説明

清掃用パッド、清掃用パッドの積層体、及び清掃具

【課題】 清掃後には水洗便器等に使い捨てることが可能でありながら、清掃中においては、洗浄性、操作性、及び形状安定性に優れた清掃用パッド、該清掃用パッドの積層体、及び該清掃用パッド又は清掃パッドの積層体を保持してなる清掃具を提供する。
【解決手段】 水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の間に水解性パルプを含む中間層を挟んで構成されたパッドが、洗浄剤組成物を含むことを特徴とする清掃用パッド、該清掃用パッドの積層体、及びこれらを保持してなる清掃具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用パッド、清掃用パッドの積層体、及び清掃具に関し、より詳細には、トイレ掃除等に用いられる清掃用パッド、清掃用パッドの積層体、及び清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレの便器等の硬質表面に付着した汚れを清掃するための清掃具としては、例えば、木やプラスチック製の柄の先端にブラシやスポンジなどの清掃部材を取り付けたものが使用されている。このような清掃具は、手を汚すことなく清掃を行えるものの、清掃後のブラシやスポンジに便器内に付着していた汚物が残ってしまうことがある。この清掃後のブラシ等に残った汚物は、水洗トイレの水流に晒すのみでは洗い流せないことも多く、このような汚れをブラシ等に付着させたまま収納することは、衛生面からも非常に問題がある。また、汚れたブラシ等を手などで洗うことには心理的な抵抗も大きい。
【0003】
上記のような問題に鑑み、例えば、特許文献1には、清掃中に徐々に水に溶ける水解性のパッドと、該パッドを保持するホルダと、該ホルダに取り付けた握持用の握り棒とからなる清掃具が開示されている。また、特許文献2には、従来のトイレ用ブラシのたわしやスポンジに代えて、先端部にロール状などに形成させれた水溶性のトイレ掃除用ぞうきん等を装着し、清掃後にぞうきん部のみを取り外しトイレに流すトイレ用ブラシが開示されている。さらに、特許文献3には、清掃部を水で分解しうる紙で構成し、清掃部を保持する保持部及び保持部と一体形成された柄を樹脂又は厚紙で形成し、清掃部と保持部を着脱可能にした掃除具が開示されている。
しかしながら、清掃後には水洗便器等に使い捨てることが可能でありながら、清掃中においては、洗浄性、操作性、及び形状安定性に優れた清掃用部材としては、未だ満足のいくものは提供されていないのが現状である。
【特許文献1】特開平8−215104号公報
【特許文献2】特開2001−46279公報
【特許文献2】特開2000−279344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成するとことを課題とする。即ち、本発明の目的は、清掃後には水洗便器等に使い捨てることが可能でありながら、清掃中においては、洗浄性、操作性、及び形状安定性に優れた清掃用パッド、該清掃用パッドの積層体、及び該清掃用パッド又は清掃パッドの積層体を保持してなる清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の構成を有する清掃用パッドに洗浄剤組成物を含ませることにより、前記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
前記目的を達成するための手段は以下の通りである。
<1> 水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の間に中間層を挟んで構成されたパッドが、洗浄剤組成物を含むことを特徴とする清掃用パッドである。
<2> 研磨剤を更に含むことを特徴とする前記<1>に記載の清掃用パッドである。
<3> 前記研磨剤が、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、及び、珪藻土からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記<4>に記載の清掃用パッドである。
【0007】
<4> 前記洗浄剤組成物が、前記水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の少なくとも一層に含まれることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の清掃用パッドである。
<5> 前記洗浄剤組成物及び前記研磨剤が、前記解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の少なくとも一層に含まれることを特徴とする前記<2>又は<3>に記載の清掃用パッドである。
【0008】
<6> 前記洗浄剤組成物が、前記中間層に含まれることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の清掃用パッドである。
