説明

清掃装置

【課題】 この発明は、水槽等の底面及び側壁とその隅部を確実に清掃することを目的としたものである。
【解決手段】 この発明は、ブラシ杆の下面にブラシを植設し、前記ブラシ杆の先端部に、清掃すべき水槽等の側壁下部と、底面とのなす隅部の清掃ブラシを側壁に対し当接可能に取付けたことを特徴とする清掃装置により、目的を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、孵化場、養殖場、養水槽、浄水槽など(以下「水槽等」という)の槽底部を移動させて底面及び側壁と、底面との隅部を清掃することを目的とした清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来水槽等の底部清掃用としては、池等の底に沿って移動して、該底部を清掃する清掃器と、この清掃器を清掃開始位置と、清掃終了位置との間で往復移動させる駆動手段とからなるブラシ清掃装置が提案されている。
【特許文献1】実用新案登録第2504225号
【特許文献2】実公昭62−726
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在使用されている清掃装置は、水槽底又は水槽側壁は清掃するけれども、水槽底と、側壁とのなす隅部については、沈殿物が残留するなど、清掃不十分になる問題点があった。
【0004】
前記特許文献1については、水底面の清掃は良好にできるが、隅部が不十分になり易く、余分の労力を掛けねばならなかった。
【0005】
また特許文献2についても、水底部と側壁との清掃はできるが、隅部の清掃は不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、ブラシ杆の先端部に、隅部清掃ブラシを側壁に対して離接可能(又は加圧当接)すべく取付けることにより、前記従来の問題点を解決したのである。
【0007】
即ちこの発明は、ブラシ杆の下面にブラシを植設し、前記ブラシ杆の先端部に、清掃すべき水槽等の側壁下部と、底面とのなす隅部の清掃ブラシを側壁に対し当接可能に取付けたことを特徴とする清掃装置であり、隅部の清掃ブラシは、ブラシ杆に、ブラシを下向、斜横向及び横向に植設したものであり、ブラシ杆の先端部へ、ブラシ付の補助杆を嵌装固定し、前記補助杆に固定したブラシの先端は、槽底と側壁との隅部へ当接できるようにしたものである。
【0008】
また、補助杆は、側壁側へスプリングで付勢し、ブラシと側壁とを弾力的に当接させたものであり、補助杆に、槽底及び側壁と弾力的に当接するキャスターを取付けたものである。更に、ブラシ杆に、側壁及び底壁に当接する為に、車輪を出入自在に取付けたものであり、水槽等の側壁に沿って槽底部を移動して、その底部を清掃する清掃器において、清掃器のブラシ杆の下面にブラシを植設し、前記ブラシ杆の先端部に、清掃すべき水槽等の側壁下部と、底面とのなす隅部の清掃ブラシを側壁に対し当接可能に取付けたことを特徴とする清掃装置である。
【0009】
前記発明において、ブラシ杆の先端に取付けた補助杆は、その突出量を調節自在にしてあるので、水槽等の幅によりブラシと側壁とが当接するように、使用時に調節することができる。
【0010】
また補助杆が、外力により後退(ブラシ杆側へ移動)できるようにしてある構造においては、補助杆のブラシ先端と、側壁とを弾力的に当接させることができる。
【0011】
またブラシ杆及び補助杆には、弾力的に支持されたキャスターを付けたので、ブラシ杆、補助杆は弾力的に支持され、槽底の高低に追随することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ブラシ杆の先端部へ側壁及び隅部清掃用のブラシ付補助杆を突出量調節自在に取付けたので、清掃すべき水槽等の底部(隅部)寸法に合致して使用し得る効果がある。
【0013】
前記により、従来の清掃不良の発生率を激減させることができる。
【0014】
また補助杆をスプリングで付勢したものにあっては、ブラシと、側壁等とを弾力的に当接させることができる効果がある。
【0015】
