温水および電力供給複合システム
【課題】安定した温水供給および発電が可能で利便性に優れた、温水および電力供給複合システムを提供する。
【解決手段】外部熱源10からの熱を第1媒体に吸熱させる吸熱部110と、ランキンサイクル運転の状態において、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換する圧縮機兼膨長機150と、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱により昇温された温水を供給する温水供給部130とを備える。ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、圧縮機兼膨長機150は、外部から供給された電力を熱に変換して、この熱を第2媒体に吸熱させ、温水供給部130は、圧縮機兼膨長機150によって第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を供給する。
【解決手段】外部熱源10からの熱を第1媒体に吸熱させる吸熱部110と、ランキンサイクル運転の状態において、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換する圧縮機兼膨長機150と、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱により昇温された温水を供給する温水供給部130とを備える。ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、圧縮機兼膨長機150は、外部から供給された電力を熱に変換して、この熱を第2媒体に吸熱させ、温水供給部130は、圧縮機兼膨長機150によって第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水および電力供給複合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境に配慮したクリーンなエネルギー変換システムとして、工場で稼働する装置からの廃熱または太陽熱などを利用するシステムが開発されている。廃熱または太陽熱などの外部の熱源を用いて給湯を行なうと同時に、系内の動力で発電する発電併用給湯システムを開示した先行文献として、特許文献1がある。
【0003】
特許文献1に記載された発電併用給湯システムにおいては、天候または季節などによって給湯が不安定になることを抑制するために、別系統の熱源である追い焚き器を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−210162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
追い焚き器のような別系統の熱源を設けた場合、システムの部品点数が増大するとともに、燃料の補給の手間が増えて、システムの利便性が低下する。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、安定した温水供給および発電が可能で利便性に優れた、温水および電力供給複合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づく温水および電力供給複合システムは、外部熱源からの熱を第1媒体に吸熱させる吸熱部と、ランキンサイクル運転の状態において、吸熱部において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換する圧縮機兼膨張機と、吸熱部において吸熱した第1媒体の一部の熱により昇温された温水を供給する温水供給部とを備える。ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、圧縮機兼膨張機は、外部から供給された電力を熱に変換して、この熱を第2媒体に吸熱させ、温水供給部は、圧縮機兼膨張機によって第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を供給する。
【0008】
本発明の一形態においては、圧縮機兼膨張機は、第2媒体を選択的に圧縮または膨張させる圧縮膨張部とこの圧縮膨張部に接続された発動発電部とを含み、ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体の圧力により圧縮膨張部は膨張機として駆動されて発動発電部は発電機として機能し、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から電力が供給されて発動発電部は発動機として駆動されて圧縮膨張部は圧縮機として機能する。
【0009】
好ましくは、温水および電力供給複合システムは、吸熱部における熱の吸熱量と、温水供給部における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える制御部をさらに備えた。
【0010】
本発明の一形態においては、第1媒体が水であり、第2媒体が作動媒体である。ランキンサイクル運転の状態においては、温水供給部は、吸熱部において吸熱した熱により昇温された水を供給する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、温水供給部は、作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する。
【0011】
本発明の一形態においては、単一の作動媒体が第1媒体および第2媒体として用いられる。温水供給部は、作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する。
【0012】
本発明の一形態においては、第1媒体が熱媒体であり、第2媒体が作動媒体である。ランキンサイクル運転の状態においては、温水供給部は、熱媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、温水供給部は、熱媒体および作動媒体のうちの少なくとも作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する。
【0013】
好ましくは、制御部は、温水供給部における温水の必要供給量を推測し、吸熱部における熱の吸熱量が上記必要供給量の温水の供給に必要な熱量以上である場合には、ランキンサイクル運転を実行させ、吸熱部における熱の吸熱量が上記必要供給量の温水の供給に必要な熱量より少ない場合には、ヒートポンプサイクル運転を実行させる。
【0014】
本発明の一形態においては、第1媒体が流動する第1媒体系と、第2媒体が流動する第2の媒体系とが構成されている。第1媒体系においては、吸熱部と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、温水供給部と、第1媒体を圧送する第1圧送部と、吸熱部を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部とが接続されている。第2の媒体系においては、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1熱交換部と、第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、第2媒体を圧送する第2圧送部とが接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体は、第1熱交換部、圧縮機兼膨張機、第2熱交換部および第2圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第1熱交換部、膨張機構および第2熱交換部を順に循環する。
【0015】
本発明の一形態においては、第1媒体および第2媒体が流動する媒体系と、水が流動する水系とが構成されている。媒体系においては、吸熱部と、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1媒体および第2媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部と、第1媒体および第2媒体を圧送する第1圧送部と、第2媒体を膨張させる膨張機構とが接続されている。水系においては、温水供給部と第3熱交換部とが接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第1媒体または第2媒体は、吸熱部、圧縮機兼膨張機、第3熱交換部および第1圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第1媒体または第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第3熱交換部、膨張機構および吸熱部を順に循環する。
【0016】
本発明の一形態においては、第1媒体が流動する第1媒体系と、第2媒体が流動する第2の媒体系と、水が流動する水系とが構成されている。第1媒体系においては、吸熱部と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部と、第1媒体を圧送する第1圧送部と、吸熱部を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部とが接続されている。第2の媒体系においては、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1熱交換部と、第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、第2媒体を圧送する第2圧送部とが接続されている。水系においては、温水供給部と第3熱交換部とが接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体は、第1熱交換部、圧縮機兼膨張機、第2熱交換部および第2圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第1熱交換部、膨張機構および第2熱交換部を順に循環する。
【0017】
本発明の一形態においては、第1媒体が流動する第1媒体系と、第2媒体が流動する第2の媒体系と、水が流動する水系とが構成されている。第1媒体系においては、吸熱部と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、温水供給部と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部と、第1媒体を圧送する第1圧送部と、吸熱部を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部とが接続されている。第2の媒体系においては、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1熱交換部と、第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、第2媒体を圧送する第2圧送部と、第2媒体と水との間で熱交換させる第4熱交換部とが接続されている。水系においては、温水供給部と第3熱交換部とが接続され、さらに第4熱交換部が並列に接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体は、第1熱交換部、圧縮機兼膨張機、第4熱交換部および第2圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第1熱交換部、膨張機構および第2熱交換部を順に循環する。
【0018】
本発明の一形態においては、第1媒体が流動する第1媒体系と、第2媒体が流動する第2の媒体系と、水が流動する水系とが構成されている。第1媒体系においては、吸熱部と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、温水供給部と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部と、第1媒体を圧送する第1圧送部と、吸熱部を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部とが接続されている。第2の媒体系においては、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1熱交換部と、第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、第2媒体を圧送する第2圧送部と、第2媒体と水との間で熱交換させる第4熱交換部とが接続されている。水系においては、温水供給部と第3熱交換部とが接続され、さらに第4熱交換部が直列に接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体は、第1熱交換部、圧縮機兼膨張機、第4熱交換部および第2圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第1熱交換部、膨張機構および第2熱交換部を順に循環する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、安定した温水供給および発電が可能で利便性に優れた、温水および電力供給複合システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図2】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図3】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図5】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図6】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図7】本発明の実施形態3に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図8】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図9】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図10】本発明の実施形態4に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図11】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図12】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図13】本発明の実施形態5に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図14】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図15】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図16】本発明の実施形態6に係る制御部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態1に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図2は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図3は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム100においては、第1媒体が流動する第1の媒体系100aと、第2媒体が流動する第2の媒体系100bとが構成されている。本実施形態の第1媒体は水であり、第2媒体は作動媒体(冷媒)である。作動媒体としては、たとえば、メタノールと水との混合液、または、アセトンと水との混合液などを用いることができる。
【0024】
第1の媒体系100aにおいては、吸熱部110と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部120と、温水供給部130と、第1媒体を圧送する第1圧送部140と、吸熱部110を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部101とが接続されている。
【0025】
本実施形態の吸熱部110は、太陽熱10を第1媒体に吸熱させる。ただし、吸熱部110は、太陽熱10の吸熱に限られず、たとえば、工場などで使用する装置から発生する廃熱を吸熱させるものでもよく、外部熱源からの熱を第1媒体に吸熱させるものであればよい。
【0026】
第1熱交換部120は、二重配管構造を有する熱交換器であって、内側の配管を第1媒体が流動し、外側の配管を第2媒体が流動する。ただし、この逆でもよく、内側の配管を第2媒体が流動し、外側の配管を第1媒体が流動するようにしてもよい。内側の配管は、熱伝導性の高い材料で形成されている。第1媒体および第2媒体は、第1熱交換部120を流動している間に、温度の高い方から温度の低い方に熱を移動させる。
【0027】
温水供給部130は、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱により昇温された温水を供給する。本実施形態においては、第1媒体である水が温水供給部130から供給される。温水供給部130では、使用された温水と略同等の量の水が補充される。
【0028】
第1圧送部140は、第1媒体に圧力をかけて流動させる機能を有し、たとえばポンプである。バイパス部101の一端は、三方弁190を介して、吸熱部110と第1圧送部140との間に接続されている。バイパス部101の他端は、三方弁191を介して、吸熱部110と第1熱交換部120との間に接続されている。
【0029】
第2の媒体系100bにおいては、圧縮機兼膨張機150と、圧縮機兼膨張機150で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部170と、第1熱交換部120と、第2媒体を膨張させる膨張機構180と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部160と、第2媒体を圧送する第2圧送部141とが接続されている。
【0030】
本実施形態の圧縮機兼膨張機150は、第2媒体を選択的に圧縮または膨張させる圧縮膨張部150aと、この圧縮膨張部150aに接続された発動発電部150bとを含む。後述するように、圧縮機兼膨張機は、ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体の圧力により圧縮膨張部が膨張機として駆動されることにより発動発電部は発電機として機能し、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から電力が供給されて発動発電部が発動機として駆動されることにより圧縮膨張部は圧縮機として機能する。
【0031】
逆流防止部170は、圧縮された第2媒体の逆流を防止する機能を有し、たとえば、逆止弁である。逆流防止部170は、三方弁192および三方弁193を介して、第1熱交換部120と圧縮機兼膨張機150との間に接続されている。
【0032】
膨張機構180は、第2媒体を膨張させる機能を有し、たとえば、膨張弁である。膨張機構180の一端は、三方弁194を介して第1熱交換部120と第2圧送部141との間に接続されている。膨張機構180の他端は、三方弁195を介して第2熱交換部160と第2圧送部141との間に接続されている。
【0033】
第2熱交換部160は、第2媒体が流動する配管の外側に外気を通流させる構造を有している。外気の方が第2媒体より温度が高い場合は、第2媒体は第2熱交換部160を流動している間に、第2媒体は外気から吸熱する。外気の方が第2媒体より温度が低い場合は、第2媒体は第2熱交換部160を流動している間に、第2媒体は外気へ放熱する。
【0034】
第2圧送部141は、第2媒体に圧力をかけて流動させる機能を有し、たとえば、ポンプである。
【0035】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム100は、第2の媒体系100bをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0036】