<7> 前記研磨剤が、前記中間層に含まれることを特徴とする前記<2>〜<6>のいずれか1項に記載の清掃用パッドである。
【0009】
<8> 前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の清掃用パッドを2個以上積層してなることを特徴とする清掃用パッドの積層体である。
<9> 前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の清掃用パッドを2個積層してなることを特徴とする清掃用パッドの積層体である。
<10> 水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の一方の層に洗浄剤及び研磨剤を含み、該水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の間に水解性パルプを含む中間層を挟んで構成された2個の清掃用パッドが、洗浄剤及び研磨剤を含む面を対面させて積層されたことを特徴とする清掃用パッドの積層体である。
<11> 積層された2個の清掃用パッド間に、更に他の清掃用パッドを挟んでなることを特徴とする前記<9>又は<10>に記載の清掃用パッドの積層体である。
【0010】
<12> 前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の清掃用パッドと、該パッドを保持する保持具と、からなることを特徴とする清掃具である。
<13> 前記<8>〜<11>のいずれか1項に記載の清掃用パッドの積層体と、該積層体を保持する保持具と、からなることを特徴とする清掃具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、清掃後には水洗便器等に使い捨てることが可能でありながら、清掃中においては、洗浄性、操作性、及び形状安定性に優れた清掃用パッド、該清掃用パッドの積層体、及び該清掃用パッド又は清掃パッドの積層体を保持してなる清掃具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
[清掃用パッド]
本発明の清掃用パッドは、水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の間に水解性パルプを含む中間層を挟んで構成されたパッドが、洗浄剤組成物を含むことを特徴とする。
本発明の清掃用パッドは、水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の間に水解性パルプを含む中間層を挟んで構成され、後に詳述するように、水分を含ませた場合であっても清掃に要する時間内においては、パッドの形状を安定に保持するように構成されているため、清掃中にパッドの型崩れを起こすことがなく清掃作業の操作性に優れ、便器等の被清掃面に付着した汚れを効果的に除去することができる。また、本発明の清掃用パッドは洗浄剤組成物を含んでおり、清掃時に洗浄剤組成物に水分が供給された際に、パッドから液状の洗浄剤組成物が流れ出ることにより、洗浄性をより一層向上させることができる。さらに、本発明の清掃用パッドは、水解性又は水溶性の素材により構成されていることから、清掃後は水洗トイレ等に流して使い捨てることができ、極めて衛生的に使用できるという優れた効果も有する。
【0013】
本発明の清掃用パッドは、トイレ、風呂場、台所、などの清掃用に使用しうるが、特にトイレの便器の清掃用に使用することが好適である。また、本発明の清掃用パッドは、水分解性又は水溶性の素材から構成されているため、水洗トイレの便器清掃用に使用する場合であれば、清掃後はそのまま水に流すこともできる。
【0014】
本発明の清掃用パッドは、使用後に水洗トイレ等にそのまま流せるようにするため、水分解性を有している必要である。
ここで、本発明の清掃用パッド(又は後述する本発明の清掃用パッドの積層体)が有する水分解性としては、トイレットペーパーに要求される水解性を有するものであれば、トイレ等にそのまま流した際に排水管が詰まる等のトラブルは生じないものと考えられる。トイレットペーパーの水解性に関しては、JIS P 4501(1999年度版)に、ほぐれやすさについての規格がある。本発明の清掃用パッド及び清掃用パッドの積層体は、その形状等がトイレットペーパーとは大きく異なることから、上記JIS規格をそのまま適用することはできないが、以下の判断指標を満たすものであれば、上記JIS規格に準拠したほぐれやすさを有するトイレットペーパーと同等のほぐれやすさ(水解性)を有しているものと判断される。
【0015】
<水解性の判断指標>
(1)評価方法
a.2000mLの共栓付メスシリンダーに20℃の水道水を1000mL入れる。
b.試料(使用に供される態様の清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体)を、上記メスシリンダー中に入れ、共栓をしっかり閉める。
c.試料を入れたメスシリンダーの上部と底部を両手で支え、ゆっくりと逆さにする。
