説明

清掃部材、把持具付き清掃部材、及び、清掃部材の製造方法

【課題】信頼性の高い清掃部材、把持具付き清掃部材、及び、清掃部材の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の繊維状部材を有する刷毛部2と、保持シート13と、前記保持シート13と前記刷毛部2との間に設けられた基材シート12と、把持具15を挿入するための被挿入部14と、を有する清掃部材1であって、前記被挿入部14は、前記保持シート13と前記基材シート12との間を熱融着部8、11にて区画することによって設けられており、前記熱融着部8、11は、少なくとも前記保持シート13と前記基材シート12とを熱融着する第1熱融着部8及び第2熱融着部11を有し、前記第1熱融着部8及び前記第2熱融着部11の少なくとも一方は、前記把持具15の挿入方向に対して傾斜した部分を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埃や塵等を捕捉するために用いられる清掃部材であって、把持具を装着して使用する清掃部材、把持具付き清掃部材、及び、清掃部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埃や塵等を捕捉するために用いられる清掃部材には種々のタイプのものがあり、例えば、不織布からなる基材シートと、基材シートの清掃面側に積層されるトウ繊維からなる第1繊維束、第2繊維束、及び第3繊維束を有する刷毛部とを備えた清掃部材が知られている。
【0003】
この場合、基材シートと刷毛部の第1繊維束、第2繊維束、及び第3繊維束とは、それらの中央部に配置される第1接合線の位置で熱融着により一体に接合されている。また、基材シートの外面側には不織布からなる保持シートが積層され、この保持シートと基材シートとは、第1接合線の両側に配置される第2接合線の位置で刷毛部の第1繊維束と熱融着により一体に接合されている。
【0004】
そして、基材シートと保持シートとの間に第1接合線と各第2接合線とによって区画された両端が開口する袋状の空間である被挿入部が設けられ、この被挿入部内に把持具の挿入部を挿入することにより、清掃部材が把持具に装着されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3630117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような構成の清掃部材にあっては、ヒートシール装置の一対のローラ間で保持シート及び基材シートと刷毛部の第1繊維束、第2繊維束、及び第3繊維束とを加熱・加圧する場合に、両ローラの直線状のシール突起間で加熱・加圧されるため、第1接合線及び第2接合線が刷毛部の各繊維束の長繊維と直交する方向を向く直線状に形成される。
【0007】
このような構成の清掃部材にあっては、被挿入部を区画する第1接合線及び第2接合線が直線状に形成されているため、製造上の誤差から第1接合線及び第2接合線の位置に誤差が生じて、この誤差によって被挿入部の幅方向の寸法にばらつきが生じた場合に、把持具の挿入部が被挿入部から抜け出てしまったり、把持具の挿入部を被挿入部へ挿入するのが困難になったりする問題が生じる可能性がある。
【0008】
また、清掃部材を、ヒートシール工程を有する製造方法にて製造する際に、例えば、直線状のヒートシール用突起が回転軸方向に形成された一対のローラを用いた場合には、この直線状のヒートシール用突起の全体が、ほぼ同時に、保持シート、基材シート及び刷毛部に接触することになる。このため、一対のローラによる加圧力が不足して十分な接合力が得られなかったり、繊維状部材に大きな負荷がかかって、破れが生じたり穴があいたりする問題が生じ得る。かかる問題を回避するためには、破れや穴が生じない生産速度に抑えなければならず、生産性を大幅に高めることができない。さらに、製造の段階で破れや穴が生じていなくても、強度が弱い部分が形成されていると、清掃対象箇所を清掃する場合に強度不足により破れ等の問題が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、信頼性の高い清掃部材、把持具付き清掃部材、及び、清掃部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
例えば、製造上の誤差によって被挿入部の幅方向の寸法にばらつきが生じても、被挿入部への把持具の把持部の挿入を困難にしたり、被挿入部から把持具の挿入部が簡単に抜け出てしまうようなことがない、清掃部材等を提供することを目的とする。
【0011】
また、例えば、製造の際に十分な接合力が得られて、破れや穴があいたりする問題が生じることなく、生産性を高めることができ、さらに、清掃対象箇所を清掃する際に、十分な強度が得られ、破れや穴が開いたりする問題が生じることがない清掃部材等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような課題を解決するために、主たる本発明は、複数の繊維状部材を有する刷毛部と、保持シートと、前記保持シートと前記刷毛部との間に設けられた基材シートと、把持具を挿入するための被挿入部と、を有する清掃部材であって、前記被挿入部は、前記保持シートと前記基材シートとの間を熱融着部にて区画することによって設けられており、前記熱融着部は、少なくとも前記保持シートと前記基材シートとを熱融着する第1熱融着部及び第2熱融着部を有し、前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に対して傾斜した部分を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、信頼性の高い清掃部材、把持具付き清掃部材、及び、清掃部材の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による清掃部材及び把持具の一実施の形態の全体を示した斜視図であって、清掃部材と把持具との関係を示した斜視図である。
【図2】(a)は図1のX−X線断面図、(b)、(c)は図1の変形例のX−X線断面図である。
【図3】図1の清掃部材の平面図である。
【図4】融着線の形成の手順を示した説明図である。
【図5】把持具の挿入部の清掃部材の被挿入部への挿入手順を示した説明図である。
【図6】ヒートシール装置を用いて熱融着する場合の要部拡大断面図である。
【図7】本発明による清掃部材の第2の実施の形態を示した平面図である。
【図8】本発明による清掃部材の第3の実施の形態を示した平面図である。
【図9】本発明による清掃部材の第4の実施の形態を示した平面図である。
【図10】本発明による清掃部材の第5の実施の形態を示した平面図である。
【図11】第5の実施の形態の清掃部材の変形例を示した部分図である。
【図12】本発明による清掃部材の第6の実施の形態を示した平面図であって、(a)は隣接する融着線が密着した例、(b)は隣接する融着線間に隙間が形成されている例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
=== 開示の概要 ===
本明細書及び図面には、少なくとも次の事項が開示されている。
複数の繊維状部材を有する刷毛部と、保持シートと、前記保持シートと前記刷毛部との間に設けられた基材シートと、把持具を挿入するための被挿入部と、を有する清掃部材であって、前記被挿入部は、前記保持シートと前記基材シートとの間を熱融着部にて区画することによって設けられており、前記熱融着部は、少なくとも前記保持シートと前記基材シートとを熱融着する第1熱融着部及び第2熱融着部を有し、前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に対して傾斜した部分を有していることを特徴とする清掃部材。
【0016】
第1熱融着部及び第2熱融着部の少なくとも一方が、把持具の挿入方向に対して傾斜した部分を有していることにより、第1熱融着部及び第2熱融着部の少なくとも一方は、熱融着部を直線で形成した場合に比べて、把持具に対する接触面積を大幅に小さくすることができる。
【0017】
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部及び第2熱融着部の位置に誤差が生じて、被挿入部の幅方向の寸法にばらつきが生じても、把持具の被挿入部への挿入が困難になったり、把持具が被挿入部から抜け出たりすることが抑制される。
【0018】
また、一対のローラを備えたヒートシール装置を用いて、第1熱融着部及び第2熱融着部の少なくとも一方に、把持具の挿入方向に対して傾斜した部分を設ける場合には、一対のローラに設けられた熱融着用突起は、時間差をもって、基材シート、保持シート、及び、刷毛部に当接する。
したがって、一対のローラ間で加熱・加圧する際に加圧力が不足するようなことはないから、生産速度(一対のローラの回転速度)を抑えなくとも、基材シート及び保持シートと刷毛部との接合力を高めることができる。さらに、傾斜した部分によって繊維状部材に蓄えられた空気の層を押し出しながら熱融着できるので、熱量を効率的に融着に使用することができ、接合強度の優れた清掃部材が得られる。
【0019】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、ジグザグ状に形成された部分を有していることとしてもよい。
【0020】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に沿った複数の熱融着部分を有しており、各熱融着部分は、前記挿入方向に対して傾斜した部分を有していることとしてもよい。
【0021】
