説明

減カロリーまたは無カロリー冷凍炭酸入り飲料

【課題】無カロリーまたは減カロリーの冷凍された非炭酸または炭酸入り自動販売機飲料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ダイエット飲料シロップの凝固点を凝固点降下剤、特に既知の高効力無カロリー甘味料の一部を代替するために使用される糖MNS、たとえばエリトリトールなどの使用により降下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料の凝固点を降下させるための凝固点降下剤、特に糖多量栄養素代替品(Sugar MacroNutrient Substitutes)(MNS)類、例えば、エリトリトールの使用による減カロリー(reduced calorie)または無カロリー(non−calorie)冷凍炭酸入り(carbonatd)および非炭酸(non−carbonated)飲料の製造方法に関する。より特に、本発明は開示された方法により製造される無カロリー冷凍炭酸入り飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
フルカロリー冷凍炭酸入り飲料(Full calorie frozen carbonated beverages)(FCB)類は当該技術で既知でありそして長年にわたり製造されてきた。FCB類は、シロップ、水および二酸化炭素を包含する成分の混合物を混合室の中で冷凍する装置により製造される。混合物は、冷蔵剤が通過する螺旋コイルにより囲まれた混合室の内表面で凍結する。混合室の内壁から混合物をこすり落とす外側に突出した複数の刃を有する室の内部には回転軸が配置されている。炭酸入り飲料が所望する冷凍状態になったら、製品は室から製品弁を介して分配される(dispensed)。
【0003】
混合室内の成分の温度および粘度は、冷蔵システムを調節する調節システムにより保たれる。製品の品質は成分のバランス並びに室内の圧力および温度により調節される。FCB類の化学的性質もFCB自動販売装置の正常作動およびFCB製品の品質において重要な役割を演ずる。
【0004】
最近のFCB製品はフルカロリーFCB類に限定されている。カロリー製品は、約10%(w/v)の濃度で甘味料として使用される普通の糖類、例えばスクロースまたは高フルクトースコーンシロップ(HFCS)、を含有する。これらの糖類はFCB類の凝固点降下において重要な役割を演ずる。FCB機械の正常操作条件下では、カロリーのある甘味料の添加が製品の凝固点を降下させて雪解けのような(slush−like)状態で自動販売可能にする。対照的に、ダイエット飲料すなわち無カロリーシロップはスクロースまたはHFCSのような普通の糖類を含有しないため、凝固点降下剤を欠いている。改変した凝固点を有していないため、ダイエットシロップはカロリーのあるFCB類で見られるような雪解けのような適切な自動販売用に必要な性質を得るというよりむしろFCB機械中で氷塊状に凍結するであろう。
【0005】
凝固点は束一性(colligative property)でありそして溶液の凝固点は存在する溶質の性質でなく溶質分子の数に依存する。無カロリー成分、例えば塩類または酸類、をダイエットシロップに加えて凝固点降下を与えることができ、それにより雪解け状態が得られる。しかしながら、これらの成分は塩辛いまたは酸っぱい製品を生じて飲料の味および品質に影響を与える。酸類または塩類の添加の提唱された代替品は、凝固点降下を生ずるために無カロリー甘味料、例えばアスパルテーム、サッカリン、またはこれらの混合物、の量を増加させるであろう。しかしながら、これらの甘味料の効力のために、生じたダイエットFCB類の味および品質はここでも許容できないほどに変化するであろう。
【0006】
本発明は凝固点改変剤の使用によりダイエットFCB類の製造に伴う問題を克服する。凝固点改変剤は、1)単独のまたは塩類および/酸類と組み合わされた1種もしくはそれ以上の糖MNS類、並びに2)1種もしくはそれ以上の塩類、酸類および/または糖MN
S類と組み合わされた1種もしくはそれ以上の糖または糖アルコール類を包含する。両方の場合とも、凝固点改変剤は普通には高効力無カロリー甘味料またはそのような甘味料の混合物と組み合わされて使用されるであろう。本発明に従う減カロリーおよびダイエットFCB類はダイエットシロップの味および品質を許容できないほど変化させずに必要な雪解け状態を得ることができる。
【0007】
糖MNS類は種々の食品中で低カロリー甘味料として使用されてきた。糖MNSは約100〜1000の範囲内の分子量を有する無カロリーまたは減カロリー多価アルコールである。
【0008】
