説明

清掃具

【課題】ピンセットの脱着操作を迅速、容易に行うことができるとともに、ピンセットを装着した状態でのグリップ部の外観意匠を改善する。
【解決手段】グリップ部3にピンセット10が脱着自在に装着され、この装着されたピンセット10を引き抜き操作可能な状態で係合保持する係合保持手段11が設けられ、グリップ部3の相対向する両側面には、ピンセット10の両挾持操作板部10Aにおける装着領域の輪郭形状に対応した後端開口の装着凹部20が形成され、ピンセット10の両挾持操作板部10Aには、グリップ部3の内面における装着凹部20の開口周縁部分との摺接によって両挾持操作板10Aの外面がグリップ部3の両側面と面一又は略面一になる状態で装着案内する装着ガイド部21が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用洗浄ブラシや洗車ブラシ等の清掃具で、詳しくは、グリップ部にピンセットが脱着自在に装着され、この装着されたピンセットを引き抜き操作可能な状態で係合保持する係合保持手段が設けられている清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の清掃具においては、例えば、浴室等の排水口に引っ掛かった髪の毛や繊維屑等を除去したり、或いは、狭い箇所に溜まった塵を除去する必要が生じたとき、その除去作業等をグリップ部に装備されているピンセットを用いて迅速・容易に行うことができる利点がある。
【0003】
そして、上述の利点を有する清掃具において、従来では、清掃部を構成するブラシ部を備えた横断面コの字状の柄の後半部を、前半部よりも左右方向幅が広く形成されたグリップ部に構成し、このグリップ部を構成する上面板部と左右一対の側面板部とのうち、両側面板部の内面に、ピンセットの両挾持操作板部の外面に形成した突条が後方側から嵌合する係止溝を形成する。
【0004】
さらに、前記グリップ部の両側面板部の後端を、上面板部の後端よりもブラシ部側に偏倚した部位に設定して、該両側面板部の後端面を、ピンセットにおける両挾持操作板部の基端側に連続する繋ぎ部の両外側面に形成された段状の当り部が後方側から当接するストッパー面に構成するとともに、前記ピンセットの両挾持操作板部の先端における外面間寸法を、前記グリップ部の両側面板部の内面間寸法よりも大に構成して、ピンセットの両挾持操作板部をグリップ部の両側面板部間に弾性復元力で係合保持するように構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−29135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の清掃具では、ピンセットの両挾持操作板部をグリップ部の両側面板部間に係合保持させたとき、前記グリップ部の上面板部の下方で、且つ両側面板部の後端から後方に突出するピンセットの繋ぎ部を摘んで脱着操作するため、このピンセットの繋ぎ部の摘み動作がグリップ部の上面板部で邪魔され易く、しかも、摘み面積も小さいため、ピンセットの脱着操作に手間取り易い。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、ピンセットの脱着操作を迅速、容易に行うことができるとともに、ピンセットを装着した状態でのグリップ部の外観意匠を改善することのできる清掃具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、グリップ部にピンセットが脱着自在に装着され、この装着されたピンセットを引き抜き操作可能な状態で係合保持する係合保持手段が設けられている清掃具であって、
前記グリップ部の相対向する両側面には、前記ピンセットの両挾持操作板部における装着領域の輪郭形状に対応した後端開口の装着凹部が形成されているとともに、前記ピンセットの両挾持操作板部には、前記グリップ部の内面における装着凹部の開口周縁部分との摺接によって前記両挾持操作板の外面がグリップ部の両側面と面一又は略面一になる状態で装着案内する装着ガイド部が形成されている点にある。
【0009】
上記構成によれば、清掃過程において、例えば、清掃箇所の排水口に引っ掛かった髪の毛や繊維屑等を除去したり、或いは、狭い箇所に溜まった塵を除去する必要が生じたときでも、その除去作業等をグリップ部に装備されているピンセットを用いて迅速・容易に行うことができる。
【0010】