ランキンサイクル運転の状態とは、第1の媒体系100aの吸熱部110において、温水供給部130から温水を供給するために必要な熱量以上の熱量を吸熱できた場合に、その余剰の熱を電力に変換するための運転状態である。
【0037】
ヒートポンプサイクル運転の状態とは、第1の媒体系100aの吸熱部110において、温水供給部130から温水を供給するために必要な熱量より少ない熱量しか吸熱できない場合に、その不足の熱を電力から変換して補うための運転状態である。
【0038】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム100において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、第1媒体および第2媒体の流動経路とそれぞれの流動中の状態とについて説明する。
【0039】
図2に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第2の媒体系100b内を第2媒体は、第1熱交換部120、圧縮機兼膨張機150、第2熱交換部160および第2圧送部141を順に循環する。すなわち、図中の矢印210,211,212,213で示すように、第2媒体が循環する。
【0040】
第1の媒体系100aにおいては、第1媒体は、吸熱部110、第1熱交換部120、温水供給部130および第1圧送部140を順に循環する。すなわち、図中の矢印200,201,202,203で示すように、第1媒体が循環する。
【0041】
このようにランキンサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部110で第1媒体に吸熱させた熱の一部を第1熱交換部120において第2媒体に移した後、第1媒体の残りの熱で昇温された温水を温水供給部130で供給することができる。
【0042】
第1熱交換部120において熱交換した第2媒体は、圧縮機兼膨張機150に送られて圧縮機兼膨張機150の圧縮膨張部150aにより膨張させられる。膨張した第2媒体が圧縮機兼膨張機150の発動発電部150bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機150において発電が行なわれる。
【0043】
圧縮機兼膨張機150において仕事をした第2媒体は、第2熱交換部160において外気に対して放熱して凝縮する。凝縮した第2媒体は、第2圧送部141により第1熱交換部120に向けて圧送される。
【0044】
第1媒体および第2媒体が上記のように流動することにより、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱で水を昇温して温水を供給しつつ、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換して発電することができる。
【0045】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図3に示すように、第2の媒体系100b内を第2媒体は、圧縮機兼膨張機150、逆流防止部170、第1熱交換部120、膨張機構180および第2熱交換部160を順に循環する。すなわち、図中の矢印220,221,222,223,224で示すように、第2媒体が循環する。
【0046】
第1の媒体系100aにおいては、第1媒体は、第1熱交換部120、温水供給部130、第1圧送部140、吸熱部110またはバイパス部101を順に循環する。すなわち、図中の矢印230,231,232,233または234,235で示すように、第1媒体が循環する。
【0047】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、第2の媒体系100bにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機150の発動発電部150bを駆動させて、第2媒体を圧縮膨張部150aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた第2媒体は、逆流防止部170を通過した後、第1熱交換部120に送られて、第1媒体に第2媒体の熱の一部を与える。その後、第2媒体は、膨張機構180で膨張させられることにより減圧される。減圧された第2媒体は、第2熱交換部160で外気から吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機150に送られる。
【0048】
このように第2媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機150で第2媒体に吸熱させた熱を第1媒体に移すことができる。第1熱交換部120において熱交換された第1媒体の一部は、温水供給部130で温水として供給される。第1媒体の残りは、第1圧送部140により三方弁190に向けて圧送される。
【0049】
吸熱部110における吸熱が可能な場合には、第1媒体は、吸熱部110に送られて吸熱させられた後、第1熱交換部120に送られる。一方、吸熱部110における吸熱が不可能な場合または非効率な場合には、第1媒体は、バイパス部101を通過して第1熱交換部120に送られる。たとえば、冬季の雨天時などには、バイパス部101を通過するように第1媒体が送られる。
【0050】
このようにヒートポンプサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機150で第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を温水供給部130で供給することができる。
【0051】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム100においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部110における熱の吸熱量と、温水供給部130における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0052】
具体的には、制御部は、三方弁190,191,192,193,194,195の接続、および圧縮機兼膨張機150の運転を切り替える。
【0053】
本実施形態の温水および電力供給複合システム100においては、第2の媒体系100bのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部110における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部130から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム100の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0054】
以下、本発明の実施形態2に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1に係る温水および電力供給複合システムと同一の構成要素については説明を繰り返さない。
【0055】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図5は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図6は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0056】
図4に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム300においては、第1媒体および第2媒体が流動する媒体系300aと、水が流動する水系300cとが構成されている。本実施形態では、単一の作動媒体が第1媒体および第2媒体として用いられる。言い換えると、第1媒体が第2媒体を兼ねている。
【0057】
媒体系300aにおいては、吸熱部310と、圧縮機兼膨張機350と、圧縮機兼膨張機350で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部370と、第1媒体および第2媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部321と、第1媒体および第2媒体を圧送する第1圧送部340と、第2媒体を膨張させる膨張機構380とが接続されている。
【0058】
逆流防止部370は、圧縮機兼膨張機350を間に挟むように三方弁392,393を介して接続されている。膨張機構380は、第1圧送部340を間に挟むように三方弁394,395を介して接続されている。なお、媒体系300aにおいては、圧縮機兼膨張機350に対して作動媒体の流動経路を反転させるための流路301が、圧縮機兼膨張機350を間に挟むように三方弁396,397を介して接続されている。
【0059】
水系300cにおいては、温水供給部330と第3熱交換部321とが接続されている。第3熱交換部321は、二重配管構造を有する熱交換器であって、内側の配管を作動媒体が流動し、外側の配管を水が流動する。ただし、この逆でもよく、内側の配管を水が流動し、外側の配管を作動媒体が流動するようにしてもよい。内側の配管は、熱伝導性の高い材料で形成されている。作動媒体は、第3熱交換部321を流動している間に、水を昇温して温水にする。
【0060】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム300は、媒体系300aをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0061】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム300において、ランキンサイクル運転の状態、および、ヒートポンプサイクル運転の状態における、作動媒体の流動経路と流動中の状態とについて説明する。
【0062】
図5に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、作動媒体は、吸熱部310、圧縮機兼膨張機350、第3熱交換部321および第1圧送部340を順に循環する。すなわち、図中の矢印400,401,402,403で示すように、作動媒体が循環する。
【0063】
水系300cにおいては、水は、第3熱交換部321と温水供給部330との間で循環する。すなわち、図中の矢印410,411で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部330から温水として供給される。
【0064】
このように作動媒体が循環することにより、吸熱部310で吸熱させた作動媒体が圧縮機兼膨張機350に送られる。作動媒体は、圧縮機兼膨張機350に送られて圧縮機兼膨張機350の圧縮膨張部350aにより膨張させられる。膨張した作動媒体が圧縮機兼膨張機350の発動発電部350bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機350において発電が行なわれる。
【0065】
圧縮機兼膨張機350において仕事をした作動媒体は、第3熱交換部321に送られる。第3熱交換部において、作動媒体は残りの熱を水系300cを循環する水に移すことができる。
【0066】
第3熱交換部321において放熱した作動媒体は凝縮して、第1圧送部340により吸熱部310に向けて圧送される。
【0067】
作動媒体が上記のように流動することにより、吸熱部310において吸熱した作動媒体の一部の熱を電力に変換して発電しつつ、吸熱部110において吸熱した一部の熱で水を昇温して温水を供給することができる。
【0068】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図6に示すように、作動媒体は、圧縮機兼膨張機350、逆流防止部370、第3熱交換部321、膨張機構380および吸熱部310を順に循環する。すなわち、図中の矢印420,421,422,423,424,425で示すように、作動媒体が循環する。
【0069】
水系300cにおいては、水は、第3熱交換部321と温水供給部330との間で循環する。すなわち、図中の矢印430,431で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部330から温水として供給される。
【0070】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、媒体系300aにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機350の発動発電部350bを駆動させて、作動媒体を圧縮膨張部350aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた作動媒体は、逆流防止部370を通過した後、第3熱交換部321に送られて、水系300cを循環する水に作動媒体の熱の一部を与える。その後、作動媒体は、膨張機構380で膨張させられることにより減圧される。減圧された作動媒体は、吸熱部310で吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機350に送られる。
【0071】
このように作動媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機350で作動媒体に吸熱させた熱を水に移すことができる。昇温された水の一部は、温水供給部330で温水として供給される。
【0072】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム300においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部310における熱の吸熱量と、温水供給部330における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0073】
具体的には、制御部は、三方弁392,393,394,395,396,397の接続、および圧縮機兼膨張機350の運転を切り替える。
【0074】
本実施形態の温水および電力供給複合システム300においては、媒体系300aのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部310における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部330から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム300の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0075】
以下、本発明の実施形態3に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1,2に係る温水および電力供給複合システムと同一の構成要素については説明を繰り返さない。
【0076】
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図8は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図9は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0077】
図7に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム500においては、第1媒体が流動する第1媒体系500aと、第2媒体が流動する第2の媒体系500bと、水が流動する水系500cとが構成されている。本実施形態の第1媒体は熱媒体であり、第2媒体は作動媒体(冷媒)である。熱媒体としては、たとえば、水または油などを用いることができる。
【0078】
第1媒体系500aにおいては、吸熱部510と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部520と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部521と、第1媒体を圧送する第1圧送部540と、吸熱部510を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部501とが接続されている。
【0079】
バイパス部501の一端は、三方弁590を介して、吸熱部510と第1圧送部540との間に接続されている。バイパス部501の他端は、三方弁591を介して、吸熱部510と第1熱交換部520との間に接続されている。
【0080】
第2の媒体系500bにおいては、圧縮機兼膨張機550と、圧縮機兼膨張機550で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部570と、第1熱交換部520と、第2媒体を膨張させる膨張機構580と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部560と、第2媒体を圧送する第2圧送部541とが接続されている。
【0081】
逆流防止部570は、三方弁592および三方弁593を介して、第1熱交換部520と圧縮機兼膨張機550との間に接続されている。膨張機構580の一端は、三方弁594を介して第1熱交換部520と第2圧送部541との間に接続されている。膨張機構580の他端は、三方弁595を介して第2熱交換部560と第2圧送部541との間に接続されている。
【0082】
水系500cにおいては、温水供給部530と第3熱交換部521とが接続されている。
【0083】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム500は、第2の媒体系500bをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0084】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム500において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、第1媒体および第2媒体の流動経路とそれぞれの流動中の状態とについて説明する。
【0085】
図8に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第2の媒体系500b内を第2媒体は、第1熱交換部520、圧縮機兼膨張機550、第2熱交換部560および第2圧送部541を順に循環する。すなわち、図中の矢印610,611,612,613で示すように、第2媒体が循環する。
【0086】
第1媒体系500aにおいては、第1媒体は、吸熱部510、第1熱交換部520、第3熱交換部521および第1圧送部540を順に循環する。すなわち、図中の矢印600,601,602,603で示すように、第1媒体が循環する。
【0087】
水系500cにおいては、水は、第3熱交換部521と温水供給部530との間で循環する。すなわち、図中の矢印620,621で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部530から温水として供給される。
【0088】
このようにランキンサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部510で吸熱させた第1媒体の熱の一部を第1熱交換部520において第2媒体に移した後、第1媒体の残りの熱を第3熱交換部521において水に移すことができる。
【0089】
第1熱交換部520において熱交換した第2媒体は、圧縮機兼膨張機550に送られて圧縮機兼膨張機550の圧縮膨張部550aにより膨張させられる。膨張した第2媒体が圧縮機兼膨張機550の発動発電部550bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機550において発電が行なわれる。
【0090】
圧縮機兼膨張機550において仕事をした第2媒体は、第2熱交換部560において外気に対して放熱して凝縮する。凝縮した第2媒体は、第2圧送部541により第1熱交換部520に向けて圧送される。
【0091】
第1媒体が上記のように流動することにより、吸熱部510において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換して発電しつつ、吸熱部510において吸熱した第1媒体の一部の熱で水を昇温して温水を供給することができる。