Knog−Chan et.al.による特許文献1は減カロリーチョコレート菓子の製造におけるポリオール類の使用を開示している。Knog−Chan et.al.は天然脂肪を消化不能ポリオール脂肪酸ポリエステルで代替している。ノグ−チャン他は糖の代替品としての人工甘味料および部分的または全く消化不能な炭水化物の使用も開示している。
【0009】
Bernhardtに対する特許文献2は、身体温度におけるある種のレオロジー性質(例えば粘度、液体/固体安定性)を有する食用の全くまたは部分的に消化不能な瞬時融解性ポリオール脂肪酸ポリエステル類を開示している。これらの瞬時融解性ポリオールポリエステル類はアイスクリームおよび他の脂肪含有冷凍デザートを包含する食品中での部分的または完全な脂肪代替品として開示されている。
【0010】
Whelan et.al.に対する特許文献3は、約2〜約20%の脂肪を含んでなり、その約30〜100%が食用の全くまたは部分的に消化不能なポリオール脂肪酸エステル類である低カロリー冷凍デザート製品を開示している。
【0011】
以上のことに基づくと、ポリオールポリエステル類は冷凍食品の分野で脂肪代替品としてのみ使用されてきたことは明らかである。これらにポリオール類は食品のカロリー量を脂肪代替により減少させる。
【0012】
低カロリー甘味料としての使用が知られている糖MNS類はエリトリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、フルクトオリゴ糖甘味料およびキシリトールを包含する。また、これらの糖MNS類は食品のカロリー量を減ずるためにも使用されるが、この場合には、それらは糖および他の甘味料を代替する。以下の例は糖MNS類が一般的に使用されているような既知の方法を記述する。
【0013】
エリトリトールは減カロリー食品の製造における使用のための既知の甘味料である。
【0014】
【化1】

【0015】
Rapaille et.al.に対する特許文献4は、減カロリー食品中での甘味料
としての使用に適する組成物を開示している。この甘味料は5〜50重量%のエリトリトール、30〜80重量%のソルビトールおよび5〜25重量%のDE10〜30のグルコースオリゴマーを含む。
【0016】
De Sadeleer et.al.に対する特許文献5は、噴霧乾燥エリトリトールの製造方法を開示している。この自由流動性エリトリトール粉末は好ましくは例えばアスパルテームのような合成甘味料と組み合わせた甘味料としての使用に関して開示されている。
【0017】
Kondouに対する特許文献6は、ココア粉末、エリトリトール、および甘味料を含む低カロリー混和ココア組成物を開示している。
【0018】
マルチトールおよびキシリトールは、フルカロリー甘味料を代替する減カロリー食品中で一般的に使用される別の糖MNS類である。
【0019】
【化2】

【0020】
【化3】

【0021】
Thistleに対する特許文献7および8は虫歯を最少にする飴のような菓子を開示している。この菓子は好ましくは、天然甘味料としてのキシリトールおよび口内の唾液のpH水準を高めて細菌の存在を減少させる水酸化カルシウムを含む。
【0022】
Olinger et.al.に対する特許文献9は、相乗的な甘味効果を与えると主張されているキシリトールおよびマルチトールの組み合わせを含有する組成物を開示している。
【0023】
Gonze et.al.に対する特許文献10は、例えばエリトリトールまたはマルチトールの甘味料および結合剤を含む薬用ドロップの製造方法を開示している。
【0024】
糖代替品としての一般的使用に関して言及される最後の糖MNSはラクチトールである。
【0025】
【化4】

【0026】
Heikkila et.al.に対する特許文献11および12は、ダイエット製品、菓子、パン製品、セリアル、デザート、ジャム、飲料、チョコレート、チューイングガムおよびアイスクリーム中でのスクロースの完全または部分的代替品としての塊状甘味料としての結晶性ラクチトール一水和物を開示している。ヘイッキラ他の特許では、ラクチトールは冷凍製品中の脂肪代替系として開示されている。
【0027】
Olinger et.al.に対する特許文献13は、スクロースまたはコーンシロップ固体なしで製造された改良された冷凍デザートを開示している。冷凍デザートはラクチトールおよび水素化された澱粉加水分解物により甘味がつけられる。
【0028】
本発明は、無カロリー甘味料、糖MNS類、塩類、酸類およびそれらの混合物、特にエリトリトールと組み合わされた糖類を含む凝固点降下剤の使用による減カロリーおよびダイエットFCB類の製造に伴う欠点を克服して、減カロリー冷凍炭酸入り飲料を製造する。糖MNS類は冷凍デザート製品を含む種々の食品中の減カロリー代替甘味料として使用されてきたが、糖MNS類は冷凍飲料の製造におけるそれらの凝固点降下に関しては考察されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】米国特許第4,810,516号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第236,288号明細書
