説明

混合要素を備えた放出装置用コネクタ

混合路(8)に終わる少なくとも2つの入口路(7,7’)を有するコネクタ(6)を含む、混合物を放出するための放出装置。混合路には静止型混合要素(10)が設けられる。混合路の遠位端領域は、円錐領域(13)によって囲まれ、円錐領域の外周は混合路の出口の方向に連続的に先細り、円周領域は放出装置の付属物(23)用の固定領域として働く。円錐領域はルアー・コーンとして設計され、付属物の簡単な接続を保証する。混合要素は、固定領域内に延び、死容積を最小限にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの成分の混合物を放出するための放出装置、特に放出装置用の付属物を固定するためのコネクタを備えた放出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術は、例えば、ダブルシリンジ又はダブルカートリッジからの混合物を放出するための放出装置を数多く開示し、これらの装置では、混合する成分がダブルシリンジの容器のそれぞれに供給され、使用の直前に放出装置を用いて共に混ぜ合わされる。例えば、混合形態では不安定な薬剤の場合、又は混合後すぐに硬化する混合物の場合には、使用の直前に混合することが必要である。特に医療技術の分野においては、多くの場合、塗布又は注入する直前に混合物を製造しなければならない。混合する成分は、大抵、ダブルシリンジの個々の容器内に貯蔵されるか、又は投与の直前にシリンジ内に吸い込むことができる。混合器は大抵、放出装置上に取り付けられ、この混合器は、ダブルシリンジの各容器からのそれぞれの成分のための入口路と、入口路が通じる(muenden in)混合路を有する。混合路には、螺旋状の混合要素又は他の混合手段が設けられ、混合成分がダブルシリンジから放出されるとき、成分が混合路で集められて、混合要素によって均一に混ぜ合わされる。
【0003】
例えば、特許文献1は、混合器取り付け具をダブルカートリッジの容器の出口にかぶせて固定することのできる放出混合装置を開示する。この混合器取り付け具は、一端に、ダブルカートリッジの固定溝に係合する固定ウィングを有する。この混合器取り付け具はさらに2つの入口路を有し、これらは、混合器取り付け具がダブルカートリッジに固定されると、2つの容器の出口に隣接する。入口路は、混合要素を中に配置する管によって形成される混合路に通じる。管は、全長に沿って円筒形の口径を有し、4つの長手方向に延びる支持支柱を有し、これら支持支柱が固定基部で管を支える。
【0004】
特許文献2は、混合器出口を有する、それぞれ1成分を含む2つの容器を備えた、多成分シリンジを開示する。混合器出口は、容器の延長部として管状に形成され、その中に混合要素を収容する。この混合管は、管内の開口部がそれぞれの容器への通路を形成するように、多成分シリンジの内部に通じる。成分が多成分シリンジから放出されると、個々の成分が容器から直接混合管に放出され、混合管の長さに沿って混合要素により混合される。
【0005】
特許文献3は、混合器を取り外し可能に固定することのできるダブルシリンジを開示する。この混合器は混合管を有し、混合管は出口まで円錐状に先細る。混合管には、螺旋形の混合要素が設けられ、混合管の内部の大体半分まで延びる。混合物は、混合要素を有する領域に隣接してそこから下流側へ、混合管内のほぼ同じ長さの空いた区間を、管が混合物の放出に適するよう先細になるまで、通り抜ける。混合管上に付属物を取り付けることは提供されていない。
【0006】
先行技術による混合物の放出のための放出装置では、混合器は、放出装置の一体部分であるか、又は放出装置上に独立した部分として取り付けることができる。さらなる付属物を混合器上に取り付ける場合は、混合物が放出されるまでに放出装置内を通り抜けなければならない経路が延び、その結果、放出装置内に残る混合物の損失体積が増え、混合物が放出されるまでの時間が長くなる。これらの両要因は、混合物に悪影響を及ぼし得る。しかしながら、滞留時間が短いこと、及び損失体積が小さいことは、多くの物質にとって非常に重要である。硬化混合物の場合、混合器内の滞留時間は、成分の反応時間より短くなければならず、そうでなければ混合器が詰まってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 94/14698
【特許文献2】EP 1 825 927
【特許文献3】WO 00/21842
