説明

温度調節室の壁構造体

【課題】本発明は、高精度な温調空間を確保することができる温度調節室の壁構造体を提供する。
【解決手段】本発明の壁構造体16は、壁を構成する鋼板60と、鋼板60の室内側面60Aに貼り付けられた多数の冷熱モジュール62、62…と、鋼板60の温度が室内11の設定温度になるように冷熱モジュール62、62…の温度を制御する温度コントローラ64とを有する。この壁構造体16によれば、鋼板60の室内側面60Aに貼り付けた冷熱モジュール62、62…によって鋼板60を冷却、又は加熱する。この際、温度コントローラ64は、鋼板60の温度が室内11の設定温度になるように冷熱モジュール62、62…の温度を制御する。これにより、クリーンルーム14の温度変動が精密環境チャンバ10の壁を介して室内11に伝導するのを防止できるので、高精度な温調空間に室内11を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度調節室の壁構造体に係り、特にクリーンルームの精密環境チャンバのように室内温度が高精度に管理される温度調節室の壁構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場等で用いられるクリーンルームにおいては、作業環境の条件が厳しく求められる傾向にある。たとえば精密環境チャンバでは室内の温度管理が厳しく要求され、特に、実際にその室内で検査作業等が行われる空間においてはその温度変化の変動を±1/1000度以下に納めることが要求されるなど、空調設備の高精度な温度管理が要求されている。
【0003】
これを実現するために従来までの空調設備には、室内の温度を所望温度に維持するために加熱器や冷却器が設けられ、室温を温度センサ等によって監視しつつ、これら加熱器や冷却器をフィードバック制御して、室内を一定の温度に維持している。
【0004】
特許文献1において本願出願人は、温度制御に対する即応性を向上させた精密環境チャンバ用の空気調和制御装置を提案している。この空気調和制御装置は、熱源を内部に備え、精密環境チャンバに供給されるエアを加熱する加熱器であって、前記熱源としてフィラメントを備えた電球を用いるとともに、フィラメントに通電させて電球を点灯させ、これにより生じる熱を前記熱源として用いている。この空気調和制御装置によれば、電球の点灯により生じる熱を加熱器の熱源として用いたので、温度制御に対する即応性が向上するという利点がある。
【特許文献1】特許第3634896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の如く、特許文献1の空気調和制御装置は、精密環境チャンバに供給されるエアの温度を高精度に制御することができるが、精密環境チャンバの室外であるクリーンルームの温度制御は、精密環境チャンバと比較して例えば±2℃と高く、この温度変動(外乱)が精密環境チャンバの壁を介して精密環境チャンバ内に伝導し、精密環境チャンバの室内温度制御に悪影響を与えてしまい、高精度な温調空間を確保することができないという問題があった。従来の精密環境チャンバの壁構造は、図4に示すようにポリウレタン系の断熱材1を鋼板2、2で挟んだ断熱パネル構造体(例えば断熱材の厚みは40mm、鋼板の厚みは1mm)であり、断熱材1により温度変動を低減させているが、室内外の温度差を解消することは基本的に困難であるため上記問題は解決することはできなかった。特に壁に近い作業空間では、温度変動が±1/100度以上になっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高精度な温調空間を確保することができる温度調節室の壁構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、室内を画成するための壁を構成する金属板と、前記金属板の室内側面に貼り付けられた冷熱モジュールと、前記金属板の温度が前記室内の設定温度になるように前記冷熱モジュールの温度を制御する制御手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、壁を構成する金属板の室内側面に貼り付けられた冷熱モジュールによって金属板を冷却、又は加熱する。この際、制御手段は、金属板の温度が室内の設定温度になるように冷熱モジュールの温度を制御する。これにより、室外の温度変動(外乱)が温度調節室の壁を介して温度調節室内に伝導するのを防止できるので、高精度な温調空間を確保することができる。
【0009】