【特許文献3】米国特許第6,010,734号明細書
【特許文献4】米国特許第5,273,771号明細書
【特許文献5】米国特許第5,973,212号明細書
【特許文献6】米国特許第6,045,850号明細書
【特許文献7】米国特許第6,083,527号明細書
【特許文献8】米国特許第6,071,500号明細書
【特許文献9】米国特許第5,017,400号明細書
【特許文献10】米国特許第5,700,514号明細書
【特許文献11】米国特許第5,516,763号明細書
【特許文献12】米国特許第5,672,589号明細書
【特許文献13】米国特許第5,527,554号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
無カロリー甘味料、糖MNS類、塩類、酸類およびそれらの混合物と組み合わされた糖類を含む凝固点降下剤が製品の味および品質に悪影響を与えずに減カロリーおよび無カロリーFCB類の製造を可能にすることが発見された。本発明は雪解け状態のままであり且つ自動販売可能(dispensable)な減カロリーまたは無カロリー冷凍炭酸入り飲料である。本発明の一面によると、冷凍炭酸入り飲料の製造における使用のために凝固点降下剤を加えることによるダイエット飲料シロップの凝固点を降下させる方法が開示される。
【0031】
飲料シロップ、二酸化炭素および水を含有する糖MNSを含む減カロリーまたは無カロリー冷凍炭酸入り飲料も開示される。
【0032】
凝固点降下剤を含む飲料シロップから製造される減カロリーまたは無カロリー非炭酸飲料もさらに開示される。
【0033】
最後に、凝固点降下剤を含有する飲料シロップを水および二酸化炭素を有する室に加えて減カロリー冷凍炭酸入り飲料を製造することによる減カロリーまたは無カロリー冷凍炭酸入り飲料の製造方法も開示される。
【0034】
本発明の別の目的および利点は以下の記述に一部が示され、そして一部は記述から明らかになるであろうし、或いは本発明の実施により学習されるであろう。本発明の目的および利点は添付されている特許請求の範囲に特に指定された要素や組み合わせにより実現されそして達成されるであろう。
【0035】
以上の一般的な記述および以下の詳細な記述の両者とも特許が請求されている発明の単なる例示でありそして制限するものではないことを理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明は、減カロリーおよび無カロリー冷凍飲料製品およびそれらの製造方法に関する。本発明に従う飲料は炭酸入りでもまたは炭酸入りでなくてもよい。本発明に従う好ましい飲料は炭酸入りである。
【0037】
引用することにより本発明の内容となる例えば米国特許第5,806,550号に記述されているFCB類の既知の製造方法では、水、飲料シロップおよび二酸化炭素がFCBを製造する室に供給される。用語「冷凍炭酸入り自動販売機」(“frozen car
bonated dispenser”)および「自動販売機」(“dispenser”)は雪解け状態の製品を自動販売可能な装置と同義語である。シロップの凝固点を降下させながら飲料のカロリーを減少させる飲料シロップ中での凝固点降下剤の使用に関するFCBを製造するための最近知られたかまたは開発された方法を本発明で使用することができる。本発明で使用される「減カロリー」(“reduced calorie”)は、フルカロリーの同等な飲料に関連するカロリーの50%もしくはそれより少ないカロリーの飲料をさす。「実質的な減カロリー」飲料は、75%減じられたカロリーを有するものである。「無カロリー」(“non−caloric”)FCBは、100%もしくは100%近く減じられたカロリーを有するものである。本発明は、雪解け状態のままであり且つ自動販売可能のままである減カロリーまたは無カロリー冷凍炭酸入り飲料を生ずる。
【0038】
本発明は、糖類、糖アルコール類、糖MNS類、塩類および酸類を高効力無カロリー甘味料と共に含む種々の凝固点降下剤を利用して減カロリーまたは無カロリー冷凍飲料の凝固点を降下させそして雪解け状態のようなコンシステンシー(consistency)を得ることを含む。
【0039】
本発明に従う使用のための飲料シロップは、凝固点降下剤を単独でまたは高効力無カロリー甘味料、例えばアスパルテームまたはサッカリン、と組み合わせて使用する。用語「無カロリー」は、食品または飲料製品に対して人間が生物学的に利用可能な0または0近くのカロリー量を与える甘味料をさす。
