説明

温度検出袋用高速冷蔵装置

袋内の流体用冷蔵装置は、袋(20)を貯蔵するための複数の表面(13)を含む冷蔵室(11)を備えている。表面各々は、順に、冷やされる棚(14)と該棚の上に配置される関連する均一プレート(15)を備えている。該プレート(15)は、棚とプレートとの間に袋を貯蔵するために、棚それぞれから持ち上げられることが可能となるようにヒンジ連結されている。均一プレート(15)の少なくとも1つには、棚の上の袋が到達する温度を確認するために、温度センサー(18)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋、特に、血漿の袋、内の流体用高速冷蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵のために「接触」システムを使用する袋内の流体用高速冷蔵装置は、従来知られている。これらの冷蔵装置は、上下に配置され、(例えば、−75℃の温度に)個別に冷やされる複数の棚を備えている。棚それぞれは、該棚の上に存在するように棚の上に配置され、棚の表面から持ち上げられることができるようにヒンジ連結され、袋それ自身が棚の上に配置され、または棚から取り除かれることを可能とする均一プレート(a uniformity plate)と呼ばれる非冷蔵金属板に関連する。
【0003】
機械の「アイドル(idle)」操作中、均一プレートそれぞれは、それぞれ冷やされている棚との接触により予冷されている。次に、袋が棚と関連する均一プレートとの間で圧縮されるように、冷蔵される袋が生前と各棚の上に置かれる。
【0004】
最初に、均一プレートが袋に「冷気を放出する(releases cold)」。しかしながら、続いて、伝導により、均一プレートを冷却するのは袋である。このことは、袋の内容物の温度が急速に低下することを可能とする。
【0005】
一方、袋の内側の流体の温度を知ることは重要である。例えば、袋が所定の時間内に所望の貯蔵温度に到達することを保証することは重要である。例えば、血漿の袋の場合には、正しい貯蔵を保証するために、冷蔵装置内に挿入されて1時間以内に袋が−30℃より低い温度に到達しなければならないことが想像されている。
【0006】
冷却サイクルが正しく実行されていることを点検することが可能であり、また、サイクルの終わりを検出する(すなわち、貯蔵温度に到達する)ことが可能であるためには、血漿を含まないが内部に温度センサーが設けられているダミー用袋(a dummy bag)またはサンプル用袋(a sample bag)の使用が提案されてきた。冷却サイクル中に、サンプル用袋と実際の袋内の温度が略同じように展開すると仮定すると、サンプル用袋は、通常の袋とともにトレー(a tray)の上に配置され、冷蔵され、そのセンサーにより実行される検出は、所定の最小貯蔵温度(例えば、−30℃)に到達するのに必要とされる時間を点検するために、袋の温度の測定として用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このシステムは、各冷蔵サイクルの開始時にサンプル用袋を適切に配置することを使用者に求めるという欠点を有する。さらに、サンプル用袋内のセンサーと冷蔵装置を管理する制御及び信号システムとの間の接続が場所を取り、袋の挿入及び抜き取り中において邪魔になる恐れがある。さらなる欠点は、サンプル用袋の使用が冷蔵装置の実際の積み込み能力を減少させることにある。
【0008】
本発明の一般的目的は、検出方法及び袋が到達する貯蔵温度の容易な確認を可能とし、袋の冷却サイクルの信頼性のある点検を可能とする、均一プレートを有するタイプの袋用冷蔵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を勘案して、本発明によれば、袋を貯蔵するために複数の表面を含む冷蔵室を備える袋内の流体用の冷蔵装置を提供するという考えが生じた。該冷蔵装置において、表面それぞれは、冷やされた棚及び該棚の上に配置される関連する均一プレートを順番に備え、該プレートは、棚とプレートとの間に袋を貯蔵するために、棚それぞれから持ち上げられることができるようにヒンジ連結されている。そして、本発明に係る冷蔵装置は、均一プレートの少なくとも1つに、棚の上の袋が到達する温度を間接的に点検するための温度センサーが設けられていることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明によれば、袋を貯蔵する複数の表面を含む冷蔵室を備えるタイプの冷蔵装置の内部で流体の袋を正しく冷蔵することを点検する方法を提供するという考えが生じた。該方法における冷蔵装置においても、表面それぞれは、冷やされた棚及び該棚の上に配置される関連する均一プレートを順番に備え、該プレートは、棚とプレートとの間に袋を貯蔵するために、棚それぞれから持ち上げられることができるようにヒンジ連結されている。該方法は、少なくとも1つの袋の上にある均一プレートの少なくとも1つの特定領域の温度を検出するステップおよび棚の上にある袋が到達する温度を表示するものとして測定された値を使用するステップを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の原則にしたがって設計された冷蔵装置の部分的概略斜視図を示している。
