説明

清掃部材、清掃装置、組立体、画像形成装置

【課題】芯材に螺旋状に巻き付けられた清掃材の端部での清掃性能を向上させることができる清掃部材、清掃装置、組立体、画像形成装置を得る。
【解決手段】保持材78の開口80から清掃材72の稜線72Aを露出させ、開口80から清掃材72の稜線72Aが径方向に突出するように、清掃材72が保持材78に保持されている。このように、保持材78の開口80から清掃材72の稜線72Aを露出させることで、清掃材72の端部であっても、一般部と同等の高さが確保される。これにより、帯電部材20の回転に伴って清掃部材64が従動回転した際に、清掃材72の端部が帯電部材20に押されて高さ方向及び幅方向に弾性変形して復元することで、高さ方向のみに弾性変形する場合と比して、帯電部材20に付着した異物が帯電部材20の外周面からはじかれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃部材、清掃装置、組立体、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯電部材の回転に伴って従動回転することで帯電部材の外周面を清掃するクリーニング装置が記載されている。
【0003】
そして、このクリーニング装置は、回転する帯電部材の軸方向に延びる支持体(芯材)と、この支持体に螺旋状に巻き付けられたクリーニング材(清掃材)とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−137208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、芯材に螺旋状に巻き付けられた清掃材の端部での清掃性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る清掃部材は、回転自在な芯材と、前記芯材の外周面に螺旋状に巻き付けられた清掃材と、前記芯材の外周面との間で前記清掃材の端部を挟んで保持し、周方向の一部が軸方向一端から他端に渡って連続して開口された開口が設けられ、前記開口から前記清掃材を露出させる保持材と、を備えることを特徴とする
本発明の請求項2に係る清掃部材は、請求項1に記載において、前記清掃材は長尺帯状とされ、長手方向に直交する前記清掃材の断面が矩形状とされると共に、前記開口から前記清掃材の一方の稜線が露出することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る清掃部材は、請求項1又は2に記載において、前記開口は、前記保持材に挟まれた部分の前記清掃材の巻き方向に沿って設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る清掃部材は、請求項1〜3の何れか1項に記載において、前記開口の開口幅の寸法は、前記清掃材の幅の寸法と同等又は清掃材の幅の寸法より広がっていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る清掃部材は、請求項1又は2に記載において、前記開口の開口幅は、前記芯材の軸方向中央に向うにつれて広がっていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る清掃部材は、請求項1〜5の何れか1項に記載において、前記保持材の肉厚は、前記芯材の軸方向端部で中央側より厚くなっていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る清掃部材は、請求項1〜6の何れか1項に記載において、前記芯材の外周面には、芯凸部又は芯凹部が設けられ、前記保持材の内周面には、前記芯凸部又は前記芯凹部と噛み合う保持凹部又は保持凸部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る清掃装置は、周回又は回転する被清掃部材と、前記被清掃部材に接して、前記被清掃部材の周回又は回転に伴って従動回転する請求項1〜7の何れか1項に記載された清掃部材と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る組立体は、像保持体と、回転して前記像保持体の外周面を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材に接して、前記帯電部材の回転に伴って従動回転する請求項1〜7の何れか1項に記載された清掃部材と、を備え、本体に対して交換可能に組み付けられることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る画像形成装置は、請求項8に記載された清掃装置と、前記清掃装置によって清掃された被清掃部材を用いて形成された画像が転写される記録媒体を搬送する搬送部材と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11に係る画像形成装置は、請求項9に記載された組立体と、前記帯電部材によって帯電した前記像保持体の外周面を露光して静電潜像を形成する露光部材と、前記像保持体の外周面に形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1の清掃部材によれば、保持材の断面が筒状の閉断面である場合と比して、芯材に螺旋状に巻き付けられた清掃材の端部での清掃性能を向上させることができる。
