説明

減圧を皮下組織に送達するシステムおよび方法

減圧治療システム(100)は、減圧源と液通している第1の流体路(112)と第2の流体路(142)を具える。このシステムは、実質的に不透気性の障壁(320)を有する減圧マニホールド(102)と、内部領域の外側縁部を規定する少なくとも1本の外側導管(250)を具える。外側導管および実質的に不透気性の障壁は、内部領域の一部を囲んでいる。この外側導管は第1および第2の流体路の一方と流体連通している。外側導管は、内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する。内側導管(230)は内部領域内に少なくとも部分的に位置しており、第1および第2の流体路の他方と流体連通している。内側導管は、内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年9月18日出願の米国仮特許出願第61/098,164号の権利を主張するものであり、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般に組織治療システムに関し、より具体的には、減圧を皮下組織に送達するシステムに関するものである。
【0003】
臨床研究および臨床診療は、組織部位の近傍に減圧を加えると、組織部位における新しい組織の成長を強化し、促進させるということを明らかにしてきた。この現象の応用例は数多くあるが、減圧の適用は特に創傷の治療に必要とされる。この治療法(しばしば、医学界では「負圧創傷療法」、「減圧療法」、または「真空療法」と称される)は、上皮組織および皮下組織の移動、血流の向上、および創傷部における組織の微小変形を含む多くの利点を提供する。同時に、これらの利点は、肉芽組織の形成の向上および治癒促進をもたらす。一般に、減圧は、減圧源によって多孔質パッドまたは他のマニホルド装置を介して組織に加えられる。多くの場合、組織部位からの創傷滲出液や他の液体はキャニスタ内に収集され、液体が減圧源に達するのを防ぐ。
【発明の概要】
【0004】
既存の減圧システムおよび減圧ドレッシングが示す課題は、本書に記載された実施例のシステムおよび方法によって解決される。一実施例では、減圧治療システムは、第1の流体路と第2の流体路を具えており、第1の流体路は減圧源と液通している。このシステムはさらに、実質的に不透気性の障壁と、内部領域の外側縁部を規定する少なくとも1本の外側導管とを有する減圧マニホールドを具える。この外側導管および実質的に不透気性の障壁が、内部領域の一部分を囲んでいる。外側導管は第1および第2の流体路の一方と流体連通しており、内部領域と流体連通する少なくとも1つの開口部を有する。内側導管は内部領域内に少なくとも部分的に位置しており、第1および第2の流体路の他方と流体連通する。内側導管は、内部領域と連通している少なくとも1つの開口部を有する。
【0005】
別の実施例では、減圧治療を組織部位に施す減圧マニホールドは、実質的に不透気性の障壁を具える。外側導管が障壁の第1の面に配置され、内部領域周囲の境界を規定しており、減圧源および排出源の一方と流体連結するように構成される。外側導管は、内部領域と連通している少なくとも1つの開口部を有する。内側導管は、障壁の第1の面に配置され、内部領域内に延在する。この内側導管は減圧源および排出源の他方と流体連結するように構成され、内部領域と流体連通する少なくとも1つの開口部を有する。
【0006】
別の実施例では、減圧治療システムは、減圧源と排出源を具える。このシステムはさらに、内部領域を規定するような形の第1の導管を有する減圧マニホールドを具えている。この第1の導管は、減圧源および排出源の一方と流体連通している。第1の導管は、内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する。第2の導管は、内部領域内に少なくとも部分的に配置され、減圧源および排出源の他方と連通する。第2の導管は、内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する。
【0007】
更に他の実施例では、減圧治療を皮下組織部位に施すマニホールドが提供されている。このマニホールドは、内部領域を規定するような形で、減圧源および排出源の一方と流体連結するよう構成された第1の導管を具える。この第1の導管は、内部領域と流体連通している少なくと1つの開口部を有する。第2の導管は、内部領域内に少なくとも部分的に配置され、減圧源および排出源の他方と流体連結するように構成される。この第2の導管は、内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する。
【0008】
さらに他の実施例では、減圧を組織部位に送達する方法が提供されている。この方法は、ループ形状の第1の導管を通って組織部位に流体を送達するステップを具えており、この第1の導管は内部領域周囲の境界を規定している。減圧は、内部領域に配置された第2の導管を通って内部領域に加えられ、組織の治療に伴う副生成物が第2の導管を通って内部領域から除去される。
【0009】
別の実施例では、減圧を組織部位に送達する方法は、ループ形状の第1の導管を通って組織部位に減圧を加えるステップを具えており、この第1の導管は内部領域周囲の境界を規定している。流体は、内部領域に配置された第2の導管を通って内部領域に送達される。組織の治療に伴う副生成物が、第1の導管を通って内部領域から除去される。
【0010】
実施例の他の特徴や利点は、以下の図面および詳述を参照すると明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例による減圧マニホールドを有する減圧治療システムの透視図を示している。
【図2】図2は、図1の減圧治療システムの概略的な上面図を示しており、明確にするために減圧マニホールドの障壁は図示していない。
【図3】図3は、組織部位に位置する線3−3に沿って取られた、図2の減圧治療システムの断面図を示している。
【図4】図4は、組織部位に位置する線4−4に沿って取られた、図2の減圧治療システムの断面図を示している。
【図5】図5は、組織部位に位置する線5−5に沿って取られた、図2の減圧治療システムの断面図を示している。
【図6】図6は、実施例による組織部位に減圧および流体を提供する減圧治療システムの概略的な上面図を示しており、当該減圧治療システムは、流体および減圧を逆流させるバルブを有している。
【図7】図7は、組織部位に位置する線7−7に沿って取られた、図6の減圧治療システムの断面図を示している。
【図8】図8は、実施例による組織部位に減圧および流体を提供する減圧治療システムの概略的な上面図を示している。
【図9】図9は、実施例による組織部位に減圧および流体を提供する減圧治療システムの概略的な上面図を示している。
【図10】図10は、実施例による組織部位に減圧および流体を提供する減圧治療システムの概略的な上面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の例示的な実施形態の詳述では、その一部を構成する添付の図について説明しており、これらの実施形態は、本発明が実施されうる特定の好適な実施形態を例示として示している。これらの実施形態は、当該技術分野における当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されており、他の実施形態が利用可能であり、本発明の精神または範囲を超えることなく、論理構造的、機械的、電気的および化学的な変更が可能であることを理解されたい。当業者が本書に記載した実施形態を実施可能とするのに必要のない細部説明を避けるため、当業者に既知の特定の情報を説明から省略することがある。従って、以下の詳述は限定の意味で捉えるべきではなく、例示的な実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0013】