金属板としては、伝熱性、及び熱拡散性の高い鉄板、鋼板を使用することが好ましい。これにより、熱容量の小さい冷熱モジュールを使用することもできるのでイニシャルコスト、ランニングコストを削減できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記冷熱モジュールの室内側面には、冷熱モジュールと室内空間とを隔離する隔離材が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、冷熱モジュールの室内側面に隔離材を設け、冷熱モジュールと室内空間とを隔離することが好ましい。これにより、冷熱モジュールの熱による室内温度の変動や、室内温度を乱す原因となる室内空気の対流等の発生を防止できる。隔離材としては、板材でもよく、冷熱モジュールの室内側面をコーティング材によりコーティングして隔離してもよい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記金属板の室外側面には断熱材が取り付けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、金属板の室外側面に断熱材を取り付けることが好ましい。断熱材は、室外の温度変動を緩衝する機能を有しているため、金属板に伝わる室外の温度変動が緩やかになり、これによって、制御手段による冷熱モジュールの温度制御が容易になる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3において、前記冷熱モジュールは、ペルチェモジュールであることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、冷熱モジュールとして、板状のペルチェモジュールを使用することが好ましい。ペルチェモジュールは、直流電流により冷却、加熱、温度制御を自由に行うことができる半導体素子であり、このペルチェモジュールに流す電流の極性を変えることによって冷却と加熱とを切り換えることができる。また、与える電流の大きさを変えることによって熱量の大きさを変えることができる。更に、温度応答性がよいため、直ぐに冷却したり、加熱したりすることができるとともに、可動部分が無いため、振動、騒音が無く、また、疲労、破損する機械部品が無いため、冷熱モジュールとして長寿命で信頼性が高い。更に、電気配線のみのため、取り扱いが簡単になる等の利点がある。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記冷熱モジュールは、前記金属板の高さ方向に沿って複数貼り付けられるとともに、冷熱モジュールの高さ位置に対応して温度センサが前記室内に複数設置され、前記制御手段は、前記設定温度から外れた温度を検出した前記温度センサに対応する冷熱モジュールの温度を設定温度になるようにフィードバック制御することを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、金属板の高さ方向に沿って冷熱モジュールを複数貼り付け、冷熱モジュールの高さ位置に対応して温度センサを室内に複数設置し、室内の設定温度から外れた温度を検出した温度センサに対応する冷熱モジュールの温度を設定温度になるように制御手段がフィードバック制御することが好ましい。これにより、壁の局部的な温度管理が可能となるので、室内全体の温調を高精度に確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る温度調節室の壁構造体によれば、壁を構成する金属板の室内側面に貼り付けられた冷熱モジュールによって金属板を冷却、又は加熱するとともに、金属板の温度が室内の設定温度になるように冷熱モジュールの温度を制御手段が制御するので、室外の温度変動が温度調節室の壁を介して温度調節室内に伝導するのを防止でき、これによって、高精度な温調空間を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下添付図面に従って、本発明に係る温度調節室の壁構造体の好ましい実施の形態について詳説する。
【0020】
図1は、実施の形態の温度調節室に相当するクリーンルームの精密環境チャンバ10、及び精密環境チャンバ10に設けられる空調設備12の構成を示したブロック図である。
【0021】
同図に示す精密環境チャンバ10は、クリーンルーム14に設置されるとともに、クリーンルーム14に対し壁構造体16によって隔離され、その室内11には例えば精密機械の製造ライン、検査装置などが設置されている。この精密環境チャンバ10では、例えば許容誤差±1/1000度オーダ以内で一定に温度が維持されることが要求される。なお、図1には図示していないが、壁構造体16には、開閉扉を有した作業員立ち入り用の出入口が設けられている。
【0022】