各前記熱融着部分は、前記把持具の挿入方向に対して同一方向に傾斜していることとしてもよい。
【0022】
各前記熱融着部分は、前記把持具の挿入方向に対して互いに異なる方向に傾斜していることとしてもよい。
【0023】
各前記熱融着部分は、前記把持具の挿入方向に関して左右対称の形状であることとしてもよい。
【0024】
各前記熱融着部分は、前記把持具の挿入方向に関して左右対称の四角形であることとしてもよい。
【0025】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、曲線状に形成された部分を有していることとしてもよい。
【0026】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に点在して設けられる複数の熱融着部分を有し、前記複数の熱融着部分のうちの、前記挿入方向に垂直な方向に隣接する熱融着部分を、前記挿入方向に互いにずらして配置することにより、前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方が、前記把持具の挿入方向に対して傾斜した部分を有するよう構成してもよい。
【0027】
前記第1熱融着部は、前記保持シートと前記基材シートと前記刷毛部の全層とを熱融着した部分であり、前記第2熱融着部は、前記第1熱融着部を挟んで一対設けられ、前記保持シートと前記基材シートと前記刷毛部の一部とを熱融着した部分であり、前記第1熱融着部が、前記把持具の挿入方向に対して傾斜した部分を有しており、前記第1熱融着部は、前記挿入方向に直交する方向から見た場合に、切れ目なく連続して設けられていることとしてもよい。
【0028】
第1熱融着部を、挿入方向に直交する方向から見た場合に、切れ目なく連続して設けられるものとすることにより、第1熱融着部によって保持シートと基材シートと刷毛部の全層とを熱融着した場合に、刷毛部に設けられた複数の繊維状部材を確実に熱融着して、繊維状部材が脱落することを抑制できる。
【0029】
複数の繊維状部材を有する刷毛部と、保持シートと、前記保持シートと前記刷毛部との間に設けられた基材シートと、把持具を挿入するための被挿入部と、を有する清掃部材であって、前記被挿入部は、前記保持シートと前記基材シートとの間を熱融着部にて区画することによって設けられており、前記熱融着部は、少なくとも前記保持シートと前記基材シートとを熱融着する第1熱融着部及び第2熱融着部を有し、前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を有していることとしてもよい。
【0030】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、ジグザグ状に形成された部分を有しており、前記ジグザグ状に形成された部分の頂部が、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成していることとしてもよい。
【0031】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に沿った複数の熱融着部分を有しており、各熱融着部分の隅部が、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成していることとしてもよい。
【0032】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、曲線状に形成された部分を有しており、前記曲線状に形成された部分の一部が、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成していることとしてもよい。
【0033】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に点在して設けられる複数の熱融着部分を有し、前記複数の熱融着部分のうちの、前記挿入方向に垂直な方向に隣接する熱融着部分が、前記挿入方向に互いにずらして配置されており、前記挿入方向に垂直な方向に隣接する熱融着部分のうち、該垂直な方向における両端の熱融着部分が、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成していることとしてもよい。
【0034】
前記第2熱融着部は、前記刷毛部の複数の繊維状部材、前記保持シート、前記基材シートの全てを熱融着していることとしてもよい。
【0035】
前記第1熱融着部の両側には、第1熱融着部の位置を管理するための熱融着線が設けられていることとしてもよい。
【0036】
また、以上述べたような清掃部材と、被挿入部に挿入された把持具と、を備えた、把持具付き清掃部材を構成してもよい。
【0037】
複数の繊維状部材を有する刷毛部と、保持シートと、前記保持シートと前記刷毛部との間に設けられた基材シートと、把持具を挿入するための被挿入部と、を有する清掃部材の製造方法であって、回転可能な一対のローラであって、少なくともいずれか一方に、回転軸方向に対して傾斜した部分を有する熱融着用突起が設けられた、一対のローラを用いて、少なくとも前記保持シートと前記基材シートとを加熱かつ加圧して熱融着して、前記保持シートと前記基材シートとの間を区画して前記被挿入部を形成するための、第1熱融着部及び第2熱融着部の少なくとも一方を形成することを特徴とする清掃部材の製造方法。
【0038】
回転可能な一対のローラであって、少なくともいずれか一方に、回転軸方向に対して傾斜した部分を有する熱融着用突起が設けられた、一対のローラを用いて、少なくとも前記保持シートと前記基材シートとを加熱かつ加圧して熱融着して、前記保持シートと前記基材シートとの間を区画して前記被挿入部を形成するための、第1熱融着部及び第2熱融着部の少なくとも一方を形成する場合には、熱融着用突起は、時間差をもって、基材シート、保持シート、及び、刷毛部に当接する。
【0039】
したがって、一対のローラ間で加熱・加圧する際に加圧力が不足するようなことはないから、生産速度(一対のローラの回転速度)を抑えなくとも、基材シート及び保持シートと刷毛部との接合力を高めることができる。さらに、傾斜した部分によって繊維状部材に蓄えられた空気の層を押し出しながら熱融着できるので、熱量を効率的に融着に使用することができ、接合強度の優れた清掃部材を製造することが可能となる。
【0040】
=== 清掃部材及び把持具の構成の概要 ===
まず、本実施の形態に係る清掃部材及び把持具の構成の概要について説明する。
図1〜図3に、本発明による清掃部材及び把持具の第1の実施の形態が示されていて、図1は清掃部材及び把持具の全体を示す斜視図、図2は図1のX−X線における断面図、図3は図1の清掃部材の平面図である。
【0041】
すなわち、この清掃部材1は、複数の繊維状部材3、4、5、6と、繊維状部材6の下部に積層される短冊シート7とを有する刷毛部2と、刷毛部2の上部に積層される基材シート12と、基材シート12の上部に積層される保持シート13とを備え、基材シート10と保持シート11との間に把持具15の挿入部16を挿入させるための被挿入部14が設けられている。なお、図2(a)、(b)における上方向を「上」、下方向を「下」として説明している。
【0042】
刷毛部2は、図2(a)に示すように、第1繊維状部材3と、第1繊維状部材3の下部に積層される第2繊維状部材4と、第2繊維状部材4の下部に積層される第3繊維状部材5と、第3繊維状部材5の下部に積層される第4繊維状部材5とからなる4層構造の繊維状部材3〜6と、この4層構造の繊維状部材3〜6の第4繊維状部材5の下部に積層される短冊シート7とを備えている。なお、刷毛部2の繊維状部材は、4層構造に限らず、1層、2層、3層、又は5層以上の構造としてもよい。
【0043】
刷毛部2の第1繊維状部材3、第2繊維状部材4、第3繊維状部材5、及び第4繊維状部材6は、熱可塑性繊維の束、又は一部に熱可塑性繊維が含まれた繊維の束から構成され、例えばトウから開繊された長繊維束によって構成される。
【0044】
長繊維束としては、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、Ne(ナイロン)、レーヨン等の長繊維束が好ましく、芯がPP(ポリプロピレン)又はPET(ポリエチレンテレフタレート)からなり、鞘がPE(ポリエチレン)からなる複合長繊維束が更に好ましい。
【0045】
長繊維束を構成する各長繊維の繊度は1〜50dtexが好ましく、2〜10dtexが更に好ましい。長繊維束は、同一繊度の長繊維を束ねて構成してもよいし、異なる繊度の長繊維を束ねて構成してもよい。
【0046】
長繊維束は、トウから開繊されたものに限らず、スリットヤーン(スリットファイバ(フィルムを細長く切断し延伸させて造った繊維)からなる糸)、スプリットヤーン(スプリットファイバ(細長いフィルムを網目構造に細分化して造った繊維)からなる糸)、エアースルー不織布(繊維密度の低い不織布)等によって構成してもよいし、それらを複数組み合わせてもよい。
【0047】
長繊維束を構成する各長繊維は、捲縮繊維によって構成することが好ましい。各長繊維を捲縮繊維によって構成することにより、長繊維束を嵩高くすることができるとともに、捲縮部分に塵や埃を取り込みやすい構造とすることができる。
【0048】
短冊シート7は、後述する基材シート12及び保持シート13と同様に、熱可塑性繊維(熱融着性繊維)からなる不織布、又は熱可塑性繊維を含む不織布から形成され、後述する基材シート12とほぼ同一幅、ほぼ同一長さの長方形状に形成される。短冊シート7の幅方向の両縁部には、短冊シート7の全長に亘って所定の間隔ごとに鋸歯形状の切れ込み(図示せず)が設けられ、この切れ込みによって短冊シート7の幅方向の両縁部に全長に亘って両縁が鋸歯形状の短冊片(図示せず)が形成される。
