説明

温度制御装置、温度維持設備

【課題】市販の圧縮機などの要素を組み上あわせて施工する顧客の仕様を満足する冷蔵室や冷凍室に最適であり、消費電力を削減できる温度制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の温度制御装置1は、圧縮機8から送出される冷媒を循環させる冷媒循環路2と、冷媒循環路2を循環する冷媒量を調節する調節弁3と、冷媒の熱交換により、目標温度付近に維持される温度維持室7の温度を測定する温度検出部4と、調節弁3を制御する制御部5と、を備え、制御部5は、目標温度より所定温度高い第1温度から、目標温度より所定温度低い第2温度までの変化期間(以下、「第1期間」という)においては、PID制御方式に基づいて、調節弁3を制御し、第2温度とから第1温度までの変化期間(以下、「第2期間」という)においては、調節弁3の開放を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵室、冷凍室、恒温室などの温度を一定範囲に維持する必要のある設備に好適に用いられる温度制御装置、およびこれを用いた温度維持設備に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵室、冷凍室および恒温室といった設備は、食品工場、精密機器工場、薬品向上、研究所やその他の事業所で様々に用いられる。これ等の事業所では、原料、部品、製品などを、一定の温度条件で保管したり、これらを用いた製造や実験を行ったりする必要がある。このため、冷蔵室、冷凍室および恒温室といった設備は、冷媒を循環させる圧縮機を用いて、その内部を所定の温度に維持する。特に、一般的な室温や外気温よりも低い温度に維持する(すなわち冷却する)技術は、非常にデリケートな技術であり、様々な要素技術とこれらの組み合わせを必要とする。
【0003】
ここで、圧縮機、圧縮機の制御装置、冷媒循環路、冷媒循環において室内の温度交換を行う熱交換機とが一体となったいわゆる冷蔵庫、冷凍庫、恒温庫などの機器が提供されている。これらの機器は、必要な要素を全て備えた状態で製造・販売されて、購入者は、そのまま設置するだけでよい。このような一体型で設置するだけでよい機器は、温度制御に要求される精度がそこまでは高くなく、一定の範囲での温度が維持できれば良い。このため、一体型の機器は、小規模や低精度の冷蔵用や冷凍用として用いられる。
【0004】
一方、顧客の要求に応じて、設計、施工する設備としての冷蔵室、冷凍室および恒温室がある。例えば、事業所において、所定の広さ、所定の体積、対象物、維持する温度などの仕様や条件が存在し、冷蔵室や冷凍室を施工するのに必要なユニットや要素を組み合わせて設計される、冷蔵室、冷凍室および恒温室がある。これら設備としての冷蔵室や冷凍室などの需要は、事業所の要求の多様化や高度化に伴って高まっている。
【0005】
特に、事業所で保管したり使用したりする原料や部品の精密度の向上に伴って、施工される冷蔵室や冷凍室に対する要求レベルが年々高まっている。このため、施工される冷蔵室や冷凍室に対する温度条件に対する要求も高まっている。例えば、冷蔵室における設定温度が5℃であり、温度幅は、上下1℃までのように、設定温度および温度幅に対する要求が、シビアになってきている。
【0006】
ここで、顧客の要求に応じて施工される設備としての冷蔵室や冷凍室は、市販されている圧縮機を基に、施工業者が冷媒循環路、冷蔵室、熱交換機、制御装置などを設計して、圧縮機と組み合わせて最終的な冷蔵室や冷凍室が設置される。すなわち、施工業者は、冷媒循環路、冷蔵室、熱交換機、制御装置などの工夫や改良によって、顧客の要求を満足する。温度条件に対する要求も、これらの要素やユニットの特殊な設計や施工における工夫によって、実現される。
【0007】
温度条件を満足するために、このような設備としての冷蔵室や冷凍室では、圧縮機の動作を制御することが行われており、様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−174730号公報
【特許文献2】特開2011−64412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術において、温度条件を満足するために、冷蔵室や冷凍室内の温度を検出して、設定温度より低い所定の第1温度となった場合に圧縮機の運転を停止させる技術がある。逆に、設定温度よりも高い所定の第2温度となった場合に、圧縮機の運転を再開させる。このように、温度制御対象となる冷蔵室や冷凍室の温度を、圧縮機の運転と停止(ON制御とOFF制御)によって、制御する技術がある。
【0010】
このような圧縮機の運転と停止を切り替える温度制御技術は、簡易な技術であるので製造コストや設計コストが低いメリットがあるが、圧縮機を停止させた後で再開するたびに、圧縮機の運転エネルギーが必要となり、消費電力が高まる。停止状態から運転状態に変化させるためには、起動エネルギーを多く必要とするからである。また、運転と停止を切り替える温度制御技術は、第1温度と第2温度との変化に掛かる時間が短くなり、細かなサイクルで、運転と停止を繰り返すことになる。この結果、単位時間における圧縮機の運転期間が長くなり、消費電力が高くなってしまう問題がある。
【0011】
特許文献1は、圧縮機を用いた冷凍装置において、圧縮機の回転数を制御する技術を開示する。特に、圧縮機が運転中においては、比例積分微分制御(以下、「PID制御」という)を用いて、所定の温度以下となった場合には圧縮機の回転を停止させる技術を開示する。
【0012】
しかしながら、特許文献1は、圧縮機の回転数を制御(回転数の停止も含めて)するので、圧縮機への負担が大きくなる。負担が大きくなると、圧縮機および冷凍庫装置全体の消費電力が増加する。加えて、圧縮機の回転の停止と再開が頻発するので、騒音もひどくなる問題がある。
【0013】
一方で、特許文献1が対象としている冷凍庫は、圧縮機や熱交換機などが一体で製造される機器としての冷凍庫である。このため、圧縮機や冷凍庫そのものは小型であって、一体であるので、冷凍庫内の温度に従って圧縮機の回転数を停止、再開させても圧縮機そのものの消費電力への影響は少ないという前提において、圧縮機の回転数を、PID制御を用いて制御する技術が提案されている。
【0014】
しかしながら、工場や事業所に施工される設備としての冷蔵室や冷凍室においては、圧縮機の回転数を直接制御する温度制御技術では、圧縮機の動作と停止とが頻発して、消費電力や騒音の問題が生じてしまう。また、設備としての冷蔵室や冷凍室においては、市販の圧縮機を用いることが多い。市販の圧縮機は、液体の冷媒を送出し、気体となった冷媒の還流をうける。このとき、還流する気体の冷媒の圧力が低くなると、圧縮機はその回転を停止させる。
【0015】
特許文献1のように(後述の特許文献2も)温度を基準として圧縮機の回転を制御することは、圧縮機を突然に停止させることになり、圧縮機への負担が大きくなる。当然、圧縮機の回転が停止させられるということは、圧縮機の回転が再開させられなければならないので、その点でも圧縮機の負担が大きくなる。再開時には、圧力の大きな液体状態と圧力の小さい気体状態の冷媒を、圧縮機は循環させなければならないので、圧縮機の再開時の動作負担が大きくなる。当然に電力消費も大きくなる。圧縮機の負担が大きいということは、圧縮機の劣化にもつながり、コストを高める問題も生じさせる。
【0016】
特許文献2も、特許文献1と同様に、圧縮機の回転を、PID制御を用いて制御する技術を開示する。また、特許文献2は、圧縮機の回転に加えてファンの制御を同時に行う技術を開示する。