ここでまず図1を参照すると、例示的な減圧治療システム100は、減圧を組織部位104に加える減圧マニホールド102を具えている。この減圧マニホールド102は、減圧を分配するマニホールドとして機能する。本書で使用される用語「マニホルド」は概して、組織部位に減圧を適用する、組織部位に流体を送達する、あるいはそこから流体を除去するのを補助すべく設けられた物質または構造を意味する。このマニホールドは一般に複数の流路または経路を具え、組織部位に提供したり、除去される流体の分配を増進させる。マニホールドとして機能する減圧マニホールド102は、以下でさらに説明されるような幾つかの層を具えてもよい。
【0014】
組織部位104は、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靱帯、または他の組織を有する、人間、動物、または他の生物の身体組織であってもよい。組織部位104は創傷、罹患組織、または欠損組織を含んでもよく、組織部位104はさらに、負傷、罹患、または欠損していない健全な組織であってもよい。減圧マニホールド102は、開放性創傷を含む任意の組織部位に用いてもよいが、減圧マニホールド102は、図1に示す皮下腔や組織部位といった、皮下組織部位に使用した場合に特に有用である。
【0015】
減圧を組織部位104に適用すると、組織部位104からの滲出液や他の液体の排液を促し、さらには更なる組織の成長を刺激することができる。組織部位104が創傷部位の場合には、肉芽組織の成長および滲出液や細菌を除去が、創傷の治癒を促進する。減圧を健全な組織を含む非創傷または非欠損の組織に適用すると、摘出して他の組織部位に移植されうる組織の成長を促進させることができる。
【0016】
本書で使用する「減圧(reduced pressure)」は一般に、治療を受ける組織部位が位置する周囲の圧力よりも低い圧力を意味する。多くの場合、この減圧は、患者がいるところの大気圧よりも小さくなるであろう。代替的には、減圧は組織部位における組織の静水圧より低くてもよい。供給する減圧は、静的または動的(パターン化した、またはランダム)であってもよく、連続的または断続的に供給してもよい。用語「真空(vacuum)」および「負圧(negative pressure)」は、組織部位に加える圧力について説明するのに使用されるうるが、組織部位に加えられる実際の圧力の低下は、完全真空に通常関連する圧力低下よりも著しく小さくなりうる。減圧は最初に、組織部位の領域に流体の流れを発生させることがある。組織部位の周囲の静水圧が所望の減圧に近付くと、この流れは弱まり、減圧が維持される。特に指示がなければ、本明細書に記載される圧力値はゲージ圧である。この用法と整合して、減圧または真空圧の増加は、通常、絶対圧力の相対的な低下を意味し、減圧の低下は、通常、絶対圧力の増加を意味する。
【0017】
指示がない限り、本書で使用する「または」は、相互の排他性を必要としない。
【0018】
減圧は、減圧送達導管112によって減圧マニホールド102に提供される。この減圧送達導管112は、減圧源114から減圧を受ける。減圧源114は、減圧を供給する任意の装置またはサブシステムであってもよく、手動操作ポンプ、動力真空ポンプ、壁真空源、または減圧を供給可能な任意の他の装置かシステムを含むが、これらに限定はされない。部位に加えられる減圧の量や性質は、一般に用途によって異なるが、減圧は概して、約−5mmHg乃至約−500mmHg、さらに一般的には約−100mmHg乃至約−200mmHgである。一実施例では、減圧源114は、電池駆動真空ポンプであってもよい。この例では、ポンプは少量の動力を使用し、1度の電池の充電で長時間操作することが可能となる。
【0019】
1またはそれ以上の装置を、減圧マニホールド102と減圧源114の間に流体連結してもよい。例えば、代表的な装置116が、減圧送達導管112の一部に流体連結されて図示されている。代表的な装置116は、流体リザーバ、または流体収集部材であってもよく、除去された滲出液や他の流体を保持する。減圧送達導管112に設けられるか、減圧送達導管112に流体連結される他の例示的、非制限的な装置116の例は、圧力検出装置またはフィードバック装置、体積検出システム、血液検出システム、感染検出システム、流量監視システム、または温度監視システムを含むが、これらに限定はされない。これらの装置の幾つかは、減圧源114またはシステム100の他の態様と一体的に関連していてもよい。
【0020】
減圧マニホールド102は、治療すべき組織部位104と接触するか覆うように構成される。本書で使用する用語「覆う(cover)」は、部分的に、または完全に覆うことを含む。さらに、第2の物体を覆う第1の物体は、直接的または間接的に第2の物体に接触してもよく、あるいは第2の物体に全く接触しなくてもよい。
【0021】
減圧マニホールド102は、皮下組織部位に配置されるよう図1に示されている。この減圧マニホールド102は、腹腔鏡または内視鏡器具などを使用して、外科的または経皮的の何れかで組織部位に配置することができる。減圧マニホールド102が皮下組織部位に配置された場合、減圧マニホールド102が配置される腔を囲んでいる組織があることにより、開放性創傷の減圧治療に必要とされるようなドレープまたはカバーを必要とせずに、実質的に密閉された組織部位となる。図1に示す実施形態では、減圧送達導管112は、減圧マニホールド102へと経皮的に通過している。
【0022】
減圧送達導管112は、気体、液体、ゲル、または他の流体が通過する任意の管、導管、または流路であってもよい。想定される減圧送達導管112の実施形態は数多くあり、以下のものは非制限的な例である。減圧送達導管112は、円形、長円形、多角形、または任意の他の形状といった任意の断面形状を有しうる。さらに、減圧送達導管112は任意の材料で作ることができ、柔軟または柔軟ではなくてもよい。図1では、減圧送達導管112が、減圧マニホールド102を代表的な装置116および減圧源114に流体連結している。しかしながら、減圧送達導管112は、減圧源114を減圧マニホールド102に直接連結することもできる。さらに、減圧送達導管112は、流体が通過しうる1またはそれ以上の経路か管腔を具える場合がある。例えば、減圧送達導管112は、1本の管腔が減圧の送達に使用され、他方が組織部位104における減圧量を測定すべく減圧の監視に使用されるように、2本の管腔を具えてもよい。
【0023】
減圧マニホールド102が開放性の創傷または組織部位に使用される場合、カバーまたはドレープといったシール部材(図示せず)を用いて、組織部位における減圧マニホールド102を密閉することができる。このシール部材は、減圧マニホールド102および患者の上皮118の一部または組織部位104を囲んでいる組織の上を液密にする任意の材料であってもよい。シール部材は、例えば、不透過性または半透過性のエラストマ材料であってもよい。「エラストマの」は、エラストマの性質を有することを意味する。一般に、エラストマは、ゴムのような性質を有するポリマ材である。より具体的には、殆どのエラストマは、100%を越える伸長率および著しい弾力性を有する。材料の弾力性は、弾性変形から回復する材料の能力を意味する。シール部材に使用されうるエラストマの例は、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマ、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、EVAフィルム、共ポリエステル、およびシリコーンを含むが、これらに限定はされない。実施例では、このシール部材は、外科的処置および他の医療処置に使用されるドレープのようなドレープであってもよい。