【0049】
刷毛部2の第1繊維状部材3の上部には、図1〜図3に示すように、基材シート12及び保持シート13がそれらの順に積層され、この基材シート12と保持シート13との間に把持具15の挿入部16を挿入させるための被挿入部14が設けられている。
【0050】
基材シート12及び保持シート13は、長方形状をなすものであって、両シート12、13は、図3に示すように、幅方向(図3の左右方向)の寸法が同一に設定され、長さ方向(図3の上下方向)の寸法が基材シート12の方が長く設定され、基材シート12の長手方向の両端部が保持シート13の長手方向の両端から所定長さ外方に突出するように、基材シート12の上部に保持シート13が積層されている。
【0051】
基材シート12及び保持シート13は、熱可塑性繊維(熱融着性繊維)からなる不織布、又は熱可塑性繊維を含む不織布から形成されている。熱可塑性繊維としては、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、PE(ポリエチレン)とPET(ポリエチレンテレフタレート)の複合繊維、PE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)の複合繊維(例えば、芯がPET(ポリエチレンテレフタレート)からなり、鞘がPE(ポリエチレン)からなる芯鞘構造の複合繊維)等が挙げられ、不織布としては、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。
【0052】
なお、基材シート12及び保持シート13は、熱可塑性樹脂フィルム(PE(ポリエチレン)フィルム、PP(ポリプロピレン))で構成してもよい。さらに、基材シート12及び保持シート13を不織布と樹脂フィルムとのラミネートシートによって構成してもよい。
【0053】
基材シート12及び保持シート13は、図1〜図3に示すように、幅方向の中央部に配置される全長に亘る第1熱融着部8において、刷毛部2の全層(第1繊維状部材3、第2繊維状部材4、第3繊維状部材5、第4繊維状部材6、及び短冊シート7)と熱融着手段による熱融着によって一体に接合され、第1熱融着部8の外側(図2における、左右側)にそれぞれ所定の間隔をおいて配置される全長に亘る第2熱融着部11において、刷毛部2の1層(第1繊維状部材3)及び2層(第2繊維状部材4)と熱融着手段による熱融着によって一体に接合されている。熱融着手段としては、例えば、ヒートシール装置、超音波シール装置等が挙げられ、本実施の形態においては、ヒートシール装置を用いている。なお、第1熱融着部8の詳細については後述する。
【0054】
基材シート12及び保持シート13を第1熱融着部8において刷毛部2の全層(第1繊維状部材3、第2繊維状部材4、第3繊維状部材5、第4繊維状部材6、及び短冊シート7)と熱融着し、第2熱融着部11において刷毛部2の第1繊維状部材3及び第2繊維状部材4と熱融着することにより、基材シート12と保持シート13との間に、第1熱融着部8及び各第2熱融着部11によって区画された、基材シート12及び保持シート13の長手方向を向く、長手方向の両端が開口する袋状の空間である一対の被挿入部14が設けられ、この被挿入部14内に把持具15の挿入部16が挿入可能となる。
【0055】
基材シート12及び保持シート13の中央部には、基材シート12及び保持シート13の幅方向に所定の間隔をおいて一対の細い融着線18、18が設けられ、この一対の融着線18、18間に第1熱融着部8が設けられる。一対の融着線18、18は、製造の段階において第1熱融着部8の位置を管理するための目印であって、この目印である一対の熱融着線18、18間に第1熱融着部8が配置されているか否かをセンサ等で管理することにより、良品、不良品の選別がなされている。
【0056】
融着線18は、次のような製造工程を経ることによって形成される。
まず、図4(a)に示すように、保持シート13、基材シート12、第1繊維状部材3、第2繊維状部材4を積層する。次に、図4(b)に示すように、保持シート13、基材シート12、第1繊維状部材3、及び第2繊維状部材4を第2熱融着部11、溶着線18の位置において熱融着手段によって一体に接合する。次に、図4(c)に示すように、第
2繊維状部材4の下部に第3繊維状部材5、第4繊維状部材6、短冊シート7を積層する。次に、図4(d)に示すように、保持シート13、基材シート12、第1繊維状部材3、第2繊維状部材4、第3繊維状部材5、第4繊維状部材6、及び短冊シート7の全てを第1熱融着部8において熱融着手段によって一体に接合する。この場合、第1熱溶着部8の位置と、融着線18との位置をセンサにより認識し、不良品か否かの判定を行う。本実施の形態においては、第1熱融着部8および/または第2熱融着部11が「斜め」に形成されているため、または、第1熱融着部8および/または第2熱融着部11が、把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられるため、「正常品」としての許容範囲が広く、歩留まりを高めることができる。
【0057】
各第2熱融着部11の中央部内側(第1熱融着部8側)には、第1熱融着部8の方向に突出する融着線19が第2熱融着部11にそれぞれ連設され、各融着線19の前後端に把持具15の各挿入部16の円弧状の突起16aを係止させることにより、把持具15の各挿入部16が各被挿入部14から抜け出るのが防止される。
【0058】
また、基材シート12及び保持シート13の幅方向の両縁部(第2熱融着部11の外側部分)には、図1示すように、長手方向に沿って所定の間隔ごとに鋸歯形状の切れ込み20aが設けられ、この切れ込み20aによって両縁が鋸歯形状の複数の短冊片20が設けられている。なお、短冊片20は、図2及び図3には示していない。
【0059】
なお、把持具15は、図1に示すように、プラスチック等から形成されるものであって、互いに平行に配置される一対の長方形板状の挿入部16と、各挿入部16の外側面の長手方向の両端部に外方に突出した状態で一体に設けられる円弧状の一対の突起16aと、両挿入部16の端部に一体に設けられるホルダ部17とを有している。
【0060】
そして、上記のように構成した清掃部材1の両被挿入部14内に把持具15の両挿入部16を挿入し、各挿入部16の両突起16aを融着線19の前後端に係止させることにより、把持具15に清掃部材1が取り付けられる。
【0061】
そして、把持具15のホルダ部17を手で掴み、刷毛部2を清掃対象箇所に接触させて所望の方向に移動させることにより、清掃対象箇所の塵、埃等が刷毛部2に捕捉され、清掃対象箇所が清掃されることになる。
【0062】
なお、図2(b)に示すように、刷毛部2の第1繊維状部材3、第2繊維状部材4、第3繊維状部材5、第4繊維状部材6、及び短冊シート7を、第1熱融着部8において熱融着手段による熱融着によって一体に接合し、基材シート12と保持シート13とを、他の第1熱融着部8´及び第2熱融着部11において熱融着手段による熱融着によって一体に接合し、その後、基材シート12及び保持シート13を刷毛部2の上部に積層し、基材シート12及び保持シート13の中央部をホットメルト等の接着剤21によって刷毛部2の中央部に一体に接合するようにしてもよい。
【0063】
また、図2(c)に示すように、刷毛部2の第1繊維状部材3、第2繊維状部材4、第3繊維状部材5、及び第4繊維状部材6と、第1繊維状部材3の上部に設けた短冊シート7とを第1熱融着部8において熱融着手段による熱融着によって一体に接合し、基材シート12と保持シート13とを、他の第1熱融着部8´及び第2熱融着部11において熱融着手段による熱融着によって一体に接合し、その後、基材シート12及び保持シート13を短冊シート7の上部に積層し、基材シート12及び保持シート13をホットメルト等の接着剤21によって短冊シート7の中央部に一体に接合するようにしてもよい。
なお、図2(c)に示した構成においては、基材シート12及び保持シート13の両縁部に鋸歯上の切れ込みを設けなくてもよい。
【0064】
さらに、図2(a)、(b)、(c)において、第2熱融着部11において熱融着手段によって保持シート13、基材シート12、刷毛部(第1繊維状部材3、第2繊維状部材4、第3繊維状部材5、及び第4繊維状部材6)、及び短冊シート7の全てを一体に接合してもよい。なお、この場合、図2(b)、(c)における接着剤21を設けなくてもよい。このような構成とすることにより、左右側に開放される第1〜第4繊維状部材3〜6の長さを短くすることができるので、第1〜第4繊維状部材3〜6の絡みを防止することができる。特に、図2(c)に示したような、清掃面側に短冊シートが設けられていない構成において有効である。
【0065】
=== 第1熱融着部の詳細 ===
以下、第1熱融着部8の詳細について説明する。
まず、第1熱融着部8の形成方法について説明する。
図6は、ヒートシール装置を用いて、基材シート12及び保持シート13を第1熱融着部8において刷毛部2の全層(第1繊維状部材3、第2繊維状部材4、第3繊維状部材5、第4繊維状部材6、及び短冊シート7)と熱融着する場合の、要部拡大断面図である。図6に示すように、ヒートシール装置には、一対のローラ40、41が設けられている(図6には、ローラ40、41の一部のみを示している)。また、一対のローラ40、41には、ローラ40、41の回転軸方向に沿った熱融着用突起40a、41aが設けられている。ローラ40、41の回転によって矢印A方向へ送られる基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2が、熱融着用突起40a、41aによって加熱且つ加圧されることにより、第1熱融着部8が形成される。
