説明

清掃機能付配管部材

【課題】簡便に配管内の清掃を行う。
【解決手段】配管内部の清掃が可能な清掃機能付き配管部材1であって、開口部20と、配管部材10の内側に設けられ、配管部材10の軸方向に沿って延びる清掃部材60と、開口部20を通って配管部材10の内外に延びると共に、配管部材10の内部に対して進退可能に設けられ、配管部材10の内側の端部が清掃部材60に連結された操作部材30と、清掃部材60と操作部材30の連結部に設けられた、開口部20と操作部材30との間をシールするためのシール部材50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内部が清掃可能である清掃機能付配管部材に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水等を排水するための排水用配管に流入するゴミや落ち葉等の異物、また、河川や海から取水する取水用配管の内壁に付着する貝類等が、多数配管内に流入し付着すると、配管の目詰まりの原因となる。加えて、配管内の錆によっても配管に目詰まりが発生する。特に、配管の屈曲部分においては、目詰まりが発生しやすい。
【0003】
配管が詰まると、配管継ぎ手部等の配管の一部を取外して配管内を清掃することが必要となる。しかし、清掃の度に配管の一部を取外すのは手間がかかり、また清掃中は水を流すことはできないという課題がある。
【0004】
さらに、配管継ぎ手部が溶接されていて取外しができない場合には、配管の一部をサンダー等で切断した上で配管内を清掃し、清掃後に溶接している。この場合、配管の切断と溶接に手間がかかり、清掃中は水を流すことができないという問題に加えて、溶接後には溶接部が適切に溶接されたかを検査する必要があり、更に手間がかかるという課題がある。
【0005】
このような課題に対して、特許文献1には、配管の屈曲継ぎ手部に開閉自在の孔部を設け、孔部から清掃具を挿入することにより配管内を清掃することができる配管システムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−147679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、本発明は、このような課題に対して、簡便に配管内の清掃を行うことができる清掃機能付配管部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、配管内部の清掃が可能な清掃機能付き配管部材であって、
外周面に設けられた開口部と、
前記配管部材の内側に設けられ、前記配管部材の軸方向に沿って延びる清掃部材と、
前記開口部を通って前記配管部材の内外に延びると共に、前記配管部材の内部に対して進退可能に設けられ、前記配管部材の内側の端部が前記清掃部材に連結された操作部材と、
前記清掃部材と前記操作部材の連結部に設けられた、前記開口部と前記操作部材との間をシールするためのシール部材と、
を備えることを特徴とする清掃機能付配管部材である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に記載の清掃機能付配管部材であって、
前記配管部材は、屈曲部を有し、
前記開口部は、前記配管部材の屈曲部の外側に設けられていることを特徴とする清掃機能付き配管部材である。
【0009】
第3の発明は、第1又は2の発明に記載の清掃機能付配管部材であって、
前記操作部材は、前記配管部材の外部の箇所に設けられた、回動可能な折畳部を備えることを特徴とする清掃機能付配管部材である。
【0010】
第4の発明は、第1〜3の発明の何れかに記載の清掃機能付配管部材であって、
前記配管部材と前記操作部材とを、前記操作部材が前記配管部材から最も引き出された状態で固定する固定部材を備えることを特徴とする清掃機能付配管部材である。
【0011】
第5の発明は、第4の発明に記載の清掃機能付配管部材であって、
前記操作部材の所定の箇所にネジ部が形成され、
前記固定部材は、前記ネジ部と螺合するナットであることを特徴とする清掃機能付配管部材である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡便に配管内の清掃を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態である清掃機能付配管部材1を示す図である。同図に示す通り、清掃機能付配管部材1は、配管部材10、ロッド状の操作部材30、固定部材としてのナット40、シール部材としてのOリング50、及び、清掃部材60等を備える。
【0014】
配管部材10は、水等の流体を搬送する配管を構成する部材であり、本実施形態では、配管同士を接続する屈曲した配管継手部材として構成されている。
【0015】
配管部材10の屈曲部外側には、開口部20が設けられている。操作部材30はこの開口部20を通って、配管部材10の内外に延びており、配管部材10に対して進退可能となっている。そして、操作部材30の配管部材10の内側の端部には、清掃部材60が連結されている。なお、開口部20と操作部材30との間のクリアランスは僅かであり、後述のように、配管部材10の清掃時に水を流していても、開口部20からの水の漏出は最小限に抑えられるようになっている。
【0016】
清掃部材60は、配管部材10の軸方向に延びると共に、配管部材10と同様に屈曲しており、上記操作部材30は、清掃部材60の屈曲部に連結されている。Oリング50は、操作部材30と清掃部材60との連結部における操作部材30の周囲に装着されている。また、清掃部材60は、配管部材10の内周断面形状に対応した円弧状の断面形状を有している。したがって、操作部材30を配管部材10の内部から最も引き出した状態では、清掃部材60は配管部材10の内周面の図中上側及び右側にほぼ当接する。
【0017】
操作部材30の外周の、開口部20を通過する箇所近傍には、ネジ部32が設けられている。このネジ部32は、少なくとも操作部材30を配管部材10から最も引き出した状態で、ネジ部32が配管部材10の外部に現れるような範囲に設けられている。
【0018】
また、操作部材30には折畳部34が設けられている。折畳部34は、例えば操作部材30をロッド部材で構成し、このロッド部材をピン接合することにより回動可能に構成されてものであり、操作部材30が配管部材10から最も引き出された状態で配管部材10の外部に位置する箇所に設けられている。
【0019】
次に、本実施形態の清掃機能付配管部材1の使用方法について説明する。
【0020】
先ず、清掃機能付配管部材1の清掃機能を使用しない場合は、図2に示すように、操作部材30を配管部材10から最も引き出した状態とし、操作部材30のネジ部32にナット40を螺合して、配管部材10側へ締め付ける。これにより、配管部材10の清掃部材60との連結部に設けられたOリング50が、配管部材10の内部側より開口部20に押し付けられることで、開口部20がOリング50によってシールされる。また、操作部材30を折畳部34で回動させて折り畳んだ状態とする。
【0021】
この状態では、図2に示すように、清掃部材60が配管部材10の内周面にほぼ当接するため、清掃部材60が配管部材10内の水の流れの障害となることはなく、また、開口部20がOリング50によってシールされるので、配管部材10の内部を流れる水が開口部20から外部へ漏れることもない。また、操作部材30が折畳部34で折り畳まれているので、操作部材30が邪魔になることもない。
【0022】
一方、配管部材10の内部にゴミが溜まって目詰まりを起こす恐れのある状態になると、作業者は、ナット40を緩め、操作部材30を折り畳んだ状態から真っ直ぐに伸ばし、この操作部材30を配管部材10に対して進退移動するように操作する。これにより、図3に示すように、清掃部材60が配管部材10の内部で移動し、配管内の目詰まり部分に当たって、目詰まりをほぐして、目詰まりを解消できる。このとき、上述のように、操作部材30と開口部20との間のクリアランスは小さく、水の漏出は最小限に抑えられるので、この清掃作業は配管部材10内に水を流した状態のまま行うことができる。したがって、水の流れと清掃部材60の動きとがあいまって、配管内をより効率的に清掃することができ、配管部材10内に溜まっていたゴミ等は水によって流し出すことができる。
【0023】
以上の通り、本実施形態の清掃機能付配管部材1によれば、継ぎ手管を外したり配管を溶断したりすることなく、ナット40を緩めて操作部材30を操作するだけで簡便に配管内の清掃を行うことができる。
【0024】
なお、上記実施形態では、目詰まりが配管の屈曲部で特に生じ易いことから、本発明が屈曲配管継手である配管部材10に適用された場合について説明したが、本発明は、これに限らず、図4に示すように構成することで、直管状の配管部材にも適用が可能である。
【0025】
なお、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態である清掃機能付配管部材1を示す図である。
【図2】清掃機能付配管部材1を使用していない場合の状態を示す図である。
【図3】清掃機能付配管部材1を使用している場合の状態を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態である清掃機能付配管部材100を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 清掃機能付配管部材
10 配管部材
20 開口部
30 操作部材
32 ネジ部
34 折畳部
40 ナット(固定部材)
50 Oリング(シール部材)
60 清掃部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内部の清掃が可能な清掃機能付き配管部材であって、
外周面に設けられた開口部と、
前記配管部材の内側に設けられ、前記配管部材の軸方向に沿って延びる清掃部材と、
前記開口部を通って前記配管部材の内外に延びると共に、前記配管部材の内部に対して進退可能に設けられ、前記配管部材の内側の端部が前記清掃部材に連結された操作部材と、
前記清掃部材と前記操作部材の連結部に設けられた、前記開口部と前記操作部材との間をシールするためのシール部材と、
を備えることを特徴とする清掃機能付配管部材。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃機能付配管部材であって、
前記配管部材は、屈曲部を有し、
前記開口部は、前記配管部材の屈曲部の外側に設けられていることを特徴とする清掃機能付き配管部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の清掃機能付配管部材であって、
前記操作部材は、前記配管部材の外部の箇所に設けられた、回動可能な折畳部を備えることを特徴とする清掃機能付配管部材。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の清掃機能付配管部材であって、
前記配管部材と前記操作部材とを、前記操作部材が前記配管部材から最も引き出された状態で固定する固定部材を備えることを特徴とする清掃機能付配管部材。
【請求項5】
請求項4に記載の清掃機能付配管部材であって、
前記操作部材の所定の箇所にネジ部が形成され、
前記固定部材は、前記ネジ部と螺合するナットであることを特徴とする清掃機能付配管部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−142715(P2009−142715A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319972(P2007−319972)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】