しかも、前記ピンセットの中でも広い表面積を有する両挾持操作板部が、グリップ部の相対向する両側面に形成された装着凹部に嵌り込んで、グリップ部の表面の一部を構成しているから、グリップ部に装着した状態でのピンセットの摘み面積が大きくなり、両指を広く当て付けた状態で容易に挾持することができる。
【0011】
さらに、前記グリップ部の両装着凹部にピンセットを装着するとき、ピンセットに設けた装着ガイド部がグリップ部の内面における装着凹部の開口周縁部分に摺接して、前記両挾持操作板の外面がグリップ部の両側面と面一又は略面一になる状態で装着案内することができるから、ピンセットの脱着操作がスムーズになるとともに、ピンセットの両挾持操作板の外面とグリップ部の両側面とが面一又は略面一で連続するから、ピンセットを体裁良く収納することができる。
【0012】
したがって、グリップ部を違和感なく把持できるものでありながら、ピンセットの脱着操作を迅速、容易に行うことができるとともに、ピンセットを装着した状態でのグリップ部の外観意匠も改善することができる。
【0013】
本発明による第2の特徴構成は、前記グリップ部が、左右方向の幅が厚みよりも大となる横長筒状に形状されているとともに、このグリップ部の厚み方向で相対向する上側面及び下側面に前記装着凹部が形成されている点にある。
【0014】
上記構成によれば、清掃具のグリップ部を違和感なく安定的に把持することができるとともに、このための構成であるグリップ部の横長筒状の周面のうち、左右方向幅が最も広い上側面と下側面とを利用して装着凹部を形成するので、前記ピンセットの両挾持操作板の面積を拡大することが可能で、ピンセットの脱着操作の迅速化、容易化を図ることができる。
【0015】
本発明による第3の特徴構成は、前記グリップ部に、吊下げ孔を備えたグリップ補強体が、前記両装着凹部間を通して後方に突出する状態で設けられているとともに、前記グリップ補強体には、ピンセットの両挾持操作板部の内面との摺接によって装着案内する装着ガイドリブが形成されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、前記グリップ部に設けたグリップ補強体を利用して清掃具を吊り下げることができるとともに、前記両装着凹部間を通して後方に突出する長いグリップ補強体を利用して設けた装着ガイドリブにより、ピンセットの脱着操作の迅速化、容易化を促進することができる。
【0017】
本発明による第4の特徴構成は、前記ピンセットにおける両挾持操作板部の基端部に連続する繋ぎ部の両側面には、グリップ部の両装着凹部への装着時に前記グリップ補強体の吊下げ孔に連通する貫通孔が形成されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、前記グリップ部の両装着凹部にピンセットを装着するとき、或いは、グリップ部の両装着凹部に装着されているピンセットを抜き出すとき、ピンセットの繋ぎ部に設けた両貫通孔に両指を当て付けると、指の一部が入り込んで係合力が増すから、両指による挾持力が弱い人でもピンセットを容易に脱着操作することができる。
【0019】
本発明による第5の特徴構成は、前記ピンセットの繋ぎ部が端部側ほど厚みが薄くなる先細り形状に形成されているとともに、前記ピンセットの両貫通孔の内周面が、繋ぎ部の外面側ほど大径に構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、ピンセットの繋ぎ部に設けた両貫通孔に両指を当て付ける際、両指でピンセットの繋ぎ部を挟み易く、しかも、両貫通孔に対する当りもソフトになるから、ピンセットの脱着操作の迅速化、容易化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の清掃具を示す斜視図
【図2】ピンセット及び小型清掃具を取り外したときの分解斜視図
【図3】清掃具の要部の分解状態での断面側面図
【図4】清掃具の要部の分解状態での平面図
【図5】清掃具の要部の断面側面図
【図6】図5におけるVI−VI線断面図
【図7】図5におけるVII−VII線断面図
【図8】図5におけるVIII−VIII線断面図
【図9】図5におけるIX−IX線断面図
【図10】図5におけるX−X線断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