【0066】
次に、第1熱融着部8の構成について説明する。
基材シート12及び保持シート13の両被挿入部14間に配置される第1熱融着部8は、図1及び図3に示すように、ジグザグ形状に形成され、このジグザグ形状により、第1熱融着部8には把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向と所定の角度をなす傾斜した部分10が連続して設けられる。この場合、基材シート12及び保持シート13の長手方向に沿って交互に異なる方向に傾斜する傾斜した部分10が連続して設けられることになる。
【0067】
なお、第1熱融着部8の全部がジグザグ状に形成されていなくてもよく、その一部がジグザグ状であって他の部分が直線状であってもよい。
【0068】
図3において、ジグザグ状に形成された部分の頂部、すなわち、ジグザグ形状の熱融着部分9の各傾斜した部分10の両端部は、把持具15の挿入方向に対して、非連続に設けられる熱融着部分を構成している。
【0069】
また、第1熱融着部8は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に直交する方向から見た場合に、切れ目なく連続して設けられている。これにより、第1熱融着部8によって保持シート13と基材シート12と刷毛部2の全層とを熱融着した場合に、刷毛部2に設けられた複数の繊維状部材3〜6を確実に熱融着して、繊維状部材3〜6が脱落することを抑制できる。
【0070】
上記のように構成した本実施の形態による清掃部材1にあっては、第1熱融着部8をジグザグ形状に形成することにより、第1熱融着部8に、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して所定の角度(例えば、20〜45度)で傾斜する傾斜した部分10を設けたので、第1熱融着部8の熱融着部分を直線で形成した場合に比べて、第1熱融着部8の、把持具15の挿入部16に対する接触面積を大幅に小さくすることができる。
【0071】
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて、各被挿入部14の幅方向の寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になったり、把持具15の挿入部16が被挿入部14から抜け出たりするようなことはない。
【0072】
また、図6に示すような、一対のローラ40、41を備えたヒートシール装置を用いてジグザグ形状の第1熱融着部8を形成する際には、熱融着用突起40a、41aを、ローラ40、41の回転軸方向に沿ってジグザグ形状にすればよい。なお、この場合には、熱融着用突起40a、41aが、一対のローラ40、41の回転軸方向に対して傾斜した部分を有することとなる。
【0073】
第1熱融着部8を直線状に形成した場合には、熱融着用突起40a、41aも、ローラ40、41の回転軸方向に沿った直線状になるため、これらの熱融着用突起40a、41aは、ほぼ同時に、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2に当接する。このため、一対のローラ40、41による加圧力が不足して十分な接合力が得られなかったり、基材シート12等に大きな負荷がかかって、破れが生じたり穴があいたりする問題が生じ得る。かかる問題を回避するためには、破れや穴が生じない生産速度(一対のローラ40、41の回転速度)に抑えなければならず、生産性を大幅に高めることができない。さらに、製造の段階で基材シート12等に破れや穴が生じていなくても、強度が弱い部分が形成されていると、清掃対象箇所を清掃する場合に強度不足により、破れ等の問題が生じる可能性がある。
【0074】
これに対して、本実施の形態においては、前述したように、熱融着用突起40a、41aを、一対のローラ40、41の回転軸方向に沿ってジグザグ形状に形成している。したがって、熱融着用突起40a、41aは、時間差をもって、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2に当接する。例えば、図6において、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2が図6における右方向へ送られるとすると、熱融着用突起40a、41aのうち、ジグザグ形状の第1熱融着部8の右側凸部頂点に対応する部分が、最も先に基材シート12等に当接し、熱融着用突起40a、41aのうち、ジグザグ形状の第1熱融着部8の左側頂点に対応する部分が、最も後に基材シート12等に当接する。
【0075】
したがって、本実施の形態によれば、ヒートシール装置の一対のローラ40、41間で加熱・加圧する際に加圧力が不足するようなことはないから、生産速度(一対のローラ40、41の回転速度)を抑えなくとも、基材シート12及び保持シート13と刷毛部2との接合力を高めることができる。さらに、傾斜した部分10によって繊維状部材3〜6に蓄えられた空気の層を押し出しながら熱融着できるので、熱量を効率的に融着に使用することができ、接合強度の優れた清掃部材1が得られることになる。
【0076】
また、清掃部材1の被挿入部14内に把持具15の挿入部16を挿入するには、まず、図5(a)に示すように、被挿入部14の開口部に把持具15の挿入部16の先端を位置させる。次に、図5(b)に示すように、被挿入部14内に開口部から把持具15の挿入部16を挿入する。挿入部16を被挿入部14に挿入すると、挿入部16の突起16aが第2熱融着部11に当接することにより挿入部16の先端が内側にたわみ、挿入部16の先端が第1熱融着部8に当接する。そして、図5(c)に示すように、挿入部16を被挿入部14内にさらに挿入すると、挿入部16の先端が第1熱融着部8に突起16aが第2熱融着部11にそれぞれ接触した状態で進行し、図3に示すように、被挿入部14内に挿入部16の全体が挿入される。
ここで、本実施形態においては、第1熱融着部8に前述したような傾斜した部分10を設けたので、または、ジグザグ状に形成された部分の頂部が把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成するようにしたので、第1熱融着部8の熱融着部分を直線で形成した場合に比べて、把持具15を被挿入部14内に挿入する際の、第1熱融着部8と挿入部16との摩擦を減少させることができる。
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて各被挿入部14の幅寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になることはない。
【0077】
=== 第2の実施の形態 ===
図7は、本発明による清掃部材の第2の実施の形態を示した図である。この清掃部材1においては、第1熱融着部8が、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に沿った複数の熱融着部分9を有しており、各熱融着部分9は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して傾斜する傾斜した部分10を有している。また、各熱融着部分9は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して同一方向に傾斜している。この複数の熱融着部分9は、基材シート12及び保持シート13の全長に亘って配置されている。第1熱融着部8をこのように構成することによって、第1熱融着部8は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して傾斜する傾斜した部分10を有することになる。その他の構成は第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0078】
なお、図7においては、各熱融着部分9が、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して同一方向に同一角度(例えば、20〜45度)で傾斜しているが、各熱融着部分9が、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して同一方向に異なる角度で傾斜してもよい。
【0079】
図7において、各熱融着部分9の隅部が、把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成している。詳しくは、各熱融着部分9の左上隅部が、把持具15の挿入方向に対して、非連続に設けられる熱融着部分を構成し、同様に、各熱融着部分9の右下隅部も、把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成している。
【0080】
また、第1熱融着部8は、複数の熱融着部分9を有しているものの、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に直交する方向から見た場合に、切れ目なく連続して設けられている。これにより、第1熱融着部8によって保持シート13と基材シート12と刷毛部2の全層とを熱融着した場合に、刷毛部2に設けられた複数の繊維状部材3〜6を確実に熱融着して、繊維状部材3〜6が脱落することを抑制できる。
【0081】
そして、この実施の形態による清掃部材1にあっても、第1の実施の形態に示すものと同様に、第1熱融着部8を直線で形成した場合に比べて、第1熱融着部8の、把持具15の挿入部16に対する接触面積を、大幅に小さくすることができる。
【0082】