【図2】図1の冷蔵装置の詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
従来例と比較して、本発明の創造力に富む原則およびその利点をより明確に示すために、これらの原則を適用する実施形態の例が添付図面を用いて以下に説明される。
【0013】
図面に関して、図1は、一般的に10で表される、本発明に従って設計された冷蔵装置を示す。冷蔵装置10は、袋内の流体の冷蔵貯蔵のために、熱的に絶縁され、アクセス扉12により閉じられる冷蔵室11を備えている。室は、(図2に20で概略的に表示される)冷蔵されるべき袋が規則正しく配置される複数の表面13を含んでいる。袋には、その正しい貯蔵を保証することを可能とするために、所定の時間以内に所定の温度に冷蔵されなければならない体液、具体的には血漿が入っている。
【0014】
表面13それぞれは、熱的に伝導性の材料からなり、均一プレートの底部表面で棚の頂部表面に支えられるように棚の上に配置されている均一プレート15に関連する冷やされている棚14を順番に備えている。棚14もまた、熱的に伝導性の材料(例えば、陽極酸化アルミニウム)から作られている。プレート15は、該プレート15が専用のハンドル(a special handle)17を用いて棚の表面から持ち上げられることができるように、後方16においてヒンジ連結されている。
【0015】
均一プレートの少なくとも1つには、前記表面の温度を検出するために、プレートの頂部表面上に配置されていることが有利である温度センサー18が設けられている。センサー18は、概略、プレートと棚との間に貯蔵され得る袋の大きさに相当する長さを有することが有利である。このために、センサーは、複合型からなり、すなわち、例えば、前記長さに沿って様々な点に分配され、これらの点で検出された温度の平均である温度測定値を有するように接続された数個のセンサーから形成され得る。センサー18のプレート上の位置は、図2においてより明確に理解されるように、関連する棚の上で袋を貯蔵する基本的な位置と一致することが有利である。具体的には、センサーを含むプレートの特定領域は、プレートの側端部に近い。
【0016】
図1で理解され、図2でさらに明確に理解されるように、センサー18を含む均一プレートの特定領域は、少なくとも横断方向に(すなわち、プレートのヒンジ連結軸に対して直交し、冷蔵室11のアクセス用開口部に直交する方向に)プレートに形成されている切り込み19により画定されることが有利である。切り込み19は、センサーを支持するプレートの特定領域とプレートのその他の領域との間の伝熱を減少させる機能を有する。結果として、検出される温度に対して、外部要因により与えられる影響がごくわずかでしかない。
【0017】
冷蔵装置内の棚それぞれに対して1またはそれ以上のセンサー18を使用することができることは明白である。しかしながら、棚それぞれの温度を測定せざるを得ない状態を回避するために、袋が所望の貯蔵温度に最後に到達する棚の上にある均一プレート上にのみセンサー18を配置することが有利であることが見出された。室11内のこの棚の位置は、冷蔵装置の構造上の特徴に依存し、設計段階において容易に決定され得る。通常、システムや冷蔵室の構成は、底部の棚の上に置かれた袋が冷蔵するのに最後であるようになっており、したがって、通常、センサーは、この底部の棚のプレート上に配置される。
【0018】
単一の均一プレート上にセンサーがある場合、袋の積み込みは、好ましくはこのプレートに関連する棚から始まって実行される必要があることは明白である。このように、袋の積み込みが、センサーが設けられている棚から、具体的に、センサーの真下に位置している特定領域から始めて実行されるならば、単一の棚の上で実行される測定により、その他の棚の上に位置している袋に対しても「安全」条件("safety" conditions)が存在するという保証がある。
【0019】
図2に概略的に示されるように、(例えば、各棚の上に整然と列をなして配置される)袋は、プレートと棚との間で圧縮される。ヒンジ連結軸16には、また、プレートと棚との対向する面を略平行に維持するために、プレートと棚との間に挿入される袋の厚さに依存するプレートと棚との間の距離を自動的に適応させるために、公知の関節(不図示)が設けられる。このようにして、袋が全くない場合、プレートは、その底部表面が棚の頂部表面と接触している状態にあり、他方、袋が存在する場合、プレートは、それ自身を袋に対して一様に押し付け、棚に対してその重量で袋を圧縮し得る。さらなる推進力を提供するバネが設けられてもよい。
