説明

温水暖房システム

【課題】温水を熱源機1の熱交換器5と暖房放熱器2との間に循環させる循環路にシスターン7と循環ポンプとを介設し、試運転に際し、シスターンを介して循環路に給水しつつ循環ポンプを駆動して、循環路内の空気を脱気する脱気運転を行う温水暖房システムであって、循環路は、熱交換器とシスターンとの間の第1循環路8と、シスターンと暖房放熱器との間の第2循環路9とに分割され、循環ポンプとして、第1循環路に温水を循環させる第1循環ポンプ10と、第2循環路に温水を循環させる第2循環ポンプ11とを備えるものにおいて、第1と第2の各循環路の脱気を良好に行い得られるようにする。
【解決手段】第2循環ポンプ11の駆動で第2循環路9内の空気を脱気する第2循環路の脱気運転完了後に、第1循環ポンプ10の駆動で第1循環路8内の空気を脱気する第1循環路の脱気運転を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナで加熱される熱交換器を有する熱源機と、暖房放熱器と、熱交換器と暖房放熱器との間に温水を循環させる循環路とを備える温水暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の温水暖房システムにおいては、循環路を、熱交換器で加熱された温水を暖房放熱器に送る往き通路と、暖房放熱器を通過した温水を熱交換器に戻す戻り通路とで構成し、戻り通路にシスターンと循環ポンプとを介設している。そして、試運転に際し、シスターンを介して循環路に給水しつつ循環ポンプを駆動して、循環路内の空気を脱気する脱気運転を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、最近は、家庭に設置する暖房放熱器の台数が多くなっており、循環路における温水の循環流量も大きくすることが必要になっている。ここで、通過抵抗の大きい熱交換器を経由して大流量の温水を循環路に循環させるには、循環ポンプとして高揚程のポンプを用いることが必要になる。然し、高揚程の循環ポンプで循環路における所定の循環流量を確保しようとすると、通過抵抗の大きい熱交換器にかなりの圧力がかかり、熱交換器の耐圧性の点で問題を生ずる。また、熱交換器では流路面積が絞られ、所要の循環流量を確保しようとすると、熱交換器内の流速が非常に速くなり、エロージョン現象を生じて、熱交換器の耐久性が悪化する。従って、熱交換器の耐圧性、耐久性を確保する上で、循環路における温水の循環流量を十分に大きくすることは困難である。
【0004】
そこで、本願出願人は、先に特願2004−247147により、循環路を、熱交換器とシスターンとの間の第1循環路と、シスターンと暖房放熱器との間の第2循環路とに分割し、循環ポンプとして、第1循環路に温水を循環させる第1循環ポンプと、第2循環路に温水を循環させる第2循環ポンプとを備える温水暖房システムを出願している。これによれば、熱交換器に対する温水の循環流量は第1循環ポンプの流量で決まり、暖房放熱器に対する温水の循環流量は第2循環ポンプの流量で決まる。即ち、熱交換器に対する循環流量と暖房放熱器に対する循環流量とを個別に決定できるようになり、暖房放熱器に対する循環流量を大きくしても、熱交換器に対する循環流量を比較的小さくして、熱交換器の耐圧性、耐久性に悪影響を与えないようにすることができる。
【0005】
然し、この先願の温水暖房システムでは、試運転に際し、シスターンを介して第1と第2の両循環路に給水しつつ第1と第2の両循環ポンプを駆動しても、第1と第2の各循環路内の空気をうまく脱気できない、という不具合を生ずる。その原因は、鋭意努力の結果、第1と第2の両循環路の一方からシスターンに押し出された空気が他方の循環路に再吸引され、空気が系外に抜けにくくなるためである、と判明した。