【0040】
本発明に従う使用のための凝固点降下剤は、無カロリー甘味料と組み合わせて使用する場合には糖類を含む。本発明に従う使用に好ましい糖類は、スクロース、高フルクトースコーンシロップ、グルコース、フルクトースおよびラクトースを包含する。フルカロリー糖類が凝固点降下剤として使用される場合には、生ずる減カロリー冷凍炭酸入り飲料は少なくとも50%のカロリー減少を達成するであろうが、糖のフルカロリー性質のために相対的カロリー減少だけが達成可能であろう。
【0041】
それより有意に減じられたカロリーを有するFCBが所望される場合には、代替凝固点降下剤を使用しなければならないであろう。本発明に従う使用のための他の凝固点降下剤はプロピレングリコール、グリセロール、およびソルビトールを包含する。本発明の一つの態様によると、グリセロールが凝固点降下剤として使用される。グリセロールはフルカロリー甘味料であるが、それは充分に低い水準で充分な凝固点降下を達成して実質的なカロリー減少をもたらす。
【0042】
別の減カロリーFCB類は糖MNS類を用いて製造することができる。本発明に従う使用のための糖MNS類は、減カロリー飲料シロップ中で使用される場合に必要な凝固点降下を与える当該技術で認識されているFDA認可組成物を包含する。
【0043】
本出願で使用される用語「糖MNS」(“Suger MNS”)は、少なくとも3個の、好ましくは3から17個の、ヒドロキシル基を含有する多価アルコールをさす。糖MNS類は、糖類(すなわち、単糖類、二糖類、および三糖類)、糖アルコール類、他の糖誘導体(すなわちアルキルグリコシド類)、ポリグリセロール類、例えばジグリセロールおよびトリグリセロール、ペンタエリトリトール、糖エーテル類、例えばソルビタンおよびポリビニルアルコール類を包含する。糖類、糖アルコール類および糖誘導体の非限定例は、キシロース、アラビノース、リボース、キシリトール、グリセロール、エリトリトール、グルコース、メチルグルコシド、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルビトール、マルトース、ラクトース、スクロース、ラフィノース、タガトース、およびマルトトリオースを包含する。本発明における使用に好ましい糖MNS類は、エリトリトール
、イソマルト、マルチトール、ラクチトールおよびフルクトオリゴ糖甘味料を包含する。糖MNS類を使用して減カロリー、実質的な減カロリーおよび無カロリーFCB類を製造することができる。
【0044】
糖MNS類は食品中での使用に認可された量で使用することができる。好ましくは、エリトリトールは3.5%(w/v)の現在のFCA認可限度までの量で加えられる。
【0045】
本発明における使用に好ましい糖MNS類はダイエット飲料シロップ中で使用される場合には便通促進効果は有していない。エリトリトールは本質的に便通促進効果を有していないため、本発明における使用に最も好ましい糖MNS類はエリトリトールである。エリトリトールは例えばFCB中でのように中程度の水準で消費される場合には、小腸からの血流中に完全に吸収されそして次に未変化のまま尿中に定量的に排泄される。例えばイソマルト、マリトールおよびラクチトールのような他の糖MNS類は小腸から吸収されずそしてそれらが大腸に入り、そこでそれらが嫌気性細菌により発酵して短鎖脂肪酸類および気体を製造するため、それらはあまり好ましくない。短鎖脂肪酸類は高い水結合活性を有しており、例えば軟便および下痢のような影響を与える可能性がある。
【0046】
凝固点降下剤、例えば糖MNS、を包含する本発明に従うダイエット飲料シロップは自動販売可能な減カロリーFCBを与えるのに充分な凝固点降下を与える。この製品は「雪解け」状態で自動販売される。ここで使用される用語「雪解け状態(slushy)」、「雪解け(slush)」、「雪解け状態のような(slushy−like)」および「雪解けのような(slush−like)」は同義語である。これらの用語は、飲料が固体冷凍状態でなくそして飲料の粘度が室温においてその液体状態より高い飲料の物理的性質をさす。
【0047】
本発明に従うFCB類は適当な塩類または酸類を用いて生ずる飲料の味および品質を妨害しない水準まで改質することができる。適する塩類は塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコン酸ナトリウムまたはグルコン酸カリウムを包含するが、それらに限定されない。別の適する塩類は当業者に容易に明らかになるであろう。好ましい塩類は、比較的弱い味を有するためFCBの味に対する影響が少ない凝固点降下をもたらす例えばグルコン酸ナトリウムまたはグルコン酸カリウムである。
【0048】