【0017】
しかしながら、特許文献2は、PID制御を用いて圧縮機の回転数やファンを制御することを開示するが、実際のサイクルや制御の詳細を開示していない。このため、実際に設定温度をターゲットとする際に、圧縮機等をどのような制御方式に基づいて制御するのか不明である。また、圧縮機の回転数を停止させたりする場合には、特許文献1と同様の問題がある。
【0018】
以上のように、従来技術においては、(1)運転と停止の繰り返しの制御技術では、消費電力の増加が生じる、(2)圧縮機の回転数を制御する技術では、消費電力や騒音の問題が生じる、(3)圧縮機を温度で停止、再開させると、圧縮機の負担が大きくなる問題が生じる。特に、市販の圧縮機を用いて、冷蔵室や冷凍室を施工する設備としての冷蔵室や冷凍室の場合には、圧縮機が大型であるために、(1)〜(3)の問題が大きくなる。
【0019】
加えて根本的には、圧縮機の回転を制御することが困難である。市販の圧縮機には、還流する気体冷媒の圧力に応じて、運転と停止を行う構造が、予め組み込まれていることが多いからである。市販の圧縮機を用いて、冷凍設備や冷蔵設備を施工するには、圧縮機の回転を制御するように改造することは困難がある。市販されている圧縮機は、制御機構などを含めて品質保証されており、これを改造することは、品質上の問題を生じさせかねないからである。特許文献1などは、圧縮機そのものも含めて冷凍庫を製造することを対象としていることで、圧縮機の回転を制御できる。
【0020】
すなわち、市販の圧縮機を含む様々な要素やユニットを用いて、顧客の仕様に応じて設計、施工する設備としての冷蔵室や冷凍室に関しては、従来技術の温度制御では、消費電力の削減や制御の容易性との点で不十分である問題があった。
【0021】
加えて、環境保護や節電のために、消費電力を削減した冷蔵室や冷凍室が求められているが、従来技術の冷蔵室や冷凍室は、消費電力の削減が不十分となる問題があった。このように、圧縮機の動作そのものを改造することなく、目標温度への設定に最適であって消費電力を小さくできる、制御装置が望まれていた。
【0022】
本発明は、上記課題に鑑み、市販の圧縮機などの要素を組み上あわせて施工する顧客の仕様を満足する冷蔵室や冷凍室に最適であり、消費電力を削減できる温度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題に鑑み、本発明の温度制御装置は、圧縮機から送出される冷媒を循環させる冷媒循環路と、冷媒循環路を循環する冷媒量を調節する調節弁と、冷媒の熱交換により、目標温度付近に維持される温度維持室の温度を測定する温度検出部と、調節弁を制御する制御部と、を備え、制御部は、目標温度より所定温度高い第1温度から、目標温度より所定温度低い第2温度までの変化期間(以下、「第1期間」という)においては、PID制御方式に基づいて、調節弁を制御し、第2温度とから第1温度までの変化期間(以下、「第2期間」という)においては、調節弁の開放を低減する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の温度制御装置は、圧縮機から送出される冷媒量を、冷媒循環路において制御するので、市販されている圧縮機そのものを制御する必要がない。このため、圧縮機そのものを改良等することなく、温度制御を実行できる。また、冷媒量の制御によって温度制御するので、圧縮機への負担も少なくなる。
【0025】
また、PID制御によって、所定温度まで冷媒量を制御しつつ、所定温度になったところで冷媒を停止させる、PID制御と停止制御を繰り返すことで、時間軸における冷蔵室や冷凍室の温度変化がなだらかになる。このため、所定時間における温度変化のサイクルが緩やかになり、消費電力の低減が実現される。圧縮機が高い周波数で回転することでの電力消費時間や、起動のための電力を消費する時間が、所定時間内では減少するからである。また、PID制御を用いることで、冷蔵室内や冷凍室内を冷やしすぎることが無くなることで、消費電力を削減できる。
【0026】
結果として、本発明の温度制御装置は、環境保護や節電を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1における温度制御装置とその周辺を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における温度制御装置によって制御される温度の一例を示す温度曲線である。
【図3】本発明の実施の形態1における熱交換機6の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における調節弁の開閉を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態1における調節弁の制御を説明するグラフである。
【図6】本発明の実施の形態2における冷蔵設備の模式図である。
【図7】本発明の実施の形態3における温度制御装置とその周辺を有する温度維持設備のブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態4における温度維持設備のブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態5における温度維持設備の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1の発明に係る温度制御装置は、圧縮機から送出される冷媒を循環させる冷媒循環路と、冷媒循環路を循環する冷媒量を調節する調節弁と、冷媒の熱交換により、目標温度付近に維持される温度維持室の温度を測定する温度検出部と、調節弁を制御する制御部と、を備え、制御部は、目標温度より所定温度高い第1温度から、目標温度より所定温度低い第2温度までの変化期間(以下、「第1期間」という)においては、PID制御方式に基づいて、調節弁を制御し、第2温度とから第1温度までの変化期間(以下、「第2期間」という)においては、調節弁の開放を低減する。
【0029】
この構成により、温度制御装置は、目標温度付近に温度維持室内の温度を保ちつつ、目標温度付近での温度変化を緩やかにできる。
【0030】
本発明の第2の発明に係る温度制御装置では、第1の発明に加えて、第1期間においては、制御部は、単位時間における調節弁を通過する冷媒量を制御するように、調節弁の開閉を制御する。
【0031】
この構成により、温度制御装置は、圧縮機への負担を減少させつつ、温度維持を行える。
【0032】
本発明の第3の発明に係る温度制御装置では、第2の発明に加えて、第1期間においては、制御部は、調節弁の開閉によって、調節弁を通過する冷媒量を制御する。
【0033】
この構成により、温度制御装置は、圧縮機への負担を減少させつつ、温度維持を行える。加えて、温度制御装置は、温度変化を緩やかにでき、消費電力を削減できる。
【0034】
本発明の第4の発明に係る温度制御装置では、第2の発明に加えて、第1期間においては、制御部は、調節弁の開口面積の増減によって、調節弁を通過する冷媒量を制御する。
【0035】
この構成により、制御部は、アナログ的に、通過する冷媒量を調整できる。
【0036】
本発明の第5の発明に係る温度制御装置では、第3又は第4の発明に加えて、制御部は、第1期間における調節弁の開閉は、PID制御方式に基づいて行う。
【0037】
この構成により、制御部は、緩やかな温度変化によって、第1期間の温度変化を実現できる。
【0038】
