説明

温水装置の包装構造

【課題】前後幅よりも小さい左右幅を有する温水装置の上部を覆う天部材にパレット部材の左右幅と略同一の幅の緩衝部を取り付けて温水装置の移動や揺動を防止する温水装置の包装構造を提供し、且つ輸送コストを減少させ得る温水装置の包装構造を提供すること。
【解決手段】温水装置1を載置固定する為のパレット部材11と、温水装置1の上部を覆う天部材13とを有する温水装置の包装構造10において、パレット部材11は、温水装置1の左右幅よりも左右方向に幅広に構成され、天部材13は、温水装置1の左右幅と略同一の幅を有する本体部15と、前記パレット部材11の左右幅と略同一の幅を有する緩衝部16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温水装置の包装構造に関し、特に幅広のパレット部材に載置固定した温水装置の包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、湯水を供給する為の温水装置として、ヒートポンプなどの熱源機ユニットと、この熱源機ユニットに配管接続され湯水を貯える貯湯タンクユニットとから構成された温水装置がある。このような温水装置には、熱源機ユニットと貯湯タンクユニットを個々の外装ケース内に夫々収納した別体型のものや、共通の外装ケース内に一体的に組み込まれた一体型のものがあり、通常、熱源機ユニットや貯湯タンクユニットは軒下などの屋外のスペースに設置される。
【0003】
ところで、昨今の温水装置は、屋外の狭小スペースに設置可能なように、例えば前後幅よりも左右幅を極力小さくした構成が求められている。そのため、左右幅を極力小さくする分、温水装置が高さ方向に延びてしまう。この温水装置を生産工場より納入先へ輸送する場合、温水装置をパレット部材の上面に縦向きに載置してボルトやビスにより固定し、表面が損傷しないように段ボール材などで包装した状態で輸送する。納入先において保管中にも、温水装置をパレット部材を介して自立状態に維持する。かなりの重量物である温水装置を安定的に自立させるために、前記パレット部材の前後幅は、温水装置と略同一の幅に設定することが多いが、パレット部材の左右幅もある程度大きく設定しておかないと、温水装置を安定的に自立状態に維持できない場合もある。
【0004】
例えば、引用例1の包装装置は、上面に電気温水器などの被包装体が固定されるパレット部材(底部スキッド)と、パレット部材に固定された被包装体の上部から被せる角筒体と、底面が開放された箱体内部に被包装体の上部を保護する緩衝材が設けられ且つ被包装体の上部に被せる上部箱体と、角筒体及び上部箱体からなる包装箱の側面を接地させた場合に、緩衝材と当接する上部箱体の外面接地部位に、取り外し可能に設けられたカバー部材とを備え、カバー部材の一部を含めて外周をバンドで締結して一体化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−298383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
左右幅が小さな偏平な形状に形成された温水装置であって、かなりの高さを有する温水装置の場合、特許文献1に記載のように、温水装置の底面とほぼ同サイズのパレット部材(底部スキッド)を採用する場合には、温水装置を自立させた状態での安定性を確保できない。そこで、パレット部材の左右幅を温水装置の左右幅よりも大きく設定することになる。しかし、この温水装置の左右幅がパレット部材の幅よりも狭くなると、輸送時に複数の温水装置をトラックなどの荷台に並べて積み込んだ場合、隣接する温水装置との間に隙間が生じてしまう。そのため、輸送中のトラックの急停止や振動などで温水装置の上部が揺れ動き、隣接する温水装置に倒れかかって損傷したり、相手側の温水装置を損傷させる虞がある。
【0007】
従来では、上記の温水装置間の隙間を塞ぐために、運送業者が隙間に緩衝材を入れるなどの対策を講じていたが、緩衝材の材料費と着脱コストのため輸送コストが高価になるという問題があった。そこで、温水装置の外周を覆う包装材の左右幅をパレット部材の左右幅に一致させることも考えられるが、その場合、多量の包装材や緩衝材が必要となり、これら包装材や緩衝材による廃材が多量に発生するという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、輸送中における温水装置の移動や揺動を防止可能な温水装置の包装構造を提供すること、輸送コストを低減可能な温水装置の包装構造を提供することなどである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の温水装置の包装構造は、前後幅とこの前後幅よりも小さい左右幅とを有する温水装置の包装構造であって、前記温水装置を載置固定する為のパレット部材と、温水装置の上部を覆う天部材とを有する温水装置