図1〜図10は、清掃具の一例である浴室用洗浄ブラシを示し、合成樹脂製の柄1の先端側に、清掃部の一例である多数のブラシ毛2aを備えた合成樹脂製のブラシ部2が備えられ、前記柄1の後端側には合成樹脂製のグリップ3が備えられている。
【0023】
前記柄1の前端部は、図1〜図4に示すように、横断面形状が正方形の角筒状の接続筒部1Aに構成され、前記柄1の中間部は、下方側(一側面側の一例)に開口する横断面形状がコの字状の中空柄部1Bに構成され、前記柄1の後部は、前記中空柄部1Bの左右方向の幅W1及び上下方向の幅(厚み)T1よりも大きな左右方向幅W2と最大上下方向幅(最大厚み)T2を有し、且つ、左右方向幅W2が上下方向幅(厚み)T2よりも大となる寸法関係で一体形成された横長筒状(横断面形状が隅丸の長方形筒状)のグリップ3に構成されている。
【0024】
前記ブラシ部Bは、図1〜図3に示すように、多数のブラシ毛2aを植設してある植毛基板2Aの上面に、前記柄1の接続筒部1Aと同じ横断面形状の角筒状の柄接続筒体2Bが一体的に突出形成され、この柄接続筒体2Bの先端には、前記柄1の接続筒部1Aに先端側から嵌合して該接続筒部1Aに形成されている係止片4に抜止め状態で係合する係止爪(図示せず)が一体形成されているとともに、前記植毛基板2Aの外周面に形成された周溝には、外側方に突出する環状の弾性緩衝体5が装着されている。
【0025】
そして、図1〜図6に示すように、前記柄1の中空柄部1Bに形成されている下向き開口の凹部の大部分が、小形清掃具の一例である小形洗浄ブラシ6をそれのブラシ毛群6aが上方に向く姿勢で収納する収納凹部7に形成され、この収納凹部7とこれに収納された小形洗浄ブラシ6との相対向する部位には、小形洗浄ブラシ6を収納姿勢で脱着操作自在に係合保持する第1係合保持手段8が設けられているとともに、前記グリップ部3にはピンセット10が脱着自在に装着され、この装着されたピンセット10を引き抜き操作可能な状態で係合保持する第2係合保持手段11が設けられている。
【0026】
前記小形洗浄ブラシ6は、中空柄部1Bの収納凹部7の幅よりも小なる幅に構成された合成樹脂製の柄部6Bの先端部に多数のブラシ毛群6aを植設して、小清掃部の一例である小ブラシ部6Aが構成されているとともに、前記柄部6Bの後端部の上下方向幅を広幅に形成してグリップ部6Cに構成されている。
【0027】
前記小ブラシ部6Aのブラシ毛群6aの先端清掃面6bは、グリップ部6C側ほどブラシ毛長さが長くなる傾斜面に構成されている。
【0028】
前記柄1の中空柄部1Bを構成する上面板部1aと左右一対の側面板部1bのうち、前記上面板部1aにおける小形洗浄ブラシ6のグリップ部6Cに対応する部位には、前記収納凹部7に連通する貫通孔12が形成されているとともに、前記小形洗浄ブラシ6のグリップ部6Cの上面には、前記第1係合保持手段8の係合力に抗して収納姿勢にある小形洗浄ブラシ6を下方側に押し出すための係合解除突起13が、前記貫通孔12を通して柄1の上方側(他側面側)に突出する状態で一体形成されている。
【0029】
そして、前記柄1の中空柄部1Bの収納凹部7に収納された小形洗浄ブラシ6を取り出す場合、前記柄1のグリップ部6Cを把持した一方の手の親指操作で係合解除突起13を下方に押し込み操作することにより、収納凹部7に収納されている小形洗浄ブラシ6を第1係合保持手段8の係合力に抗して柄1の下面側(一側面側)に確実、スムーズに押し出すことができる。
【0030】
しかも、前記係合解除突起13は小形洗浄ブラシ6の長手方向に対して交差方向である下方側に比較的大きく突出しているから、小形洗浄ブラシ6を把持したときに指が係合解除突起13に引っ掛かって把持が安定するとともに、大きな操作力も容易に加えることができる。
【0031】
また、図3〜図5、図9に示すように、前記中空柄部1Bの上面板部1aの内面における貫通孔12の周縁には補強筒部14が一体的に突出形成されているとともに、前記中空柄部1Bの上面板部1aの内面における小形洗浄ブラシ6の小ブラシ部6A側に偏倚した部位には、収納凹部7に収納される小形洗浄ブラシ6の柄部6Bと当接することにより該小形洗浄ブラシ6の小ブラシ部6Aが前記上面板部1aの内面に強く圧接されない収納位置、当該実施形態では、ブラシ毛群6aの最もブラシ毛長さが長い部位が上面板部1aの内面に軽く接触する収納位置に規制する補強用のリブ15が一体的に突出形成されている。
【0032】