本発明の第6の発明に係る温度制御装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、第2期間においては、制御部は調節弁を閉鎖する。
【0039】
この構成により、制御部は、第2期間の温度変化を実現できる。
【0040】
本発明の第7の発明に係る温度制御装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、圧縮機は、冷媒循環路を通じて還流する冷媒の圧力が所定値以下である場合に、その回転を停止する。
【0041】
この構成により、制御部による冷媒の圧力制御に、圧縮機の動作が連動する。
【0042】
本発明の第8の発明に係る温度制御装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、温度検出部は、温度維持室内の空気循環の後端に位置する。
【0043】
本発明の第9の発明に係る温度制御装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、冷媒循環路の途中であって温度維持室内に設けられる熱交換機を更に備え、温度検出部は、熱交換機の吸気側に位置する。
【0044】
これらの構成により、温度検出部は、温度維持室の温度をより正確に検出できる。
【0045】
本発明の第10の発明に係る温度制御装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、目標温度と第1温度との差分値は、目標温度と第2温度との差分値よりも大きい。
【0046】
この構成により、制御部は、第1期間において、温度が下がりすぎるのを防止できる。
【0047】
本発明の第11の発明に係る温度制御装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、温度維持室は、冷蔵室、冷凍室および恒温室の少なくとも一つである。
【0048】
この構成により、温度制御装置は、温度制御を必要とする様々な用途に適用される。
【0049】
本発明の第12の発明に係る温度制御装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、冷媒循環路において、熱圧縮機に冷媒が還流する位置に、バッファタンクが設けられる。
【0050】
この構成により、圧縮機に還流する冷媒の圧力が維持され、圧縮機の停止の頻度を下げることができる。結果として、消費電力を低減できる。
【0051】
本発明の第13の発明に係る温度制御装置では、第12記載の発明に加えて、バッファタンクは、冷媒循環路を圧縮機に還流する所定量の気化冷媒を、一時的に収容する。
【0052】
この構成により、バッファタンクは、一定の圧力を所定時間に渡って維持できる。
【0053】
本発明の第14の発明に係る温度制御装置では、第12又は第13の発明に加えて、冷媒還流路は、バッファタンクの底面に気化冷媒を送り込み、バッファタンクは、収容する気化冷媒を、該バッファタンクの底面から圧縮機に送出する。
【0054】
この構成により、バッファタンクの圧力維持が確実となる。
【0055】
本発明の第15の発明に係る温度制御装置では、第1から第14のいずれかの発明に加えて、温度維持室内の湿度および気圧を制御する、第2制御部を更に備える。
【0056】
この構成により、温度制御装置は、温度維持室の環境維持を拡張できる。
【0057】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0058】
(実施の形態1)
【0059】
実施の形態1について説明する。
【0060】
(全体概要)
まず、図1、図2を用いて、本発明の実施の形態1における温度制御装置の全体概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における温度制御装置とその周辺を示すブロック図である。温度制御装置1は、図1に示される要素において、温度制御装置に必要な要素だけを含んだものであるが、図示の都合上、温度制御装置1の周辺を含んだ全体と共に示されている。図2は、本発明の実施の形態1における温度制御装置によって制御される温度の一例を示す温度曲線である。
【0061】
温度制御装置1は、主として、目標とする温度付近に維持される温度維持室の温度制御に用いられる。もちろん、主としてなので、所定温度に制御されるべき施設や設備などの様々な用途に、温度制御装置1は使用されてもよい。
【0062】
温度制御装置1は、冷媒循環路2、調節弁3、温度検出部4および制御部5を備えている。冷媒循環路2は、圧縮機8から送出される冷媒を循環させる。冷媒は、冷媒循環路2を循環し、温度維持室7に備わっている熱交換機6における熱交換の役割を果たす。すなわち、冷媒循環路2は、圧縮機8から送出される低温の冷媒(液体の状態である)を熱交換機6まで循環させ、熱交換機6において温度交換によって気化した冷媒を圧縮機8に戻す。
【0063】
調節弁3は、冷媒循環路2を通過する冷媒の量を調節する。調節弁3は、冷媒循環路2や冷媒循環路2の外部に設けられ、冷媒循環路2を循環する冷媒量を調節する。冷媒量の調節によって、熱交換機6での熱交換の能力が変動する。
【0064】
温度検出部4は、温度制御装置1によって所定の目標温度付近にその温度が維持される温度維持室7の温度を測定する。すなわち、温度検出部4は、温度制御装置1によって制御される対象の温度状態を検出することで、温度制御装置1による制御をチェックできる。温度検出部4は、検出した温度情報を、温度制御装置1に出力する。
【0065】
制御部5は、調節弁3を制御する。調節弁3の開放度合いなどを制御することで、冷媒循環路2を循環する冷媒量を制御する。この冷媒量の制御によって、熱交換機6による温度維持室7の温度が目標温度付近に制御されることになる。このとき、制御部5は、温度維持室7において維持される目標値である目標温度より所定温度高い第1温度から目標温度より所定温度低い第2温度までの変化期間(以下、「第1期間」という)においてはPID制御に基づいて、調節弁3を調節する。一方、第2温度から第1温度までの変化期間(以下、「第2期間」という)においては、制御部5は、調節弁3の開放状態を低減する。
【0066】
PID制御は、比例積分微分制御として知られている仕組みであり、制御部5は、第1期間においては、このPID制御を用いて調節弁3の開放度合いを制御する。PID制御を行う場合には、単純な調節弁3の開放と異なり、温度変化の度合いを緩やかにする。温度維持室7は、多くの場合外気温よりも低い温度を目標温度として維持される。第1期間は、目標温度よりも高い状態から目標温度を目指す際の温度維持室7の温度変化期間である。このとき、目標温度に達したところで冷媒の循環が止まってしまうと、熱交換機6での熱交換が終了してしまい、温度維持室7の温度が、すぐに目標温度を上回ってしまう。このため、冷媒が循環して熱交換機6による熱交換(冷却)は、目標温度を下回る第2温度まで維持されることが好ましい。
【0067】
これらの状況を踏まえて、制御部5は、目標温度よりも高い第1温度(冷媒の循環を行って温度維持室7の温度を下げる必要がある状態)で、調節弁3を開放して冷媒循環を開始する。冷媒循環が行われると、熱交換機6による熱交換が行われて温度維持室7の温度が低下する。図2のグラフで、第1期間において温度が下降する状態である。この状態は、目標温度よりも低い第2温度まで継続される。第1期間において、制御部5は、PID制御によって調節弁3を制御する。PID制御は、単純な調節弁3の開放ではなく所定の補正を含めた比例積分微分を用いるので、PID制御による制御期間は、温度変化が緩やかになる。