【0024】
シール部材を用いて、減圧マニホールド102を開放性の組織部位に固定して密閉する場合、接着剤、ガスケット、または他の接続デバイスを用いて、シール部材を周囲の表皮118または組織に固定することができる。連結部材または他の管アダプタをシール部材と共に用いて、減圧送達導管112との連結を可能にし、シール部材を介する液通を可能にしてもよい。
【0025】
減圧治療システム100はさらに、排出源140と、排出源140を減圧マニホールド102に流体連結している流体送達導管142とを具えている。制御ユニット160を減圧源114および排出源140の何れかまたは両方に連結して、減圧マニホールド102への減圧や流体の送達を制御してもよい。フィルタ170を排出源140と減圧マニホールドの間に流体連結して、流体送達導管142を通って送達される流体を濾過してもよい。より具体的には、以下に記載するように排出源140が大気に開放された場合に、フィルタ170は、微粒子または細菌が大気から減圧マニホールド102に侵入するのを防ぐことができる。
【0026】
一実施例では、排出源140は、大気へと流体送達導管142の通気を可能にするバルブである。組織部位104および減圧マニホールド102は通常は減圧に曝されているため、排出源140を大気に開放すると、排出源140の排出ポート141を通って、減圧マニホールド102へと流体送達導管142内に流体(例えば、空気)が流れる。排出源140は任意の種類のバルブであってもよいが、一実施例では、この排出源140は、制御ユニット160によって開放または閉鎖することが可能なバルブである。別の実施形態では、この排出源140は、減圧マニホールド102に流体を送達できるポンプか任意の他の装置であってもよい。排出源140は電気的な手段によって操作または制御されてもよいが、排出源140はその代わりに、単に機械的な手段によって操作することもできる。例えば、排出源140は、安全弁と同様に、差圧に基づいて操作または制御されてもよい。代替的に、排出源140は、圧力の変化率に応じて操作または制御されてもよい。一実施形態では、排出源140は、利用者によって手動で操作または制御されてもよい。
【0027】
減圧送達導管112と同様に、流体送達導管142は、気体、液体、ゲル、または他の流体が通過しうる任意の管、導管、または流路であってもよい。この流体送達導管142は、円形、長円形、多角形、または任意の他の形状といった、任意の断面形状を有してもよい。さらに、流体送達導管142は任意の材料から作ることができ、柔軟または柔軟でなくてもよい。流体送達導管142はさらに、1または複数の管腔を具える場合がある。
【0028】
さらに図1、図2乃至図5を参照すると、減圧マニホールド102がより詳細に図示されている。減圧マニホールド102は、内側導管230とループ形状の構成を有する外側導管250とを具えている。一実施形態では、外側導管250は、内部領域290の外周を規定する閉鎖ループを作るように、物理的に配置または形成されてもよい。減圧マニホールド102を用いて組織部位104に減圧治療を施す場合、内部領域290は組織部位104の近くに配置される。
【0029】
内側導管230の近位端部235は、内部領域290の外側に延在してもよく、減圧送達導管112または流体送達導管142との液通が可能となる。内側導管230の遠位端部234は、内部領域290内に延在する。遠位端部234は開放していてもよいが、一実施例では、遠位端部234はキャップがされるか、閉鎖端部である。内側導管230は開口部236、238を具え、これらは、例えば、穴部、穿孔、または内部領域290内の内側導管230を通る1つのスリットであってもよい。外側導管250は近位端部255を具え、流体送達導管142または減圧送達導管112との液通が可能となる。外側導管250は、内部領域290と近接する外側導管250を通る開口部286、288を具える。
【0030】
図2乃至図5に図示する実施形態では、内側導管230は減圧源114と液通しており、外側導管250は排出源140と液通している。導管230、250を通る気体、液体の何れか、またはその両方の流動方向は、一般に流動の矢印に示される。内側導管230を通る流動は矢印239に示され、外側導管250を通る流動は矢印289に示されている。減圧が内側導管230に加えられ、排出源140によって流体が外側導管250に供給されると、外側導管250から内側導管230へと内部領域290を通って流体が流れる。より具体的には、流体は、流動の矢印286’、288’に示すように、外側導管250の開口部286、288を通って流れる。流体は、流動の矢印236’、238’に示すように、内部領域290を通って内側導管230の開口部236、238内に流れる。
【0031】
更に具体的に図3乃至図5を参照すると、減圧マニホールド102は、第1の面322と第2の面324を有する障壁320を具えている。内側導管230および外側導管250は、障壁320の第1の面322上に配置される。障壁320があることにより、内部領域290と減圧マニホールドに近い組織の他の領域とを区別することができる。一実施形態では、内部領域290は、外側導管250、障壁320、および組織部位104によって規定され、境界付けられている。内部領域290を通って流れる流体(すなわち、内側導管230または外側導管250を通って入る流体、または組織部位104から抜き取られた流体)に対し、障壁320は、流体の流れを内部領域290の範囲および組織部位104の周辺に実質的に限定するように機能する。障壁320は、流体が障壁320の第2の面324上を流れるのを実質的に減少させるか防ぐ。一実施形態では、障壁は、実質的に不透気性の材料で作ることができる。他の実施形態では、障壁210は、気体の流れに対して半透過性であってもよい。障壁320に使用できる材料の例は、シリコーン、ポリウレタン、または任意の他の不透気性の材料を含むが、これらに限定はされない。
【0032】
操作時、減圧マニホールド102は、組織部位104の近くに、または接触して配置される。減圧は、減圧源114によって組織部位104および内部領域290に供給される。減圧は、減圧送達導管112および減圧マニホールド102の内側導管230を通って送達される。比較的密閉された皮下組織部位の性質、さらには障壁320の存在により、減圧は組織部位104に保持され、これにより、減圧治療または療法を提供することができる。治療が進むにつれて、肉芽組織の成長が刺激される。創傷の滲出液や他の流体が内側導管230を通って組織部位104および内部領域290から除去され、代表的な装置116に示すようなキャニスタ内に収集することができる。
【0033】
組織部位104における新しい組織の成長および滲出液や他の副生成物の生成は、上手く除去しないと治療を妨げることがある。例えば、創傷滲出液または血液が導管内または組織部位104に収集された場合、組織部位104への減圧の送達が中断される場合がある。外側導管250が、組織部位および内側導管230内における流体、固体、および他の副生成物の収集を最小限にするか防ぐように補助する。排出源140から外側導管250や内部領域290に空気または他の流体を送達することにより、流体、固体、他の副生成物が上手く除去され、内側導管230に運ぶことができる。図3に示すように、矢印286’、288’で示す流動が創傷治療に伴う副生成物340を内側導管230に運ぶのを助け、副生成物340を除去できる。
【0034】
一実施形態では、減圧マニホールド102へと断続的に、減圧または(排出源140から)流量の何れかまたはその両方を適用させることが望ましい。制御ユニット160を介して手動または自動の何れかで上流および下流圧力の双方を変更することにより、流量を調整することができる。この調整、および任意の誘導流体の運動量効果は、副生成物340に加わる流体力をさらに増加させることができる。