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、混合機構を有する放出装置を提供することであり、この放出装置は、放出装置の付属物を受け入れるのに適し、損失体積に悪影響を及ぼさず又は放出装置内での混合物の滞留時間が不必要に長引かない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、請求項1の特徴を有する放出装置によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項に示す。
【0010】
従って、付属物を取り付けるためのコネクタを有する放出装置であって、このコネクタが、少なくとも第1及び第2の入口路と、入口路が通じ且つ出口で終わる混合路とを備える放出装置を提案する。本放出装置は、さらに、混合要素を備えた静止型混合装置を含み、混合要素は混合路に配置される(好ましくは、多重せん断に基づく螺旋状の要素、例えば混合螺旋、連続して配置された複数の混合螺旋、又はせん断作用によって成分を混ぜ合わせる働きをする、長手方向に沿って連続して配置された複数のブレード、せん断バッフル又は突起の他の配置)。コネクタは、付属物用の固定領域として形成される円錐領域を有し、円錐領域の外周は、混合路の出口まで長手方向に沿って連続的に円錐形に先細り、この円錐領域は、少なくとも、出口で終わる混合路の遠位端部を半径方向に取り囲む。その際、混合要素の少なくとも一部は、円錐領域によって取り囲まれる混合路の遠位端領域に配置される。すなわち、混合装置の混合要素は、混合路の遠位端部内へと延びる。
【0011】
故に、混合要素は、半径方向から見て円錐領域の内部にある。従って、混合物を放出するための距離は、付属物のための固定領域によって延ばされることなく、固定領域が長手方向に対し混合要素を備えた混合領域と「並んで」位置する。このようにして、コネクタ内の死容積を減らす。混合装置及び円錐領域は、好ましくは、円錐領域の長手方向軸に関し同軸に配置される。
【0012】
混合要素は、好ましくは、円錐領域によって取り囲まれる混合路の遠位端部の長さの少なくとも90%、特に好ましくはほぼ全長に沿って、すなわち実質的に混合路の出口まで延び、死容積を最小限に減らす。
【0013】
円錐領域は、長手方向に対し約6%の外側テーパを有するオスルアー・コーンとして形成される。ルアー・コーンのさらなる特徴は、関連基準ISO 594/1−1986(初版、1986−06−15)から知ることができ、ここにこれを参照し、ここにこれを全体として参照することによって本発明の開示に援用する。特に、円錐領域の長さは、好ましくは、少なくとも7.5mmである。円錐領域の遠位端(すなわち、出口)の直径は、好ましくは3.92〜4.027mmであり、円錐領域の他端の直径は、好ましくは4.270〜4.315mmである。円錐領域がルアー・コーンを形成するため、付属物を、標準化接続を介してコネクタ上に取り付けることができる。
【0014】
放出装置は、さらに、少なくとも2つの、それぞれ1つ混合成分を収容するための、分かれた又は一体的に形成された容器、及び放出機構を含むことができ、
前記少なくとも2つの容器のそれぞれが容器出口を有し、及び
前記放出機構は、前記容器出口を通って混合成分を放出するためのものである。
コネクタは前記容器出口につながる。
【0015】
少なくとも2つの、それぞれ1つ混合成分を収容するための容器は、例えば、ダブルシリンジ又はダブルカートリッジの形で存在し得る。しかしながら、コネクタの入口路それぞれ1つずつに、2つの個別のシリンジを設けることもできる。原則として、2つより多い容器を提供することもできる。例えば、3つの容器を設けて、三角形に配置することもできる。また、3つより多い容器を有することもできる。放出機構は、例えば、各容器内の、プランジャ又はピストン棒等の駆動ロッドによって提供される。その際、それぞれの容器内の個々の駆動ロッドは、容器から突出するその端部で接続することもできるし、別の接続要素によって互いに接続することもできる。混合成分は、放出機構を容器内に押し込むことによって、容器の出口を通って放出される。
【0016】
コネクタは、容器出口につながり、好ましくは出口から取り外し可能である。しかしながら、原則として、コネクタを容器出口に永久的に接続することもできる。コネクタは、好ましくは、各容器出口のための開口部を有し、例えば容器の管状延長部によって設けることのできる容器出口をこの開口部内に挿入できる。しかしながら、原則として、コネクタを容器筐体の筐体部分にかぶせて設けることもできる。この場合、有利には、コネクタを容器用のホルダとして使用することができる。