【0068】
制御部5は、第2期間においては、調節弁3の開放を低減する。低減によって、冷媒循環路2を循環する冷媒量が減少し、熱交換機6を介した、温度維持室7での熱交換が減少する。結果として、温度維持室7の温度は、第2温度から徐々に上昇し、やがては目標温度を上回って第1温度に到達する。第1温度に到達すると、制御部5は、再びPID制御に基づいて調節弁3を制御する。調節弁3が開放され、冷媒循環路2を冷媒が循環して、熱交換機6を介して温度維持室7の温度が低下する。すなわち再び第1期間が開始される。
【0069】
ここで、PID制御による制御を受ける第1期間は、温度変化が緩やかになる。加えて、第2期間においても、制御部5は、圧縮機8の回転数を停止させるのではなく、調節弁3の開放を低減するので、冷媒循環が突然停止することもない。このため、第2期間における温度変化も緩やかになる。図2のグラフに示されるとおりである。
【0070】
第1期間および第2期間における温度変化が緩やかであるということは、温度制御装置1が温度維持室7の温度を目標温度に維持する全体期間の中で(温度維持室7を備える設備が稼動している期間)、第1期間と第2期間のサイクル数が少なくなるということである。サイクルが少ないことは、全体の中で圧縮機8が動作している期間、圧縮機8の起動回数、圧縮機8の起動時間が少なくなることになる。これらの結果、温度制御装置1を備える冷凍設備などの設備は、消費電力を低減できるようになる。消費電力が少ない冷凍設備や冷蔵設備は、当然に環境保護やコスト低減に役立つようになる。
【0071】
図2のグラフでは、圧縮機8を動作、停止させる場合の曲線も合わせて示しているが、この曲線と比較すると、第1期間と第2期間のサイクル数が、実施の形態1の温度制御装置1では少なくなることが分かる。このグラフからも、温度制御装置1を用いる設備の消費電力が低減することが分かる。
【0072】
また、温度制御装置1は、従来技術のように圧縮機8の回転数ではなく、圧縮機8から送出されて循環する冷媒量を制御する。工場や事業上などにおいて施工されて設備として使用される冷蔵装置や冷凍設備では、圧縮機7は、市販されている圧縮機が用いられることが多い。市販されている圧縮機は、圧縮機に還流する冷媒(気化している気化冷媒であることが多い)の圧力によって、その動作(回転)を停止したり再開したりする機能を有していることが多い。このような市販の圧縮機が、図1が適用された冷蔵装置や冷凍装置の圧縮機8として用いられることが多くなるので、温度制御装置1は、圧縮機8の回転数を制御することは難しい。圧縮機8の改造などが必要となり、施工のコストや期間、施工される冷蔵設備などの信頼性などに係ってくるからである。
【0073】
これに対して、実施の形態1における温度制御装置1は、圧縮機8ではなく、冷媒循環路2を循環する冷媒量を制御するので、このような改造などの必要性もない。結果として、温度制御装置1を備える冷蔵設備や冷凍設備施工におけるコスト、期間、信頼性に好影響を有する。また、圧縮機8の回転を制御するのではなく、調節弁3の制御を通じて、冷媒循環路2を循環する冷媒量を制御することで、圧縮機8の動作や停止のサイクル数を減少させることもできる。この結果、温度制御装置1が用いられる設備は、圧縮機8のサイクルによる消費電力を低減できる。また、圧縮機8の動作・停止のサイクル数が減少することで、圧縮機8に対する負担を減少できる。圧縮機8の負担が減少すれば、冷蔵設備や冷凍設備の設備としての寿命も長くなるメリットがある。
【0074】
このように、実施の形態1の温度制御装置1は、圧縮機8ではなく調節弁3を制御する機能とPID制御による制御機能とによって、温度制御装置1が用いられる設備の消費電力を低減できる。また、冷蔵設備や冷凍設備のコスト、施工期間、寿命、信頼性などを高めることもできる。
【0075】
次に、各部の詳細について説明する。
【0076】
(圧縮機)
圧縮機8は、冷媒を循環させる機能を有する要素である。一般に用いられたり市販されたりしている圧縮機が用いられればよい。圧縮機8は凝縮機を更に備えておいても良く、凝縮機によって気体として還流する冷媒を凝縮させて液化する。液化した液体の冷媒を、圧縮機8は冷媒循環路2に送出する。このように、圧縮機8は、液体の冷媒を冷媒循環路2に送出し、気体の冷媒の還流を受ける。
【0077】
圧縮機8は、様々な機構によって冷媒の送出を行えば良い。冷媒を送出するために、回転動作を有するが、この回転数によって、送出量を制御できる。市販されている圧縮機は、様々な特性を有しているが、消費電力削減のために回転を制御することが多い。特に、還流する気体の冷媒の圧力によって、圧縮機は、その回転を停止したり再開したりすることが多い。例えば、還流する気体の冷媒の圧力が低くなると、圧縮機は、回転を停止させる。逆に、還流する気体の冷媒の圧力が高くなると、圧縮機は、回転を再開させる。図1に示される冷蔵設備や冷凍設備は、市販の種々の要素を組み合わせつつ、工場や事業場などで必要となる温度維持室が施工される。このため、使用される圧縮機も、市販のものとなるので、圧縮機8は、還流する気体の冷媒の圧力に応じて、動作を停止したり再開したりする。
【0078】
制御部5によって調節弁3が制御されることで、循環する冷媒量が変化し、結果的に還流する気体の冷媒の圧力も変化する。この圧力変化に応じて圧縮機8の動作が停止したり再開したりする。温度制御装置1は、圧縮機8を直接制御することがないので、圧縮機8を改良する必要もなく、施工コストが低減する。
【0079】
(冷媒循環路)
冷媒循環路2は、圧縮機8と接続されており、圧縮機8から送出される冷媒を循環させる。冷媒循環路2は、液体である冷媒を熱交換機6まで循環させる。熱交換機6は、冷媒の気化熱を利用して温度維持室7の温度を低下させる。すなわち、熱交換機6によって、冷媒は気化する。冷媒循環路2は、気化した冷媒を循環させて圧縮機8に還流させる。このように、冷媒循環路2は、液体の冷媒と気体の冷媒を循環させる。このため、冷媒循環路2は、圧縮機8および熱交換機6と接続されている。
【0080】
冷媒循環路2は、金属製、樹脂製、合金製などの管路で形成されていれば良いが、耐久性、強度などを考慮して金属製の管路が用いられることが多い。冷媒循環路2は、温度維持室7と合わせて施工される。冷媒循環路2は、冷蔵設備や冷凍設備が施工される工場や事業場の構造に依存することが多いので、工場や事業場の構造に応じて配置されればよい。あるいは、既に施工されている管路が冷媒循環路2として利用されることでも良い。
【0081】
(調節弁)
調節弁3は、冷媒循環路2を循環する冷媒量を調節する。調節弁3は、冷媒循環路2に設けられており、冷媒循環路2のある部分での循環開口度合いを調節する。調節弁3が閉じると冷媒循環路2のある部分が閉じてしまい、冷媒の循環が停止する(調節弁3を冷媒が通過できなくなる)。調節弁3が開放されると、冷媒循環路2を冷媒が循環する。調節弁3の開放度合いによって、調節弁3が設けられた冷媒循環路2の部分を通過する冷媒量が変化する。
【0082】
このように、調節弁3の開放度合いの調節によって、冷媒循環路2を循環する冷媒量を調節できる。冷媒量の調節ができれば、圧縮機8に還流する冷媒の圧力も制御できることになる。この結果、調節弁3の調節によって、圧縮機8の動作も制御されるようになる。
【0083】
調節弁3は、冷媒循環路2内部の開放度合いを調節する部材で構成されても良いし、電磁弁のような電子機器で構成されても良い。いずれにしても、冷媒循環路2のある部分に設けられ、通過する冷媒量を調節できる機構を有している弁であればなんでもよい。