次に補助杆にキャスターをスプリング介在のもとに設けたので、補助杆(ブラシ)が弾力的に支持される効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明は、ブラシ杆を水槽等の側壁に沿って槽底部を移動させ、水槽等の底部及び側壁と底部との隅部を清掃するに際し、前記ブラシ杆の先端部(側壁に面する端部)にブラシ付き補助杆を前記側壁に対し、ブラシが当接できるように調節自在に取付けた清掃装置である。
【0017】
また前記補助杆に固定したブラシが、清掃すべき隅部及び側壁に適度に当接できるように、弾力的に支持するキャスターを取付けてある。
【0018】
従ってキャスターは、ほぼ等圧で水槽等の底部及び側壁に支持されつつ移動するので、ブラシの先端は必然的に、適度の圧力で、水槽底及び側壁に当接し、該部を確実に清掃することができる。
【0019】
前記補助杆は、ブラシ杆の先端へ、伸縮調節できるように固定してあるので、現場における調節で、最良の状態を保たせて使用することができる。
【0020】
前記実施する形態は、ブラシ杆が、水槽等の底面上を往復移動して、底面と、隅部とを同時に清掃する場合を規定しているが、水槽等の大きさと比較し、ブラシ杆が小さい場合には、対向する側壁の隅部を同時に清掃できない場合もある。何れにしても、ブラシ杆と補助杆との関係はほぼ同一であって、隅部を確実に清掃することができる。
【0021】
またブラシ杆の端部へ、補助杆を移動可能に弾力的に取付けておけば、補助杆のブラシ端と、側壁及び隅部とをほぼ同一の弾力により当接することができる(同一圧力によりブラッシングできる)。
【実施例1】
【0022】
この発明の実施例を図1、2、3について説明すると、下面に、清掃用のブラシ3の基端を固定したブラシ杆2の上部中央に支持杆1の下端を取付けると共に、前記ブラシ杆2の両端部に、清掃用のブラシ4a、4bを植設した補助杆5を嵌装固定する。
【0023】
前記補助杆5の先端側5aはブラシ部であって、斜方向ブラシ4aと、縦方向ブラシ4bの基端側を固定し、前記補助杆5上へ水平支板6を固着し、水平支板6上の前後へ、スプリングシリンダー7、7を立設し、前記水平支板6の中央部へスプリングシリンダー8を横設する。前記各スプリングシリンダー7には、ロッド9、9が摺動自在に挿入され、前記ロッド9、9の内端に端面板11、11を設け、端面板11、11と、前記各スプリングシリンダー7、7の頂内壁との間にスプリング13、13を夫々介装する。前記ロッド9、9の外端部には、脚板14、14を固定し、脚板14、14に車輪16、16を回転自在に架設した枠板17を固定して、キャスター20を構成する。
【0024】
前記シリンダー8には、ロッド10が摺動自在に挿入され、前記ロッド10の内端に、端面板12を設け、端面板12と、前記スプリングシリンダー8の頂内壁との間にスプリング18を介装する。前記ロッド10の外端部に、支板19を固定し、支板19に、車輪21、21を回転自在に架設した枠板22を取付けてキャスター23を構成した。
【0025】
前記ブラシ杆2と、補助杆5とは補助杆5の側壁と頂壁に設けた長孔24、25と、ボルト26、26により、補助杆5の位置を調節することができる。
【0026】
前記各車輪16、21が、水槽の底面27又は側壁28に当接し、ブラシ杆2の位置を変えると、水槽の底面及び側壁の状態によって、車輪に受ける外力が変動するので、これにつれてロッド9、10がスプリング13、18に抗し、又はスプリング13、18の弾力で、底面形状に沿って移動する。従って各ブラシ3、4a、4bの先端側はほぼ等圧で壁面へ弾力的に接触する。
【0027】
前記ブラシ杆2には、取付具15を介してキャスター29、29が取付けてあって、ブラシ杆2を正して支持している。図中37は車輪である。
【0028】
前記支持杆1は、動力又は人力で水槽底に沿って移動させるが、動力については従来装置を使用するので、その動作の説明については省略する。
【0029】
前記において、図4に示すように、ブラシ杆2の先端面は平面30度〜45度の斜面になっており、夫々前記端面に沿ってブラシ3、4が植設してあるので、図4中矢示30のように補助杆5を移動させた場合であっても、ブラシが途切れるおそれはない。
【実施例2】