【0017】
コネクタの入口路は、容器出口を受け入れる開口部に隣接し、容器出口を通って放出される混合成分が、コネクタの入口路に導入される。異なる容器の個々の入口路は、混合路に通じる。
【0018】
混合路内の静止型混合装置は、様々な混合手段又は混合要素を含むことができ、例えば螺旋要素又はせん断バッフル/せん断ブレードを含むことができる。混合装置はまた、混合成分を十分に混合しさえすれば、他の仕方で構成されてもよい。このような混合器は原理的に公知で、製造が簡単で、大抵の混合物の成分を混合することができる。
【0019】
本発明によると、混合路は、少なくとも部分的に、円錐領域(円錐要素と呼ぶことができる)に設けられ、言い換えれば、円錐台形状の領域/要素に設けられる。円錐領域の外周は、入口路の方に向く端部が、混合路の出口より大きい。従って、外周は、混合路の出口の方向に先細る。テーパは混合路の長さに沿って連続的に延びる。円錐領域の内部にある混合路は、管状又は円筒状に形成することができる。しかしながら、混合路は、混合路の出口の方向に先細ってもよい。混合装置は混合路の形状に適合し、混合路の空間が混合装置によってふさがれる。
【0020】
円錐領域の外周は、放出装置の付属物、例えば放出ノズル、カテーテル、又は注射針用の固定領域として働く。他の付属物も取り付けられる。付属物を円錐領域に固定するために、付属物は、好ましくは、管状又は路状の開口部を有し、この開口部にコネクタの円錐領域が押し入れられる又は押し込まれる。この開口部は、好ましくは、放出路として働き、又は混合物のための放出路に通じ、付属物を通って長手方向に延びる。付属物の路開口部の直径は、円錐領域の最大径と最小径の間にある。付属物をコネクタの円錐領域上に取り付けると、付属物に対する圧嵌め接続が得られる。付属物の路開口部の内周は、円錐要素の外周と同じ円錐テーパを有することができ、特に、メスルアー・コーンとして形成することができる。
【0021】
混合物を放出するための本発明による放出装置では、放出装置の混合領域に直接かぶせて付属物を設けることができる。付属物を、混合領域の下流側に続く固定要素上に直列配置して固定する必要はなく、全放出距離が延びることで、路の損失体積及び混合器内での混合物の滞留時間に悪影響を及ぼす可能性がない。本発明によると、付属物のための固定領域は、有利にも、混合領域に並んで半径方向に、又は長手方向に関して混合領域に平行に設けられる。従って、混合路の路長を、同時に付属物を固定するためにも使用できる。それ故、混合成分の混合に悪影響を及ぼすことなく、放出装置の路内の混合物の滞留時間が短縮される。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、コネクタは挿入路を有し、この挿入路は長手方向で混合路に隣接し、遠位端領域とは反対側の近位方向に、すなわち容器の方向に、コネクタから開口する。挿入路は、好ましくは、容器出口のための入口路に平行に位置するように、これらの間に配置される。これによって、コネクタは、放出装置の長手方向に不必要に長くならない。コネクタの混合装置、特に混合要素は、この路を通って混合路へと挿入することができる。このために、混合要素を備える混合装置が選択され、例えば、少なくとも混合路に位置するようになる領域で、例えば螺旋又は突起部の形をした混合プロフィルを有する縦長のロッドとして形成することができる。従って、混合要素は、混合物の製造のための要件に応じて、異なる混合プロフィル又は異なるプロフィルを備える要素を有することができる。
【0023】
コネクタの挿入路に位置するようになる混合装置の領域では、混合装置は好ましくは円筒形又はわずかに円錐形であり、混合装置が路の容積をふさぐ。混合装置のこの部分はまた、コネクタ、従って混合路内における、混合装置の混合要素のねじり防止機構として、又はセンタリング又は位置決めのために働く。これを以下ではセンタリングシリンダと呼ぶ。ねじり防止機構又は位置決め機構は、例えば、センタリングシリンダの側面の突起部、及びこの側面の突起部が係合する、路内の溝によって提供することができる。混合装置は、従って、コネクタ又は混合路の内部で、所望の方向に備えることができる。
【0024】
混合装置のセンタリングシリンダと混合要素との間には、分離壁を設けることができる。混合装置がコネクタに挿入されると、分離壁は、2つの入口路が混合装置の挿入のための路に開口する領域に位置するようになる。それぞれの入口路から運ばれる2つの成分が、分離壁によって互いから分離され、混合路内の混合要素の領域でのみ互いと接触する。
