説明

清掃用シート

【課題】掃除具への装着が容易で、かつシート交換が容易な清掃用シートを提供する。
【解決手段】基材シートと、基材シートの下面に接合され、繊維が集合してなる繊維集合体と、を備え、掃除具に装着される清掃用シートにおいて、基材シート及び繊維集合体の組が上下方向に複数積層され、複数積層された組のうち最上層の基材シートの上面には、掃除具の底面部に貼着可能な粘着面が形成され、他の基材シートの上面には、長手方向両端部に、上層の基材シートと剥離可能に接着させるための接着部材が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除具に装着される清掃用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清掃用シートを装着可能なヘッド部に、使用者が握るための柄を連結させ、床面の汚れや埃などを払拭して除去することができるようにした掃除具が知られている。このタイプの掃除具において、清掃用シートは、例えば、ヘッド部上面の四隅に設けられた保持部に保持されることにより、ヘッド部に取り付けられるようになっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−272147号公報
【特許文献2】特許第4073267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、使用者が上記掃除具を用いて清掃作業を行っている最中に、ヘッド部から清掃用シートが外れてしまうことがあり、そのような場合、使用者により再度清掃用シートを保持部に取り付ける作業を行う必要があるため、余計な手間が生じていた。
また、一通り清掃作業を終えると清掃用シートが汚れてしまうため、汚れた清掃用シートを保持部から外して、新しい清掃用シートに付け替える必要があり、手間が生じていた。
【0005】
本発明は、掃除具への装着が容易で、かつシート交換が容易な清掃用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
基材シートと、前記基材シートの下面に接合され、繊維が集合してなる繊維集合体と、を備え、掃除具に装着される清掃用シートにおいて、
前記基材シート及び前記繊維集合体の組が上下方向に複数積層され、
前記複数積層された組のうち最上層の前記基材シートの上面には、前記掃除具の底面部に貼着可能な粘着面が形成され、
他の前記基材シートの上面には、長手方向両端部に、上層の前記基材シートと剥離可能に接着させるための接着部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の清掃用シートにおいて、
前記基材シートの上面の長手方向中央部には、複数のエンボスが短手方向に列状に配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の清掃用シートにおいて、
前記基材シートの上面の長手方向中央部には、短手方向に長尺なシート部材が貼り付けられて設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の清掃用シートにおいて、
前記基材シートの上面の長手方向両端部には、長手方向中央側から手指を挿入可能な開口を有するポケット部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の清掃用シートにおいて、
前記基材シートの各々の端部には、上下方向に重ならないように第1突出部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の清掃用シートにおいて、
前記粘着面を構成する粘着シートが上下方向に複数積層されてなることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の清掃用シートにおいて、
前記粘着シートの各々の端部には、上下方向に重ならないように第2突出部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基材シート及び繊維集合体の組が上下方向に複数積層され、複数積層された組のうち最上層の基材シートの上面には、掃除具に貼着可能な粘着面が形成されているので、掃除具の底面部に粘着面を貼着させるという簡易な作業で掃除具への装着を行うことができる。
また、他の基材シートの上面には、長手方向両端部に、上層の基材シートと剥離可能に接着させるための接着部材が設けられているので、最下層の基材シートを剥離するという簡易な作業で未使用の基材シート及び繊維集合体を新たに表出させることができることとなって、シートの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る清掃用シートを掃除具に装着した状態の一例を示す外観側面図である。
【図2】図1の状態から清掃用シートを一枚剥がしている状態の一例を示す外観側面図である。
【図3】剥がした清掃用シートで残ったゴミを捕集する動作を説明するための図である。
【図4】本実施形態に係る清掃用シートの変形例1について示した図である。
【図5】本実施形態に係る清掃用シートの変形例2について示した図である。
【図6】本実施形態に係る清掃用シートの変形例3について示した図である。
【図7】本実施形態に係る清掃用シートの変形例4について示した図である。
【図8】清掃用シートの粘着面の変形例について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る清掃用シート10は、掃除具20に装着されて使用されるようになっている。具体的には、清掃用シート10は、使用者が掃除具20を操作するために握る柄21が連結されたヘッド部22の底面部22aに貼着されることにより、掃除具20に装着されるようになっている。
なお、以下の説明では、清掃用シート10において、長手方向一端側を左側、他端側を右側とし、短手方向一端側を前側、他端側を後側とし、前後方向及び左右方向の双方に直交する方向を上下方向とする。
【0017】