【特許文献1】特開昭63−75428号公報(第2,3頁、第1図、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、上記先願のものにおける第1と第2の各循環路の脱気を良好に行い得られるようにした温水暖房システムを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナで加熱される熱交換器を有する熱源機と、暖房放熱器と、温水を熱交換器と暖房放熱器との間に循環させる循環路とを備え、循環路にシスターンと循環ポンプとを介設し、試運転に際し、シスターンを介して循環路に給水しつつ循環ポンプを駆動して、循環路内の空気を脱気する脱気運転を行う温水暖房システムであって、循環路は、熱交換器とシスターンとの間の第1循環路と、シスターンと暖房放熱器との間の第2循環路とに分割され、循環ポンプとして、第1循環路に温水を循環させる第1循環ポンプと、第2循環路に温水を循環させる第2循環ポンプとを備えるものにおいて、脱気運転は、第1循環ポンプの駆動で第1循環路内の空気を脱気する第1循環路の脱気運転と、第2循環ポンプの駆動で第2循環路内の空気を脱気する第2循環路の脱気運転とに分けられ、第1循環路と第2循環路との一方の循環路の脱気運転完了後に他方の循環路の脱気運転を行わせる制御手段を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、脱気運転時に第1と第2の両循環ポンプが同時に駆動されることはなく、そのため、第1循環路の脱気運転中に第1循環路からシスターンに押し出された空気が第2循環ポンプの吸引力により第2循環路に再吸引されたり、第2循環路の脱気運転中に第2循環路からシスターンに押し出された空気が第1循環ポンプの吸引力により第1循環路に再吸引されたりすることを防止できる。従って、第1と第2の各循環路内の空気がシスターンを介して系外に抜けやすくなり、各循環路の脱気を良好に行うことができる。
【0009】
尚、暖房放熱器を含む第2循環路の総内容積は第1循環路に比し遥かに大きく、第2循環路の脱気運転中に第2循環路からシスターンに多量の空気が押し出され、その一部が第1循環路に侵入する可能性がある。ここで、第2循環路の脱気運転の完了後に第1循環路の脱気運転を行えば、第2循環路の脱気運転中に第2循環路から押し出された空気の一部が第1循環路に侵入しても、その後の第1循環路の脱気運転で第1循環路内に空気は残らなくなり、有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照して、1は熱源機であり、熱源機1で加熱された温水を床暖房パネルといった暖房放熱器2に循環させて暖房を行う温水暖房システムを構成している。熱源機1には燃焼筐3が設けられており、燃焼筐3内に、バーナ4と、バーナ4で加熱される熱交換器5とを収納している。燃焼筐3内には、燃焼ファン6により燃焼用空気が供給される。
【0011】
バーナ4に燃料ガスを供給するガス通路40には、ガス元弁41とガス比例弁42とが介設されている。また、バーナ4は複数の単位バーナ4aで構成されている。そして、これら単位バーナ4aを複数組に組み分けし、ガス通路40をガス比例弁42の下流側で単位バーナ4aの各組毎に分岐し、各分岐路に単位バーナ4aの各組に燃料ガスを供給する能力切換弁43を介設している。かくして、これら能力切換弁43の制御とガス比例弁42の制御との組み合わせによりバーナ4の燃焼量を広範囲に可変できるようになる。
【0012】
熱交換器5は、バーナ4の直上部に配置した主熱交換器51と、主熱交換器51を通過した燃焼排気が流れる排気通路に配置した副熱交換器52とで構成され、主熱交換器51の上流側に副熱交換器52が直列に接続されている。副熱交換器52では、燃焼排気中の水蒸気が凝縮して、潜熱が回収される。そして、凝縮水は、副熱交換器52の直下に配置したドレン受け52aと中和器52bとを介してドレンパイプ52cから排水される。
【0013】
また、熱源機1には、シスターン7が設けられている。そして、熱交換器5とシスターン7との間で第1循環路8を介して温水を循環させ、シスターン7と暖房放熱器2との間で第2循環路9を介して温水を循環させるようにしている。尚、第2循環路9には、複数の暖房放熱器2が夫々熱動弁等の通水弁2aを介して並列に接続されており、各暖房放熱器2の運転スイッチがオンされたときに、該各暖房放熱器2にその通水弁2aの開弁で温水が循環可能な状態になる。
【0014】