d.メスシリンダーをゆっくり元に戻し、正倒立の操作をし、3秒程度静止させ試料の状態を観察する。
e.c及びdの操作を繰り返し、試料の分解程度を観察する。
(2)評価
下記評価基準により評価を行い、その結果が、△以上である場合が水解性があり実用上問題のないレベルと判断するが、○であることが好ましい水解性レベルであり、◎であることが特に好ましい水解性レベルである。
−評価基準−
◎:試料がシリンダーの正倒立の繰り返し回数、5回以下で分解する。
○:試料がシリンダーの正倒立の繰り返し回数、6〜10回で分解する。
△:試料がシリンダーの正倒立の繰り返し回数、11〜15回で分解する。
×:試料がシリンダーの正倒立の繰り返し回数、15回以上でも分解しない。
【0016】
清掃用パッドの水分解性の調整は、清掃用パッドを構成する水解性不織布又は水溶性パルプ紙、水溶性パルプなどの各種素材の組合せの調整、パッドの密度や目付け、パッドの形状、大きさ、厚み等の調整、などにより行うことができる。
【0017】
本発明の清掃用パッドの構成について、図面を用いてより具体的に説明する。
図1は、本発明の清掃用パッドの実施態様の一例である。図1中、1a及び1bは水解性不織布又は水溶性パルプ紙を示し、2は水溶性パルプを含む中間層を示す。
図1中、1bの斜線部は、本発明の好適な態様の一つである、水解性不織布又は水溶性パルプ紙が洗浄剤組成物(及び研磨剤)を含む態様を表しているが、当然のことながら、本発明はこの態様に限定さるものではなく、洗浄剤組成物(及び研磨剤)は1a及び1bの双方に含まれていてもよいし、1a、1b及び2の総てに含まれていてもよい。清掃用パッドの形状については、図1のように直方体であっても、又は、円形や楕円形等の他の形状に構成してもよい。また、パッドの先端部は、図1に示すように鋸歯状に形成されていてもよい。以下、本発明の清掃用パッドの各構成要素について詳細に説明する。
【0018】
(水解性不織布、水溶性パルプ紙)
−水解性不織布−
本発明における水解性不織布としては、水解性の材質であれば特に限定されないが、例えば、天然セルロース繊維を主体としたスパンレース不織布等が好適に用いられる。
【0019】
−水溶性パルプ紙−
本発明に適用しうる水溶性パルプ紙としては、例えば、天然セルロース繊維から得られる紙が挙げられ、湿式紙などが好適に用いられる。
【0020】
本発明の清掃用パッドは、当該パッドを構成する二層の最表層(表層又は裏層)として、上記水解性不織布、又は、水溶性パルプ紙を用いるものである。本発明の清掃用パッドにおいては、表層及び裏層の双方が、水解性不織布又は水溶性パルプ紙により構成されていてもよいし、いずれか一方の層が水解性不織布であり、他方の層が水溶性パルプ紙により構成されていてもよい。本発明においては、表層及び裏層の双方が同一の素材で構成されていることが寄り好ましく、表層及び裏層の双方が水解性不織布で構成されていることが特に好ましい。
【0021】
また、本発明における水解性不織布又は水溶性パルプ紙からなる層(一層)の厚さとしては、特に制限されないが、通常、50〜300μm程度である。
【0022】
(中間層)
本発明における中間層は、水溶性パルプを含む層であり、上記水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の間に挟まれて構成される。
本発明の清掃用パッドにおいては、中間層は水溶性パルプを含む層であるため、本発明の清掃用パッドが含む洗浄剤組成物が、清掃時に水分を供給されることにより液体洗浄剤として機能する際に、この液体洗浄剤を清掃用パッド中に保持することができ、洗浄効果を持続させることができる。
【0023】
本発明に適用しうる水溶性パルプとしては、例えば、天然セルロース繊維からなるパルプ等が好適に用いられる。
【0024】
本発明の清掃用パッドにおける中間層の厚さとしては、適宜設定可能であるが、通常、5〜20mm程度の厚さに形成される。
【0025】
(洗浄剤組成物)
本発明の清掃用パッドは、洗浄剤組成物を含むことを特徴とする。
本発明における洗浄剤組成物としては、清掃用パッドが用いられる清掃対象物に応じて適宜選択することができる。
【0026】
本発明に好適な洗浄剤組成物としては、例えば、界面活性剤(洗浄効果を主とするもの)、泡調整剤、防腐剤、着色剤(顔料、染料)等の成分を含有する洗浄剤組成物が挙げられる。これらの各成分の他、漂白成分、溶剤、香料、殺菌剤、除菌剤、防汚剤、消臭剤、発泡剤、消泡剤、キレート剤、pH調整剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、等の他の成分を必要に応じて含有してもよい。
【0027】
上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、特に、硫酸エステル塩、スルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、及び、高級アルコール、アルキルエーテル等のポリエチレングリコールエーテル型の非イオン系界面活性剤が好ましい。
【0028】
