説明

減容車活用システム

【課題】 固形分、油分、水分から成る汚泥から水分のみを分離することが可能な減容機能を備える減容車を高効率で利用するシステムを提供する。
【解決手段】 管理サーバと、該管理サーバと無線通信可能であって各減容車と一対一に関係づけられている携帯端末とからシステムを構成する。汚泥の回収作業や、減容処理によって得られ、高熱量セメント原料となる廃棄物を処理場に搬入する作業の所定の段階で、携帯端末から情報を送信することにより、減容車の運行に関する記録が管理サーバ内の管理データベースに記録される。携帯端末から情報の送信が無い場合には管理サーバから携帯端末に情報の送信を促すこともできる。また、複数のユーザが一の管理サーバと接続する形態とし、利用可能な減容車をユーザ間で貸し借りする構成とすることによって、さらに高効率で減容車を活用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停車中や走行中に固形分、油分、水分から成る汚泥から水分のみを分離する減容処理を行って、固形分及び油分から成る廃棄物を得る減容機能を備えた車両である減容車を利用し、高熱量セメント原料を製造する処理場へ廃棄物を搬入する業務を高効率で行うためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場などの引取現場で発生する、固形分、油分、水分から成る汚泥を吸引回収し、汚泥に含まれる水分と、固形分及び油分とを分離する機能を備えた減容車が知られている。例えば、特許文献1には、固液分離を行うためのフィルターを貯槽内で移動可能に設けることにより、フィルターの破損や汚損を防止することが可能な減容機能付き吸引車(減容車)が開示されている。
【0003】
減容車を利用することにより、引取現場に大がかりな減容処理装置を設置する必要が無くなるため、コストの大幅な削減がもたらされる。また、走行しながら減容処理を行い、固形分及び油分から成る廃棄物のみを汚泥処理施設に搬入すれば良いため、汚泥処理施設において減容処理を行う過程を省略することができる。これにより時間とコストの大幅な節約が可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2004-155338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、減容車を利用することによって汚泥処理を簡略化できるため、汚泥の処理を依頼する側からすれば、汚泥処理費用の削減を図ることができるという大きなメリットがある。他方、減容車を運用する減容車業者側からすれば、非常に高価な減容車を可能な限り高い効率で利用したいという要求があった。
【0006】
一方、本願発明者は、減容車によって減容して得られる廃棄物が、その固形分の成分組成とともに、廃棄物の油分の有する熱量が適当であり、セメントの原料や燃料として好適である点に着想した。即ち、これまでは高額の処理費用を支払って汚泥処理施設に搬入しなければならなかった固形分及び油分から成る廃棄物を、高熱量セメント原料として有効に利用することができるのである。(実際には、減容して得た廃棄物を処理場に搬入し、その処理場で熱量等の調節が行われ、その後セメント製造工場においてセメントが製造される。)
しかし、廃棄物は時間が経過すると固化することもあるため、質の高い廃棄物を処理場に搬入するために、減容車のスケジュール管理を適切に行う必要がある。
【0007】
更に、減容車によって行う減容処理は廃棄物処理法等の法規に則って行われなければならないため、減容車業者は減容車をいつ、どこに配車し、どれだけの量の汚泥を引き取り、どれだけの量の廃棄物を処理場に搬入したかといった業務に関する記録を取る義務がある。
【0008】
本発明はかかる課題に鑑みて成されたものであり、その第1の目的とするところは、一の減容車業者が減容車を最大限有効に活用するとともに、その業務を適切に管理することができる管理システムを提供することである。
また、第2の目的とするところは、複数の異なるユーザ(減容車業者)に対して、一の管理業者が存在する態様において、減容車を最大限有効に活用し、適切に管理することができる管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された第1発明に係る減容車活用システムは、