壁構造体16の壁面の図1上で右壁面には、エア供給パネル18が設けられるとともに、左壁面にはエア吸気パネル20が設けられている。これらのパネル18、20には、エアを通過させるとともに整流の作用もある多数の孔が形成された、例えばパンチングメタルのような多孔式パネルが用いられている。
【0023】
吸気パネル20にはエアダクト22が接続されている。このエアダクト22の上流側には、送風機24に加えて冷却器26、第1の加熱器28、及び第2の加熱器30等の熱源系統が設けられ、エアダクト22の下流側が供給パネル18に接続されることにより、精密環境チャンバ10の室内11のエアが循環される構成となっている。
【0024】
送風機24は、室内11のエアを循環させる機能を有する。送風機24が作動すると、室内11のエアがエア吸気パネル20からエアダクト22を介して吸引され、このエアは送風機24によってエアダクト22、及びエア供給パネル18を介して室内11に供給される。
【0025】
冷却器26は、送風機24によって送出されたエアを所定の温度まで冷却する。この冷却器26の内部には不図示の冷却コイルが設けられ、送出されたエアがこの冷却コイルに接触することにより冷却される。
【0026】
第1の加熱器28は、その内部に電球(不図示:特許第3634896号公報参照)を備えたダクトユニットによって構成されている。この第1の加熱器28の直後でエアダクト22内には第1の温度センサ32が設けられ、第1の加熱器28の直後のエアダクト22内の温度が第1の温度センサ32によって検出されている。第1の温度センサ32によって検出された温度情報は、デジタル調節計34に出力される。このデジタル調節計34は、前記温度情報に基づきサイリスタ36を制御し、サイリスタ36は、電源部(不図示)から第1の加熱器28に所定の電圧の電力を供給させる。なお、デジタル調節計34の分解能は、±1/100度である。このような構成の第1の加熱器28によって、冷却器26にて冷却されたエアを要求される温度の近傍まで加熱する。例えば、要求温度(設定温度)が摂氏23.2度である場合には、第1の加熱器28によってエアを摂氏22.9度まで加熱する。
【0027】
第2の加熱器30も前記ダクトユニットから構成され、その内部に電球(不図示:特許第3634896号公報参照)を備えている。また、精密環境チャンバ10の室内11には第2の温度センサ38が設けられ、精密環境チャンバ10の室内11の温度が検出されている。第2の温度センサ38によって検出された温度情報は、デジタル調節計40に出力される。このデジタル調節計40は、前記温度情報に基づきサイリスタ42を制御し、サイリスタ42は、電源部(不図示)から第2の加熱器30に所定の電圧の電力を供給させる。ここで、デジタル調節計40における分解能は、デジタル調節計34よりも分解能が高く、精密環境チャンバ10における温度の±1/1000度である。このような構成の第2の加熱器30は、第1の加熱器28により要求温度の近傍まで加熱されたエアを再度加熱して、精密環境チャンバ10にて要求される温度まで加熱する。これにより、第2の加熱器30では、制御熱量の変動が少ないため、制御が行い易くなる。
【0028】
次に、空調設備40の作用について説明する。
【0029】
エア供給パネル18から吹き出された空調エアは、エア吸気パネル20から吸引されることにより、精密環境チャンバ10の室内11でサイドフロー(水平層流)となって流れる。また、精密環境チャンバ10の室内11は厳しく温度が管理され、室内11の温度が摂氏23.2度で許容誤差1/1000度以内の温度で維持されている。特に、室内11におけるサイドフローによって、室内11にエアが滞留せず、室内11の温度分布が均等になり易く、乱流の発生も防止できるので、温度制御性が向上している。
【0030】
また、エアダクト22に第1の加熱器28と第2の加熱器30とを夫々設け、これらを制御するための温度センサ32をエアダクト22に取り付けるとともに温度センサ38を精密環境チャンバ10の室内11に設けることにより、温度分解能の異なる2段階の温度制御が可能になり、制御性の優れた空調設備12を提供できる。特に、第1の加熱器28によって、要求される温度まで近づけておき、第2の加熱器30によって要求される温度を維持するので、加熱器30の制御熱量の変動が少なくなり、室内11の温度制御が行い易くなる。
【0031】
次に、冷却器26と、これを制御する冷水温度制御手段について説明する。冷却器26の内部には不図示の冷却用コイルが設けられ、前述したように送出されたエアがこの冷却用コイルに接触して冷却される。冷却用コイルには冷水パイプ44が接続されている。この冷水パイプ44にはクッションタンク46、冷水製造装置48、加熱器50などが備えられ、ポンプPにて冷水パイプ44内の冷水を循環する構成を呈している。
【0032】
