説明

温水暖房システム

【課題】圧力検出装置への熱伝導率をさらに向上させ、低温時における機器の運転性及び使用性を向上した温水暖房システムを提供すること。
【解決手段】暖房用温水循環回路を介して暖房端末に温水を供給する温水暖房ユニットを備え、前記温水暖房ユニット内を循環する温水配管17と、前記暖房用温水循環回路内の水圧を検知する圧力検出装置14とを固定金具18にて連結固定したことを特徴とする温水暖房システムで、主循環経路を構成する温水配管の持つ熱容量を、固定金具を介して圧力検出装置に熱伝導し、圧力検出装置の温度低下を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房用温水循環回路を介して暖房端末に温水を供給する温水暖房システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の温水暖房システムとして、温水を供給する温水暖房ユニットと、温水を利用した熱交換により暖房を行なう暖房端末とを往配管及び戻配管により接続し温水の循環経路を形成している。また前記温水暖房ユニット内を循環する温水配管の戻り配管経路に、循環経路内の水圧を検知する圧力センサが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−178200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の温水暖房システムの温水暖房ユニットが低温条件下にさらされる場所に設置された場合、雰囲気温度と同様に温水暖房ユニットの機内温度も低下する、またユニット内の温水配管において、暖房端末にて放熱した状態の温水が戻ってくる戻り配管は温水暖房ユニット内において最も温度の低い部位となる。
【0005】
さらに前記戻り配管にキャピラリチューブなどの細管にて接続された圧力検出装置は、主循環経路構成する温水配管のように常に暖房運転中に配管内を温水が循環しておらず、キャピラリチューブなどの細管を介して加圧されているものの、細管内の温水は滞留しており細管が凍結し、機器の運転動作範囲内で循環経路内の水圧を検知できず、最悪の場合は細管内部が凍結破裂し循環回路内温水が漏水する可能性があった。
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、圧力検出装置への熱伝導率をさらに向上させ、低温時における機器の運転性及び使用性を向上した温水暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の温水暖房システムは、暖房用温水循環回路を介して暖房端末に温水を供給する温水暖房ユニットを備え、前記温水暖房ユニット内を循環する温水配管と、前記暖房用温水循環回路内の水圧を検知する圧力検出装置とを固定金具にて連結固定したことを特徴とするもので、主循環経路を構成する温水配管の持つ熱容量を、固定金具を介して圧力検出装置に熱伝導し、圧力検出装置の温度低下を防止できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、圧力検出装置への熱伝導率をさらに向上させ、低温時における機器の運転性及び使用性を向上した温水暖房システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1に温水暖房システムの構成図
【図2】本発明の形態における温水暖房ユニットの正面図
【図3】同実施の形態における温水暖房ユニット内の暖房温水循環回路の拡大構造図
【図4】同実施の形態における詳細配管斜視図
【図5】同実施の形態における着脱可能な固定金具の斜視図
【図6】同実施の形態における着脱可能な固定金具の固定断面図
【図7】同実施の形態における配管断熱構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、暖房用温水循環回路を介して暖房端末に温水を供給する温水暖房ユニットを備え、前記温水暖房ユニット内を循環する温水配管と、前記暖房用温水循環回路内の水圧を検知する圧力検出装置とを固定金具にて連結固定したことを特徴とする温水暖房システムで、主循環経路を構成する温水配管の持つ熱容量を、固定金具を介して圧力検出装置に熱伝導し、圧力検出装置の温度低下を防止できる。
【0011】
第2の発明は、前記固定金具を、前記温水配管から着脱可能な構成としたことを特徴とするもので、作業性の向上と同時に固定金具と温水配管の接触面積を増大し、熱伝導率を向上させることができる。
【0012】
第3の発明は、前記温水配管及び圧力検出装置を、発泡断熱材にて包囲したことを特徴とするもので、圧力検出装置と、圧力検出装置と温水配管を接続するキャピラリチューブなどの細管及び温水配管を、発泡断熱材にて周囲で覆うことで断熱性を向上させて、放熱ロスによる温度低下を防止することができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における温水暖房システムの構成図である。図1において本実施の温水暖房ユニット1は冷凍サイクルと暖房用温水循環回路を有している。