【0017】
本発明の請求項2の清掃部材によれば、清掃材に稜線がない場合と比して、芯材に螺旋状に巻き付けられた清掃材の端部での清掃性能を向上させることができる。
【0018】
本発明の請求項3の清掃部材によれば、開口が、保持材に挟まれた部分の清掃材に沿って設けられていない場合と比して、芯材に螺旋状に巻き付けられた清掃材の端部での清掃性能を向上させることができる。
【0019】
本発明の請求項4の清掃部材によれば、開口の開口幅の寸法が清掃材の幅の寸法より狭い場合と比して、保持材の芯材への組付け作業性を向上させることができる。
【0020】
本発明の請求項5の清掃部材によれば、開口の開口幅が一定の場合と比して、清掃材の端部を効果的に保持することができる。
【0021】
本発明の請求項6の清掃部材によれば、保持材の肉厚が一定の場合と比して、清掃材の端部を効率良く保持することができる。
【0022】
本発明の請求項7の清掃部材によれば、芯材と保持材とに噛み合いが無い場合と比して、保持材の芯材に対する軸方向の動きを規制することができる。
【0023】
本発明の請求項8の清掃装置によれば、請求項1〜7の何れか1項に記載された清掃部材が採用されていない場合と比して、被清掃部材を効率良く清掃することができる。
【0024】
本発明の請求項9の組立体によれば、請求項1〜7の何れか1項に記載された清掃部材が採用されていない場合と比して、像保持体に形成されるトナー画像の品質を向上させることができる。
【0025】
本発明の請求項10の画像形成装置によれば、請求項8に記載された清掃装置が採用されてない場合と比して、出力画像の品質を向上させることができる。
【0026】
本発明の請求項11の画像形成装置によれば、請求項9に記載された組立体が採用されてない場合と比して、出力画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る清掃部材等を示した正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る清掃部材、清掃装置及び交換カートリッジを示した正面図である。
【図3】(A)(B)(C)本発明の第1実施形態に係る清掃部材及び清掃装置を示した側面図である。
【図4】(A)(B)(C)本発明の第1実施形態に係る清掃部材及び清掃装置を示した側面図である。
【図5】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る清掃部材を示した斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る清掃部材に採用された清掃材の高さを示した図面である。
【図7】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る清掃部材の比較例として示した従来の清掃部材を示した正面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る清掃部材に採用された保持材及び芯材を示した側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る清掃部材等を示した正面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る清掃部材等を示した正面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る清掃部材等を示した正面図である。
【図13】本発明の第5実施形態に係る清掃部材に採用された保持材及び芯材を示した正面図である。
【図14】(A)(B)本発明の第6実施形態に係る清掃部材に採用された保持材及び芯材を示した正面図および側図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1実施形態に係る清掃部材、清掃装置、組立体及び画像形成装置の一例を図1〜図9に従って説明する。なお図中に示す矢印UPは鉛直方向上方を示す。
【0029】
(全体構成)
図9に示されるように、画像形成装置10の本体10Aの内部には、入力される画像データに対して画像処理を行なう画像処理部12が設けられている。
【0030】
この画像処理部12は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに処理するようになっており、この処理された階調データを受け取って、レーザ光LBによる画像露光を行う露光装置14が本体10A内の中央に設けられている。
【0031】
また、露光装置14の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが、水平方向に間隔をおいて配置されている。なお、Y,M,C,Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
【0032】