清掃用シート10は、基材シート11と、基材シート11の一方の面(図1では下面)に接合され、繊維が集合してなる繊維集合体12と、を一組として、これらが上下方向に複数組積層された構成となっている。例えば、図1に示す例では、基材シート11及び繊維集合体12が三組積層された構成となっている。
そして、清掃用シート10は、最下層の基材シート11に接合された繊維集合体12により床の汚れや埃などを絡め取ることによって、当該床の汚れや埃などを除去するようになっている。
【0018】
基材シート11は、長手方向(左右方向)に長尺な矩形状を成している。基材シート11は、所定の繊維を繊維素材として、例えば、スパンレース、エアスルー、エアレイド、ポイントボンド、スパンボンド、ニードルパンチ等の周知の技術により製造される不織布である。
所定の繊維としては、例えば、レーヨン、リヨセル、テンセル、コットン等のセルロース系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
ここで、最上層の基材シート11は、繊維集合体12で覆われていない面(図1では上面)の全面又は所定の部分が粘着性の材質で構成された粘着面11aとなっており、この粘着面11aを介して、掃除具20(ヘッド部22の底面部22a)に貼着されるようになっている。なお、粘着面11aは、底面部22aと容易に剥離可能な程度の粘着力を有している。従って、最上層の基材シート11及び繊維集合体12まで使用した場合に、最上層の基材シート11を容易に剥離することができるので、清掃用シート10の付け替えを容易に行うことができる。
【0020】
また、最上層以外の他の基材シート11は、繊維集合体12で覆われていない面(図1では上面)の長手方向両端部(左端部及び右端部)に、上層の基材シート11と接着させるための接着部材13,13が設けられている。ここで、接着部材13,13は、その下面において基材シート11と剥離不能な程度に接着されているのに対し、その上面においては上層の基材シート11と容易に剥離可能な程度に接着されている。即ち、使用者が最下層の基材シート11を剥離する際、その基材シート11の上面に接着された接着部材13,13が上層の基材シート11から剥離されることとなる(図2参照)。
なお、接着部材13,13の厚みは、上層の基材シート11に接合された繊維集合体12が下方の基材シート11と接触することのない程度の厚みであることが好ましい。そのため、例えば、接着部材13,13の下面と基材シート11との間にスポンジ状の部材を設けるようにしてもよい。
【0021】
繊維集合体12は、所定の繊維が所定の接合手段により基材シート11に接合されることによって、形成されている。
所定の接合手段としては、例えば、ホットメルト等の公知の接着剤、ヒートシール、超音波シール、縫製、ステープラ、植毛が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
所定の繊維としては、例えば、レーヨン、リヨセル、テンセル、コットン等のセルロース系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
次に、清掃用シート10の使用方法について説明する。
まず、清掃用シート10を掃除具20に装着する。具体的には、掃除具20のヘッド部22の底面部22aに、最上層の基材シート11の上面に形成された粘着面11aを貼着することにより、清掃用シート10を掃除具20に装着する。
そして、使用者は、清掃用シート10が装着された掃除具20の柄21を握り、最下層の基材シート11に接合された繊維集合体12で床面の汚れや埃などを払拭して除去する。
【0023】
一通り清掃作業を終えると、最下層の基材シート11及び繊維集合体12が汚れるので、使用者は、図2に示すように、最下層の基材シート11を剥離することにより、未使用の基材シート11及び繊維集合体12を新たに表出させる。この表出された基材シート11及び繊維集合体12により、新たに清掃作業を行うことが可能となる。
【0024】
また、使用者は、図3に示すように、剥離された基材シート11を上面側から折り畳むような形で掴み取ることにより、繊維集合体12で捕り切れなかったゴミを捕集することができる。このとき、使用者は、汚れた面に触れることなくゴミの捕集を行うことができるので、手を汚すことなく快適に作業を行うことができる。
或いは、基材シート11の上面に設けられた接着部材13,13の上面の粘着力を利用して、ゴミを捕集することもできる。
【0025】
以上のように、本実施形態に係る清掃用シート10によれば、基材シート11及び繊維集合体12の組が上下方向に複数積層され、複数積層された組のうち最上層の基材シート11の上面には、掃除具20(ヘッド部22)の底面部22aに貼着可能な粘着面11aが形成されているので、掃除具20の底面部22aに粘着面11aを貼着させるという簡易な作業で掃除具20への装着を行うことができる。
また、他の基材シート11の上面には、長手方向両端部に、上層の基材シート11と剥離可能に接着させるための接着部材13,13が設けられているので、最下層の基材シート11を剥離するという簡易な作業で未使用の基材シート11及び繊維集合体12を新たに表出させることができることとなって、シートの交換を容易に行うことができる。
【0026】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。なお、説明の簡略化のため、実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0027】
<変形例1>
例えば、図4に示す例では、基材シート11の上面の長手方向(左右方向)中央部に、複数のエンボス14、…を短手方向(前後方向)に一列に配置させるようにしている。なお、図4では、エンボス14、…を一列に配置させる構成を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、エンボス14、…を二列に配置させるようにしてもよい。
このように、変形例1に係る清掃用シート10によれば、基材シート11の上面の長手方向中央部には、複数のエンボス14、…が短手方向に列状に配置されているので、使用者が剥離された基材シート11を上面側から掴み取る際に、複数のエンボス14、…が折り目の役割を果たすため、基材シート11を容易に掴み取ることができることとなって、清掃作業を容易にすることが可能となる。