【0035】
減圧マニホールド102の障壁320はさらに、副生成物340の除去を補助することもできる。前述のように、障壁320は、流体の流れを内部領域290の範囲および組織部位104の周囲に実質的に限定し、内部領域290の外に漏出する流体の量を減少させる。漏出を最低限にすると、図3に示す流動の矢印に示すように、外側導管250から内側導管230への内部領域290内の流れが最適となる。
【0036】
より具体的に図5を参照すると、一実施形態では、外側導管250内の開口部288は、排出源140から流体を送達するために外側導管250の長さに沿って間隔をあけて配置された幾つかの穴のうちの1つである。流体を内部領域290および組織部位210に均等に分配するため、他の開口部を外側導管250の長さに沿って均等に配置してもよい。代替的に、開口部の間隔は、異なる距離またはランダムであってもよい。一実施例では、これらの開口部は、例えば、開口部587および589のように、流体の供給源から更に除去されるように概して広い直径を有する場合があり、流体の流れを内部領域290内により均等に分配することができる。
【0037】
図6を参照すると、減圧治療システム100の幾つかの類似した要素を共有する減圧治療システム600が図示されている。この減圧治療システム600は、減圧マニホールド102、減圧源114、代表的な装置116、減圧送達導管112、排出源140、フィルタ170、流体送達導管142、および制御ユニット160を具えており、これらの総ては、前述したものの要素と構造や機能が類似することがある。減圧治療システム600はさらに、減圧マニホールド102と、減圧源114および排出源140の双方の間とを流体連結しているスイッチユニットまたはバルブ695を具えている。スイッチユニット695は、図1乃至図5を参照して前述した流れの方向に対して、内側導管230および外側導管250内の流動を逆流させることができる。図6に示すように、外側導管250内の流動は、流動の矢印689に示すように、流体が減圧源114へと除去されるような流れである。内部領域290からの流体は、それぞれ矢印686’、688’に示すように、外側導管250の開口部286、288内へと流れる。内側導管230内の流動は排出源140によってもたらされ、流動の矢印639に示すように、内部領域290へと流れる。矢印636’、638’それぞれに示すように、内側導管230の開口部236、238を通って流体が内部領域290に入る。
【0038】
図7は減圧治療システム600の断面図を示しており、流体が排出源140によって内側導管230を通って供給されると、外側導管250を通って副生成物340の除去が行われるということを示している。図6および図7の流体の流れは、内側導管230から外側導管250への移動を図示しているが、スイッチユニット695があることにより、流動を逆流させることができ、場合によっては、副生成物340の除去または排除に役立つことがある。一実施形態では、減圧マニホールド102を通る流体の流れを定期的または断続的に逆流させる方が望ましいこともある。
【0039】
図8を参照すると、減圧治療システム800は、減圧治療システム100の要素と幾つか類似した要素を具えている。この減圧治療システム800は、減圧マニホールド102を変更したものである減圧マニホールド802を具えている。減圧マニホールド802は、閉鎖ループ状の遠位端部を有する内側導管830を具えている。内側導管830の遠位端部は内部領域290内に延在し、内側導管830のループ形状は第2の内部領域890を規定している。内側導管830は、スイッチユニット695を介して減圧源114または排出源140の何れかと流体連結された近位端部831を具えている。上述のように、内側導管830および外側導管180を通る流動を切り替えて、内部領域290内の何れの方向にも流体を流すことができる。内側導管830は開口部832、833を具え、これらの開口部は、例えば、穴部、穿孔、または内部領域290および第2の内部領域890の何れかまたは双方に近接する内側導管830を通る1つのスリットであってもよい。閉鎖ループ導管の開口部832は通常、外側導管250の開口部286、288の方を向いており、図1乃至図5を参照して前述したように、内部領域290を通る流体の流れを発生させる。内側導管830の開口部833は、外側導管250の開口部286、288と同様に機能するが、第2の内部領域890の中心へとより深く延在した長い経路に及ぶ流体の流れを作りだしている。
【0040】
図9を参照すると、減圧治療システム900は、減圧治療システム100の要素と幾つか類似した要素を具えている。減圧治療システム900は減圧マニホールド902を具えており、これは減圧マニホールド102を変更したものである。1本の内側導管と1本の外側導管のみを具える代わりに、図9に示す減圧マニホールド902は、第1の内部領域910を規定する第1の導管905と、第1の内部領域910内に位置して第2の内部領域920を規定する第2の導管915と、第2の内部領域920内に位置して第3の内部領域930を規定する第3の導管925と、第3の内部領域930内に位置して第4の内部領域940を規定する第4の導管935とを具えている。第1、第2、第3、および第4の導管905、915、925、935のそれぞれが、閉鎖ループ形状を具えている。第1、第2、第3、および第4の導管905、915、925、935のそれぞれはさらに穴部、穿孔、または開口部950、952、954、956をそれぞれ具えており、前述のように、導管に近接する穴部および内部領域910、920、930、940との流体連通を可能にする。
【0041】
図9に示す実施形態では、第1の導管905および第3の導管925は、双方とも減圧源114および排出源140の一方に別々に連結されている。第2の導管915および第4の導管935は、双方とも減圧源114および排出源140の他方に別々に連結されている。導管が減圧源と排出源の何れに連結されているかを含む特定の構成は、変更することができる。スイッチユニット695と同様のスイッチユニットをさらに使用して、1またはそれ以上の導管内の流動を逆流させることもできる。
【0042】
減圧マニホールド902は複数の入れ子式管のように構成され、内部領域910、920、930、940内の流体連通を増進させる。減圧マニホールド902は減圧マニホールド802に使用する導管の本数を倍加しており、必要に応じて更に導管を加えてもよい。減圧マニホールド902に用いる導管の本数を増加させることにより、マニホールド902は大きい組織部位を覆う、あるいは小さい組織部位に優れた流体制御をすることが可能となる。
【0043】
図10を参照すると、1か所大きく変更された図9の減圧マニホールド902が図示されている。導管905、915、925、935がそれぞれ別個に減圧源114または排出源140に連結されている代わりに、図10に図示する実施形態では、特定の導管が架橋導管によって連結されている。例えば、第1の導管905は、架橋導管965によって第3の導管925に連結されている。これにより、第1の導管905に送達される減圧または流体を第3の導管925にも送達することが可能となる。第2の導管915は、架橋導管970によって第4の導管935に連結されている。これにより、第2の導管915に送達される減圧または流体を第4の導管935にも送達することが可能となる。
【0044】