【0020】
図2に概略的に示されるように、各棚の金属表面は、当業者が容易に想像し、したがって、本明細書ではさらなる例示や説明の必要がない公知の冷蔵システム22の一部を形成する冷却回路21により冷却される。棚の冷却温度は、−75℃辺りにあることが有利であり得る。
【0021】
センサー18は、指令(commands)を表示し入力する装置またはコンソール(a console)24を装備し、冷蔵装置の外部からアクセス可能である、冷蔵装置の動作を制御する電子システム23に連結されている。(例えば、適切にプログラムされたマイクロプロセッサを有するタイプの)制御システムおよび(例えば、モニタ、表示および/または指示ランプと指令キー・ボードおよび/または押ボタンを装備ずる)表示・指令装置は、それ自体公知であり、当業者が容易に想像し得る。制御システムおよび表示・指令装置は、したがって、本明細書ではこれ以上示されることはないし、説明もされない。
【0022】
冷蔵装置の使用中、(均一プレート全てがそれぞれ冷やされた棚に支えられている状態にある)冷蔵装置のアイドル予冷の既知の段階の後、袋が、センサー18が存在する位置から始まって、棚の上に整然と積み込まれ得る。
【0023】
制御システムは、袋の貯蔵のための所望の温度が設定された時間間隔内に到達したことを決定することができるように、センサーによって検出される温度を点検する。
【0024】
通常、検出される温度は、最初に、センサーの真下に位置している袋によるプレートへの熱の初期放出に起因して増加を示すだろう。この後、検出される温度は、プレート、袋および冷やされている棚との間の熱伝達を受けて、下がり始めるだろう。このような温度の低下中に記録される値は、冷却されている袋の温度の表示を提供する。検出される温度は、通常、袋の実際の温度よりは低いことは明白であるが、その差は、システムの校正中に容易に考慮され得る。実際に、袋が到達する温度の厳密な測定をする必要は全くないが、正しい貯蔵のための閾値(例えば、−30℃)が少なくとも達成されていたとの表示は必要である。したがって、センサーにより検出される温度が所定量だけ前記貯蔵温度より低い場合、袋の貯蔵のための少なくとも1つの所定の温度が達成されていたということが考えられ得る。例えば、説明されている冷蔵装置においては、プレート上の温度センサーが−40℃未満の温度を表示している場合、下にある袋は−30℃より低い温度であることが見出されている。したがって、温度差に関する所定量は、−10℃であることが有利である。
【0025】
したがって、制御システムは、貯蔵温度が達成されたことを検出し(そして、必要ならば、装置24を用いて信号を送り)、要する時間が、所定のパラメータに沿っていること、例えば、血漿の袋の貯蔵規準によって規定されているように、要する時間が、−30℃に到達するのに1時間未満しかかからないということを点検し得る。このような点検の結果が、また、装置24に表示され、必要ならば、将来の使用のために記憶される。
【0026】
本発明に係る方法に関して、所定のプレート領域で記録された温度が、冷蔵装置内に袋が挿入されて後、所定の時間(有利には、1時間)内で所定量だけ前記冷蔵温度より低い値に到達するならば、袋が所定の冷蔵温度に正しく到達したと考えられ得る。
【0027】
したがって、血漿の袋が正しく冷蔵されたかどうかを間接的に知ること可能である。
【0028】
この点で、袋用の冷蔵装置を提供することにより、所定の目的がどのように達成されたかが明白である。袋用の冷蔵装置においては、血漿の袋の温度の間接的確認が、少なくとも1つの均一プレートの特定の点または領域の温度の測定を用いて取得され、結果として、取得の確実性、例えば、袋の正しい貯蔵のための実際の閾値温度が達成されたことを表示する値をもたらす。
【0029】
本発明に係るシステムは、冷蔵装置内の有効な空間を減少させないし、また、ある所定の位置から始まって血漿の袋を積み込むこと以外には、使用者が特定の操作を実行することを求めない。したがって、このことは、内部センサーを有するサンプル用袋を使用する公知のシステムと比べてより容易な使用をもたらす。
【0030】
本発明の創造力に富む原則を適用している実施形態の上記説明は、これらの創造力に富む原則の例として提供されており、したがって、本明細書にクレームされている権利の範囲を限定するものと看做されてはならないことは明白である。例えば、上述したように、必要ならば、そのとき冷蔵装置制御システムを用いて適切に処理され得る温度のより広範囲にわたる測定値を手に入れるために、いくつかのセンサーが同じプレート上に、または1以上のプレート上に設けられてもよい。さらに、奥行(the depth)に沿って整列されている2つの袋を有する棚が示されている(例えば、「取り外せる」タイプの袋を対象としている)けれども、例えば、血漿交換用袋またはアフェレーシス用袋(apheresis bags)の場合におけるように、異なる大きさの袋、例えば、棚の奥行の全長に相当する長さを有する袋、を貯蔵することも可能である。