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて、各被挿入部14の幅方向の寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になったり、把持具15の挿入部16が被挿入部14から抜け出たりするようなことはない。
【0083】
また、図6に示すような、一対のローラ40、41を備えたヒートシール装置を用いて第1熱融着部8を形成する際には、熱融着用突起40a、41aを、図7に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成すればよい。なお、この場合には、熱融着用突起40a、41aが、一対のローラ40、41の回転軸方向に対して傾斜した部分を有することとなる。
【0084】
熱融着用突起40a、41aを、図7に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成した場合にも、熱融着用突起40a、41aは、時間差をもって、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2に当接する。例えば、図6において、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2が図6における右方向へ送られるとすると、熱融着用突起40a、41aのうち、熱融着部分9の最右側の角に対応する部分が、最も先に基材シート12等に当接し、熱融着用突起40a、41aのうち、熱融着部分9の最左側の角に対応する部分が、最も後に基材シート12等に当接する。
【0085】
したがって、本実施の形態によっても、ヒートシール装置の一対のローラ40、41間で加熱・加圧する際に加圧力が不足するようなことはないから、生産速度(一対のローラ40、41の回転速度)を抑えなくとも、基材シート12及び保持シート13と刷毛部2との接合力を高めることができる。さらに、傾斜した部分10によって繊維状部材3〜6に蓄えられた空気の層を押し出しながら熱融着できるので、熱量を効率的に融着に使用することができ、接合強度の優れた清掃部材1が得られることになる。
【0086】
ここで、本実施形態においては、第1熱融着部8に、前述したような傾斜した部分10を設けたので、または、各熱融着部分9の隅部が把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成するようにしたので、第1熱融着部8の熱融着部分を直線で形成した場合に比べて、把持具15を被挿入部14内に挿入する際の、第1熱融着部8と挿入部16との摩擦を減少させることができる。
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて各被挿入部14の幅寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になることはない。
【0087】
=== 第3の実施の形態 ===
図8は、本発明による清掃部材の第3の実施の形態を示した図である。この清掃部材1においても、第1熱融着部8が、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に沿った複数の熱融着部分9を有しており、各熱融着部分9は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して傾斜する傾斜した部分10を有している。ただし、各熱融着部分9は、第2の実施の形態とは異なり、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して互いに異なる方向に傾斜している。この複数の熱融着部分9は、基材シート12及び保持シート13の全長に亘って配置されている。第1熱融着部8をこのように構成することによって、第1熱融着部8は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して傾斜する傾斜した部分10を有することになる。その他の構成は第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0088】
なお、図8においては、各熱融着部分9が、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して互いに異なる方向に同一角度(例えば、20〜45度)で傾斜しているが、各熱融着部分9が、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して互いに異なる方向に異なる角度で傾斜してもよい。
【0089】
図8においても、各熱融着部分9の隅部が、把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成している。詳しくは、各熱融着部分9の左下隅部及び右下隅部が、それぞれ、把持具15の挿入方向に対して、非連続に設けられる熱融着部分を構成している。
【0090】
また、第1熱融着部8は、複数の熱融着部分9を有しているものの、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に直交する方向から見た場合に、切れ目なく連続して設けられている。これにより、第1熱融着部8によって保持シート13と基材シート12と刷毛部2の全層とを熱融着した場合に、刷毛部2に設けられた複数の繊維状部材3〜6を確実に熱融着して、繊維状部材3〜6が脱落することを抑制できる。
【0091】
そして、この実施の形態による清掃部材1にあっても、第1の実施の形態に示すものと同様に、第1熱融着部8を直線で形成した場合に比べて、第1熱融着部8の、把持具15の挿入部16に対する接触面積を、大幅に小さくすることができる。
【0092】
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて、各被挿入部14の幅方向の寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になったり、把持具15の挿入部16が被挿入部14から抜け出たりするようなことはない。
【0093】
また、図6に示すような、一対のローラ40、41を備えたヒートシール装置を用いて第1熱融着部8を形成する際には、熱融着用突起40a、41aを、図8に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成すればよい。なお、この場合には、熱融着用突起40a、41aが、一対のローラ40、41の回転軸方向に対して傾斜した部分を有することとなる。なお、この場合には、熱融着用突起40a、41aが、一対のローラ40、41の回転軸方向に対して傾斜した部分を有することとなる。
【0094】
熱融着用突起40a、41aを、図8に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成した場合にも、熱融着用突起40a、41aは、時間差をもって、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2に当接する。例えば、図6において、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2が図4における右方向へ送られるとすると、熱融着用突起40a、41aのうち、熱融着部分9の最右側の角に対応する部分が、最も先に基材シート12等に当接し、熱融着用突起40a、41aのうち、熱融着部分9の最左側の角に対応する部分が、最も後に基材シート12等に当接する。
【0095】
したがって、本実施の形態によっても、ヒートシール装置の一対のローラ40、41間で加熱・加圧する際に加圧力が不足するようなことはないから、生産速度(一対のローラ40、41の回転速度)を抑えなくとも、基材シート12及び保持シート13と刷毛部2との接合力を高めることができる。さらに、傾斜した部分10によって繊維状部材3〜6に蓄えられた空気の層を押し出しながら熱融着できるので、熱量を効率的に融着に使用することができ、接合強度の優れた清掃部材1が得られることになる。
【0096】
ここで、本実施形態においては、第1熱融着部8に、前述したような傾斜した部分10を設けたので、または、各熱融着部分9の隅部が把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成するようにしたので、第1熱融着部8の熱融着部分を直線で形成した場合に比べて、把持具15を被挿入部14内に挿入する際の、第1熱融着部8と挿入部16との摩擦を減少させることができる。
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて各被挿入部14の幅寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になることはない。
【0097】
=== 第4の実施の形態 ===
図9は、本発明による清掃部材の第4の実施の形態を示した図である。この清掃部材1においても、第1熱融着部8が、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に沿った複数の熱融着部分9を有しており、各熱融着部分9は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して傾斜する傾斜した部分10を有している。ただし、各熱融着部分9は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に関して左右対称の形状であり、より詳しくは、把持具15の16の被挿入部14への挿入方向に関して、左右対称の四角形であり、さらに詳しくは、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に関して、左右対称の菱形である。菱形の各熱融着部分9の各辺が傾斜した部分10を構成している。第1熱融着部8をこのように構成することによって、第1熱融着部8は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して傾斜する傾斜した部分10を有することになる。その他の構成は第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0098】
