説明

渋味を低減した茶抽出物または茶飲料とその製造方法

【構成】 渋みを低減した茶抽出物または茶飲料、並びに茶抽出物または茶飲料をデキストリン,サイクロデキストリンおよび澱粉のうちの少なくとも1種と混ぜ、これにサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させることを特徴とする渋みを低減した茶抽出物または茶飲料の製造方法および渋みを低減した茶抽出物または茶飲料を含有する飲食物。
【効果】 本発明の渋みを低減した茶抽出物および茶飲料は、生理活性成分であるポリフェノール類を含んだままで、従来の茶飲料や茶抽出物が持つ強い渋みが効果的に改善されている。そのため、このものは飲食物のみならず、嗜好品,化粧品,医薬部外品,医薬品などの広い分野に応用可能である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、渋味を低減した茶抽出物または茶飲料とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、缶飲料やインスタント飲料をはじめとして茶葉を原料として含む食品が大量に販売されている。また、一方で茶の渋み成分が、コレステロール上昇抑制作用(特公平2−44449号公報)、抗菌作用(特開平2−276562号公報)、抗酸化作用(特公平1−44234号公報)、抗腫瘍作用(特開昭60−190719号公報)、血圧上昇抑制作用および酵素活性阻害作用(特開平3−133928号公報)などの生理活性作用を持つことが知られている。茶の渋み成分の主成分であるポリフェノール類としては、緑茶や烏龍茶ではエピガロカテキンガレートやエピガロカテキン,エピカテキンガレートが、紅茶ではこれらの他に、さらにテアルビジンやテアフラビンが知られている。しかしながら、茶はこれらのポリフェノール類の持つ特徴的な渋みのために、いわゆる茶として飲用されている他には、数種類の食品原料として使用されているのみであり,食品原料としての使用用途は限定されている。
【0003】食品原料としての用途開発のため、あるいは茶飲料の呈味性改善のために、茶の渋みを低下させる試みがなされており、これまでに提案された方法としては、ポリビニルピロリドンで茶抽出液中の渋み成分を取り除く方法(特開平1−218550号公報)、原茶製造時にアルコール水溶液で処理する方法(特開昭60−115170号公報)、サイクロデキストリンやグルタミン酸塩を添加する方法(特開昭61−271969号公報)、さらにはサポニンを配糖化することによって呈味性を改善する方法(特開昭63−39597号公報、特公平3−68664号公報)が挙げられる。しかしながら、ポリビニルピロリドンの使用では、茶の生理活性成分であるポリフェノール類が除去されてしまう。また、原茶製造時の処理方法は、該処理が可能な機械でしか目的とする茶の製造ができないという課題がある。さらに、サイクロデキストリンやグルタミン酸塩の使用は、一時的なマスキング効果しか持たない。また、茶サポニンは茶の渋み成分の主成分ではないため、サポニンを配糖化するだけで茶抽出物や茶飲料の渋みの低減を図ることは困難である。従って、茶の特性を生かした上で渋みを低減し、さらに茶飲料や茶抽出物の用途を拡大することは従来の技術では困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、茶に含まれる生理活性成分を含んだままで、渋みを低減した茶抽出物または茶飲料を提供することである。さらに、渋みを低減した茶抽出物または茶飲料を飲食物をはじめとして、化粧品,医薬品などの広い分野で十分に活用できるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは茶抽出物または茶飲料の渋みの低減に関して、鋭意研究を重ねた結果、茶抽出物または茶飲料をデキストリン,サイクロデキストリン,澱粉もしくはこれらの混合物と混ぜ、これにサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させることによって、渋みを低減した茶抽出物または茶飲料が得られることを見いだした。