これらの4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、すべて同様に構成されており、予め決められた速度で回転駆動される円柱状の像保持体18と、この像保持体18の外周面を帯電する一次帯電用の帯電部材20と、前述した露光装置14の画像露光によって帯電した像保持体18の外周面に形成された静電潜像を、予め決められた色のトナーで現像してトナー画像として可視化する現像部材22と、像保持体18の外周面を清掃する清掃ブレード24とを含んで構成されている。また、帯電部材20の下側には、円柱状の帯電部材20と接して帯電部材20の外周面を清掃する清掃部材64が設けられている。
【0033】
そして、画像形成ユニット16を構成する被清掃部材の一例としての帯電部材20及び清掃部材64により、清掃装置68が構成されており、像保持体18、帯電部材20及び清掃部材64により、組立体の一例としての交換カートリッジ66(図2参照)が構成されており、この交換カートリッジ66は、夫々本体10Aに対して交換可能とされている。なお、清掃部材64については詳細を後述する。
【0034】
また、露光装置14には、4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kに共通に構成された、図示しない4つの半導体レーザが設けられており、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kが階調データに応じて出射されるようになっている。
【0035】
なお、半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して回転多面鏡であるポリゴンミラー26に照射され、このポリゴンミラー26によって偏向走査されるようになっている。そして、このポリゴンミラー26によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しない結像レンズ及び複数枚のミラーを介して、像保持体18上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光されるようになっている。
【0036】
また、この露光装置14は、下方から像保持体18上に画像を走査露光するものであるため、この露光装置14には、上方に位置する4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの現像部材22等からトナー等が落下する虞が有る。そのため、露光装置14は、その周囲が直方体状のフレーム28によって密閉されている。そして、フレーム28の上部には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に向けて透過させる透明なガラス製のウインドウ30Y、30M、30C、30Kが設けられている。
【0037】
一方、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方には、一次転写ユニット21が設けられている。そして、この一次転写ユニット21は、無端状の中間転写ベルト32と、中間転写ベルト32が巻き掛けられ、回転駆動して中間転写ベルト32を矢印方向に周回させる駆動ロール40と、中間転写ベルト32が巻き掛けられ、中間転写ベルト32に張力を付与する張力付与ロール36と、中間転写ベルト32の外周面を清掃する清掃ブレード38と、中間転写ベルト32を挟んで像保持体18Y、18M、18C、18Kの反対側に配置される一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kと、を含んで構成されている。
【0038】
そして、この4つの一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kによって、画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、中間転写ベルト32上に、多重に転写される構成となっている。
【0039】
また、中間転写ベルト32を挟んで駆動ロール40の反対側には、二次転写ロール42が設けられている。中間転写ベルト32上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像は、中間転写ベルト32により搬送され、駆動ロール40と二次転写ロール42に挟まれ、用紙搬送経路56に沿って搬送される記録媒体としてのシート部材Pに二次転写されるようになっている。
【0040】
さらに、二次転写ロール42に対してシート部材Pの搬送方向下流側(以下単に下流側と言う)には、シート部材Pに転写されたトナー画像を熱及び圧力によりシート部材Pに定着する定着装置44が設けられている。
【0041】
また、定着装置44の下流側には、トナー画像が定着したシート部材Pを画像形成装置10の本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出する排出ロール46が設けられている。
【0042】