上記泡調整剤としては、洗浄剤組成物に適用可能な公知の泡調整剤を用いうるが、高級脂肪酸のアルカノールアミドが最も好ましい。
【0029】
上記防腐剤としては、洗浄剤組成物に用いられる公知の防腐剤を用いることができる。また、市販の防腐剤を用いることもでき、例えば、ケーソン(ローム&ハース社製)、バイオバン(ダウ社製)、デニサイド(ナガセ社製)等が挙げられる。
【0030】
上記着色剤(顔料、染料)は、視覚的に洗浄範囲を把握できるなど使用者の清掃満足度の点から含有されることが好ましい。適用可能な着色剤(顔料、染料)としては、例えば、直接染料、酸性染料、水溶性有機顔料等が挙げられ、これらの中でも酸性染料が好ましい。
【0031】
洗浄剤組成物に含有しうる他の成分の中でも、漂白成分を含有させることが好ましい。本発明に適用可能な漂白成分としては、例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩、ペルオキシ硫酸水素塩、過燐酸塩、過珪酸塩、塩素化イソシアヌル酸化合物、塩化ナトリウム過酸化水素付加物、などが挙げられる。洗浄剤組成物中における漂白成分の含有量としては、洗浄剤組成物を構成する全固形分に対して、1〜30質量%程度であることが好ましい。
【0032】
以下に、本発明に適用しうる洗浄剤組成物の実施態様について、その成分及び含有量の好適な範囲を挙げるが、当然のことながら本発明はこれに限定されるものではない。
<洗浄剤組成物の実施態様>
<成分> <含有量>
・高級アルコール硫酸エステルナトリウム … 5〜20質量%
・アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム … 2〜20質量%
・やし油脂肪酸アルカノールアミド … 3〜20質量%
・防腐剤(ケーソン、ローム&ハース社製) … 少量
・着色剤(アシッドブルー#9) … 少量
・精製水 … バランス
合計 100質量%
【0033】
本発明における洗浄剤組成物の含有量としては、清掃用パッドを構成する基材の全質量に対し、1〜30質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。
【0034】
本発明における洗浄剤組成物は、使用前の清掃用パッド中に乾燥状態で含ませることが好適であり、清掃時に清掃用パッドに水分が供給されることにより、この乾燥した洗浄剤組成物が溶解して液状の洗浄剤組成物となり清掃用パッド中に保持される。この液体洗浄剤組成物が、清掃中に被清掃物を清掃用パッドで摩擦する際にパッド中から流れ出し洗浄効果を向上させる。
【0035】
本発明においては、洗浄剤組成物が、水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の少なくとも一層に含まれることが好ましい。また、洗浄剤組成物は、清掃用パッドの最表層である水解性不織布又は水溶性パルプ紙の全体に含まれていてもよいし、一部分にのみ含まれていてもよい。
洗浄剤組成物が、清掃用パッドの最表層である水解性不織布又は水溶性パルプ紙に含まれることにより、清掃用パッドに水分が供給された際に洗浄剤組成物の溶解等が迅速に行われ、液状の洗浄剤組成物を被清掃面に直接且つ連続的に付与できることから洗浄効果をより一層向上させることができる。
【0036】
また、本発明における洗浄剤組成物は、中間層に含まれていてもよい。この場合、水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の少なくとも一層、及び、中間層の双方に、洗浄剤組成物が含まれる態様であってもよいし、中間層のみに洗浄剤組成物が含まれる態様であってもよい。また、洗浄剤組成物は、中間層中に均等に含まれていてもよいし、層状に含まれていてもよい。
【0037】
本発明の清掃用パッドが浄剤組成物を含む態様としては、乾燥した洗浄剤組成物を清掃用パッド基材中に直接含ませる態様のみならず、例えば、洗浄剤組成物をマイクロカプセル中に内包させ基材中に分散させる態様、洗浄剤組成物を水溶性パウチ内に内包させ基材中に存在させる態様、洗浄剤組成物をゲル化させて含ませる態様、等の各種の態様を適用することができる。
【0038】
(研磨剤)
本発明の清掃用パッドは、上記した洗浄剤組成物と共に、研磨剤を更に含むことが好ましい。研磨剤を含むことにより、液状の洗浄剤では除去しきれない汚れを、効果的に除去することが可能になり、洗浄性を一層向上させることができる。
本発明における研磨剤としては、本発明の使用対象である便器等の硬質表面の汚れの除去に用いられる公知の研磨剤を適用可能である。具体的には、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、及び、珪藻土からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、硬度、安全性、価格の点からは、アルミナであることがより好ましい。研磨剤の平均粒子径としては、20〜150μmであることが好ましく、40〜60μmであることがより好ましい。
【0039】