なお、各熱融着部分9の形状は、菱形等の四角形に限られず、三角形や六角形等の多角形、又は、円形、楕円形、又は、多角形と円形や楕円形の組み合わせ等であってもよく、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して傾斜する傾斜した部分を有する形状であればよい。
【0099】
また、第1熱融着部8は、複数の菱形の熱融着部分9を有しているものの、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に直交する方向から見た場合に、切れ目なく連続して設けられている。これにより、第1熱融着部8によって保持シート13と基材シート12と刷毛部2の全層とを熱融着した場合に、刷毛部2に設けられた複数の繊維状部材3〜6を確実に熱融着して、繊維状部材3〜6が脱落することを抑制できる。
【0100】
図8においても、各熱融着部分9の隅部が、把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成している。詳しくは、各熱融着部分9の左右の角隅部は、それぞれ、把持具15の挿入方向に対して、非連続に設けられる熱融着部分を構成している。
【0101】
そして、この実施の形態による清掃部材1にあっても、第1の実施の形態に示すものと同様に、第1熱融着部8を直線で形成した場合に比べて、第1熱融着部8の、把持具15の挿入部16に対する接触面積を、大幅に小さくすることができる。
【0102】
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて、各被挿入部14の幅方向の寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になったり、把持具15の挿入部16が被挿入部14から抜け出たりするようなことはない。
【0103】
また、図6に示すような、一対のローラ40、41を備えたヒートシール装置を用いて第1熱融着部8を形成する際には、熱融着用突起40a、41aを、図9に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成すればよい。なお、この場合には、熱融着用突起40a、41aが、一対のローラ40、41の回転軸方向に対して傾斜した部分を有することとなる。
【0104】
熱融着用突起40a、41aを、図9に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成した場合にも、熱融着用突起40a、41aは、時間差をもって、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2に当接する。例えば、図6において、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2が図6における右方向へ送られるとすると、熱融着用突起40a、41aのうち、菱形の熱融着部分9の最右側の角に対応する部分が、最も先に基材シート12等に当接し、熱融着用突起40a、41aのうち、菱形の熱融着部分9の最左側の角に対応する部分が、最も後に基材シート12等に当接する。
【0105】
したがって、本実施の形態によっても、ヒートシール装置の一対のローラ40、41間で加熱・加圧する際に加圧力が不足するようなことはないから、生産速度(一対のローラ40、41の回転速度)を抑えなくとも、基材シート12及び保持シート13と刷毛部2との接合力を高めることができる。さらに、傾斜した部分10によって繊維状部材3〜6に蓄えられた空気の層を押し出しながら熱融着できるので、熱量を効率的に融着に使用することができ、接合強度の優れた清掃部材1が得られることになる。
ここで、本実施形態においては、第1熱融着部8に、前述したような傾斜した部分10を設けたので、または、各熱融着部分9の隅部が把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成するようにしたので、第1熱融着部8の熱融着部分を直線で形成した場合に比べて、把持具15を被挿入部14内に挿入する際の、第1熱融着部8と挿入部16との摩擦を減少させることができる。
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて各被挿入部14の幅寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になることはない。
【0106】
=== 第5の実施の形態 ===
図10は、本発明による清掃部材の第5の実施の形態を示したものである。第5の実施の形態における第1熱融着部8は、図10に示すように、曲線状に形成された部分を有しており、より詳しくは、第1熱融着部8が波線状に形成されている。第1熱融着部8を波線状に形成することにより、第1熱融着部8には把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向と所定の角度をなす傾斜した部分10が連続して設けられる。図10においては、傾斜した部分10は円弧状をなしている。その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0107】
なお、第1熱融着部8の全部が波線状に形成されていなくてもよく、その一部が波線状であって他の部分が直線状であってもよい。また、波形状の熱融着部分9を、図11(a)〜(c)に示すように、複数設けてもよい。
【0108】
また、第1熱融着部8は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に直交する方向から見た場合に、切れ目なく連続して設けられている。これにより、第1熱融着部8によって保持シート13と基材シート12と刷毛部2の全層とを熱融着した場合に、刷毛部2に設けられた複数の繊維状部材3〜6を確実に熱融着して、繊維状部材3〜6が脱落することを抑制できる。
【0109】
図10において、第1熱融着部8の、曲線状に形成された部分の一部が、把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成している。詳しくは、各熱融着部分9の湾曲部左右の頂部が、把持具15の挿入方向に対して、非連続に設けられる熱融着部分を構成している。
【0110】
そして、この実施の形態による清掃部材1にあっても、第1の実施の形態に示すものと同様に、第1熱融着部8を直線で形成した場合に比べて、第1熱融着部8の、把持具15の挿入部16に対する接触面積を、大幅に小さくすることができる。
【0111】
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて、各被挿入部14の幅方向の寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になったり、把持具15の挿入部16が被挿入部14から抜け出たりするようなことはない。
【0112】
また、図6に示すような、一対のローラ40、41を備えたヒートシール装置を用いて第1熱融着部8を形成する際には、熱融着用突起40a、41aを、図10又は図11に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成すればよい。なお、この場合には、熱融着用突起40a、41aが、一対のローラ40、41の回転軸方向に対して傾斜した部分を有することとなる。
【0113】
熱融着用突起40a、41aを、図10又は図11に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成した場合にも、熱融着用突起40a、41aは、時間差をもって、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2に当接する。例えば、図6において、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2が図6における右方向へ送られるとすると、熱融着用突起40a、41aのうち、円弧状の熱融着部分9の最右側に対応する部分が、最も先に基材シート12等に当接し、熱融着用突起40a、41aのうち、円弧状の熱融着部分9の最左側に対応する部分が、最も後に基材シート12等に当接する。
【0114】
したがって、本実施の形態によっても、ヒートシール装置の一対のローラ40、41間で加熱・加圧する際に加圧力が不足するようなことはないから、生産速度(一対のローラ40、41の回転速度)を抑えなくとも、基材シート12及び保持シート13と刷毛部2との接合力を高めることができる。さらに、傾斜した部分10によって繊維状部材3〜6に蓄えられた空気の層を押し出しながら熱融着できるので、熱量を効率的に融着に使用することができ、接合強度の優れた清掃部材1が得られることになる。
【0115】