【0084】
(熱交換機)
熱交換機6は、冷媒循環路2を循環する冷媒を用いて、温度維持室7内部の温度を目標温度付近に維持する。熱交換機6は、温度維持室7内部に設置され、循環する冷媒の気化熱によって、周囲の温度を低下させる。熱交換機6は、種々に知られている部材が用いられればよい。例えば、熱伝導率の高い金属製の板材に、冷媒循環路2が接続されて、板材内部を冷媒が循環するような部材が用いられればよい。
【0085】
図3は、本発明の実施の形態1における熱交換機6の正面図である。図3は、熱交換機6の一例を示している。熱交換機6は、板材61と板材61内部の内部循環路62を有している。内部循環路62は、破線で示されている。内部循環路62は、冷媒循環路2と接続されており、冷媒循環路2を循環してきた冷媒が、内部循環路62内部を循環する。このとき、入り口21から冷媒が入力し、出口22から冷媒が出力する。内部循環路62は板材61の内部を周回する状態で設けられているので、熱交換機6における冷媒が外界と熱的に接触する面積は大きくなる。この大きな接触面積によって、熱交換機6は、冷媒を気化させて、周囲の温度を低下させる。
【0086】
熱交換機6は、図1のように温度維持室7内部に設けられれば良いが、温度維持室7の壁面と一体化していてもよいし、温度維持室7の外部に設けられて、間接的に温度維持室7内部を冷却しても良い。
【0087】
また、熱交換機6は、送風ファンなどを有していてもよい。送風ファンは、熱交換機6の表面に風を送り、この風によって温度維持室7全体に熱交換機6からの冷却空気を温度維持室7全体に行き渡らせる。この結果、温度維持室7における冷却効果が高まり、冷媒循環による温度維持室7の冷却能力が高まる。このような送風ファンが熱交換機6に設けられる場合には、冷却された空気が、温度維持室7内部を循環する。このため、熱交換機6から送り出される冷気が温度維持室7全体を循環しながら冷却する。冷気は、温度維持室7内部を循環しながら送風ファンの生じさせる気流に従って再び熱交換機6に戻ってくる。すなわち、熱交換機6に吸気されるように、冷気は循環する。
【0088】
このように、熱交換機6は、循環する冷媒の働きにより温度維持室7内部を目標温度付近に維持する。熱交換機6は、冷媒循環路2と一体でもよいし別体でもよい。同様に、熱交換機6は、温度維持室7と一体でも良いし、別体でも良い。
【0089】
(温度維持室)
温度維持室7は、温度制御装置1(および実際の冷却機能を発揮する圧縮機8や熱交換機6)により、所定の目標温度付近に、その内部温度が維持される空間である。温度維持室7は、工場や事業場に施工されて設置される冷蔵設備などの冷蔵室となる要素である。このため、温度維持室7は、冷蔵室、冷凍室および恒温室の少なくとも一つである。これらのいずれかの目的のために施工される空間である。
【0090】
また、温度維持室7は、冷蔵設備や冷凍設備などを施工するのに合わせて、新たに施工される空間(設備)でもよいし、既に工場や事業場などに備わっている空間が利用されることでも良い。温度制御装置1は、この温度維持室7と最終的に組み合わされて冷蔵設備や冷凍設備が施工される。
【0091】
温度維持室7は、冷却される必要があるので、上述の熱交換機6を備えており、必要に応じて、冷媒循環路2の少なくとも一部が備わっている。制御部5は、温度維持室7の内部や外部に設置されることもあり、例えば、温度維持室7の壁面に制御部5が設置されていても良い。
【0092】
温度維持室7は、工場や事業場などにおいて施工されて目標温度に維持されるので、断熱性の高い素材で形成されていることが好ましい。例えばコンクリートで囲まれていることが適当である。もちろん、金属製の板材で囲まれていることでも良い。
【0093】
温度維持室7は、冷蔵室、冷凍室および恒温室のいずれとして用いられるかは、温度維持室7そのものの構造や材質によって定まっても良いし、設備としての温度維持室7の構造や材質は共通で、圧縮機8や温度制御装置1の制御する温度の特性によって、温度維持室7が、冷蔵室、冷凍室および恒温室のいずれとして用いられるかが決定されても良い。すなわち、同じ温度維持室7であっても、温度制御装置1によって目標設定される温度(値や特性)によって、温度維持室7が、冷蔵室、冷凍室および恒温室のいずれかとして用いられることもありえる。
【0094】
温度維持室7は、断熱性以外に強度や耐久性を有することも、設備全体として有用である。
【0095】
(制御部)
制御部5は、調節弁3の開放の度合いを制御する。調節弁3の開放度合いが制御されれば、冷媒循環路2を循環する冷媒量が変動し、熱交換機6によって温度維持室7内部がより冷却されたり冷却されなかったりするようになる。この結果、圧縮機8や冷媒循環をフルタイムで行わなくても、温度制御装置1は、温度維持室7を目標温度付近に維持できる。実際には、図2に示されるように、目標温度の前後の幅(第1温度および第2温度による幅)に振れるように、温度制御装置1は、温度維持室7を制御する。
【0096】
制御部5は、第1期間においては、PID制御に従って、調節弁3を制御する。第1期間では、制御部5は、調節弁3を開放して、冷媒循環路2における調節弁3にて、冷媒を通過させる。すなわち、冷媒循環路2において冷媒を循環させる。この結果、冷媒循環路2を冷媒が循環して、温度維持室7の温度は低下していく(図2に示されるとおりである)。ここで、PID制御に従った調節弁3の制御では、制御部5は、種々の方式で調節弁3の開放度合いを変動させて、調節弁3を通過する冷媒量を制御する。冷媒量が適切に制御されることで、第1期間において急激な温度低下が防止されたり、第2温度以下に到達してしまう過冷却が防止されたりする。この結果、圧縮機8の回転数も低減されて、消費電力が低減される。
【0097】
第2期間では、制御部5は、調節弁3の開放を低減することで、循環する冷媒の圧力を低減する。これによって、第2期間では温度は徐々に上昇しつつ、圧縮機8に還流する冷媒の圧力低下によって、圧縮機8は停止する。このように、第2期間での温度変化の緩やかさと圧縮機8の停止によって、やはり圧縮機8などを含めた冷蔵設備などの消費電力が低減する。
【0098】
制御部5は、種々の方法で、第1期間において調節弁3を制御する。
【0099】
(第1期間での制御)
まず、制御部5による、第1期間での調節弁3の制御について説明する。
【0100】
(調節弁3の開閉制御)
一例として、制御部5は、調節弁3の開閉によって、単位時間に調節弁3を通過する冷媒量を制御できる。調節弁3の開閉であるので、開閉の繰り返しによって、開放状態に比較して、通過する冷媒量は減少する。この結果、冷媒循環路2を通過する冷媒量は、減少する。減少すれば、熱交換機6での熱交換能力が減少し、温度維持室7内部の温度は、図2の上昇曲線のように徐々に上がっていく。
【0101】
図4は、本発明の実施の形態1における調節弁の開閉を示すグラフである。図4は、調節弁3が開放状態である場合と、調節弁3が開閉を繰り返す場合とを示している。図4(A)は、前者であり、図4(B)が後者である。図4(A)および図4(B)のそれぞれのグラフは、横軸は時間であり、縦軸は調節弁3の開放度合いを示している。縦軸の上方ほど、調節弁3が大きく開放している状態を示している(調節弁3を通過する冷媒量が多い状態を示している)。横軸は時間軸であるが、ある時間の幅を単位時間として、図4のグラフにおいて定義している。
【0102】