の包装構造において、前記パレット部材は、前記温水装置の左右幅よりも左右方向に幅広に構成され、前記天部材は、前記温水装置の左右幅と略同一の幅を有する本体部と、前記パレット部材の左右幅と略同一の幅を有する緩衝部とを備えていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の温水装置の包装構造は、請求項1の発明において、前記緩衝部が、前記天部材の本体部とは別部材として構成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3の温水装置の包装構造は、請求項1又は2の発明において、前記緩衝部が、前記本体部の上端面の天板部と、この天板部の両端部に一体的に設けられた1対の緩衝機能部とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、パレット部材は、温水装置の左右幅よりも幅広に構成され、天部材は、温水装置の左右幅と略同一の幅を有する本体部と、パレット部材の左右幅と略同一の幅を有する緩衝部とを備えているので、この緩衝部により、温水装置の転倒を防止することができる。すなわち、輸送時に包装状態の複数の温水装置を整列させた状態で、緩衝部が隣接する緩衝部とほぼ当接状態になるので、車両の急停止や走行中の振動による揺れが発生しても、温水装置の移動や揺動を防止でき、温水装置が隣接する温水装置に接触して損傷するのを防止することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、緩衝部が、天部材の本体部とは別部材として構成されているので、緩衝部を既存の天部材に追加的に取付けることができる。依って、既存の包装仕様を大幅に変更することなく、軽量で簡単な構造の緩衝部を設けることができ、輸送コストを低減できる。
【0014】
請求項3の発明によれば、本体部の上端面の天板部と、この天板部の両端部に一体的に設けられた1対の緩衝機能部とを備えているので、緩衝機能部の落下やズレを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】温水装置とその包装構造の斜視図である。
【図2】温水装置とその包装構造の側面図である。
【図3】温水装置とその包装構造の分解斜視図である。
【図4】包装構造の緩衝部の平面図である。
【図5】包装構造の緩衝部の側面図である。
【図6】包装構造の緩衝部の正面図である。
【図7】包装構造の緩衝部を展開した裏面図である。
【図8】変更形態に係る温水装置とその包装構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0017】
先ず、本発明の包装構造10が適用される温水装置について説明する。
図1〜図3に示すように、本実施例の温水装置1は、温水を発生させる補助熱源機と、給湯用温水を貯える貯湯タンクと、ホンプとセンサ類と配管・配管継手類を含む補機類と、制御ボックスなどを有する。温水装置1の後部に円筒状の貯湯タンクが配設されて外装ケース2,3で覆われ、温水装装置1の前部の上部と中段部に前記の補助熱源機と補機類と制御ボックスとが配設され、外装ケース2で覆われている。尚、図1に矢印で示す前後左右を前後左右として説明する。図1に示すように、温水装置1は、前後幅と、この前後幅よりも小さな左右幅を有する。
【0018】
図1〜図3に示すように、外装ケース2を支持する脚部材4を備え、温水装置1の下端部には、温水装置1を後述するパレット部材11に固定するための1対のベース部材6が設けられている。1対のベース部材6の上面には、ケーブルや説明書などの付属品を収容可能な矩形状の収納ケース14が配置されている。
【0019】
次に、温水装置1の包装構造10について説明する。
図1〜図3に示すように、この包装構造10は、温水装置1を載置固定する為のパレット部材11、温水装置1の前後両側部を覆う1対のカバー部材12、温水装置1の上部を覆う天部材13などを有し、これら構成部材は温水装置1の外周の大部分を覆うように取り付けられている。尚、図1,図2は、温水装置1の包装状態を示している。
【0020】
次に、パレット部材11について説明する。
図1〜図3に示すように、パレット部材11は、木製部材を井桁状に組み合わせたものである。パレット部材11の前後幅は、温水装置1の前後幅よりも僅かに大きく設定され、パレット部材11の左右幅は温水装置1の左右幅よりも大きく設定されている。
【0021】
具体的に、パレット部材11は、前後方向に延びる平板状の1対の下板部材11aと、これら1対の下板部材11aの上に配置されて左右方向に延びる3つの角部材11bと、これら3つの角部材11bの上に配置された前後方向に延びる1対の上板部材11cとで構成されている。
【0022】