【0030】
この発明の実施例を図6について説明すると、ブラシ杆2の先端部に、ブラシを植設した補助杆5を嵌装し、補助杆5の上板及び側板に設けた長孔24、25と、ブラシ杆2に螺着したボルト26、26によって、ブラシ杆2と、補助杆5の嵌装長さを調節することができる。この場合に、ブラシ杆2の最先端部のブラシと、補助嵌5の基端側のブラシとは30度〜45度位の傾斜を保って植設してあるので、補助杆5を長孔の長さ分だけずらしても、ブラシが途切れるおそれはない。
【0031】
前記において、ブラシ杆2の先端部の頂板上に取付け用のブラケット31、31が固定してあり、補助杆5の頂板上にも取付け用のブラケット32、32が固定してあって、前記ブラケット間に、スプリング34、34を嵌装した案内ボルト33、33が取付けてあり、前記スプリング34、34は、前記ブラケット31、32を隔てるように付勢してある。
【0032】
従ってブラケット32は、常時矢示35の方向に付勢されることになっている。そこで補助杆5のブラシ4bが、側壁37を強く押圧すると、その反力により、補助杆5がスプリング34に抗して矢示36の方向へ後退することになる。従って、ブラシ4aと、側壁との当接圧は常時一定に保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施例の一部を省略した正面図。
【図2】同じく一部拡大正面図。
【図3】同じく拡大側面図。
【図4】同じく拡大平面図。
【図5】(a)同じく中間キャスターの取付状態を示す一部を省略した拡大正面図、(b)同じく一部を省略した拡大平面図。
【図6】(a)同じく他の実施例の一部拡大正面図、(b)同じく一部拡大平面図。
【符号の説明】
【0034】
1 支持杆
2 ブラシ杆
3、4a、4b ブラシ
5 補助杆
6 水平支板
7、8 スプリングシリンダー
9、10 ロッド
11、12 端面板
13、18 スプリング
14、19 脚板
16、21、31 車輪
22 枠板
23、29 キャスター
27 水槽底面
28 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ杆の下面にブラシを植設し、前記ブラシ杆の先端部に、清掃すべき水槽等の側壁下部と、底面とのなす隅部の清掃ブラシを側壁に対し当接可能に取付けたことを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
隅部の清掃ブラシは、ブラシ杆に、ブラシを下向、斜横向及び横向に植設したことを特徴とする請求項1記載の清掃装置。
【請求項3】
ブラシ杆の先端部へ、ブラシ付の補助杆を嵌装固定し、前記補助杆に固定したブラシの先端は、槽底と側壁との隅部へ当接できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の清掃装置。
【請求項4】
補助杆は、側壁側へスプリングで付勢し、ブラシと側壁とを弾力的に当接させたことを特徴とする請求項3記載の清掃装置。
【請求項5】
補助杆に、槽底及び側壁と弾力的に当接するキャスターを取付けたことを特徴とする請求項3記載の清掃装置。
【請求項6】
ブラシ杆に、側壁及び底壁に当接する為に、車輪を出入自在に取付けたことを特徴とした請求項1記載の清掃装置。
【請求項7】
水槽等の側壁に沿って槽底部を移動して、その底部を清掃する清掃器において、清掃器のブラシ杆の下面にブラシを植設し、前記ブラシ杆の先端部に、清掃すべき水槽等の側壁下部と、底面とのなす隅部の清掃ブラシを側壁に対し当接可能に取付けたことを特徴とする清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−54505(P2007−54505A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246018(P2005−246018)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(594199692)有限会社エイビアコーポレーション (3)
【出願人】(505324490)株式会社岡田鉄工所 (1)
【Fターム(参考)】