ところで、暖房放熱器2の設置台数が多い場合、これら暖房放熱器2に対する湯水のトータル循環流量もかなり大きくする必要がある。ここで、熱交換器5と暖房放熱器2との間の循環路が本実施形態の如く第1循環路8と第2循環路9とに分割されておらず、暖房放熱器2に対する湯水の循環流量に等しい流量で熱交換器5に湯水が流れる場合、循環流量を大流量にすると熱交換器5の耐圧性、耐久性に悪影響が及ぶ。そのため、熱交換器5の耐圧性、耐久性を確保する上で暖房放熱器2に対する湯水のトータル循環流量は然程大きくできない。これに対し、本実施形態では、熱交換器5に対する湯水の循環流量(第1循環路8での湯水循環流量)と暖房放熱器2に対する湯水の循環流量(第2循環路9での湯水循環流量)とを個別に決定できるようになる。そのため、暖房放熱器2に対する湯水のトータル循環流量を大きくしても、熱交換器5に対する湯水の循環流量を比較的小さくして、熱交換器5の耐圧性、耐久性に悪影響を与えないようにすることができる。即ち、熱交換器5の耐圧性、耐久性による制限を受けることなく暖房放熱器2に対する湯水のトータル循環流量を大きくすることが可能になる。
【0015】
以下、シスターン7と第1及び第2の循環路8,9について詳述する。シスターン7には、補水弁71を介設した給水管70を介して水が補給される。そして、シスターン7に低水位と高水位を検出する2つの水位電極72、73を付設し、これら水位電極72,73のオンオフ信号に基づいて後述する脱気運転の制御を行うようにしている。また、シスターン7には、水位が所定の上限レベルを超えることがないようにオーバーフロー管74が接続されている。
【0016】
第1循環路8は、熱交換器5(主熱交換器51)を通過した温水をシスターン7に送る往き通路8aと、シスターン7から熱交換器5(副熱交換器52)に温水を戻す戻り通路8bとで構成され、戻り通路8bに第1循環ポンプ10が介設されている。第2循環路9は、シスターン7から暖房放熱器2に温水を送る往き通路9aと、暖房放熱器2からシスターン7に温水を戻す戻り通路9bとで構成され、往き通路9aに第2循環ポンプ11が介設されている。また、第2循環路9の往き通路9aには、第2循環ポンプ11の上流側と下流側を結ぶバイパス通路9cが設けられている。これによれば、第2循環ポンプ11の運転中に何らかの異常で往き通路9aから戻り通路9bへの温水の流れが遮断された場合にも、第2循環ポンプ11にバイパス通路9cを介しての温水の循環で所要量の温水が流れ、第2循環ポンプ11が保護される。尚、第1と第2の各循環ポンプ10,11は、DCモータで駆動される流量可変式ポンプで構成されている。
【0017】
シスターン7には、第2循環路9の戻り通路9bからシスターン7に戻された低温の温水が第2循環路9の往き通路9aに短絡的に流れることを防止するため、第2循環路9の往き通路9aの接続部と戻り通路9bの接続部との間に位置する邪魔板75が設けられている。また、本実施形態では、第1循環路8の往き通路8aの下流端と、第2循環路9の往き通路9aの上流端とを合流させてシスターン7に接続している。そのため、第1循環路8での湯水循環流量より第2循環路9での湯水循環流量の方が大きい場合には、熱交換器5で加熱された温水の全てが、シスターン7を経由せずに、第1循環路8の往き通路8aから第2循環路9の往き通路9aを介して暖房放熱器2に供給され、熱交換器5により温水に加えられた熱量が効率良く暖房放熱器2に伝達される。第1循環路8での湯水循環流量より第2循環路9での湯水循環流量の方が小さい場合には、熱交換器5で加熱された温水のうち第2循環路9での湯水循環流量を上回る部分がシスターン7に流れ、熱交換器5により温水に加えられた熱量の一部がシスターン7に伝達される。その結果、熱交換器5に戻される温水の温度が上昇して、バーナ4の燃焼量が減少し、エネルギー効率は良好に維持される。尚、第1循環路8の往き通路8aの下流端と第2循環路9の往き通路9aの上流端とをシスターン7に個別に接続し、熱交換器5で加熱された温水をシスターン7を経由して第2循環路9の往き通路9aに流すことも可能である。
【0018】
また、第1循環路8の往き通路8aには、熱交換器5から送り出される温水の温度を検出する第1循環路用温度センサ12が設けられ、第2循環路9の往き通路9aには、暖房放熱器5に供給される温水の温度を検出する第2循環路用温度センサ13が設けられている。
【0019】
