説明

混注用接続具

【課題】 チューブのねじれがなく、別途嵌合解除部材を必要とせず、さらに針管が後退したりゆがんだりするおそれがなく、簡単な操作で確実にコネクターと混注部を流体連通しうるように接続できる混注用接続具を提供する。
【解決手段】 針管11、該針管11を保持しうる針ハブ12および該針ハブ12に回動自在に嵌着された針保護フード13を有するコネクター1と、少なくとも一つの開口21および該開口22を閉鎖するシール手段を有する混注部2とからなり、前記コネクター1が前記混注部2に接続されると同時に針管11がシール手段を貫通して混注が可能となる混注用接続具であって、該コネクター1の針保護フード13の内周面及び該混注部2の外周面には、該針保護フード13が該混注部2に対して軸方向に挿入され、続いて周方向に回動されることによって該コネクター1と該混注部2の接続を固定しうる案内手段を有してなることを特徴とする混注用接続具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は混注用接続具、具体的には輸液ラインのライン上に設けられる混注部と、流体ラインの末端に設けられたコネクターとからなり、前記混注部に前記コネクターを接続することによって輸液中に別の薬液を添加(混注)することが可能である混注用接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液のシステムにおいては、輸液を患者の体内へ注入する経路(輸液ライン)を主とし、必要に応じて該輸液ラインに別の輸液や薬液などの流体を混注するためのライン(主にチューブ)が接続される。輸液ラインと流体ラインの接続は、輸液ライン上に設けられた混注部と、チューブの末端に設けられたコネクターとの接続によって行われる。
【0003】
前記混注部としては、1つまたは2つ以上の流体入口と一つの流体出口を有し、該流体入口をゴム状弾性体で封鎖してなる混注部が輸液ラインの末端に設けられたもの(例えば、特許文献1参照)や、そのような混注部が複数個、輸液ラインの途中に設けられたもの(例えば、特許文献2参照)が公知である。
【0004】
また、前記コネクターは、混注部の入口を封鎖するゴム状弾性体を貫通しうる針管と、該針管とチューブとを接続しうる針ハブと、該針管を保護し、かつ混注部との接続を可能としうる筒状の針保護フードとから構成されるものである。針管が混注部のゴム状弾性体を貫通した状態で混注部とコネクターのフードとの接続を固定する手段が種々提案されており、具体的には螺合によるもの(例えば、特許文献3参照)や、凹凸嵌合によるもの(例えば、特許文献4参照)、プッシュ回転式の係合によるもの(例えば、特許文献5参照)などがある。プッシュ回転式とは、コネクターを混注部に軸方向に挿入した後、周方向に回動させることによりコネクターと混注部の接続を固定しうるものである。
【0005】
しかし、螺合により接続されるコネクターは、コネクターの回転により該コネクターに接続されたチューブにねじれを生じ、輸液の流通を妨げるおそれがある。また、凹凸嵌合によるものは、嵌合時にはコネクターを混注部に押し込むだけでよいが、嵌合を解除する時には単にコネクターを引っ張るだけでは解除できないため、別途嵌合解除機構を設ける必要がある。
一方、プッシュ回転式のコネクターは、螺合により接続されるコネクターに比べるとコネクター自体の回転はわずかであるが、ねじれたチューブの反発力によりコネクターが逆回転して嵌合が解除されるおそれがある。また、針管がチューブと固定される場合のように針管とフードとの固定が弱いと、針管のゴム状弾性体に対する穿刺抵抗が大きい場合、コネクターを混注部に押し込む際に針管がフード内を後退してしまい、ゴム状弾性体を貫通できなくなるおそれがある。
また、これらのコネクターは、輸液ラインから分岐したチューブの末端に設けられた混注部(特許文献1参照)には接続可能であるが、輸液ライン上に設けられた混注部(特許文献2参照)には接続できる形状になっておらず、いずれの混注部にも対応できるコネクターではないという点で使用に制限がある。
【0006】
一方、コネクターの回転により該コネクターに接続されたチューブにねじれが生じないように、フードをコネクターに対して回転自在に嵌着したコネクターも開発されている(例えば、特許文献6参照)。さらに、回転自在に嵌着したフードを有するコネクターであって、輸液ラインから分岐したチューブの末端に設けられた混注部および輸液ライン上に設けられた混注部のいずれにも使用可能な形状を有するコネクターも、本願出願人により既に提案されている(例えば、特許文献7)。