クッションタンク46は、区画された2層の冷水層からなり、冷却器48から送り出された冷水を一方の冷水層46aに蓄積する。また、冷水製造装置48で製造された冷水も他方の冷水層46bにて蓄積する。
【0033】
ポンプPは冷水パイプ44内の冷水を循環する。ポンプPが作動されると、クッションタンク46の他方の冷水層から冷水が吸引され、冷水パイプ44内の冷水が加熱器50まで連続して供給される。
【0034】
加熱器50は、伝熱ワイヤをコイル状(または板状)に備えたものが用いられ、不図示の電源部から伝熱ワイヤに通電させることで伝熱ワイヤが加熱され、ポンプPによって搬送される冷水が伝熱ワイヤに接触されることによって、冷水が所望の温度まで加熱される。この加熱器50の直後で冷水パイプ44内には温度センサ52が設けられ、加熱器50直後の冷水パイプ44内の温度が検出されている。この温度センサ52からの温度情報はデジタル調節計54に出力される。デジタル調節計54は、前記温度情報に基づきサイリスタ56にフィードバック制御による制御信号を出力させ、電源部(不図示)から加熱器50に所定の電圧値で電力を供給させる。このような構成の冷却器48によって、少なくとも要求される温度よりも1/100度程度の誤差範囲内まで冷水を冷却することができる。
【0035】
次に、精密環境チャンバ10の壁構造体16について説明する。
【0036】
実施の形態の壁構造体16は図2に示すように、室内11を画成するための壁を構成する鋼板(金属板)60と、鋼板60の室内側面60Aに貼り付けられた多数の冷熱モジュール62、62…と、鋼板60の温度が室内11の設定温度になるように冷熱モジュール62、62…の温度を制御する温度コントローラ(制御手段)64とを有する。なお、符号66は、温度コントローラ64に室内11の設定温度を入力するための入力手段である。
【0037】
この壁構造体16によれば、鋼板60の室内側面60Aに貼り付けた冷熱モジュール62、62…によって鋼板60を冷却、又は加熱する。この際、温度コントローラ64は、鋼板60の温度が室内11の設定温度になるように冷熱モジュール62、62…の温度を制御する。これにより、クリーンルーム14(室外)の温度変動(外乱)が精密環境チャンバ10の壁を介して室内11に伝導するのを防止できるので、高精度な温調空間に室内11を確保することができる。
【0038】
実施例では金属板として鋼板60を例示したが、これに限定されるものではなく、伝熱性、及び熱拡散性の高い金属板であれば鉄板、銅板等を使用することもできる。これにより、熱容量の小さい冷熱モジュール62、62…を使用することもできるのでイニシャルコスト、ランニングコストを削減できる。なお、コスト的には銅板よりも鉄板の方が好ましい。
【0039】
また、実施の形態の壁構造体16は、冷熱モジュール62、62…の室内側面62A、62A…に、冷熱モジュール62、62…と室内11とを隔離する隔離材68が設けられている。
【0040】
このように、冷熱モジュール62、62…の室内側面62A、62A…に隔離材68を設け、冷熱モジュール62、62…と室内11の空間とを隔離することにより、冷熱モジュール62、62…の熱による室内11の温度変動や、室内温度を乱す原因となる室内11の空気の対流等の発生を防止できる。隔離材68としては、板材でもよく、冷熱モジュール62の室内側面62Aをコーティング材によりコーティングして隔離してもよい。
【0041】
更に、実施の形態の壁構造体16は、鋼板60の室外側面にポリウレタン系の断熱材70が取り付けられている。このように断熱材70を取り付ければ、断熱材70は、クリーンルーム14の温度変動を緩衝する機能を有しているため、鋼板60に伝わるクリーンルーム14の温度変動が緩やかになる。これによって、温度コントローラ64による冷熱モジュール62、62…の温度制御が容易になる。なお、符号72は鋼板60との間で断熱材70を挟み込むための鋼板である。
【0042】
また、実施の形態の冷熱モジュール62は、ペルチェモジュール(例えば、株式会社アンペール製:モジュール型名「UT4040−CF」、「UT4040−PF」、「UT7070−CF」、「UT7070−PF」)が適用されている。ペルチェモジュールは、直流電流により冷却、加熱、温度制御を自由に行うことができる半導体素子であり、このペルチェモジュールに流す電流の極性を温度コントローラ64によって変えるこれにより、冷却と加熱とを切り換えることができる。また、温度コントローラ64によって、与える電流の大きさを変えることにより、熱量の大きさを変えることができる。更に、ペルチェモジュールは、温度応答性がよいため、直ぐに冷却したり、加熱したりすることができるとともに、可動部分が無いため、振動、騒音が無く、また、疲労、破損する機械部品が無いため、冷熱モジュール62として長寿命で信頼性が高い。更に、電気配線のみのため、取り扱いが簡単になる等の利点がある。