【0028】
<変形例2>
例えば、図5に示す例では、基材シート11の上面の長手方向(左右方向)中央部に、短手方向(前後方向)に長尺なシート部材15が貼り付けられて設けられている。
このように、変形例2に係る清掃用シート10によれば、基材シート11の上面の長手方向中央部には、短手方向に長尺なシート部材15が貼り付けられて設けられているので、使用者が剥離された基材シート11を上面側から掴み取る際に、シート部材15が折り目の役割を果たすため、基材シート11を容易に掴み取ることができることとなって、清掃作業を容易にすることが可能となる。
【0029】
<変形例3>
例えば、図6(A)に示す例では、基材シート11の上面の長手方向両端部(左端部及び右端部)、即ち、接着部材13,13が接着された部分に、長手方向中央側に開口を有するポケット部16,16が形成されている。そして、使用者は、図6(B)に示すように、ポケット部16,16の開口から手指を挿入し、折り畳むような形で基材シート11を掴み取る。
このように、変形例3に係る清掃用シート10によれば、基材シート11の上面の長手方向両端部には、長手方向中央側から手指を挿入可能な開口を有するポケット部16,16が形成されているので、使用者が剥離された基材シート11を上面側から掴み取る際に、基材シート11を容易に掴み取ることができることとなって、清掃作業を容易にすることが可能となる。
なお、図6(C)に示すように、ポケット部16の一方を裏返すことで形成された空間に、他方のポケット部16が形成された端部を挿入することで、捕集したゴミを包んで処理することが可能となる。
【0030】
<変形例4>
例えば、図7に示す例では、上下方向に積層された基材シート11の各々の後端部に、タブ状の第1突出部17が、上下方向に重ならないように設けられている。なお、図7では、第1突出部17を基材シート11の後端部に設ける構成を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、基材シート11の前端部に設けるようにしてもよいし、左端部や右端部に設けるようにしてもよい。
このように、変形例4に係る清掃用シート10によれば、基材シート11の各々の端部には、上下方向に重ならないように第1突出部17が設けられているので、使用者は最下層に位置する第1突出部17を足で床に押えた状態で掃除具20を上方に引っ張ることで、最下層の基材シート11を容易に剥離することができることとなって、清掃作業を容易にすることが可能となる。
【0031】
また、上記実施形態では、最上層の基材シート11の上面に粘着面11aを形成しているが、例えば、図8に示すように、粘着面11aを構成する粘着シート110、…を上下方向に複数重ね合わせた構成としてもよい。
このように、粘着面11aを複数枚の粘着シート110、…で構成することにより、最上層の粘着シート110の粘着力が弱まって、掃除具20への貼着に不具合が生じたような場合に、最上層の粘着シート110を剥離することで、新たな粘着シート110を表出させることができることとなって、再度掃除具20への貼着を行うことが可能となる。
なお、上記の構成によれば、図7に示した基材シート11の第1突出部17のように、粘着シート110、…の各々の端部に第2突出部18を設ける(図8参照)ことで、使用者はこの第2突出部を上方に引っ張ることで最上層の粘着シート110を容易に剥離することができることとなって、掃除具20への貼着作業を容易にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
10 清掃用シート
11 基材シート
11a 粘着面
110 粘着シート
12 繊維集合体
13 接着部材
14 エンボス
15 シート部材
16 ポケット部
17 第1突出部
18 第2突出部
20 掃除具
21 柄
22 ヘッド部
22a 底面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと、前記基材シートの下面に接合され、繊維が集合してなる繊維集合体と、を備え、掃除具に装着される清掃用シートにおいて、
前記基材シート及び前記繊維集合体の組が上下方向に複数積層され、
前記複数積層された組のうち最上層の前記基材シートの上面には、前記掃除具の底面部に貼着可能な粘着面が形成され、
他の前記基材シートの上面には、長手方向両端部に、上層の前記基材シートと剥離可能に接着させるための接着部材が設けられていることを特徴とする清掃用シート。
【請求項2】
前記基材シートの上面の長手方向中央部には、複数のエンボスが短手方向に列状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項3】
前記基材シートの上面の長手方向中央部には、短手方向に長尺なシート部材が貼り付けられて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項4】
前記基材シートの上面の長手方向両端部には、長手方向中央側から手指を挿入可能な開口を有するポケット部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の清掃用シート。
【請求項5】
前記基材シートの各々の端部には、上下方向に重ならないように第1突出部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の清掃用シート。
【請求項6】
前記粘着面を構成する粘着シートが上下方向に複数積層されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の清掃用シート。
【請求項7】
前記粘着シートの各々の端部には、上下方向に重ならないように第2突出部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の清掃用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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