しかし、これらのコネクターは、コネクターと混注部の螺合の際に、フードが回転しながら前進することにより針管が混注部のゴム状弾性体の中へと押し進められるものであるため、フードの回転の影響を受けて針管がゴム状弾性体にまっすぐにささらず、流体連通できなくなったり、針管にゆがみを生じたりする可能性がある。
【0007】
【特許文献1】実開平1−95953号公報
【特許文献2】実開平4−44951号公報
【特許文献3】特表2001−510266号公報
【特許文献4】実開平5−86352号公報
【特許文献5】特表平9−507779号公報
【特許文献6】特表2002−501793号公報
【特許文献7】特開2002−113111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上述したチューブのねじれがなく、別途嵌合解除機構を必要とせず、さらに針管が後退したりゆがんだりするおそれがなく、簡単な操作で確実にコネクターと混注部を流体連通しうるように接続できる混注用接続具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、針管を針ハブに固定し、フードを該針ハブに回動自在に嵌着したコネクターを採用して、該コネクターと混注部に案内手段を設けて両者をプッシュ回転式で固定することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1) 針管と、該針管を保持しうる針ハブと、該針管を収容しうる略筒状の針保護フードとを有し、該針保護フードは基端部が該針ハブに回動自在に嵌着されてなる、流体ラインの末端に設けられるコネクターと、
前記流体ライン内の流体を内腔へ導入しうる少なくとも一つの開口と、該開口を前記コネクターの針管が貫通しうるように閉鎖するシール手段とを有し、輸液ラインの途中に設けられる混注部とからなり、
前記コネクターは前記混注部に開口端側から外嵌されることで接続され、それと同時に針管がシール手段を貫通して流体ライン内の流体の輸液ライン内の輸液への混注が可能となる混注用接続具であって、
該コネクターの針保護フードの内周面及び該混注部の外周面には、該針保護フードが該混注部に対して軸方向に挿入され、続いて周方向に回動されることによって該コネクターと該混注部の接続を固定しうる案内手段を有してなることを特徴とする混注用接続具、
(2) 前記案内手段は、前記針保護フードの先端部内周面に設けられた凸部と、前記混注部の外周面に設けられた、該針保護フードの凸部をガイドしうるように開口端側から基端側へ軸方向に延びるガイド溝と、該ガイド溝の基端側端部より前記凸部を混注部の周方向へガイドしうる回動溝とから構成される(1)記載の混注用接続具、
(3) 前記回動溝の終端部には、さらに前記針保護フードの凸部と嵌合しうる凹部が形成されてなる(2)記載の混注用接続具、
(4) 前記案内手段は、前記混注部の開口端部外周面に設けられた凸部と、前記コネクターの内周面に設けられた、該混注部の凸部をガイドしうるように先端側から基端側へ軸方向に延びるガイド溝と、該ガイド溝の基端側端部より前記凸部をコネクターの周方向へガイドしうる回動溝とから構成される(1)記載の混注用接続具、
(5) 前記回動溝の終端部には、さらに前記混注部の凸部と嵌合しうる凹部または孔が形成されてなる(4)記載の混注用接続具、
(6) 前記混注部のシール手段は、該混注部の開口から該混注部の内部へと挿入されるゴム状弾性体と、該混注部の開口を針管刺入部を除いて覆うように該混注部の外周面に嵌着されるカバー部材とから構成されてなり、前記混注部に設けられる案内手段は、前記シール手段のカバー部材に形成されてなる(2)〜(5)のいずれかに記載の混注用接続具、
(7) 前記コネクターの針保護フードは、該コネクターと前記混注部との接続が輸液ラインに妨げられることを防ぐための切欠部が設けられてなる(1)〜(6)のいずれかに記載の混注用接続具
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の混注用接続具は、コネクターと混注部に案内手段を設けて両者をプッシュ回転式で固定するものであり、簡単な操作で確実にコネクターと混注部を流体連通しうるように接続することが可能である。この混注用接続具は、針管が針ハブに離脱不能に固定されており、該針ハブと針保護フードとは回動自在に嵌着されているため、該針保護フードを混注部に外嵌する際に、針管がゴム状弾性体の刺通抵抗によって針保護フード内を基端側へ後退するおそれがない。