【0025】
本発明のさらなる実施形態では、コネクタは、外周に、雌ねじが備わったユニオンナットが回転可能にガイドされる環状の溝を有する。環状溝を備えたコネクタ及びユニオンナットは、好ましくは、ISO 594−2:1998に記載のルアーロック接続として形成される。コネクタ上に取り付けられる付属物は、外周にねじ山を有することができ、このねじ山はユニオンナットのねじ山とかみ合う。これによって、付属物は、圧嵌め接続だけでなく、ねじ式接続によっても、円錐領域に固定することができる。
【0026】
この実施形態では、また、有利には、付属物と円錐領域の圧嵌め接続や、ユニオンナットと付属物のねじ山との間のねじ式接続も、放出装置の混合領域に位置するようになる。放出装置、又は、混合物用の移送路の長さ、及び従って路内の混合物の滞留時間は、付属物のための固定領域によって延長されない。さらに、放出装置のための本発明によって提案される固定手段によって、先行技術から公知の標準的な付属物を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の放出装置の展開図である。
【図2】図2は、組み立てた状態での、図1の放出装置を示す。
【図3】図3は、図2の放出装置の縦断面図である。
【図4】図4は、付属物を備えた放出装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の好ましい実施形態を図に示すが、この図は決して本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。図から明らかになる特徴は、本発明の開示に属するものとして理解されるべきである。
【0029】
本発明の1つの実施形態による放出装置を、図1に展開図で示す。この放出装置は2つのシリンジを有し、シリンジはそれぞれ、各混合成分を収容するための容器1,1’を備え、容器の一端に出口2,2’を、容器の他端にプランジャの形をした駆動ロッド3,3’を備える。駆動ロッドは、容器の長手方向に移動可能なピストンで、容器を液密に密閉する。駆動ロッド3,3’のヘッドをつなぐ接続要素4が設けられ、駆動ロッド3,3’と接続要素4がユニットを形成する。接続要素4はスリットを有し、このスリットへ、駆動ロッドのヘッドをぴったりと挿入することができる。
【0030】
容器出口2,2’は、容器1,1’から、容器の長手方向に管状に突出する。この際、出口2,2’は中心に配置されなくてもよい。管状の延長部は外周が円筒状に形成されてもよいが、好ましくはわずかに円錐形である。
【0031】
2つのシリンジから成るユニットは、接続要素4によりそれらの駆動ロッド3,3’を介して互いに接続されており、一種のダブルシリンジ5を形成する。原則的に、個々の容器が共通の筐体内に設けられるダブルシリンジを使用することもできる。
【0032】
さらに、図1はコネクタ6を示し、コネクタは、2つの入口路7,7’、混合路8、及びコネクタ内に混合装置10を挿入するための路9を含む。路7,7’,8,9は、コネクタの筐体11内に収容される。筐体11及び円錐要素13は1つのユニットを形成する。本実施形態による放出装置では、コネクタは、混合成分を保有する2つの容器の連結のために設計される。しかしながら、さらに、筐体に第3又は第4の入口路又はさらに多くの入口路を設けることもできる。本実施形態による筐体11は縦長で、2つの並列する開口部12,12’を有し、これらは容器出口2,2’を受け入れるために設けられる。受け入れ開口部12,12’は、筐体11の内部へと管状に深まり、互いに平行に配置される。入口路7,7’は、筐体の内部にある受け入れ開口部12,12’の端部で始まる。受け入れ開口部12,12’は、円筒状に形成することができるが、好ましくは、ダブルシリンジ5の出口2,2’と同じ円錐勾配を設けられる。出口2,2’は、受け入れ開口部12,12’に押し込まれて、ダブルシリンジ5の出口2,2’とコネクタ6の入口路7,7’との間に液体接続が形成される。出口2,2’は受け入れ開口部12,12’と滑りばめ(Passsitz)又は締めばめ(Klemmsitz)を形成するため、コネクタ6はダブルシリンジ5上にしっかりと保持される。原則的に、滑りばめの代わりに、他の種類の接続も可能である。例えば、弾性スナップフィット接続、又は手で能動的に操作するロックを設けることもできる。
【0033】