【0015】
冷凍サイクルを循環する冷媒と、暖房用温水循環回路を循環する水がプレート型水−冷媒熱交換器2を用いて熱交換し温水を生成する。生成された温水は往き配管3にて暖房端末5に供給され、戻り配管4を通じ温水暖房ユニット1へと接続された閉回路構成となっている。
【0016】
冷凍サイクルは、空気と冷媒とで熱交換を行う蒸発器6、冷媒を高温高圧冷媒に圧縮する圧縮機7、水−冷媒熱交換器2で放熱した後の冷媒を減圧する減圧装置8が配設されており、水−冷媒熱交換器2と減圧装置8と蒸発器6と圧縮機7とを順次冷媒配管にて環状に接続して構成している。なお、冷凍サイクル内の流れる冷媒には、R410Aや二酸化炭素などを用いる。
【0017】
一方、暖房用温水循環回路は、プレート型水−冷媒熱交換器2、水−冷媒熱交換器2で暖められた温水を温水暖房端末5に送るためのポンプ9、管内の圧力を下げることを目的とする圧力逃し弁10、閉回路内に噛み込んだエアー逃がしを目的とする空気抜き弁11、閉回路内の温水往き・戻りが流れているかを判断する流量計(フロースイッチ)12、閉回路内の水圧を正常に保ち、破裂を防止することを目的とする膨張タンク13、閉回路内の水圧を検知する圧力検出装置14、低外気温時の温水温度を補う補助ヒータ15が配置されており、ポンプ9が駆動することによって、温水暖房端末5内の湯水が流れて水−冷媒熱交換器2で水と冷媒との間で熱交換がなされる。
【0018】
温水暖房端末5は、パネルヒーターや床暖房パネルなどを指し、熱交換器16を有して、熱交換器16内に水−冷媒熱交換器2で暖められた温水を流すことによって、居室内を
暖める構成となっている。
【0019】
以上のように構成された温水暖房システムにおいて、以下、温水暖房ユニット1の構成について説明する。
【0020】
図2は、温水暖房ユニットの内部構成図である。図3は図2におけるユニット内の暖房温水循環回路の拡大構造図であり、図4は圧力検出装置の固定方法を示した詳細配管斜視図である。
【0021】
図2、3に示すように圧力検出装置14は、キャピラリチューブなどの細管19によって、ポンプ9と水−冷媒熱交換器2を接続する戻り配管(ユニット内)17に接続され暖房用温水回路内の水圧を検知している。
【0022】
さらに図4に示すように、圧力検出装置14は戻り配管(ユニット内)17にロウ付けされた銅製の固定金具18にビスにて締結固定することにより、戻り配管(ユニット内)17を循環する温水の熱容量を、固定金具18を介して圧力検出装置本体へ熱伝導し、圧力検出装置14の凍結を防止する構成となる。
【0023】
さらに、図5に示すように、固定金具18を戻り配管(ユニット内)の外径に沿った円形状22を加えるにより、図6のように固定金具18は戻り配管(ユニット内)17を挟み込め、かつ、着脱可能な固定構成となり、圧力検出装置の組立時及びメンテナス時の作業性を向上させることができる。同時に固定金具18と戻り配管(ユニット内)17の接触面積を増大し、熱伝導率を向上させることができる。
【0024】
また、図7に示すように、圧力検出装置14と、圧力検出装置14と戻り配管(ユニット内)17を接続するキャピラリチューブなどの細管19及び戻り配管17を発泡断熱材20、21にて周囲で覆うことで断熱性を向上させて、放熱ロスによる温度低下を防止することができる。
【0025】
以上のように、本発明の温水暖房システムは、温水暖房ユニットを上述したような構成とすることにで、低温時における機器の運転性と安全性を確保し、メンテナンス時などにおける作業性を向上させた温水暖房ユニットを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、家庭用の温水暖房システムに限られるものではなく、大型等の温水暖房システムにも適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 温水暖房ユニット
2 水−冷媒熱交換器
3 往き配管
4 戻り配管
5 暖房端末
6 蒸発器
7 圧縮機
8 減圧装置
9 ポンプ
10 圧力逃し弁
11 空気抜き弁
12 フロ−SW
13 膨張タンク
14 圧力検出装置
15 補助ヒータ
16 熱交換器
17 戻り配管(ユニット内)
18 固定金具
19 キャピラリチューブ
20 発泡断熱材
21 発泡断熱材
22 円形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房用温水循環回路を介して暖房端末に温水を供給する温水暖房ユニットを備え、前記温水暖房ユニット内を循環する温水配管と、前記暖房用温水循環回路内の水圧を検知する圧力検出装置とを固定金具にて連結固定したことを特徴とする温水暖房システム。
【請求項2】
前記固定金具を、前記温水配管から着脱可能な構成としたことを特徴とする請求項1に記載の温水暖房システム。
【請求項3】
前記温水配管及び圧力検出装置を、発泡断熱材にて包囲したことを特徴とする請求項1に記載の温水暖房システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図4】
image rotate