本発明の清掃用パッドにおける研磨剤の含有量しては、特に制限はないが、清掃用パッドの全質量対して、1〜20質量%程度であることが好ましく、3〜8質量%程度であることがより好ましい。
【0040】
本発明においては、洗浄剤組成物と研磨剤とが、水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の少なくとも一層に含まれることが特に好ましい。また、洗浄剤組成物と研磨剤とが、中間層に含まれることも好ましい態様である。この場合、水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の少なくとも一層と、中間層の双方に、洗浄剤組成物及び研磨剤が含まれていてもよいし、中間層のみに洗浄剤組成物及び研磨剤が含まれていてもよい。
【0041】
(その他)
本発明における清掃用パッドは、水解性不織布又は水溶性パルプ紙と中間層との接着性の観点から、バインダーを含んでいることが好ましい。
バインダーの含有態様としては、水解性不織布又は水溶性パルプ紙と中間層との界面に含有させる態様、水解性不織布又は水溶性パルプ紙中に含有させる態様、水解性不織布又は水溶性パルプ紙と中間層との双方に含有させる態様、など種々の態様を採ることができる。バインダーとしては、例えば、ポリエチレン等の公知の熱融着性物質が挙げられる。バインダーの含有量としては、清掃用パッドの全質量に対し、2〜20質量%程度が好ましく、5質量%程度がより好ましい。
【0042】
また、清掃用パッドには、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらに心材を含ませることもできる。心材としては、例えは、ワイヤーメッシュ(パッドの強度補強、形状安定等に好適)、砂状物等の骨材(大きな汚れのこびりつきの除去等に好適)、吸水性のビーズ等、目的に応じて適宜選択することができる。
【0043】
本発明の清掃用パッドの形状については、特に制限はなく、直方体、円形、楕円形、等種々の形状に構成することができる。また、清掃用パッドの大きさについても、使用目的に応じて適宜選択される。
【0044】
本発明の清掃用パッドは、その一端を保持具で挟持して使用することが好ましい。本発明に好適な保持具については、後述する本発明の清掃具の説明において詳述する。
保持具により挟持するに際しては、清掃用パッドの一端を保持具に挟持させればよい。或いは、清掃パッドを折り返し、折り返した状態におけるパッドの長さ方向の一端から所定の距離の部分を被挟持部として形成し、該被挟持部を保持具により挟持させることもできる。ここで、図2(a)及び図2(b)は清掃用パッドを折り返して使用する態様の一例を示す図である。図2(a)及び図2(b)中、1a及び1bは、水解性不織布又は水溶性パルプ紙を示す。2は水溶性パルプを含む中間層を示す。なお、図2(a)及び図2(b)中、1bの斜線部は水解性不織布又は水溶性パルプ紙が洗浄剤組成物(及び研磨剤)を含む態様を表しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図2(a)におけるA、及び、図2(b)におけるBは、折り返した状態のパッドにおいて被挟持部を形成する部分である。
図2(a)の態様では、A部分を保持具により挟持することで、清掃用パッドを、平板状のまま挟持させた場合に比して嵩高くすることができ、パッドの強度や洗浄効果の持続性を向上させることができる。また、図2(b)の態様では、B部分を保持具により保持させることで、清掃する際に、保持具により挟持された部分を基点に、清掃用パッドをV字状に開いて使用することができ、被清掃面に対するパッドの接触面積が大きくなるとともに、清掃時のパッドの動きを多様化することができ、パッドの操作性及び洗浄効果をより一層向上させることができる。
【0045】
−清掃用パッドの製造方法−
本発明の清掃用パッドは、例えば、2枚の連続したシート状の水解性不織布又は水溶性パルプ紙間に、水解性パルプを供給した後、圧着処理を施し、更に任意の大きさに切断することにより製造できる。清掃用パッドに含まれる洗浄剤組成物等については、清掃用パッドの製造工程のいずれかの段階において付与することができる。
【0046】
[清掃用パッドの積層体]
本発明の清掃用パッドの積層体は、本発明の清掃用パッドを2個以上積層してなることを特徴とする。清掃用パッドを積層体にすることにより。清掃時におけるパッドの動きを多様化させることができ、清掃用パッドを単層で用いた場合に比して、洗浄効果をより向上させることができる。本発明の清掃用パッドの積層体における積層枚数としては、特に限定されないが、以下に述べるようような、2個又は3個積層した積層体であることが好ましい。
【0047】
本発明の清掃用パッドの積層体のより好適な態様は、本発明の清掃用パッドを2個積層してなる清掃用パッドの積層体である。