コネクタ6の筐体11に、受け入れ開口部12,12’とは反対側の端部で、円錐要素13が隣接する。混合路8は、筐体11から円錐要素13に通じ、筐体11とは反対側にある円錐要素の端部で外へ出るまで、円錐要素13を通って延びる。図の実施形態では、混合路8は円錐要素13の内部の大部分に対し延びる。このことは、円錐要素13の長さを、一方で、混合成分を混合するために、他方で、以下で説明するように、放出装置のための付属物を固定するために使用することができるので、有利である。しかしながら、原則的に、混合路8を、筐体11内又は円筒形の管状領域に、部分的に設けることもできる。
【0034】
筐体11内に混合装置10を挿入するための路9は、受け入れ開口部12及び12’の間で、受け入れ開口部12,12’及び入口路7,7’に実質的に平行に延びる。路9は、その延長部において混合路8に合流するため、混合路8及び路9は、実質的に、コネクタ6を通る直線の通路を形成する。従って、混合装置10は、筐体11のダブルシリンジ5の方を向く端部で、路9内に挿入することができ、挿入状態において、混合路8内に届く。
【0035】
混合装置10はピン状であり、混合路8に位置するようになる端部に、混合螺旋14を有する。反対側の端部には、棒状の延長部がセンタリングシリンダ15として設けられ、このセンタリングシリンダは、その周囲の対向する面に、固定及び位置決めウィング16,16’を有する。センタリングシリンダ15は円筒形であってよいが、図の例では、わずかに円錐形である。混合装置10は、混合螺旋14とセンタリングシリンダ15の間に分離壁22を有する。混合装置が混合路8及び路9に挿入されると、分離壁が2つの入口路7,7’の合流領域に位置するようになり、合流領域では2つの路7,7’が互いに合流し、混合路8の始まりを形成する。
【0036】
筐体11内の路9は、混合装置10が挿入される端部に、路の長手方向に延びる固定及び位置決め溝17,17’を有する。混合装置10の混合螺旋14の端部が路9内に挿入されると、混合装置は、混合螺旋14が混合路8内の円錐要素13の領域に位置し、センタリングシリンダ15が筐体11内の路9の内部に位置し、且つ分離壁22が入口路7,7’の合流領域に位置するようになるまで、路9を通って前方に押しやられる。その際、センタリングシリンダ15は路9を閉じるため、入口路7,7’を通して供給される混合成分は、路9に流入できない。混合装置10が筐体に完全に押し込まれると、センタリングシリンダ15の固定及び位置決めウィング16,16’が、筐体の固定及び位置決め溝17,17’に係合する。ウィング及び溝は、一方で、ねじり防止機構として機能するので、混合装置10が筐体11又は円錐要素13の内部で回転できない。従って、コネクタ6は、本発明による放出装置とともに、混合成分を混ぜ合わせる際、静止型混合器を形成する。他方、ウィング及び溝は、コネクタの筐体において、所定の角度方向に混合装置10を位置決め又はセンタリングするのに役立つ。ウィング及び溝の位置決めは、入口路7,7’からの2つの成分が、混合螺旋14の始まりまで分離壁22によって互いから分離されるように合わせられる。従って、容器からの成分は、混合工程が混合螺旋14によって始まるまで、互いから分離したままである。こうして、混合プロフィルが配置されない混合路の始まりでのゆっくりとした混合を阻止することができる。
【0037】
原則的に、異なる混合要素を備えた混合装置を、円錐要素を備える筐体の内部に配置することもできる。混合要素は、例えば、混合プロフィルに関して異なっていてもよい、つまり、混合螺旋14の代わりに混合バッフル又は他の混合プロフィルを設けることができる。
【0038】
さらに、コネクタ6にはユニオンナット18が設けられる。ユニオンナットは、管状に形成され、その外周にナットをつかむためのつかみ溝を有し、その内周に雌ねじを有する。ユニオンナット18は、筐体11の方に向く端部に、内側に突出する環状のカラー19を有する。
【0039】
筐体11に近い円錐要素13の外面の周囲に、環状の溝20が設けられる。ユニオンナット18は、円錐要素13にかぶせて取り付けられて、環状のカラー19が環状の溝20の内部に位置するようになり、その結果、ユニオンナット18は、円錐要素13の長手方向の動きに対し固定される。ユニオンナット18は、環状の溝20の内部に回転可能に取り付けられる。
【0040】