ここで、本実施形態においては、第1熱融着部8に、前述したような傾斜した部分10を設けたので、または、第1熱融着部8の、曲線状に形成された部分の一部が、把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成するようにしたので、第1熱融着部8の熱融着部分を直線で形成した場合に比べて、把持具15を被挿入部14内に挿入する際の、第1熱融着部8と挿入部16との摩擦を減少させることができる。
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて各被挿入部14の幅寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になることはない。
【0116】
=== 第6の実施の形態 ===
図12は、本発明による清掃部材の第6の実施の形態を示したものである。この清掃部材1においては、第1熱融着部8が、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に点在して設けられる複数の熱融着部分9を有している。そして、複数の熱融着部分9のうちの、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に垂直な方向(図12における左右方向)に隣接する熱融着部分を、挿入方向に互いにずらして配置することにより、第1熱融着部8が、挿入方向に対して傾斜した部分10を有するように構成している。その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0117】
図12において、第1熱融着部8は、基材シート12及び保持シート13の長手方向に沿って点線状に形成された3本の融着線8a、8b、8cを有している。これら3本の融着線8a、8b、8cは、基材シート12及び保持シート13の幅方向に所定の間隔をおいて平行に形成されており、3本の融着線8a、8b、8cにおける短い直線状の融着部分(点線における点の部分)のそれぞれが、熱融着部分9を形成している。
【0118】
3本の融着線8a、8b、8cにおける熱融着部分9は、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に互いにずらして配置されており、図12に示した例では、融着線8aおける熱融着部分9と、この熱融着部分9の右方向に隣接する、融着線8bおける熱融着部分9と、この熱融着部分9の右方向に隣接する、融着線8cおける熱融着部分9とにより、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に対して傾斜した部分10が形成されている。
【0119】
また、第1熱融着部8は、点線状に形成された3本の融着線8a、8b、8cを有しているものの、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入方向に直交する方向から見た場合に、切れ目なく連続して設けられている。これにより、第1熱融着部8によって保持シート13と基材シート12と刷毛部2の全層とを熱融着した場合に、刷毛部2に設けられた複数の繊維状部材3〜6を確実に熱融着して、繊維状部材3〜6が脱落することを抑制できる。
【0120】
図12において、第1熱融着部8は、把持具15の挿入方向に点在して設けられる複数の熱融着部分を有し、複数の熱融着部分のうちの、挿入方向に垂直な方向に隣接する熱融着部分が、挿入方向に互いにずらして配置されており、挿入方向に垂直な方向に隣接する熱融着部分のうち、該垂直な方向における両端の熱融着部分が、把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成している。詳しくは、各熱融着部分9の3本の融着線8a、8b、8cのうちの、融着線8aと8cは、それぞれ、把持具15の挿入方向に対して、非連続に設けられる熱融着部分を構成している。
【0121】
そして、この実施の形態による清掃部材1にあっても、第1の実施の形態に示すものと同様に、第1熱融着部8を直線で形成した場合に比べて、第1熱融着部8の、把持具15の挿入部16に対する接触面積を、大幅に小さくすることができる。
【0122】
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて、各被挿入部14の幅方向の寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になったり、把持具15の挿入部16が被挿入部14から抜け出たりするようなことはない。
【0123】
また、図6に示すような、一対のローラ40、41を備えたヒートシール装置を用いて第1熱融着部8を形成する際には、熱融着用突起40a、41aを、図12に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成すればよい。なお、この場合には、熱融着用突起40a、41aが、一対のローラ40、41の回転軸方向に対して傾斜した部分を有することとなる。
【0124】
熱融着用突起40a、41aを、図12に示す第1熱融着部8の形状に対応した形状に形成した場合にも、熱融着用突起40a、41aは、時間差をもって、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2に当接する。例えば、図6において、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2が図6における右方向へ送られるとすると、熱融着用突起40a、41aのうち、融着線8cに対応する部分が、最も先に基材シート12等に当接し、熱融着用突起40a、41aのうち、融着線8aに対応する部分が、最も後に基材シート12等に当接する。
【0125】
したがって、本実施の形態によっても、ヒートシール装置の一対のローラ40、41間で加熱・加圧する際に加圧力が不足するようなことはないから、生産速度(一対のローラ40、41の回転速度)を抑えなくとも、基材シート12及び保持シート13と刷毛部2との接合力を高めることができる。さらに、傾斜した部分10によって繊維状部材3〜6に蓄えられた空気の層を押し出しながら熱融着できるので、熱量を効率的に融着に使用することができ、接合強度の優れた清掃部材1が得られることになる。
【0126】
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて、各被挿入部14の幅方向の寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になったり、把持具15の挿入部16が被挿入部14から抜け出たりするようなことはない。
ここで、本実施形態においては、第1熱融着部8に、前述したような傾斜した部分10を設けたので、または、挿入方向に垂直な方向に隣接する熱融着部分のうち、該垂直な方向における両端の熱融着部分が、把持具15の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成するようにしたので、第1熱融着部8の熱融着部分を直線で形成した場合に比べて、把持具15を被挿入部14内に挿入する際の、第1熱融着部8と挿入部16との摩擦を減少させることができる。
従って、製造上の誤差によって第1熱融着部8及び第2熱融着部11の位置に誤差が生じて各被挿入部14の幅寸法にばらつきが生じても、把持具15の挿入部16の被挿入部14への挿入が困難になることはない。
【0127】
なお、第1熱融着部8は、3本の融着線8a、8b、8cに限らず、2本又は4本以上の融着線で構成してもよい。また、融着線8a、8b、8cは、基材シート12及び保持シート13の長手方向に対して所定の角度で傾斜していてもよい。また、3本の融着線8a、8b、8cは、図12(a)のように、互いに接触してもよいし、図12(b)に示すように、隣接する融着線8a−8b間、8b−8c間に隙間が形成されるようにしてもよい。また、融着線8a、8b、8cの構成は、図12(a)及び図12(b)に示したような、挿入部16の被挿入部14への挿入方向に沿って、長方形状の熱融着部分が非連続に設けられた構成に限られず、正方形状、三角形状、六角形状等の多角形状、又は、円状、楕円状、又は、多角形状と円状や楕円状の組み合わせ形状等の熱融着部分が非連続に設けられた構成であってもよい。
【0128】
=== その他の実施の形態 ===
前述した実施の形態においては、第1熱融着部8の熱融着部分9に傾斜した部分10を持たせたが、第2熱融着部11の熱融着部分に傾斜部分を持たせてもよいし、第1熱融着部8及び第2熱融着部11の両方の熱融着部分に傾斜した部分をもたせてもよい。
【0129】
前述した実施の形態においては、一対のローラ40、41を備えたヒートシール装置を用いて第1熱融着部8を形成したが、一対の六面体状のブロックを備えたヒートシール装置を用いて第1熱融着部8を形成してもよい。
この場合、一対の六面体状ブロックの互いに対向する面にそれぞれ熱融着用突起(図6における熱融着用突起40a、41aに相当するもの)を設ける。そして、これら一対の六面体状ブロックを互いに近づけて基材シート12、保持シート13、及び刷毛部2を挟み込んで加熱且つ加圧することにより、第1熱融着部8を形成する。
【0130】
なお、一対の六面体状のブロックを備えたヒートシール装置を用いた場合においても、本実施の形態において説明した熱融着部の構成を採用することにより、蓄えられた空気の層を押し出しながら熱融着できるので、熱量を効率的に融着に使用することができ、接合強度の優れた清掃部材1が得られることになる。
【0131】
前述した基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2等の構成や材質はあくまで一例に過ぎず、他の構成や材質のものを用いてもよい。