一方、画像形成装置10の本体10A内の下側には、シート部材Pが積載される給紙部材50が設けられている。さらに、この給紙部材50に積載されたシート部材Pを用紙搬送経路56へ送り出す給紙ロール52が設けられ、給紙ロール52の下流側には、シート部材Pを1枚ずつ分離して搬送る分離ロール54が設けられている。また、分離ロール54の下流側には、搬送タイミングを合わせる位置合せロール58が設けられている。これにより、給紙部材50から供給されたシート部材Pは、予め決められたタイミングで回転する位置合せロール58によって中間転写ベルト32と二次転写ロール42とが接する位置(二次転写位置)へ送り出される構成となっている。
【0043】
さらに、排出ロール46の隣りには、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48上にそのまま排出せずに、両面用搬送経路62に搬送する搬送ロール60が設けられている。これにより、両面用搬送経路62に沿って搬送されるシート部材Pは、 表裏が反転された状態で、位置合せロール58へと再度搬送され、今度は、シート部材Pの裏面にトナー画像が転写・定着されて排出部48上に排出されるようになっている。
【0044】
この構成により、以下のようにシート部材Pに画像が形成される。
【0045】
先ず、画像処理部12から露光装置14に各色の階調データが順次出力され、この露光装置14から階調データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電部材20によって帯電した像保持体18の外周面に走査露光され、像保持体18の外周面に静電潜像が形成される。像保持体18上に形成された静電潜像は、現像部材22Y、22M、22C、22Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像として可視化される。
【0046】
さらに、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方に渡って配置された一次転写ユニット21の一次転写ロール34によって、像保持体18上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、周回する中間転写ベルト32上に多重に転写される。
【0047】
また、周回する中間転写ベルト32上に多重に転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール42により、給紙部材50から給紙ロール52、分離ロール54、位置合せロール58によって用紙搬送経路56に予め定められたタイミングで搬送されたシート部材Pに二次転写される。
【0048】
さらに、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置44へと搬送される。シート部材Pに転写されたトナー画像は、定着装置44によってシート部材Pに定着され、定着された後、画像形成装置10の本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出ロール46によって排出される。
【0049】
さらに、シート部材Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48上にそのまま排出せずに、搬送方向を切り替え、搬送ロール60を介して両面用搬送経路62へと搬送する。そして、両面用搬送経路62に沿ってシート部材Pを搬送することで、シート部材Pの表裏が反転され、シート部材Pが再度位置合せロール58へと搬送される。今度は、シート部材Pの裏面にトナー画像が転写・定着され、転写・定着された後、排出部48上に排出ロール46によって排出される。
【0050】
(要部構成)
次ぎに、円柱状の帯電部材20の外周面を清掃する清掃部材64について説明する。
【0051】
図1、図2に示されるように、帯電部材20に対向して、帯電部材20の軸方向(以下単に軸方向と言う)に延びる清掃部材64が設けられている。そして、清掃部材64は、軸方向に延びる円柱状の芯材70と、芯材70に螺旋状に巻き付けられた断面矩形状の清掃材72とを備えている。本実施形態では、清掃材72は、一例として弾性変形可能なウレタン樹脂の発泡材により形成されており、両面テープ(図示省略)を用いることで、芯材70の外周面に固定されるようになっている。
【0052】
さらに、芯材70の両端は、芯材70を外側から回転自在に支持する軸受部材74により支持されており、軸受部材74は、清掃材72が帯電部材20の外周面に予め定められた量圧縮された状態で接触する位置に清掃部材64を支持している。この構成により、帯電部材20の回転に伴い清掃部材64が従動回転するようになっている。
【0053】
そして、後述する保持部材78に保持されない清掃部材64の一般部では、清掃材72の稜線72A、稜線72B(清掃材72の外周を構成する面と面との交線)は、芯材70の径方向(以下単に径方向という)に突出するようになっている。
【0054】
一方、図1に示されるように、清掃材72の端部には、芯材70との間で清掃材72の端部を挟んで、清掃材72の端部が芯材70から剥離するのを防ぐ筒状の保持材78が設けられている。
【0055】
詳細には、本実施形態では、保持材78は、一例として樹脂材料で成形され、軸方向一端から他端に渡って連続して開口された開口80を備えている。なお、保持材78に形成された開口80は、軸方向に沿って設けられており、開口80の開口幅の寸法(図1に示す寸法A)は、一定とされている。さらに、開口80の開口幅の寸法(図1に示す寸法A)は、清掃材72の幅の寸法(図1に示す寸法B)と同等又は清掃材72の幅の寸法より広くされている。