【0006】本発明は、渋みを低減した茶抽出物または茶飲料、より具体的にはポリフェノール類を配糖化することにより渋みを低減した茶抽出物または茶飲料に関し、さらに茶抽出物または茶飲料をデキストリン,サイクロデキストリンおよび澱粉のうちの少なくとも1種と混ぜ、これにサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させることを特徴とする渋みを低減した茶抽出物または茶飲料の製造方法に関する。また、本発明は、上記の渋みを低減した茶抽出物または茶飲料を含有する飲食物に関する。
【0007】以下に、本発明を詳しく説明する。本発明に用いる茶抽出物や茶飲料は制限がなく、既知の方法によって得られるものを任意に使用できる。茶飲料の一般的な製造方法は、緑茶,烏龍茶,紅茶,プアール茶などの茶葉を原料として抽出を行い、濾過、遠心沈殿などにより清澄化を行った後に、香料,添加物やビタミンCなどを適宜添加して味を整え、さらに加熱殺菌を行い茶飲料にする方法である。次に、茶抽出物の製造方法は、茶飲料と同様、あるいはさらに濃い濃度で抽出を行った後、清澄化等の処理を行ってから濃縮してエキスにする方法、あるいは該エキスに凍結乾燥,噴霧乾燥等の乾燥手段を適用して粉末にする方法である。
【0008】茶抽出物または茶飲料の渋みを低減する具体的な方法としては、上記の茶抽出物(粉末の場合は液化する)または茶飲料に、デキストリン,サイクロデキストリン,澱粉あるいはこれらの混合物を添加し、これにサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させる方法を用いることができる。サイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼとしては、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)由来の酵素がポリフェノール類への配糖化能が高く、渋みをよく低減できるので、有利に利用できる。
【0009】酵素反応の条件としては、反応のpHを3〜9、好ましくは5〜8、反応温度を20〜80℃、好ましくは30〜70℃とし、基質濃度としてポリフェノール類を0.1〜20%(w/w)、好ましくは5〜15%(w/w)、デキストリン,サイクロデキストリンおよび澱粉のうちの少なくとも1種を1〜40%(w/w)、好ましくは2〜35%(w/w)含む反応液を用いるのがよい。酵素量や反応時間は、上記反応条件に合わせ適宜に設定することができる。本発明の方法には、上記のように、茶抽出物や茶飲料に直接酵素を作用させて渋みを低減させる方法だけでなく、茶抽出物や茶飲料の製造工程の途中で上記の酵素反応を行うことによって、渋みを低減した茶抽出物や茶飲料を製造する方法も包含される。
【0010】以上述べたようにして得られる茶抽出物または茶飲料は、従来の茶抽出物や茶飲料と比べて苦味、渋味、えぐみや収斂性などの嫌味がなく、そのままで渋みを低減した茶飲料等として飲用に供することができるだけでなく、他の素材と共に含有せしめて飲食物として用いる他、嗜好品,医薬部外品,化粧品,医薬品などの広い分野に自由に用いることができる。また、本発明の渋みを低減した茶抽出物または茶飲料に含まれる配糖化されたポリフェノール類は、これらを摂取したとき、体内のα−アミラーゼ,α−グルコシダーゼなどの作用により容易に元のポリフェノール類に戻ることから、その機能性の低下を懸念することなく、茶本来の例えば、コレステロール上昇抑制作用,生体内抗酸化作用などの生理活性機能を発揮できるため、健康増進食品,健康維持食品,健康回復食品などとして有利に利用することができる。本発明の渋みを低減させた茶抽出物または茶飲料の利用分野を例示すれば、調味料,和菓子,洋菓子,氷菓子,シロップ類,果実加工品,野菜加工品,漬物類,畜肉製品,魚肉製品,珍味類,缶・ビン詰類,酒類,清涼飲料,即席飲食物などの食品類、タバコ,練り歯磨き,口紅,リップクリーム,内服薬,トローチ,肝油ドロップ,口中清涼剤,口中香錠,うがい薬などの各種固形状,ペースト状,液状の嗜好品、化粧品、医薬品などである。
【0011】
【実施例】以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はかかる説明によって何ら制限されるものではない。
実施例1紅茶濃縮エキス(三井農林株式会社製)60gを熱水1590gで希釈して飲用濃度にした。この希釈液1350gに対してデキストリン(商品名:パインデックス#1、松谷化学株式会社製)50g(希釈紅茶エキスのBrixの3倍量)を加え、さらにバチルス・ステアロサーモフィラス由来のサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)をデキストリン1グラム当たり1000単位加え、NaOHでpHを5.5に調整後、50℃で12時間反応させた。