また、該針保護フードが針ハブに対して回動自在に嵌着されていることにより、コネクターと混注部の接続時に針保護フードが回動しても、針ハブに接続される流体ラインおよび針管が回動することはないため、流体ラインがねじれたり、針管にゆがみが生じたりするおそれがない。この効果は、流体ラインがチューブ等、他の流体収容部に接続される比較的経路の長い物である場合により顕著である。また、前記針保護フードの回動は、針管のゴム状弾性体への刺入が完了した後で行われるため、針管が針保護フードの回動の影響を受けて、ゴム状弾性体内にゆがんだ方向に刺入されるおそれもない。
さらに、本発明のコネクターは、コネクターと混注部との接続が輸液ラインに妨げられることを防ぐために、針保護フードの輸液ラインにぶつかる部分に切欠部を設けたことにより、チューブの末端に設けられた混注部および輸液ライン上に直接設けられた混注部のいずれの混注部にも接続することが可能であり、混注部の形状を選ぶことなく混注操作を行うための接続を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の好ましい実施態様を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1および図2は、本発明の混注用接続具のコネクターの一実施例を示す図であり、図3〜図5は、本発明の混注用接続具の混注具の一実施例を示す図である。また、図6は、本発明の混注用接続具においてコネクターと混注部が接続された状態を示す斜視図である。さらに、図7は、本発明の混注用接続具のコネクターの他の実施例を示す断面図である。
【0013】
本発明の混注用接続具は、流体ラインの末端に設けられるコネクター1と、輸液ラインの途中に設けられる混注部2とからなる。本発明において輸液ラインとは、輸液を患者の体内へ注入するための経路であり、輸液バッグから患者に穿刺される針まで輸液を移送し得るものである。また、本発明において流体ラインとは、輸液ラインを流れる輸液に別の輸液や薬液を混注するための経路であって、チューブやシリンジなど、内部に流体を連通または収容しうるものである。前記流体源を備えた流体ラインの末端が本発明のコネクターに接続され、該コネクターと前記混注部とが接続されて流体ラインと輸液ラインとが連通することにより、流体ライン内の流体を輸液ライン内の輸液に混注することが可能となる。
なお、本発明のコネクター1において、先端側とは混注具2との接続端側を指し、基端側とは流体ラインと接続される側を指す。また、本発明の混注具2において、開口端側とはコネクター1との接続端側を指し、基端側とは輸液ラインと接続される側を指す。
【0014】
図1および図2において、本発明の混注用接続具におけるコネクター1は、流体ラインを構成するチューブ3の末端に設けられ、先端に鋭利な刃先を有する針管11と、該針管11を保持しうる針ハブ12と、該針管11を収容しうる略筒状の針保護フード13とを有してなる。
該針管11は混注部2のシール手段を刺通することにより、流体ラインと輸液ラインとを連通させ、流体ライン内の輸液または薬液を輸液ライン内を流れる輸液に混注するためのものである。したがって、該針管11は、該シール手段を刺通しうる十分な剛性を有する材料で形成されることが好ましく、具体的にはステンレス鋼、アルミニウム、チタンあるいはこれらの合金等の金属、ポリカーボネート、ABS等の合成樹脂などで形成される。
該針管11は、混注部2のシール手段を刺通する際に屈曲しない剛性を有している必要があり、具体的には該針管11の直径は0.6〜1.7mmであり、肉厚が0.09〜0.30mmであることが好ましい。また、該針管11の長さは、シール手段を刺通したときに、先端が完全に輸液ライン側へ突出しうる長さである必要があり、シール手段の寸法に合わせて適宜設定される。
【0015】
前記針ハブ12は略円筒状の部材であり、その先端部に前記針管11の基端部を内挿し、かつ離脱不能に固定しうるものである。該針ハブ12と該針管11との固定は、接着剤による接着の他、高周波溶着などが用いられる。該針ハブ12の基端部には、チューブ3の末端が嵌合や接着剤を用いた接着などにより接続され、該チューブ3と該針管11の内部は流体連通されている。前記針ハブ12は、塩化ビニルやポリカーボネートなどの合成樹脂で形成されることが好ましい。