【0056】
さらに、図8に示されるように、芯材70の直径をdとして、自由状態の保持材78の内径をDとするとd<Dとなるように夫々の径が決められており、また、開口80の開口幅の寸法をAとするとA<dとなるように夫々の形状が決められている。これにより、保持材78の芯材70への組付け作業性が確保されるようになっている。
【0057】
図1に示されるように、この開口80から清掃材72の稜線72A(清掃部材64が従動回転する際に、先に帯電部材20と当る稜線72A)を露出させ、開口80から清掃材72の稜線72Aが径方向に突出するように、清掃材72が保持材78に保持されている。詳細には、図3(A)に示されるように、稜線72Aを露出させることで、清掃材72の長手方向に直交する断面において、清掃材72の稜線72A側の端部が径方向に突出する。そして、突出した端部の高さは、保持材78で保持さていない一般部の高さ(図4(A)参照)と同等の高さとなっている。
【0058】
なお、図3、図4の図面においては、清掃材72の径方向の変形が容易に理解されるように、清掃部材72の径方向の寸法を誇張して記載している。
【0059】
さらに、図5(A)(B)に示されるように、芯材70の外周面には、凹状の芯凹部70Aが周方向に沿って設けられ、保持材78の内周面には、保持材78を芯材70に保持した際に、芯凹部70Aと噛み合う凸状の保持凸部78Aが設けられている。
【0060】
(作用)
図9に示されるように、回転する像保持体18の外周面に形成されたトナー画像は、周回する中間転写ベルト32に転写される。さらに、中間転写ベルト32に転写されずに像保持体18の外周面に残留したトナー等の異物は、清掃ブレード24によって像保持体18の外周面から除去される。
【0061】
ここで、現像剤に含まれる粒子径が小さい外添剤等の異物は、清掃ブレード24をすり抜ける。清掃ブレード24をすり抜けた外添剤等の異物は、帯電部材20の外周面に付着する。
【0062】
図4(A)(B)に示されるように、清掃材72が保持材78で保持さていない一般部では、矢印方向に回転する帯電部材20の外周面に付着した外添剤等の異物は、従動回転する清掃部材64の清掃材72が帯電部材20の外周面に押されて弾性変形することで清掃材72に押圧されて凝集する。そして、図4(C)に示されるように、凝集した外添剤等の異物は、従動回転する清掃部材64の清掃材72が復元することで、この復元力より、密な状態からほぐされたり、帯電部材20の外周面からはじかれたりする。
【0063】
一方、図3(A)(B)に示されるように、清掃材72が保持材78で保持さている清掃材72の端部では、回転する帯電部材20の外周面に付着した外添剤等の異物は、従動回転する清掃部材64の清掃材72の稜線72A側の端部が帯電部材20の外周面に押されて清掃部材64の高さ方向(図3(A)に示すG方向)と、幅方向(図3(A)に示すH方向)に弾性変形(弾性圧縮)することで清掃材72に押圧されて凝集する。そして、図3(C)に示されるように、凝集した外添剤等の異物は、従動回転する清掃部材64の清掃材72の稜線72A側の端部が復元することで、この復元力より、密な状態からほぐされたり、帯電部材20の外周面からはじかれたりする。
【0064】
ここで、図3(A)に示す清掃材72の稜線72A側の端部の径方向の高さについて比較例と比較して調査した。
【0065】
図7(A)には、第1比較例の清掃部材200が記載されており、図7(A)に示されるように、第1比較例の清掃部材200の芯材202に螺旋状に巻き付けられた清掃材204の端部は、カップ状の保持材206の内部に挿入されることで保持されている。そして、この保持材206が回転自在に軸受部材208に支持されている。
【0066】
図7(B)には、第2比較例の清掃部材300が記載されており、図7(B)に示されるように、第2比較例の清掃部材300の芯材302に螺旋状に巻き付けられた清掃材304の端部は、カップ状の保持材306の内部に挿入されることで保持されている。そして、この保持材306の底板から突出した芯材302の突出部302Aが回転自在に軸受部材308に支持されている。
【0067】
そして、図6には、縦軸を清掃材の芯材軸心からの高さとし、横軸を清掃材の軸方向の位置としたグラフが示している。なお、横軸では原点に向うにつれて、芯材の端部に近づくようになっている。
【0068】
清掃材204、304の端部がカップ状の保持材206、306の内部に挿入されて保持される第1比較例及び第2比較例(図7参照)では、清掃材204、304の端部の高さが、一般部の高さより低くなっている。
【0069】
これに対し、本グラフから分かるように、本実施形態の構成では、保持材78の開口80から清掃材72の稜線72Aが露出しているため、清掃材72が保持材78に保持されている清掃材72の端部であっても、一般部と同等の高さが確保されているのが分かる。
【0070】