図4(A)および図4(B)のそれぞれのグラフにおいて、曲線51は、調節弁3の開放度合いの変化を示している。図4(A)においては、調節弁3は、十分な開放状態を維持しているので、曲線51は、直線状態である。すなわち、いわゆるON制御のように、調節弁3を開放するだけの制御を示している。
【0103】
図4(A)においては、調節弁3は、曲線51のように開放されているので、開放に応じて冷媒が調節弁3を通過する。領域52は、調節弁3の開放に応じて通過する冷媒量を示している。図4(A)の領域52からわかる通り、単位時間に調節弁3を通過する冷媒量は多い。結果として、冷媒循環路2を循環する冷媒量が多くなり、熱交換機6を介しての温度維持室7の冷却は、一気に進んでしまい、短時間で目標温度を下回ってしまう。
【0104】
一方、図4(B)の調節弁3の開閉状態は、第1期間における制御部5による調節弁3の制御の一例である。制御部5は、調節弁3の開閉を繰り返すことで、単位時間に通過する冷媒量を制御している。この通過する冷媒量の制御によって、温度維持室7の温度を急激に低下させることを防止できる。図4(B)の曲線51は、調節弁3が開閉を繰り返す状態を示している。領域52は、調節弁3が開放されているときには冷媒が通過していることを示し、調節弁3が閉鎖されているときには冷媒が通過していないことを示している。すなわち、単位時間で見た場合には、単純に開放されている場合よりも、調節弁3を通過する冷媒量は相対的に少なくなる。通過する冷媒量が少ないということは、冷媒循環路2を循環する冷媒量が少なくなり、熱交換機6を介した温度維持室7の冷却が緩やかに行われることになる。この結果、図2のグラフのように、第1温度から第2温度にかけて、温度維持室7の温度は、緩やかに変化する。これは、圧縮機8での回転数や動作負担が減少し、消費電力が低減することを示している。
【0105】
以上のように、制御部5は、調節弁3の開閉を制御することで、単位時間における調節弁3を通過する冷媒量を制御できる。すなわち、第1期間では、制御部5は、図4(B)のグラフに示されるように、調節弁3を制御することで、冷媒循環量を制御して、第1温度から第2温度までの温度変化を制御する。この第1期間では、冷媒循環量が減少するので、圧縮機8に還流する気化した冷媒の圧力が減少する。この結果、圧縮機8の消費電力も低減する。
【0106】
なお、開閉について、開放とは、調節弁3が完全に開放していることだけに限定されず、冷媒が通過するに対応できる開放状態を示しており、閉鎖とは、完全な閉鎖であることに限定されず、冷媒が通過しにくい状態であることを示している。
【0107】
(調節弁の開口面積制御)
別の例として、制御部5は、調節弁3の開口面積の増減を制御することによって、単位時間に調節弁3を通過する冷媒量を制御することで、第1期間での冷媒循環を制御する。調節弁3が冷媒循環路2に設けられる場合には、調節弁3は、冷媒循環路2のある部分での開放度合いを調節できる。すなわち、調節弁3は、冷媒循環路2のある位置における開閉ドアの役割を果たすことができる。このため、調節弁3は、その開口面積を調節して、調節弁3を通過する冷媒量を変動させることができる。
【0108】
図5は、本発明の実施の形態1における調節弁の制御を説明するグラフである。図5は、図4と異なり、制御部5が調節弁3の開口面積を増減させる場合を示している。図5(A)は、図4(A)の場合と同じく、調節弁3が一定の開放状態を維持している場合を示している。このため、単位時間に調節弁3を通過する冷媒量は、一定であるし全体として多くなる。
【0109】
図5(B)は、制御部5が調節弁3の開口面積を増減させている状態を示している。図5(B)の曲線51は、増減状態を示している。調節弁3の開放状態が、この曲線51に従うので、半月形のような領域52に対応する量の冷媒が、調節弁3を通過する。図5(A)と図5(B)を比較すれば分かるように、図5(B)での領域52は小さく、単位時間における通過する冷媒量は、開口面積の増減によって減少していることが分かる。単位時間での冷媒量が減少することで、第1期間においては、温度維持室7の温度が緩やかに低下する。すなわち、第1温度から第2温度に変化する。当然ながら、緩やかに変化するので、消費電力も少なくて済む。
【0110】
以上のように、制御部5は、種々の方式で調節弁3の開放度合いを制御して、単位時間に調節弁3を通過する冷媒量を制御する。もちろん、上述した以外の方式で制御されても良い。
【0111】
(第2期間での制御)
次に、第2期間での制御について説明する。
【0112】
制御部5は、第2期間においては、調節弁3の開放を低減する。調節弁3の開放を低減できることで、冷媒循環路2を循環する冷媒量が減少する。冷媒量の減少に伴い圧縮機8に還流する冷媒の圧力が減少する。圧力の減少により、圧縮機8が停止したり回転数を低減したりする。この結果、第2期間においては、図2のグラフのように温度が徐々に上昇する。第2温度から第1温度まで上昇する。第1温度まで上昇すれば、制御部5は、再びPID制御によって冷媒を循環させる。
【0113】
ここで、調節弁3の開放を低減するだけでなく、制御部5は、調節弁3を閉鎖しても良い。閉鎖されることで調節弁3を通過する冷媒量はほぼ無くなり、熱交換機6を介した温度維持室7の冷却が弱まる。また、圧縮機8は、還流する冷媒の圧力が所定値以下である場合に、その回転を停止する機能を有していることが多い。このため、制御部3が調節弁3を閉鎖することで、圧縮機8に還流する冷媒の圧力が減少する。この結果、圧縮機8は停止して、消費電力が低減できる。
【0114】
このように、第2期間においては、制御部5は、調節弁3の開放を低減したり、場合によっては閉鎖したりすることで、通過する冷媒量を低減して、第2温度未満に温度維持室7の温度が下がることを防止しつつ、全体の消費電力の低減も行う。
【0115】
また、図2のグラフに示されるように、第1温度と目標温度との差分値は、第2温度と目標温度との差分値よりも大きいことも好適である。例えば、図2のグラフでは、目標温度は5℃であり、第1温度は1℃高い6℃であって、第2温度は、0.8℃低い4.2℃である。このように第1温度と目標温度の差分値が、第2温度と目標温度との差分値よりも大きいことで、冷媒循環が行われることで温度変化が生じる第1期間での温度低下がより緩やかとなり、過冷却が防止される。第1期間では、冷媒循環が行われていてより人工的に温度低下が進むからである。この第1期間の閾値となる第2温度が第1温度と同じように設定されると、冷媒循環による積極的な温度低下が行き過ぎる可能性もあるからである。
【0116】
一方、第2期間は、冷媒循環が低減もしくは停止することで、自然的に温度が上昇していく。このため、第2期間の終了となる第1温度と目標温度との差分値が大きくても問題は生じにくい。これらから、第1温度と目標温度との差分値は、第2温度と目標温度との差分値よりも大きいことも好適である。
【0117】
以上のように、実施の形態1における温度制御装置1は、冷蔵設備、冷凍設備、恒温設備などの、市販の圧縮機8等を用いて施工される設備において好適に用いられる。また、調節弁3を第1期間と第2期間とに分けて制御することで、温度変化のサイクル数を減少させて、設備全体としての消費電力を低減することができる。
【0118】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、温度検出部4の設置の工夫について説明する。
【0119】