温水装置1をパレット部材11に固定する場合、1対のベース部材6を対応する1対の上板部材11cに載置して、4本のボルト6a(又はビス)をベース部材6の挿通孔と上板部材11cの挿通孔に夫々挿通して、ボルト6aの先端部を左右両側の角部材11bの4つのボルト孔に螺合することで、温水装置1をパレット部材11に固定する。尚、本実施例では、例えば、パレット部材11の左右幅は約470mm、前後幅は約810mmに設定され、温水装置1の左右幅は約310mmに設定されている。
【0023】
次に、1対のカバー部材12について説明する。
図1〜図3に示すように、1対のカバー部材12は、厚紙状の段ボール材でもって側方開口状の平面視コ字状に夫々構成され、温水装置1の上下方向に沿うように縦方向に延びている。1対のカバー部材12の上下方向の全長は温水装置1の全長と略同一に設定されている。1対のカバー部材12は、温水装置1の前側部分と後側部分とを覆い保護するように装着される。1対のカバー部材12の上端部分は、後述する天部材13の内側に挿入される。
【0024】
次に、天部材13について説明する。
図1〜図3に示すように、天部材13は、温水装置1の左右幅と略同一の幅を有する本体部15と、この本体部15とは別部材で構成され、パレット部材11の左右幅と略同一の幅を有する緩衝部16とを備えている。この天部材13の本体部15は、温水装置1の上部を包装し保護するものであり、 緩衝部16は、温水装置1の輸送中における温水装置1の移動や揺動を防止する為のものである。
【0025】
本体部15は、段ボール材から下方開放状の箱体に構成されている。本体部15の前後幅は温水装置1の前後幅と略同一の幅に設定され、本体部15の左右幅は温水装置1の左右幅と略同一の幅に設定されている。本体部15の内側には、温水装置1の上部と本体部15との間に生じる隙間を緩衝する内側緩衝部材17が設けられている。
【0026】
図3に示すように、内側緩衝部材17は、下方に開口状の側面視コ字状に構成され、その4隅近傍部には段ボール材を積層した緩衝用の積層体17aが固着されている。内側緩衝部材17は、各積層体17aの下端面を温水装置1の上端面の4隅近傍部に載置するように温水装置1の上部に外嵌することで、温水装置1の天上部分の空間を確保する。内側緩衝部材17の上端面の左右両端部には、1対の天パット18が前後方向の全長に亙って取り付けられ、この1対の天パット18を介して内側緩衝部材17は本体部15の内側に組付けられる。このように、本体部15は、内側緩衝部材17を介在させた状態で、温水装置1の上部(上端部分)に外嵌可能なサイズに構成されている。つまり、本体部15は温水装置1の上部(上端部分)に、内側緩衝部材17の厚みに対応する所定隙間を空けて外嵌可能に構成されている。
【0027】
次に、緩衝部16について説明する。
図1〜図7に示すように、この緩衝部16は、複数の温水装置1を納入先へ輸送する際に、複数の温水装置1をトラックの荷台上に列状に配列した状態で、温水装置1の移動や揺動を防止する為のものである。この緩衝部16は段ボール材から構成され、緩衝部16の左右幅は、パレット部材11の左右幅とほぼ同一の幅に設定されている。
【0028】
緩衝部16は、天板部21と、この天板部21の左右方向の両端部に一体的に設けられた1対の緩衝機能部22とを有する。天板部21が本体部15にバンド部材19aを介して取り付けられた状態では、1対の緩衝機能部22の温水装置1側の側面が本体部15の左右両側面に夫々当接する。
【0029】
天板部21は前後方向に細長い矩形状に形成され、天板部21の前後幅は温水装置1の前後幅とほぼ同一の幅に設定され、天板部21の左右幅は本体部15の左右幅よりも僅かに小さく設定され且つ天板部21の左右幅は温水装置1の左右幅とほぼ同一の幅に設定されている。天板部21は本体部15の上端面に載置されている。
【0030】
天板部21の左端部の長さ方向の中央部分には、天板部21の前後幅の約1/2の長さの緩衝機能部22が一体形成され、天板部21の右端部の長さ方向の中央部分には、天板部21の前後幅の約1/2の長さの緩衝機能部22が一体形成されている。
【0031】
1対の緩衝機能部22が結合された部分を除いて、天板部21の前側部分と後側部分には、複数のバンド部材19aで締め付けられるバンド対応部21aが形成されている。
天板部21の前後幅を緩衝機能部22の前後幅より長くして、天板部21に緩衝機能部22と干渉しないバンド対応部21aを設けることで、従来の仕様と同様のバンド部材19aによる締結構造を適用することができる。
【0032】
1対の緩衝機能部22は、段ボール材を巻いた角筒体に夫々構成されている。各緩衝機能部22は、その上端面が天板部21の上端面と同一平面上に位置するように天板部21に一体形成されている。1対の緩衝機能部22の左右幅の合計は、パレット部材11の左右幅と本体部15の左右幅との差と略同一に設定されている。本実施例では、例えば、前記の左右幅の合計は約160mmに設定されている。各緩衝機能部22は、斜辺状の斜辺板部22aを有し、各緩衝機能部22の強度を高めている。