【0092】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図9に示すように、第2の媒体系500b内を第2媒体は、圧縮機兼膨張機550、逆流防止部570、第1熱交換部520、膨張機構580および第2熱交換部560を順に循環する。すなわち、図中の矢印630,631,632,633,634で示すように、第2媒体が循環する。
【0093】
第1媒体系500aにおいては、第1媒体は、第1熱交換部520、第3熱交換部521、第1圧送部540、吸熱部510またはバイパス部501を順に循環する。すなわち、図中の矢印640,641,642,643または644で示すように、第1媒体が循環する。
【0094】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、第2の媒体系500bにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機550の発動発電部550bを駆動させて、第2媒体を圧縮膨張部550aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた第2媒体は、逆流防止部570を通過した後、第1熱交換部520に送られて、第1媒体に第2媒体の熱の一部を与える。その後、第2媒体は、膨張機構580で膨張させられることにより減圧される。減圧された第2媒体は、第2熱交換部560で外気から吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機550に送られる。
【0095】
このように第2媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機550で第2媒体に吸熱させた熱を第1媒体に移すことができる。第1熱交換部520において熱交換された第1媒体は、第3熱交換部521において水に熱を移す。水と熱交換した第1媒体は、第1圧送部540により三方弁590に向けて圧送される。
【0096】
吸熱部510における吸熱が可能な場合には、第1媒体は、吸熱部510に送られて吸熱させられた後、第1熱交換部520に送られる。一方、吸熱部510における吸熱が不可能な場合または非効率な場合には、第1媒体は、バイパス部501を通過して第1熱交換部520に送られる。第3熱交換部521において、吸熱させられて昇温した水の一部は、温水供給部530から供給される。
【0097】
このようにヒートポンプサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部510で第1媒体に吸熱させた熱、および、圧縮機兼膨張機550で第2媒体に吸熱させた熱のうちの少なくとも第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を温水供給部530で供給することができる。
【0098】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム500においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部510における熱の吸熱量と、温水供給部530における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0099】
具体的には、制御部は、三方弁590,591,592,593,594,595の接続、および圧縮機兼膨張機550の運転を切り替える。
【0100】
本実施形態の温水および電力供給複合システム500においては、第2の媒体系500bのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部510における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部530から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム500の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0101】
以下、本発明の実施形態4に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1〜3に係る温水および電力供給複合システムと同一の構成要素については説明を繰り返さない。
【0102】
(実施形態4)
図10は、本発明の実施形態4に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図11は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図12は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0103】
図10に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム700においては、第1媒体が流動する第1媒体系700aと、第2媒体が流動する第2の媒体系700bと、水が流動する水系700cとが構成されている。本実施形態の第1媒体は熱媒体であり、第2媒体は作動媒体(冷媒)である。
【0104】
第1媒体系700aにおいては、吸熱部710と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部720と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部721と、第1媒体を圧送する第1圧送部740と、吸熱部710を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部701とが接続されている。
【0105】
バイパス部701の一端は、三方弁790を介して、吸熱部710と第1圧送部740との間に接続されている。バイパス部701の他端は、三方弁791を介して、吸熱部710と第1熱交換部720との間に接続されている。
【0106】
第2の媒体系700bにおいては、圧縮機兼膨張機750と、圧縮機兼膨張機750で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部770と、第1熱交換部720と、第2媒体を膨張させる膨張機構780と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部760と、第2媒体を圧送する第2圧送部741と、第2媒体と水系700cを循環する水との間で熱交換する第4熱交換部722とが接続されている。
【0107】
第4熱交換部722は、二重配管構造を有する熱交換器であって、内側の配管を第2媒体が流動し、外側の配管を水が流動する。ただし、この逆でもよく、内側の配管を水が流動し、外側の配管を第2媒体が流動するようにしてもよい。内側の配管は、熱伝導性の高い材料で形成されている。第2媒体および水は、第4熱交換部722を流動している間に、温度の高い方から温度の低い方に熱を移動させる。
【0108】
逆流防止部770は、三方弁792および三方弁793を介して、第1熱交換部720と圧縮機兼膨張機750との間に接続されている。膨張機構780の一端は、三方弁794を介して第1熱交換部720と第2圧送部741との間に接続されている。膨張機構780の他端は、第2熱交換部760の一端と接続されている。第2熱交換部760の他端は、三方弁795を介して圧縮機兼膨張機750と第4熱交換部722との間に接続されている。
【0109】
水系700cにおいては、温水供給部730と第3熱交換部721とが接続され、さらに第4熱交換部722が並列に接続されている。具体的には、第4熱交換部722の一端が、温水供給部730と第3熱交換部721と間の流路の一方に接続され、第4熱交換部722の他端が、温水供給部730と第3熱交換部721と間の流路の他方に接続されている。
【0110】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム700は、第2の媒体系700bをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0111】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム700において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、第1媒体および第2媒体の流動経路とそれぞれの流動中の状態とについて説明する。
【0112】
図11に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第2の媒体系700b内を第2媒体は、第1熱交換部720、圧縮機兼膨張機750、第4熱交換部722および第2圧送部741を順に循環する。すなわち、図中の矢印810,811,812,813で示すように、第2媒体が循環する。
【0113】
第1媒体系700aにおいては、第1媒体は、吸熱部710、第1熱交換部720、第3熱交換部721および第1圧送部740を順に循環する。すなわち、図中の矢印800,801,802,803で示すように、第1媒体が循環する。
【0114】
水系700cにおいては、水は、第3熱交換部721と温水供給部730との間で循環する。すなわち、図中の矢印820,821で示すように、水が循環する。また、水は、第4熱交換部722と温水供給部730との間で循環する。すなわち、図中の矢印823,824で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部730から温水として供給される。
【0115】
このようにランキンサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部710で吸熱させた第1媒体の熱の一部を第1熱交換部720において第2媒体に移した後、第1媒体の残りの熱を第3熱交換部721において水に移すことができる。
【0116】
第1熱交換部720において熱交換した第2媒体は、圧縮機兼膨張機750に送られて圧縮機兼膨張機750の圧縮膨張部750aにより膨張させられる。膨張した第2媒体が圧縮機兼膨張機750の発動発電部750bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機750において発電が行なわれる。
【0117】
圧縮機兼膨張機750において仕事をした第2媒体は、第4熱交換部722において水系700cを循環する水に対して放熱して凝縮する。凝縮した第2媒体は、第2圧送部741により第1熱交換部720に向けて圧送される。
【0118】
第1媒体が上記のように流動することにより、吸熱部710において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換して発電しつつ、吸熱部710において吸熱した第1媒体の一部の熱で水を昇温して温水を供給することができる。
【0119】
また、第2媒体が第4熱交換部722において凝縮する際に放熱される熱をで水を昇温して温水を供給することができる。
【0120】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図12に示すように、第2の媒体系700b内を第2媒体は、圧縮機兼膨張機750、逆流防止部770、第1熱交換部720、膨張機構780および第2熱交換部760を順に循環する。すなわち、図中の矢印830,831,832,833,834で示すように、第2媒体が循環する。
【0121】
第1媒体系700aにおいては、第1媒体は、第1熱交換部720、第3熱交換部721、第1圧送部740、吸熱部710またはバイパス部701を順に循環する。すなわち、図中の矢印840,841,842,843または844で示すように、第1媒体が循環する。
【0122】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、第2の媒体系700bにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機750の発動発電部750bを駆動させて、第2媒体を圧縮膨張部750aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた第2媒体は、逆流防止部770を通過した後、第1熱交換部720に送られて、第1媒体に第2媒体の熱の一部を与える。その後、第2媒体は、膨張機構780で膨張させられることにより減圧される。減圧された第2媒体は、第2熱交換部760で外気から吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機750に送られる。
【0123】
このように第2媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機750で第2媒体に吸熱させた熱を第1媒体に移すことができる。第1熱交換部720において熱交換された第1媒体は、第3熱交換部721において水に熱を移す。水と熱交換した第1媒体は、第1圧送部740により三方弁790に向けて圧送される。
【0124】
吸熱部710における吸熱が可能な場合には、第1媒体は、吸熱部710に送られて吸熱させられた後、第1熱交換部720に送られる。一方、吸熱部710における吸熱が不可能な場合または非効率な場合には、第1媒体は、バイパス部701を通過して第1熱交換部720に送られる。第3熱交換部721において吸熱させられて昇温した水の一部は、温水供給部730から供給される。
【0125】
このようにヒートポンプサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機750で第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を温水供給部730で供給することができる。
【0126】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム700においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部710における熱の吸熱量と、温水供給部730における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0127】
具体的には、制御部は、三方弁790,791,792,793,794,795の接続、および圧縮機兼膨張機750の運転を切り替える。
【0128】
本実施形態の温水および電力供給複合システム700においては、第2の媒体系700bのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部710における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部730から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム700の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0129】
以下、本発明の実施形態5に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1〜4に係る温水および電力供給複合システムと同一の構成要素については説明を繰り返さない。
【0130】
(実施形態5)
図13は、本発明の実施形態5に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図14は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図15は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0131】
図13に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム900においては、第1媒体が流動する第1媒体系900aと、第2媒体が流動する第2の媒体系900bと、水が流動する水系900cとが構成されている。本実施形態の第1媒体は熱媒体であり、第2媒体は作動媒体(冷媒)である。
【0132】
第1媒体系900aにおいては、吸熱部910と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部920と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部921と、第1媒体を圧送する第1圧送部940と、吸熱部910を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部901とが接続されている。
【0133】
バイパス部901の一端は、三方弁990を介して、吸熱部910と第1圧送部940との間に接続されている。バイパス部901の他端は、三方弁991を介して、吸熱部910と第1熱交換部920との間に接続されている。
【0134】
第2の媒体系900bにおいては、圧縮機兼膨張機950と、圧縮機兼膨張機950で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部970と、第1熱交換部920と、第2媒体を膨張させる膨張機構980と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部960と、第2媒体を圧送する第2圧送部941と、第2媒体と水系900cを循環する水との間で熱交換する第4熱交換部922とが接続されている。
【0135】
逆流防止部970は、三方弁992および三方弁993を介して、第1熱交換部920と圧縮機兼膨張機950との間に接続されている。膨張機構980の一端は、三方弁994を介して第1熱交換部920と第2圧送部941との間に接続されている。膨張機構980の他端は、第2熱交換部960の一端と接続されている。第2熱交換部960の他端は、三方弁995を介して圧縮機兼膨張機950と第4熱交換部922との間に接続されている。
【0136】
水系900cにおいては、温水供給部930と第3熱交換部921とが接続され、さらに第4熱交換部922が直列に接続されている。具体的には、第4熱交換部922の両端が、温水供給部930と第3熱交換部921と間の流路の一方に接続されている。
【0137】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム900は、第2の媒体系900bをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0138】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム900において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、第1媒体および第2媒体の流動経路とそれぞれの流動中の状態とについて説明する。
【0139】
図14に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第2の媒体系900b内を第2媒体は、第1熱交換部920、圧縮機兼膨張機950、第4熱交換部922および第2圧送部941を順に循環する。すなわち、図中の矢印1010,1011,1012,1013で示すように、第2媒体が循環する。
【0140】
第1媒体系900aにおいては、第1媒体は、吸熱部910、第1熱交換部920、第3熱交換部921および第1圧送部940を順に循環する。すなわち、図中の矢印1000,1001,1002,1003で示すように、第1媒体が循環する。
【0141】
水系900cにおいては、水は、第3熱交換部921、第4熱交換部922および温水供給部930を順に循環する。すなわち、図中の矢印1020,1021,1022,1023で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部930から温水として供給される。
【0142】
このようにランキンサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部910で吸熱させた第1媒体の熱の一部を第1熱交換部920において第2媒体に移した後、第1媒体の残りの熱を第3熱交換部921において水に移すことができる。
【0143】
第1熱交換部920において熱交換した第2媒体は、圧縮機兼膨張機950に送られて圧縮機兼膨張機950の圧縮膨張部950aにより膨張させられる。膨張した第2媒体が圧縮機兼膨張機950の発動発電部950bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機950において発電が行なわれる。