図の実施形態では、円錐要素13及びユニオンナット18は、ルアーロック接続を形成する。このルアーロック接続には、同様にルアーロック機構を用いる、放出装置の各種付属物、例えば、放出ノズル又は注射針を取り付けることができる。本発明による放出装置の別の実施形態では、ユニオンナットを必要とせず、その代わりに円錐要素13が、ルアー接続が形成されるようなテーパを有する。また、対応するメスルアー接続を有する放出装置の付属物を、このルアー接続上に取り付けることもできる。この場合、付属物は、円錐要素と、円錐要素又はコネクタ上の付属物との間の圧嵌めによって固定される。従って、一種の締めばめ又は滑りばめが形成される。
【0041】
図2は、組み立てた状態での図1の放出装置を示す。接続要素4は駆動ロッド3,3’上に取り付けられ、これらを互いに接続する。容器1,1’の出口2,2’は、コネクタ6の筐体11の接続開口部に押し込まれる。ユニオンナット18は円錐要素13にかぶせて配置される。放出装置の付属物は、円錐要素13及びユニオンナット18によって形成されるルアーロック接続上に取り付けることができ、放出装置は使える状態にある。
【0042】
図3は、図2の放出装置の縦断面を示す。駆動ロッド3,3’は容器1,1’に受け入れられ、容器内に位置する駆動ロッド3,3’の端部には、ピストン21,21’が設けられ、これらピストンは容器1,1’の内壁で液密に密閉されるが、容器内で移動可能である。接続要素4は、駆動ロッド3,3’の反対側の端部に配置され、これらの端部を互いに接続する。容器1,1’の出口2,2’は、コネクタの筐体11内の接続開口部12,12’に押し込まれる。管状に形成された出口2,2’は、筐体11内の開口部12,12’と締めばめを形成し、コネクタ6が出口2,2’の上にしっかりと載る。
【0043】
混合装置10は、混合路8及び路9の内部に配置される。従って、混合螺旋14は、円錐要素13の内側の混合路内部に位置するようになり、延長部15が路9を満たす。
【0044】
従って、組み立てた状態では、容器1,1’の内部で始まり、出口2,2’を通って入口路7,7’へと延び、混合路8を通って、放出装置から外へ出る、適切な場合には、取り付けられた付属物を通る流体接続が存在する。
【0045】
ユニオンナット18は、円錐要素13にかぶせて配置され、環状カラー19が円錐要素13の環状溝20に係合する。既に説明したように、放出装置の付属物は、円錐13にかぶせて固定することができる。
【0046】
図4は、付属物23を取り付けた放出装置を示す。付属物23はニードルホルダ24及びニードル25を有する。ニードルホルダ24は、開口部を有する円筒部分26を有し、この開口部はコネクタ6の円錐要素13に押しかぶせることができる。円筒部分26は、その外周に雄ねじ領域27を有し、ユニオンナット18の雌ねじにかみ合う。ユニオンナット18を回すと、円筒部分26及びそれ故付属物23は円錐要素13上に引っ張られ、しっかりと保持される。円筒部分26の内部から、放出路28が、ニードルホルダ24及びニードル25を通って延びる。図4からわかるように、付属物23が円錐要素13上に固定される固定領域は、本発明によって提供されるように、混合螺旋14を備えた混合領域にかぶさって、円錐要素の半径方向に位置するようになる。
【0047】
駆動ロッド3,3’が接続要素4にかけられる圧力によって押し込まれると、容器1,1’からの混合成分が、それぞれの出口2,2’を通って、隣接している入口路7,7’へと運ばれる。2つの混合成分は、混合路8内にともに取り込まれ、接続要素4にかけられている圧力によって、混合螺旋14に沿って押され、混合螺旋によって十分な混合が達成され、2つの混合成分が混ぜ合わされて混合物を形成する。混合路8の端部で、混合物は付属物23の放出路28に入り、付属物を通って放出装置から出て行く。
【0048】
この場合、混合成分が放出装置の内部を進まなければならない経路を短く保てることが有利である。特に、混合成分又は混合物の体積が小さい場合、経路に沿う混合物の損失を減らすために経路が短いことは重要である。従って、円錐要素13の長さを、混合物を製造するためにも、及び付属物を固定するためにも使用することができることは有利である。
【符号の説明】
【0049】
1,1’ 容器
2,2’ 出口
3,3’ 駆動ロッド/プランジャ
4 プランジャ接続要素
5 ダブルシリンジ
6 コネクタ
7,7’ 入口路
8 混合路
9 挿入路
10 混合装置
11 筐体
12,12’ 受け入れ開口部
13 円錐要素
14 混合螺旋
15 センタリング補助器具
16,16’ 固定及び位置決めウィング
17,17’ 固定及び位置決め溝
18 ユニオンナット
19 環状カラー
20 環状溝
21,21’ ピストン
22 分離壁
23 付属物
24 ニードルホルダ
25 ニードル
26 円筒部分
27 雄ねじ領域
28 放出路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物を放出するための放出装置であって、
少なくとも第1及び第2の入口路(7,7’)と、前記入口路が通じ(muenden in)且つ出口で終わる混合路(8)とを備えるコネクタ(6)、及び
前記混合路(8)に配置される混合要素(14)を備える静止型混合装置(10)を含む放出装置において、
前記コネクタ(6)が、付属物(23)のための固定領域として形成される円錐領域(13)を有し、円錐領域の外周は前記混合路(8)の出口まで長手方向に沿って連続的に円錐状に先細り、前記円錐領域は前記出口で終わる前記混合路(8)の遠位端部を半径方向に取り囲み、前記円錐領域(13)が前記長手方向に対し約6%のテーパを有するオスルアー・コーンとして形成され、及び
前記混合装置(10)の前記混合要素(14)の少なくとも一部が、前記円錐領域(13)によって取り囲まれる前記混合路(8)の遠位端部に配置されることを特徴とする放出装置。
【請求項2】
前記混合要素(14)が、遠位端部において、前記円錐領域(13)によって取り囲まれる前記混合路の前記遠位端部の長さの少なくとも90%に沿って延びる、請求項1に記載の放出装置。
【請求項3】
前記混合要素(14)が、実質的に、前記円錐領域(13)によって取り囲まれる前記混合路の遠位端部の全長に沿って延び、実質的に前記混合路(8)の出口まで延びる、請求項1に記載の放出装置。
【請求項4】
前記円錐領域(13)が、少なくとも7mmの長さ、3.92〜4.027mmの最小径、及び4.270〜4.315mmの最大径を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の放出装置。
【請求項5】
さらに、少なくとも2つの、それぞれ1つ混合成分を収容するための容器(1,1’)及び放出機構(3,3’)を含み、
前記少なくとも2つの容器のそれぞれが容器出口(2,2’)を有し、
前記放出機構が、前記容器出口(2,2’)を通って前記混合成分を放出するためのものであり、
前記コネクタ(6)が前記容器出口(2,2’)につながる、請求項1〜4のいずれかに記載の放出装置。
【請求項6】
前記コネクタ(6)が前記容器出口(2,2’)から取り外し可能な、請求項1〜5のいずれかに記載の放出装置。
【請求項7】
前記コネクタ(6)が前記容器出口(2,2’)に一体的に接続される、請求項1〜5のいずれかに記載の放出装置。
【請求項8】
前記コネクタ(6)が挿入路(9)を有し、この挿入路は、長手方向において、前記遠位端領域と反対側の近位方向で、前記混合路(8)に隣接し、前記近位方向で前記コネクタ(6)から開口し、前記混合要素(14)が前記挿入路(9)を通って前記混合路(8)に挿入可能である、請求項1〜7のいずれかに記載の放出装置。
【請求項9】
前記挿入路(9)が前記入口路(7,7’)の間に配置される、請求項8に記載の放出装置。
【請求項10】
前記挿入路(9)が前記混合装置(10)のためのねじり防止機構(16,16’;17,17’)を有する、請求項8又は9に記載の放出装置。
【請求項11】
前記挿入路(9)が前記混合装置(10)のための位置決め機構(16,16’;17,17’)を有する、請求項8〜10のいずれかに記載の放出装置。
【請求項12】
前記円錐要素(13)が外周に環状溝を有し、この環状溝に、雌ねじを備えたユニオンナット(18)が保持される、請求項1〜11のいずれかに記載の放出装置。
【請求項13】
前記ユニオンナット(18)を備えた円錐要素が、ルアーロック接続として形成される、請求項12に記載の放出装置。
【請求項14】
前記円錐領域(13)上に付属物(23)を取り付けた、請求項1〜13のいずれかに記載の放出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−502701(P2012−502701A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527173(P2011−527173)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000307
【国際公開番号】WO2010/031197
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(507123729)メッドミックス システムズ アーゲー (24)
【Fターム(参考)】