【0033】
図2に示すように、パレット部材11の左右幅と、緩衝部16の左右幅とがほぼ等しく設定されているため、複数の温水装置1を左右方向に整列させた状態では、緩衝機能部22は、隣接する温水装置1の包装構造10の緩衝機能部22に当接する。
従って、輸送中のトラックの停止時の慣性力や振動などが温水装置1に作用しても、緩衝機能部22が隣接する緩衝機能部22と当接しているので、温水装置1を鉛直姿勢に安定的に維持することができ、複数の温水装置1を安全に輸送することができる。
【0034】
次に、複数のバンド部材19a,19bについて説明する。
図1に示すように、温水装置1に1対のカバー12と天部材13とを装着した状態において、温水装置1の前部に縦巻き状態に掛け回す2本のバンド部材19aと、温水装置1の後部に縦巻き状態に掛け回す2本のバンド部材19aと、温水装置1の中段部に水平に掛け回す1本のバンド部材19bとが設けられている。
【0035】
温水装置1の前部を縛る2本のバンド部材19aは、天板部21の前側のバンド対応部21aを締め付け、また、後部を縛る2本のバンド部材19aは、天板部21の後側のバンド対応部21aを締め付ける。これら4本のバンド部材19aにより、天部材13は温水装置1に対して固定される。1本のバンド部材19bは4本のバンド部材19aの内周側に配置され、このバンド部材19bにより、1対のカバー部材12が温水装置1に対して固定される。
【0036】
次に、緩衝部16の1対の緩衝機能部22の構造と組立て方法について説明する。
図7に示すように、緩衝部16は、1枚のほぼ十文字形の段ボール材を折り曲げて1対の緩衝機能部22を形成するようになっている。図7は、展開状態の緩衝部16の裏面図である。緩衝機能部22を形成する展開部分25には、複数の折り線26a〜26e、複数の切り取り線27が設けられている。1対の緩衝機能部22は、同じ構成のものであるので、以下の説明では、左側の緩衝機能部22の組立て方法について説明する。
【0037】
展開部分25は、左側から右側に順に並んだ複数の折り線26a〜26eにより、斜辺板部22aと、組立て時に上板部22fの下側に位置する内側板部22bと、温水装置1側の側面を形成する当接板部22cと、下端面を形成する下板部22dと、温水装置1と反対側の外側板部22eと、上端面を形成する上板部22fとに区画されている。
【0038】
図7に示すように、展開部分25の斜辺板部22aの端部には、突出する1対の嵌合爪部28aが形成され、折れ線26cの近傍部には、1対の嵌合爪28aを嵌合させる1対の嵌合溝部28bが形成されている。展開部分25の上板部22fには、切り取り線27で分断されて屈曲状に切り起こされる1対の係合爪部29aが形成され、折れ線26bの近傍部には、1対の係合爪部29aを係合させる為の細長い1対の係合孔29bが形成されている。
【0039】
緩衝機能部22を組み立てる場合、先ず、折り線26aを図7の紙面手前側に135度折り曲げ、次に、折り線26bを紙面手前側に90度折り曲げると、1対の嵌合爪部28aが折り線26cの近傍部に到達する。この1対の嵌合爪部28aを1対の嵌合溝部28bに上方から挿入して嵌合爪部28aの先端部を下方へ突出させて、緩衝機能部22の内側の傾斜板部22aを組み立てる。
【0040】
次に、折り線26c、折り線26d、折り線26eを順次図7の紙面手前側に90度ずつ折り曲げていくと、展開部分25は角筒体に組み立てられ、1対の係合孔29bが1対の係合爪部29aの上方に位置する。1対の係合爪部29aを切り起こして上方に90度折り曲げて1対の係合孔29bに挿入することで、角筒体からなる緩衝機能部22が組み立てられる。尚、係合爪部29aの先端部分の幅が、係合孔29bの長手方向の幅よりも長いため、係合爪部29aを係合孔29bに一度挿入すると、係合爪部29aが係合孔29bに強固に係合されて、緩衝機能部22の角筒形状を維持することができる。
【0041】
本発明の温水装置の包装構造10の作用、効果について説明する。
この包装構造10によれば、パレット部材11は、温水装置1の左右幅よりも左右方向に幅広に構成され、天部材13は、温水装置1の左右幅と略同一の左右幅を有する本体部15と、パレット部材11の左右幅と略同一の幅を有する緩衝部16とを備えているので、この緩衝部16により、輸送中における温水装置1の移動や揺動を防止することができる。すなわち、輸送時に複数の包装状態の温水装置1を左右方向に列状に整列させた状態では、緩衝部16が隣接する温水装置1の緩衝部16と当接するので、輸送用のトラックの急停止による慣性力や走行中の振動が作用しても、緩衝部16が隣接する緩衝部16と当接しているため、温水装置1の移動や揺動が確実に防止され、温水装置1が隣接する温水装置1に接触して損傷したり、相手側の温水装置1を損傷したりするのを確実に防止することができる。尚、温水装置1とパレット部材11の前後方向の幅は大きいので、前後方向揺動に対する安定性は確保されている。