【0144】
圧縮機兼膨張機950において仕事をした第2媒体は、第4熱交換部922において水系900cを循環する水に対して放熱して凝縮する。凝縮した第2媒体は、第2圧送部941により第1熱交換部920に向けて圧送される。
【0145】
第1媒体が上記のように流動することにより、吸熱部910において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換して発電しつつ、吸熱部910において吸熱した第1媒体の一部の熱で水を昇温して温水を供給することができる。
【0146】
また、第2媒体が第4熱交換部922において凝縮する際に放熱される熱をで水を昇温して温水を供給することができる。
【0147】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図15に示すように、第2の媒体系900b内を第2媒体は、圧縮機兼膨張機950、逆流防止部970、第1熱交換部920、膨張機構980および第2熱交換部960を順に循環する。すなわち、図中の矢印1030,1031,1032,1033,1034で示すように、第2媒体が循環する。
【0148】
第1媒体系900aにおいては、第1媒体は、第1熱交換部920、第3熱交換部921、第1圧送部940、吸熱部910またはバイパス部901を順に循環する。すなわち、図中の矢印1040,1041,1042,1043または1044で示すように、第1媒体が循環する。
【0149】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、第2の媒体系900bにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機950の発動発電部950bを駆動させて、第2媒体を圧縮膨張部950aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた第2媒体は、逆流防止部970を通過した後、第1熱交換部920に送られて、第1媒体に第2媒体の熱の一部を与える。その後、第2媒体は、膨張機構980で膨張させられることにより減圧される。減圧された第2媒体は、第2熱交換部960で外気から吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機950に送られる。
【0150】
このように第2媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機950で第2媒体に吸熱させた熱を第1媒体に移すことができる。第1熱交換部920において熱交換された第1媒体は、第3熱交換部921において水に熱を移す。水と熱交換した第1媒体は、第1圧送部940により三方弁990に向けて圧送される。
【0151】
吸熱部910における吸熱が可能な場合には、第1媒体は、吸熱部910に送られて吸熱させられた後、第1熱交換部920に送られる。一方、吸熱部910における吸熱が不可能な場合または非効率な場合には、第1媒体は、バイパス部901を通過して第1熱交換部920に送られる。
【0152】
第3熱交換部921において吸熱させられて昇温した水は、第4熱交換部922においてさらに吸熱させられる。第4熱交換部922において吸熱させられて昇温した水の一部は、温水供給部930から供給される。
【0153】
このようにヒートポンプサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機950で第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を温水供給部930で供給することができる。
【0154】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム900においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部910における熱の吸熱量と、温水供給部930における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0155】
具体的には、制御部は、三方弁990,991,992,993,994,995の接続、および圧縮機兼膨張機950の運転を切り替える。
【0156】
本実施形態の温水および電力供給複合システム900においては、第2の媒体系900bのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部910における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部930から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム900の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0157】
以下、本発明の実施形態6に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1〜5に係る温水および電力供給複合システムの構成要素については説明を繰り返さない。
【0158】
(実施形態6)
本実施形態は、実施形態1〜5のいずれかの温水および電力供給複合システムにおける制御部の一形態に係るものである。
【0159】
図16は、本発明の実施形態6に係る制御部の構成を示す模式図である。図16に示すように、制御部1100は、温水および電力供給複合システム100,300,500,700,900の各構成に配置された検知装置に接続されている。
【0160】
制御部は、中央演算処理装置などの処理部1110と、半導体メモリおよびハードディスクなどの記憶装置を含む記録部1120と、ディスプレイおよびキーパッドなどを含む表示入力部1130とを有している。
【0161】
温水および電力供給複合システムの各構成に配置された検知装置は、各構成の運転状況をモニタリングしている。たとえば、吸熱部における吸熱量、および、温水供給部における温水供給量と供給される温水の水温などシステムの現状の運転状況をモニタリングする。検知装置は、その運転状況モニタの結果を処理部1110に送信する。処理部1110は、図中の1132で示すように、運転状況モニタの結果を表示入力部1130に表示させるともに、図中の矢印1122で示すように、運転状況モニタの結果を運転履歴として記録部1120に書き込む。
【0162】
記録部1120には、システムの過去の運転履歴が記録されている。たとえば、システムの各構成毎の運転時間、系を循環している冷媒または水の温度、温水供給部における温水供給量などが、季節および時間などの環境的なファクターとリンクして記録されている。
【0163】
システムの使用者は、表示入力部1130で現在の運転状況を確認しつつ、図中の矢印1131で示すようにシステムの各構成の運転設定を入力する。入力された運転設定は、処理部1110からシステムの各構成に制御出力として送られる。
【0164】
一度設定された運転設定は、記録部1120に運転パターンとして記録される。そのため、過去に同様の運転状況があった場合には、表示入力部1130から入力するのではなく、記録部1120に記録されている運転パターンが読み出されて、図中の矢印1121で示すように処理部1110に送られる。処理部1110に送られた運転パターンは、システムの各構成に制御出力として送られる。
【0165】
上記のように構成された制御部1100は、温水供給部における温水の必要供給量を推測し、吸熱部における熱の吸熱量が必要供給量の温水の供給に必要な熱量以上である場合には、ランキンサイクル運転を実行させ、吸熱部における熱の吸熱量が必要供給量の温水の供給に必要な熱量より少ない場合には、ヒートポンプサイクル運転を実行させる。
【0166】
すなわち、季節および時間などによって吸熱部から得られる熱量の変化を予測して、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、温水の供給と発電とを安定して行なうことができ、かつ、吸熱した熱量を無駄にすることなく有効に使用することができる。
【0167】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0168】
10 太陽熱、100,300,500,700,900 電力供給複合システム、100a 第1の媒体系、100b,500b,700b,900b 第2の媒体系、101,501,701,901 バイパス部、110,310,510,710,910 吸熱部、120,520,720,920 第1熱交換部、130,330,530,730,930 温水供給部、140,340,540,740,940 第1圧送部、141,541,741,941 第2圧送部、150,350,550,750,950 圧縮機兼膨張機、150a,350a,550a,750a,950a 圧縮膨張部、150b,350b,550b,750b,950b 発動発電部、160,560,760,960 第2熱交換部、170,370,570,770,970 逆流防止部、180,380,580,780,980 膨張機構、190,191,192,193,194,392,393,394,395,396,397,590,591,592,593,594,595,790,791,792,793,794,795,990,991,992,993,994,995 三方弁、300a, 媒体系、300c,500c,700c,900c 水系、301 流路、320,321,521,721,921 第3熱交換部、500a,700a,900a 第1媒体系、722,922 第4熱交換部、1100 制御部、1110 処理部、1120 記録部、1130 表示入力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水および電力供給複合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境に配慮したクリーンなエネルギー変換システムとして、工場で稼働する装置からの廃熱または太陽熱などを利用するシステムが開発されている。廃熱または太陽熱などの外部の熱源を用いて給湯を行なうと同時に、系内の動力で発電する発電併用給湯システムを開示した先行文献として、特許文献1がある。
【0003】
特許文献1に記載された発電併用給湯システムにおいては、天候または季節などによって給湯が不安定になることを抑制するために、別系統の熱源である追い焚き器を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−210162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
追い焚き器のような別系統の熱源を設けた場合、システムの部品点数が増大するとともに、燃料の補給の手間が増えて、システムの利便性が低下する。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、安定した温水供給および発電が可能で利便性に優れた、温水および電力供給複合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づく温水および電力供給複合システムは、外部熱源からの熱を第1媒体に吸熱させる吸熱部と、ランキンサイクル運転の状態において、吸熱部において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換する圧縮機兼膨張機と、吸熱部において吸熱した第1媒体の一部の熱により昇温された温水を供給する温水供給部とを備える。ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、圧縮機兼膨張機は、外部から供給された電力を熱に変換して、この熱を第2媒体に吸熱させ、温水供給部は、圧縮機兼膨張機によって第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を供給する。
【0008】
本発明の一形態においては、圧縮機兼膨張機は、第2媒体を選択的に圧縮または膨張させる圧縮膨張部とこの圧縮膨張部に接続された発動発電部とを含み、ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体の圧力により圧縮膨張部は膨張機として駆動されて発動発電部は発電機として機能し、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から電力が供給されて発動発電部は発動機として駆動されて圧縮膨張部は圧縮機として機能する。
【0009】
好ましくは、温水および電力供給複合システムは、吸熱部における熱の吸熱量と、温水供給部における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える制御部をさらに備えた。
【0010】
本発明の一形態においては、第1媒体が水であり、第2媒体が作動媒体である。ランキンサイクル運転の状態においては、温水供給部は、吸熱部において吸熱した熱により昇温された水を供給する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、温水供給部は、作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する。
【0011】
本発明の一形態においては、単一の作動媒体が第1媒体および第2媒体として用いられる。温水供給部は、作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する。
【0012】
本発明の一形態においては、第1媒体が熱媒体であり、第2媒体が作動媒体である。ランキンサイクル運転の状態においては、温水供給部は、熱媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、温水供給部は、熱媒体および作動媒体のうちの少なくとも作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する。
【0013】
好ましくは、制御部は、温水供給部における温水の必要供給量を推測し、吸熱部における熱の吸熱量が上記必要供給量の温水の供給に必要な熱量以上である場合には、ランキンサイクル運転を実行させ、吸熱部における熱の吸熱量が上記必要供給量の温水の供給に必要な熱量より少ない場合には、ヒートポンプサイクル運転を実行させる。
【0014】
本発明の一形態においては、第1媒体が流動する第1媒体系と、第2媒体が流動する第2の媒体系とが構成されている。第1媒体系においては、吸熱部と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、温水供給部と、第1媒体を圧送する第1圧送部と、吸熱部を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部とが接続されている。第2の媒体系においては、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1熱交換部と、第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、第2媒体を圧送する第2圧送部とが接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体は、第1熱交換部、圧縮機兼膨張機、第2熱交換部および第2圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第1熱交換部、膨張機構および第2熱交換部を順に循環する。
【0015】
本発明の一形態においては、第1媒体および第2媒体が流動する媒体系と、水が流動する水系とが構成されている。媒体系においては、吸熱部と、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1媒体および第2媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部と、第1媒体および第2媒体を圧送する第1圧送部と、第2媒体を膨張させる膨張機構とが接続されている。水系においては、温水供給部と第3熱交換部とが接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第1媒体または第2媒体は、吸熱部、圧縮機兼膨張機、第3熱交換部および第1圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第1媒体または第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第3熱交換部、膨張機構および吸熱部を順に循環する。
【0016】
本発明の一形態においては、第1媒体が流動する第1媒体系と、第2媒体が流動する第2の媒体系と、水が流動する水系とが構成されている。第1媒体系においては、吸熱部と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部と、第1媒体を圧送する第1圧送部と、吸熱部を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部とが接続されている。第2の媒体系においては、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1熱交換部と、第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、第2媒体を圧送する第2圧送部とが接続されている。水系においては、温水供給部と第3熱交換部とが接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体は、第1熱交換部、圧縮機兼膨張機、第2熱交換部および第2圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第1熱交換部、膨張機構および第2熱交換部を順に循環する。
【0017】
本発明の一形態においては、第1媒体が流動する第1媒体系と、第2媒体が流動する第2の媒体系と、水が流動する水系とが構成されている。第1媒体系においては、吸熱部と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、温水供給部と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部と、第1媒体を圧送する第1圧送部と、吸熱部を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部とが接続されている。第2の媒体系においては、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1熱交換部と、第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、第2媒体を圧送する第2圧送部と、第2媒体と水との間で熱交換させる第4熱交換部とが接続されている。水系においては、温水供給部と第3熱交換部とが接続され、さらに第4熱交換部が並列に接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体は、第1熱交換部、圧縮機兼膨張機、第4熱交換部および第2圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第1熱交換部、膨張機構および第2熱交換部を順に循環する。
【0018】