温度検出部4は、温度維持室7の温度を検出して検出結果を制御部5に通知する。制御部5は、この温度検出部4が通知する温度において、第1温度と第2温度を抽出して、実施の形態1で説明した第1期間と第2期間での制御を行う。このため、温度検出部4が検出する温度維持室7の温度は、高い精度を必要とする。
【0120】
一例として、温度検出部4は、温度維持室7内部の空気循環の後端に位置することが好ましい。温度維持室7内部は、熱交換機6の熱交換に伴って、内部を空気が循環する。冷気と暖気が生じることによる対流が、この空気循環を生じさせる。図6は、本発明の実施の形態2における冷蔵設備の模式図である。図6では、温度検出部4は、空気循環71の後端に位置する。空気循環71は、破線矢印が示すように、熱交換機6から循環を開始して、熱交換機6に戻るようにしてその循環が終了する。この循環の終了する領域が、空気循環の後端である。もちろん、空気循環は繋がっていくが、分かりやすくするために、1周程度したところで破線矢印をとめている。
【0121】
ここで、空気循環の初端では(図6では、破線矢印である空気循環71の開始部分)、熱交換機6からの冷気が生じるところである。このため、温度維持室7全体の温度に比較すれば、温度が低く検出されてしまいがちである。この位置に温度検出部4が設置されても、温度維持室7の正確な温度を検出することは難しい。一方、破線矢印で示される空気循環71の最後は、熱交換機6に戻ってくる部分である。これが空気循環の後端である。ここでは、空気循環が終了した後の空気が存在しているので、温度維持室7の温度をより正確に反映していると考えられる。
【0122】
あるいは、熱交換機6が排気と吸気を行うのであれば、温度検出部4は、熱交換機6の吸気側に位置する。この場合も、温度維持室7全体を循環してきた空気が存在する位置に、温度検出部4が設置されていることになるので、温度検出部4は、より正確に温度維持室7の温度を検出できると考えられる。
【0123】
以上のように、温度検出部4は、空気循環71の後端に位置したり、熱交換機6の吸気側に位置したりすることで、より正確な温度維持室7の温度を検出し、制御部5に通知できる。
【0124】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、冷媒循環路2においてバッファタンクが更に備えられる場合について説明する。図7は、本発明の実施の形態3における温度制御装置とその周辺を有する温度維持設備のブロック図である。図1を用いて説明した要素と同じものには、同じ符号が付されている。
【0125】
図7の温度維持設備では、冷媒循環路2の途中であって、圧縮機8に冷媒が還流する位置に、バッファタンク9が設けられている。バッファタンク9は、冷媒循環路2の途中に設けられるのであるから、バッファタンク9には、冷媒循環路2の管路が入力し、再び冷媒循環路2の管路が出力する。バッファタンク9を出力した管路は、圧縮機8に接続される。
【0126】
バッファタンク9は、所定の容量を有する収容能力を有しており、冷媒循環路2を循環してきた気化した冷媒を収容できる。すなわち、冷媒循環路2において、熱交換機6を経由したあとでは、冷媒は気化して気化冷媒となっている。この気化した冷媒は、圧縮機8に還流するが、その途中にあるバッファタンク9に一時的に収容されることになる。このため、バッファタンク9は、気化した冷媒を収容している限りは、一定の圧力を有している。
【0127】
また、バッファタンク9は冷媒循環路2によって圧縮機8と接続されているので、バッファタンク9は、入力してくる気化した冷媒があれば、それに突き出されるように収容している気化した冷媒を出力する。出力した冷媒は、圧縮機8に到達する。すなわち、バッファタンク9は、冷媒を収容している限りでは、一定の圧力を有していることになる。
【0128】
第2期間においては、制御部5は、調節弁3の開放を低減あるいは閉鎖する。この結果、冷媒循環路2を循環する冷媒がやがて減少する。冷媒循環路2を循環する冷媒が減少すると、圧縮機8に還流する冷媒の圧力も減少する。圧縮機8に還流する冷媒の圧力が所定位置以下になると、圧縮機8はその動作を停止する。すなわち、第2期間においては、ある程度時間が経過すると圧縮機8が停止することになる。ここで、圧縮機8が頻繁に停止すると、第2期間から第1期間に移行する際に圧縮機8は再開動作をしなければならなくなる。圧縮機8が再開動作を行うことは、消費電力を増大させるし、圧縮機8への負担も大きくなる。
【0129】
一方、バッファタンク9が設けられていると、第2期間において制御部5が調節弁3の開放を低減したり閉鎖したりしても、バッファタンク9が一定時間において所定量の冷媒を収容しているので、圧縮機8に対しては、所定の圧力を維持することになる。バッファタンク9が収容する冷媒による圧力が、調節弁3が閉鎖された後でも圧縮機8に付与され続けるからである。
【0130】
このように調節弁3が閉鎖された後でも、圧縮機8に圧力が付与され続けることで、圧縮機8は、その動作を停止させないで済む。あるいは、停止することはあっても回数が低減する。一方で、制御部5は、検出された温度に従って、第2期間では調節弁3の開放を低減したり閉鎖したりできるので、第2期間における温度変化を生じさせることは担保されている。この状態において、圧縮機8の停止回数は減少するので、圧縮機8の再開動作による消費電力の増加や圧縮機8への負担増加が防止される。
【0131】
このように、バッファタンク9は、所定量の冷媒を収容できることで、圧縮機8に対する圧力を所定時間維持できる。この圧力の維持により、圧縮機8の停止頻度を低減し、温度維持設備全体での消費電力を削減しつつ、その可動寿命を延ばすこともできる。
【0132】
バッファタンク9の大きさ(冷媒の収容量)は、適宜定められれば良い。特に、圧縮機8の停止になる圧力の値、冷媒循環路2の容積との関係から、圧縮機8が停止とならない程度の圧力を維持できる大きさを有していることが好ましい。
【0133】
またバッファタンク9においては、冷媒循環路2は、バッファタンク9の底面から入力すると共に底面から出力する構成が好ましい。すなわち、冷媒循環路2は、バッファタンク9の底面から気化した冷媒を送り込み、バッファタンク9から送出される冷媒を、冷媒循環路2は、バッファタンク9の底面から出力することが好ましい。冷媒は、底面から入力して底面から出力することで、バッファタンク9の有する収容能力に相当する冷媒が、バッファタンク9に収容されるようになる。
【0134】
以上のように、冷媒循環路2の途中であって圧縮機8に還流する手前に、バッファタンク9が備わることで、圧縮機8の停止頻度を低減でき、結果として消費電力の削減と可動寿命の延長が実現できる。
【0135】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。
【0136】
実施の形態4では、温度維持室7内部における湿度や気圧を制御する第2制御部を更に備える温度制御装置について説明する。図8は、本発明の実施の形態4における温度維持設備のブロック図である。温度維持設備100は、温度制御装置1や圧縮機8を備えており、温度維持室7内部の温度を、目標温度に維持する。ここで、温度制御装置1は、第2制御部11を更に備えている。第2制御部11は、温度維持室7内部の湿度や気圧を制御する。
【0137】
温度維持室7は、冷蔵室、冷凍室および恒温室などに適用される。すなわち、図8の温度維持設備100は、冷蔵設備、冷凍設備および恒温設備に適用される。このとき、冷蔵室や冷凍室に用いられる場合には、温度維持室7においては湿度や気圧も制御されることが好適な場合もある。また、これら湿度や気圧は、温度維持室7内部の温度に基づいて制御されることも好適である。第2制御部11は、温度検出部4の検出結果に基づいて、温度維持室7内部の湿度や気圧を制御する。