このような、本発明の清掃用パッドを2個積層してなる清掃用パッドの積層体としては、水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の一方の層に洗浄剤及び研磨剤を含み、該水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の間に水解性パルプを含む中間層を挟んで構成された2個のパッドが、洗浄剤及び研磨剤を含む面を対面させて積層された態様であることがより好ましい。
図3は、本態様の清掃用パッドを2個積層してなる積層体を示す一例である。図3において、1a及び1bは、水解性不織布又は水溶性パルプ紙を示し、2は水溶性パルプを含む中間層示す。図3中、2個積層された清掃用パッド中の1bにおける斜線部が、洗浄剤組成物及び研磨剤を含む部分である。
【0048】
本態様においては、このように2個の清掃用パッドを積層したことにより、清掃する際にこの2個のパッドが、保持具により保持された部分を基点にV字状に開くことができることから、被清掃面に対する接触面積を大きくすることができるとともに、パッドの動きを多様化させることができる。更に、このV字状に開いた内側の面を構成する水解性不織布又は水溶性パルプ紙が、洗浄剤及び研磨剤を含むことから、清掃用パッドに水分が供給された際に洗浄剤組成物の溶解等が迅速に行われ、液状の洗浄剤組成物を被清掃面に直接且つ連続的に付与でき、単層の清掃用パッドを使用する場合に比し、洗浄効果をより一層向上させることができる。
【0049】
本発明の清掃用パッドの積層体として最も好ましい態様は、上述した清掃用パッドを2個積層した積層体(本発明の積層体)を構成する2個のパッド間に、更に、他の清掃用パッドを挟んで、3個のパッドを積層する態様に構成されたものである。ここでいう他の清掃用パッドとしては、本発明の清掃用パッドと同様のもの(洗浄剤組成物を含む態様)であってもよいし、本発明の清掃用パッドと同様の層構成で洗浄剤組成物を含まない態様であってもよいし、水解性又は水溶性の素材により構成される他のパッドであってもよい。製造コスト等の観点からは、本発明の清掃用パッドと同様の層構成のものを、他の清掃用パッドとすることが好ましい。
【0050】
2個のパッド間に更に他のパッドを挟んで積層体とすると、使用時に中間のパッド(他のパッド)の形状が崩れて、両端の2個のパッドの間隔(V字状の間隔)を広げるように作用することから、積層体を構成する水分を含んだパッド同士が互いに付着することを防止でき、清掃時における操作性をより向上させることができる。
【0051】
図4は、本態様の清掃用パッドの積層体を示す一例である。図4において、1a及び1bは、水解性不織布又は水溶性パルプ紙を示し、2は水溶性パルプを含む中間層を示し、3は他のパッドを示す。図4中、1bにおける斜線部は、洗浄剤組成物及び研磨剤を含むことを示す。
【0052】
[清掃具]
本発明の清掃用パッド及び清掃用パッドの積層体は、保持具に保持されて清掃具として供される。即ち、本発明の清掃具は、本発明の清掃用パッドと、該パッドを保持する保持具と、からなることを特徴とする。また、本発明の清掃具の他の態様は、本発明の清掃用パッドの積層体と、該パッドを保持する保持具と、からなることを特徴とする。
保持具による保持の態様としては、清掃中に清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体を、に保持しうる態様であれば特に限定されないが、清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体を挟持する態様が好ましい。
【0053】
以下、図面に基づいて本発明の清掃具を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図5及び図6は、本発明の清掃具に適用しうる保持具の一態様である。図5及び6において、本発明における保持具は、挟持部10、操作部11、及び清掃具本体12からなる。
挟持部10は、本発明の清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体を保持する部材である。挟持部10は、中空の清掃具本体12の内部を通って操作部11と連通しており、操作部11を挟持部10方向にスライドさせると、図5に示すように、挟持部10が清掃具本体12の外部に出て開く。この開いた挟持部10に、清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体(不図示)を挟み、操作部11を挟持部10と逆方向にスライドさせると、図6に示すように、挟持部10は、清掃具本体12の内部に収納されると共に閉じ、清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体が保持される。清掃終了後は、操作部11を挟持部10方向にスライドさせれば、使用後の清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体を容易に取り外すことができる。
図7は、挟持部10が本発明の積層体13を保持した状態を示す部分拡大図である。