本発明の一形態においては、第1媒体が流動する第1媒体系と、第2媒体が流動する第2の媒体系と、水が流動する水系とが構成されている。第1媒体系においては、吸熱部と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、温水供給部と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部と、第1媒体を圧送する第1圧送部と、吸熱部を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部とが接続されている。第2の媒体系においては、圧縮機兼膨張機と、圧縮機兼膨張機で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、第1熱交換部と、第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、第2媒体を圧送する第2圧送部と、第2媒体と水との間で熱交換させる第4熱交換部とが接続されている。水系においては、温水供給部と第3熱交換部とが接続され、さらに第4熱交換部が直列に接続されている。ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体は、第1熱交換部、圧縮機兼膨張機、第4熱交換部および第2圧送部を順に循環する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第2媒体は、圧縮機兼膨張機、逆流防止部、第1熱交換部、膨張機構および第2熱交換部を順に循環する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、安定した温水供給および発電が可能で利便性に優れた、温水および電力供給複合システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図2】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図3】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図5】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図6】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図7】本発明の実施形態3に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図8】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図9】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図10】本発明の実施形態4に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図11】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図12】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図13】本発明の実施形態5に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。
【図14】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図15】同実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【図16】本発明の実施形態6に係る制御部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態1に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図2は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図3は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム100においては、第1媒体が流動する第1の媒体系100aと、第2媒体が流動する第2の媒体系100bとが構成されている。本実施形態の第1媒体は水であり、第2媒体は作動媒体(冷媒)である。作動媒体としては、たとえば、メタノールと水との混合液、または、アセトンと水との混合液などを用いることができる。
【0024】
第1の媒体系100aにおいては、吸熱部110と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部120と、温水供給部130と、第1媒体を圧送する第1圧送部140と、吸熱部110を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部101とが接続されている。
【0025】
本実施形態の吸熱部110は、太陽熱10を第1媒体に吸熱させる。ただし、吸熱部110は、太陽熱10の吸熱に限られず、たとえば、工場などで使用する装置から発生する廃熱を吸熱させるものでもよく、外部熱源からの熱を第1媒体に吸熱させるものであればよい。
【0026】
第1熱交換部120は、二重配管構造を有する熱交換器であって、内側の配管を第1媒体が流動し、外側の配管を第2媒体が流動する。ただし、この逆でもよく、内側の配管を第2媒体が流動し、外側の配管を第1媒体が流動するようにしてもよい。内側の配管は、熱伝導性の高い材料で形成されている。第1媒体および第2媒体は、第1熱交換部120を流動している間に、温度の高い方から温度の低い方に熱を移動させる。
【0027】
温水供給部130は、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱により昇温された温水を供給する。本実施形態においては、第1媒体である水が温水供給部130から供給される。温水供給部130では、使用された温水と略同等の量の水が補充される。
【0028】
第1圧送部140は、第1媒体に圧力をかけて流動させる機能を有し、たとえばポンプである。バイパス部101の一端は、三方弁190を介して、吸熱部110と第1圧送部140との間に接続されている。バイパス部101の他端は、三方弁191を介して、吸熱部110と第1熱交換部120との間に接続されている。
【0029】
第2の媒体系100bにおいては、圧縮機兼膨張機150と、圧縮機兼膨張機150で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部170と、第1熱交換部120と、第2媒体を膨張させる膨張機構180と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部160と、第2媒体を圧送する第2圧送部141とが接続されている。
【0030】
本実施形態の圧縮機兼膨張機150は、第2媒体を選択的に圧縮または膨張させる圧縮膨張部150aと、この圧縮膨張部150aに接続された発動発電部150bとを含む。後述するように、圧縮機兼膨張機は、ランキンサイクル運転の状態においては、第2媒体の圧力により圧縮膨張部が膨張機として駆動されることにより発動発電部は発電機として機能し、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から電力が供給されて発動発電部が発動機として駆動されることにより圧縮膨張部は圧縮機として機能する。
【0031】
逆流防止部170は、圧縮された第2媒体の逆流を防止する機能を有し、たとえば、逆止弁である。逆流防止部170は、三方弁192および三方弁193を介して、第1熱交換部120と圧縮機兼膨張機150との間に接続されている。
【0032】
膨張機構180は、第2媒体を膨張させる機能を有し、たとえば、膨張弁である。膨張機構180の一端は、三方弁194を介して第1熱交換部120と第2圧送部141との間に接続されている。膨張機構180の他端は、三方弁195を介して第2熱交換部160と第2圧送部141との間に接続されている。
【0033】
第2熱交換部160は、第2媒体が流動する配管の外側に外気を通流させる構造を有している。外気の方が第2媒体より温度が高い場合は、第2媒体は第2熱交換部160を流動している間に、第2媒体は外気から吸熱する。外気の方が第2媒体より温度が低い場合は、第2媒体は第2熱交換部160を流動している間に、第2媒体は外気へ放熱する。
【0034】
第2圧送部141は、第2媒体に圧力をかけて流動させる機能を有し、たとえば、ポンプである。
【0035】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム100は、第2の媒体系100bをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0036】
ランキンサイクル運転の状態とは、第1の媒体系100aの吸熱部110において、温水供給部130から温水を供給するために必要な熱量以上の熱量を吸熱できた場合に、その余剰の熱を電力に変換するための運転状態である。
【0037】
ヒートポンプサイクル運転の状態とは、第1の媒体系100aの吸熱部110において、温水供給部130から温水を供給するために必要な熱量より少ない熱量しか吸熱できない場合に、その不足の熱を電力から変換して補うための運転状態である。
【0038】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム100において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、第1媒体および第2媒体の流動経路とそれぞれの流動中の状態とについて説明する。
【0039】
図2に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第2の媒体系100b内を第2媒体は、第1熱交換部120、圧縮機兼膨張機150、第2熱交換部160および第2圧送部141を順に循環する。すなわち、図中の矢印210,211,212,213で示すように、第2媒体が循環する。
【0040】
第1の媒体系100aにおいては、第1媒体は、吸熱部110、第1熱交換部120、温水供給部130および第1圧送部140を順に循環する。すなわち、図中の矢印200,201,202,203で示すように、第1媒体が循環する。
【0041】
このようにランキンサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部110で第1媒体に吸熱させた熱の一部を第1熱交換部120において第2媒体に移した後、第1媒体の残りの熱で昇温された温水を温水供給部130で供給することができる。
【0042】
第1熱交換部120において熱交換した第2媒体は、圧縮機兼膨張機150に送られて圧縮機兼膨張機150の圧縮膨張部150aにより膨張させられる。膨張した第2媒体が圧縮機兼膨張機150の発動発電部150bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機150において発電が行なわれる。
【0043】
圧縮機兼膨張機150において仕事をした第2媒体は、第2熱交換部160において外気に対して放熱して凝縮する。凝縮した第2媒体は、第2圧送部141により第1熱交換部120に向けて圧送される。
【0044】
第1媒体および第2媒体が上記のように流動することにより、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱で水を昇温して温水を供給しつつ、吸熱部110において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換して発電することができる。
【0045】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図3に示すように、第2の媒体系100b内を第2媒体は、圧縮機兼膨張機150、逆流防止部170、第1熱交換部120、膨張機構180および第2熱交換部160を順に循環する。すなわち、図中の矢印220,221,222,223,224で示すように、第2媒体が循環する。
【0046】
第1の媒体系100aにおいては、第1媒体は、第1熱交換部120、温水供給部130、第1圧送部140、吸熱部110またはバイパス部101を順に循環する。すなわち、図中の矢印230,231,232,233または234,235で示すように、第1媒体が循環する。
【0047】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、第2の媒体系100bにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機150の発動発電部150bを駆動させて、第2媒体を圧縮膨張部150aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた第2媒体は、逆流防止部170を通過した後、第1熱交換部120に送られて、第1媒体に第2媒体の熱の一部を与える。その後、第2媒体は、膨張機構180で膨張させられることにより減圧される。減圧された第2媒体は、第2熱交換部160で外気から吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機150に送られる。
【0048】
このように第2媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機150で第2媒体に吸熱させた熱を第1媒体に移すことができる。第1熱交換部120において熱交換された第1媒体の一部は、温水供給部130で温水として供給される。第1媒体の残りは、第1圧送部140により三方弁190に向けて圧送される。
【0049】
吸熱部110における吸熱が可能な場合には、第1媒体は、吸熱部110に送られて吸熱させられた後、第1熱交換部120に送られる。一方、吸熱部110における吸熱が不可能な場合または非効率な場合には、第1媒体は、バイパス部101を通過して第1熱交換部120に送られる。たとえば、冬季の雨天時などには、バイパス部101を通過するように第1媒体が送られる。
【0050】
このようにヒートポンプサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機150で第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を温水供給部130で供給することができる。
【0051】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム100においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部110における熱の吸熱量と、温水供給部130における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0052】
具体的には、制御部は、三方弁190,191,192,193,194,195の接続、および圧縮機兼膨張機150の運転を切り替える。
【0053】
本実施形態の温水および電力供給複合システム100においては、第2の媒体系100bのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部110における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部130から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム100の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0054】
以下、本発明の実施形態2に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1に係る温水および電力供給複合システムと同一の構成要素については説明を繰り返さない。
【0055】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図5は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図6は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0056】
図4に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム300においては、第1媒体および第2媒体が流動する媒体系300aと、水が流動する水系300cとが構成されている。本実施形態では、単一の作動媒体が第1媒体および第2媒体として用いられる。言い換えると、第1媒体が第2媒体を兼ねている。
【0057】
媒体系300aにおいては、吸熱部310と、圧縮機兼膨張機350と、圧縮機兼膨張機350で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部370と、第1媒体および第2媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部321と、第1媒体および第2媒体を圧送する第1圧送部340と、第2媒体を膨張させる膨張機構380とが接続されている。
【0058】
逆流防止部370は、圧縮機兼膨張機350を間に挟むように三方弁392,393を介して接続されている。膨張機構380は、第1圧送部340を間に挟むように三方弁394,395を介して接続されている。なお、媒体系300aにおいては、圧縮機兼膨張機350に対して作動媒体の流動経路を反転させるための流路301が、圧縮機兼膨張機350を間に挟むように三方弁396,397を介して接続されている。
【0059】
水系300cにおいては、温水供給部330と第3熱交換部321とが接続されている。第3熱交換部321は、二重配管構造を有する熱交換器であって、内側の配管を作動媒体が流動し、外側の配管を水が流動する。ただし、この逆でもよく、内側の配管を水が流動し、外側の配管を作動媒体が流動するようにしてもよい。内側の配管は、熱伝導性の高い材料で形成されている。作動媒体は、第3熱交換部321を流動している間に、水を昇温して温水にする。
【0060】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム300は、媒体系300aをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0061】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム300において、ランキンサイクル運転の状態、および、ヒートポンプサイクル運転の状態における、作動媒体の流動経路と流動中の状態とについて説明する。
【0062】
図5に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、作動媒体は、吸熱部310、圧縮機兼膨張機350、第3熱交換部321および第1圧送部340を順に循環する。すなわち、図中の矢印400,401,402,403で示すように、作動媒体が循環する。
【0063】
水系300cにおいては、水は、第3熱交換部321と温水供給部330との間で循環する。すなわち、図中の矢印410,411で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部330から温水として供給される。
【0064】
このように作動媒体が循環することにより、吸熱部310で吸熱させた作動媒体が圧縮機兼膨張機350に送られる。作動媒体は、圧縮機兼膨張機350に送られて圧縮機兼膨張機350の圧縮膨張部350aにより膨張させられる。膨張した作動媒体が圧縮機兼膨張機350の発動発電部350bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機350において発電が行なわれる。
【0065】
圧縮機兼膨張機350において仕事をした作動媒体は、第3熱交換部321に送られる。第3熱交換部において、作動媒体は残りの熱を水系300cを循環する水に移すことができる。
【0066】
第3熱交換部321において放熱した作動媒体は凝縮して、第1圧送部340により吸熱部310に向けて圧送される。
【0067】
作動媒体が上記のように流動することにより、吸熱部310において吸熱した作動媒体の一部の熱を電力に変換して発電しつつ、吸熱部110において吸熱した一部の熱で水を昇温して温水を供給することができる。
【0068】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図6に示すように、作動媒体は、圧縮機兼膨張機350、逆流防止部370、第3熱交換部321、膨張機構380および吸熱部310を順に循環する。すなわち、図中の矢印420,421,422,423,424,425で示すように、作動媒体が循環する。
【0069】
水系300cにおいては、水は、第3熱交換部321と温水供給部330との間で循環する。すなわち、図中の矢印430,431で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部330から温水として供給される。