【0016】
前記針ハブ12の外周面には、前記針管11を収容しうる針保護フード13の基端部が回動自在に嵌着されている。該針保護フード13は、該針ハブ12と同様の材料で形成された略筒状の部材であり、先端部は混注部2の開口端に外嵌されうる程度に十分に大きな内径を有しており、基端部は針ハブ12の外周面に接する大きさの内径を有している。また、該針保護フード13は、針管11の先端を完全に覆う長さを有している必要がある。
該針ハブ12には、外周面に接する針保護フード13の基端部の内径よりも大きな外径を有する部分が設定されることで、段部121が形成される。該段部121は、該針保護フード13の先端側への移動を規制しうるものである。コネクター1を混注部2に接続する際、該針保護フード13の先端部が混注部2の開口端に外嵌されると同時に、該針保護フード13の基端部は該針ハブ12の段部121に当接して該針ハブ12を混注部2の基端側へと押し出し、それによって針管11もまた混注部2の基端側へと押されて該混注部2のシール手段を刺通する。
また、該針ハブ12の外周面には、該針保護フード13の基端側への移動を規制しうるストッパーが一体または別体で設けられてもよい。あるいは、針保護フード13の基端部の内径を、針ハブ12の基端部に接続されるチューブ3の外径よりも小さく設定することで、特別にストッパーを設ける必要なく、該針保護フード13の基端側への移動は規制されうる。
【0017】
図1に示されるように、該針保護フード13の外周面には、コネクター1を混注部2に接続する際に指で把持しやすいように、リブ14が設けられていてもよい。該リブ14の形状および数は特に限定されないが、該針保護フードの基端部外周面に、等間隔で複数個設けられていることが好ましい。さらに、該針保護フード13の外周面には、前記リブ14とリブ14の間の指が当たる部分に窪み16を設けることにより、さらにコネクター1を把持しやすくしてもよい。
また、該針保護フード13の外周面には、コネクター1を混注部2に接続する際の操作方法を案内するために、矢印などの表示15が設けられていてもよい。
【0018】
前記コネクター1の製造方法は、まず針ハブ12の内腔に、先端側から針管11の基端部を挿入する。該針管11は、接着または溶着により、該針管11の先端部が針ハブ12の先端側から露出した状態で該針ハブ12に固定される。次に、針保護フード13の内腔に、先端側から該針ハブ12の基端部を挿入する。該針ハブ12の針保護フード13内腔への挿入は、該針保護フード13の基端部が針ハブ12の段部121に当接することで終了する。この状態で該針ハブ12の基端部にチューブ3あるいは別途ストッパーを接続することで、該針保護フード13は針ハブ12に回動自在に嵌着され、コネクター1の製造が完了する。
【0019】
図3〜図5において、本発明の混注用接続具の混注部2は、筒状のハウジング21と、該ハウジングの一端に設けられた開口22と、該開口22を前記コネクター1の針管11が貫通しうるように閉鎖するシール手段とを有してなる。該混注部2は、輸液ラインの途中に設けられるものであり、図3および図4に示されるように輸液ラインから分岐したチューブの末端に設けられたものであってもよいし、図5および図6に示されるように輸液ラインを構成するチューブ4上に直接設けられるものであってもよい。該開口22の大きさは、針管11が貫通しうる大きさであればよく、できるだけ小さいものであることが、混注部2がコンパクトになり好ましい。
前記混注部2のハウジング21は、ポリカーボネートやABSなどの合成樹脂で形成されることが好ましい。
【0020】
前記シール手段は、該混注部2の開口22からハウジング21内部へと挿入されるゴム状弾性体23と、該ゴム状弾性体23の脱落を防止しうるように該開口22に嵌着されるカバー部材24とから構成される。
前記ゴム状弾性体23は、前記混注部2の内部を液密に封止しうるように前記開口22に嵌着される。該ゴム状弾性体23は、前記コネクター1と該混注部2が接続された時には針管11により刺通され、該コネクター1と該混注部2の接続が解除された時には針管11が抜去された後の孔を再度封止しうるような材質のものである必要がある。したがって、該ゴム状弾性体23を形成する材料としては、合成ゴム、天然ゴム、シリコンゴムや熱可塑性エラストマーなどが好ましく用いられる。