【0012】一方、対照例として上記の希釈紅茶エキスのBrixに対して3倍量のデキストリン(上記と同じ)を溶解したものを作成した。10人のパネラーにより、実施例と対照例の各製品の渋みについて3点比較法で試験を行い、渋味が強いと感じられるものを選択して貰い評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0013】
【表1】
第1表 実施例の製品 対照例の製品 渋味が強いと評価した人数 1人 9人
【0014】第1表から明らかなように、渋みの弱いものとして実施例の製品を選択したパネラーが有意に多かった。また、実施例と対照例の各製品を冷蔵庫中で保存したところ、対照例の製品は紅茶特有のクリームダウン現象による顕著な濁りを生じたのに対して、実施例の製品は濁りの低減が認められた。従って、渋みを低減する反応に伴って紅茶特有の問題であるクリームダウンも低減できることが判った。このように呈味性が改善されたことによって、本発明の渋みを低減した紅茶飲料は、飲料の他に食品,嗜好品,化粧品等を問わず様々な物品に応用することができる。
【0015】実施例2実施例1で得られた渋みを低減した紅茶エキスが、本発明の方法により配糖化することによって渋みを低減した茶抽出物であることを定性的に確認するため、以下のような操作を行った。実施例1で得られた紅茶エキス5mlを秤取り、グルコアミラーゼ(商品名:グルクザイムAF6、天野製薬株式会社製)1.6mgとα- グルコシダーゼ(シグマ社製)0.23mgを加えてよく撹拌後、37℃で3時間インキュベートした。次いで、反応液に酢酸エチル1mlを加えてよく混合した後、3000回転/分で5分間遠心して、酢酸エチル層と水層に分離し、酢酸エチル層を回収した。この操作を4回繰り返した。得られた酢酸エチル層を遠心濃縮機で濃縮して酢酸エチルを留去後、得られた固形物を水で25mlにメスアップした。これを処理画分とした。
【0016】一方、実施例1で得られた紅茶エキスを5ml秤取って酢酸エチル1mlを加えてよく混合した後、3000回転/分で5分間遠心して、酢酸エチル層と水層に分離し、酢酸エチル層を回収した。この操作を4回繰り返した。得られた酢酸エチル層を遠心濃縮機で濃縮して酢酸エチルを留去後、得られた固形物を水で25mlにメスアップした。これをコントロール画分とした。
【0017】上記処理画分およびコントロール画分中の茶ポリフェノールを酒石酸鉄法を用いて以下のように測定した。処理画分とコントロール画分をそれぞれ5mlずつとり、硫酸第一鉄(1mg/ml)と酒石酸カリウムナトリウム(5mg/ml)の混合溶液5mlを加えた後で、1/15Mのリン酸ナトリウム−リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)で25mlにメスアップした。得られた反応液の540nmにおける吸光度をそれぞれ測定した。結果を第2表に示す。
【0018】
【表2】
第2表 540nmの吸光度 処理画分 0.549 コントロール画分 0.371
【0019】第2表から明らかなように、処理画分ではコントロール画分に比べて吸光度が約20%増加した。これは処理画分の方がコントロール画分に比べて酢酸エチル層に移りやすい遊離のポリフェノール類の量が多いことを示すものであり、実施例1で配糖化されていたポリフェノール類が元のポリフェノール類に戻ったことを示すものである。従って、この結果は、本発明の方法によって紅茶中の渋み成分である茶ポリフェノールが配糖化されていたことを示すものである。さらには、この方法が本発明の渋みを低減した茶抽出物または茶飲料の確認方法となることを示すものである。
【0020】実施例3緑茶抽出物(商品名:ポリフェノン60、三井農林株式会社製)1.5gとα−サイクロデキストリン(株式会社林原生物化学研究所製)6.0gを10mM塩化カルシウム溶液30mlに溶解後、pHを5.5に調整した。この溶液にバチルス・ステアロサーモフィラス由来のサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)500単位を添加して50℃で24時間インキュベートした。酵素反応を100℃で30分間加熱して停止後、反応生成物を凍結乾燥して粉末7.6gを得た。