【0070】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、媒体系300aにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機350の発動発電部350bを駆動させて、作動媒体を圧縮膨張部350aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた作動媒体は、逆流防止部370を通過した後、第3熱交換部321に送られて、水系300cを循環する水に作動媒体の熱の一部を与える。その後、作動媒体は、膨張機構380で膨張させられることにより減圧される。減圧された作動媒体は、吸熱部310で吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機350に送られる。
【0071】
このように作動媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機350で作動媒体に吸熱させた熱を水に移すことができる。昇温された水の一部は、温水供給部330で温水として供給される。
【0072】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム300においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部310における熱の吸熱量と、温水供給部330における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0073】
具体的には、制御部は、三方弁392,393,394,395,396,397の接続、および圧縮機兼膨張機350の運転を切り替える。
【0074】
本実施形態の温水および電力供給複合システム300においては、媒体系300aのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部310における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部330から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム300の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0075】
以下、本発明の実施形態3に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1,2に係る温水および電力供給複合システムと同一の構成要素については説明を繰り返さない。
【0076】
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図8は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図9は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0077】
図7に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム500においては、第1媒体が流動する第1媒体系500aと、第2媒体が流動する第2の媒体系500bと、水が流動する水系500cとが構成されている。本実施形態の第1媒体は熱媒体であり、第2媒体は作動媒体(冷媒)である。熱媒体としては、たとえば、水または油などを用いることができる。
【0078】
第1媒体系500aにおいては、吸熱部510と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部520と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部521と、第1媒体を圧送する第1圧送部540と、吸熱部510を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部501とが接続されている。
【0079】
バイパス部501の一端は、三方弁590を介して、吸熱部510と第1圧送部540との間に接続されている。バイパス部501の他端は、三方弁591を介して、吸熱部510と第1熱交換部520との間に接続されている。
【0080】
第2の媒体系500bにおいては、圧縮機兼膨張機550と、圧縮機兼膨張機550で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部570と、第1熱交換部520と、第2媒体を膨張させる膨張機構580と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部560と、第2媒体を圧送する第2圧送部541とが接続されている。
【0081】
逆流防止部570は、三方弁592および三方弁593を介して、第1熱交換部520と圧縮機兼膨張機550との間に接続されている。膨張機構580の一端は、三方弁594を介して第1熱交換部520と第2圧送部541との間に接続されている。膨張機構580の他端は、三方弁595を介して第2熱交換部560と第2圧送部541との間に接続されている。
【0082】
水系500cにおいては、温水供給部530と第3熱交換部521とが接続されている。
【0083】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム500は、第2の媒体系500bをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0084】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム500において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、第1媒体および第2媒体の流動経路とそれぞれの流動中の状態とについて説明する。
【0085】
図8に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第2の媒体系500b内を第2媒体は、第1熱交換部520、圧縮機兼膨張機550、第2熱交換部560および第2圧送部541を順に循環する。すなわち、図中の矢印610,611,612,613で示すように、第2媒体が循環する。
【0086】
第1媒体系500aにおいては、第1媒体は、吸熱部510、第1熱交換部520、第3熱交換部521および第1圧送部540を順に循環する。すなわち、図中の矢印600,601,602,603で示すように、第1媒体が循環する。
【0087】
水系500cにおいては、水は、第3熱交換部521と温水供給部530との間で循環する。すなわち、図中の矢印620,621で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部530から温水として供給される。
【0088】
このようにランキンサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部510で吸熱させた第1媒体の熱の一部を第1熱交換部520において第2媒体に移した後、第1媒体の残りの熱を第3熱交換部521において水に移すことができる。
【0089】
第1熱交換部520において熱交換した第2媒体は、圧縮機兼膨張機550に送られて圧縮機兼膨張機550の圧縮膨張部550aにより膨張させられる。膨張した第2媒体が圧縮機兼膨張機550の発動発電部550bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機550において発電が行なわれる。
【0090】
圧縮機兼膨張機550において仕事をした第2媒体は、第2熱交換部560において外気に対して放熱して凝縮する。凝縮した第2媒体は、第2圧送部541により第1熱交換部520に向けて圧送される。
【0091】
第1媒体が上記のように流動することにより、吸熱部510において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換して発電しつつ、吸熱部510において吸熱した第1媒体の一部の熱で水を昇温して温水を供給することができる。
【0092】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図9に示すように、第2の媒体系500b内を第2媒体は、圧縮機兼膨張機550、逆流防止部570、第1熱交換部520、膨張機構580および第2熱交換部560を順に循環する。すなわち、図中の矢印630,631,632,633,634で示すように、第2媒体が循環する。
【0093】
第1媒体系500aにおいては、第1媒体は、第1熱交換部520、第3熱交換部521、第1圧送部540、吸熱部510またはバイパス部501を順に循環する。すなわち、図中の矢印640,641,642,643または644で示すように、第1媒体が循環する。
【0094】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、第2の媒体系500bにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機550の発動発電部550bを駆動させて、第2媒体を圧縮膨張部550aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた第2媒体は、逆流防止部570を通過した後、第1熱交換部520に送られて、第1媒体に第2媒体の熱の一部を与える。その後、第2媒体は、膨張機構580で膨張させられることにより減圧される。減圧された第2媒体は、第2熱交換部560で外気から吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機550に送られる。
【0095】
このように第2媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機550で第2媒体に吸熱させた熱を第1媒体に移すことができる。第1熱交換部520において熱交換された第1媒体は、第3熱交換部521において水に熱を移す。水と熱交換した第1媒体は、第1圧送部540により三方弁590に向けて圧送される。
【0096】
吸熱部510における吸熱が可能な場合には、第1媒体は、吸熱部510に送られて吸熱させられた後、第1熱交換部520に送られる。一方、吸熱部510における吸熱が不可能な場合または非効率な場合には、第1媒体は、バイパス部501を通過して第1熱交換部520に送られる。第3熱交換部521において、吸熱させられて昇温した水の一部は、温水供給部530から供給される。
【0097】
このようにヒートポンプサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部510で第1媒体に吸熱させた熱、および、圧縮機兼膨張機550で第2媒体に吸熱させた熱のうちの少なくとも第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を温水供給部530で供給することができる。
【0098】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム500においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部510における熱の吸熱量と、温水供給部530における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0099】
具体的には、制御部は、三方弁590,591,592,593,594,595の接続、および圧縮機兼膨張機550の運転を切り替える。
【0100】
本実施形態の温水および電力供給複合システム500においては、第2の媒体系500bのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部510における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部530から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム500の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0101】
以下、本発明の実施形態4に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1〜3に係る温水および電力供給複合システムと同一の構成要素については説明を繰り返さない。
【0102】
(実施形態4)
図10は、本発明の実施形態4に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図11は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図12は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0103】
図10に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム700においては、第1媒体が流動する第1媒体系700aと、第2媒体が流動する第2の媒体系700bと、水が流動する水系700cとが構成されている。本実施形態の第1媒体は熱媒体であり、第2媒体は作動媒体(冷媒)である。
【0104】
第1媒体系700aにおいては、吸熱部710と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部720と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部721と、第1媒体を圧送する第1圧送部740と、吸熱部710を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部701とが接続されている。
【0105】
バイパス部701の一端は、三方弁790を介して、吸熱部710と第1圧送部740との間に接続されている。バイパス部701の他端は、三方弁791を介して、吸熱部710と第1熱交換部720との間に接続されている。
【0106】
第2の媒体系700bにおいては、圧縮機兼膨張機750と、圧縮機兼膨張機750で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部770と、第1熱交換部720と、第2媒体を膨張させる膨張機構780と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部760と、第2媒体を圧送する第2圧送部741と、第2媒体と水系700cを循環する水との間で熱交換する第4熱交換部722とが接続されている。
【0107】
第4熱交換部722は、二重配管構造を有する熱交換器であって、内側の配管を第2媒体が流動し、外側の配管を水が流動する。ただし、この逆でもよく、内側の配管を水が流動し、外側の配管を第2媒体が流動するようにしてもよい。内側の配管は、熱伝導性の高い材料で形成されている。第2媒体および水は、第4熱交換部722を流動している間に、温度の高い方から温度の低い方に熱を移動させる。
【0108】
逆流防止部770は、三方弁792および三方弁793を介して、第1熱交換部720と圧縮機兼膨張機750との間に接続されている。膨張機構780の一端は、三方弁794を介して第1熱交換部720と第2圧送部741との間に接続されている。膨張機構780の他端は、第2熱交換部760の一端と接続されている。第2熱交換部760の他端は、三方弁795を介して圧縮機兼膨張機750と第4熱交換部722との間に接続されている。
【0109】
水系700cにおいては、温水供給部730と第3熱交換部721とが接続され、さらに第4熱交換部722が並列に接続されている。具体的には、第4熱交換部722の一端が、温水供給部730と第3熱交換部721と間の流路の一方に接続され、第4熱交換部722の他端が、温水供給部730と第3熱交換部721と間の流路の他方に接続されている。
【0110】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム700は、第2の媒体系700bをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0111】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム700において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、第1媒体および第2媒体の流動経路とそれぞれの流動中の状態とについて説明する。
【0112】
図11に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第2の媒体系700b内を第2媒体は、第1熱交換部720、圧縮機兼膨張機750、第4熱交換部722および第2圧送部741を順に循環する。すなわち、図中の矢印810,811,812,813で示すように、第2媒体が循環する。
【0113】
第1媒体系700aにおいては、第1媒体は、吸熱部710、第1熱交換部720、第3熱交換部721および第1圧送部740を順に循環する。すなわち、図中の矢印800,801,802,803で示すように、第1媒体が循環する。
【0114】
水系700cにおいては、水は、第3熱交換部721と温水供給部730との間で循環する。すなわち、図中の矢印820,821で示すように、水が循環する。また、水は、第4熱交換部722と温水供給部730との間で循環する。すなわち、図中の矢印823,824で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部730から温水として供給される。
【0115】
このようにランキンサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部710で吸熱させた第1媒体の熱の一部を第1熱交換部720において第2媒体に移した後、第1媒体の残りの熱を第3熱交換部721において水に移すことができる。
【0116】
第1熱交換部720において熱交換した第2媒体は、圧縮機兼膨張機750に送られて圧縮機兼膨張機750の圧縮膨張部750aにより膨張させられる。膨張した第2媒体が圧縮機兼膨張機750の発動発電部750bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機750において発電が行なわれる。
【0117】
圧縮機兼膨張機750において仕事をした第2媒体は、第4熱交換部722において水系700cを循環する水に対して放熱して凝縮する。凝縮した第2媒体は、第2圧送部741により第1熱交換部720に向けて圧送される。
【0118】
第1媒体が上記のように流動することにより、吸熱部710において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換して発電しつつ、吸熱部710において吸熱した第1媒体の一部の熱で水を昇温して温水を供給することができる。
【0119】
また、第2媒体が第4熱交換部722において凝縮する際に放熱される熱をで水を昇温して温水を供給することができる。
【0120】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図12に示すように、第2の媒体系700b内を第2媒体は、圧縮機兼膨張機750、逆流防止部770、第1熱交換部720、膨張機構780および第2熱交換部760を順に循環する。すなわち、図中の矢印830,831,832,833,834で示すように、第2媒体が循環する。
【0121】
第1媒体系700aにおいては、第1媒体は、第1熱交換部720、第3熱交換部721、第1圧送部740、吸熱部710またはバイパス部701を順に循環する。すなわち、図中の矢印840,841,842,843または844で示すように、第1媒体が循環する。
【0122】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、第2の媒体系700bにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機750の発動発電部750bを駆動させて、第2媒体を圧縮膨張部750aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた第2媒体は、逆流防止部770を通過した後、第1熱交換部720に送られて、第1媒体に第2媒体の熱の一部を与える。その後、第2媒体は、膨張機構780で膨張させられることにより減圧される。減圧された第2媒体は、第2熱交換部760で外気から吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機750に送られる。
【0123】
このように第2媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機750で第2媒体に吸熱させた熱を第1媒体に移すことができる。第1熱交換部720において熱交換された第1媒体は、第3熱交換部721において水に熱を移す。水と熱交換した第1媒体は、第1圧送部740により三方弁790に向けて圧送される。
【0124】
吸熱部710における吸熱が可能な場合には、第1媒体は、吸熱部710に送られて吸熱させられた後、第1熱交換部720に送られる。一方、吸熱部710における吸熱が不可能な場合または非効率な場合には、第1媒体は、バイパス部701を通過して第1熱交換部720に送られる。第3熱交換部721において吸熱させられて昇温した水の一部は、温水供給部730から供給される。
【0125】
このようにヒートポンプサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機750で第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を温水供給部730で供給することができる。
【0126】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム700においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部710における熱の吸熱量と、温水供給部730における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0127】
具体的には、制御部は、三方弁790,791,792,793,794,795の接続、および圧縮機兼膨張機750の運転を切り替える。
【0128】
本実施形態の温水および電力供給複合システム700においては、第2の媒体系700bのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部710における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部730から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム700の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0129】
以下、本発明の実施形態5に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1〜4に係る温水および電力供給複合システムと同一の構成要素については説明を繰り返さない。
【0130】
(実施形態5)
図13は、本発明の実施形態5に係る温水および電力供給複合システムの構成を示す系統図である。図14は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。図15は、本実施形態に係る温水および電力供給複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での媒体の流れを示す図である。
【0131】
図13に示すように、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム900においては、第1媒体が流動する第1媒体系900aと、第2媒体が流動する第2の媒体系900bと、水が流動する水系900cとが構成されている。本実施形態の第1媒体は熱媒体であり、第2媒体は作動媒体(冷媒)である。
【0132】
第1媒体系900aにおいては、吸熱部910と、第1媒体と第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部920と、第1媒体と水との間で熱交換させる第3熱交換部921と、第1媒体を圧送する第1圧送部940と、吸熱部910を迂回して第1媒体を流動させるバイパス部901とが接続されている。
【0133】
バイパス部901の一端は、三方弁990を介して、吸熱部910と第1圧送部940との間に接続されている。バイパス部901の他端は、三方弁991を介して、吸熱部910と第1熱交換部920との間に接続されている。
【0134】
第2の媒体系900bにおいては、圧縮機兼膨張機950と、圧縮機兼膨張機950で圧縮された第2媒体の逆流を防止する逆流防止部970と、第1熱交換部920と、第2媒体を膨張させる膨張機構980と、外気と第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部960と、第2媒体を圧送する第2圧送部941と、第2媒体と水系900cを循環する水との間で熱交換する第4熱交換部922とが接続されている。
【0135】
逆流防止部970は、三方弁992および三方弁993を介して、第1熱交換部920と圧縮機兼膨張機950との間に接続されている。膨張機構980の一端は、三方弁994を介して第1熱交換部920と第2圧送部941との間に接続されている。膨張機構980の他端は、第2熱交換部960の一端と接続されている。第2熱交換部960の他端は、三方弁995を介して圧縮機兼膨張機950と第4熱交換部922との間に接続されている。
【0136】
水系900cにおいては、温水供給部930と第3熱交換部921とが接続され、さらに第4熱交換部922が直列に接続されている。具体的には、第4熱交換部922の両端が、温水供給部930と第3熱交換部921と間の流路の一方に接続されている。
【0137】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム900は、第2の媒体系900bをランキンサイクル運転の状態と、ヒートポンプサイクル運転の状態とに切り替えることができる。
【0138】
以下、本実施形態に係る温水および電力供給複合システム900において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、第1媒体および第2媒体の流動経路とそれぞれの流動中の状態とについて説明する。
【0139】
図14に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第2の媒体系900b内を第2媒体は、第1熱交換部920、圧縮機兼膨張機950、第4熱交換部922および第2圧送部941を順に循環する。すなわち、図中の矢印1010,1011,1012,1013で示すように、第2媒体が循環する。
【0140】
第1媒体系900aにおいては、第1媒体は、吸熱部910、第1熱交換部920、第3熱交換部921および第1圧送部940を順に循環する。すなわち、図中の矢印1000,1001,1002,1003で示すように、第1媒体が循環する。
【0141】
水系900cにおいては、水は、第3熱交換部921、第4熱交換部922および温水供給部930を順に循環する。すなわち、図中の矢印1020,1021,1022,1023で示すように、水が循環する。本実施形態においては、この循環する水の一部が温水供給部930から温水として供給される。
【0142】
このようにランキンサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、吸熱部910で吸熱させた第1媒体の熱の一部を第1熱交換部920において第2媒体に移した後、第1媒体の残りの熱を第3熱交換部921において水に移すことができる。
【0143】
第1熱交換部920において熱交換した第2媒体は、圧縮機兼膨張機950に送られて圧縮機兼膨張機950の圧縮膨張部950aにより膨張させられる。膨張した第2媒体が圧縮機兼膨張機950の発動発電部950bを駆動させることにより、圧縮機兼膨張機950において発電が行なわれる。
【0144】
圧縮機兼膨張機950において仕事をした第2媒体は、第4熱交換部922において水系900cを循環する水に対して放熱して凝縮する。凝縮した第2媒体は、第2圧送部941により第1熱交換部920に向けて圧送される。
【0145】
第1媒体が上記のように流動することにより、吸熱部910において吸熱した第1媒体の一部の熱を電力に変換して発電しつつ、吸熱部910において吸熱した第1媒体の一部の熱で水を昇温して温水を供給することができる。
【0146】
また、第2媒体が第4熱交換部922において凝縮する際に放熱される熱をで水を昇温して温水を供給することができる。
【0147】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、図15に示すように、第2の媒体系900b内を第2媒体は、圧縮機兼膨張機950、逆流防止部970、第1熱交換部920、膨張機構980および第2熱交換部960を順に循環する。すなわち、図中の矢印1030,1031,1032,1033,1034で示すように、第2媒体が循環する。
【0148】
第1媒体系900aにおいては、第1媒体は、第1熱交換部920、第3熱交換部921、第1圧送部940、吸熱部910またはバイパス部901を順に循環する。すなわち、図中の矢印1040,1041,1042,1043または1044で示すように、第1媒体が循環する。
【0149】
ヒートポンプサイクル運転の状態では、第2の媒体系900bにおいて、外部から供給された電力により圧縮機兼膨張機950の発動発電部950bを駆動させて、第2媒体を圧縮膨張部950aにより圧縮して高温にする。吸熱させられた第2媒体は、逆流防止部970を通過した後、第1熱交換部920に送られて、第1媒体に第2媒体の熱の一部を与える。その後、第2媒体は、膨張機構980で膨張させられることにより減圧される。減圧された第2媒体は、第2熱交換部960で外気から吸熱して蒸発した状態で圧縮機兼膨張機950に送られる。
【0150】
このように第2媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機950で第2媒体に吸熱させた熱を第1媒体に移すことができる。第1熱交換部920において熱交換された第1媒体は、第3熱交換部921において水に熱を移す。水と熱交換した第1媒体は、第1圧送部940により三方弁990に向けて圧送される。
【0151】
吸熱部910における吸熱が可能な場合には、第1媒体は、吸熱部910に送られて吸熱させられた後、第1熱交換部920に送られる。一方、吸熱部910における吸熱が不可能な場合または非効率な場合には、第1媒体は、バイパス部901を通過して第1熱交換部920に送られる。
【0152】
第3熱交換部921において吸熱させられて昇温した水は、第4熱交換部922においてさらに吸熱させられる。第4熱交換部922において吸熱させられて昇温した水の一部は、温水供給部930から供給される。
【0153】
このようにヒートポンプサイクル運転の状態において第1媒体が循環することにより、圧縮機兼膨張機950で第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を温水供給部930で供給することができる。
【0154】
本実施形態に係る温水および電力供給複合システム900においては、後に詳述する制御部が接続されている。制御部は、吸熱部910における熱の吸熱量と、温水供給部930における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替える。ただし、制御部を接続せずに、たとえば、人手によってランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えるようにしてもよい。
【0155】
具体的には、制御部は、三方弁990,991,992,993,994,995の接続、および圧縮機兼膨張機950の運転を切り替える。
【0156】
本実施形態の温水および電力供給複合システム900においては、第2の媒体系900bのランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、吸熱部910における吸熱の状態に関わらず安定して温水供給部930から温水を供給することができる。また、余剰の熱を利用して発電することができる。さらに、温水供給のための熱が不足した場合に、別系統の熱源を利用することなく、運転状態を切り替えるのみで不足した熱を補って温水供給を安定して行なうことができる。その結果、温水および電力供給複合システム900の部品点数を低減するとともに、システムの利便性を向上することができる。
【0157】
以下、本発明の実施形態6に係る温水および電力供給複合システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1〜5に係る温水および電力供給複合システムの構成要素については説明を繰り返さない。
【0158】
(実施形態6)
本実施形態は、実施形態1〜5のいずれかの温水および電力供給複合システムにおける制御部の一形態に係るものである。
【0159】
図16は、本発明の実施形態6に係る制御部の構成を示す模式図である。図16に示すように、制御部1100は、温水および電力供給複合システム100,300,500,700,900の各構成に配置された検知装置に接続されている。
【0160】
制御部は、中央演算処理装置などの処理部1110と、半導体メモリおよびハードディスクなどの記憶装置を含む記録部1120と、ディスプレイおよびキーパッドなどを含む表示入力部1130とを有している。
【0161】
温水および電力供給複合システムの各構成に配置された検知装置は、各構成の運転状況をモニタリングしている。たとえば、吸熱部における吸熱量、および、温水供給部における温水供給量と供給される温水の水温などシステムの現状の運転状況をモニタリングする。検知装置は、その運転状況モニタの結果を処理部1110に送信する。処理部1110は、図中の1132で示すように、運転状況モニタの結果を表示入力部1130に表示させるともに、図中の矢印1122で示すように、運転状況モニタの結果を運転履歴として記録部1120に書き込む。
【0162】
記録部1120には、システムの過去の運転履歴が記録されている。たとえば、システムの各構成毎の運転時間、系を循環している冷媒または水の温度、温水供給部における温水供給量などが、季節および時間などの環境的なファクターとリンクして記録されている。
【0163】
システムの使用者は、表示入力部1130で現在の運転状況を確認しつつ、図中の矢印1131で示すようにシステムの各構成の運転設定を入力する。入力された運転設定は、処理部1110からシステムの各構成に制御出力として送られる。
【0164】
一度設定された運転設定は、記録部1120に運転パターンとして記録される。そのため、過去に同様の運転状況があった場合には、表示入力部1130から入力するのではなく、記録部1120に記録されている運転パターンが読み出されて、図中の矢印1121で示すように処理部1110に送られる。処理部1110に送られた運転パターンは、システムの各構成に制御出力として送られる。
【0165】
上記のように構成された制御部1100は、温水供給部における温水の必要供給量を推測し、吸熱部における熱の吸熱量が必要供給量の温水の供給に必要な熱量以上である場合には、ランキンサイクル運転を実行させ、吸熱部における熱の吸熱量が必要供給量の温水の供給に必要な熱量より少ない場合には、ヒートポンプサイクル運転を実行させる。
【0166】
すなわち、季節および時間などによって吸熱部から得られる熱量の変化を予測して、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを切り替えることにより、温水の供給と発電とを安定して行なうことができ、かつ、吸熱した熱量を無駄にすることなく有効に使用することができる。
【0167】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0168】
10 太陽熱、100,300,500,700,900 電力供給複合システム、100a 第1の媒体系、100b,500b,700b,900b 第2の媒体系、101,501,701,901 バイパス部、110,310,510,710,910 吸熱部、120,520,720,920 第1熱交換部、130,330,530,730,930 温水供給部、140,340,540,740,940 第1圧送部、141,541,741,941 第2圧送部、150,350,550,750,950 圧縮機兼膨張機、150a,350a,550a,750a,950a 圧縮膨張部、150b,350b,550b,750b,950b 発動発電部、160,560,760,960 第2熱交換部、170,370,570,770,970 逆流防止部、180,380,580,780,980 膨張機構、190,191,192,193,194,392,393,394,395,396,397,590,591,592,593,594,595,790,791,792,793,794,795,990,991,992,993,994,995 三方弁、300a, 媒体系、300c,500c,700c,900c 水系、301 流路、320,321,521,721,921 第3熱交換部、500a,700a,900a 第1媒体系、722,922 第4熱交換部、1100 制御部、1110 処理部、1120 記録部、1130 表示入力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部熱源からの熱を第1媒体に吸熱させる吸熱部と、
ランキンサイクル運転の状態において、前記吸熱部において吸熱した前記第1媒体の一部の熱を電力に変換する圧縮機兼膨張機と、
前記吸熱部において吸熱した前記第1媒体の一部の熱により昇温された温水を供給する温水供給部と
を備え、
前記ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、前記圧縮機兼膨張機は、外部から供給された電力を熱に変換して、該熱を第2媒体に吸熱させ、前記温水供給部は、前記圧縮機兼膨張機によって前記第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を供給する、温水および電力供給複合システム。
【請求項2】
前記圧縮機兼膨張機は、前記第2媒体を選択的に圧縮または膨張させる圧縮膨張部と該圧縮膨張部に接続された発動発電部とを含み、前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体の圧力により前記圧縮膨張部が膨張機として駆動されることにより前記発動発電部は発電機として機能し、前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から電力が供給されて前記発動発電部が発動機として駆動されることにより前記圧縮膨張部は圧縮機として機能する、請求項1に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項3】
前記吸熱部における熱の吸熱量と、前記温水供給部における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、前記ランキンサイクル運転と前記ヒートポンプサイクル運転とを切り替える制御部をさらに備えた、請求項1または2に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項4】
前記第1媒体が水であり、
前記第2媒体が作動媒体であり、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記温水供給部は、前記吸熱部において吸熱した熱により昇温された前記水を供給し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記温水供給部は、前記作動媒体に吸熱させた熱により昇温された前記水を供給する、請求項1から3のいずれかに記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項5】
単一の作動媒体が前記第1媒体および前記第2媒体として用いられ、
前記温水供給部は、前記作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する、請求項1から3のいずれかに記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項6】
前記第1媒体が熱媒体であり、
前記前記第2媒体が作動媒体であり、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記温水供給部は、前記熱媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記温水供給部は、前記熱媒体および前記作動媒体のうちの少なくとも前記作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する、請求項1から3のいずれかに記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記温水供給部における温水の必要供給量を推測し、前記吸熱部における熱の吸熱量が前記必要供給量の温水の供給に必要な熱量以上である場合には、前記ランキンサイクル運転を実行させ、前記吸熱部における熱の吸熱量が前記必要供給量の温水の供給に必要な熱量より少ない場合には、前記ヒートポンプサイクル運転を実行させる、請求項3に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項8】
前記第1媒体が流動する第1媒体系と、
前記第2媒体が流動する第2媒体系とが構成され、
前記第1媒体系においては、前記吸熱部と、前記第1媒体と前記第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、前記温水供給部と、前記第1媒体を圧送する第1圧送部と、前記吸熱部を迂回して前記第1媒体を流動させるバイパス部とが接続され、
前記第2媒体系においては、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1熱交換部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と前記第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、前記第2媒体を圧送する第2圧送部とが接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記第1熱交換部、前記圧縮機兼膨張機、前記第2熱交換部および前記第2圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第1熱交換部、前記膨張機構および前記第2熱交換部を順に循環する、請求項4に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項9】
前記第1媒体および前記第2媒体が流動する媒体系と、
水が流動する水系とが構成され、
前記媒体系においては、前記吸熱部と、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1媒体および前記第2媒体と前記水との間で熱交換させる第3熱交換部と、前記第1媒体および前記第2媒体を圧送する第1圧送部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構とが接続され、
前記水系においては、前記温水供給部と前記第3熱交換部とが接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第1媒体または前記第2媒体は、前記吸熱部、前記圧縮機兼膨張機、前記第3熱交換部および前記第1圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第1媒体または前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第3熱交換部、前記膨張機構および前記吸熱部を順に循環する、請求項5に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項10】
前記第1媒体が流動する第1媒体系と、
前記第2媒体が流動する第2媒体系と、
水が流動する水系とが構成され、
前記第1媒体系においては、前記吸熱部と、前記第1媒体と前記第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、前記第1媒体と前記水との間で熱交換させる第3熱交換部と、前記第1媒体を圧送する第1圧送部と、前記吸熱部を迂回して前記第1媒体を流動させるバイパス部とが接続され、
前記第2媒体系においては、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1熱交換部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と前記第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、前記第2媒体を圧送する第2圧送部とが接続され、
前記水系においては、前記温水供給部と前記第3熱交換部とが接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記第1熱交換部、前記圧縮機兼膨張機、前記第2熱交換部および前記第2圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第1熱交換部、前記膨張機構および前記第2熱交換部を順に循環する、請求項6に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項11】
前記第1媒体が流動する第1媒体系と、
前記第2媒体が流動する第2媒体系と、
水が流動する水系とが構成され、
前記第1媒体系においては、前記吸熱部と、前記第1媒体と前記第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、前記温水供給部と、前記第1媒体と前記水との間で熱交換させる第3熱交換部と、前記第1媒体を圧送する第1圧送部と、前記吸熱部を迂回して前記第1媒体を流動させるバイパス部とが接続され、
前記第2媒体系においては、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1熱交換部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と前記第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、前記第2媒体を圧送する第2圧送部と、前記第2媒体と前記水との間で熱交換させる第4熱交換部とが接続され、
前記水系においては、前記温水供給部と前記第3熱交換部とが接続され、さらに前記第4熱交換部が並列に接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記第1熱交換部、前記圧縮機兼膨張機、前記第4熱交換部および前記第2圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第1熱交換部、前記膨張機構および前記第2熱交換部を順に循環する、請求項6に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項12】
前記第1媒体が流動する第1媒体系と、
前記第2媒体が流動する第2媒体系と、
水が流動する水系とが構成され、
前記第1媒体系においては、前記吸熱部と、前記第1媒体と前記第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、前記温水供給部と、前記第1媒体と前記水との間で熱交換させる第3熱交換部と、前記第1媒体を圧送する第1圧送部と、前記吸熱部を迂回して前記第1媒体を流動させるバイパス部とが接続され、
前記第2媒体系においては、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1熱交換部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と前記第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、前記第2媒体を圧送する第2圧送部と、前記第2媒体と前記水との間で熱交換させる第4熱交換部とが接続され、
前記水系においては、前記温水供給部と前記第3熱交換部とが接続され、さらに前記第4熱交換部が直列に接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記第1熱交換部、前記圧縮機兼膨張機、前記第4熱交換部および前記第2圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第1熱交換部、前記膨張機構および前記第2熱交換部を順に循環する、請求項6に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項1】
外部熱源からの熱を第1媒体に吸熱させる吸熱部と、
ランキンサイクル運転の状態において、前記吸熱部において吸熱した前記第1媒体の一部の熱を電力に変換する圧縮機兼膨張機と、
前記吸熱部において吸熱した前記第1媒体の一部の熱により昇温された温水を供給する温水供給部と
を備え、
前記ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、前記圧縮機兼膨張機は、外部から供給された電力を熱に変換して、該熱を第2媒体に吸熱させ、前記温水供給部は、前記圧縮機兼膨張機によって前記第2媒体に吸熱させた熱により昇温された温水を供給する、温水および電力供給複合システム。
【請求項2】
前記圧縮機兼膨張機は、前記第2媒体を選択的に圧縮または膨張させる圧縮膨張部と該圧縮膨張部に接続された発動発電部とを含み、前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体の圧力により前記圧縮膨張部が膨張機として駆動されることにより前記発動発電部は発電機として機能し、前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から電力が供給されて前記発動発電部が発動機として駆動されることにより前記圧縮膨張部は圧縮機として機能する、請求項1に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項3】
前記吸熱部における熱の吸熱量と、前記温水供給部における温水の供給による熱の消費量との関係に基づいて、前記ランキンサイクル運転と前記ヒートポンプサイクル運転とを切り替える制御部をさらに備えた、請求項1または2に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項4】
前記第1媒体が水であり、
前記第2媒体が作動媒体であり、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記温水供給部は、前記吸熱部において吸熱した熱により昇温された前記水を供給し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記温水供給部は、前記作動媒体に吸熱させた熱により昇温された前記水を供給する、請求項1から3のいずれかに記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項5】
単一の作動媒体が前記第1媒体および前記第2媒体として用いられ、
前記温水供給部は、前記作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する、請求項1から3のいずれかに記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項6】
前記第1媒体が熱媒体であり、
前記前記第2媒体が作動媒体であり、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記温水供給部は、前記熱媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記温水供給部は、前記熱媒体および前記作動媒体のうちの少なくとも前記作動媒体に吸熱させた熱により昇温された水を供給する、請求項1から3のいずれかに記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記温水供給部における温水の必要供給量を推測し、前記吸熱部における熱の吸熱量が前記必要供給量の温水の供給に必要な熱量以上である場合には、前記ランキンサイクル運転を実行させ、前記吸熱部における熱の吸熱量が前記必要供給量の温水の供給に必要な熱量より少ない場合には、前記ヒートポンプサイクル運転を実行させる、請求項3に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項8】
前記第1媒体が流動する第1媒体系と、
前記第2媒体が流動する第2媒体系とが構成され、
前記第1媒体系においては、前記吸熱部と、前記第1媒体と前記第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、前記温水供給部と、前記第1媒体を圧送する第1圧送部と、前記吸熱部を迂回して前記第1媒体を流動させるバイパス部とが接続され、
前記第2媒体系においては、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1熱交換部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と前記第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、前記第2媒体を圧送する第2圧送部とが接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記第1熱交換部、前記圧縮機兼膨張機、前記第2熱交換部および前記第2圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第1熱交換部、前記膨張機構および前記第2熱交換部を順に循環する、請求項4に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項9】
前記第1媒体および前記第2媒体が流動する媒体系と、
水が流動する水系とが構成され、
前記媒体系においては、前記吸熱部と、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1媒体および前記第2媒体と前記水との間で熱交換させる第3熱交換部と、前記第1媒体および前記第2媒体を圧送する第1圧送部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構とが接続され、
前記水系においては、前記温水供給部と前記第3熱交換部とが接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第1媒体または前記第2媒体は、前記吸熱部、前記圧縮機兼膨張機、前記第3熱交換部および前記第1圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第1媒体または前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第3熱交換部、前記膨張機構および前記吸熱部を順に循環する、請求項5に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項10】
前記第1媒体が流動する第1媒体系と、
前記第2媒体が流動する第2媒体系と、
水が流動する水系とが構成され、
前記第1媒体系においては、前記吸熱部と、前記第1媒体と前記第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、前記第1媒体と前記水との間で熱交換させる第3熱交換部と、前記第1媒体を圧送する第1圧送部と、前記吸熱部を迂回して前記第1媒体を流動させるバイパス部とが接続され、
前記第2媒体系においては、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1熱交換部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と前記第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、前記第2媒体を圧送する第2圧送部とが接続され、
前記水系においては、前記温水供給部と前記第3熱交換部とが接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記第1熱交換部、前記圧縮機兼膨張機、前記第2熱交換部および前記第2圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第1熱交換部、前記膨張機構および前記第2熱交換部を順に循環する、請求項6に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項11】
前記第1媒体が流動する第1媒体系と、
前記第2媒体が流動する第2媒体系と、
水が流動する水系とが構成され、
前記第1媒体系においては、前記吸熱部と、前記第1媒体と前記第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、前記温水供給部と、前記第1媒体と前記水との間で熱交換させる第3熱交換部と、前記第1媒体を圧送する第1圧送部と、前記吸熱部を迂回して前記第1媒体を流動させるバイパス部とが接続され、
前記第2媒体系においては、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1熱交換部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と前記第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、前記第2媒体を圧送する第2圧送部と、前記第2媒体と前記水との間で熱交換させる第4熱交換部とが接続され、
前記水系においては、前記温水供給部と前記第3熱交換部とが接続され、さらに前記第4熱交換部が並列に接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記第1熱交換部、前記圧縮機兼膨張機、前記第4熱交換部および前記第2圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第1熱交換部、前記膨張機構および前記第2熱交換部を順に循環する、請求項6に記載の温水および電力供給複合システム。
【請求項12】
前記第1媒体が流動する第1媒体系と、
前記第2媒体が流動する第2媒体系と、
水が流動する水系とが構成され、
前記第1媒体系においては、前記吸熱部と、前記第1媒体と前記第2媒体との間で熱交換させる第1熱交換部と、前記温水供給部と、前記第1媒体と前記水との間で熱交換させる第3熱交換部と、前記第1媒体を圧送する第1圧送部と、前記吸熱部を迂回して前記第1媒体を流動させるバイパス部とが接続され、
前記第2媒体系においては、前記圧縮機兼膨張機と、前記圧縮機兼膨張機で圧縮された前記第2媒体の逆流を防止する逆流防止部と、前記第1熱交換部と、前記第2媒体を膨張させる膨張機構と、外気と前記第2媒体との間で熱交換させる第2熱交換部と、前記第2媒体を圧送する第2圧送部と、前記第2媒体と前記水との間で熱交換させる第4熱交換部とが接続され、
前記水系においては、前記温水供給部と前記第3熱交換部とが接続され、さらに前記第4熱交換部が直列に接続され、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記第1熱交換部、前記圧縮機兼膨張機、前記第4熱交換部および前記第2圧送部を順に循環し、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、前記第2媒体は、前記圧縮機兼膨張機、前記逆流防止部、前記第1熱交換部、前記膨張機構および前記第2熱交換部を順に循環する、請求項6に記載の温水および電力供給複合システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−127534(P2012−127534A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276933(P2010−276933)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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