【0043】
図3は、冷熱モジュール62による室内11の温度制御系の一例を示したブロック図である。なお、この精密環境チャンバ10は、天井部にエア供給パネル18が設けられ、壁面下部にエア吸気パネル(不図示)が設けられた、ダウンフロー型の精密環境チャンバである。
【0044】
同図によれば、冷熱モジュール62は、鋼板60に碁盤目の如く縦方向、及び横方向に多数枚貼り付けられている。また、冷熱モジュール62の室内11における高さ位置に対応して温度センサ72が室内11に5個設置されている。具体的には横方向に配置された最上段の冷熱モジュール62a、62a…と最上段に設置された温度センサ72aとが室内11の高さ位置において対応しており、上から二段目の冷熱モジュール62b、62b…と上から二段目に設置された温度センサ72bとが高さ位置において対応し、中段の冷熱モジュール62c、62c…と中段に設置された温度センサ72cとが高さ位置において対応し、下から二段目の冷熱モジュール62d、62d…と下から二段目に設置された温度センサ72dとが高さ位置において対応し、最下段の冷熱モジュール62e、62e…と最下段に設置された温度センサ72eとが高さ位置において対応している。そして、温度コントローラ64は、前記設定温度から外れた温度を検出した温度センサ72a〜72eに対応する冷熱ジュール62a〜62eの温度を設定温度になるようにフィードバック制御する。
【0045】
この温度制御系によれば、壁構造体16の局部的な温度管理が可能となるので、室内全体の温調を高精度に確保することができる。
【0046】
なお、実施の形態では、クリーンルーム14の精密環境チャンバ10の壁構造体16について説明したが、精密環境チャンバ10の天井壁構造にも適用できる。また、用途は精密環境チャンバ10の壁、天井に限定されるものではなく、高精度な温度制御を要する温度調節室の壁に適用することができる。更に、壁温度を室内温度に制御する実施の形態の壁構造体17であれば、特に寒冷地における結露防止用壁として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施の形態のクリーンルームの精密環境チャンバの構成を示したブロック図
【図2】図1に示した精密環境チャンバの壁構造体の断面図
【図3】壁構造体を構成する冷熱モジュールの温度制御系を示したブロック図
【図4】従来の精密環境チャンバの壁構造体を示した断面図
【符号の説明】
【0048】
10…精密環境チャンバ、11…室内、12…空調設備、14…クリーンルーム、16…壁構造体、18…エア供給パネル、20…吸気パネル、22…エアダクト、24…送風機、26…冷却器、28…第1の加熱器、30…第2の加熱器、60…鋼板、62…冷熱モジュール、64…温度コントローラ、66…隔離材、70…断熱材、72…鋼板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を画成するための壁を構成する金属板と、
前記金属板の室内側面に貼り付けられた冷熱モジュールと、
前記金属板の温度が前記室内の設定温度になるように前記冷熱モジュールの温度を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする温度調節室の壁構造体。
【請求項2】
前記冷熱モジュールの室内側面には、冷熱モジュールと室内空間とを隔離する隔離材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の温度調節室の壁構造体。
【請求項3】
前記金属板の室外側面には断熱材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の温度調節室の壁構造体。
【請求項4】
前記冷熱モジュールは、ペルチェモジュールであることを特徴とする請求項1、2又は3のうちいずれかに記載の温度調節室の壁構造体。
【請求項5】
前記冷熱モジュールは、前記金属板の高さ方向に沿って複数貼り付けられるとともに、冷熱モジュールの高さ位置に対応して温度センサが前記室内に複数設置され、前記制御手段は、前記設定温度から外れた温度を検出した前記温度センサに対応する冷熱モジュールの温度を設定温度になるようにフィードバック制御することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の温度調節室の壁構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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