熱源機1には制御手段たるコントローラ14が設けられており、何れかの暖房放熱器2の運転スイッチがオンされたとき、コントローラ14により第1と第2の両循環ポンプ10,11と燃焼ファン6とが駆動され、燃焼ファン6の回転を検知した後、ガス元弁41が開弁されると共に、図示省略した点火プラグでの火花放電が行われて、バーナ4に点火される。このようにしてバーナ4の燃焼が開始されると、第2循環路用温度センサ13の検出温度に基づくガス比例弁42と能力切換弁43との制御が行われ、第2循環路用温度センサ13の検出温度が所定の設定温度に維持されるようにバーナ4の燃焼量が制御される。尚、運転初期は、第1循環ポンプ10の回転数を低くし、第1循環路用温度センサ12の検出温度が所定温度(例えば60℃)以上になるように第1循環路8での温水循環流量を小さくする。これにより、主熱交換器5aでの結露を防止できる。また、第2循環路9での温水循環流量が暖房放熱器2の運転台数に応じて変化するように第2循環ポンプ11の回転数を制御し、暖房能力と省エネ性との両立を図る。
【0020】
ところで、コントローラ14には試運転スイッチ(図示せず)が付設されている。そして、温水暖房システムの設置後に試運転スイッチをオンすると、第1と第2の各循環路8,9にシスターン7を介して給水しつつ第1と第2の各循環ポンプ10,11を駆動して、第1と第2の各循環路8,9内の空気を脱気する脱気運転が行われる。コントローラ14による脱気運転の制御は図2に示す通りであり、以下この制御について詳述する。
【0021】
脱気運転制御では、先ず、S1のステップで全ての暖房放熱器2の通水弁2aを開弁すると共に、S2のステップで補水弁71を開弁し、次に、S3のステップで低水位電極72がオン状態(低水位電極72はシスターン7内の水位が低水位電極72の下端以上の高さのときにオン状態になる)であるか否かを判別する。補水弁71を介してのシスターン7への給水で低水位電極72がオン状態になったときは、S4のステップで第2循環ポンプ11を駆動し、次に、S6のステップで再び低水位電極72がオン状態であるか否かを判別する。
【0022】
第2循環ポンプ11を駆動すると、シスターン7内の水が第2循環路9に送られ、当初はシスターン7内の水位が低下する。その結果、S6のステップで低水位電極72がオン状態と判別されなくなり、この場合はS5のステップで第2循環ポンプ11を停止した後S3のステップに戻り、S3のステップからS6のステップまでの処理が繰り返される。そして、第2循環ポンプ11を駆動する度に第2循環路9内の空気がシスターン7に押し出され、第2循環路9が次第に水で満たされる。遂には、第2循環ポンプ11を駆動してもシスターン7内の水位が殆ど低下しなくなり、S6のステップで低水位電極72がオン状態と判別される。この場合は、S7のステップに進み、高水位電極73がオン状態(高水位電極73はシスターン7内の水位が高水位電極73の下端以上の高さのときにオン状態になる)であるか否かを判別する。高水位電極73がオン状態でなければS6のステップに戻り、高水位電極73がオン状態になったときにS8のステップに進み、補水弁71と全ての暖房放熱器2の通水弁2aとを閉弁すると共に、第2循環ポンプ11を停止し、第2循環路9の第1段階の脱気運転を完了する。
【0023】
このように第2循環路9の第1段階の脱気運転を行うと、第2循環路9の往き通路9a及び戻り通路9b内の空気は殆ど脱気されるが、各暖房放熱器2内に空気が残留する可能性がある。そこで、複数の暖房放熱器2に個別に通水して、各暖房放熱器2に残留する空気を完全に脱気する第2循環路9の第2段階の脱気運転を行う。
【0024】
第2循環路9の第2段階の脱気運転では、先ず、S9のステップにおいて、予め定められた順番に従って選択される1つの暖房放熱器2の通水弁2aを開弁し、次に、S10のステップで低水位電極72がオン状態であるか否かを判別する。低水位電極72がオン状態でなければ、S11のステップで補水弁71を開弁してS10のステップに戻る。低水位電極72がオン状態であるときは、S12のステップで第2循環ポンプ11を駆動した後、S14のステップで再び低水位電極72がオン状態であるか否かを判別する。そして、低水位電極72がオン状態でなければ、S13のステップで第2循環ポンプ11を停止した後、S11のステップを経由してS10のステップに戻る。また、S14のステップで低水位電極72がオン状態であると判別されたときは、S16のステップに進んで高水位電極73がオン状態であるか否かを判別し、高水位電極73がオン状態でなければ、S15のステップで補水弁71を開弁してS14のステップに戻る。
【0025】