図示のように、上述の実施形態は、組織、特に皮下組織に減圧を送達する減圧マニホールドを意図している。さらに、これらの実施形態は、内側導管内に流体を移動させて、血液や凝塊といった組織の治療に伴う副生成物の除去を促進する圧力勾配を作りだすべく使用される、連結導管を用いる減圧マニホールドを意図している。このような減圧マニホールドは、障壁シートに一体的に付着させた場合に、さらに障壁シートの片側に減圧を隔離させる。制御された内側導管および連結導管内の変動圧力を適用すると、組織の治療に伴う副生成物の除去をさらに促進するような、強い圧力勾配や流体力を誘発する。連結導管の経路内に任意にフィルタを設けると、細菌が組織部位に侵入するのを防ぐのに有用となりうる。
【0045】
代替的または更なる実施形態は、交互に配置された排出導管および圧力導管、または内側導管へと流動をさらに誘導する表面特性を障壁シート上に具えてもよい。複数の独立した連結導管は別個に動作して制御され、障壁シートに沿って流動を再分配することができる。連結導管内に医療用の流体を導入して、組織の成長または治療を促進させることもできる。
【0046】
前述の記載から、著しい利点を有する発明が提供されていることは自明である。本発明は、幾つかの形態のみが示されているが、これは限定ではなく、その意図を逸脱することなく様々な変更および代替が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧源と液通している第1の流体路と;
第2の流体路と;
実質的に不透気性の障壁と;
内部領域の外側縁部を規定する少なくとも1本の外側導管であって、当該外側導管および前記実質的に不透気性の障壁が前記内部領域の一部を囲んでおり、前記第1および第2の流体路の一方と流体連通し、前記内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する外側導管と;
前記内部領域内に少なくとも部分的に位置する内側導管であって、前記第1および第2の流体路の他方と流体連通し、前記内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する内側導管と;
を具える減圧マニホールドとを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項2】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記内部領域が、組織部位の近くに配置可能な、前記実質的に不透気性の障壁と反対側の開口端部を具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項3】
請求項2に記載の減圧治療システムにおいて、前記内部領域が前記組織部位の近くに位置する場合に、前記実質的に不透気性の障壁が、流動を前記内部領域に実質的に限定することを特徴とする減圧治療システム。
【請求項4】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて:
前記外側導管が前記第2の流体路に流体連結されており;
前記内側導管が前記第1の流体路に流体連結されており;
流体が、前記内部領域を通って前記外側導管から前記内側導管に流れることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項5】
請求項4に記載の減圧治療システムがさらに、前記実質的に不透気性の障壁上に、前記内側導管の前記少なくとも1つの開口部に流体の流れを誘導する表面特性を具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項6】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて:
前記内側導管が前記第2の流体路に流体連結されており;
前記外側導管が前記第1の流体路に流体連結されており;
流体が、前記内部領域を通って前記内側導管から前記外側導管に流れることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項7】
請求項6に記載の減圧治療システムがさらに、前記実質的に不透気性の障壁上に、前記外側導管の前記少なくとも1つの開口部に流体の流れを誘導する表面特性を具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項8】
請求項1に記載の減圧治療システムがさらに、前記第2の流体路を通る前記内部領域への流体の導入を制御するコントローラを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項9】
請求項1に記載の減圧治療システムがさらに、前記減圧源による前記内部領域からの流体の除去を制御するコントローラを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項10】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記第2の流体路が、大気への前記内部領域の通気を選択的に可能にするバルブと流体連通していることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項11】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記第2の流体路が、前記内部領域への流体の導入を可能にするポンプと流体連通していることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項12】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記内側導管が実質的に直線であり、キャップされた端部を具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項13】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記外側導管の前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部を含み、当該複数の開口部のそれぞれが前記内部領域と近接する前記外側導管の片側に配置されることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項14】
請求項13に記載の減圧治療システムにおいて、前記外側導管の前記複数の開口部のそれぞれが、前記実質的に不透気性の障壁から斜めに離れていることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項15】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記内側導管の前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部を含むことを特徴とする減圧治療システム。
【請求項16】
請求項15に記載の減圧治療システムにおいて、前記内側導管の前記複数の開口部のそれぞれが、前記実質的に不透気性の障壁から斜めに離れていることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項17】
請求項1に記載の減圧治療システムがさらに、前記内側導管および前記外側導管に流体連結されたスイッチユニットを具え、前記内側導管および前記外側導管内の流動を逆流させることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項18】
減圧治療を組織部位に施す減圧マニホールドにおいて、当該マニホールドが:
実質的に不透気性の障壁と;
当該障壁の第1の面上に配置され、内部領域周囲の境界を規定する外側導管であって、減圧源および排出源の一方に流体連結されるよう構成され、前記内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する外側導管と;