以上説明したように、保持材78の開口80から清掃材72の稜線72Aを露出させることで、清掃材72の端部であっても、一般部と同等の高さが確保される。これにより、帯電部材20の回転に伴って清掃部材64が従動回転した際に、清掃材72の端部が帯電部材20に押されて前述した高さ方向及び幅方向に弾性変形して復元することで、高さ方向のみに弾性変形する場合と比して、帯電部材20に付着した異物が帯電部材20の外周面からはじかれる。
【0071】
また、清掃材72の端部であっても、帯電部材20に付着した異物が帯電部材20の外周面からはじかれることで、比較例と比べて、芯材70に螺旋状に巻き付けられた清掃材72の端部での清掃性能が向上する。
【0072】
また、清掃材72の端部での清掃性能が向上することで、異物等が付着する帯電部材20の外周面が、軸方向で清掃材72が配置される全範囲に渡って効果的に清掃される。
【0073】
また、清掃材72の端部での清掃性能が向上することで、図7の比較例の構造で同等の清掃性能を得る場合と比較して、軸方向で画像形成装置10の小型化が可能となる。
【0074】
また、保持材78に形成された開口80は、軸方向一端から他端に渡って連続して開口されているため、保持材78の芯材70への組付け作業性が向上する。
【0075】
また、芯材70の外周面に芯凹部70Aを設け、保持材78の内周面に芯凹部70Aと噛み合う保持凸部78Aを設けることで、保持材78の芯材70に対する軸方向の動きが規制される。
【0076】
また、清掃部材64で帯電部材20の外周面に付着した外添剤等の異物をはじくこと(除去すること)で、像保持体18の帯電不良が抑制されるため、像保持体18に形成されるトナー画像の品質が向上する。
【0077】
また、像保持体18に形成されるトナー画像の品質が向上することで、シート部材Pに形成される出力画像の品質が向上する。
【0078】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、被清掃部材としての帯電部材20の外周面に付着した外添剤等の異物を、清掃部材64を用いて除去したが、特に帯電部材22に限定されることなく、例えば、像保持体、転写ベルト及び転写ロールの何れかに付着した紙粉、トナー及び外添剤等の異物や、中間転写ベルト及び中間転写ロールの何れかに付着したトナー及び外添剤等の異物を、清掃部材64で除去してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、清掃材72の材料として、弾性変形可能なウレタン樹脂の発泡材を採用したが、特にこれに限定されることなく、ゴム材料の発泡材、ブラシ、不織布等の他の材料を採用してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、保持材78の材料として、樹脂材料を採用したが、特にこれに限定されることなく、弾性体(ゴム)や金属等の他の材料であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、芯材70の外周面に芯凹部70Aを設け、保持材78の内周面に芯凹部70Aと噛み合う保持凸部78Aを設けたが、芯材の外周面に凸部を設け、保持材78の内周面に凹部を設けてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、像保持体18、帯電部材20及び清掃部材64により、交換カートリッジ66が構成されたが、現像部材等の他の部材が、交換カートリッジ66の構成部品として追加されてもよい。
【0083】
次ぎに、本発明の第2実施形態に係る清掃部材の一例を図10に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0084】
図10に示されるように、第2実施形態の清掃部材100の芯材102に螺旋状に巻き付けられた清掃材104の端部を保持する保持材106の肉厚は、芯材102の軸方向端部で中央側より厚くなっている(t<t)。
【0085】
このように、軸方向端部で保持材106の肉厚を厚くすることで、軸方向端部での保持材106の剛性が高くなり、清掃材104の最端部が効率良く保持される。
【0086】
次ぎに、本発明の第3実施形態に係る清掃部材の一例を図11に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0087】
図11に示されるように、第3実施形態の清掃部材110の芯材112に螺旋状に巻き付けられた清掃材114の端部を保持する保持材116の開口118は、保持材116に挟まれた部分の清掃材114に沿って設けられている。また、保持材116に形成された開口118の開口幅の寸法は、清掃材114の幅の寸法と同等又は清掃材114の幅の寸法より広くされている。
【0088】
これにより、清掃材114の巻き付け角度によらず、清掃材114の端部での清掃性能が向上する。
【0089】
次ぎに、本発明の第4実施形態に係る清掃部材の一例を図12に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0090】
図12に示されるように、第4実施形態の清掃部材120の芯材122に螺旋状に巻き付けられた清掃材124の端部を保持する保持材126の開口128は、芯材122の軸方向中央に向うにつれて広がっている。
【0091】