前記柄1の収納凹部7に設けられる補強用のリブ15を利用して、収納凹部7に収納される小形洗浄ブラシ6の小ブラシ部6Aの収納位置を、収納凹部7の底面である上面板部1aの内面に強く圧接されない位置に規制することにより、小形洗浄ブラシ6の小ブラシ部6Aの変形を抑制することができる。
【0033】
前記第1係合保持手段8は、小形洗浄ブラシ6の小ブラシ部6Aの先端面と収納凹部7との相対向する部位に形成された第1係合部8Aと、小形洗浄ブラシ6のグリップ部6Cの側面と収納凹部7との相対向する部位に形成された第2係合部8Bとから構成されている。
【0034】
前記第1係合部8Aを構成するに、図3〜図6、図10に示すように、前記小ブラシ部6Aの先端面に半円柱状の第1係止突起8aを一体的に突出形成するとともに、前記収納凹部7の底面である上面板部1aの内面には、前記中空柄部1Bを構成する両側面板部1bとの間にスリット状の空隙を形成する状態で柄長手方向に弾性変形可能な係止板8bを一体的に突出形成し、この係止板8bには、前記小ブラシ部6Aの先端面の係止突起8aと係合する半円柱状の第2係止突起8cを一体的に突出形成して構成されている。
【0035】
前記第2係合部8Bを構成するに、小形洗浄ブラシ6のグリップ部6Cの左右両側面に半球状の第3係止突起8dを一体的に突出形成するとともに、前記中空柄部1Bを構成する両側面板部1bの内面には、前記収納凹部7に対する小形洗浄ブラシ6の押し込み装着操作力で前記第3係止突起8dが係合する係止凹部8eを窪み形成して構成されている。
【0036】
前記柄1の収納凹部7に収納された小形洗浄ブラシ6を取り出す場合、前記小形洗浄ブラシ6のグリップ部6C側の係合解除突起13を下方に押し込み操作すると、小形洗浄ブラシ6のグリップ部6Cの左右両側面と収納凹部7に臨む両側面板部1bの内面との相対向する部位に形成された第2係合部8Bの第3係止突起8dと係止凹部8eとの係合が解除され、小ブラシ部6Aの先端面と収納凹部7内に突設された係止板8bとの相対向する部位に形成された第1係合部8Aの第1係止突起8aと第2係止突起8cとの係合箇所を回動支点として小形洗浄ブラシ6を回動させながら収納凹部7からスムーズに押し出すことができる。
【0037】
次に、図1〜図5、図7、図8に示すように、前記柄1のグリップ部3の相対向する両側面、つまり、グリップ部3の上下方向(厚み方向)で相対向する上面板部3A及び下面板部3Bには、前記ピンセット10の構成部材である左右一対の挾持操作板部10Aと、当該両挾持操作板部10Aの基端側に連続して一体成形される略U字状の繋ぎ部10Bとのうち、前記両挾持操作板部10Aにおける装着領域の輪郭形状、つまり、当該実施形態では両挾持操作板部10Aの全体の輪郭形状に対応する略三角形状の装着凹部20が、上下方向に貫通し且つ後方側に開口する状態で形成されている。
【0038】
前記ピンセット10の両挾持操作板部10Aには、前記グリップ部3の上面板部3A及び下面板部3Bの各内面における装着凹部20の開口周縁部分との摺接によって前記両挾持操作板10Aの外面がグリップ部3における上面板部3Aの上側面及び下面板部3Bの下側面と面一又は略面一になる状態で装着案内する略V字状の小幅フランジ状の装着ガイド部21が形成されている。
【0039】
そして、前記ピンセット10の中でも広い表面積を有する両挾持操作板部10Aが、グリップ部3の中でも広い表面積を有する上面板部3A及び下面板部3Bに形成された装着凹部20に嵌り込んで、グリップ部3の表面の一部を構成しているから、グリップ部3に装着した状態でのピンセット10の把持面積が大きくなり、両指を広く当て付けた状態で容易に挾持することができる。
【0040】
さらに、前記グリップ部3の両装着凹部20にピンセット10を装着するとき、ピンセット10の両挾持操作板部10Aの外周縁に沿って設けた略V字状の装着ガイド部21が前記グリップ部3の上面板部3A及び下面板部3Bの各内面における装着凹部20の開口周縁部分に摺接して所定の装着位置に確実に装着案内することができるから、ピンセット10の脱着操作がスムーズになるとともに、ピンセット10の両挾持操作板10Aの外面がグリップ部3における上面板部3Aの上側面及び下面板部3Bの下側面と面一又は略面一で連続するから、浴室用洗浄ブラシのグリップ部3を違和感なく安定的に把持することができるものでありながらピンセット10を体裁良く収納することができる。
【0041】
前記グリップ部3の内部には、吊下げ孔22を後端側に備えた合成樹脂製のグリップ補強体23が、前記両装着凹部20間を通してグリップ部3の後端よりも後方側に突出する状態で設けられている。