【0042】
また、この包装構造10によれば、緩衝部16が、天部材13の本体部15とは別部材として構成されているので、緩衝部16を既存の天部材13の上面に載置するだけの簡単な手順で取付けることができるため、既存の包装仕様を大幅に変更することなく、緩衝部16を適用可能であり、緩衝部16は軽量で簡単な構成のものであるため、安価に製作可能で輸送コストを低減することができる。使用済みの本体部15や緩衝部16から発生する廃棄物の量も比較的少量である。
【0043】
さらに、この包装構造10によれば、本体部15の上端面に載置された天板部21と、この天板部21の両端部に一体的に設けられた1対の緩衝機能部22とを備え、1対の緩衝機能部22で本体部15の上端部を左右両側から挟持する構成であるので、緩衝機能部22の落下やズレを確実に防止することができる。
【0044】
次に、前記実施例の温水装置の包装構造を部分的に変更する例について説明する。
[1]図8に示すように、包装構造10Aの天部材13Aにおいて、緩衝部16Aは、天板部21が省略されて、1対の緩衝機能部22Aで構成されている。1対の緩衝機能部22Aは、夫々、本体部15の左右両側面の上端部に直接固着されている。但し、緩衝機能部22Aの取付箇所は本体部15の上端部に限らず、本体部15の中段部や下段部に取り付けても良い。この構成によれば、1対の緩衝機能部22Aを既存の天部材13の前後両側面に直接取付けることができるため、実施例と同様に既存の包装仕様を大幅に変更することなく、適用可能である。尚、本体部15の左右の両面に夫々複数の緩衝機能部22Aを設けることもできる。
【0045】
[2]緩衝機能部22,22Aは、角筒体に夫々構成されているが、特にこの形状に限定する必要はなく、段ボール材を複数枚積層して角柱状に構成してもよいし、厚紙製のパイプ材を採用してもよく、その他の形状に構成してもよい。また、1対の緩衝機能部22を段ボール部材から構成することに限定する必要はなく、隣接する温水装置1との間で本発明と同様の緩衝機能を奏するものであれば、発泡スチロールなどの合成樹脂材料から構成したものでもよいし、木製のものでもよい。
【0046】
[3]本実施例の温水装置1は、補助熱源機を有するものを例として説明したが、温水装置1は、貯湯タンクユニットとヒートポンプユニットを外装ケース内に一体的に組み込んだものであってもよい。
【0047】
[4]本実施例の緩衝機能部22の構造において、1対の係合爪部29aと1対の係合孔29bを逆の構造にしても良い。つまり、折り線26bの近傍部に切り取り線により1対の係合爪部を形成し、上板部22fに1対の係合孔を形成し、緩衝機能部22を組み立てる際に1対の係合爪部を上板部22fの上方から1対の係合孔に挿入して角筒体を形成するようにしても良い。
【0048】
[5]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例の種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0049】
1 温水装置
10,10A 包装構造
11 パレット部材
13,13A 天部材
15 本体部
16,16A 緩衝部
21 天板部
22,22A 緩衝機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後幅とこの前後幅よりも小さい左右幅とを有する温水装置の包装構造であって、前記温水装置を載置固定する為のパレット部材と、温水装置の上部を覆う天部材とを有する温水装置の包装構造において、
前記パレット部材は、前記温水装置の左右幅よりも左右方向に幅広に構成され、
前記天部材は、前記温水装置の左右幅と略同一の幅を有する本体部と、前記パレット部材の左右幅と略同一の幅を有する緩衝部とを備えていることを特徴とする温水装置の包装構造。
【請求項2】
前記緩衝部が、前記天部材の本体部とは別部材として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の温水装置の包装構造。
【請求項3】
前記緩衝部が、前記本体部の上端面の天板部と、この天板部の両端部に一体的に設けられた1対の緩衝機能部とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の温水装置の包装構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−224343(P2012−224343A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90865(P2011−90865)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】