前記障壁の第1の面上に配置され、前記内部領域内に延在する内側導管であって、前記減圧源および前記排出源の他方に流体連結されるよう構成され、前記内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する内側導管とを具えることを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項19】
請求項18に記載の減圧マニホールドにおいて、前記外側導管が前記排出源に流体連結され、前記内側導管が前記減圧源に流体連結された場合に、流体が前記内部領域を通って前記外側導管から前記内側導管に流れるように構成されることを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項20】
請求項18に記載の減圧マニホールドにおいて、前記内側導管が前記排出源に流体連結され、前記外側導管が前記減圧源に流体連結された場合に、流体が前記内部領域を通って前記内側導管から前記外側導管に流れるように構成されることを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項21】
請求項18に記載の減圧マニホールドがさらに、前記実質的に不透気性の障壁上に、流体の流れを誘導する表面特性を具えることを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項22】
請求項18に記載の減圧マニホールドにおいて、前記内側導管が実質的に直線であり、キャップされた端部を具えることを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項23】
請求項18に記載の減圧マニホールドにおいて、前記内側導管がループであることを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項24】
請求項18に記載の減圧マニホールドにおいて、前記外側導管の前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部を含み、当該複数の開口部のそれぞれが前記内部領域と近接する前記外側導管の片側に配置されることを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項25】
請求項24に記載の減圧マニホールドにおいて、前記外側導管の前記複数の開口部のそれぞれが、前記実質的に不透気性の障壁から斜めに離れていることを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項26】
請求項18に記載の減圧マニホールドにおいて、前記内側導管の前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部を含むことを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項27】
請求項26に記載の減圧マニホールドにおいて、前記内側導管の前記複数の開口部のそれぞれが、前記実質的に不透気性の障壁から斜めに離れていることを特徴とする減圧マニホールド。
【請求項28】
減圧源と;
排出源と;
内部領域を規定する形状で、前記減圧源および前記排出源の一方と流体連通している第1の導管であって、前記内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第1の導管と;
前記内部領域内に少なくとも部分的に位置する第2の導管であって、前記減圧源および前記排出源の他方と流体連通し、前記内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第2の導管と;
を具える減圧マニホールドとを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項29】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて、前記減圧マニホールドがさらに:
障壁を具えており;
前記第1の導管、前記第2の導管、および前記内部領域が、前記障壁の第1の面上に配置されることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項30】
請求項29に記載の減圧治療システムがさらに、前記障壁上に、流体の流れを誘導する表面特性を具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項31】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて:
前記第1の導管が前記排出源に流体連結されており;
前記第2の導管が前記減圧源に流体連結されており;
流体が、前記内部領域を通って前記第1の導管から前記第2の導管に流れることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項32】
請求項31に記載の減圧治療システムがさらに、前記排出源と前記第1の導管の前記少なくとも1つの開口部との間にフィルタを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項33】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて:
前記第2の導管が前記排出源に流体連結されており;
前記第1の導管が前記減圧源に流体連結されており;
流体が、前記内部領域を通って前記第2の導管から前記第1の導管に流れることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項34】
請求項33に記載の減圧治療システムがさらに、前記排出源と前記第2の導管の前記少なくとも1つの開口部との間にフィルタを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項35】
請求項28に記載の減圧治療システムがさらに、前記排出源による前記内部領域への流体の導入を制御するコントローラを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項36】
請求項28に記載の減圧治療システムがさらに、前記減圧源による前記内部領域からの流体の除去を制御するコントローラを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項37】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて、前記排出源が、大気への前記内部領域の通気を選択的に可能にするバルブであることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項38】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて、前記排出源が、ポンプであることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項39】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて、前記第2の導管が実質的に直線であり、キャップされた端部を具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項40】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて、前記第1の導管の前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部を含み、当該複数の開口部のそれぞれが前記内部領域と近接して配置されることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項41】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて、前記第2の導管の前記少なくとも1つの開口部が、複数の開口部を含むことを特徴とする減圧治療システム。