本発明に従うFCB類は、そのような飲料中で許容可能であろう添加剤を含むことができる。そのような添加剤は例えば防腐剤を含んでもよい。適する添加剤および量は当業者に容易に明らかになるであろう。
【0049】
本発明の調合物は、フルカロリーの同等なCBを基準としてカロリー量が50%減じられた飲料を与える。75%減じられたカロリーの実質的な減カロリー飲料を製造することもでき、そして一杯8オンス当たり2カロリー以下の無カロリー飲料を製造することができる。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は本発明の特徴および性質を説明するものである。しかしながら、これらの実施例は本発明を限定するものではない。本発明はこの明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ限定される。
(実施例1)
凝固点降下剤の量の試料計算
水に関する凝固点降下は
△T=KFM
であり、ここで△Tは摂氏度数の降下点温度における変化であり、Kはモル凝固点降下
定数でありそして水に関しては1.855であり、そしてmは溶質の水中モル濃度である。ここで、スクロース甘味料入り飲料調合物を採用し且つ簡単にする目的のために甘味料濃度以外は全ての成分が一定濃度に保たれていると仮定すると、新規な減カロリー甘味料系(例えば、エリトリトールおよびアスパルテーム)のモル濃度は元の調合物中のスクロースのモル濃度に等しいはずである。スクロースの分子量が342であるため、元の飲料中のスクロース濃度が10%(w/v)である場合には、元の飲料は約0.3mのスクロースを含有していた。同じ凝固点降下を得るためには、エリトリトールおよびアスパルテームは0.3mの合計濃度を有していなければならない。アスパルテームは約0.001mだけしか存在しないであろうため、エリトリトールは約0.299mで存在しなければならない。アスパルテームは凝固点降下においてはそのような無視できるほどの役割を演ずるため、凝固点降下の全てがエリトリトールから生ずることが論理的に近い。それ故、10%のスクロース、すなわち0.3mスクロースと同じ凝固点降下を得るには、0.3mのエリトリトールを使用しなければならない。エリトリトールの分子量は122であるため、約3.5%(w/v)である1000gの水当たり36.6グラムのエリトリトールを必要とする。生ずるFCBは無カロリーであろう。
【0051】
或いは、10%のスクロースを5%のスクロースおよび1.75%のエリトリトールで代替してカロリーが50%減じられた製品を得ることにより、減カロリーFCBを製造することもできる。
(実施例2)
3.5w/v%のエリトリトールをコーラ香味剤入りシロップの中で一緒にしそして次に高効力無カロリー甘味料、例えばアスパルテームまたはサッカリン、の水準を1/3減ずることにより、本発明に従う減カロリー飲料シロップを製造した。この調合物はシロップ中でその凝固点を降下させ、それにより冷凍炭酸入り飲料自動販売機内部で雪解け状態の製品を製造した。
(実施例3)
本発明に従う凝固点降下剤を含有するコーラシロップから、ダイエットコーラ冷凍炭酸入り飲料を製造した。0.43%のコーラ香味剤を0.02%の防腐剤および3.45〜約3.55%の甘味料系と一緒にした。甘味料系は3.41〜3.49%の間のエリトリトール、0.02〜0.05%のアスパルテームおよび0.005〜0.008%のサッカリンを含有していた。
(実施例4)
本発明に従う凝固点降下剤を含有するチェリーシロップから、ダイエットチェリー冷凍炭酸入り飲料を製造した。0.19%のチェリー香味剤を0.02%の防腐剤および3.45〜約3.55%の甘味料系と一緒にした。甘味料系は3.41〜3.49%の間のエリトリトール、0.02〜0.05%のアスパルテームおよび0.005〜0.008%のサッカリンを含有していた。
【0052】
本発明の別の態様は明細書およびここに開示された本発明の実施の考察から当業者には明らかになるであろう。明細書および実施例は単なる例示と考えられ、本発明の真の範囲および精神は特許請求の範囲により示されていることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 無カロリー甘味料および低カロリー糖の混合物を含有し、該低カロリー糖が無カロリー甘味料の凝固点降下特性と比べて凝固点降下剤として作用する飲料シロップ、および
(b) 水
を含んでなり、
混合物中の低カロリー糖対無カロリー甘味料の比が所定の凝固点を達成するように選択される
所定の凝固点を有する減カロリーの冷凍された非炭酸又は炭酸入り自動販売機飲料。
【請求項2】
該飲料が炭酸入り飲料であり且つ二酸化炭素をさらに含んでなり、そして