【0031】
(例えば、図に示されるように、)プレートの動作奥行の全長にわたって延在する均一プレートの切り込みは、2つの袋または長い袋を貯蔵することを目的としているプレートの特定領域の絶縁を可能とし、このようにして、両方の場合において、センサーによる正しい測定を可能としている。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋(20)を貯蔵するために複数の表面(13)を含む冷蔵室(11)を備える袋内の流体用冷蔵装置であって、前記表面それぞれは、冷やされる棚(14)と該棚の上に配置される関連する均一プレート(15)を順番に備え、該プレート(15)は、前記棚と前記プレートとの間に袋を貯蔵するために、前記棚それぞれから持ち上げられることができるようにヒンジ連結されている袋内の流体用冷蔵装置において、
前記均一プレート(15)の少なくとも1つには、前記棚の上の前記袋が到達する温度を間接的に点検するための温度センサー(18)が設けられていることを特徴とする冷蔵装置。
【請求項2】
前記センサー(18)は、前記袋が所定の時間内に所定の貯蔵温度に到達したことをこのセンサーで検出する、前記冷蔵装置の操作を制御するシステム(23)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵装置。
【請求項3】
前記センサー(18)は、前記プレートの所定領域の前記温度を測定するために、前記プレート(15)の上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵装置。
【請求項4】
前記所定の領域は、前記プレートの側端部に近い特定領域であることを特徴とする請求項3に記載の冷蔵装置。
【請求項5】
前記所定の領域は、前記プレートの切り込み(19)により少なくとも部分的に画定されていることを特徴とする請求項3に記載の冷蔵装置。
【請求項6】
前記センサー(18)を有する前記プレートは、前記室(11)内の最も下の段の棚に関連する前記プレートであることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵装置。
【請求項7】
袋を貯蔵するために複数の表面を含む冷蔵室を備えるタイプの冷蔵装置の内部で流体の袋を正確に冷蔵することを点検する方法であって、前記表面それぞれは、冷やされる棚(14)と該棚の上に配置される関連する均一プレート(15)を順番に備え、該プレート(15)は、前記棚と前記プレートとの間に袋を貯蔵するために、前記棚それぞれから持ち上げられることができるようにヒンジ連結されている、冷蔵装置の内部で流体の袋を正確に冷蔵する方法において、
少なくとも1つの袋上にある均一プレートの少なくとも1つの特定領域の温度を検出するステップ、および
前記棚の上の前記袋が到達する温度を表示するものとして測定された値を使用するステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記プレートの特定領域で検出された温度が、所定の貯蔵温度より所定量だけ低いとき、前記袋の前記所定の貯蔵温度に到達したと判断されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の貯蔵温度は、−30℃に等しいかそれ未満であり、前記所定量は、少なくとも−10℃であると考えられることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プレートの特定領域で検出された温度が、前記冷蔵装置内に前記袋を挿入して後所定の時間内で前記所定の貯蔵温度より前記所定量だけ低い値に到達した場合に、前記袋の前記所定の貯蔵温度に到達したと考えられることを特徴とする請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−519857(P2013−519857A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552482(P2012−552482)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055837
【国際公開番号】WO2011/098872
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512211246)アンジェラントーニ ライフ サイエンス エス.アール.エル.オールソー ノウン アズ エーエルエス エス.アール.エル. (1)
【Fターム(参考)】