前記カバー部材24は、針管11が刺入される中央部に開口を有する天面部と、該天面の縁部から垂直に延びる円筒状の側壁部とからなり、前記開口22およびゴム状弾性体23を覆うように該混注部2の開口22に嵌着される。該カバー部材24の側壁部は、混注操作時にハウジング21とゴム状弾性体23との隙間から薬液が漏れない様、該隙間を完全にシールできる大きさであることが好ましい。また、該カバー部材24は、ハウジング21と容易に溶剤等によって接着できるよう、ハウジング21の材料と同様の合成樹脂から形成されることが好ましい。
【0021】
前記混注部2の製造方法は、まずゴム状弾性体23をハウジング21の開口端側から挿入する。次いで、カバー部材24を開口22にゴム状弾性体23を覆うように外嵌する。カバー部材24とハウジング21との固定は、カバー部材24の内側またはハウジング21外周面の開口端側、あるいはその両方に接着剤を塗布した上で、両者を嵌合させることにより行われることが好ましい。カバー部材24とハウジング21とが固定されると、混注部2の製造は完了する。
【0022】
本発明の混注用接続具は、表示15に従ってコネクター1の針保護フード13が混注部2に対して軸方向に挿入され、続いて周方向に回動されることによって、図6に示されるようにコネクター1と混注部2との接続が固定される。この接続の解除は、接続時と逆の動き、すなわち針保護フード13が混注部2に対して周方向に回動され、続いて軸方向に抜去されることにより行われる。したがって、該針保護フード13および混注部2にはこれら一連の動きをガイドしうる案内手段が設けられていることが好ましい。
【0023】
図2および図3に示されるように、前記案内手段は、例えば前記コネクター1の針保護フード13の先端部内周面に設けられた凸部131と、前記混注部2の外周面に設けられた該凸部131をガイドしうる溝とから構成される。該混注部2の外周面に設けられた溝は、開口端側から基端側へ軸方向に延びるガイド溝241と、該ガイド溝241の基端側端部より周方向に延びる回動溝242とからなり、前記針保護フード13の凸部131は、ガイド溝241に沿って混注部2の基端側へ軸方向にガイドされた後、回動溝242に沿って周方向にガイドされる。これらの凸部131、ガイド溝241および回動溝242からなる案内手段が設けられることにより、コネクター1が混注部2に対して軸方向に挿入され、続いて周方向に回動されるという、本発明のコネクター1と混注部2の接続に関する一連の動きを、容易かつ確実に行うことができる。
【0024】
前記ガイド溝241は、針保護フード13に設けられる凸部131が抵抗なく摺動しうる幅および深さを有し、コネクター1が混注部2に接続されたときにコネクター1に設けられる針管11の先端が混注部2のゴム状弾性体23の基端側から突出しうるまでコネクター1が混注部2の基端側へ進みうる長さを有するように形成される。
前記回動溝242もまた、前記凸部131が抵抗なく摺動しうる幅および深さを有し、針保護フード13が混注部2に対して回動されることにより、コネクター1が混注部2の開口端側へ抜け落ちることを防止することで、コネクター1と混注部2の接続を固定しうる程度の長さを有するように形成される。該回動溝242の長さは、針保護フード13の混注部2に対する回動角度が5〜60°であるように形成されることが、操作上好ましい。
前記ガイド溝241および回動溝242は、カバー部材24上に設けられることが成形上好ましい。この時、回動溝242はカバー部材24の中央部に設けられた溝であってもよいが、図3に示されるようにカバー部材24の基端部の縁に設けられた切欠部であってもよい。
【0025】
前記回動溝242には、さらに終端部に針保護フード13の凸部131と嵌合しうる凹部243が設けられていてもよい。これにより、コネクター1と混注部2とは、針保護フード13のカバー部材24に対する軸方向への挿入および周方向への回動に続いて凹凸嵌合することにより固定され、混注操作はより確実に行われる。また、コネクター1を把持する医療従事者が、該凸部131が凹部243に嵌合されたときの針保護フード13の内側へのわずかな変位を感じることにより、コネクター1と混注部2の接続が完了したことを認識することができる。
該凹部243は回動溝242の終端部が一段深く掘り下げられて形成されたものであってもよいし、該回動溝242の中間部に突部を形成することにより終端部に凹部243を形成したものであってもよい。また、図3に示されるように、回動溝242の長さが短い場合は、回動溝242のガイド溝241との接合部に突部が形成されることにより、回動溝242全体が凹部243となるように構成されていてもよい。