所定の凝固点が該所定の凝固点を達成するための標準的な冷凍された炭酸入り飲料中の高カロリー糖の参照モル濃度から決められ、そして混合物中の低カロリー糖の量が参照モル濃度と実質的に同じそのモル濃度を達成するように選択される
請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
無カロリー甘味料および低カロリー糖の混合物を含有する減カロリー飲料シロップであって、該低カロリー糖が無カロリー甘味料の凝固点降下特性と比べて凝固点降下剤として作用する減カロリー飲料シロップ、水、および二酸化炭素を一緒にすることを含んでなり、
該所定の凝固点を達成するように混合物中の低カロリー糖対無カロリー甘味料の比を選択し、そして
所定の凝固点が該所定の凝固点を達成するための標準的な冷凍された炭酸入り飲料中の高カロリー糖の参照モル濃度から決められ、そして混合物中の低カロリー糖の量が参照モル濃度と実質的に同じそのモル濃度を達成するように選択される
所定の凝固点を有する減カロリーの冷凍された炭酸入り自動販売機飲料の製造方法。
【請求項4】
(a) 無カロリー甘味料と、無カロリー甘味料の凝固点降下特性と比べて希釈剤用のための凝固点降下剤として作用する低カロリー糖とを配合し、そして
(b) 希釈剤およびシロップ混合物の所定の凝固点を達成するように低カロリー対無カロリー甘味料の比を調節する
段階を含んでなり、
所定の凝固点が該所定の凝固点を達成するための標準的な冷凍された炭酸入り飲料中の高カロリー糖の参照モル濃度から決められ、そして混合物中の低カロリー糖の量が参照モル濃度と実質的に同じそのモル濃度を達成するように選択される
希釈剤と混合されるべき冷凍された自動販売機飲料用の飲料シロップの凝固点降下特性を調節する方法。
【請求項5】
該比が1/3までである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
低カロリー糖がエリトリトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトールおよびフルクト−オリゴ糖甘味料の少なくとも1種から選択される糖MNSを含んでなる請求項2に記載の飲料。
【請求項7】
(a) 高効力無カロリー甘味料および凝固点降下剤を含有する飲料シロップ、および(b) 水
を含んでなり、
凝固点降下剤がプロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールの少なくとも1種から選択される糖MNSを含んでなる
減カロリーの冷凍された非炭酸自動販売機飲料。
【請求項8】
高効力無カロリー甘味料の1/3までを、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールの少なくとも1種から選択される凝固点降下剤で代替することにより減カロリー飲料シロップを製造する
ことを含んでなる減カロリー飲料シロップの凝固点を降下させる方法。
【請求項9】
低カロリー糖がプロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールの少なくとも1種から選択される請求項1に記載の飲料。
【請求項10】
高効力無カロリー甘味料がスクラロースを含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
該飲料がタガトースをさらに含んでなる請求項1、2、6、7および9のいずれかに記載の飲料。
【請求項12】
低カロリー糖がエリトリトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトールおよびフルクト−オリゴ糖甘味料の少なくとも1種から選択される糖MNSを含んでなる請求項5に記載の方法。
【請求項13】
高効力無カロリー甘味料がアスパルテーム、サッカリン、アセスルフアーム−K、シクラミン酸塩およびスクラロースの少なくとも1種から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
該飲料がタガトースをさらに含んでなる請求項3、4、5、8、10、12および13のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2010−131028(P2010−131028A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24022(P2010−24022)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【分割の表示】特願2002−582721(P2002−582721)の分割
【原出願日】平成14年4月19日(2002.4.19)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】