固形分、油分、水分から成る汚泥から水分のみを分離することが可能な減容機能を備える減容車を引取現場に配車し、引き取った汚泥を減容して得られる固形分及び油分から成る廃棄物を、汚泥に含まれる油分の熱量を利用した高熱量セメント原料を製造するための処理場に搬入する業務に用いられる減容車活用システムであって、
管理サーバと、該管理サーバと無線通信可能であって各減容車と一対一に関係づけられている携帯端末とから成り、
前記管理サーバは、顧客からの引取依頼に基づく引取の日時及び引取場所、並びに該引取の日時に使用可能な減容車の番号が関連付けられた依頼データベースを作成する配車予定作成手段と、
前記引取の日時までの時間が所定の時間よりも短くなった場合に、減容車の配車の指示を行う配車指示手段と、を備え、
前記携帯端末は、前記管理サーバに対し、引取業務及び搬入業務に係る所定の状況及び情報を通知する通知手段を備え、
前記管理サーバは、また、前記携帯端末から送信される前記状況及び情報並びに該状況及び情報の通知時刻を前記依頼データベースに保存する状況保存手段と、
予め設定された時刻に、又は予め設定された時刻までに前記状況又は情報の通知が無い場合に、前記携帯端末に対して状況又は情報の通知を促す通知催促を送信する催促送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために成された第2発明に係る減容車活用システムは、
固形分、油分、水分から成る汚泥から水分のみを分離することが可能な減容機能を備える減容車を引取現場に配車し、引き取った汚泥を減容して得られる固形分及び油分から成る廃棄物を、汚泥に含まれる油分の熱量を利用した高熱量セメント原料を製造するための処理場に搬入する業務に用いられる減容車活用システムであって、
管理業者側に設けられる管理サーバと、複数の異なるユーザ側に設けられ、該管理サーバとデータ通信ネットワークによって通信可能に接続されるユーザ端末と、該管理サーバと無線通信可能であって各減容車と一対一に関係づけられている携帯端末とから成り、
前記管理サーバは、
ユーザの利用登録を行うためのユーザ登録手段と、
ユーザ端末から送信される引取依頼情報に基づく引取の日時及び引取場所、並びに該引取の日時に使用可能な減容車の番号が関連付けられた依頼データベースを作成する配車予定作成手段と、
前記依頼データベースの記載に基づき、前記引取の日時までの時間が所定の時間よりも短くなった場合に、前記ユーザに対応するユーザ端末に対して減容車の配車の指示情報を送信する配車指示手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、
前記管理サーバに対して、顧客からの引取依頼に基づく引取の日時及び引取場所、並びに該引取の日時に使用可能な減容車の番号を含む引取依頼情報を送信する引取依頼情報送信手段を備え、
前記携帯端末は、前記管理サーバに対し、引取業務及び搬入業務に係る所定の状況及び情報を通知する通知手段を備え、
前記管理サーバは、また、前記携帯端末から送信される前記状況及び情報並びに該状況及び情報の通知時刻を前記依頼データベースに保存する状況保存手段と、
予め設定された時刻に、又は予め設定された時刻までに前記状況又は情報の通知が無い場合に、前記携帯端末に対して状況又は情報の通知を促す通知催促を送信する催促送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明の減容車活用システムでは、減容車と一対一に関係づけられた携帯端末を減容車のドライバが所持して使用することにより、汚泥の引き取り業務や廃棄物の搬入業務に関連した情報が携帯端末を通して管理サーバに通知され、保存される。従って、減容車の業務に関する記録を容易に行うことができる。
また、管理サーバが依頼データベースに基づき減容車のスケジュールを管理しており、所定の時刻までに状況や情報の通知が無い場合には、携帯端末に対して通知催促が送信されるため、情報の記録漏れが確実に防止される。また、減容車をスケジュールに沿って運行させることができるため、高熱量セメント原料とするための廃棄物の品質を低下させてしまうことがない。
【0012】
第2発明の減容車活用システムによれば、上記第1発明と同様の効果がもたらされるうえ、管理サーバ及び減容車に関する情報が管理業者によって管理されるため、ユーザは各種の必要な情報をユーザ端末及び携帯端末を利用して管理サーバに送信するだけでよい。従って、管理サーバのメンテナンスに係る費用や手間を削減することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、第1発明及び第2発明の各々につき、好適な実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<第1発明>
