説明

温度差発電装置

【課題】温水と冷水の温度差を利用した小型で高出力な発電装置を提供する。
【解決手段】多列に配置した軟質樹脂配管3、4に温水、冷水を各々に通した配管の間にペルチェ素子5を配置する。この集合体を多重に積層し、縦横多列に配置しゼーベック効果による温度差発電を行う。この集合体を多列多層に配置することにより、高容量の発電量を得る構造にした。また、配管の材質を樹脂にすることで発電の効率を低下させることなく、水質や水温による配管の劣化を抑制することで装置の寿命を増す構成にした。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の温度差を利用して発電を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
温泉の熱水と河川の冷水を利用した温度差発電がある。「特開平11−247753号」
【0003】
この発電は、他の温度差発電と違い、熱源となりうる燃焼加熱機械等を必要とせず、再生可能エネルギーを用いて少スペースの設備で発電をしている。
【0004】
また、大規模設備として海洋温度差を利用した発電「特開平5−340342号」や地熱温度差を利用した発電「特開平1−20315号」等がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来の温泉の熱水、河川冷水を用いた温度差発電では、発電で得られる発電量が微少容量である。
【0006】
温泉の熱水の配管はアルミニウムの鋼材を使用することにより、配管の腐食劣化により装置が低寿命である。
配管の材質をステンレス鋼に変更すると、腐食劣化は軽減できるが、アルミニウムと比較して材料の熱伝導率が乏しく低い為、発電効率が非常に悪い。
【0007】
また、海洋、地熱温度差発電では、大掛りな施設、設備投資が必要となる。
【0008】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、小規模で高容量、高効率ながらも設備寿命を維持できる発電を実現することを目的とするものである。
【課題を解決する為の手段】
【0009】
第1の課題解決の手段として多列に配管した軟質樹脂の温水配管と軟質樹脂の冷水配管の間にペルチェ素子を配置する。
【0009】
断熱材で構成されたペルチェ素子の支持枠によって規制されたスペースに対し送液することで内圧を高めた軟質チューブが素子に圧着し、熱伝導率を向上するという効果を発揮する。
【0010】
このユニットを多重に積層させ温水、冷水の配管を上下または左右の各々の2面でペルチェ素子と圧着させることによって発電容量が増すという効果を発揮する。
【0011】
また、上記のユニットを縦横に多列に配置することで、同一の温水、同一の冷水で、ペルチェ素子をより多く配置でき、さらに発電容量が増すという効果を発揮する。
【0012】
発電必要量に応じて、積層する層数、縦横に配置する配列数を変更できる為、装置を設置するスペースの制約が軽減できるという効果を発揮する。
【0013】
多重の積層、多列の配置が可能な形状により、大容量の設備でも、省配線が可能となり、設備の小規模スペース化ができるという効果を発揮する。
【0014】
第2の課題の解決方法として、配管の材質を軟質樹脂配管にすることで、耐熱水性、耐冷水性、温水に含有する成分の耐薬品性に対抗でき、配管の熱伝導率の低下を防ぎつつ装置の寿命を維持し、効率よく発電できるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態として一実施例を図1〜図5に基づいて説明する。
【0016】
図において、1は冷水源から冷水を供給する供給管で、2は温水源から冷水を供給する供給管になる。1の供給管は3の細管に分岐する。2の供給管は4の細管に分岐する。3、4の細管の間に5のペルチェ素子を密着させる。
【0017】
1、2の配管の材質は、ポリエチレンが一般に知られている。
【0018】
3、4の配管の材料は、軟質樹脂チューブとし配管内の水圧で配管を膨張変形させ、ペルチェ素子と密着させる。
【0019】
軟質樹脂チューブの材質としては、フッ素樹脂やポリエチレンが好ましいが、温泉水に含まれる成分、温度によっては、材質を変更しても良い。
【0020】
6はペルチェ素子からの配線となり、7の絶縁材で絶縁されている
【0021】
7の絶縁材の材料として、エポキシ樹脂または、シリコーンによるコーキングなどが、一般に知られている。
【0022】
8は温水の排水管となり、9は冷水の排水管となる。
【0023】
8、9の配管の材質は、ポリエチレンが一般に知られている。
【0024】
10は外部カバーとなり、保温の役割をする。また、ペルチェ素子と圧着していない面の配管は、断熱材で保護し熱の損失を最小限に抑えている。
【0025】
図面5のように冷水配管、ペルチェ素子、温水配管の集合体を4層に積層させその集合体を縦8列横13列に配置する。
【0026】
集合体の積層数、縦横の配置数は、装置設置場所のスペースまたは、発電容量必要量によって、変更しても良い。
【発明の効果】
【0027】
上述したように本発明の温度差発電装置は、温水、冷水の配管を軟質樹脂チューブにし、配管とペルチェ素子との密着性を持たせ、その集合体を多重多列配置することにより、従来の発電より発電容量が増す効果があります。
【0028】
また、発電ユニットを多重多列配列可能なユニットとすることで、装置設置スペースの制約を軽減し、発電必要量を獲れるという効果があります。
【0029】
温水、冷水の配管を樹脂にすることで、配管の熱伝達率を低下させることなく高効率で発電でき、配管の劣化を最小限に抑える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の外観図
【図2】 図1におけるA部詳細図
【図3】 図2におけるX−X間断面図
【図4】 図2におけるY−Y間断面図
【図5】 ペルチェ素子配列図
【符号の説明】
1 冷水供給管
2 温水供給管
3 冷水細管
4 温水細管
5 ペルチェ素子
6 電線
7 絶縁材
8 温水排水管
9 冷水排水管
10 外部カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水源からの温水を細管に分岐した配管を多列に配置した配管と冷水源からの冷水を細管に分岐した配管を多列に配置した配管の間にペルチェ素子を圧着して配置し、ゼーベック効果による温度差発電装置であることを特徴とする。
【請求項2】
請求項1のユニットは必要量に応じて、幾重にも積層できる構造であることを特徴とする。
【請求項3】
請求項2のユニットは必要量に応じて、縦横の幾列にも連結できる構造であることを特徴とする。
【請求項4】
請求項1の温水細管を多列に配置した配管と冷水細管を多列に配置した配管は、軟質樹脂チューブ管を使用していることを特徴とする。
【請求項5】
請求項1の温水細管を多列に配置した配管と冷水細管を多列に配置した配管は、軟質樹脂チューブ管を使用することで、配管内を通過する水圧による配管膨張変形によりペルチェ素子と圧着させることを特徴とする。
【請求項6】
請求項1の温水細管を多列に配置した配管と冷水細管を多列に配置した配管を交互に積層することにより、素子量に対し温水、冷水源を半減できることを特徴とする。
【請求項7】
請求項1の温水細管を多列に配置した配管と冷水細管を多列に配置した配管は、多孔式軟質樹脂フラットチューブもしくは、軟質樹脂チューブの配管を平行に複数本並べた形状であることを特徴とする。
【請求項8】
請求項6の構造により供給される同一の温水、同一の冷水を複数回利用して、温度差発電をすることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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