止フレーム4,4の位置に相対的に移動することになる。
【0047】
さらに、この固化材と地盤とが混合された土塊は、掘削軸2とともに回転する斜め下方を向いた上部撹拌翼6,6によって押し込められた状態となっている。
【0048】
そして、この状態で掘削軸2が回転すると、斜め上方を向いた一対の第1撹拌翼51,51と、斜め下方を向いた一対の第2撹拌翼52,52とによって、土塊が異なる方向から切り込まれることになる。
【0049】
また、掘削軸2が回転するのに対して共回り防止フレーム4,4はその位置に留まっているため、掘削軸2の回転に伴って回動する土塊があっても、共回り防止フレーム4,4に衝突し、さらに第1撹拌翼51,51と第2撹拌翼52,52とによって切り込まれて撹拌される。
【0050】
そして、斜め上方に向けて突出される第1撹拌翼51,51の掘削軸2に対する取り付け位置を、斜め下方に向けて突出される第2撹拌翼52,52の取り付け位置より下方に設けることで、第1撹拌翼51,51の撹拌領域と第2撹拌翼52,52の撹拌領域とがラップすることになり、ラップする部分に侵入した土塊を充分に撹拌することができる。
【0051】
すなわち、第1撹拌翼51で下から切り込まれた土塊は、掘削軸2が90度回転すると第2撹拌翼52によって上から切り込まれる。さらに掘削軸2が90度回転すると、再び別の第1撹拌翼51によって下から切り込まれ、続いて掘削軸2が90度回転すると、別の第2撹拌翼52によって上から切り込まれることになる。
【0052】
このように、掘削軸2が90度回転するごとに異なる方向に向いた撹拌翼51,52,51,52によって土塊が切り込まれることになるため、共回り防止フレーム4,4の近辺の土塊は充分に撹拌されることになる。
【0053】
また、共回り防止フレーム4,4を備えた混合撹拌装置1であれば、一軸構造の掘削軸2が使用できるため、回転駆動力を付与するベースマシンは小型の装置であってもよく、住宅地など敷地が狭い場所での施工にも適用することができる。
【0054】
さらに、掘削翼3,3を斜め上方に向けることで、切削抵抗及び圧入抵抗が小さくなるため、小型のベースマシンを使用した場合でも、砂礫や硬い粘土層の地盤において、容易に掘削軸2を回転させて混合及び撹拌をおこなうことができる。
【0055】
また、共回り防止フレーム4の下枠41を掘削翼3と同じ角度にすることで、掘削翼3と下枠41とが平行になって間隔が一定になり広がりすぎることがないため、これらの間でも均等に土塊を撹拌することができる。
【0056】
さらに、共回り防止フレーム4の上枠42を上部撹拌翼6と同じ角度にすることによっても、上枠42と上部撹拌翼6とが平行になって、その間で均等に土塊の撹拌をおこなうことができる。
【実施例】
【0057】
以下、前記した実施の形態とは別の形態としての実施例について、図4を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0058】
この実施例では、前記実施の形態で説明したような上部撹拌翼6,6を備えていない混合撹拌装置71について説明する。
【0059】
この混合撹拌装置71は、掘削軸72と、その先端付近から突出される掘削翼73,73と、掘削翼73,73の上方に掘削軸72に対して回転自在に設けられる共回り防止フレーム74,74と、その共回り防止フレーム74,74の内側の掘削軸72から斜め上方に向けて突出される第1撹拌翼751,751と、共回り防止フレーム74,74の内側の掘削軸72から斜め下方に向けて突出される第2撹拌翼752,752とを主に備えている。
【0060】
この掘削軸72は、ベースマシン(図示省略)に装備されたロッド724の下端に装着される。また、この掘削軸72の先端には、円錐状の先端コーン721が設けられる。
【0061】
また、掘削軸72の内空には、固化材を搬送させるための注入管723が軸方向に延設される。さらに、注入管723の下端付近の掘削軸72の外殻には、吐出口722が形成される。
【0062】
また、先端コーン721の直上に固着される掘削翼73と掘削軸72との内角(上方側の角度)は、例えば70度に設定する。そして、掘削翼73の下縁には、複数のビット731,・・・を取り付ける。
【0063】
また、掘削翼73の上方の掘削軸72に取り付けられる共回り防止フレーム74は、下枠741と、下枠741の上端から鉛直に立設される側枠743と、側枠743の上端から斜め上方に向けて延設される上枠742とによって掘削軸72を底辺とする台形状に形成される。
【0064】
さらに、下枠741の下端にはΩ状の嵌装部744aが設けられ、上枠742の上端にはΩ状の嵌装部745aが設けられる。そして、掘削軸72に対して左右対称となるように共回り防止フレーム74,74の嵌装部744a,744a,745a,745aをそれぞれ当接させ、ボルト744c,745cを使って一体にする。この重ね合わされた嵌装部744a,744a(745a,745a)は、それぞれ円筒状になって掘削軸72に対して回転自在となる。
【0065】
また、嵌装部744a,744a(745a,745a)の上下には、それぞれ掘削軸72に固着されるフランジ744b,744b(745b,745b)が張り出されており、共回り防止フレーム74,74の軸方向への移動が制限される。すなわち、下回動部744は、一対の嵌装部744a,744aと、その上下に配置されるフランジ744b,744bとによって構成され、上回動部745は、一対の嵌装部745a,745aと、その上下に配置されるフランジ745b,745bとによって構成される。