【0021】一方、対照例として、緑茶抽出物(上記と同じ)1.5gとα−サイクロデキストリン(株式会社林原生物化学研究所製)6.0gを10mM塩化カルシウム溶液30mlに溶解してpHを5.5とした後、50℃で24時間インキュベートした。次に、バチルス・ステアロサーモフィラス由来のサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)500単位を添加して、直ちに100℃で30分間加熱して酵素を失活させた。得られた溶液を凍結乾燥して粉体7.7gを得た。
【0022】上記の実施例および対照例で得た各粉末ならびに原料の緑茶抽出物(商品名:ポリフェノン60、三井農林株式会社製)を該緑茶抽出物の濃度で2000ppm相当となるように溶解した。これら3種類のサンプルについて3点比較法で試験を行い、渋味が少ないものを選択させ評価した。なお、官能検査は20人のパネラーに対して行った。結果を第3表に示す。
【0023】
【表3】
第3表 実施例の製品 対照例の製品 原料 渋味が弱いと評価した人数 17人 2人 1人
【0024】実施例の製品は、原料の緑茶抽出物に対しても、対照例の製品に対しても、明らかに渋みが低減していた。このように、呈味性が改善されたことによって、本発明の渋みを低減した茶抽出物は飲料原料以外にも食品,嗜好品,化粧品等の別を問わず様々な物品に応用できるものである。
【0025】実施例4実施例3で得た緑茶抽出物約150mgを秤取り、水1mlに溶解後、実施例2と同様の方法で酵素処理と酢酸エチル抽出を行った。得られた酢酸エチル層を遠心濃縮機で濃縮して酢酸エチルを留去し、得られた固形物を水で50mlにメスアップした。これを処理画分とした。
【0026】一方、実施例3で得た緑茶抽出物150mgを秤取り、水1mlに溶解後、実施例2の対照例と同様の方法で酢酸エチル抽出を行った。得られた酢酸エチル層を遠心濃縮機で濃縮して酢酸エチルを留去し、得られた固形物を水で50mlにメスアップした。これをコントロール画分とした。処理画分とコントロール画分を実施例2と同様にして酒石酸鉄法で分析した。結果を第4表に示す。第4表から明らかなように、処理画分の吸光度はコントロール画分に比べて約30%増加した。
【0027】
【表4】
第4表 540nmの吸光度 処理画分 0.279 コントロール画分 0.215
【0028】次に、上記の処理画分およびコントロール画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法で以下の通り分析した。カラムは資生堂 CAPCELLPAK C-18 AG1204.6×250mmを40℃に加温して、移動相には酢酸エチル:アセトニトリル:0.05%リン酸水=0.6:12:90の混合溶媒を移動相流速1ml/minで使用した。検出はUV280nmで行った。結果を図1および図2に示す。すなわち、図1はコントロール画分の、図2は処理画分のHPLCでの分析結果を示す。図2における各ピークの保持時間(分)はピークAが5.68、ピークBが7.83、ピークCが4.42である。また、第5表に茶成分の中で配糖化反応で配糖化されないことが明らかなカフェイン(ピークA)の面積値を1としたときの主要なポリフェノールであるエピガロカテキンガレート(ピークB)およびエピガロカテキン(ピークC)の相対面積値を示した。第5表から明らかなように、処理画分ではコントロール画分に比べてピークBとピークCの相対面積値がそれぞれ約25%、26%ずつ増加した。
【0029】
【表5】
第5表 ピークAに対するピークBとCの相対面積値 ピークB ピークC 処理画分 0.446 0.046 コントロール画分 0.361 0.037
【0030】酒石酸鉄法で測定した処理画分の吸光度が増加していることは、実施例2の場合と同様に、本緑茶抽出物が配糖化されていたことを示すものであり、HPLC法で認められたピークBとピークCの面積値の増加は、エピガロカテキンガレートやエピカテキンといったポリフェノール類が配糖化されていたことを示すものである。従って、本緑茶抽出物が配糖化することによって渋みが低減した緑茶抽出物が得られたことを示すものである。さらに、本茶抽出物はα−グルコシダーゼやグルコアミラーゼによって加水分解されてエピガロカテキンガレートやエピガロカテキンを遊離することから、本緑茶抽出物も生体内のα−グルコシダーゼやα−アミラーゼ等の酵素によっても容易に加水分解されて、生理活性機能を持つエピガロカテキンガレートなどのポリフェノール類を遊離して、ポリフェノール類本来の生理活性機能を示すものと考えられる。