高水位電極73がオン状態になったときは、S17のステップで補水弁71を閉弁してS18のステップに進み、第2循環ポンプ11の駆動開始から所定時間(例えば、1分)経過したか否かを判別する。そして、所定時間経過するまでは、S10のステップに戻り、所定時間経過したとき、S19のステップで第2循環ポンプ11を停止する。次に、S20のステップで第2循環ポンプ11の停止から所定時間(例えば、1分)経過したか否かを判別し、第2循環ポンプ11の停止から所定時間経過したときに、S21のステップで初期値が零の第1カウンタ値C1に1を加算した後、S22のステップで第1カウンタ値C1が5になったか否かを判別する。そして、C1=5になるまでは、S10のステップに戻って上記の処理を繰り返す。C1=5になったときは、S23のステップに進み、選択された暖房放熱器2の通水弁2aを閉弁して、当該暖房放熱器2の脱気を完了する。次に、S24のステップで全ての暖房放熱器2の脱気が完了したか否かを判別し、完了していなければ、S9のステップに戻って、次ぎに選択される1つの暖房放熱器2の通水弁2aを開弁し、当該暖房放熱器2の脱気を開始する。
【0026】
本実施形態では、各暖房放熱器2の脱気に際し、第2循環ポンプ11を所定時間駆動して所定時間停止するという第2循環ポンプ11の間歇運転が5回繰り返されることになる。そして、第2循環ポンプ11の停止中に、シスターン7から空気が系外に抜けると共に、第2循環路9内の気泡が集合して、次ぎの第2循環ポンプ11の駆動で気泡がシスターン7に押し出されやすくなり、第2循環ポンプ11の間歇運転の繰り返しにより、選択された暖房放熱器2を含む第2循環路9内の空気が確実に脱気される。
【0027】
S24のステップで全ての暖房放熱器2の脱気が完了したと判別されると、即ち、第2循環路9の第2段階の脱気運転が完了したと判別されると、次に、第1循環路8の脱気運転が行われる。この脱気運転では、先ず、S25のステップで低水位電極72がオン状態であるか否かを判別する。低水位電極72がオン状態でなければ、S26のステップで補水弁71を開弁してS25のステップに戻る。低水位電極72がオン状態であるときは、S27のステップで第1循環ポンプ10を駆動した後、S29のステップで再び低水位電極72がオン状態であるか否かを判別する。
【0028】
ここで、第1循環ポンプ10を駆動すると、シスターン7内の水が第1循環路8に送られ、当初はシスターン7内の水位が低下する。その結果、S29のステップで低水位電極72がオン状態と判別されなくなり、この場合はS28のステップで第1循環ポンプ10を停止した後、S26のステップを経由してS25のステップに戻り、S25のステップからS29のステップまでの処理が繰り返される。そして、第1循環ポンプ10を駆動する度に第1循環路8内の空気がシスターン7に押し出され、第1循環路8が次第に水で満たされる。遂には、第1循環ポンプ10を駆動してもシスターン7内の水位が殆ど低下しなくなり、S29のステップで低水位電極72がオン状態と判別される。この場合は、S31のステップに進んで高水位電極73がオン状態であるか否かを判別し、高水位電極73がオン状態でなければ、S30のステップで補水弁71を開弁してS29のステップに戻る。
【0029】
高水位電極73がオン状態になったときは、S32のステップで補水弁71を閉弁してS33のステップに進み、第1循環ポンプ10の駆動開始から所定時間(例えば、1分)経過したか否かを判別する。そして、所定時間経過するまでは、S25のステップに戻り、所定時間経過したとき、S34のステップで第1循環ポンプ10を停止する。次に、S35のステップで第1循環ポンプ10の停止から所定時間(例えば、1分)経過したか否かを判別し、第1循環ポンプ10の停止から所定時間経過したときに、S36のステップで初期値が零の第2カウンタ値C2に1を加算した後、S37のステップで第2カウンタ値C2が5になったか否かを判別する。そして、C2=5になるまでは、S25のステップに戻って上記の処理を繰り返し、C2=5になったとき、脱気運転を完了する。
【0030】
かくして、第1循環路8の脱気運転でも第1循環ポンプ10を所定時間駆動して所定時間停止するという第1循環ポンプ10の間歇運転が5回繰り返されることになり、第1循環路8内の空気が確実に脱気される。
【0031】