【0132】
本明細書及び図面には様々な発明が開示されている。特許請求の範囲に記載した発明に限られず、基材シート12、保持シート13、及び、刷毛部2を備えた清掃部材に関して本明細書及び図面から当業者が把握できる発明は、すべて本明細書及び図面に記載された事項である。
【0133】
なお、前述した実施の形態においては、一対のローラを備えたヒートシール装置を用いて第1熱融着部及び第2熱融着部の融着部分を熱融着したが、ソニック融着によって第1熱融着部及び第2熱融着部の融着部分を熱融着してもよい。ソニック溶着は、ホーンから不織布に振動を与えて溶着するものであって、ホーンの対面に不織布を挟んで任意のパターンが接するように配置される。この任意のパターンは、ブロック式からなる複数のパターンがドラム上に並べられ、ドラムが不織布とほぼ同じ速度で回転することにより、ホーンと任意のパターンが接するところで溶着する。
【0134】
また、前述した実施の形態においては、例えば図6に示したように、一対のローラ40、41に、それぞれ、ローラ40、41の回転軸方向に沿った熱融着用突起40a、41aを設けた構成としたが、一対のローラ40、41のうちの、いずれか一方のローラに熱融着用突起を設け、他方のローラの周面には熱融着用突起を設けない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 清掃部材 2 刷毛部
3 第1繊維状部材 4 第2繊維状部材
5 第3繊維状部材 6 第4繊維状部材
7 短冊シート 8 第1熱融着部
8´ 他の第1熱融着部 8a、8b、8c 融着線
9 熱融着部分 10 傾斜した部分
11 第2熱融着部 12 基材シート
13 保持シート 14 被挿入部
15 把持具 16 挿入部
16a 突起 17 ホルダ部
18 融着線 19 融着線
20 短冊片 20a 切れ込み
21 ホットメルト
40、41 ローラ
40a、41a 熱融着用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維状部材を有する刷毛部と、保持シートと、前記保持シートと前記刷毛部との間に設けられた基材シートと、把持具を挿入するための被挿入部と、を有する清掃部材であって、
前記被挿入部は、前記保持シートと前記基材シートとの間を熱融着部にて区画することによって設けられており、
前記熱融着部は、少なくとも前記保持シートと前記基材シートとを熱融着する第1熱融着部及び第2熱融着部を有し、
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に対して傾斜した部分を有していることを特徴とする清掃部材。
【請求項2】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、ジグザグ状に形成された部分を有していることを特徴とする請求項1に記載の清掃部材。
【請求項3】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に沿った複数の熱融着部分を有しており、各熱融着部分は、前記挿入方向に対して傾斜した部分を有していることを特徴とする請求項1に記載の清掃部材。
【請求項4】
各前記熱融着部分は、前記把持具の挿入方向に対して同一方向に傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の清掃部材。
【請求項5】
各前記熱融着部分は、前記把持具の挿入方向に対して互いに異なる方向に傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の清掃部材。
【請求項6】
各前記熱融着部分は、前記把持具の挿入方向に関して左右対称の形状であることを特徴とする請求項3に記載の清掃部材。
【請求項7】
各前記熱融着部分は、前記把持具の挿入方向に関して左右対称の四角形であることを特徴とする請求項6に記載の清掃部材。
【請求項8】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、曲線状に形成された部分を有していることを特徴とする請求項1に記載の清掃部材。
【請求項9】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に点在して設けられる複数の熱融着部分を有し、
前記複数の熱融着部分のうちの、前記挿入方向に垂直な方向に隣接する熱融着部分を、前記挿入方向に互いにずらして配置することにより、
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方が、前記把持具の挿入方向に対して傾斜した部分を有するよう構成したことを特徴とする請求項1に記載の清掃部材。
【請求項10】
前記第1熱融着部は、前記保持シートと前記基材シートと前記刷毛部の全層とを熱融着した部分であり、
前記第2熱融着部は、前記第1熱融着部を挟んで一対設けられ、前記保持シートと前記基材シートと前記刷毛部の一部とを熱融着した部分であり、
前記第1熱融着部が、前記把持具の挿入方向に対して傾斜した部分を有しており、
前記第1熱融着部は、前記挿入方向に直交する方向から見た場合に、切れ目なく連続して設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の清掃部材。
【請求項11】
複数の繊維状部材を有する刷毛部と、保持シートと、前記保持シートと前記刷毛部との間に設けられた基材シートと、把持具を挿入するための被挿入部と、を有する清掃部材であって、
前記被挿入部は、前記保持シートと前記基材シートとの間を熱融着部にて区画することによって設けられており、
前記熱融着部は、少なくとも前記保持シートと前記基材シートとを熱融着する第1熱融着部及び第2熱融着部を有し、
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を有していることを特徴とする清掃部材。
【請求項12】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、ジグザグ状に形成された部分を有しており、
前記ジグザグ状に形成された部分の頂部が、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成していることを特徴とする請求項11に記載の清掃部材。
【請求項13】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に沿った複数の熱融着部分を有しており、
各熱融着部分の隅部が、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成していることを特徴とする請求項11に記載の清掃部材。
【請求項14】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、曲線状に形成された部分を有しており、
前記曲線状に形成された部分の一部が、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成していることを特徴とする請求項11に記載の清掃部材。
【請求項15】
前記第1熱融着部及び前記第2熱融着部の少なくとも一方は、前記把持具の挿入方向に点在して設けられる複数の熱融着部分を有し、
前記複数の熱融着部分のうちの、前記挿入方向に垂直な方向に隣接する熱融着部分が、前記挿入方向に互いにずらして配置されており、
前記挿入方向に垂直な方向に隣接する熱融着部分のうち、該垂直な方向における両端の熱融着部分が、前記把持具の挿入方向に対して非連続に設けられる熱融着部分を構成していることを特徴とする請求項11に記載の清掃部材。
【請求項16】
前記第2熱融着部は、前記刷毛部の複数の繊維状部材、前記保持シート、前記基材シートの全てを熱融着していることを特徴とする請求項1乃至請求項9、請求項11乃至請求項15のいずれかに記載の清掃部材。
【請求項17】
前記第1熱融着部の両側には、第1熱融着部の位置を管理するための熱融着線が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の清掃部材。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれかに記載の清掃部材と、
前記被挿入部に挿入された把持具と、
を備えたことを特徴とする、把持具付き清掃部材。
【請求項19】
複数の繊維状部材を有する刷毛部と、保持シートと、前記保持シートと前記刷毛部との間に設けられた基材シートと、把持具を挿入するための被挿入部と、を有する清掃部材の製造方法であって、
回転可能な一対のローラであって、少なくともいずれか一方に、回転軸方向に対して傾斜した部分を有する熱融着用突起が設けられた、一対のローラを用いて、
少なくとも前記保持シートと前記基材シートとを加熱かつ加圧して熱融着して、
前記保持シートと前記基材シートとの間を区画して前記被挿入部を形成するための、第1熱融着部及び第2熱融着部の少なくとも一方を形成することを特徴とする清掃部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−16021(P2011−16021A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239588(P2010−239588)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【分割の表示】特願2005−331729(P2005−331729)の分割
【原出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】