【0042】
このグリップ補強体23の先端部には、前記下面板部3Bの先端に上下方向に弾性変形可能な状態で一体形成された係止板片24とこれに相対向する上面板部3Aの内面に突出形成された係止突起25との間を通過した時点で前記係止板片24の先端に抜止め状態で係合する係合爪26が一体形成されているとともに、前記グリップ補強体23には、ピンセット10の両挾持操作板部10Aの内面との摺接によって装着案内する装着ガイドリブ27と、前記グリップ部3の左右方向で相対向する両側面板部3Cの内面に形成された条溝28に柄長手方向である前後方向から摺動自在に嵌合する補強リブ29とが一体形成されている。
【0043】
前記ピンセット10の繋ぎ部10Bには、前記グリップ部3の両装着凹部20にピンセット10が装着されたとき、前記グリップ部3の両側面板部3Cの後端に柄長手方向から当接するストッパー用端縁10bが形成されているとともに、このストッパー用端縁10bには、上下の装着ガイド部21の後端に連続する補助フランジ部21Aが一体形成されている。
【0044】
前記ピンセット10の繋ぎ部10Bの左右両側面には、グリップ部3の両装着凹部20への装着時に前記グリップ補強体23の吊下げ孔22に連通する該吊下げ孔22よりも大径の貫通孔30が形成され、この両貫通孔30の内周面10aが、繋ぎ部10Bの外面側ほど大径に構成されているとともに、前記ピンセット10の繋ぎ部10Bが後端部側ほど厚みが薄くなる先細り形状に形成されている。
【0045】
そのため、前記グリップ部3の両装着凹部20にピンセット10を装着するとき、或いは、グリップ部3の両装着凹部20に装着されているピンセット10を抜き出すとき、ピンセット10の繋ぎ部10Bに設けた両貫通孔30に両指を当て付けると、指の一部が両貫通孔30内に入り込んで係合力が増すから、両指による挾持力が弱い人でもピンセット10を容易に脱着操作することができる。
【0046】
さらに、前記ピンセット10の繋ぎ部10Bに設けた両貫通孔30に両指を当て付ける際、この繋ぎ部10Bが後端部側ほど厚みが薄くなる先細り形状に形成されているため、両指でピンセット10の繋ぎ部10Bを挟み易く、しかも、前記両貫通孔30の内周面10aが繋ぎ部10Bの外面側ほど大径に構成されているため、両貫通孔30に対する当りもソフトになり、ピンセット10の脱着操作の迅速化、容易化を促進することができる。
【0047】
前記第2係合保持手段11を構成するに、前記ピンセット10の両装着ガイド部21における先端側の三角状の挾持部位には半球状の係止突起11aを一体的に突出形成するとともに、前記グリップ部3の両上面板部3Aの内面には、グリップ部3の上面板部3A及び下面板部3Bに形成された装着凹部20に対して前記ピンセット10の両挾持操作板部10Aを所定装着位置にまで装着したとき、当該ピンセット10の両挾持操作板部10Aによる対向面方向での弾性変形で前記係止突起11aが係合する半球状の係止凹部11bが形成されている。
【0048】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、前記柄1の中空柄部1Bの収納凹部7に小形洗浄ブラシ6を収納いたとき、ブラシ毛群6aの最もブラシ毛長さが長い部位が上面板部1aの内面に微小に接触する収納位置に補強用リブ15で規制するように構成したが、この補強用リブ15の突出代を少し長くして、ブラシ毛群6aの先端清掃面6bが上面板部1aの内面に接触しない収納位置に規制するように構成してもよい。
【0049】
(2)上述の実施形態では、前記グリップ部3を、左右方向の幅が上下方向幅(厚み)よりも大となる横断面形状が横長筒状(横断面形状が隅丸の長方形筒状)に形状して、広い表面積を有する上面板部3A及び下面板部3Bに装着凹部20を形成したが、前記グリップ部3が、横断面形状が正方形又は略正方形となる角筒状或いは横断面形状が円形又は略円形となる円筒状に構成されている場合には、上下方向や左右方向等など使用勝手の良い方向で相対向する両側面に装着凹部20を形成してもよい。
【0050】
(3)前記第1係合保持手段8としては、柄1の収納凹部7とこれに収納された小形洗浄ブラシ6との相対向する部位に、小形洗浄ブラシ6を収納姿勢で脱着自在に係合保持することのできるものであれば、如何なる構造のものを用いて実施してもよい。
【0051】