図1は、第1発明に係る減容車活用システムのシステム構成図である。本システムは管理サーバ1と、携帯端末2a、2b、2c、…とから構成されており、両者はインターネット回線、電話回線、無線回線などの各種データ通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0015】
管理サーバ1は、CPU(中央処理装置)を備えたコンピュータであり、CPUにはメモリ、ハードディスク等の記憶部、ディスプレイである表示部17、キーボードやマウスなどの入力部18などが接続されている。記憶部にはオペレーティングシステム(OS)の他、依頼データベース10(以下、依頼DBと略記する。)や、本発明のシステムを実行するための各種プログラムが記憶されている。管理サーバ1は更に、図示せぬ通信部を備えている。
【0016】
図1に示すように、管理サーバ1は配車予定作成手段11、配車指示手段12、状況保存手段13、催促送信手段14を含んでいるが、これらはいずれも、CPUが記憶部に記憶されている所定のプログラムを実行することによって達成される機能である。
【0017】
携帯端末2は、減容車3のドライバ(またはドライバのアシスタント)に携帯されたり、減容車3内の、ドライバが操作可能な位置(例:運転席付近)に設置されてドライバによって使用される、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)等の小型情報端末である。携帯端末2は各種演算を行うCPUを有しており、CPUには揮発性及び不揮発性のメモリ、ディスプレイである端末表示部27、入力キーである端末入力部28、ネットワークを介して管理サーバ1と各種情報を送受信するための端末通信部等が接続されている。また、不揮発性のメモリにはOSを含め、各種のプログラムが保存されている。
【0018】
更に、携帯端末2は、減容車の業務に関する種々の情報を管理サーバ1に対して送信する通知手段21を備えている。この通知手段21は、携帯端末2のCPUがメモリに記憶されている所定のプログラムを実行することにより達成される機能である。
【0019】
携帯端末2a、2b、2c、…は、減容車3a、3b、3c、…にそれぞれ一対一に関係づけられている。携帯端末2と減容車3とが一対一に関係づけられているとは、各携帯端末2が、各減容車3に予めふられている減容車番号に対応しているということである。依頼DB10においても、各減容車の情報を減容車番号によって管理することにより、複数台ある減容車を個別に管理することができる。
図1には減容車3が三台描かれており、従って携帯端末2も三台描かれているが、減容車3の台数に応じて携帯端末2の台数が増減することは言うまでもない。
【0020】
以下、第1発明に係る減容車活用システムを用いて減容車の管理を行う例を示す。
【0021】
まず、顧客から汚泥引取依頼を受けると、ユーザは、管理サーバ1の入力部18を用いて、引取の日時、引取場所、及びその引取を行う減容車の番号を入力する。この入力に基づき、管理サーバ1は記憶部内に依頼DB10を作成する。又は、既に作成されている依頼DB10に追記する。本発明では、この依頼DB10に基づいて減容車の業務に関する各種の管理が行われる。
【0022】
図2に依頼DB10の構成概念図を示す。図2の例では、減容車番号が001、002、003の三台の減容車が登録されている。減容車番号が003の列には、汚泥引取依頼に基づいてユーザが引取日時「05年10月6日15:30」と、引取場所「△△区〇〇町1−1」を入力し、減容車番号が003の減容車を指定した場合の記載例が示されている。
なお、ここではユーザが減容車の番号を指定したが、引取を行う減容車の番号は他の減容車の運行予定に応じて管理サーバ1が決定するようにしてもよい。
【0023】
このとき、引取が完了して処理場(または次の引取場所)に向かう移動開始予定時刻が管理サーバ1によって自動的に入力される。本例では引取に要する時間として30分という値が予め設定されていることにより、「16:00」という時間が算出される。この移動開始予定時刻はユーザが入力部18から手動で入力しても構わない。
【0024】
減容車が複数の引取場所を回り、各引取場所で汚泥を引き取る場合も考えられる。その場合には、依頼DB10に引取日時及び引取場所を追加することもできる。図2の依頼DB10では、減容車番号002の減容車に関して、第二の引取場所に関する情報が登録されている。
【0025】
管理サーバ1は、依頼DBに記憶されている引取日時までの時間が所定の時間よりも短くなると、減容車の配車日時が迫っていることをユーザに知らせるための配車指示を行う。この配車指示は例えば、図3に示すような、減容車番号、引取日時、引取場所が含まれるメッセージボックスを表示部17に表示させることにより行う。配車指示を行うタイミングは、引取日時の24時間前、引取日前日の夕方、引取日当日の朝など、業務形態に応じて、配車指示が有効な時をユーザが任意に設定すればよい。配車指示は、表示部17に表示される図示せぬ配車表において、配車日時が迫っている減容車に関する項目を強調表示(例:文字色を変える、文字を太字にする、背景色を変える)することによっても行える。
【0026】
減容車によって業務を開始するにあたり、携帯端末2において所定のアプリケーションが実行される(例:携帯端末2において、管理サーバ1の提供するサービスのURLにアクセスするブラウザを起動する)と、携帯端末2と管理サーバ1とがデータ通信を行い、携帯端末2の端末表示部27には、適宜引取業務及び搬入業務に関する状況及び情報を入力する画面が表示される。ドライバは業務の進捗に応じて端末表示部27の画面に示される指示に沿って情報を入力する。
【0027】
携帯端末2から管理サーバ1に対して通知される状況及び情報には、例えば以下に挙げるのものがある。以下、図2における依頼DB10の、減容車番号が001の減容車に関して説明する。
【0028】
1)引取現場への到着
図4(a)に、携帯端末2の端末表示部27に表示される、減容車が引取現場に到着したことを通知するための画面例を示す。この画面には、管理サーバ1から送信されてきた、依頼DB10に記録されている情報である引取場所「◇◇区〇〇町2−4」や引取時間「15:00」なども表示されている。ドライバは引取現場に到着すると、端末入力部28を操作して「到着」ボタンを押す。すると携帯端末2から管理サーバ1に対し、現場に到着したという現場到着情報が送信される。管理サーバ1はその現場到着情報を受信すると、その受信時刻「14:50」を現場到着時刻として依頼DB10に記録する。
【0029】
2)引取処理の開始
引取現場に到着したという通知が完了すると、次いで携帯端末2の端末表示部27には、図4(b)に示すような入力画面が表示される。「開始」ボタンが押されると、携帯端末2は管理サーバ1に対して、汚泥の引取を開始したという引取開始情報を送信する。管理サーバ1は引取開始情報を受信すると、その受信時刻「15:00」を引取開始時刻として依頼DB10に記録する。
【0030】
なお、実際に汚泥の引取処理を行わなければならないドライバが、引取処理を開始した通知を行うのが困難な場合もあり得るため、引取現場に到着した通知が引取処理を開始した通知を兼ねた構成としても構わない。
【0031】
3)引取処理の完了、及び汚泥の引取量
汚泥の引取が完了すると、ドライバは減容車の所定箇所に表示されている汚泥の引取量を読み取り、図4(c)に示すような端末表示部27に表示される入力画面において、汚泥引取量「560(kg)」を入力し、「送信」ボタンを押す。この操作に基づき、携帯端末2は管理サーバ1に汚泥引取量を送信する。管理サーバ1は汚泥引取量を受信すると、依頼DB10にその汚泥引取量を記録するとともに、汚泥引取量を受信した受信時刻「15:15」を引取完了時刻として記録する。
【0032】
4)引取現場からの移動開始
引取作業が完了すると、ドライバは引取現場を出発する時に、携帯端末2に引取現場から移動を開始したことを入力する。この操作により、移動開始情報が携帯端末2から管理サーバ1に送信され、依頼DBにおいて移動開始時刻「15:15」が記録される。
【0033】
なお、汚泥の引取が完了すると、ドライバは減容車による汚泥の減容処理を開始させる。汚泥の引取箇所が複数箇所設定されている場合(図2の減容車番号002の場合)には、全ての汚泥の引取が完了した後に減容処理を開始する。
【0034】
ここで、管理サーバ1が、上記移動開始時刻に基づき、減容処理が完了して得られる廃棄物を処理場に搬入する目標時刻を設定し、携帯端末2に対してその目標時刻を送信するようにしてもよい。ドライバは端末表示部27に表示されるこの目標時刻を参考にしつつ処理場へ向かう。
【0035】
上記目標時刻は、予め設定されている時間(例:引取時間から45分以内)に基づき算出してもよいし、減容処理に応じて算出される所定の時間(例:減容完了予定時間から1時間以内)に基づき算出してもよい。また、目標時刻は、ユーザが管理サーバ1の入力部18から手動で入力することもできる。
【0036】
5)処理場への到着
処理場へ到着すると、ドライバは上記の他の操作と同様に、携帯端末2に対して、処理場に到着したことを通知する入力を行う。すると、携帯端末2から管理サーバ1に対して処理場到着情報が送信され、管理サーバ1はその処理場到着情報の受信時刻「15:55」を依頼DB10に記録する。
【0037】
6)処理場に搬入した廃棄物の量
廃棄物の搬入が完了すると、ドライバは端末表示部27に表示される入力画面(図示せず)において搬入量「320(kg)」を入力し、「送信」ボタンを押す。この操作により、搬入量及び搬入時刻「15:55」が依頼DB10に記録される。
【0038】
7)帰着
業務を終えて営業所に帰着すると、ドライバは端末表示部27に表示される入力画面(図示せず)において「帰着」ボタンを押す。帰着情報を受けた管理サーバ1は、依頼DB10に帰着時刻「16:40」を記録する。
【0039】
上記例では、自動的に記録される各種の時刻は、管理サーバ1が各情報を受信した時点の時刻となる。しかし、ドライバが何らかの作業を行っていて手が離せなかったり、不注意で入力を忘れてしまったりすると、後から入力を行っても正確な時刻は記録されず、入力時の時刻が記録されてしまう。そこで、各種の時刻を手動で入力することができるモードを備えていてもよい。
【0040】
本発明の減容車活用システムは、各種の状況や情報を確実に受信し、記録漏れを防止するために、管理サーバ1から携帯端末2に対して通知催促を送信する催促送信手段を備えている。例えば、上述した移動開始予定時刻のような、予め設定されている時刻において、またはその予定時刻から所定時間が経過した時刻において、未だ携帯端末2から情報の送信が到来しない場合には、管理サーバ1は携帯端末2に通知催促を送信する。通知催促を受信した携帯端末2は、ドライバに操作を促すための警告音や警告案内音声を発したり、警告画面を表示したりする。
【0041】
また、本発明の減容車活用システムは、好ましくは、管理サーバ1が、依頼DB10に保存されている記録から各減容車についての通算減容処理時間及び減容処理量を算出し、いずれかの値が所定の値を超えている場合には、その減容車のメンテナンス実施を促す構成とすることができる。このメンテナンス実施を促す指示は、例えば図5に示すようなメッセージボックスを表示部17に表示させることにより行うことができる。
【0042】
<第2発明>
次に、第2発明に係る減容車活用システムについて説明する。
【0043】
図6は、第2発明に係る減容車活用システムのシステム構成図である。本システムは管理サーバ1と、各ユーザ端末5a、5b、…とがデータ通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。管理サーバ1は管理業者側に設けられ、ユーザ端末5a、5b、…は各ユーザA、B、…側に設けられる。
【0044】
携帯端末2は、管理サーバ1と無線通信可能に接続されている。また、携帯端末2は上記第1発明と同様に、減容車3に対応して設けられる。図6に示す例ではユーザAが減容車3aを所有し、ユーザBが減容車3bを所有しており、各減容車に対応して携帯端末2a及び2bがそれぞれ設けられているが、あるユーザが二台以上の減容車を所有していてももちろん構わない。
【0045】
第2発明において、管理サーバ1及び携帯端末2の機械的構成は上記第1発明のものと同一である。ユーザ端末5はCPUを備えたコンピュータであり、CPUにはメモリ、ハードディスク等の記憶部、ディスプレイであるユーザ端末表示部57、キーボードやマウスなどのユーザ端末入力部58などが接続されている。記憶部にはOSや、本発明のシステムを実行するための各種プログラムが記憶されている。ユーザ端末5は更に、ネットワークを介して管理サーバ1とデータ通信を行うための図示せぬ通信部を備えている。
【0046】
第2発明の減容車活用システムの動作は第1発明と基本的には同一であり、管理サーバ1と携帯端末2とが通信を行うことによって減容車の管理が効果的に行われる。そして、複数の異なるユーザが一の管理サーバを共有するという形態のシステムを有効に稼働させるために、第2発明の構成は、第1発明とは異なる点として以下の特徴を有している。
【0047】
・管理サーバ1が、ユーザの利用登録を行うユーザ登録手段を備えている。管理サーバ1がユーザ登録されたコンピュータ(即ちユーザ端末)としか通信を行わないようにすることにより、セキュリティが確保される。ユーザの確認は、各種のパスワードやユーザ認証システムを利用することができる。
【0048】
・汚泥引取依頼に関する、引取の日時、引取場所、及びその引取を行う減容車の番号の入力が、ユーザ端末5によって(正確にはユーザ端末入力部58より)行われる。入力されたこれらの情報は管理サーバ1に対して送信され、管理サーバ1は記憶部内に依頼DB10を作成する。
【0049】
・管理サーバ1によって行われる配車指示(図3参照)が、ユーザ端末5に対して送信される。配車指示はユーザ端末5において動作する所定のアプリケーション上で表示されてもよいし、ユーザが指定するメールアドレスに対して管理サーバ1から配車指示が記載されたメールを送信することによって行われても良い。
また、メンテナンス指示(図5参照)も同様にユーザ端末5に対して送信される。
【0050】
第2発明に係るシステム形態では、複数の減容車の状態を集中管理することが可能である。この形態を利用して、各減容車の利用状況に応じて減容車をユーザ間で互いに貸し借りする構成とすることもできる。
【0051】
他のユーザの減容車の利用を希望する場合、まず、ユーザがユーザ端末5によって管理サーバ1に引取依頼に関する情報を送信する際に、その引取の日時に、使用可能な減容車が無いことを示すデータである配車不能情報を付加する。
【0052】
管理サーバ1では、配車不能情報を伴った引取依頼情報を受信すると、依頼DB10において他のユーザの減容車の配車スケジュールを検索し、その日時に使用可能な他のユーザの減容車が存在するか否かを確認する。使用可能な減容車が検出された場合には、減容車借用が可能であることを示すメッセージをそのユーザ端末5に対して送信する。使用可能な他のユーザの減容車が存在しない場合には、減容車借用が不可能であることを示すメッセージをユーザ端末5に対して送信すればよい。
【0053】
また、依頼DB10に記憶されている配車スケジュールにおいては使用可能な減容車が、実際に借用可能であるか否かを確認するために、管理サーバ1は、その減容車を所有するユーザのユーザ端末5に対して、借用可能か否かを伺う借用伺い情報を送信してもよい。そして、管理サーバ1から借用伺い情報を送信したユーザ端末より貸出可能という確認情報が送信されてきてはじめて、減容車借用が可能であるメッセージを、配車不能情報を伴った引取依頼情報を送信してきたユーザ端末5に対して送信する。なお、貸出不能である場合も同様の処理が行われる。
【0054】
また、第2発明の減容車活用システムの形態において、管理業者も減容車を所有している形態も考えられる。この場合には、管理業者を一ユーザとみなし、管理業者が管理サーバ1とユーザ端末5とを有するシステム構成とすればよい。もしくは管理サーバ1がユーザ端末5の役割を兼用してもよい。
この構成では、管理業者兼ユーザの所有する減容車の使用予定データも依頼DB10に保存されるため、上記のように、ユーザ間で互いに貸し借りを行う場合には、管理業者の所有する減容車も貸し借りの対象として含めることができる。
【0055】
以上、本発明に係る減容車活用システムに関し説明したが、上記各実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正を行っても構わない。
【0056】
例えば、管理サーバ1が課金データベースを備え、各ユーザの利用状況に応じて課金処理を行うこともできる。例えば、ユーザ(実際にはユーザ端末5)のシステム利用時間や利用回数に応じてシステム利用金額を算出し、そのシステム利用金額をユーザ毎に課金データベースに保存することができる。また、年間契約などの期間契約の場合、課金データベースに契約期間を記録しておき、契約終了期間を過ぎると、そのユーザ端末5からのシステムの利用が拒否されたり、所定のメッセージが送信されるようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1発明の減容車活用システムのシステム構成図。
【図2】管理データベースの概念図。
【図3】配車指示メッセージボックスの例。
【図4】携帯端末の端末表示部に表示される(a)引取現場到着通知入力画面、(b)引取開始通知入力画面、(c)引取量入力画面、の例。
【図5】メンテナンス実施を促すメッセージボックスの例。
【図6】第2発明の減容車活用システムのシステム構成図。
【符号の説明】
【0058】
1…管理サーバ
10…依頼データベース
11…配車予定作成手段
12…配車指示手段
13…状況保存手段
14…催促送信手段
17…表示部
18…入力部
2…携帯端末
21…通知手段
27…端末表示部
28…端末入力部
3…減容車
5…ユーザ端末
57…ユーザ端末表示部
58…ユーザ端末入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分、油分、水分から成る汚泥から水分のみを分離することが可能な減容機能を備える減容車によって汚泥を減容して得られる固形分及び油分から成る廃棄物を原材料とすることを特徴とする汚泥に含まれる油分の熱量を利用した高熱量セメント原料の製造方法。
【請求項2】
固形分、油分、水分から成る汚泥から水分のみを分離することが可能な減容機能を備える減容車を引取現場に配車し、引き取った汚泥を減容して得られる固形分及び油分から成る廃棄物を、汚泥に含まれる油分の熱量を利用した高熱量セメント原料を製造するための処理場に搬入する業務に用いられる減容車活用システムであって、
管理サーバと、該管理サーバと無線通信可能であって各減容車と一対一に関係づけられている携帯端末とから成り、
前記管理サーバは、顧客からの引取依頼に基づく引取の日時及び引取場所、並びに該引取の日時に使用可能な減容車の番号が関連付けられた依頼データベースを作成する配車予定作成手段と、
前記引取の日時までの時間が所定の時間よりも短くなった場合に、減容車の配車の指示を行う配車指示手段と、を備え、
前記携帯端末は、前記管理サーバに対し、引取業務及び搬入業務に係る所定の状況及び情報を通知する通知手段を備え、
前記管理サーバは、また、前記携帯端末から送信される前記状況及び情報並びに該状況及び情報の通知時刻を前記依頼データベースに保存する状況保存手段と、
予め設定された時刻までに前記状況又は情報の通知が無い場合に、前記携帯端末に対して状況又は情報の通知を促す通知催促を送信する催促送信手段と、を備える
ことを特徴とする減容車活用システム。
【請求項3】
前記管理サーバが更に、前記携帯端末より受信した引取業務に係る状況及び情報に基づき廃棄物を処理場に搬入する目標時刻を算出し、該目標時刻を前記携帯端末に対して送信する搬入目標時刻指示手段
を備えることを特徴とする請求項2に記載の減容車活用システム。
【請求項4】
前記通知手段が、少なくとも、
引取現場に到着したことを通知する現場到着通知手段と、
引取処理を開始したことを通知する引取開始通知手段と、
引き取った汚泥の量を通知するとともに引き取りの完了を通知する引取量通知手段と、
引取現場から処理場に向けて移動を開始したことを通知する移動開始通知手段と、
処理場に到着したことを通知する処理場到着通知手段と、
処理場に搬入した廃棄物の量を通知する搬入量通知手段と、
業務を終了して帰着したことを通知する帰着通知手段と、
を含むこと特徴とする請求項2又は3に記載の減容車活用システム。
【請求項5】
前記管理サーバが、前記依頼データベースに基づき、各減容車の減容処理時間及び処理量を算出し、該減容処理時間又は該処理量が予め定められている時間又は値を超えている場合には、該減容車のメンテナンス実施を促すメンテナンス指示手段
を更に備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の減容車活用システム。
【請求項6】
固形分、油分、水分から成る汚泥から水分のみを分離することが可能な減容機能を備える減容車を引取現場に配車し、引き取った汚泥を減容して得られる固形分及び油分から成る廃棄物を、汚泥に含まれる油分の熱量を利用した高熱量セメント原料を製造するための処理場に搬入する業務に用いられる減容車活用システムであって、
管理業者側に設けられる管理サーバと、複数の異なるユーザ側に設けられ、該管理サーバとデータ通信ネットワークによって通信可能に接続されるユーザ端末と、該管理サーバと無線通信可能であって各減容車と一対一に関係づけられている携帯端末とから成り、
前記管理サーバは、
ユーザの利用登録を行うためのユーザ登録手段と、
ユーザ端末から送信される引取依頼情報に基づく引取の日時及び引取場所、並びに該引取の日時に使用可能な減容車の番号が関連付けられた依頼データベースを作成する配車予定作成手段と、
前記依頼データベースの記載に基づき、前記引取の日時までの時間が所定の時間よりも短くなった場合に、前記ユーザに対応するユーザ端末に対して減容車の配車の指示情報を送信する配車指示手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、
前記管理サーバに対して、顧客からの引取依頼に基づく引取の日時及び引取場所、並びに該引取の日時に使用可能な減容車の番号を含む引取依頼情報を送信する引取依頼情報送信手段を備え、
前記携帯端末は、前記管理サーバに対し、引取業務及び搬入業務に係る所定の状況及び情報を通知する通知手段を備え、
前記管理サーバは、また、前記携帯端末から送信される前記状況及び情報並びに該状況及び情報の通知時刻を前記依頼データベースに保存する状況保存手段と、
予め設定された時刻までに前記状況又は情報の通知が無い場合に、前記携帯端末に対して状況又は情報の通知を促す通知催促を送信する催促送信手段と、を備える
ことを特徴とする減容車活用システム。
【請求項7】
前記サーバが更に、前記携帯端末より受信した引取業務に係る状況及び情報に基づき廃棄物を処理場に搬入する目標時刻を算出し、該目標時刻を前記携帯端末に対して送信する搬入目標時刻指示手段
を備えることを特徴とする請求項6に記載の減容車活用システム。
【請求項8】
前記通知手段が、少なくとも、
引取現場に到着したことを通知する現場到着通知手段と、
引取処理を開始したことを通知する引取開始通知手段と、
引き取った汚泥の量を通知するとともに引き取りの完了を通知する引取量通知手段と、
引取現場から処理場に向けて移動を開始したことを通知する移動開始通知手段と、
処理場に到着したことを通知する処理場到着通知手段と、
処理場に搬入した廃棄物の量を通知する搬入量通知手段と、
業務を終了して帰着したことを通知する帰着通知手段と、
を含むこと特徴とする請求項6又は7に記載の減容車活用システム。
【請求項9】
前記管理サーバが、前記依頼データベースに基づき、各減容車の減容処理時間及び処理量を算出し、該減容処理時間又は該処理量が予め定められている時間又は値を超えている場合には、該減容車のメンテナンス実施を促すメンテナンス指示を、該減容車を所有するユーザのユーザ端末に送信するメンテナンス指示手段
を更に備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の減容車活用システム。
【請求項10】
前記ユーザ端末が、前記管理サーバに対して送信する前記引取依頼情報において、顧客から指定された引取の日時に使用可能な減容車が無いことを示す配車不能情報を含めることができ、
前記管理サーバが、前記配車不能情報を受信すると、前記依頼データベースに基づき前記引取の日時に使用可能な他のユーザの減容車を検索し、使用可能な減容車が検出された場合には、減容車借用可能情報を前記ユーザ端末に送信する
ことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の減容車活用システム。
【請求項11】
請求項10に記載の減容車活用システムにおいて、
前記管理サーバが、更に、管理業者の所有する減容車の使用予定データを有しており、
前記配車不能情報を受信すると、前記引取の日時に使用可能な減容車を、他のユーザの減容車に加えて、該使用予定データに基づき管理業者の所有する減容車も対象として検索する
ことを特徴とする減容車活用システム。
【請求項12】
前記管理サーバが、
ユーザ毎に課金情報が保存された課金データベースと、
該管理サーバの利用状況に応じた課金処理を前記課金データベースに対して行う課金処理手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の減容車活用システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−80114(P2007−80114A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269354(P2005−269354)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(505350020)株式会社クリンテック (1)
【Fターム(参考)】