【0138】
第2制御部11による湿度や気圧の制御では、種々の方法が用いられればよい。湿度や気圧も制御されることで、温度維持室7内部の雰囲気制御がよりレベルアップする。
【0139】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。実施の形態5では、実施の形態1〜4で説明した温度制御装置を備える温度維持設備について説明する。図9は、本発明の実施の形態5における温度維持設備の模式図である。温度維持設備100は、工場や事業場などに施工されて設置される。工場や事業場が備えているある空間や倉庫などが温度維持室7として利用されたり、新たに温度維持室7が施工されたりすることで、温度維持設備100の基礎が形成される。
【0140】
圧縮機8は市販の圧縮機8が、温度維持室7の大きさや仕様にもとづいて選択されて設置される。圧縮機8からは冷媒循環路2が延伸し、温度維持室7内部に備わる熱交換機6に繋がって、熱交換機6に冷媒を供給する。冷媒循環路2は、途中に調節弁3を備えており、制御部5によって開放度合いが制御される。これらの組み上げによって、温度維持設備100が施工されて設置される。温度制御装置1によって、圧縮機8を含む消費電力が低減しつつ、温度維持室7内部が、最適に目標温度付近に維持されることは、実施の形態1〜4で説明した通りである。
【0141】
温度維持設備100は、温度維持室7の特性によって、冷蔵設備、冷凍設備および恒温設備の少なくとも一つとして利用される。
【0142】
温度維持設備100は、温度維持室7をはじめ、全て最初から設計・施工されても良いし、温度維持室7のみが施工された後で、圧縮機8や温度制御装置1などを別の業者が施工してもよいし、温度制御装置1のみをある業者が施工してもよい。あるいは、全ての要素が、工場などで製造されて現場に運搬され、施工業者がそれぞれの要素を組み立てることでもよい。この場合には、温度制御装置1のみが、ある業者によって設置・調整されることもある。
【0143】
また、図9の温度維持設備100が施工されて稼動した後であっても、ある要素が交換される必要がある際には、その要素の交換や修理だけで済む。全ての要素が一体化していないことのメリットである。特に、温度制御装置1が、独立してメンテナンスされることも、温度維持設備100が長期間に使用される点でメリットがある。
【0144】
このように、温度維持設備100は、温度維持室7、圧縮機8、バッファタンク9、温度制御装置1のそれぞれが独立した要素として設計・施工されるので、メンテナンス性が高く、様々な用途や規模に最適に対応できる。
【0145】
以上、実施の形態1〜5で説明された温度制御装置および温度維持設備は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0146】
1 温度制御装置
2 冷媒循環路
3 調節弁
4 温度検出部
5 制御部
6 熱交換機
7 温度維持室
8 圧縮機
9 バッファタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機から送出される冷媒を循環させる冷媒循環路と、
前記冷媒循環路を循環する冷媒量を調節する調節弁と、
前記冷媒の熱交換により、目標温度付近に維持される温度維持室の温度を測定する温度検出部と、
前記調節弁を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記目標温度より所定温度高い第1温度から、前記目標温度より所定温度低い第2温度までの変化期間(以下、「第1期間」という)においては、PID制御方式に基づいて、前記調節弁を制御し、前記第2温度とから前記第1温度までの変化期間(以下、「第2期間」という)においては、前記調節弁の開放を低減する、温度制御装置。
【請求項2】
前記第1期間においては、前記制御部は、単位時間における前記調節弁を通過する冷媒量を制御するように、前記調節弁の開閉を制御する、請求項1記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記第1期間においては、前記制御部は、前記調節弁の開閉によって、前記調節弁を通過する冷媒量を制御する、請求項2記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記第1期間においては、前記制御部は、前記調節弁の開口面積の増減によって、前記調節弁を通過する冷媒量を制御する、請求項2記載の温度制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1期間における前記調節弁の開閉は、PID制御方式に基づいて行う、請求項3又は4記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記第2期間においては、前記制御部は前記調節弁を閉鎖する、請求項1から5のいずれか記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記圧縮機は、前記冷媒循環路を通じて還流する冷媒の圧力が所定値以下である場合に、その回転を停止する、請求項1から6のいずれか記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記温度検出部は、前記温度維持室内の空気循環の後端に位置する、請求項1から7のいずれか記載の温度制御装置。
【請求項9】
前記冷媒循環路の途中であって前記温度維持室内に設けられる熱交換機を更に備え、前記温度検出部は、前記熱交換機の吸気側に位置する、請求項1から8のいずれか記載の温度制御装置。
【請求項10】
前記目標温度と前記第1温度との差分値は、前記目標温度と前記第2温度との差分値よりも大きい、請求項1から9のいずれか記載の温度制御装置。
【請求項11】
前記温度維持室は、冷蔵室、冷凍室および恒温室の少なくとも一つである、請求項1から10のいずれか記載の温度制御装置。
【請求項12】
前記冷媒循環路において、前記熱圧縮機に前記冷媒が還流する位置に、バッファタンクが設けられる、請求項1から11のいずれか記載の温度制御装置。
【請求項13】
前記バッファタンクは、前記冷媒循環路を前記圧縮機に還流する所定量の気化冷媒を、一時的に収容する、請求項12記載の温度制御装置。
【請求項14】
前記冷媒還流路は、前記バッファタンクの底面に気化冷媒を送り込み、前記バッファタンクは、収容する気化冷媒を、該バッファタンクの底面から前記圧縮機に送出する、請求項12又は13記載の温度制御装置。
【請求項15】
前記温度維持室内の湿度および気圧を制御する、第2制御部を更に備える、請求項1から14のいずれか記載の温度制御装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか記載の温度制御装置と、
前記冷媒循環路へ冷媒を送出する圧縮機と、
前記冷媒循環路によって熱交換を行う対象となる温度維持室と、
前記冷媒の循環によって、前記温度維持室の温度を一定に保つ熱交換機と、を備える温度維持設備。
【請求項17】
前記温度維持設備は、冷蔵設備、冷凍設備および恒温設備の少なくとも一つである、請求項16記載の温度維持設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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