(4)前記第2係合保持手段11としては、グリップ部3の装着凹部20に装着されたピンセット10を引き抜き操作可能な状態で係合保持することのできるものであれば、如何なる構造のものを用いて実施してもよい。
【0052】
(5)上述の実施形態では、前記小ブラシ部6Aのブラシ毛群6aの先端清掃面6bを、グリップ部6C側ほどブラシ毛長さが長くなる傾斜面に構成したが、小ブラシ部6Aの先端側ほどブラシ毛長さが長くなる傾斜面に構成してもよく、さらに、柄部6Bの長手方向でブラシ毛長さが同一又は略同一となる平行面に構成してもよい。
【0053】
(6)上述の実施形態では、前記柄1の中空柄部1Bに形成されている下向き開口の凹部の大部分を、小形清掃具の一例である小形洗浄ブラシ6を収納する収納凹部7に形成したが、前記柄1が長くなるか、若しくは、前記小形清掃具6が短くなれば、下向き開口の凹部の一部を収納凹部7に形成することになる。
【0054】
(7)上述の実施形態では、前記グリップ部3の上面板部3A及び下面板部3Bに、前記ピンセット10の両挾持操作板部10Aにおける装着領域の輪郭形状に対応する略三角形状の装着凹部20を、上下方向に貫通し且つ後方側に開口する状態で形成したが、前記グリップ部3の厚みがピンセット10の両挾持操作板部10Aの厚みよりも大である場合には、前記装着凹部20を上下方向で貫通しない溝状に構成してもよい。
【0055】
(8)上述の実施形態では、清掃具の清掃部2及び小形清掃具6の小清掃部6Aをブラシ部から構成したが、スポンジや不織布等から構成してもよい。
また、前記清掃具としてはグリップ部を備えたものであればよく、例えば、はたきや箒等の他の清掃具にも適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
3 グリップ部
3A 側面(上面板部の上側面)
3B 側面(下面板部の下側面)
10 ピンセット
10A 挾持操作板部
10B 繋ぎ部
10a 内周面
11 係合保持手段(第1係合保持手段)
20 装着凹部
21 装着ガイド部
22 吊下げ孔
23 グリップ補強体
27 装着ガイドリブ
30 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ部にピンセットが脱着自在に装着され、この装着されたピンセットを引き抜き操作可能な状態で係合保持する係合保持手段が設けられている清掃具であって、
前記グリップ部の相対向する両側面には、前記ピンセットの両挾持操作板部における装着領域の輪郭形状に対応した後端開口の装着凹部が形成されているとともに、前記ピンセットの両挾持操作板部には、前記グリップ部の内面における装着凹部の開口周縁部分との摺接によって前記両挾持操作板の外面がグリップ部の両側面と面一又は略面一になる状態で装着案内する装着ガイド部が形成されている清掃具。
【請求項2】
前記グリップ部が、左右方向の幅が厚みよりも大となる横長筒状に形状されているとともに、このグリップ部の厚み方向で相対向する上側面及び下側面に前記装着凹部が形成されている請求項1記載の清掃具。
【請求項3】
前記グリップ部には、吊下げ孔を備えたグリップ補強体が、前記両装着凹部間を通して後方に突出する状態で設けられているとともに、前記グリップ補強体には、ピンセットの両挾持操作板部の内面との摺接によって装着案内する装着ガイドリブが形成されている請求項1又は請求項2記載の清掃具。
【請求項4】
前記ピンセットにおける両挾持操作板部の基端側に連続する繋ぎ部の両側面には、グリップ部の両装着凹部への装着時に前記グリップ補強体の吊下げ孔に連通する貫通孔が形成されている請求項3記載の清掃具。
【請求項5】
前記ピンセットの繋ぎ部が端部側ほど厚みが薄くなる先細り形状に形成されているとともに、前記ピンセットの両貫通孔の内周面が、繋ぎ部の外面側ほど大径に構成されている請求項4記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−10955(P2011−10955A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159192(P2009−159192)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000100850)アイセン工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】