【0066】
さらに、共回り防止フレーム74の下枠741と側枠743の角、及び側枠743と上枠742の角には、補強部746,・・・がそれぞれ設けられる。この補強部746,・・・は、例えば溶接などによって肉厚を厚くすることによって形成することができる。
【0067】
このように共回り防止フレーム4の角に補強部746を設けることによって、地盤との接触が多く、大きな外力が作用して集中応力が発生しやすい部分を効率的に補強することができる。
【0068】
そして、この共回り防止フレーム74,74に干渉されることなく回転可能となるように、第1撹拌翼751,751と第2撹拌翼752,752とが設けられる。この第1撹拌翼751,751は、掘削軸72に対して下枠741,741と略同じ角度(例えば掘削軸72との内角が70度)で斜め上方に突出される。また、第2撹拌翼752,752は、掘削軸72に対して上枠742,742と略同じ角度(例えば掘削軸72との内角が70度)で斜め下方に突出される。
【0069】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【0070】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0071】
例えば、前記実施の形態及び実施例では、掘削翼3,73を斜め上方に向けて突出させたが、これに限定されるものではなく、掘削翼を水平に張り出させてもよい。また、共回り防止フレーム4,74の形状も、斜辺が対称となる台形状にしたが、これに限定されるものではない。
【0072】
さらに、前記実施の形態及び実施例では、掘削軸2(72)に対して対称に一対の掘削翼3,3(73,73)、共回り防止フレーム4,4(74,74)、第1撹拌翼51,51(751,751)、第2撹拌翼52,52(752,752)及び上部撹拌翼6,6を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、それぞれ2枚以外の数で形成したり、掘削軸2(72)に対して対称とならない角度で配置したりすることができる。
【符号の説明】
【0073】
1,71 混合撹拌装置
2,72 掘削軸
22,722 吐出口
3,73 掘削翼
4,74 共回り防止フレーム
41,741 下枠
42,742 上枠
43,743 側枠
51,751 第1撹拌翼
52,752 第2撹拌翼
6 上部撹拌翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤と固化材とを混合して撹拌する混合撹拌装置であって、
前記固化材の吐出口が設けられた掘削軸と、
前記掘削軸の先端付近から突出される掘削翼と、
前記掘削翼の上方に前記掘削軸に対して回転自在に軸方向に間隔を置いて設けられる下回動部及び上回動部から延出される下枠、側枠及び上枠を有する共回り防止フレームと、
前記共回り防止フレームによって干渉されることなくその内側を回転可能な前記掘削軸から斜め上方に向けて突出される第1撹拌翼と、
前記共回り防止フレームによって干渉されることなくその内側を回転可能な前記掘削軸から斜め下方に向けて突出される第2撹拌翼とを備えたことを特徴とする混合撹拌装置。
【請求項2】
前記第1撹拌翼の取り付け位置は、前記第2撹拌翼の取り付け位置より下方であることを特徴とする請求項1に記載の混合撹拌装置。
【請求項3】
前記掘削翼は斜め上方に向けて突出されるとともに、前記共回り防止フレームの前記下枠が前記掘削翼と略同じ角度に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合撹拌装置。
【請求項4】
前記共回り防止フレームの前記上枠は、前記下枠と線対称となる角度で斜め下方に向けて形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の混合撹拌装置。
【請求項5】
前記下枠が前記第1撹拌翼と略同じ角度に形成され、前記上枠が前記第2撹拌翼と略同じ角度に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の混合撹拌装置。
【請求項6】
前記下枠と前記側枠の角及び前記側枠と前記上枠の角に補強部がそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の混合撹拌装置。
【請求項7】
前記共回り防止フレームの上方の前記掘削軸から突出される上部撹拌翼を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の混合撹拌装置。
【請求項8】
前記上部撹拌翼は、前記上枠と略同じ角度で斜め下方に向けて突出されることを特徴とする請求項7に記載の混合撹拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−153417(P2011−153417A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14118(P2010−14118)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(595067442)システム計測株式会社 (27)
【出願人】(597006997)アキュテック株式会社 (4)
【出願人】(392026280)ジオテック株式会社 (4)
【Fターム(参考)】