【0031】実施例5実施例3で得られた渋みを低減した茶抽出物を使用して清涼飲料を試作した。レシピーは第6表の通りである。また、対照例では緑茶抽出物(商品名:ポリフェノン60、三井農林株式会社製)を使用した。渋みの比較のために実施例3の茶抽出物中の緑茶抽出物の量と対照例で使用した緑茶抽出物の量を同じとした。結果を第6表に示す。
【0032】
【表6】
第6表 清涼飲料のレシピー 原 料 実施例(kg) 対照例(kg) 果糖ぶどう糖液糖 5.0 5.0 砂 糖 4.0 4.0 クエン酸(結晶) 0.2 0.2 1/5柑橘混合果汁 6.0 6.0 カロチン色素 0.02 0.02 オレンジ香料 0.05 0.05 茶抽出物 1.2 0.2
【0033】上記レシピーで試作した2種類の清涼飲料について、渋みに対する官能検査を実施した。試験は20人のパネラーに対して3点比較法を用いて行った。結果を第7表に示す。実施例の飲料の方が有意に渋みが少ないという結論であった。従って、渋みが低減して呈味性を改善したことによって、本発明の渋みを低減した茶抽出物は飲料の風味を損なうことなく飲料原料として使用できることが確認された。
【0034】
【表7】
第7表 実施例の飲料 対照例の飲料 渋みが強いと評価した人数 2人 18人
【0035】実施例7実施例1で得られた渋みを低減した紅茶飲料を使用してゼリー菓子の製造を行った。カップリングシュガー(登録商標、株式会社林原生物化学研究所製)126g、オリゴメイト50(商品名、ヤクルト薬品工業株式会社製)136g、乳糖6g、アスパルテーム(商品名、味の素株式会社製)、実施例1で得られた渋みを低減した紅茶飲料100gおよび水50gを加えて溶解した後、撹拌しつつ加熱溶解した。この溶液にペクチン4.5gを徐々に加えて溶解後、50%クエン酸溶液3.3g、1/5濃縮レモン果汁6g天然色素0.1gおよびレモンフレーバー0.2gを加えて十分に混合し、この溶液を型に流し込み、室温で12時間放冷して固化させてペクチンゼリーを作成した。本品はポリフェノール類特有の渋みがなく、風味が優れたゼリー菓子である。また、ポリフェノール類の機能性を有するゼリー菓子として好適である。
【0036】
【発明の効果】本発明の渋みを低減した茶抽出物および茶飲料は、生理活性成分であるポリフェノール類を含んだままで、従来の茶飲料や茶抽出物が持つ強い渋みが効果的に改善されている。そのため、このものは飲食物のみならず、嗜好品,化粧品,医薬部外品,医薬品などの広い分野に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例4のコントロール画分のHPLCでの分析結果を示す。
【図2】 実施例4の処理画分のHPLCでの分析結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 渋みを低減した茶抽出物または茶飲料。
【請求項2】 ポリフェノール類を配糖化することにより渋みを低減した茶抽出物または茶飲料。
【請求項3】 茶抽出物または茶飲料が、不発酵茶,半発酵茶,発酵茶,後発酵茶などの茶葉を原料としたものである請求項1記載の渋みを低減した茶抽出物または茶飲料。
【請求項4】 茶抽出物または茶飲料をデキストリン,サイクロデキストリンおよび澱粉のうちの少なくとも1種と混ぜ、これにサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させることを特徴とする渋みを低減した茶抽出物または茶飲料の製造方法。
【請求項5】 サイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼがバチルス・ステアロサーモフィラス由来のものである請求項4記載の茶抽出物または茶飲料の製造方法。
【請求項6】 請求項1記載の渋みを低減した茶抽出物または茶飲料を含有する飲食物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平8−298930
【公開日】平成8年(1996)11月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−135701
【出願日】平成7年(1995)5月10日
【出願人】(591039137)三井農林株式会社 (7)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)