このように、保持材126の開口128を芯材122の軸方向中央に向うにつれて広げることで、清掃材124が保持材126によって保持される長さが、第1実施形態と比べて長くなり、清掃材124の端部が効率良く保持される。
【0092】
次ぎに、本発明の第5実施形態に係る清掃部材の一例を図13に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0093】
図13(A)(B)に示されるように、第5実施形態の清掃部材130の芯材132に螺旋状に巻き付けられた清掃材(図示省略)の端部を保持する保持材136は、ゴム材料で成形されている。そして、取り付け前の保持材136の内径をDとし、芯材132の外径をdとすると、d≧Dとされている。
【0094】
これにより、芯材132に保持された保持材136の付勢力を利用して清掃材の端部が保持される。
【0095】
次ぎに、本発明の第6実施形態に係る清掃部材の一例を図14に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0096】
図14(A)(B)に示されるように、第6実施形態の清掃部材140の芯材142に螺旋状に巻き付けられた清掃材(図示省略)の端部を保持する保持材146は、金属で成形されている。そして、保持材146の内径をDとし、芯材132の外径をdとすると、d<Dとされている。また、保持材146の開口148の開口幅をAとすると、A≒dとされている。
【0097】
これにより、芯材142と保持材146との隙間を利用して清掃材の端部が保持される。
【符号の説明】
【0098】
10 画像形成装置
14 露光装置(露光部材)
20 帯電部材(被清掃部材)
22 現像部材
64 清掃部材
66 交換カートリッジ(組立体)
68 清掃装置
70A 芯凹部
70 芯材
72 清掃材
72A 稜線
74 軸受部材
78 保持材
78A 保持凸部
80 開口
100 清掃部材
102 芯材
104 清掃材
106 保持材
110 清掃部材
112 芯材
114 清掃材
116 保持材
118 開口
120 清掃部材
122 芯材
124 清掃材
126 保持材
128 開口
130 清掃部材
132 芯材
136 保持材
140 清掃部材
142 芯材
146 保持材
148 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在な芯材と、
前記芯材の外周面に螺旋状に巻き付けられた清掃材と、
前記芯材の外周面との間で前記清掃材の端部を挟んで保持し、周方向の一部が軸方向一端から他端に渡って連続して開口された開口が設けられ、前記開口から前記清掃材を露出させる保持材と、
を備える清掃部材。
【請求項2】
前記清掃材は長尺帯状とされ、長手方向に直交する前記清掃材の断面が矩形状とされると共に、前記開口から前記清掃材の一方の稜線が露出する請求項1に記載の清掃部材。
【請求項3】
前記開口は、前記保持材に挟まれた部分の前記清掃材の巻き方向に沿って設けられる請求項1又は2に記載の清掃部材。
【請求項4】
前記開口の開口幅の寸法は、前記清掃材の幅の寸法と同等又は清掃材の幅の寸法より広がっている請求項1〜3の何れか1項に記載の清掃部材。
【請求項5】
前記開口の開口幅は、前記芯材の軸方向中央に向うにつれて広がっている請求項1又は2に記載の清掃部材。
【請求項6】
前記保持材の肉厚は、前記芯材の軸方向端部で中央側より厚くなっている請求項1〜5の何れか1項に記載の清掃部材。
【請求項7】
前記芯材の外周面には、芯凸部又は芯凹部が設けられ、前記保持材の内周面には、前記芯凸部又は前記芯凹部と噛み合う保持凹部又は保持凸部が設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載された清掃部材。
【請求項8】
周回又は回転する被清掃部材と、
前記被清掃部材に接して、前記被清掃部材の周回又は回転に伴って従動回転する請求項1〜7の何れか1項に記載された清掃部材と、
を備えた清掃装置。
【請求項9】
像保持体と、
回転して前記像保持体の外周面を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材に接して、前記帯電部材の回転に伴って従動回転する請求項1〜7の何れか1項に記載された清掃部材と、
を備え、本体に対して交換可能に組み付けられる組立体。
【請求項10】
請求項8に記載された清掃装置と、
前記清掃装置によって清掃された被清掃部材を用いて形成された画像が転写される記録媒体を搬送する搬送部材と、
を備える画像形成装置。
【請求項11】
請求項9に記載された組立体と、
前記帯電部材によって帯電した前記像保持体の外周面を露光して静電潜像を形成する露光部材と、
前記像保持体の外周面に形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像部材と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−145413(P2011−145413A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5268(P2010−5268)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】