【請求項42】
請求項28に記載の減圧治療システムがさらに、前記第1の導管および前記第2の導管に流体連結されたスイッチユニットを具え、前記第1の導管および前記第2の導管内の流動を逆流させることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項43】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて、前記第2の導管が第2の内部領域を規定するループ形状であり、前記減圧マニホールドがさらに:
前記第2の内部領域内に配置され、第3の内部領域を規定するループ形状の第3の導管であって、前記減圧源および前記排出源の一方と流体連通し、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第3の導管と;
前記第3の内部領域内に配置された第4の導管であって、前記減圧源および前記排出源の一方と流体連通し、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第4の導管とを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項44】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて、前記第2の導管が第2の内部領域を規定するループ形状であり、前記減圧マニホールドがさらに:
前記第2の内部領域内に配置され、第3の内部領域を規定するループ形状の第3の導管であって、前記第1の導管と流体連通している前記減圧源および前記排出源の一方と流体連通し、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第3の導管と;
前記第3の内部領域内に配置された第4の導管であって、前記第2の導管と流体連通している前記減圧源および前記排出源の他方と流体連通し、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第4の導管とを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項45】
請求項28に記載の減圧治療システムにおいて、前記第2の導管が第2の内部領域を規定するループ形状であり、前記減圧マニホールドがさらに:
前記第2の内部領域内に配置され、第3の内部領域を規定するループ形状の第3の導管であって、前記第1の導管と流体連通し、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第3の導管と;
前記第3の内部領域内に配置された第4の導管であって、前記第2の導管と流体連通し、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第4の導管とを具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項46】
減圧治療を皮下組織部位に施すマニホールドにおいて、当該マニホールドが:
内部領域を規定する形状であり、減圧源および排出源の一方に流体連結されるよう構成された第1の導管であって、前記内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第1の導管と;
前記内部領域内に少なくとも部分的に配置された第2の導管であって、前記減圧源および前記排出源の他方に流体連結されるよう構成され、前記内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第2の導管とを具えることを特徴とするマニホールド。
【請求項47】
請求項46に記載のマニホールドがさらに:
障壁を具えており;
前記第1の導管、前記第2の導管、および前記内部領域が、前記障壁の第1の面上に配置されることを特徴とするマニホールド。
【請求項48】
請求項47に記載のマニホールドがさらに、前記障壁上に、流体の流れを誘導する表面特性を具えることを特徴とするマニホールド。
【請求項49】
請求項46に記載のマニホールドにおいて、前記第1の導管が前記排出源に流体連結され、前記第2の導管が前記減圧源に流体連結された場合に、流体が前記内部領域を通って前記第1の導管から前記第2の導管に流れるように構成されることを特徴とするマニホールド。
【請求項50】
請求項46に記載のマニホールドにおいて、前記第2の導管が前記排出源に流体連結され、前記第1の導管が前記減圧源に流体連結された場合に、流体が前記内部領域を通って前記第2の導管から前記第1の導管に流れるように構成されることを特徴とするマニホールド。
【請求項51】
請求項46に記載のマニホールドにおいて、前記第2の導管が実質的に直線であり、キャップされた端部を具えることを特徴とするマニホールド。
【請求項52】
請求項46に記載のマニホールドにおいて、前記第2の導管がループであることを特徴とするマニホールド。
【請求項53】
請求項46に記載のマニホールドにおいて、前記第1の導管の前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部を含み、当該複数の開口部のそれぞれが前記内部領域と近接して配置されることを特徴とするマニホールド。
【請求項54】
請求項46に記載のマニホールドがさらに:
障壁を具えており;
前記第1の導管、前記第2の導管、および前記内部領域が前記障壁の第1の面上に配置され;
前記第1の導管の前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部を含み、当該複数の開口部のそれぞれが前記内部領域と近接して配置され;
前記第1の導管の前記複数の開口部のそれぞれが、前記障壁から斜めに離れていることを特徴とするマニホールド。
【請求項55】
請求項46に記載のマニホールドにおいて、前記第2の導管の前記少なくとも1つの開口部が、複数の開口部を含むことを特徴とするマニホールド。
【請求項56】
請求項46に記載のマニホールドがさらに:
障壁を具えており;
前記第1の導管、前記第2の導管、および前記内部領域が前記障壁の第1の面上に配置され;
前記第2の導管の前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部を含み;
前記第2の導管の前記複数の開口部のそれぞれが前記障壁から斜めに離れていることを特徴とするマニホールド。
【請求項57】
請求項46に記載のマニホールドにおいて、前記第2の導管が第2の内部領域を規定するループ形状であり、前記減圧マニホールドがさらに:
前記第2の内部領域内に配置され、第3の内部領域を規定するループ形状の第3の導管であって、前記減圧源および前記排出源の一方に流体連結されるよう構成され、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第3の導管と;
前記第3の内部領域内に配置された第4の導管であって、前記減圧源および前記排出源の一方に流体連結されるよう構成され、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する前記第4の導管とを具えることを特徴とするマニホールド。
【請求項58】
請求項46に記載のマニホールドにおいて、前記第2の導管が第2の内部領域を規定するループ形状であり、前記減圧マニホールドがさらに:
前記第2の内部領域内に配置され、第3の内部領域を規定するループ形状の第3の導管であって、前記第1の導管と流体連通している前記減圧源および前記排出源の一方に流体連結されるよう構成され、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第3の導管と;
前記第3の内部領域内に配置された第4の導管であって、前記第2の導管と流体連通している前記減圧源および前記排出源の他方に流体連結されるよう構成され、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第4の導管とを具えることを特徴とするマニホールド。
【請求項59】
請求項46に記載のマニホールドにおいて、前記第2の導管が第2の内部領域を規定するループ形状であり、前記減圧マニホールドがさらに:
前記第2の内部領域内に配置され、第3の内部領域を規定するループ形状の第3の導管であって、前記第1の導管と流体連通し、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第3の導管と;
前記第3の内部領域内に配置された第4の導管であって、前記第2の導管と流体連通し、前記第3の内部領域と流体連通している少なくとも1つの開口部を有する第4の導管とを具えることを特徴とするマニホールド。
【請求項60】
減圧を組織部位に送達する方法において、当該方法が:
ループ形状の第1の導管を通って前記組織部位に流体を送達するステップであって、前記第1の導管が内部領域周囲の境界を規定しているステップと;
前記内部領域内に配置された第2の導管を通って減圧を前記内部領域に加えるステップと;
前記第2の導管を通って前記内部領域から組織の治療に伴う副生成物を除去するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法において、前記組織部位が、皮下組織部位であることを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項60に記載の方法において、前記第2の導管がループ形状であり、第2の内部領域を規定することを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法がさらに:
前記第2の内部領域内に配置されたループ形状の第3の導管を通って前記流体を前記組織部位に送達するステップであって、前記第3の導管が第3の内部領域周囲の境界を規定しているステップと;
前記第3の内部領域内に配置された第4の導管を通って減圧を前記第3の内部領域に加えるステップと;
前記第4の導管を通って、前記第3の内部領域から組織の治療に伴う副生成物を除去するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項60に記載の方法がさらに:
前記第1の導管を通って送達される前記流体の量を変化させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項63に記載の方法がさらに:
前記第1の導管および前記第3の導管を通って送達される前記流体の量を変化させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項60に記載の方法がさらに:
前記第1の導管を通る前記流体の送達を断続的に中止させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項63に記載の方法がさらに:
前記第1の導管および前記第3の導管を通る前記流体の送達を断続的に中止させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項60に記載の方法がさらに、前記第1の導管を通って送達される前記流体を濾過するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項60に記載の方法がさらに、前記流体が前記第2の導管を通って送達され、前記減圧が前記第1の導管を通って適用されるように、前記流体の送達および前記減圧の適用を切り替えるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項70】
減圧を組織部位に送達する方法において、当該方法が:
ループ形状の第1の導管を通って減圧を前記組織部位に適用するステップであって、前記第1の導管が内部領域周囲の境界を規定しているステップと;
前記内部領域に配置された第2の導管を通って、流体を前記内部領域に送達するステップと;
前記第1の導管を通って、前記内部領域から組織の治療に伴う副生成物を除去するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項70に記載の方法において、前記組織部位が、皮下組織部位であることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項70に記載の方法において、前記第2の導管がループ形状であり、第2の内部領域を規定することを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項72に記載の方法がさらに:
前記第2の内部領域内に配置されたループ形状の第3の導管を通って前記減圧を前記組織部位に適用するステップであって、前記第3の導管が第3の内部領域周囲の境界を規定しているステップと;
前記第3の内部領域内に配置された第4の導管を通って前記流体を前記第3の内部領域に送達するステップと;
前記第3の導管を通って、前記第3の内部領域から組織の治療に伴う副生成物を除去するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項70に記載の方法がさらに:
前記第2の導管を通って送達される前記流体の量を変化させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項73に記載の方法がさらに:
前記第2の導管および前記第4の導管を通って送達される前記流体の量を変化させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項70に記載の方法がさらに:
前記第2の導管を通る前記流体の送達を断続的に中止させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項73に記載の方法がさらに:
前記第2の導管および前記第4の導管を通る流体の送達を断続的に中止させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項70に記載の方法がさらに、前記第2の導管を通って送達される前記流体を濾過するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項70に記載の方法がさらに、前記流体が前記第1の導管を通って送達され、前記減圧が前記第2の導管を通って適用されるように、前記流体の送達および前記減圧の適用を切り換えるステップを具えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−502755(P2012−502755A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527982(P2011−527982)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/057428
【国際公開番号】WO2010/033769
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】