本発明の清掃具における保持具を、上記のごとき構成にすると、清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体を簡単に保持具に装着できるとともに、使用後の清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体に手を触れることなく廃棄することができ衛生的である。
前述したごとく、本発明の清掃用パッド又は清掃用パッドの積層体は水分解性を有しているため、水洗トイレを清掃する場合であれば、使用後の清掃用パッド等を便器中に直接廃棄して水で流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の清掃用パッドの一態様を示す図である。
【図2】図2(a)は、本発明の清掃用パッドを折り返して使用する態様の一例を示す図である。図2(b)は、本発明の清掃用パッドを折り返して使用する態様の他の例を示す図である。
【図3】本発明の清掃用パッドの積層体の一態様を示す図である。
【図4】本発明の清掃用パッドの積層体の他の態様を示す図である。
【図5】本発明の清掃具における保持具の一例を示す図である(挟持部が開いた状態)。
【図6】本発明の清掃具における保持具の一例を示す図である(挟持部が閉じた状態)。
【図7】本発明の清掃具における保持具が、清掃用パッドの積層体を保持した状態を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0055】
1a 水解性不織布又は水溶性パルプ紙
1b 水解性不織布又は水溶性パルプ紙
2 中間層
3 他のパッド
A 被挟持部
B 被挟持部
10 挟持部
11 操作部
12 清掃具本体
13 清掃用パッドの積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の間に水解性パルプを含む中間層を挟んで構成されたパッドが、洗浄剤組成物を含むことを特徴とする清掃用パッド。
【請求項2】
研磨剤を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の清掃用パッド。
【請求項3】
前記研磨剤が、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、及び、珪藻土からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の清掃用パッド。
【請求項4】
前記洗浄剤組成物が、前記水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の少なくとも一層に含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の清掃用パッド。
【請求項5】
前記洗浄剤組成物及び前記研磨剤が、前記水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の少なくとも一層に含まれることを特徴とする請求項2又は3に記載の清掃用パッド。
【請求項6】
前記洗浄剤組成物が、前記中間層に含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の清掃用パッド。
【請求項7】
前記研磨剤が、前記中間層に含まれることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の清掃用パッド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の清掃用パッドを2個以上積層してなることを特徴とする清掃用パッドの積層体。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の清掃用パッドを2個積層してなることを特徴とする清掃用パッドの積層体。
【請求項10】
水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の一方の層に洗浄剤及び研磨剤を含み、該水解性不織布又は水溶性パルプ紙から構成される二層の間に水解性パルプを含む中間層を挟んで構成された2個の清掃用パッドが、洗浄剤及び研磨剤を含む面を対面させて積層されたことを特徴とする清掃用パッドの積層体。
【請求項11】
積層された2個の清掃用パッド間に、更に他の清掃用パッドを挟んでなることを特徴とする請求項9又は10に記載の清掃用パッドの積層体。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の清掃用パッドと、該パッドを保持する保持具と、からなることを特徴とする清掃具。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれか1項に記載の清掃用パッドの積層体と、該積層体を保持する保持具と、からなることを特徴とする清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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