ところで、補水弁71の開弁によるシスターン7への給水により低水位電極72がオン状態になったとき、第1と第2の両循環ポンプ10,11を共に駆動して、第1と第2の両循環路8,9の脱気運転を同時に行うことも考えられる。然し、これでは、第1と第2の両循環路8,9の一方からシスターン7に押し出された空気が他方の循環路に再吸引され、空気が系外に抜けにくくなって、各循環路8,9内の空気をうまく脱気できなくなる。これに対し、本実施形態では、脱気運転時に第1と第2の両循環ポンプ10,11が同時に駆動されることはなく、そのため、第1循環路8の脱気運転中に第1循環路8からシスターン7に押し出された空気が第2循環ポンプ11の吸引力により第2循環路9に再吸引されたり、第2循環路9の脱気運転中に第2循環路9からシスターン7に押し出された空気が第1循環ポンプ10の吸引力により第1循環路8に再吸引されたりすることを防止できる。従って、第1と第2の各循環路8,9内の空気がシスターン7を介して系外に抜けやすくなり、各循環路8,9の脱気を良好に行うことができる。
【0032】
尚、本実施形態では、最初に第2循環路9の脱気運転を行っているが、第1循環路8の脱気運転を最初に行い、その後で第2循環路9の脱気運転を行うことも可能である。但し、暖房放熱器2を含む第2循環路9の総内容積は第1循環路8に比し遥かに大きく、第2循環路9の脱気運転中に第2循環路9からシスターン7に多量の空気が押し出され、その一部が第1循環路8に侵入する可能性がある。このことを考慮すると、本実施形態の如く第2循環路9の脱気運転完了後に第1循環路8の脱気運転を行うことが望ましい。即ち、第2循環路9の脱気運転中に第2循環路9から押し出された空気の一部が第1循環路8に侵入しても、その後の第1循環路8の脱気運転で第1循環路8内に空気は残らなくなる。
【0033】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して説明したが、本発明は実施形態のものに限定されない。例えば、上記実施形態では、熱交換器5を主熱交換器51と副熱交換器52とで構成しているが、副熱交換器52は省略しても良い。また、上記実施形態では、第1と第2の両循環ポンプ10,11を共にDCポンプで駆動される流量可変式ポンプで構成しているが、コストダウンを図るため、第2循環ポンプ11をACモータで駆動される定流量ポンプで構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態の温水暖房システムの構成を示す説明図。
【図2】実施形態の温水暖房システムで実行する脱気運転制御の内容を示すフロー図。
【符号の説明】
【0035】
1…熱源機、2…暖房放熱器、4…バーナ、5…熱交換器、7…シスターン、8…第1循環路、9…第2循環路、10…第1循環ポンプ、11…第2循環ポンプ、14…コントローラ(制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナで加熱される熱交換器を有する熱源機と、暖房放熱器と、温水を熱交換器と暖房放熱器との間に循環させる循環路とを備え、循環路にシスターンと循環ポンプとを介設し、試運転に際し、シスターンを介して循環路に給水しつつ循環ポンプを駆動して、循環路内の空気を脱気する脱気運転を行う温水暖房システムであって、
循環路は、熱交換器とシスターンとの間の第1循環路と、シスターンと暖房放熱器との間の第2循環路とに分割され、循環ポンプとして、第1循環路に温水を循環させる第1循環ポンプと、第2循環路に温水を循環させる第2循環ポンプとを備えるものにおいて、
脱気運転は、第1循環ポンプの駆動で第1循環路内の空気を脱気する第1循環路の脱気運転と、第2循環ポンプの駆動で第2循環路内の空気を脱気する第2循環路の脱気運転とに分けられ、
第1循環路と第2循環路との一方の循環路の脱気運転完了後に他方の循環路の脱気運転を行わせる制御手段を備えることを特徴とする温水暖房システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2循環路の脱気運転の完了後に前記第1循環路の脱気運転を行わせるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の温水暖房システム。

【図1】
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【図2】
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