【0026】
前記案内手段は、図示されないが、前記混注部2の外周面に設けられた凸部と、前記コネクター1の針保護フード13の先端部内周面に設けられたガイド溝および回動溝とから構成されるものであってもよい。この場合、前記針保護フード13に設けられる回動溝の終端部には、混注部2の凸部と嵌合しうる凹部または貫通した孔が設けられることが好ましい。
【0027】
混注部2が図5および図6に示されるように輸液ラインを構成するチューブ4上に直接設けられたものである場合、コネクター1が混注部2に接続される際に、該コネクター1の針保護フード13がチューブ4にぶつかり、接続が妨げられるおそれがある。したがって、該針保護フード13には、チューブ4へのぶつかりを防止しうる切欠部132が設けられることが好ましい。該切欠部132が設けられた針保護フード13を有するコネクターは、チューブの末端に設けられた混注部およびチューブ4上に直接設けられた混注部のいずれの混注部にも接続することが可能であり、より好ましい。
前記切欠部132の大きさは、チューブ4の太さおよび針保護フード13の回動角度により適宜設定される。
【0028】
本発明のコネクター1は、図1および図2に示されるように流体ラインを構成するチューブ3の末端に設けられるものに限定されず、図7に示されるように流体ラインを構成するシリンジ5の先端に接続されて使用されてもよい。コネクター1がシリンジ5の先端に接続される場合、該コネクター1の基端部は、シリンジ5先端のルアーチップ51を内挿して嵌合しうる形状を有することが好ましい。あるいは、該コネクター1の基端部に、シリンジ5先端のルアーチップ51を内挿して嵌合しうる形状の基端部を有するアダプター6が接続されてもよい。
【0029】
次に、本発明の混注用接続具の使用方法を図面に基づいて説明する。
混注部2が図3および図4に示されるように、輸液ラインから分岐したチューブの末端に設けられたものである場合、まずコネクター1は、針保護フード13のリブ14および窪み16の部分を把持され、該針保護フード13の先端部内周面に設けられた凸部131が混注部2のカバー部材24外周面に設けられたガイド溝241に沿うように位置合わせされた状態で、該混注部2の基端側へと軸方向に挿入される。該針保護フード13は、凸部131がガイド溝241にガイドされながら混注部2の基端側へ軸方向に移動し、それと同時に、該針保護フード13の基端部が針ハブ12の段部121に当接することにより針ハブ12および針管11を軸方向に押し出し、針管11の刃先が混注部2のカバー部材24の開口を通じてゴム状弾性体23に刺入される。該針管11は針ハブ12に離脱不能に固定されており、該針ハブ12と針保護フード13とは嵌着されているため、針管11と針保護フード13との固定もまた確実であり、該針保護フード13を挿入する際に、針管11がゴム状弾性体23の刺通抵抗によって針保護フード13内を基端側へ後退するおそれはない。前記コネクター1の凸部131が混注部2のガイド溝241の基端側端部に当接するまで針保護フード13が移動すると、該針管11の刃先が該ゴム状弾性体23を貫通し、かつ流体ラインおよび輸液ラインが連通した状態になり、針保護フード13の軸方向への挿入は完了する。
【0030】
次いで、針保護フード13は、凸部131が回動溝242に沿って周方向にガイドされながら回動せしめられる。この時、該針保護フード13は、針ハブ12に対して回動自在に嵌着されているため、該針保護フード13の回動によって針ハブ12および針管11は回動しない。したがって、針管11がゴム状弾性体23内で回動してゆがみが生じるおそれはないし、該針ハブ12に接続される流体ラインが回動してねじれを生じるおそれもない。また、この回動操作は針管11のゴム状弾性体23への刺入が完了した後で行われるため、針管11が針保護フード13の回動の影響を受けて、ゴム状弾性体23内にゆがんだ方向に刺入されるおそれもない。
その後、針保護フード13は、凸部131が回動溝242の終端部に設けられた凹部243に嵌合することによりカバー部材24に固定され、コネクター1と混注部2に接続操作が完了する。
【0031】
