説明

温水タンクおよび衛生洗浄装置

【課題】棒状のヒータを用いた場合のシール性能を確保することができる温水タンクおよび衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の貫通孔を有し、樹脂により形成された中空容器と、少なくとも一部が前記中空容器の内部に配設され、両端部が前記貫通孔を貫通して前記中空容器の外部に露出し、前記中空容器に取り付けられた棒状のヒータと、前記ヒータの少なくとも一端部において、前記ヒータの外周面と、前記貫通孔の内壁面と、の間に挿入された中間部材と、前記中間部材と前記中空容器との間および前記中間部材と前記ヒータとの間にそれぞれ設けられ、前記ヒータの外周面と前記貫通孔の内壁面との間を水密にするシール部材と、を備えたことを特徴とする温水タンクが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、温水タンクおよび衛生洗浄装置に関し、具体的には水を加熱して温水とし、その温水を貯留する温水タンクおよび衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、使用者の局部を洗浄する局部洗浄装置において、温水タンクの熱源として直線棒状のヒータを用いた局部洗浄装置がある(特許文献1)。特許文献1に記載された局部洗浄装置では、直線棒状のヒータは、温水タンクを貫通している。そして、ヒータが温水タンクを貫通している部分には、Oリングが取り付けられている。これにより、その部分の防水すなわち水漏れ防止が図られている。
【0003】
しかしながら、温水タンクは、一般的に樹脂により形成されているため、その温水タンクには反りが生ずる場合がある。温水タンクに反りが生ずると、例えば、棒状のヒータが貫通する一対の貫通孔の互いの位置が設計値からずれたり、棒状のヒータの外面と貫通孔の内壁面との間の角度が設計値からずれたりする。そうすると、棒状のヒータが貫通する部分におけるシール性能が不足するおそれがある。すなわち、温水タンクの熱源として棒状のヒータを用いた場合において、温水タンクに反りが生ずると、シール不良を生ずるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−98619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、棒状のヒータを用いた場合のシール性能を確保することができる温水タンクおよび衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、一対の貫通孔を有し、樹脂により形成された中空容器と、少なくとも一部が前記中空容器の内部に配設され、両端部が前記貫通孔を貫通して前記中空容器の外部に露出し、前記中空容器に取り付けられた棒状のヒータと、前記ヒータの少なくとも一端部において、前記ヒータの外周面と、前記貫通孔の内壁面と、の間に挿入された中間部材と、前記中間部材と前記中空容器との間および前記中間部材と前記ヒータとの間にそれぞれ設けられ、前記ヒータの外周面と前記貫通孔の内壁面との間を水密にするシール部材と、を備えたことを特徴とする温水タンクである。
【0007】
この温水タンクによれば、ヒータの両端部は、一対の貫通孔をそれぞれ貫通し、それぞれの貫通孔から中空容器の外部へ露出している。また、ヒータの少なくとも一端部において、ヒータの外周面と貫通孔の内壁面との間に中間部材が挿入されている。さらに、中間部材と中空容器との間および中間部材とヒータとの間にそれぞれシール部材が設けられている。
【0008】
これにより、ヒータは、複数のシール部材により中空容器の貫通孔の部分に水密に取り付けられる。また、中空容器に反りが生じ、一対の貫通孔の互いの位置にずれが生じても、中空容器の貫通孔の内壁面と、ヒータの外周面と、の間から水が漏れることを防止することができる。つまり、本発明の温水タンクは、熱源として棒状のヒータを使用した場合のシール性能を確保することができる。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記中間部材は、前記ヒータの外周面と、前記貫通孔の内壁面と、の間の隙間を前記ヒータの径方向に2つに分割し、前記中間部材と前記貫通孔の内壁面との間に隙間を設けることにより、前記ヒータの外周面および前記貫通孔の内壁面の少なくともいずれかからみて変位可能であることを特徴とする温水タンクである。
【0010】
この温水タンクによれば、ヒータの外周面と、中空容器の貫通孔の内壁面と、の間の隙間は、中間部材によりヒータの径方向に2つに分割されている。そして、貫通孔の内壁面と、中間部材と、の間には隙間が存在する。また、ヒータの外周面と、中間部材と、の間には隙間が存在する。そのため、中間部材は、ヒータの外周面および中空容器の貫通孔の内壁面の少なくともいずれかからみて変位することができる。これにより、中空容器に反りが生じ、一対の貫通孔の互いの位置にずれが生じても、それに応じて中間部材が変位するため、シール部材によりシール性能を確保することができる。
【0011】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記中空容器は、前記中間部材が前記ヒータの外周面と前記貫通孔の内壁面との間から抜けることを防止する抜け止め片をさらに有し、前記中間部材は、前記抜け止め片に係合されたことを特徴とする温水タンクである。
【0012】
この温水タンクによれば、中間部材は、中空容器の貫通孔に挿入されると、中間部材と中空容器の抜け止め片とが係合することにより中空容器に保持される。これにより、ねじなどの締結部材により中間部材を中空容器に固定する必要がないため、中空容器と中間部材とを完全に固定することなしに、中空容器からの中間部材の抜けが防止され、シール部材によるシール性能を確保することができる。また、部品点数の低減が図れ、コストダウンを図ることができる。
【0013】
また、第4の発明は、第1の発明において、前記中間部材は、前記中空容器と前記ヒータとの間に設けられた前記シール部材により、前記ヒータを軸方向に摺動可能に保持したことを特徴とする温水タンクである。
【0014】
この温水タンクによれば、ヒータは、中空容器とヒータとの間に設けられたシール部材により軸方向に摺動可能である。これにより、ヒータが自身の加熱および冷却により軸方向へ伸縮しても、中空容器やヒータや中間部材は、破損したり破壊したりすることはない。そのため、温水タンクの信頼性をより向上させることができる。
【0015】
また、第5の発明は、第1〜4の発明のいずれかの温水タンクと、前記ヒータの外周面と前記貫通孔の内壁面との間から前記中間部材が抜けることを防止する抜け止め部を有し、前記温水タンクを固定するベース部材と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0016】
この衛生洗浄装置によれば、例えばねじなどの締結部材により中間部材を中空容器に固定することなく、中間部材がヒータの外周面と貫通孔の内壁面との間から抜けることを防止することができる。そのため、中間部材は、ヒータの外周面および中空容器の貫通孔の内壁面の少なくともいずれかからみて容易に変位することができる。これにより、中空容器に反りが生じ、一対の貫通孔の互いの位置にずれが生じても、それに応じて中間部材が変位するため、シール部材によりシール性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様によれば、棒状のヒータを用いた場合のシール性能を確保することができる温水タンクおよび衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態にかかる温水タンクを表した斜視模式図である。
【図2】本実施形態にかかる温水タンクを上方から眺めた平面模式図である。
【図3】本実施形態にかかる温水タンクを前方から眺めた平面模式図である。
【図4】ヒータがタンクを貫通した部分の概略構造を例示する断面模式図である。
【図5】本実施形態にかかる温水タンクを斜め上方から眺めた分解模式図である。
【図6】本実施形態にかかる温水タンクを斜め上方から眺めた分解模式図である。
【図7】本実施形態にかかる温水タンクを下方から眺めた分解模式図である。
【図8】図2に表した切断面B−Bにおける断面模式図である。
【図9】本実施形態のヒータの一端部における取付構造を表した断面模式図である。
【図10】本実施形態の中間部材とタンクとが係合した状態を表した斜視模式図である。
【図11】本実施形態の中間部材とバックアップリングとが係合した状態を表した斜視模式図である。
【図12】図11に表した切断面E−Eにおける断面模式図である。
【図13】本実施形態のヒータの他端部における取付構造を表した断面模式図である。
【図14】本実施形態の押さえ部材を表す斜視模式図である。
【図15】図14に表した切断面F−Fにおける断面模式図である。
【図16】ヒータの一端部における取付構造の作用を説明するための断面模式図である。
【図17】ヒータの他端部における取付構造の作用を説明するための断面模式図である。
【図18】本発明の他の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図19】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の内部を前側から眺めた斜視模式図である。
【図20】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の内部を後側から眺めた斜視模式図である。
【図21】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の内部を上方から眺めた斜視模式図である。
【図22】本実施形態の抜け止め部の一例を上方から眺めた平面模式図である。
【図23】本実施形態の抜け止め部の一例を前方から眺めた平面模式図である。
【図24】本実施形態の抜け止め部の一例を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる温水タンクを表した斜視模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる温水タンクを上方から眺めた平面模式図である。
また、図3は、本実施形態にかかる温水タンクを前方から眺めた平面模式図である。
【0020】
本実施形態にかかる温水タンク100は、中空形状を有するタンク(中空容器)110と、タンク110の内部に配設された棒状のヒータ120と、を備える。
タンク110は、樹脂により形成され、上タンク110aと下タンク110bとを有する。上タンク110aと下タンク110bとは、例えば溶着あるいは接着などにより互いに結合されている。そのため、タンク110は、内部に流入した水を貯留することができる。但し、上タンク110aと下タンク110bとは、一体的に形成されていてもよい。
【0021】
ヒータ120は、タンク110の内部の底面部に沿うように設けられ、タンク110内の水を加熱して温水とすることができる。また、ヒータ120は、図1〜図3に表したように、タンク110を貫通している。より具体的には、ヒータ120の両端部は、タンク110に形成された貫通孔を貫通し、その貫通孔からタンク110の外部へ露出している。そして、ヒータ120は、タンク110を貫通した部分において、例えばOリングなどのシール部材により水密に取り付けられている。これについては、後に詳述する。
【0022】
なお、温水タンク100は、温水を生成し貯留する種々の装置に利用され得るが、本実施形態では、使用者の「おしり」などを水で洗浄する衛生洗浄装置に利用される場合を例に挙げて説明する。
【0023】
本実施形態にかかる温水タンク100は、流入部181と、整流ユニット182と、バキュームブレーカ183と、フロートスイッチ185と、バイメタル186と、温度検知手段188と、をさらに備える。
流入部181は、タンク110の下部に設けられ、図示しない給水源から供給された水をタンク110内へ導く。整流ユニット182は、タンク110の内部であって、流入部181の近傍に設けられている。そして、整流ユニット182は、流入部181からタンク110内へ流入した水の動圧を減殺しつつ、その動圧を略均一化することができる。
【0024】
また、フロートスイッチ185は、タンク110内の水の水位を検知し、検知された水位が所定水位以下である場合にはヒータ120を停止させることができる。これにより、空焚きを防止することができる。
バキュームブレーカ183は、水路(流路)の水抜きの際に外部から空気を取り込んで、水路の水抜きを促進させる。
バイメタル186は、タンク110内の水が所定温度以上に加熱されるとタンク110への給水を停止させる。これにより、タンク110内の水が過度に加熱されることを防止することができる。
温度検知手段188は、タンク110内の水の温度を検知し、その水温の情報を出力することができる。これにより、ヒータ120への通電量が制御され、タンク110内の水の温度は適温に保温される。温度検知手段188としては、例えばサーミスタなどを使用することができる。
【0025】
図示しない給水源から供給された水は、図1および図2に表した矢印A1のように、流入部181からタンク110内の整流ユニット182へ導かれる。そして、整流ユニット182へ導かれた水の動圧は、その整流ユニット182により減殺される。続いて、整流ユニット182により動圧が減殺された水は、整流ユニット182から流出しタンク110内の下層部に広がる。続いて、タンク110内の下層部に広がった水は、ヒータ120により加熱され温水となる。
【0026】
タンク110内においてヒータ120により加熱された水は、流入部181から新たに供給される水から押し出されるようにして、バキュームブレーカ183を介してタンク110から流出する。つまり、ヒータ120により加熱された水は、図1および図2に表した矢印A2およびA3のように、バキュームブレーカ183を介してタンク110から流出し、例えば図示しないノズルユニットなどへ導かれる。
【0027】
次に、ヒータ120がタンク110を貫通した部分の概略構造について、図面を参照しつつ説明する。
図4は、ヒータがタンクを貫通した部分の概略構造を例示する断面模式図である。
なお、図4(a)は、ヒータの外周面と、タンクの貫通孔の内壁面と、が並行である場合の概略構造を例示する断面模式図である。
また、図4(b)は、ヒータの外周面と、タンクの貫通孔の内壁面と、が並行ではない場合の概略構造を例示する断面模式図である。
【0028】
本実施形態のタンク110は、ヒータ120が貫通可能な一対の貫通孔111を有する。ヒータ120の両端部は、一対の貫通孔111をそれぞれ貫通し、それぞれの貫通孔111からタンク110の外部へ露出している。タンク110とヒータ120との間、より具体的には貫通孔111の内壁面113とヒータ120の外周面121との間には、例えばOリングなどのシール部材168が設けられている。これにより、ヒータ120は、タンク110の貫通孔111の部分に水密に取り付けられている。つまり、シール部材168は、タンク110内の水が貫通孔111から外部へ漏れることを防止している。
【0029】
ここで、図4(a)に表したように、貫通孔111の内寸法が寸法Dであるとする。このとき、図4(a)に表したように、ヒータ120の外周面121と、貫通孔111の内壁面113と、が並行である場合には、シール部材168が貫通孔111の内壁面113と接触している部分の間の寸法は、貫通孔111の内寸法Dと同じである。一方、例えば、タンク110に反りなどが生じている場合には、図4(b)に表したように、ヒータ120の外周面121と、貫通孔111の内壁面113と、が並行ではない場合がある。この場合において、ヒータ120の外周面121と、貫通孔111の内壁面113と、の間の角度がθであるとすると、シール部材168が貫通孔111の内壁面113と接触している部分の間の寸法は、D/cosθである。
【0030】
そのため、ヒータ120の外周面121と貫通孔111の内壁面113とが並行ではない場合におけるシール部材168と内壁面113との接触部分の間の寸法は、ヒータ120の外周面121と貫通孔111の内壁面113とが並行である場合におけるシール部材168と内壁面113との接触部分の間の寸法よりも大きい。すなわち、ヒータ120の外周面121と貫通孔111の内壁面113とが並行ではない場合には、貫通孔111の見かけ上の内寸法は、ヒータ120の外周面121と貫通孔111の内壁面113とが並行である場合よりも大きくなる。
【0031】
そのため、シール部材168の潰し代や潰し率は、ヒータ120の外周面121と貫通孔111の内壁面113とが並行ではない場合の方がより小さい。これにより、このままでは、貫通孔111の内壁面113とヒータ120の外周面121との間におけるシール性能を確保できない場合がある。
【0032】
また、例えばOリングなどのシール部材168は、一般的に圧縮永久歪みを有する。さらに、温水タンクは長期間に亘って使用される。そのため、シール部材168の潰し代や潰し率がより小さい状態で温水タンクを長期間に亘って使用すると、貫通孔111の内壁面113とヒータ120の外周面121との間におけるシール性能を確保できない場合がある。
【0033】
これに対して、本実施形態にかかる温水タンク100は、ヒータ120の外周面121と、タンク110の貫通孔111の内壁面113と、の間に設けられた中間部材を備える。そして、中間部材と貫通孔111の内壁面113との間、および中間部材とヒータ120の外周面121との間において、シール部材168がそれぞれ設けられている。
次に、これらの構造の詳細について、図面を参照しつつ説明する。
【0034】
図5および図6は、本実施形態にかかる温水タンクを斜め上方から眺めた分解模式図である。
また、図7は、本実施形態にかかる温水タンクを下方から眺めた分解模式図である。
なお、図5に表した温水タンク100では、説明の便宜上、バキュームブレーカ183と、フロートスイッチ185と、バイメタル186と、を適宜省略している。また、図6に表した温水タンク100では、説明の便宜上、上タンク110aを適宜省略している。
【0035】
ヒータ120の一端部には、図5〜図7に表したように、中間部材130と、バックアップリング140と、第2のシール部材162と、が挿入されている。また、中間部材130には、第1のシール部材161が取り付けられている。
ヒータ120は、図6および図7に表したように、タンク110に形成された第1の貫通孔111aを貫通し、タンク110内へ挿入されている。さらに、ヒータ120は、タンク110に形成された第2の貫通孔111bを貫通する。これにより、ヒータ120の両端部は、第1および第2の貫通孔111a、111bをそれぞれ貫通し、第1および第2の貫通孔111a、111bからタンク110の外部へそれぞれ露出する。
【0036】
ヒータ120の他端部には、第3のシール部材163と、押さえ部材150と、が挿入される。このように、ヒータ120は、中間部材130と、バックアップリング140と、押さえ部材150と、第1〜第3のシール部材161、162、163と、によりタンク110の第1および第2の貫通孔111a、111bの部分に水密に取り付けられる。
【0037】
次に、ヒータ120がタンク110に取り付けられた状態について、図面を参照しつつ説明する。
図8は、図2に表した切断面B−Bにおける断面模式図である。
【0038】
ヒータ120の一端部において、中間部材130とタンク110との間には第1のシール部材161が設けられ、中間部材130とヒータ120との間には第2のシール部材162が設けられている。つまり、ヒータ120は、1つのシール部材を介してタンク110に取り付けられているわけではなく、2つのシール部材および中間部材を介してタンク110に取り付けられている。
【0039】
中間部材130は、タンク110に係合されている。これにより、中間部材130、第1および第2のシール部材161、162、およびバックアップリング140が、ヒータ120から抜けることを防止することができる。また、温水タンク100の組立性をより向上させることができる。
バックアップリング140は、中間部材130に係合されている。そのため、バックアップリング140は、第2のシール部材162がヒータ120の中央部へ向かって移動することを抑えることができる。つまり、バックアップリング140は、第2のシール部材162が中間部材130の内部から外部へ移動することを防止することができる。
【0040】
一方、ヒータ120の他端部において、ヒータ120とタンク110との間には第3のシール部材163が設けられている。また、押さえ部材150は、タンク110の第2の貫通孔111bの内部に挿入され、例えばねじなどの締結部材よりタンク110に固定されている。これにより、第3のシール部材163がヒータ120から抜けることを防止することができる。
【0041】
次に、ヒータ120とタンク110との取付構造の詳細について、拡大図などを参照しつつ説明する。
図9は、本実施形態のヒータの一端部における取付構造を表した断面模式図である。
また、図10は、本実施形態の中間部材とタンクとが係合した状態を表した斜視模式図である。
また、図11は、本実施形態の中間部材とバックアップリングとが係合した状態を表した斜視模式図である。
また、図12は、図11に表した切断面E−Eにおける断面模式図である。
【0042】
なお、図9は、図8に表した領域A5を拡大して表した拡大模式図である。
また、図10は、図9に表した構造をタンク110の外部から眺めた斜視模式図である。
【0043】
第1のシール部材161は、図9および図12に表したように、例えば中間部材130に形成された溝などの内側に取り付けられることにより、中間部材130に装着されている。そして、第1のシール部材161が装着された中間部材130は、タンク110に形成された第1の貫通孔111aに挿入されている。より具体的には、中間部材130は、図9に表したように、ヒータ120の外周面121と、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aと、の間に挿入されている。
【0044】
つまり、ヒータ120の外周面121と、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aと、の間の隙間は、中間部材130によりヒータ120の径方向に2つに分割されている。そして、第1の貫通孔111aの内壁面113aと、中間部材130と、の間には隙間が存在する。また、ヒータ120の外周面121と、中間部材130と、の間には隙間が存在する。
【0045】
その結果、第1のシール部材161は、中間部材130と、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aと、の間に挟設されている。このとき、第1のシール部材161は、所定の潰し代および潰し率をもって中間部材130およびタンク110により潰されている。そのため、第1のシール部材161は、中間部材130と、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aと、の間から水が漏れることを防止することができる。
【0046】
一方、第2のシール部材162は、ヒータ120の一端部に挿入されつつ、中間部材130の内部に設けられている。また、バックアップリング140が中間部材130の内部に挿入されている。その結果、第2のシール部材162は、ヒータ120の外周面121と中間部材130とバックアップリング140との間に挟設されている。このとき、第2のシール部材162は、所定の潰し代および潰し率をもって中間部材130およびヒータ120により潰されている。そのため、第2のシール部材162は、中間部材130と、ヒータ120の外周面121と、の間から水が漏れることを防止することができる。
【0047】
バックアップリング140は、図12に表したように、係合孔141を有する。一方、中間部材130は、図11および図12に表したように、バックアップリング140の係合孔141と係合可能な係合凸部135を有する。そのため、バックアップリング140は、中間部材130の内部に挿入されると、バックアップリング140の係合孔141と中間部材130の係合凸部135とが係合することにより、中間部材130に取り付けられる。これによれば、バックアップリング140は、第2のシール部材162が中間部材130の内部から外部へ移動することを防止し、第2のシール部材162を所定位置に保持し続けることができる。
【0048】
また、中間部材130は、図10に表したように、突起部131を有する。一方、タンク110は、切り欠き部(抜け止め片)115を有する。中間部材130の突起部131と、タンク110の切り欠き部115と、は係合可能である。そのため、中間部材130は、タンク110の第1の貫通孔111aに挿入されると、中間部材130の突起部131とタンク110の切り欠き部115とが係合することにより、タンク110に保持される。これにより、ねじなどの締結部材により中間部材130をタンク110に固定する必要がないため、タンク110と中間部材130とを完全に固定することなしに、タンク110からの中間部材130の抜けが防止され、第1〜第3のシール部材161、162、163によるシール性能を確保することができる。また、部品点数の低減を図り、コストダウンを図ることができる。なお、突起部131と切り欠き部115との間にはある程度の隙間が存在するため、中間部材130はタンク110に固定されるわけではない。
【0049】
ヒータ120は、図9に表したように、第2のシール部材162を介して中間部材130に保持されている。すなわち、ヒータ120は、長手方向(軸方向)に対しては、第2のシール部材162と外周面121との間の摩擦力により保持されている。そのため、ヒータ120は、その摩擦力よりも大きい力を受けることにより長手方向(軸方向)に移動したり伸縮することができる。つまり、ヒータ120は、第2のシール部材162により長手方向(軸方向)に摺動可能である。
【0050】
ここで、中間部材130の内部には、図9および図12に表したように、ストッパ133を有する。ストッパ133と、ヒータ120の端面123と、が接触すると、ヒータ120は、図9における右方向にそれ以上移動することはできない。そのため、中間部材130のストッパ133は、ヒータ120がタンク110や中間部材130やバックアップリング140から抜けることを防止することができる。
【0051】
このとき、図9に表したように、ストッパ133と、ヒータ120の端面123と、の間には隙間が存在する。その隙間は、例えば約1〜2mm(ミリメートル)程度である。そのため、ヒータ120は、その隙間の範囲内において摺動可能である。これにより、ヒータ120が自身の加熱および冷却により軸方向へ伸縮しても、タンク110やヒータ120や中間部材130は、破損したり破壊したりすることはない。そのため、温水タンク100の信頼性をより向上させることができる。なお、ストッパ133と、ヒータ120の端面123と、の間の隙間については、例えば約1〜2mm(ミリメートル)程度に限定されるわけではなく、適宜設定変更することができる。
【0052】
図13は、本実施形態のヒータの他端部における取付構造を表した断面模式図である。 また、図14は、本実施形態の押さえ部材を表す斜視模式図である。
また、図15は、図14に表した切断面F−Fにおける断面模式図である。
なお、図13は、図8に表した領域A6を拡大して表した拡大模式図である。
【0053】
第3のシール部材163は、図13に表したように、ヒータ120の他端部に挿入されつつ、タンク110の第2の貫通孔111bの内部に設けられている。また、押さえ部材150は、タンク110の第2の貫通孔111bの内部に挿入されている。押さえ部材150は、図14および図15に表したように、締結孔155を有する。そして、図14に表した矢印A7のように、例えばねじなどの締結部材を締結孔155に通してタンク110に締結することにより、押さえ部材150は、タンク110に固定される。これによれば、押さえ部材150は、第3のシール部材163がタンク110の第2の貫通孔111bの内部から外部へ移動することを防止し、第3のシール部材163を所定位置に保持し続けることができる。
【0054】
その結果、第3のシール部材163は、ヒータ120の外周面121と、タンク110の第2の貫通孔111bの内壁面113bと、押さえ部材150と、の間に挟設されている。このとき、第3のシール部材163は、所定の潰し代および潰し率をもってタンク110およびヒータ120により潰されている。そのため、第3のシール部材163は、タンク110の第2の貫通孔111bの内壁面113bと、ヒータ120の外周面121と、の間から水が漏れることを防止することができる。
【0055】
ヒータ120は、図13に表したように、第3のシール部材163を介してタンク110の第2の貫通孔111bに保持されている。すなわち、ヒータ120は、長手方向(軸方向)に対しては、第3のシール部材163と外周面121との間の摩擦力により保持されている。そのため、ヒータ120は、その摩擦力よりも大きい力を受けることにより長手方向(軸方向)に移動したり伸縮することができる。つまり、ヒータ120は、第3のシール部材163により長手方向(軸方向)に摺動可能である。
【0056】
ここで、押さえ部材150の内部には、図14および図15に表したように、ストッパ153を有する。ストッパ153と、ヒータ120の端面123と、が接触すると、ヒータ120は、図13における左方向にそれ以上移動することはできない。そのため、押さえ部材150のストッパ153は、ヒータ120がタンク110や押さえ部材150から抜けることを防止することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、ヒータ120の一端部において、ヒータ120の外周面121と、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aと、の間に中間部材130が挿入され、中間部材130と第1および第2のシール部材161、162とを介してヒータ120がタンク110に水密に取り付けられる場合を例に挙げて説明した。一方、ヒータ120の他端部において、押さえ部材150が締結部材によりタンク110に固定され、第3のシール部材163を介してヒータ120がタンク110に水密に取り付けられる場合を例に挙げて説明した。但し、本発明の実施の形態はこれだけに限定されるわけではない。例えば、ヒータ120の一端部だけではなく、ヒータ120の両端部において、図9に表した構造により、ヒータ120がタンク110に水密に取り付けられていてもよい。
【0058】
次に、ヒータ120からみてタンク110の第1および第2の貫通孔111a、111bが傾斜した場合におけるヒータ120とタンク110との取付構造の作用について、図面を参照しつつ説明する。
図16は、ヒータの一端部における取付構造の作用を説明するための断面模式図である。
また、図17は、ヒータの他端部における取付構造の作用を説明するための断面模式図である。
なお、図16(a)は、中間部材130がヒータ120の外周面121にならったときを例示する断面模式図であり、図16(b)は、中間部材130がタンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aにならったときを例示する断面模式図である。
【0059】
タンク110は、図1に関して前述したように、樹脂により形成されている。そのため、タンク110には反りが生ずる場合がある。この場合には、タンク110の第1の貫通孔111aと第2の貫通孔111bとの互いの位置が設計値からずれたり、ヒータ120の外周面121と、第1および第2の貫通孔111a、111bのそれぞれの内壁面113a、113bと、の間の角度が設計値からそれぞれずれたりする。そうすると、タンク110の第1および第2の貫通孔111a、111bにおけるシール性能が不足するおそれがある。
【0060】
これに対して、本実施形態にかかる温水タンク100では、ヒータ120の一端部において、ヒータ120の外周面121と、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aと、の間に中間部材130が挿入され、中間部材130と第1および第2のシール部材161、162とを介してヒータ120がタンク110に水密に取り付けられている。そのため、ヒータ120の外周面121からみてタンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aが傾斜すると、第1および第2のシール部材161、162は、その角度の変化を吸収することができる。
【0061】
その結果、中間部材130は、図16(a)に表したように、ヒータ120の外周面121にならうことができる。あるいは、中間部材130は、図16(b)に表したように、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aにならうことができる。あるいは、中間部材130は、ヒータ120の外周面121およびタンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aにはならわず、ヒータ120の外周面121からみた第1の貫通孔111aの内壁面113aの傾斜角度の中間の角度で傾斜することができる。つまり、中間部材130は、ヒータ120の外周面121およびタンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aの少なくともいずれかからみて変位することができる。
【0062】
このとき、ヒータ120の一端部には、2つのシール部材(第1および第2のシール部材161、162)が設けられている。そのため、第1および第2のシール部材161、162は、ヒータ120の外周面121と、第1の貫通孔111aの内壁面113aと、の間の角度の変化を互いに分け合い、吸収することができる。そのため、第1および第2のシール部材161、162の潰し代および潰し率のそれぞれの変化量は、中間部材130が設けられていない場合であって、1つのシール部材のみが介在されている場合よりも小さい。
【0063】
これにより、タンク110に反りが生じた場合でも、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aと、ヒータ120の外周面121と、の間から水が漏れることを防止することができる。つまり、本実施形態にかかる温水タンク100は、熱源として棒状のヒータ120を使用した場合のシール性能を確保することができる。
【0064】
なお、図16(a)に表したように、中間部材130がヒータ120の外周面121にならう場合には、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aは、第1のシール部材161の中心部を略中心として傾斜する。そして、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aは、ヒータ120の外周面121からみて例えば約2〜3度程度傾斜すると、図16(a)に表した領域A11において中間部材130と干渉する。そのため、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aは、ヒータ120の外周面121からみて例えば約2〜3度程度よりも大きい角度で傾斜すると、中間部材130との干渉点を略中心として傾斜することができる。
【0065】
また、図16(b)に表したように、中間部材130がタンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aにならう場合には、その内壁面113aおよび中間部材130は、第2のシール部材162の中心部を略中心として傾斜する。そして、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aがヒータ120の外周面121からみて例えば約2〜3度程度傾斜すると、中間部材130は、図16(b)に表した領域A12においてヒータ120の外周面121と干渉する。そのため、タンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aは、ヒータ120の外周面121からみて例えば約2〜3度程度よりも大きい角度で傾斜すると、中間部材130とヒータ120の外周面121との干渉点を略中心として傾斜することができる。
なお、前述した約2〜3度程度の角度については、これだけに限定されるわけではなく、適宜設定変更することができる。
【0066】
一方、図17に表したように、ヒータ120の他端部において、押さえ部材150は、締結部材によりタンク110に固定され、ヒータ120は、第3のシール部材163を介してタンク110に水密に取り付けられている。そのため、ヒータ120の外周面121からみてタンク110の第2の貫通孔111bの内壁面113bが傾斜すると、押さえ部材150は、タンク110の第2の貫通孔111bの内壁面113bにならい傾斜する。また、第3のシール部材163は、その角度の変化を吸収することができる。
【0067】
また、ヒータ120の一端部においては、図16に関して前述したように、中間部材130は、ヒータ120の外周面121およびタンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aの少なくともいずれかからみて変位することができる。さらに、第1および第2のシール部材161、162は、ヒータ120の外周面121と、第1の貫通孔111aの内壁面113aと、の間の角度の変化を互いに分け合い、吸収することができる。そのため、第3のシール部材163の潰し代および潰し率のそれぞれの変化量は、ヒータ120の一端部において中間部材130が設けられていない場合であって、1つのシール部材のみが介在されている場合よりも小さい。
【0068】
これにより、タンク110に反りが生じた場合でも、タンク110の第2の貫通孔111bの内壁面113bと、ヒータ120の外周面121と、の間から水が漏れることを防止することができる。つまり、本実施形態にかかる温水タンク100は、熱源として棒状のヒータ120を使用した場合のシール性能を確保することができる。
【0069】
なお、ヒータ120の外周面121からみてタンク110の第2の貫通孔111bの内壁面113bが傾斜すると、その内壁面113bおよび押さえ部材150は、第3のシール部材163の中心部を略中心として傾斜する。そして、タンク110の第2の貫通孔111bの内壁面113bがヒータ120の外周面121からみて例えば約2〜3度程度傾斜すると、押さえ部材150は、図17に表した領域A13においてヒータ120の外周面121と干渉する。そのため、内壁面113bおよび押さえ部材150は、ヒータ120の外周面121からみて例えば約2〜3度程度よりも大きい角度で傾斜すると、押さえ部材150とヒータ120の外周面121との干渉点を略中心として傾斜することができる。
なお、前述した約2〜3度程度の角度については、これだけに限定されるわけではなく、適宜設定変更することができる。
【0070】
次に、本発明の他の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図18は、本発明の他の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
また、図19は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の内部を前側から眺めた斜視模式図である。
また、図20は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の内部を後側から眺めた斜視模式図である。
【0071】
図18に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「大便器」と称する)800と、大便器800の後方上部に設けられた衛生洗浄装置10と、を備える。衛生洗浄装置10は、ケーシング(ベース部材)200と、便座300と、便蓋400と、を有する。便座300と便蓋400とは、ケーシング200に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0072】
ケーシング200の内部には、図19および図20に表したように、便座300に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができるノズルユニット210と、ノズルユニット210に供給する温水を生成し貯留する温水タンク100と、バルブユニット250と、が内蔵されている。温水タンク100は、図1〜図17に関して前述した如くである。
ノズルユニット210は、温水タンク100から供給された水を使用者の「おしり」などに向けて噴射する洗浄ノズル211を有する。
【0073】
バルブユニット250は、図20に表したように、温水タンク100の後方であって、ケーシング200の角部に設置されている。バルブユニット250は、電磁弁251を有し、その電磁弁251を開閉させることにより温水タンク100への給水の有無を制御することができる。
【0074】
また、ケーシング200の上部には、図18に表したように、使用者が便座300に座ったことを検知する着座センサ201が設けられている。着座センサ201が便座300に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部500を操作すると、洗浄ノズル211を大便器800のボウル801内に進出させることができる。なお、図18に表したトイレ装置では、洗浄ノズル211がボウル801内に進出した状態を表している。
【0075】
洗浄ノズル211の先端部には、ひとつあるいは複数の図示しない吐水口が設けられている。洗浄ノズル211は、その先端部に設けられた吐水口から水を噴射して、便座300に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0076】
図示しない給水源から衛生洗浄装置10に供給された水は、まずバルブユニット250へ導かれる。バルブユニット250の電磁弁251が開いている場合には、給水源から供給された水は、バルブユニット250を介して温水タンク100の流入部181からタンク110内へ導かれる。タンク110内へ供給された水は、ヒータ120により加熱され温水となる。そして、タンク110内においてヒータ120により加熱された水は、流入部181から新たに供給される水から押し出されるようにして、バキュームブレーカ183を介して例えばノズルユニット210の洗浄ノズル211へ導かれる。
【0077】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の内部の構造について、図面を参照しつつさらに説明する。
図21は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の内部を上方から眺めた斜視模式図である。
なお、図21(a)は、タンク110の上タンク110aを分解する前の拡大模式図であり、図21(b)は、タンク110の上タンク110aを分解した後の拡大模式図である。また、図21(a)および図21(b)においては、説明の便宜上、バルブユニット250を適宜省略している。
【0078】
温水タンク100は、固定部117a、117b、117cを有し、その固定部117a、117b、117cにおいてケーシング200に固定されている。例えば、固定部117a、117b、117cには、ねじなどの締結部材を貫通可能な締結孔が形成されている。そして、例えばねじなどの締結部材をその締結孔に通してケーシング200に締結することにより、温水タンク100は、ケーシング200に固定される。なお、温水タンク100とケーシング200との固定位置および固定数については、図21(a)および図21(b)に表した固定位置および固定数に限定されるわけではない。
【0079】
ケーシング200は、温水タンク100の中間部材130がタンク110の第1の貫通孔111aから抜けることを防止する抜け止め部220を有する。抜け止め部220は、例えば、中間部材130の一部と接触することにより、あるいは中間部材130の一部をタンク110の内部側へ押すことにより、その中間部材130が第1の貫通孔111aから抜けることを防止することができる。
【0080】
次に、本実施形態の抜け止め部220の一例について、図面を参照しつつ説明する。
図22は、本実施形態の抜け止め部の一例を上方から眺めた平面模式図である。
また、図23は、本実施形態の抜け止め部の一例を前方から眺めた平面模式図である。 また、図24は、本実施形態の抜け止め部の一例を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
なお、図22および図24においては、説明の便宜上、タンク110を適宜省略している。
【0081】
抜け止め部220は、図23および図24に表したように、ケーシング200の底面から上方へ突出した形状を有する。また、抜け止め部220は、温水タンク100がケーシング200に固定された状態において、例えば中間部材130の両脇に設けられている。そして、抜け止め部220は、温水タンク100がケーシング200に固定された状態において、中間部材130の受け部137(図10参照)と接触している。あるいは、抜け止め部220は、中間部材130の受け部137をタンク110の内部側へ押している。そのため、抜け止め部220は、中間部材130が第1の貫通孔111aから抜けることを防止することができる。
【0082】
これによれば、例えばねじなどの締結部材により中間部材130をタンク110に固定することなく、中間部材130が第1の貫通孔111aから抜けることを防止することができる。そのため、中間部材130は、ヒータ120の外周面121およびタンク110の第1の貫通孔111aの内壁面113aの少なくともいずれかからみて容易に変位することができる。
【0083】
これにより、タンク110に反りが生じた場合でも、タンク110の第1および第2の貫通孔111a、111bの内壁面113a、113bと、ヒータ120の外周面121と、のそれぞれ間から水が漏れることを防止することができる。つまり、本実施形態にかかる衛生洗浄装置10は、熱源として棒状のヒータ120を使用した場合のシール性能を確保することができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、温水タンク100や衛生洗浄装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや中間部材130やバックアップリング140やシール部材161、162の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、例えば、中間部材130、バックアップリング140、およびシール部材161、162は、ヒータ120の一端部だけではなく、ヒータ120の両端部に設けられていてもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0085】
10 衛生洗浄装置、 100 温水タンク、 110 タンク、 110a 上タンク、 110b 下タンク、 111 貫通孔、 111a 第1の貫通孔、 111b 第2の貫通孔、 113、113a、113b 内壁面、 115 切り欠き部、 117a、117b、117c 固定部、 120 ヒータ、 121 外周面、 123 端面、 130 中間部材、 131 突起部、 133 ストッパ、 135 係合凸部、 137 受け部、 140 バックアップリング、 141 係合孔、 150 押さえ部材、 153 ストッパ、 155 締結孔、 161 第1のシール部材、 162 第2のシール部材、 163 第3のシール部材、 168 シール部材、 181 流入部、 182 整流ユニット、 183 バキュームブレーカ、 185 フロートスイッチ、 186 バイメタル、 188 温度検知手段、 200 ケーシング、 201 着座センサ、 210 ノズルユニット、 211 洗浄ノズル、 220 抜け止め部、 250 バルブユニット、 251 電磁弁、 300 便座、 400 便蓋、 500 操作部、 800 大便器、 801 ボウル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の貫通孔を有し、樹脂により形成された中空容器と、
少なくとも一部が前記中空容器の内部に配設され、両端部が前記貫通孔を貫通して前記中空容器の外部に露出し、前記中空容器に取り付けられた棒状のヒータと、
前記ヒータの少なくとも一端部において、前記ヒータの外周面と、前記貫通孔の内壁面と、の間に挿入された中間部材と、
前記中間部材と前記中空容器との間および前記中間部材と前記ヒータとの間にそれぞれ設けられ、前記ヒータの外周面と前記貫通孔の内壁面との間を水密にするシール部材と、
を備えたことを特徴とする温水タンク。
【請求項2】
前記中間部材は、前記ヒータの外周面と、前記貫通孔の内壁面と、の間の隙間を前記ヒータの径方向に2つに分割し、前記中間部材と前記貫通孔の内壁面との間に隙間を設けることにより、前記ヒータの外周面および前記貫通孔の内壁面の少なくともいずれかからみて変位可能であることを特徴とする請求項1記載の温水タンク。
【請求項3】
前記中空容器は、前記中間部材が前記ヒータの外周面と前記貫通孔の内壁面との間から抜けることを防止する抜け止め片をさらに有し、
前記中間部材は、前記抜け止め片に係合されたことを特徴とする請求項1または2に記載の温水タンク。
【請求項4】
前記中間部材は、前記中空容器と前記ヒータとの間に設けられた前記シール部材により、前記ヒータを軸方向に摺動可能に保持したことを特徴とする請求項1記載の温水タンク。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの温水タンクと、
前記ヒータの外周面と前記貫通孔の内壁面との間から前記中間部材が抜けることを防止する抜け止め部を有し、前記温水タンクを固定するベース部材と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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