流体の輸液への混注操作終了後、前記混注用接続具の接続を解除する場合は、まず、針保護フード13をカバー部材24に対して接続時とは逆方向に回動させることにより、凸部131と凹部243の嵌合を解除する。該凸部131がカバー部材24のガイド溝241と係合するまで針保護フード13を回動した後、該針保護フード13を混注部2の開口端側へ軸方向に引き抜く。この時、針保護フード13が針ハブ1の基端部に接続されたチューブ3あるいは別途設けられたストッパーに当接することにより、針ハブ12および針管11もまた軸方向に引き抜かれ、その結果、針管11の刃先が混注部2のゴム状弾性体23から抜去される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の混注用接続具のコネクターの一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示されるコネクターの断面図である。
【図3】本発明の混注用接続具の混注部の一例を示す斜視図である。
【図4】図3に示される混注部の断面図である。
【図5】本発明の混注用接続具の混注部の他の例を示す断面図である。
【図6】本発明の混注用接続具の接続時の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の混注用接続具のコネクターの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 コネクター
11 針管
12 針ハブ
13 針保護フード
131 凸部
132 切欠部
14 リブ
16 窪み
2 混注部
21 ハウジング
22 開口
23 ゴム状弾性体
24 カバー部材
241 ガイド溝
242 回動溝
243 凹部
3、4 チューブ
5 シリンジ
51 ルアーチップ
6 アダプター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針管と、該針管を保持しうる針ハブと、該針管を収容しうる略筒状の針保護フードとを有し、該針保護フードは基端部が該針ハブに回動自在に嵌着されてなる、流体ラインの末端に設けられるコネクターと、
前記流体ライン内の流体を内腔へ導入しうる少なくとも一つの開口と、該開口を前記コネクターの針管が貫通しうるように閉鎖するシール手段とを有し、輸液ラインの途中に設けられる混注部とからなり、
前記コネクターは前記混注部に開口端側から外嵌されることで接続され、それと同時に針管がシール手段を貫通して流体ライン内の流体の輸液ライン内の輸液への混注が可能となる混注用接続具であって、
該コネクターの針保護フードの内周面及び該混注部の外周面には、該針保護フードが該混注部に対して軸方向に挿入され、続いて周方向に回動されることによって該コネクターと該混注部の接続を固定しうる案内手段を有してなることを特徴とする混注用接続具。
【請求項2】
前記案内手段は、前記針保護フードの先端部内周面に設けられた凸部と、前記混注部の外周面に設けられた、該針保護フードの凸部をガイドしうるように開口端側から基端側へ軸方向に延びるガイド溝と、該ガイド溝の基端側端部より前記凸部を混注部の周方向へガイドしうる回動溝とから構成される請求項1記載の混注用接続具。
【請求項3】
前記回動溝の終端部には、さらに前記針保護フードの凸部と嵌合しうる凹部が形成されてなる請求項2記載の混注用接続具。
【請求項4】
前記案内手段は、前記混注部の開口端部外周面に設けられた凸部と、前記コネクターの内周面に設けられた、該混注部の凸部をガイドしうるように先端側から基端側へ軸方向に延びるガイド溝と、該ガイド溝の基端側端部より前記凸部をコネクターの周方向へガイドしうる回動溝とから構成される請求項1記載の混注用接続具。
【請求項5】
前記回動溝の終端部には、さらに前記混注部の凸部と嵌合しうる凹部または孔が形成されてなる請求項4記載の混注用接続具。
【請求項6】
前記混注部のシール手段は、該混注部の開口から該混注部の内部へと挿入されるゴム状弾性体と、該混注部の開口を針管刺入部を除いて覆うように該混注部の外周面に嵌着されるカバー部材とから構成されてなり、前記混注部に設けられる案内手段は、前記シール手段のカバー部材に形成されてなる請求項2〜5のいずれかに記載の混注用接続具。
【請求項7】
前記コネクターの針保護フードは、該コネクターと前記混注部との接続が輸液ラインに妨げられることを防ぐための切欠部が設けられてなる請求項1〜6のいずれかに記載の混注用接続具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate