温灸器
【課題】 皮膚に十分な温熱を作用させて温灸をおこなうことができ、しかも温熱が作用し始める時間を短くすることができると共に酸化反応による発熱を有効に利用し、局部的に集中して熱刺激を与え、温灸効果を高く得ることができる温灸器を提供する。
【解決手段】 鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10の発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を、基材と被覆材との間に収納し、前記基材及び/又は前記被覆材の一部に通気面を有し、前記通気面の透気度が9sec/300cc以下とし、前記基材及び/又は前記被覆材に固定手段を設けたことを特徴とする。
【解決手段】 鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10の発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を、基材と被覆材との間に収納し、前記基材及び/又は前記被覆材の一部に通気面を有し、前記通気面の透気度が9sec/300cc以下とし、前記基材及び/又は前記被覆材に固定手段を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸素の存在下で発熱する発熱組成物を使用し、短時間で発熱し、もぐさを皮膚の上に直接載せて点火してお灸をする場合や、台座灸を直接皮膚面に接着してお灸する場合に比較して、穏やかな条件下で、効率よく実施でき、身体の一部、特に経穴に局部的な熱刺激を与えて患部の治療を行う温灸器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
東洋医学における灸は、体内に張り巡らされた経絡の上の経穴(ツボ)に対しておこなう温熱局所刺激によって血液循環を良くするものであり、肩こり、神経痛、腰痛、筋肉疲労、頭痛、リュウマチ、腹痛などの消化器系疾患、風邪などの呼吸器系疾患、婦人科系疾患等の治療や回復に効果が認められている。
従来、温灸・温灸器としては、(1)もぐさ温灸器、(2)厚紙等で形成した台座の上に円柱形に形成したモグサを取り付けて作成した温灸具、(3)電気温灸器、(4)酸化反応により発熱する組成物を円盤形の容器内に封入して作成した温灸具などが用いられているが、(1)は、ヨモギの葉を乾燥して作ったモグサを直接皮膚の患部(ツボ)に貼り付け、これに火をつけて燃焼させることによって温熱刺激を患部に与えるようにしている。
また、(2)は、台座を皮膚の患部に貼り付けて使用するようにしたものであり、台座がモグサを燃焼させた際の熱の緩衝体となるために、皮膚に強烈な熱が作用することが緩和されると共に火傷跡が残ることも極めて少なくなるものである。
(4)は容器を皮膚の患部に貼り付けて使用するようにしたものであり、容器に孔を明ける等して内部の組成物に空気中の酸素を作用させることによって発熱させると共にこの熱を患部に作用させて温灸をおこなうようにしたものである。
しかし、(1)はもぐさの燃焼を利用していろために着火の手間を用し、火傷後が残るため顔などの露出面への適用は制限を受け、また、温度制御が困難であり、もぐさの燃焼に伴い、皮膚に熱が強烈に伝わるなど、施灸効果にむらがあり、しばしば火傷する不安もともなっているなどの利用上の不便さがあり、(2)は台座が熱の緩衝体となるために皮膚、そのなかでも特に患部(以下「皮膚」ということもある)に十分な温熱が作用しない場合があり、(3)は電気であるため、高価な装置であり、電源を必要とする不便さがあった。
また(4)は鉄粉の酸化反応を利用したもの温灸器は、鉄粉、金属の酸塩及び水分を予め容器内に封入し、しかも水分をおがくず等に含水させるため、40℃以上に発熱させるにはある程度の容量を必要とし、大型化はさけられなかった。もっとも上記構成は40〜45℃程度に加温する従来のいわゆる「化学カイロ」を小形化したにすぎず、容器の一面に粘着剤を付して人体の一部に貼り付けた時には比較的広い面積に伝熱され、経穴などの局部に集中して熱刺激を与えることはできない。
更に、酸化による発熱の温度が不十分であると皮膚に十分な温熱が作用しない場合があり、使用する人によっては温熱による効果が必ずしも十分に得ることができないことがあるという問題があった。しかも、使用しはじめてから皮膚が温熱を感じるまでに時間がかかることがあり、また皮膚に温熱が作用している時間が短かいことがあり、温灸効果が不十分になる場合があるという問題もあった。
また、製造時、予め基材シートに鰐縁を有する浅皿形の収納用凹部を作成しておかなければならず、製造面も複雑であった。
また、鉄粉と金属の酸塩を主体とする発熱混合物を、表面吸水性及び通気性を有するシート状物で構成したパウチ内に充填封入した、使用時に水を添加発熱させる温灸器も提案されているが、使用時に水を添加しなければならず、しかも水の添加量によって発熱温度や発熱時間が異なり、その都度水を添加しなければならず、使用勝手が悪く、水の添加量を間違えると火傷のおそれもあり、使用時に水を添加するなどの手間をかける不便さは解消されていなかった。
【0003】
また、電子レンジで加熱する形式のゴム製水枕状の温熱パック(使用温度約70℃)も知られているが、この製品も、100℃を超える高温に加熱すると、破壊されるので、加熱温度の調整が必要であり、一般的に使用する温熱パックとしては、好適であるとは、言い難い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、皮膚に十分な温熱を作用させて温灸をおこなうことができ、しかも温熱が作用し始める時間を短くすることができると共に酸化反応による発熱を有効に利用し、局部的に集中して熱刺激を与え、温灸効果を高く得ることができる温灸器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の温灸器は、請求項1に記載の通り、鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10の発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を、基材と被覆材との間に収納し、前記基材及び/又は前記被覆材の一部に通気面を有し、前記通気面の透気度が9sec/300cc以下とし、前記基材及び/又は前記被覆材に固定手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の温灸器は、請求項1に記載の温灸器において、前記発熱組成物は、結合剤を含有し、前記結合剤の割合が、鉄粉100重量部に対し、0.001〜0.25重量部であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の温灸器は、請求項1又は2に記載の温灸器において、前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする。
また、請求項4に記載の温灸器は、請求項1乃至3の何れかに記載の温灸器において、前記固定手段は、粘着剤を表面に付した台座であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の温灸器は、請求項4に記載の温灸器において、前記粘着剤層が設けられている面に、磁性体又は押鍼具を設けたことを特徴とする。
また、請求項6に記載の温灸器は、請求項1乃至5の何れかに記載の温灸器において、前記通気面の一部は、通気性断熱材により構成されていることを特徴とする。
また、請求項7に記載の温灸器は、請求項6に記載の温灸器において、前記通気性断熱材は、通気性発泡体であることを特徴とする。
また、請求項8に記載の温灸器は、請求項1乃至7の何れかに記載の温灸器において、前記発熱組成物成形体は、酸化性ガスにより接触処理されたものであることを特徴とする。
また、請求項9に記載の温灸器は、請求項1乃至8の何れかに記載の温灸器において、前記発熱組成物は、少なくとも鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分とした混合物を、酸化性ガスにより接触処理した成分を含有することを特徴とする。
また、請求項10に記載の温灸器は、請求項1乃至9の何れかに記載の温灸器において、前記鉄粉は、少なくとも表面の一部が鉄酸化皮膜で覆われ、前記鉄酸化被膜の厚さが3nm以上であり、且つ、少なくとも中心部領域及び鉄酸化被膜の下の領域から選ばれた少なくとも1領域において酸素を含まない鉄成分の領域を有する活性鉄粉を20〜100重量%含有することを特徴とする。
また、請求項11に記載の温灸器は、請求項1乃至9の何れかに記載の温灸器において、前記鉄粉は、少なくとも表面の一部がウスタイト被膜で覆われ、鉄とのX線強度比として、前記ウスタイト量が2〜50重量%である活性鉄粉を20〜100重量%含有することを特徴とする。
また、請求項12に記載の温灸器は、請求項1乃至11の何れかに記載の温灸器において、前記発熱組成物成形体は、圧縮されていることを特徴とする。
また、請求項13に記載の温灸器は、請求項4乃至12の何れかに記載の温灸器において、前記基材と前記被覆材は、粘着剤により仮着された後、前記基材及び/又は被覆材に設けられたヒートシール層によりヒートシールされたヒートシール部を有し、前記ヒートシール部には、前記粘着剤の粘着剤成分が含まれていることを特徴とする。
また、請求項14に記載の温灸器は、請求項13に記載の温灸器において、前記発熱組成物成形体の少なくとも一部を、仮着部に移動させることにより、ヒートシールされていない仮着部を開着することを特徴とする。
また、請求項15に記載の温灸器は、請求項1乃至14の何れかに記載の温灸器において、前記基材と前記被覆材とをヒートシールすることにより、複数の前記発熱組成物成形体は、ヒートシール部を介して複数設けられ、前記通気面の少なくとも一部が通気調整材で覆われていることを特徴とする。
また、請求項16に記載の温灸器は、請求項1乃至15の何れかに記載の温灸器において、前記通気面の少なくとも一部は、穿孔により形成された通気孔を備え、前記通気孔は、剥離することができるように非通気性のプラスチックフィルムが貼着されていることを特徴とする。
また、請求項17に記載の温灸器は、請求項16に記載の温灸器において、前記通気孔は、前記基材又は前記被覆材の中央部に集中して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明の温灸器では、肌に直接触れる部分の温度が45℃〜60℃になるように設定できるので、従来になく、非常に穏やかに持続性のよい施灸効果を得ることが可能となる。尚、肌の直接触れる粘着剤層が55℃〜60℃となるのがより効果的である。
また、本発明の温灸器では、皮膚と接触する粘着剤層の温度を3〜5分間、45℃以上に保持可能となる。従来の施灸では、急激な熱の上昇、降下によりこのような持続性よい温熱効果を得ることができなかった。
更に、
1)使用時に水を添加することなく、すぐに発熱するので、簡便に使用できる。
2)台座を通して、発熱部内に生じた熱を台座に集中して伝熱することができ、人体の経穴等の局部に、穏やかな状態で、効果的に熱刺激を与えることができる。
3)本発明は、発熱組成物内の水分量を減水してあるので、小形で、発熱温度が高い温灸器を得ることができる。
4)特に台座に孔を開口すれば、この孔を通して、また、孔内に閉じこめられる水分を有効に利用して人体に伝熱できる効果を有する。
5)製造工程が簡単で、安価に温灸器が製造できる。
6)遠赤外線放射物質やよもぎ等の薬草や薬物を台座や粘着剤層に含有させることにより、温熱の体内への浸透性を高め、穏やかな状態で、効率のよい施灸効果を発揮できる。
7)通気面に非通気性テープを設けた温灸器は内袋と外袋を一体化したもので、その資材を節約すると共に、その生産時におけ作業工程をも少なくすることができ、これによってコストを抵下させることができ、保存中も経時変化もせず、経済性の高い温灸器とすることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
易動水値とは、発熱組成物中に存在する水分の中で発熱組成物外へ移動できる余剰水分の量を示す値である。この易動水値について、図8乃至図12を使って説明する。図8に示すように、中心点から放射状に45度間隔で8本の線が書かれたNO.2(JIS P3801 2種)18を、図9及び図10に示すように、ステンレス板22上に置き、前記濾紙18の中心に、内径20mm×高さ8mmの中空円筒状の穴20を持つ長さ150mm×幅100mmの型板19を置き、その中空円筒状の穴20付近に試料21を置き、押し込み板15を型板19上に沿って動かし、試料21を押し込みながら中空円筒状の穴20へ入れ、型板19面に沿って、試料を擦り切る(型押し込み成形)。次に、前記穴20を覆うように非吸水性の70μmポリエチレンフィルム17を置き、更にその上に、厚さ5mm×長さ150mm×幅150mmのステンレス製平板16を置き、発熱反応が起こらないようにして、5分間保持する(図11)。その後、濾紙18を取り出し(図12)、放射状に書かれた線に沿って、水又は水溶液の浸みだし軌跡を中空円筒の穴の縁である円周部24から浸みだし先端までの距離23として、mm単位で読み取る。同様にして、各線上からその距離23を読み取り、合計8個の値を得る。読み取った8個の各値(a,b,c,d,e,f,g,h)を測定水分値とする。その8個の測定水分値を算術平均したものをその試料の水分値(mm)とする。
また、真の水分値を測定するための水分量は内径20mm×高さ8mmの前記発熱組成物等の重量に相当する前記発熱組成物等の配合水分量とし、その水分量に相当する水のみで同様に測定し、同様に算出したものを真の水分値(mm)とする。水分値を真の水分値で除したものに100をかけた値が易動水値である。
即ち、
易動水値=[水分値(mm)/真の水分値(mm)]×100
同一試料に対して、5点測定し、その5個の易動水値を平均し、その平均値をその試料の易動水値とする。
【0008】
本発明において、易動水値0.01〜10の余剰水量を有する発熱組成物を成形した発熱組成物成形体は、基材に積層し、被覆材を被せ、少なくとも発熱組成物成形体の周縁部をシールするだけで温灸器とすることができる。基材や被覆材等の包材に収納した後は、水分を添加する必要がない。従って、工程が著しく簡素化されるので、コスト的にも優位性がある。
本発明での発熱組成物の易動水値(0〜100)は通常、0.01〜10であり、好ましくは1〜10であり、更に好ましくは2〜10であり、更に好ましくは3〜10であり、更に好ましくは5〜10である。また、易動水値が0.01未満の発熱組成物は成形性が不足する。10を超えると発熱組成物の一部水分を吸水や脱水等により除去する必要がある。即ち、吸水性包材等を使用して発熱組成物成形体中の一部水分を吸水や脱水等により除去しないと、短時間で発熱しない。
また、発熱組成物に吸水速度の遅い吸水性ポリマー等を使用し、成型時には高い易動水値を示すが、一定時間後、余剰水が吸水性ポリマーに取り込まれ、発熱組成物成形体の易動水値が10以下の発熱状態になり、前記取り込まれた余剰水は発熱に使われる水分となる場合は、易動水値が0.01〜10の発熱組成物として扱う。
【0009】
本発明の余剰水を連結物質とした、成形性のある発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を用いた温灸器は、前記発熱組成物は凝集助剤、乾燥結合剤、凝集化剤等を使用せず、易動水値0.01〜10で表される適量の余剰水を連結物質とするものである。
発熱組成物中の余剰水は適量になると、組成物の成分中の親水基に対しては双極子相互作用又は水素結合等によって水和し、また、疎水基の周辺においても高い構造性を有して存在すると推定される。これにより砂ダンゴ状態になり、発熱組成物の成形性が生ずると推定される。これは何らかの意味で連結物質である連結水である。これ以外に、自由に動ける自由水と呼べる状態の水分もあり、余剰水が増加すれば構造が軟化し、自由水が増加すると思われる。また、鉄粉が酸化反応を起こす支配因子は、水の存在量と鉄粉表面への酸素供給量である。吸着水膜(100Å未満)程度では水分が十分でなく、酸化速度は小さいといわれている。吸着膜が約1μm程度になると、水分量が十分になる。また、水膜の厚さが薄いため、鉄粉表面への酸素の供給も容易となり、大きな酸化速度を示す。更に膜が厚くなり、吸着膜が1μmを超えると、酸素供給量が減少すると推定される。一定以上の成形性と酸化速度を示す最適水分量を表す易動水値が0.01〜10であるとの知見を得、本発明を完成した。
即ち、適量の余剰水を用いることにより、水分の表面張力で各成分粒子をつなぎ止め、発熱組成物に成形性を生じさせ、水分が実質的にバリア層として機能しないため、発熱組成物は空気と接触して発熱する。更に、活性鉄粉を用いた発熱組成物や活性発熱組成物を用いることにより発熱立ち上がり性の著しく優れ、また、成形性の高い発熱組成物となる。また、成形積層方式により製造した発熱組成物成形体中の水分を包材や吸水性シートに移動させることなく発熱する。更に、発熱組成物成形体をシール部により区分けした区分発熱部を複数設けることにより、温灸器自身が柔軟性を有し、人体各所や曲面を有する物体等の柔軟性の要求される箇所への装着に優れ、使用感に優れた温灸器を提供できる。
また、前記基材、被覆材及び発熱組成物成形体において、少なくとも被覆材と発熱組成物成形体とを粘着剤層を介して、仮着してから、発熱組成物成形体の周縁部及び温灸器周辺部をヒートシールすることにより、ヒートシールの確実性が向上するので、温灸器製造の高速化及びヒートシール幅の小幅化が図れる。
【0010】
水分調整とは、発熱混合物を酸化性ガスと接触処理した後に水又発熱促進剤の水溶液を加えることである。加える量は制限ないが、接触処理により、減量した重量を加えることや所望の易動水値となる重量を加えることが一例として挙げられる。水分調整を行うかどうかは用途により適宜決めればよい。
【0011】
成形性とは、抜き穴を有する抜き型を用いた型通し成形や凹状の型を用いた鋳込み成形により、抜き穴や凹状型の形状で発熱組成物の積層体ができ、型離れを含め成形後、発熱組成物成形体の成形形状を維持することを示すものである。成形性があると発熱組成物成形体が少なくとも被覆材に覆われ、基材と被覆材の間にシール部が形成されるまで、形状が維持されので、所望の形状でその形状周縁部でシールができ、シール部に発熱組成物の崩れ片であるいわゆるゴマが散在しないので、シール切れがなくシールできる。ゴマの存在はシール不良の原因となる。
1)測定装置としては、走行可能な無端状ベルトの上側にステンレス製成形型(中央部に縦60mm×横40mmの四隅がR5に処理された抜き穴を有する厚さ2mm×縦200mm×横200mmの板)と固定可能な擦り切り板を配置し、無端状ベルトの反対側に磁石(厚さ12.5mm×縦24mm×横24mm、磁石が並列に2個)を配置する。前記磁石は、擦り切り板及びその近傍の領域、且つ、成形型の抜き穴の進行方向と垂直な方向の断辺(40mm)で覆われる領域より大きい領域を覆う。
2)測定法としては、前記測定装置の無端状ベルトの上に厚さ1mm×縦200mm×横200mmのステンレス板を置き、その上に厚み70μm×縦200mm×横200mmのポリエチレンフィルムを置き、更にその上にステンレス製成形型を置く。その後、前記成形型の抜き穴の無端状ベルトの進行側端部から50mmの位置に擦り切り板を固定後、前記擦り切り板と前記抜き穴の間で擦り切り板付近に発熱組成物50gを置き、無端状ベルトを1.8m/minで動かし、発熱組成物を擦り切りながら成形型の抜き穴へ充填する。成形型が擦り切り板を完全に通過後、無端状ベルトの走行を停止しする。次に成形型を外し、ポリエチレンフィルム上に積層された発熱組成物成形体を観察する。
3)判定法としては、前記発熱組成物成形体の周縁部において、最大長さが800μmを超える発熱組成物成形体の崩れ片が無く、最大長さ300〜800μmの発熱組成物成形体の崩れ片が5個以内である場合に、前記発熱組成物は成形性があるとする。成形方式に使用する発熱組成物には必須の性質である。これがないと成形方式による温灸器の製造は不可能である。
【0012】
耐圧縮性とは、成形型にて、型内圧縮で、型厚みの70%の厚みの発熱組成物成形体が、圧縮前の発熱組成物成形体の80%以上の温灸器の発熱立ち上がり性(発熱組成物の発熱試験での、試験開始後1分と3分での温度差)を保持することである。例えば、発熱組成物の発熱試験装置を用いて、抜き穴を有する抜き型を用いた型通し成形により、抜き穴に発熱組成物を収納後、型内で、抜き穴と相似形の凸型にて発熱組成物を型厚(3mm)の7/10まで(2.1mm)圧縮し、厚さ2.1mmの発熱組成物成形体を作成する。発熱組成物、基材及び被覆材を使用した同様な方法で作成した、圧縮していない厚さ3mmの発熱組成物成形体からなる標準温灸器と発熱組成物成形体の発熱立ち上がり性(発熱組成物の発熱試験での、試験開始後1分と3分での温度差)が標準温灸器の80%以上であれば、前記発熱組成物は耐圧縮性があるとする。100%以上でもよい。
【0013】
発熱組成物の発熱試験としては、次の通りである。まず、周囲温度20±1℃発熱組成物を非通気性の外袋封入状態で1時間放置する。
1)脚付き支持台の塩化ビニル製支持板(厚さ3mm×縦600mm×横600mm)の中央部下に成形型の抜き穴形状に磁石を設ける。
2)温度センサーを支持板中央部上に置く。
3)厚さ80μmの粘着剤層付き厚さ25μm×長さ250mm×幅200mmのポリエチレンフィルムの中央がセンサーのところにくるようにして、粘着剤層を介して支持板に貼り付ける。
4)外袋から発熱組成物を取り出す。
5)前記ポリエチレンフィルムの中央部上に、長さ80mm×幅50mm×高さ3mmの抜き穴を持つ長さ250mm×幅200mmの型板を置き、その抜き穴付近に試料を置き、押し込み板を型板上に沿って動かし、試料を押し込みながら抜き穴へ入れ、型板面に沿って、試料を擦り切り(型押し込み成形)、型内に試料を充填する、次に支持板下の磁石を除き、温度測定を開始する。発熱温度の測定はデータコレクタを用い、測定タイミング2秒で、10分間温度測定をし、3分後の温度を持って、発熱立ち上がり性を判定する。
【0014】
温灸器の発熱試験としては、JIS温度特性試験に従った。
【0015】
活性鉄粉とは、酸素と鉄の存在する領域を有し、オージェ電子分光法で、その領域の厚みが3nm以上あり、且つ、酸素が存在せず、鉄が存在する領域を有する鉄粉である。又は、ウスタイトの含有量が2〜50重量%の鉄粉である。また、活性鉄粉が鉄粉及びその他の必須成分(炭素成分、反応促進剤、水)の少なくとも何れかを含む混合物を使用して作成された場合は、作成後の混合物から磁石等により鉄粉を分離し、それを試料としてオージェ電子分光法により測定し、酸素と鉄の存在する領域を有し、その領域の厚みが3nm以上あり、且つ、少なくとも酸素と鉄の存在する領域を有する徹子なの中心部領域及び酸素と鉄の存在する領域の下の領域から選ばれた少なくとも1領域において酸素を含まない鉄成分の領域を有する場合、前記鉄粉は活性鉄粉であるとする。又はX線解析装置を用い、ウスタイト量を求め、その量が2〜50重量%以上あれば前記鉄粉は活性鉄粉であるとする。
【0016】
発熱混合物とは、鉄粉と炭素成分と反応促進剤と水を必須成分とし、含水量が1〜30重量%で、易動水値が0.01未満の反応混合物を、0℃以上の環境温度下で、反応混合物の温度上昇分を1℃以上としたものである。酸化性ガス接触処理により、反応混合物に何らかの特性に変化を起こさせれば良く、必ずしも鉄粉が酸化されている必要はないが、酸化されている方が好ましい。その場合、鉄粉は活性鉄粉になっていることが好ましい。
【0017】
活性発熱組成物とは下記の1〜3の何れかに前記当する発熱組成物である。
1.鉄粉、炭素成分、反応促進剤、水を必須成分とした反応混合物を酸化性ガスと接触処理したもの、又は、その酸化性ガスと接触処理済み混合物を水又は反応促進剤水溶液を加え、水分調整をしたものである。
2.鉄粉、炭素成分、反応促進剤、水を必須成分とし、含水量が1〜30重量%で、易動水値が0.01未満の反応混合物を酸化性ガスと接触処理し、接触時の反応混合部の温度を40℃以上、2秒以上保持したもの、又は、その酸化性ガスと接触処理済み混合物を水又は反応促進剤水溶液を加え、水分調整をしたものである。
3.鉄粉、炭素成分、反応促進剤、水を必須成分とし、鉄粉に活性鉄粉を20〜100%含有する鉄粉を使用してものである。
【0018】
酸化性ガス接触処理とは、発熱組成物の成分を混合した混合物又は発熱組成物を酸化性ガス雰囲気又は酸化ガス吹き込み等により、酸化性ガス(酸素や空気等)と連続的又は断続的に接触させて鉄成分を部分酸化する方法である。酸化程度を決める方法は制限はないが、前記混合物又は発熱組成物の易動水値、酸化性ガスとの接触時間、接触時の発熱温度上昇速度、接触時の発熱温度、接触時の最高発熱温度、接触時の最高発熱温度を過ぎ、降下した所定温度等又はその組み合わせにより、前記混合物又は発熱組成物と酸化性ガスとの接触程度を決め、酸化程度を決める方法が一例として挙げられる。
【0019】
例えば、
1)易動水値が10以下(例えば、0.01未満、0.01以上から10以下)の発熱組成物を撹伴等で流動化させながら空気に暴露し、自己発熱させ、発熱最高温度を超えるまで、所望の時間で、空気を遮断し、室温に戻し、発熱組成物とする。特に、易動水値が0.01未満の発熱混合物又は発熱組成物を攪拌しながら、空気に暴露し、自己発熱させる酸化性ガス接触処理が好ましい。
2)易動水値が10を超える発熱組成物を空気と接触させ、所望の時間で、空気を遮断し、発熱組成物とする。
3)1)又は2)の何れかで得た発熱組成物に、水又は反応促進剤水溶液を加え、水分調整し、混合し、所望の易動水値としたものを発熱組成物とする。水分調整に加える水又は反応促進剤水溶液の重量は、制限はないが、前記混合物又は発熱組成物を空気に暴露する前、即ち、自己発熱する前の重量に対して減量した重量又はそれを超える重量に相当する重量が一例として挙げられる。所望により、前記接触処理前及び又は接触処理時に、前記混合物の加温、発熱組成物の加温及び反応容器の加温、保温、冷却等又はその組み合わせにより、混合物及び発熱組成物の温度状態を制御してもよい。これにより発熱立ち上がり性の著しく優れた発熱組成物が得られる。
【0020】
前記酸化性ガスとは、気体で酸化性があれば如何なるものでもよいが、酸素ガス、空気、又は窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスと酸素を含むガスとの混合気体が一例として挙げられる。特に、空気が好ましい。
【0021】
酸化性ガスの温度、接触処理温度、接触処理時間は接触処理領域の雰囲気が酸欠にならず、鉄成分の酸化反応が起これば制限はなく、所望により適宜決めればよいが、酸化性ガスの温度は好ましくは0〜200℃、更に好ましくは10〜150℃、更に好ましくは20〜100℃である。また、処理時間は、好ましくは1秒〜10分であり、更に好ましくは5秒〜7分であり、更に好ましくは15秒〜5分である。工程においては処理時間は短い方が好ましい。
【0022】
酸化性ガスの使用量は、酸化性ガスの種類、鉄粉の種類や粒度、水分量、処理温度、処理方法などによって調整をすればよいが、空気を使用した場合を一例として挙げれば、鉄粉200gに対して、1気圧下、100℃の空気で、空気の量は、好ましくは1〜1000l/分である。他の酸化性ガスの場合、空気の場合を基準として、酸素の濃度により換算すればよい。
【0023】
所望により、酸化性ガス接触処理時に酸性物質や過酸化物を添加してもよい。過酸化物としては、過酸化水素、オゾンが一例として挙げられる。
【0024】
鉄酸化物皮膜とは、鉄の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物等の酸素を含む鉄からなる皮膜である。
【0025】
鉄酸化物皮膜の厚さは鉄粉の表面についてオージェ電子分光法を用い、深さ方向にFe換算でのスパッタリング速度11nm/分でArでスパッタリングした場合に、Oのピーク強度(Io)とFeのピーク強度(Ii)の比(Io/Ii)が0.05以上となる部分をいう。したがって、本発明の鉄の酸素含有皮膜の厚さは、鉄粉表面から(Io/Ii)が0.05となる深さまでのFe換算での距離である。前記オージェ電子分光法の測定条件は、スパッタリング時間:15分間、スパッタリング速度:11nm/分(Fe換算)である。鉄粉表面から(Io/Ii)が0.05となる深さまでのスパッタリング時間を厚さに換算することにより、鉄酸化皮膜の厚さを算出することができる。
前記鉄粉の表面を覆う鉄酸化物皮膜の厚さは、オージェ電子分光法を用いて、通常、3nm以上であり、好ましくは3〜100μnmであり、更に好ましくは30〜100μnmであり、更に好ましくは30〜50μnm、更に好ましくは30〜1μmであり、更に好ましくは30〜500nmであり、更に好ましくは50〜300nmである。鉄の酸素含有皮膜の厚さが3nm以上とすることにより、鉄の酸素含有皮膜が酸化反応の促進効果を発揮でき、空気等の酸化性ガスと接触して、酸化反応をすぐに開始させることができる。鉄の酸素含有皮膜の厚さが100μnm以上であると、発熱時間が短くなるおそれがあるが、用途によっては使用できる。
【0026】
ウスタイト量とは、×線解析装置を用い、鉄(αFe)の110面のピークの積分強度とFeO(ウスタイト)の220面のピークの積分強度から次式により%表示で表したものである。
ウスタイト量(%)=100×KFeO/(KαFe+KFeO)
KFeO:FeO(ウスタイト)の220面のピークの積分強度
KαFe:鉄(αFe)の110面のピークの積分強度
ウスタイト量は通常は2〜50重量%であり、好ましくは5.01〜50重量%、更に好ましくは5.01〜40重量%であり、更に好ましくは6〜40重量%であり、より更に好ましくは7〜30重量%であり、更に好ましくは7〜25重量%である。50重量%を超えても発熱立ち上がり性はよいが、発熱持続時間が短くなる。2重量%未満であると発熱立ち上がり性が鈍くなる。
【0027】
本発明の固定手段としては、温灸器や発熱部を有するものを所要部に固定できる固定能力を有するものであれば制限はない。
前記固定手段として一般的に採用されている、粘着剤層、鍵ホック、ホックボタン、ベルクロ等の面ファスナー、マグネット、バンド、ひも等及びそれらを組み合わせたものを任意に使用できる。
尚、バンドの場合、面ファスナーと粘着剤層との組み合わせで調整用固定手段を更に構成しても構わない。
ここで、面ファスナーとは、マジックテープ(登録商標)、マジックファスナー(登録商標)、ベルクロファスナー、フックアンドループテープ等の商品名で知られているもので、雌ファスナーであるループと雌ファスナーと締結し得る雄ファスナーであるフックとの組み合わせで締結機能を有するものである。前記ループ機能を有するものとして、不織布や、毛羽立ち、わなを有する糸の織布等があるが、バンドを形成する芯材の表面にこれらループ機能(雌ファスナー機能)を有するものを被覆してもよいが、これ自体でバンドを構成してもよい。雄ファスナー部材であるフック部材は特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリアミド、ポリエステル等から形成されたものが一例として挙げられる。フックの形状は特に限定されるものではないが、断面がI字型、逆L字型、逆J字型、いわゆるきのこ型等の形状のフックがループに引っかかり易く、かつ肌に極度の刺激感を与えない点で好ましい。尚、フックがファスニングテープの全面積に設けられていてもよく、更にテープ基体を省略してフックのみで、ファスニングテープとして使用してもよい。
前記粘着剤層は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、界面活性剤、有機ケイ素化合物、疎水性高分子化合物、焦電物質、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、皮膚や衣服に付着するに必要な粘着力を有するものであれば、制限はなく、溶剤系、水性系、エマルジョン型、ホットメルト型、反応性、感圧系などの各種形態が用いられる。
前記粘着剤層は、非親水性粘着剤から構成される非親水性粘着剤層と親水性粘着剤から構成される親水性粘着剤層とがある。
前記非親水性粘着剤層が吸水性ポリマーや保水剤を含有しで吸水性を改良したものは非親水性粘着剤層として扱う。
前記親水性粘着剤層と基材又は被覆材との間にホットメルト系の粘着剤を設けてもよい。
また、前記親水性粘着剤層を温灸器に設ける場合、制限はなく、温灸器のシール処理後に粘着剤層を温灸器に設けてもよい。
また、粘着剤層としては、通気性を有するものであっても、通気性を有しないものであってもよい。用途に応じて適宜選択をすればよい。通気性としては、全体として通気性があればよい。例えば、部分的に粘着剤が存在し、部分的に粘着剤の存在しない部分があり、領域全体として通気性がある粘着剤層が一例として挙げられる。
通気性の基材及び/又は被覆材に粘着剤をそのまま層状に積層するにあたり、その通気性を維持する方法としては、例えば、粘着剤を印刷、或いは、転写により、粘着剤層を部分的に積層し、その非積層部を通気部とする方法や、粘着剤を糸状に円を描きながら、一方向に移動させたり、ジグザグに移動させたりするなど適宜二次元方向に運行させ、その糸状の粘着剤の隙間に通気性ないし透湿性を推持させたり、粘着剤を発泡させる方法等が一例として挙げられる。
非親水性粘着剤層を構成する粘着剤はアクリル系粘着剤、酢酸ビニル系粘着剤(酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル樹脂系ホットメルト粘着剤)、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤、セルロース系粘着剤、クロロプレン(ネオプレン)系粘着剤、ニトリルゴム系粘着剤、ポリサルファイド系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、スチレン系粘着剤(例えば、スチレン系ホットメルト粘着剤)、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が一例として挙げられる。これらのうち、粘着力が高く、安価で、長期安定性がよく、しかも温熱を与えても粘着力の低下が少ない等の理由より、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤又はホットメルト系高分子物質を含有する粘着剤が望ましい。
前記粘着剤に前記ベースポリマーの他に、所望により、他の成分、例えば、ロジン類、クマロンインデン樹脂、水添石油樹脂、無水マレイン酸変性ロジン、ロジン誘導体類又はC5系石油樹脂等の脂環族系石油樹脂に代表される石油樹脂類等の粘着付与剤や、テルペンフェノール系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂等のフェノール系粘着付与剤(特にアニリン点が50℃以下の粘着付与剤)、ヤシ油、ヒマシ油、オリーブ油、ツバキ油、流動パラフィン等の軟化剤、軟化剤、老化防止剤、充墳剤、骨材、粘着調整剤、粘着改良剤、着色剤、消泡剤、増粘剤、改質剤等を適宜配合し、ナイロン製衣類や混紡布製衣類への粘着性向上等の性能向上を施してもよい。
前記ホットメルト系の粘着剤としては、粘着性を付与した公知のホットメルト系粘着剤が挙げられ、具体的には、スチレン系粘着剤、ポリエステルをベースポリマーとするポリエステル系粘着剤、アクリル樹脂をベースポリマーとするアクリル系粘着剤、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンをベースポリマーとするポリオレフィン系粘着剤、1,2−ポリブタジエンをベースポリマーとする1,2−ポリブタジエン系粘着剤、或いは、接着性の改善や安定性等を変えたこれらの変性体からなる粘着剤、若しくはこれらの粘着剤の2種以上の混合物が挙げられる。また、発泡させた粘着剤から構成される粘着剤層や粘着剤が架橋されたものから構成される粘着剤層も使用できる。
前記非芳香族系ホットメルト系粘着剤としては、ベースポリマーが芳香族環を含有しないホットメルト系粘着剤であれば、制限はない。オレフィン系ホットメルト系粘着剤やアクリル系ホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。芳香族環を含有しないベースポリマーである非芳香族系ポリマーとしては、オレフィンやジエン等のポリマーやコポリマーが挙げられる。一例としてオレフィン系ポリマーが挙げられる。オレフィン系ポリマーとしては、エチレン、αオレフィンの重合体又は共重合体が挙げられる。また、他のモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン等のジエンも加えたものもよい。
αオレフィンとしては、二重結合が末端にあるモノマーであれば制限はなく、プロピレン、ブテン、ヘプテン、ヘキセン、オクテン等が一例として挙げられる。
芳香族系ホットメルト系粘着剤とは、ベースポリマーが芳香族環を含有するホットメルト系粘着剤で、A−B−A型ブロック共重合体に代表されるスチレン系のホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。
前記A−B−A型ブロック共重合体において、Aブロックはスチレン、メチルスチレン等のモノビニル置換芳香族化合物で、非弾性重合体ブロックであり、Bブロックはブタジエン、イソプレン等の共役ジエンの弾性重合体ブロックであり、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、又はこれらの水添タイプ(SEBS、SIPS等)等が挙げられ、また、これらを混合して用いてもよい。
上記非親水性粘着剤層の水分増加による粘着力低下防止対策として上記非親水性粘着剤粘着剤に更に吸水性ポリマーが配合された粘着剤層も使用できる。
前記親水性粘着剤層を構成する親水性粘着剤としては、親水性ポリマーや水溶性ポリマーを主成分として、粘着性を有し、粘着剤として親水性であれば特に制限はない。
前記親水性粘着剤の構成成分としては、ポリアクリル酸等の親水性ポリマーやポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー、乾燥水酸化アルミニウムやメタケイ酸アルミン酸金属塩等の架橋剤類、グリセリンやプロピレングリコール等の軟化剤類、また、軽質流動パラフィンやポリブテン等の高級炭化水素やミリスチン酸イソプロピル等の一級アルコール脂肪酸エステル、シリコーン油等の含ケイ素化合物、モノグリセリド等の脂肪酸グリセリンエステル、オリーブ油等の植物油等の油性成分、また、パラオキシ安息香酸メチルやパラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤、N−メチル−2−ピロリドン等の溶解剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油やソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤、酒石酸等のオキシカルボン酸、軽質無水ケイ酸、吸水性ポリマー、カオリン等の賦形剤、D−ソルビトール等の保湿剤、エデト酸ナトリウムやパラオキシ安息香酸エステルや酒石酸等の安定化剤、架橋型吸水性ポリマー、ホウ酸等のホウ素化合物、水等が一例として挙げられる。また、これらの任意の組み合わせから構成される。
また、粘着剤層を親水性粘着剤層にした場合、前記親水性粘着剤層と発熱組成物成形体との間に水分保持力の差がある場合にはその間にある基材等の包材を介して、水分の移動が起こり、双方に取って、不都合が起こる。特に保存中に多く起こる。これを防止するために、これらの間に防湿性包材を設けることが好ましい。これを使用することにより、温灸器を非通気性収納袋である外袋に収納し保存する場合、水分移動が防止できる。
粘着剤層に親水性粘着剤層を使用した場合、発熱組成物成形体と親水性粘着剤層との間に設けられた防湿性包材の透湿度は、発熱性能に影響しない範囲で、水分の移動が防止できれば制限はないが、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、通常、2g/m2/day以下であり、好ましくは1.0g/m2/day以下であり、より好ましくは0.5g/m2/day以下であり、更に好ましくは0.01〜0.5g/m2/dayである。ここでは、大気圧下、40℃、90%RHという条件下の値である。尚、前記防湿性包材は基材や被覆材としても使用できるし、単独で基材や被覆材等に積層してもよい。
前記防湿性包材の例としては、金属蒸着フィルム、金属酸化物の蒸着フィルム、金属箔ラミネートフィルム、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合物、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物)系フィルム、二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンコートフィルム、ポリ塩化ビニリデンをポリプロピレン等の基材フィルムに塗布してなるポリ塩化ビニリデンコートフィルム、アルミニウム箔等の金属箔、ポリエステルフィルム基材にアルミニウム等の金属を真空蒸着やスパッタリングしてなる非通気性包材、可撓性プラスチック基材の上に、酸化ケイ素、酸化アルミニウムを設けた構造の透明バリア性フィルムを使用した包装用積層体が一例として挙げられる。前記外袋等に使用されている非通気性包材も使用できる。
また、特開平2002−200108号公報の防湿性包材等の包材も使用でき、この記載内容を本発明に組み入れる。
水含有の親水性粘着剤(ジェル等)を粘着剤層に使用する場合、発熱組成物と前記粘着剤層の水分平衡を調整するために、発熱組成物中の塩化ナトリウム等の反応促進剤や吸水性ポリマー等の水分確保力のある物質の含有量を発熱組成物に対して、10〜40重量%の範囲で、好ましくは15〜40重量%の範囲で、更に好ましくは15〜30重量%の範囲で調整してもよい。
また、透湿性がよく、皮膚への刺激性が低い粘着剤としては、特開平10−265373号公報、特開平9−87173号公報等の含水粘着剤(親水性粘着剤、ジェル)や特開平6−145050号公報、特開平6−199660号公報に記載されているホットメルト塗工できる粘着剤や特開平10−279466号公報や特開平10−182408号公報に記載されているゴム系粘着剤も有用であり、本各文献を引用し、全文を本明細書に組み入れる。
前記粘着剤層を構成する機能性物質とは、機能を有する物質であれば制限はないが、芳香化合物、植物エキス、生薬、香料、スリム化剤、鎮痛剤、血行促進剤、むくみ改善剤、抗菌剤、殺菌剤、防かび剤、消臭剤、脱臭剤、経皮吸収性薬剤、脂肪分解成分、マイナスイオン発生体、遠赤外線放射体、磁気体、湿布剤、化粧料、竹酢液又は木酢液等から選ばれた少なくとも一種を一例として挙げられる。
具体的には、メントール、ベンツアルデヒド等の芳香族化合物、ヨモギエキス等の植物エキス、モグサ等の生薬、ラベンダー、ローズマリー等の香料、アミノフィリン、茶エキス等のスリム化剤、インドメタシン、d1−カンフル等の鎮痛剤、酸性ムコポリサッカライド、カミツレ等の血行促進剤、セイヨウトチンキ、フラボン誘導体等のむくみ改善剤、ホウ酸水、生理的食塩水、アルコール水等の湿布剤、タイソウ抽出液、カフェイン、トナリン等の脂肪分解成分、アロエエキス、ビタミン剤、ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、アミノ酸類等の化粧料、石炭酸誘導体、ホウ酸、ヨード剤、逆性石鹸、サリチル酸系の物質、イオウ、抗生物質等の抗菌剤や殺菌剤、或いは、防かび剤が一例として挙げられる。
経皮吸収性薬剤としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではないが、コルチコステロイド類、消炎鎮痛剤、高血圧剤、麻酔剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗菌性物質、抗真菌物質、皮膚刺激剤、炎症抑制剤、抗てんかん剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、殺菌剤、抗微生物抗生物質、ビタミン類、抗ウィルス剤、むくみ改善剤、利尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、スリム化剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、血行促進剤、局所麻酔剤、脂肪分解成分等及びそれらの混合物が一例として挙げられるが、これらに限定されない。これら薬物は、1種又は必要に応じて2種以上配合されて用いられる。
この薬物の含有量としては、薬効を期待できる範囲であれば特に限定されるものではないが、薬理効果や経済性、更に、粘着力等の観点より、経皮吸収性の薬物の含有量が粘着剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜25重量部、更に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、粘着剤層の設けかたには温灸器が固定できれば制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
【0028】
前記基材や被覆材は非通気性素材や通気性素材から構成される。
前記非通気性素材としては、非通気性があれば制限はない。ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等ポリマーからなるフィルム、シート、塗布物及びそれらに酸化ケイ素等の金属(半導体も含む)化合物を積層したものやそれらを使った複合素材が一例として挙げられる。
【0029】
例えば、多孔質フィルム及び穿孔フィルム等の通気性フィルムや紙類、不織布等の単独で通気性を有するもの、紙類及びそれに通気性フィルムや不織布等を少なくとも1種以上積層し通気性を持たせたもの、不織布にポリエチレンフィルムがラミネートされた非通気性の包材に針などを用いて微細な孔を設けて通気性を持たせたもの、繊維が積層され熱圧着されて通気性を制御された不織布、多孔質フィルム、或いは、多孔質フィルムに不織布を貼り合わせたもの電気掃除機集塵袋用フィルター材等が一例として挙げられる。
ここで、穿孔フィルムとは、ポリエチレンフィルムなどの非通気性フィルムに針で微細な孔を設けて通気性を待たせたものである。
【0030】
通気性としては、発熱が維持できれば制限はなく、多孔質フィルム、穿孔フィルム及び多孔質フィルムに穿孔したもの等が一例として挙げられる。通気度を考慮すると穿孔フィルムが好ましい。
通気面及び通気性素材の透気度は、JIS P8117の測定法によるガーレー式気体透過度に準じた気体透過度で、好ましくは9sec/300cc以下であり、更に好ましくは5sec/300cc以下であり、更に好ましくは3sec/300cc以下であり、更に好ましくは2sec/300cc以下である。
また、ガーレー式気体透過度に準じた気体透過度は約0.4sec/300ccが測定限界であるので、前記測定限界を超える気体透過度はJIS L1096の測定法によるフラジール透気度が好ましくは40以下であり、更に好ましくは1〜40cc/cm2/secであり、更に好ましくは1〜20cc/cm2/secであり、更に好ましくは1〜10cc/cm2/secである。
また、ガーレー式気体透過度に準じた気体透過度で9sec/300ccを超えると、通気度が足りず、発熱立ち上がり性が落ち、最高到達温度も低くなる。
【0031】
穿孔による通気性包材の一例としては、例えば、少なくとも1つのピン、好ましくは、例えば、先細り点及び約0.2mm〜約2mm、好ましくは約0.4mm〜約0.9mmの直径を有する、約20ピン〜約60ピンのアレーを用いる通気孔を有するように、少なくとも1つのフィルム層包材に穿孔することが挙げられる。
代わりに、基材及び被覆材が結合された後、温熱灸の1つの側を例えば、先細り点及び約0.2mm〜約2mm、好ましくは約0.4mm〜約0.9mmの直径を有する、約20ピン〜約60ピンのアレーを用いて穿孔するように、少なくとも1つのフィルム層包材を穿孔することができる。
また、これらのピンを、温熱灸の1つの側を圧縮して、約2%〜約100%、好ましくは約20%〜約100%、更に好ましくは約50%〜約100%の深さに発熱組成物成形体中へ入れて、基材又は被覆材である包材を穿孔してもよい。
上部を覆う包材の穿孔を設けることが好ましいが、下部を覆う包材に穿孔を設けることも可能である。
発熱組成物成形体の熱を発する酸化反応の速度、期間及び温度は、空気との接触領域を変えることにより、特に酸化拡散/透過性を変えることにより、望むように調節することができる。
【0032】
本発明において、微多孔を穿孔した通気性包材としては、例えば、次のような構成のものが挙げられる。
(1)ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セロファン、ポリメチルベンテン又はポリビニルアルコール等からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンコート各種フィルム、アルミ箔ラミネートフィルム、或いは、アルミ蒸着各種フィルム等の耐熱性フィルムに、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合樹脂、アイオノマー、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルム等からなるシール性フィルムを積層接着してなる積層フィルムに、微多孔を穿設してなる積層包材。
(2)上記の耐熱性フィルム単体、或いは、上記(1)の積層フィルムと、熱シール性の不織布(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維、複合繊維、合成パルプ等から作られる湿式、或いは、乾式不織布)とを積層接着してなる積層シートに、微多孔を穿設してなる積層包材。
(3)ヒートシーラブルポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱シール性を有する単体フィルムに、微多孔を穿設してなる包材。
(4)上記の耐熱性フィルム単体、或いは、上記(1)の積層フィルムにシール層としてホットメルトを塗布してなる積層フィルムに、微多孔を穿設してなる包材。
(5)上記(1)の積層フィルムと紙(耐油紙、耐水耐油紙.等各種の紙を含む)又は不織布と、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合樹脂、アイオノマー、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルム等からなるシール性フィルムを積層接着してなる積層包材の両側のフィルムに微多孔を穿設してなる包材。
(6)紙(耐油紙、耐水耐油紙等の各種の紙を含む)にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合樹脂、アイオノマー、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルム等からなるシール性フィルムを積層接着してなる積層包装材料に微多孔を穿設してなる包装材料。
尚、上記(6)の通気性包材は、(1)の通気性包材と貼り着けることなく重ね合わせた二重包装材料として使用することが安全衛生上から好ましい。
【0033】
また、電気掃除機集塵袋用フィルター材としては、制限はなく、市販の電気掃除機集塵袋用フィルター材が使用できる。
例えば、麻パルプ、木材パルプ、エスパルトパルプなどの植物繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維などの合成繊維、PVA繊維、ポリエステルバインダー繊維などの合成バインダ繊維、そしてマイクロガラス繊維を適度な比率で混合して湿式抄紙したフィルター材、また、植物繊維、合成繊維、合成バインダ繊維、マイクロガラス繊維からなる1層又は2層で構成されるシートに対してエマルジョン型バインダを含浸加工させて成るフィルター材である。
ここで、植物繊維として木材パルプ、麻パルプ、合成繊維としてポリエステル繊維、ビニロン繊維、合成バインダ繊維としてポリエステルバインダー繊維、PVA繊維、繊維径1μm以下のマイクロガラス繊維を用いて一度繊維シートを形成する。
麻パルプとしては、マニラ麻のサーモ・メカニカルパルプ(以下TMPと省略)、木材パルプとしては、NBKPが強度を付与するには好ましい。ビニロン繊維とPVA繊維は特に強い強度が必要とされる時にのみ配合する。PVA繊維は融点60〜70℃の全融タイプを用いる。PVA繊維が融けてビニロン繊維や他の繊維を接着し、PVA繊維のバインダ効果とビニロン繊維自身の強度により繊維シートを補強する。ポリエステルバインダー繊維は芯がポリエステル、その外側が変性ポリエステルで構成される芯鞘構造であり、外側の変性ポリエステルの融点が110℃と200℃の2種類ある。前者は抄紙工程で融かし、後者は加工工程で融かす。ポリエステルバインダー繊維の鞘の部分が融けることによりポリエステル繊維や他の繊維が接着される。
繊度についてはマイクロガラス繊維は1μm以下、ポリエステル繊維は5〜15μm(0.5〜2デニール)、ポリエステルバインダー繊維は15〜20μm(2〜4デニール)、ビニロン繊維とPVA繊維は10〜15μm(1〜2デニール)である。ポリエステルバインダー繊維の融解後は革部のみが残るので断面積がおよそ半分になり繊度は10〜15μm(1〜2デニール)になる。ポリエステル繊維と融解後のポリエステルバインダー繊維の繊度が5〜15μmの範囲で等間隔に3水準となるように異なる繊度のものを配合する。このように繊度の異なるポリエステル繊維を組み合わせてフィルター材の空洞を複雑化し、ダストを捕捉しやすくする。繊維長については抄造性より3〜7mmの範囲が好ましい。
【0034】
バインダの種類はアクリル系共重合物、エチレン酢酸ビニル系共重合物、エチレン塩化ビニル系共重合物など、エマルジョンタイプで皮膜を大きくつくらず、適度な柔軟性と強度を併せ持つもので、製袋に用いる接着剤との相性が良いという性質のものが好ましく、バインダの種類は特に限定するものではない。バインダのガラス転移点によって、フィルター材の柔軟性が変化する適度なガラス転移点を持つバインダを選ぶ必要がある。
フィルター材は柔軟である方がよいのでガラス転移点が低いバインダを用いる。フィルター材を硬くする場合はガラス転移点が高いバインダを用いる。
通気性を上げるためにはマイクロガラス繊維による細かい孔の空隙を保つために、熱風乾燥機によってポーラスに仕上げることが好ましい。
【0035】
前記フィルター材の紙層は2層積造もしくは1層構造からなる。2層構造である場合には、集塵袋として使用した時に塵を含んだ空気の入り側であるダスト層(以下DSと省略)と、出側であるクリーン層(以下CSと省略)の2層から構成される。DSでは塵の大部分を補捉するので目を開ける必要と通気性を上げる必要があり、比較的繊度の大きい繊維を配合する。CSでは2μm以下の極めて細かい塵を捕捉するので目を詰める必要があり、マイクロガラス繊維などの繊度の小さい繊維を配合して細かい空隙構造をつくる。従来のフィルター材も同様に2層構造であるが、本発明は合成繊維とマイクロガラス繊維の配合量が多い点が従来のフィルター材と異なっている。DSとCSの坪量の比率については、特に限定はしないが、マイクロガラス繊維のシート全体に対する配合量が適正な値となるように比率を決めればよい。即ち、CSの比率を高くすると、マイクロガラス繊維のシート全体に対する配合量が多くなり漏れ防止効率が上がり、一方、DSが小さくなり目が詰まって通気性が落ちるので、漏れ防止効率と通気性のバランスがとれるように比率を決める。DSとCSの両方の機能を1層で持たせて、マイクロガラス繊維の配合量を多くして、漏れ防止効率を高くしたものが、1層構造のものである。又は2層で構成し、各層の繊維配合を1層構造と同じにして抄造してもよい。
【0036】
2層からなるフィルター材は、植物繊維50〜60重量%、合成繊維30〜40重量%、合成バインダ繊維10〜15重量%からなるDS、植物繊維30〜40重量%、合成繊維30〜50重量%、合成バインダ繊維10〜15重量%、マイクロガラス繊維8〜16重量%からなるCSの2層で繊維シートが先ず構成される。2層の坪量の比率はマイクロガラス繊維がフィルター材の坪量に対し4〜7重量%となるように決めればよい。4重量%以下では漏れ防止効率が悪くなり、7重量%以上では通気性が落ちるので好ましくない。2層の坪量の比率はDSが50〜60重量%、CSが40〜50重量%の範囲であれば、マイクロガラス繊維の配合量が4〜7重量%となり漏れ防止効率が適正となり、またDSの大きさも圧損を下げるのに充分な大きさとなる。DSの植物繊維が50重量%未満では強度が不足し好ましくなく、60重量%以上では通気性が低くなるので好ましくない。
DSの合成バインダ繊維10重量%未満では、ポリエステル繊維、或いは、ビニロン繊維を接着するのには不足となるので好ましくない。合成バインダー繊維15重量%以上では、繊維の融けた部分が目を詰めるので圧損が高くなり好ましくない。CSについても同様な考え方で植物繊維、合成繊維、合成バインダ繊維の配合量の範囲を限定した。繊度についてはCSは小さくする必要があるのでポリエステル繊維は5〜10μm(0.4〜0.6デニール)の繊度のものを主に用いて目を詰めるとよい。各層の繊維配合の比率によって強度・漏れ防止効率・通気性のバランスをとっているので上記の範囲を外れると好ましくない。
【0037】
一例として、ダスト層(DS)として木材パルプ36%、ポリエステル繊維(繊度1.5デニール(=11.5μm)、繊維長5mm)20%、芯鞘型ポリエステルバインダー繊維(繊度4デニール(=20μm)、繊維長5mm、鞘部融点110℃)40%、PVA繊維(繊度1デニール(=10μm)、繊維長3mm、70℃で全融)4%で配合し、クリーン層(CS)として麻TMP(サーモ・メカニカルパルプ)12%、木材パルプ50%、ポリエステル繊維(繊度0.5デニール(=7μm)、繊維長5mm)6%、ポリエステル繊維(繊度1.5デニール(=11.5μm)、繊維長5mm)6%、芯鞘型ポリエステルバインダー繊維(繊度2デニール(=14μm)、繊維長5mm、鞘部融点110℃)18%、PVA繊維(繊度1デニール(=10μm)、繊維長3mm、70℃で全融)4%、マイクロガラス繊維(繊度0.6μm、以下M.Gと省略)4%で配合し、円網抄紙機により2層の坪量比1:1で抄造し、ヤンキードライヤーで120℃で乾燥し、坪量50g/m2のフィルター材として巻き取った。
マイクロガラス繊維(M.G)の配合量は、フィルター材に対して2%になった。このフィルター材より通気性包材を作成した。
【0038】
他の例として、ダスト層(DS)として麻TMP(サーモ・メカニカルパルプ)11%、木材パルプ42%、ポリエステル繊維(繊度0.5デニール(=7μm)、繊維長5mm)18%、ポリエステル繊維(繊度1.5デニール(=11.5μm)、繊維長5mm)18%、芯鞘型ポリエステルバインダー繊維(繊度2デニール(=14μm)、繊維長5mm、鞘部融点110℃)11%で配合し、クリーン層(CS)として麻TMP(サーモ・メカニカルパルプ)9%、木材パルプ29%、ポリエステル繊維(繊度0.5デニール(=7μm)、繊維長5mm)42%芯鞘型ポリエステルバインダー繊維(繊度2デニール(=14μm)、繊維長5mm、鞘部融点110℃)11%、M.G9%で配合し、円網抄紙機により2層の坪量比1:1で抄造し、ヤンキードライヤーで120℃で乾燥し、坪量44g/m2の原紙として巻き取った。
この原紙を加工機に送りエチレン酢酸ビニル系エマルジョン型バインダ(TG0℃)を含浸加工し付着量を固形分で対原紙坪量13.6%とし、熱風乾燥機で130〜160℃で乾燥し、マシンカレンダーで自重加圧して、フィルター材として巻き取った。
マイクロガラス繊維(M.G)の配合量はフィルター材に対して4%になった。
【0039】
以上のような構成が例示されるが、本発明に使用される包材は、上記の例に限られるものではなく、本発明の目的が達成されるものであれば他の組み合わせでも使用できる。本発明の構成に用いられるプラスチックフィルムは、その厚さに制限はないが、包装適性、取扱強度、穿孔容易性等の点から、その厚さは、好ましくは5〜100μmであり、更に好ましくは10〜100μmである。不織布、微多孔膜等を積層した場合は、この限りではない。また、補強のため各種補強材を複合することも適宜実施される。
【0040】
積層接着の方法も、特に限定されるものではなく、ドライラミ、押出ラミ、熱ラミ等自由に選択可能である。また、上記構成は、あらかじめフィルムとして使用することに限定されず、例えば、耐熱性フィルムに押出ラミネートでポリエチレンフィルム層を作ることや、共押出法で一度に積層フィルムを製造して使用することも可能である。
【0041】
本発明においては、包装材料に少なくとも残膜部を残した未貫通微多孔を穿設する方法として、化学的前処理を含め、機械的穿孔法、レーザー光穿孔法、電子照射穿孔法、プラズマ穿孔法、高圧放電穿孔法他各種の穿孔方法が適用できるが、高圧放電穿孔法が好ましく、効果的である。
【0042】
高圧放電穿孔法として、スパークギャップ方式、真空管方式、ソリッドステート方式のいずれも適用可能であるが、ソリッドステート方式が好ましい方法である。高圧放電穿孔法による穿孔は、放電電極と誘電体ロールの間に高電圧をかけ放電させつつ対象包材を通過させることにより実施される。そして、穿孔密度及び穿孔深度は、放電電極と誘電体ロールの間の距離、電圧、放電電極の形状、誘電体ロールの特性等により、適宜調節される。この場合、穿孔する材料の厚さ、材質、通過速度によっても調整が必要となる
【0043】
本発明の未貫通微多孔を穿設するには、単に放電電極と誘電体ロールの間に高電圧をかけ放電させつつ対象包材を通過させるのみでは不十分で、種々の工夫が必要となる。一つには、前処理として、放電穿孔前に機械的にヤスリ状ロール等で微細な傷痕をつける前処理工程を実施することも有効である。、或いは、酸処理を施しフィルム表面に極性基を作ったのち放電穿孔することも有効である。更に、誘電体ロールに局所放電部を設けるため、被覆された誘電体層に欠落部を分散させて作ったり、導電物を分散させた誘電体層とすることも穿孔密度及び穿孔深度の調節に有効である。
【0044】
穿孔密度として、制限はないが、好ましくは50〜10,000,000孔/cm2であり、更に好ましくは60孔/cm2以上であり、更に好ましくは70孔/cm2以上であり、更に好ましくは80孔/cm2以上であり、更に好ましくは100孔/cm2以上である。
【0045】
孔径としては、発熱組成物成形体等が漏れなければ制限はないが、好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは300μm以下であり、更に好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。
孔径が大き過ぎると発熱組成物成形体等の一部が漏れるおそれがある。
【0046】
積層された包材に穿孔する際には、穿孔対象のフィルムに完全な貫通孔を穿孔する必要があるが、積層された紙又は不織布に孔が達しても通気性包材の機能を阻害しない程度であれば問題ない。また、両面に穿孔対象のフィルムがある場合には、片側ずつ又は両面同時に穿孔することが可能である。
【0047】
また、易動水値0.01未満の発熱組成物は、その反応特性や発熱特性に影響しない範囲において、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダー、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着性素材、増粘剤、賦形剤、水溶性高分子をそれぞれ0.01〜3重量部の範囲内で含有してもよい。
前記凝集助剤とは、特許第3161605号公報(特表平11−508314号公報)に記載されている凝集助剤で、ゼラチン、天然ガム、コーンシロップ等である。
前記凝集化剤とは、特表平2002−514104号公報に記載されている凝集化剤で、コーンシロップ、マルチトールシロップ等である。
前記集塊補助剤とは、特表平2001−507593号公報に記載されている集塊補助剤で、コーンシロップ等である。
前記乾燥バインダーとは、特表平2002−514104号公報に記載されている乾燥バインダーで、微結晶セルロース、マルトデクストリン等又はこれらの混合物である。
前記乾燥結合剤とは、特表平2001−507593号公報に記載されている乾燥結合剤で、マルトデクストリン、噴霧された乳糖等である。
前記乾燥結合材とは、特表平11−508314号公報に記載されている乾燥結合材で、微晶質セルロース、マルトデクストリン等又はこれらの混合物である。
前記粘着性素材又はバインダーとは、特開平4−293989号公報に記載されている粘着性素材又はバインダーで、水ガラス、ポリビニールアルコール(PVA)、カルボキシメツルセルロース(CMC)等である。
前記増粘剤とは、特開平6−343658号公報に記載されている増粘剤で、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン等である。
前記賦形剤とは、特開平7−194641号公報に記載されている賦形剤で、α化でんぷん、アルギン酸ナトリウム等である。
前記水溶性高分子とは、粘着剤層での水溶性高分子が使用できる。
【0048】
本発明は、鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10の発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を、基材と被覆材との間に収納し、前記基材及び/又は前記被覆材の一部に通気面を有し、前記通気面の透気度が9sec/300cc以下とし、前記基材及び/又は前記被覆材に固定手段を設けた温灸器である。
また、本発明の温灸器は、使用時に、外袋から取り出し、台座を人体に粘着し、鉄粉の酸化反応により生じた熱を台座を通して局部的に人体に作用させる。例えば、腹部、腰部、肩部等の加温に用いることができる。
また、通気面は通気性断熱材で覆われ、発熱組成物成形体等の保温と漏れが防止できるものが好ましい。
また、発熱組成物成形体を型内圧縮し、発熱組成物成形体を製造しても良く、本発明では発熱組成物成形体は発熱組成物成形体に含めて扱う。
また、発熱組成物成形体、発熱部、温灸器のサイズは制限なく、用途に合わせて適宜決めればよい。
【0049】
前記発熱組成物成形体等の形状は如何なるものでもよいが、平面形状で、円、楕円、多角形状、星形状、花形状等が一例として挙げられる。立体形状では、多角錐形状、円錐形状、錐台形状、球形状、平行六面体形状、円筒体形状、半円柱体形状、半楕円柱体形状、蒲鉾形状体、円柱体形状、楕円柱体形状等が一例として挙げられる。また、これらの形状は角部にアールを設け、角部を曲線状や曲面状にしてもよいし、中央部等に凹部があってもよい。
前記形状の最大幅は、約0.15cmから約20cm、好ましくは約0.3cmから約10cm、より好ましくは約0.5cmから約5cm、更に好ましくは約1cmから約3cmとすることができる。また、最高の高さは、約0.08cmから約1cm、好ましくは約0.15cmから約0.8cm、より好ましくは約0.2cmから約0.6cm、更に好ましくは約0.2cmから約0.5cmとすることができる。また、最長の長さは、約1.5cmから約20cm、好ましくは約1cmから約15cm、より好ましくは約1cmから約10cm、最も好ましくは約3cmから約5cmとすることができる。
【0050】
また、前記温灸器の形状は制限はなく、前記発熱組成物等と同じ形状とすることができるが、角部にアールを付けて曲線状や曲面状にトリミングしてもよい。
好ましい温灸器の形状の一例として扁平な円形袋状が挙げられ、好ましくは直径約5cm以下であり、更に好ましくは1〜5cmであり、更に好ましくは2〜4cmである。
【0051】
台座は人体への取り付け部となるもので、例えば、芯材を発泡体とする両面粘着テープを用いると好都合である。
その一面を温灸器に貼り付け、他面にはセパレータを貼り付けておく。
尚、台座の中央部に孔を設けてもよく、台座の大きさ並びに孔の大きさは特に限定されるものではないが、孔の大きさの設定によって人体に直接作用する熱の伝熱面積が決定される。もっとも発熱部内に発生した熱を人体に伝えるのみであれば必ずしも孔は必要ではない。
【0052】
本発明の温灸器は気密の袋内に保管しておき、使用時に取り出し、混合物はシート面を通して、空気の供給を受けて、酸化発熱を開始する。一方、台座からセパレータを外し、その粘着面を人体の患部、経穴に貼り付けると、鉄粉の酸化によって生じた発熱は孔を等して人体に伝えられる。台座の中央部に孔を開けた場合の電熱のメカニズムはつぎの通りである。即ち、混合物に生じた発熱はむろん発熱部の全表面より発散するが、前記孔はその両面が発熱部と人体の皮膚とで塞がれているため、この内部には水蒸気がとじこめられることになる。従って、この孔内には蓄熱室として作用し、水蒸気を通じて人体に効率よく熱が伝えられる。また人体よりの発汗による水分も孔内に貯められる。実際孔に囲まれた部分は開放された発熱部の表面部分よりもはるかに高温に保たれ、人体への熱伝達はこの孔の部分のみを通じて集中的に行われる。
尚、混合物中に薬剤を含有させたときには、粋溶性有効成分がこの孔内に溜められて人体に作用する。台座に孔がないときには発熱部内に生じた熱が台座に蓄積され、この熱が中央部に集中して人体に供給される。また、温灸器の表面一部に示温塗料を取りつけておくことにより、混合物の発熱状況を知ることができる。
また、台座の代わりに粘着剤層が設けられている場合も、前記粘着剤層の中央部に孔を設けた場合も同様なことがいえる。
【0053】
温灸器の最高温度は、制限はないが、好ましくは40℃以上であり、更に好ましくは40〜65℃であり、更に好ましくは40〜60℃であり、更に好ましくは40〜50℃であり、更に好ましくは40〜45℃であり、更に好ましくは41〜43℃である。
また、40℃以上の発熱時間は制限はないが、好ましくは1分〜5時間であり、更に好ましくは5分〜5時間であり、更に好ましくは5分〜4時間であり、更に好ましくは10分〜2時間であり、更に好ましくは10分〜1時間であり、更に好ましくは10〜20分である。
【0054】
本発明の温灸器の一実施形態としては、全体的には無孔とし、1.5cmの丸型で厚さを0.5〜0.7mmとするものがある。
台座の中間層は、ボール紙等の紙や、不織布、合成樹脂シート等で形成する。特に、中間層を構成する紙や発泡体、不織布、織布、編物や粘着剤層に遠赤外線放射性物質、もぐさ等を混入して使用するのが好ましい。粘着剤層は、医療用絆創膏等に使用されるような、人の皮膚に対して刺激の少ない粘着剤で形成する。
遠赤外線放射性物質としては、遠赤外線セラミック微粉末、酸化珪素、酸化鉄等を使用することができる。遠赤外線放射物質を水等の液体中に分散させた液状物質を中間層に含浸させたり、遠赤外線放射物質を合成樹脂中に練りこむこと等により、中間層に遠赤外線放射物質を含有させることができる。
【0055】
好ましい製造方法は成形された発熱組成物成形体を減水し、発熱立ち上がり性のよい発熱組成物成形体を製造することが好ましい。一例として、本発明の温灸器は基材上に発熱組成物成形体を積層させた後、空気中で自己発熱させ、40℃以上、温度を上げた後に被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールし、温灸器を作成する。
作成後直ちに非通気性の収納袋である外袋に温灸器を収納する。
発熱組成物成形体の余剰水は成形後、温度を上げることにより、減少させ、温灸器として適度の水分量にする。温度を上げて水分を減らす方法は制限はなく、自己発熱でなくドライの窒素雰囲気中で又は更に、温度をかけて行ってもよいし、空気雰囲気中で温度かけて行ってもよい。自己発熱するかどうかは必須要件ではない。
また、温度も、必須要件ではなく、水分が減少すれば雰囲気温度には制限はないが、好ましくは20〜300℃であり、更に好ましくは20〜200℃であり、更に好ましくは20〜100℃であり、更に好ましくは20〜80℃であり、更に好ましくは40〜60℃である。処理時間と兼ねあわせて雰囲気温度を決めればよい。
【0056】
本発明の発熱組成物成形体は鉄粉、反応促進剤、水を必須成分とし、易動水値0.01〜10とする余剰水を有し、連結物質である余剰水による成形性を有し、発熱組成物中の水分がバリア層として機能せず、空気と接触して発熱反応を起こす成形性発熱組成物を、ほぼ型穴の高さと同じ高さまで、型穴に充填し成形したものである。
【0057】
また、発熱組成物成形体は前記型穴に充填された発熱組成物を更に、型穴の高さの厚みの50〜99.5%の厚みに圧縮したもので、非柔軟性且つ形状保持性を有し、空気と接触して発熱する。
発熱組成物成形体の厚みを型穴の高さ又は深さを基準にすることにより、圧縮の程度が容易に調整でき、発熱立ち上がり性、発熱持続性、発熱適温保持性等の発熱特性を犠牲にすることなく、形状保持性が保てる。
【0058】
また、前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
【0059】
また、発熱組成物は発熱特性に影響を与えない範囲で、結合剤やアルコール、架橋剤、可塑剤を加えたりしてもよい。
前記結合剤等の割合は、鉄粉100重量部に対し、0.001〜0.25重量部であることが好ましい。
本発明の結合剤としては、凝集助剤、 凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダ、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着バインダ、増粘剤、賦形材等が挙げられる。
【0060】
また、本発明で必要とする易動水0.01〜10の余剰水は予期し得ないことであった。
即ち、粉末表面を余剰水が覆い、バリアとして機能し、発熱反応が著しく落ち、場合によっては発熱組成物から所定量の水分を除去しなければならない可能性も考えられた。
ところが、易動水0.01〜10の余剰水は、余剰水が適量なため、炭素と鉄との結合を助勢し、発熱組成物を過度に希釈することなく堅い圧縮体を生させるとともに、空気と接触してすぐに発熱反応を起こす機能と短時間に高温に達する機能を発熱組成物に与えた。
【0061】
本発明は、易動水値0.01〜10の余剰水を用いることにより、炭素ダストを低減し、種々の製造上の問題を解決し、製造ライン速度と充填重量の正確さとを増大し、発熱性組成物の流動性を改善し、完成発熱部内の発熱性組成物の非均一性を除去し、完成発熱部の性能を改善し、特殊の装置及び環境の必要性を排除し、これらの全てにより所要労カ、健康、安全上の危険性及び全体製造コストを顕著に低下させる。
【0062】
基材及び被覆材としては、発熱特性が維持されば制限はないが、例えば、基材及び被覆材の形成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のフィルム、或いは、これらからなる不織布やこれらを2種以上組み合わせた複合繊維等からなる不織布やそれら不織布と、発熱温度、発熱時間を調整するための調整シートからなる通気性の積層シート等が一例として挙げられる。
また、肌に接する面の不織布は毛羽立てた不織布が好ましい。
また、これらが通気性を有する場合は、所望の発熱特性を与えるために必要な酸素ガスを供給し、発熱組成物(成形体)の飛散を防止し得る包材であり、発熱の持続時間や最高温度の調節が容易等の観点から、通気性としては、発熱が維持できれば制限はない。
例えば、紙、不織布、合成紙、有孔プラスチックフィルム、有効金属泊、或いは、これらの包材に適宜コーティングを施したもの、更にはこれらの積層物などがある。
【0063】
本発明の通気面及び通気性素材の透気度はガーレー式気体透過度(JIS P8117に準じたもの)及びフラジール通気度(JIS L1096)とする。前記通気性素材には通気性断熱材、通気性包材等が含まれる。
【0064】
通気性断熱材としては、限定はないが、通気性があり、保温性があり、発熱組成物成形体等の漏れを防止できるものが好ましく、通気性発泡体、不織布、織布編物、成形フィルム等が一例として挙げられる。
通気性断熱材の材料組成は、コットン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が一例として挙げられる。
【0065】
通気性包材としては、通気性断熱材単独又は通気性断熱材と通気性フィルムとの積層体等が一例として挙げられる。
例えば、穿孔フィルムを使用した例として、多数の小孔を開口した合成樹脂シートとのラミネートシートが一例として挙げられる。
多数の小孔とは、複数の小さい孔で、発熱組成物成形体が灸として発熱できれば制限はないが、約0.25mmφが中心間距離で1mm間隔で、行列に規則的に複数個、設けた孔等が一例として挙げられる。
【0066】
織布としては、木綿、ポリエチレンテレフタレート、レーヨン等の繊維を網組したものが挙げられる。
【0067】
不織布としては、和紙、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の繊維を密着又は圧着させたものを用いることができる。更に、不織布としては、これらの他に、ポリエチレンテレフタレートの繊維又はこれに塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル共重合体を混合した後、加熱溶融し結合させた重合樹脂でもよく、またポリエチレンテレフタレート繊維の表面をポリエチレンで被覆したような積層構造の繊維からなるものも使用できる。
【0068】
これらの他、織布又は不織布と密着性のよい、例えば、ポリエチレンまたは穿孔ポリエチレンでラミネートしたものも十分使用できる。また、包材の片面が上述したようにアルミニウム箔にポリエチレンをラミネートした気体透過性のないものでも、他面に気体透過度が前記条件を満足するようなフィルム、織布又は不織布であれば十分使用可能である。
【0069】
不織布としては、カード不織布、スパンボンド法不織布、空気撚り不織布、熱接着不織布、水撚り不織布、溶融膨潤不織布又は空気貫通接着不織布が一例として挙げられる。
不織布の材料組成は、コットン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等である。
通気断熱材用不織布に特に適した材料は、疎水性ポリプロピレンのカード化された熱接合織物である。
【0070】
通気性発泡体の例としては、ウレタン系、スチレン系、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、アクリル系、塩化ビニル系、シリコーン系などのプラスチックからなるものが一例として挙げられる。2種以上のプラスチックのブレンド物、或いは、異種のプラスチックや発泡状態が異なる層等の重畳物などからなる通気性発泡体であってもよい。また、通気性発泡体は、その外周に通気性を維持した状態のコート層を有して補強されたものであってもよい。
透気度は、ガーレー式気体透過度で、好ましくは9sec/300cc以下である。尚、通気性発泡体の形態は、任意であり、シール目的の隙間などに応じて適宜に決定することができる。一般には、シート形態や棒ないし柱形態などとされる。
【0071】
台座の素材としては、制限はないが、前記発泡体、前記不織布、前記織布、前記編布等が一例として挙げられる。尚、発泡体は独立気泡の発泡体も使用できる。台座の形状も制限はないが、温灸器や発熱部の形状と同じ形状が使用でき、形状は必ずしも温灸器の形状と同一又は相似形にする必要はない。
【0072】
また、台座の中央部又は端部に磁性体や押鍼用固形物を設けてもよい。
台座の構成としては、粘着剤層/発泡体/粘着剤層/セパレータや粘着剤層/不織布/粘着剤層/セパレータ等の構成が一例として挙げられる。
【0073】
前記粘着剤層としては、気密性を有するものであっても通気性を有するものであってもよいが、通気性を有するものが好ましい。通気性としては、部分的に粘着剤が存在し、粘着剤の存在しない部分があり、全体として通気性があればよい。また、親水性であっても、非親水性であっても良い。これらは用途にあわせ、適宜選択できる。
【0074】
通気性の基材及び/又は被覆材に粘着剤をそのまま層状に積層するにあたり、その通気性を椎持する方法としては、例えば、粘着剤を印刷、或いは、転写により、粘着剤層を部分的に積層し、その非積層部を通気部とする方法と、粘着剤を糸状に円を描きながら一方向に移動させたり、ジグザグに移動させたりするなど適宜二次元方向に運行させ、その糸状の粘着剤の陳間が通気性ないし透湿性を維持させたり、粘着剤を発泡させる方法、つまりメルトブロー方式で形成された層とが挙げられる。
【0075】
前記発熱組成物としては、鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10であり、余剰水による成形性を持ち、且つ発熱組成物中の水分がバリア層として機能せず、空気と接触して発熱反応を起こす発熱組成物であれば制限はない。
【0076】
更に、所望により、前記発熱組成物は、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、保水剤、吸水性ポリマー、水素発生抑制剤、pH調整剤、界面活性剤、疎水性高分子化合物、焦電物質、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質、肥料成分、発熱助剤、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
【0077】
また、本発明の発熱組成物等は、その配合割合は特に限定されるものではないが、鉄粉100重量部に対して、炭素成分1.0〜50重量部、保水剤0.01〜10重量部、吸水性ポリマー0.01〜20重量部、pH調整剤0.01〜5重量部、水素発生抑制剤0.01〜12重量部、反応促進剤1.0〜50重量部であり、水は1.0〜60重量部で、発熱組成物として易動水値が0.01〜10になるように配合割合を選択するのが好ましい。
更に、前記発熱組成物に下記のものを鉄粉に対して、下記の配合割合で加えてもよい。
即ち、鉄以外の金属1.0〜50重量部、酸化鉄以外の金属酸化物1.0〜50重量部、界面活性剤0.01〜5重量部、消泡剤0.01〜5重量部、疎水性高分子化合物、骨材、繊維状物焦電物質、遠赤外線放射物質、マイナスイオン発生物質、有機ケイ素化合物はそれぞれ0.01〜10重量部、保湿剤、活性物質、肥料成分、発熱助剤はそれぞれ0.01〜10重量部、酸性物質0.01〜1重量部である。
磁性体を配合する場合はその配合割合は所望により適宜決めればよい。
【0078】
また、発熱組成物の発熱立ち上がり性を向上させる意味から、下記のものが好ましい。
1)発熱組成物の必須成分又はそれに酸性物質やその他必要成分を加えたものを酸化性ガスとの接触処理(自己発熱等)したもの又はそれを水分調整したもの又はその他の成分を加え混合し、発熱組成物としたもの。
2)鉄粉の表面の少なくとも一部に酸化物等の酸素含有被膜を有する活性鉄粉を鉄粉として使用する。
(1)鉄粉の表面についてオージェ電子分光法で求めた3nm以上の厚さの鉄の酸素含有皮膜を有する鉄粉。
(2)ウスタイトの含有量が鉄との×線ピーク強度比で、2〜50重量%の鉄粉。
3)鉄粉の表面の少なくとも一部に酸化物等の酸素含有被膜を有する活性鉄粉を酸素含有被膜を有しない鉄粉に混合したものを鉄粉とて使用する。
【0079】
温灸器中の発熱組成物の易動水値及び混合物や温灸器中の発熱組成物中の鉄粉の鉄酸化被膜の厚さ、ウスタイト量を測定する場合は、発熱組成物や混合物を各項目に従って測定すればよい。即ち、
1)易動水値
温灸器から発熱組成物を取り出し、前記易動水値の測定法に従って測定する。
2)鉄粉の鉄酸化皮膜の厚さ、ウスタイト量
窒素雰囲気下、窒素置換されたイオン交換水に発熱組成物、発熱組成物成形体、発熱組成物圧縮体又は混合物を分散させ、磁石で鉄粉を分離し、窒素雰囲気下で乾燥させたものを測定用試料とする。
【0080】
前記鉄粉とは、通常の鉄粉、鉄合金粉、鉄粉の表面の少なくとも一部に酸素含有皮膜と有する鉄粉又は鉄合金粉からなる活性鉄粉が好ましい。
【0081】
ここで、本発明の易動水値0.01〜10成形性発熱組成物は余剰水を有しているので、圧力をかけると、簡単に、粒子間が接し、水の表面張力により粒子が固定される。また、本発明の発熱組成物成形体は、成形時の厚み即ち型厚みの50〜99.5%の厚みを維持するので、発熱に必要な水分が圧縮時に失われることなく、圧縮後、水又は反応促進剤溶液を添加することなく、十分に発熱持続時間を確保できる。
【0082】
また、圧縮は、好ましくは型厚みの50〜99.5%であり、更に好ましくは50〜99%であり、更に好ましくは50〜95%であり、更に好ましくは60〜95%であり、更に好ましくは70〜90%である。
【0083】
本発明の発熱組成物成形体は、柔軟性はないが、圧縮後、水又は金属塩を含む水溶液を圧縮体に添加することなく、空気と接触して発熱する成形体であり、炭素成分等による環境の汚染もなく、優れた発熱特性及び形状保持性を有し、温灸器への加工に十分に耐え、発熱部が1つの温灸器や複数の部屋がある間隔を置いて設けられた発熱部を有する温灸器まで、多種の温灸器が製造できる。
即ち、曲線や直線等からなる多種形状、小から大まで、極薄から厚ものまで、幅狭から幅広までの各種サイズの発熱組成物成形体ができ、それに従い、同様の多種形状、各種サイズの発熱部及び温灸器が得られる。
【0084】
本発明の温灸器の製造方法は制限はないが、好ましくは、成形方式により所望の形状を有する温灸器の製造する方法が採用される。
成形方式とは、抜き型を使った型通し成形法や鋳込み型を使った鋳込み成形法により、所望の形状に成形性発熱組成物を成形し、収納用ポケットを有しない、実質的に平面状の基材等に、その成形体を積層し、更に別の基材を被せ、シールして温灸器を製造する方法である。
ここで、型通し成形法とは、抜き型を使用し、長尺の基材の上に型の抜き形状の発熱組成物成形体を積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の周辺部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法である。また、鋳込み成形法とは、凹部を有する鋳込み型への充填と基材への移設により、発熱組成物成形体を長尺基材上へ積層する成型法である。連続式の場合は、ドラム状回転体による凹部への充填と基材への移設により、発熱組成物成形体を長尺基材上へ積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の縁部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法などである。
【0085】
また、本発明の発熱組成物成形体の製造方法は、型穴に成形性発熱組成物を充填し、型穴内の成形性発熱組成物に圧力を加え、型穴の高さの50〜99.5%まで、圧縮する方法である。加圧時の圧力は、成形性発熱組成物を所定の厚みに圧縮できれば、特に制限はない。また、圧縮成形に用いる圧縮治具としては、制限はないが、弾力のある平板やロール、型穴に挿入できる押し込み部を有した弾力性又は非弾力性の平板やロールが一例として挙げられる。
【0086】
また、本発明の温灸器が、穿孔により、通気孔を設けたプラスチックフィルム製の包材を用いる場合、予め、包材を穿孔し、穿孔により、通気孔を設けたプラスチックフィルム製の包材を用いてもよいし、基材に積層された発熱組成物成形体を包材で覆い、発熱組成物成形体の周縁部をシールした後に前記包材を穿孔して通気孔を設けてもよい
【0087】
多孔質フィルムや穿孔フィルム等からなる通気面の通気孔を覆うように剥離可能な状態で、更に非通気性のプラスチックフィルムを密着貼合させた温灸器である場合、包材を構成するプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデンなどにより防湿処理されてもよいOPP、CPP、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル等の各種フィルム、更にはアルミ箔又はアルミ蒸着されたブラスチックフィルム、金属や半導体の酸化物、金属窒化物及び/又は酸素窒化物等が蒸着されたプラスチックフィルム等があげられるがこれらに限定されるものではない。通常、10〜100μmの厚みを有する前記フィルムの1種又は2種以上が重屑して用いられ、更に内層にはヒートシール性を付与するためポリエチレンレンやEVAなどからなるヒートヒートシール層を積層して使用するのが一般的である。ポリエチレンにはメタロセン触媒を使用して製造されたポリエチレンも含まれる。特に低密度ポリエチレンやメタロセン触媒を使用して製造されたポリエチレンが好ましい。
【0088】
尚、基材及び被覆材を必ずしも前述の同質のフィルムで構成する必要はなく、別の種類のフィルムで構成してもよい。
【0089】
包材の通気性をプラスチックフィルムに穿孔することによって得られる場合、針穴の大きさを加減することによって、比較的容易に通気性を調節することができ、また、プラスチックフィルムの表面は平滑なので、通気孔を覆うように更にプラスチックフィルムをしっかりと密着貼合することができる。これに対し、包材が起毛の不織布製であると表面が凹凸でこの上に貼合するガスバリヤー性フィルムとの間に間隙を生じ発熱組成吻の経時変化を招くとともに、剥離する時不織布のケバ立ちを生じるので好ましくない。
【0090】
通気孔の開け方には、全面に設ける方法、基材及び又は被覆材の中央部に集中的に穿孔する方法、基材及び又は被覆材の中央べルト状にエンドレスに設ける方法などあげられ、いずれも適用可能である。
【0091】
通気孔を覆うように密着貼合されるプラスチックフィルムの材質は非通気性であれば特に限定されず、前述した包材の材質から適宜選択すればよい。このフィルムは接着剤等の手段により、剥離可能な状態で基材及び/又は被覆材に密着貼合されるが、使用時に剥離しやすいようにつまみ部分を設けた方が好ましい。
【0092】
更に、次の様な製造方法も採用することもできる。
1)充填方法
接着剤や縫製加工やヒートシール方式等の適宜な方式で基材の端部や間仕切り箇所を結合して袋体を形成し、発熱組成物をその袋体に充填し、その後袋体端を接着する方法がある。一例として、充填方式による分室化された温灸器の製造方法としては、例えば、長尺の基材と、目的とする間仕切り部分及び基材の周縁をヒートシールできる回転式の加熱圧着器を用いて、その加熱圧着器を介し対向配置した長尺基材の縁部及び間仕切り部分の必要箇所をヒートシールしつつ、形成された基材間の空隙からなる分室に通気発熱性の温灸器を供給して封入処理し、その封入処理でカイロ端を接着しつつ次の分室の形成を開始する連続形成方法などである。
2)ポケット方式
特表平11−508786号公報に開示されているように、予め基材に熱成形、機械的エンボス、真空エンボス又は他の許容しうる手段によりポケットを造っておき、前記ポケットに発熱組成物及びその成形体等を充填し、更に、別の基材で、そのポケットを覆い、2つの基材の周囲を結合し、温灸器を製造する方法である。
【0093】
前記温灸器の製造方法には、磁石を使用してもよい。磁石を利用すると、発熱組成物の袋体や型内への収容や、その成形体の型からの離脱が容易にでき、発熱組成物成形体の成形や温灸器の製造がより容易になる。
【0094】
こうして得られた温灸器は、内袋と外袋が一体化された収納袋を用いているのでコスト的、ならびに製造上有利で、しかも保存中、従来の二重包装構造に比べて発熱組成物成形体が経峙変化を受けにくいというメリットを有する。また、温度性能、使用感とも申し分なく、内容物の洩れの心配もないので快適な暖を得ることができるものである。
【実施例】
【0095】
次に本発明をより詳細に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらのみ限定されるものではない。
(実施例1)
図1及び図2には平面形状が円形の温灸器1を示す。
図に示す通り、本発明の温灸器1は、発熱組成物を成形した発熱組成物成形体2を、基材5と、被覆材6との間に収容し、その露出面の片面に粘着剤層7を備える。この、粘着剤層7には、セパレータ8が貼着されている。その形状は、直径3cm、外周部のシール部4が3mmの円形状である。
発熱組成物として、還元鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)7.0重量部、木粉(粒度300μm以下)5.0重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)0.8重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重量部、11%食塩水を混合した易動水値4.3の発熱組成物を使用した。この発熱組成物を、型の厚み3mmの平面形状が円形状の抜き穴を有する抜き型を使用して、3mmの厚さを有する発熱組成物成形体2とした。
基材5は、ポリエチレンフィルムにより構成される。粘着剤層7は、厚さ30μmのアクリル系粘着剤により構成されている。
また、被覆材6は、厚さ70μmのポリエチレンフィルムに目付量40g/m2のナイロン製不織布を積層した通気性材料で構成され、直径0.25mmの孔が中心間0.6mmで行列に規則的に複数個穿孔され、通気度は0.5sec/300ccとした。
前記温灸器1を外袋に密封収納し、24時間、室温で放置した。
24時間後に外袋から温灸器を取り出し、人体の患部、経穴に貼り付け、発熱試験を行ったが、3分で、40℃以上になり、最高温度60℃になり、15分後には30℃に温度が下がり、お灸として十分に効果があった。
【0096】
(実施例2)
本実施例では、図3に示すように、発泡体を基材とする両面粘着テープ7を直径2cmの円形に切り取り、中央に約3mmの伝熱用孔を設けて、その一面を温灸器1に貼り付け、他面にはセパレータ8を貼り付けた。
発熱組成物として、酸化性ガス処理装置として換気扇の羽形状の回転翼を備えたミキサーからなるバッチ式攪拌槽を酸化性ガス接触処理装置として使い、酸化性ガスとして空気を用いた。
まず、還元鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)、3.5重量部、11%食塩水5重量部からなる、易動水値0.01未満の反応混合物を接触処理装置容器内に入れた。
次に、20℃の環境下、前記接触処理装置容器の上部を開放して、空気に接触させ攪拌しながら、自己発熱させ、最高発熱温度が25℃になったところで、木粉(粒度300μm以下)5重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)1.2重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重量部、11%食塩水を混合し、易動水値10の発熱組成物を得た。
次に、実施例1で使用した抜き型を使用して、発熱組成物成形体2を成形し、毛羽立てた不織布とポリエチレンフィルムの積層体でポリエチレン側にポリエチレンと5重量%のEVAからなるヒートシール層を設けた基材5上に積層し、次に、電気掃除機集塵袋用フィルター材にウレタン発泡体を積層した被覆材7を被せ、発熱組成物成形体2の周辺部をヒートシールし、カットして直径3cm×シール幅3mmの円形の温灸器1を製造した。尚、被覆材の通気度はフラジール通気度で12cc/cm2/sであった。
前記温灸器を外袋に密封収納し、24時間、室温で放置した。
24時間後に外袋から温灸器を取り出し、人体の患部、経穴に貼り付け、発熱試験を行ったが、3分で、40℃以上になり、最高温度60℃になり、15分後には30℃に温度がさがり、お灸として十分に効果があった。
【0097】
(実施例3)
本実施例では、被覆材7として、ポリエチレンをラミネートした厚さ0.4mmのナイロンシートに、直径が0.1〜0.15mmの小孔を、透気度が1.0sec/300ccになるように穿設した層を設け、更に、その上に、厚さ0.15mmのポリエステルフィルムを剥離自在としたものを使用した。
これに、実施例2の発熱組成物を使用し、厚さ0.05mmのポリエチレンフィルムにアルミニウムが蒸着された基材5上に発熱組成物成形体2を積層し、前記被覆材6を被せ、発熱組成物成形体2の周縁部をヒートシールして、平均内径が2cm、深さが6mmで外寸が3.5cmの温灸器1を成形した。尚、温灸器には、粘着剤層7として、両面粘着テープを設けた。
次に、被覆材6の表面に、薬物として、乾燥モグサを、平均径が2cm、厚さが約0.3mmになるように添着した。
【0098】
尚、上記実施例の他に、図4に示すように、台紙13を貼着した温灸器1とすることもできる。台紙13は、粘着材層7、発泡体からなる芯材13A、粘着材層7及びセパレータ8を積層した構造をしている。また、図5に示すように、温灸器1の台紙13の中央部に円形状の穴12を設けてもよい。
また、更に、図6に示すように、温灸器1の被覆材4の通気面に通気孔14を覆うように剥離可能な非通気性のプラスチックフィルム9を接着層10を介して貼着する構造とすることもできる。
また、温灸器1の外形は、図7に示すように、(a)そらまめ形、(b)アイマスク形、(c)繭形、(d)瓢箪形、(e)角丸長方形、(f)長方形、(g)角丸正方形、(h)正方形、(i)卵形、(j)ブーメラン、(k)まが玉形、(l)星形、(m)翼形、(n)翼形、(o)鼻形、(p)花形等任意に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の温灸器の一実施例の平面図
【図2】同Z−Zの断面図
【図3】本発明の温灸器の他の実施例の断面図
【図4】本発明の温灸器の他の実施例の平面図
【図5】本発明の温灸器の他の実施例の平面図
【図6】本発明の温灸器の他の実施例の断面図
【図7】本発明の温灸器形状の変形例の平面図
【図8】本発明の易動水値の測定用の濾紙の平面図
【図9】本発明の易動水値の測定を説明するための斜視図
【図10】本発明の易動水値の測定を説明するための断面図
【図11】本発明の易動水値の測定を説明するための断面図
【図12】本発明の水又は溶液の浸みだし距離測定用濾紙の平面図
【符号の説明】
【0100】
1 温灸器
2 発熱組成物成形体
3 発熱部
4 シール部
5 基材
6 被覆材
7 粘着剤層
8 セパレータ
9 非通気性フィルム
10 接着層
11 つまみ部
12 空間
13 台紙
13A 芯材
14 通気孔
15 押し込み板
16 平板
17 非吸水性フィルム(ポリエチレンフィルム等)
18 中心点から放射状に45度間隔で8本の線がかかれた濾紙
19 中空円筒状の穴を持つ型板
20 穴
21 試料
22 ステンレス板
23 水又は溶液の浸みだし先端までの距離
24 濾紙上の中空円筒状の穴相当位置
25 水又は溶液の浸みだし距離測定用濾紙
【技術分野】
【0001】
本発明は酸素の存在下で発熱する発熱組成物を使用し、短時間で発熱し、もぐさを皮膚の上に直接載せて点火してお灸をする場合や、台座灸を直接皮膚面に接着してお灸する場合に比較して、穏やかな条件下で、効率よく実施でき、身体の一部、特に経穴に局部的な熱刺激を与えて患部の治療を行う温灸器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
東洋医学における灸は、体内に張り巡らされた経絡の上の経穴(ツボ)に対しておこなう温熱局所刺激によって血液循環を良くするものであり、肩こり、神経痛、腰痛、筋肉疲労、頭痛、リュウマチ、腹痛などの消化器系疾患、風邪などの呼吸器系疾患、婦人科系疾患等の治療や回復に効果が認められている。
従来、温灸・温灸器としては、(1)もぐさ温灸器、(2)厚紙等で形成した台座の上に円柱形に形成したモグサを取り付けて作成した温灸具、(3)電気温灸器、(4)酸化反応により発熱する組成物を円盤形の容器内に封入して作成した温灸具などが用いられているが、(1)は、ヨモギの葉を乾燥して作ったモグサを直接皮膚の患部(ツボ)に貼り付け、これに火をつけて燃焼させることによって温熱刺激を患部に与えるようにしている。
また、(2)は、台座を皮膚の患部に貼り付けて使用するようにしたものであり、台座がモグサを燃焼させた際の熱の緩衝体となるために、皮膚に強烈な熱が作用することが緩和されると共に火傷跡が残ることも極めて少なくなるものである。
(4)は容器を皮膚の患部に貼り付けて使用するようにしたものであり、容器に孔を明ける等して内部の組成物に空気中の酸素を作用させることによって発熱させると共にこの熱を患部に作用させて温灸をおこなうようにしたものである。
しかし、(1)はもぐさの燃焼を利用していろために着火の手間を用し、火傷後が残るため顔などの露出面への適用は制限を受け、また、温度制御が困難であり、もぐさの燃焼に伴い、皮膚に熱が強烈に伝わるなど、施灸効果にむらがあり、しばしば火傷する不安もともなっているなどの利用上の不便さがあり、(2)は台座が熱の緩衝体となるために皮膚、そのなかでも特に患部(以下「皮膚」ということもある)に十分な温熱が作用しない場合があり、(3)は電気であるため、高価な装置であり、電源を必要とする不便さがあった。
また(4)は鉄粉の酸化反応を利用したもの温灸器は、鉄粉、金属の酸塩及び水分を予め容器内に封入し、しかも水分をおがくず等に含水させるため、40℃以上に発熱させるにはある程度の容量を必要とし、大型化はさけられなかった。もっとも上記構成は40〜45℃程度に加温する従来のいわゆる「化学カイロ」を小形化したにすぎず、容器の一面に粘着剤を付して人体の一部に貼り付けた時には比較的広い面積に伝熱され、経穴などの局部に集中して熱刺激を与えることはできない。
更に、酸化による発熱の温度が不十分であると皮膚に十分な温熱が作用しない場合があり、使用する人によっては温熱による効果が必ずしも十分に得ることができないことがあるという問題があった。しかも、使用しはじめてから皮膚が温熱を感じるまでに時間がかかることがあり、また皮膚に温熱が作用している時間が短かいことがあり、温灸効果が不十分になる場合があるという問題もあった。
また、製造時、予め基材シートに鰐縁を有する浅皿形の収納用凹部を作成しておかなければならず、製造面も複雑であった。
また、鉄粉と金属の酸塩を主体とする発熱混合物を、表面吸水性及び通気性を有するシート状物で構成したパウチ内に充填封入した、使用時に水を添加発熱させる温灸器も提案されているが、使用時に水を添加しなければならず、しかも水の添加量によって発熱温度や発熱時間が異なり、その都度水を添加しなければならず、使用勝手が悪く、水の添加量を間違えると火傷のおそれもあり、使用時に水を添加するなどの手間をかける不便さは解消されていなかった。
【0003】
また、電子レンジで加熱する形式のゴム製水枕状の温熱パック(使用温度約70℃)も知られているが、この製品も、100℃を超える高温に加熱すると、破壊されるので、加熱温度の調整が必要であり、一般的に使用する温熱パックとしては、好適であるとは、言い難い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、皮膚に十分な温熱を作用させて温灸をおこなうことができ、しかも温熱が作用し始める時間を短くすることができると共に酸化反応による発熱を有効に利用し、局部的に集中して熱刺激を与え、温灸効果を高く得ることができる温灸器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の温灸器は、請求項1に記載の通り、鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10の発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を、基材と被覆材との間に収納し、前記基材及び/又は前記被覆材の一部に通気面を有し、前記通気面の透気度が9sec/300cc以下とし、前記基材及び/又は前記被覆材に固定手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の温灸器は、請求項1に記載の温灸器において、前記発熱組成物は、結合剤を含有し、前記結合剤の割合が、鉄粉100重量部に対し、0.001〜0.25重量部であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の温灸器は、請求項1又は2に記載の温灸器において、前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする。
また、請求項4に記載の温灸器は、請求項1乃至3の何れかに記載の温灸器において、前記固定手段は、粘着剤を表面に付した台座であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の温灸器は、請求項4に記載の温灸器において、前記粘着剤層が設けられている面に、磁性体又は押鍼具を設けたことを特徴とする。
また、請求項6に記載の温灸器は、請求項1乃至5の何れかに記載の温灸器において、前記通気面の一部は、通気性断熱材により構成されていることを特徴とする。
また、請求項7に記載の温灸器は、請求項6に記載の温灸器において、前記通気性断熱材は、通気性発泡体であることを特徴とする。
また、請求項8に記載の温灸器は、請求項1乃至7の何れかに記載の温灸器において、前記発熱組成物成形体は、酸化性ガスにより接触処理されたものであることを特徴とする。
また、請求項9に記載の温灸器は、請求項1乃至8の何れかに記載の温灸器において、前記発熱組成物は、少なくとも鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分とした混合物を、酸化性ガスにより接触処理した成分を含有することを特徴とする。
また、請求項10に記載の温灸器は、請求項1乃至9の何れかに記載の温灸器において、前記鉄粉は、少なくとも表面の一部が鉄酸化皮膜で覆われ、前記鉄酸化被膜の厚さが3nm以上であり、且つ、少なくとも中心部領域及び鉄酸化被膜の下の領域から選ばれた少なくとも1領域において酸素を含まない鉄成分の領域を有する活性鉄粉を20〜100重量%含有することを特徴とする。
また、請求項11に記載の温灸器は、請求項1乃至9の何れかに記載の温灸器において、前記鉄粉は、少なくとも表面の一部がウスタイト被膜で覆われ、鉄とのX線強度比として、前記ウスタイト量が2〜50重量%である活性鉄粉を20〜100重量%含有することを特徴とする。
また、請求項12に記載の温灸器は、請求項1乃至11の何れかに記載の温灸器において、前記発熱組成物成形体は、圧縮されていることを特徴とする。
また、請求項13に記載の温灸器は、請求項4乃至12の何れかに記載の温灸器において、前記基材と前記被覆材は、粘着剤により仮着された後、前記基材及び/又は被覆材に設けられたヒートシール層によりヒートシールされたヒートシール部を有し、前記ヒートシール部には、前記粘着剤の粘着剤成分が含まれていることを特徴とする。
また、請求項14に記載の温灸器は、請求項13に記載の温灸器において、前記発熱組成物成形体の少なくとも一部を、仮着部に移動させることにより、ヒートシールされていない仮着部を開着することを特徴とする。
また、請求項15に記載の温灸器は、請求項1乃至14の何れかに記載の温灸器において、前記基材と前記被覆材とをヒートシールすることにより、複数の前記発熱組成物成形体は、ヒートシール部を介して複数設けられ、前記通気面の少なくとも一部が通気調整材で覆われていることを特徴とする。
また、請求項16に記載の温灸器は、請求項1乃至15の何れかに記載の温灸器において、前記通気面の少なくとも一部は、穿孔により形成された通気孔を備え、前記通気孔は、剥離することができるように非通気性のプラスチックフィルムが貼着されていることを特徴とする。
また、請求項17に記載の温灸器は、請求項16に記載の温灸器において、前記通気孔は、前記基材又は前記被覆材の中央部に集中して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明の温灸器では、肌に直接触れる部分の温度が45℃〜60℃になるように設定できるので、従来になく、非常に穏やかに持続性のよい施灸効果を得ることが可能となる。尚、肌の直接触れる粘着剤層が55℃〜60℃となるのがより効果的である。
また、本発明の温灸器では、皮膚と接触する粘着剤層の温度を3〜5分間、45℃以上に保持可能となる。従来の施灸では、急激な熱の上昇、降下によりこのような持続性よい温熱効果を得ることができなかった。
更に、
1)使用時に水を添加することなく、すぐに発熱するので、簡便に使用できる。
2)台座を通して、発熱部内に生じた熱を台座に集中して伝熱することができ、人体の経穴等の局部に、穏やかな状態で、効果的に熱刺激を与えることができる。
3)本発明は、発熱組成物内の水分量を減水してあるので、小形で、発熱温度が高い温灸器を得ることができる。
4)特に台座に孔を開口すれば、この孔を通して、また、孔内に閉じこめられる水分を有効に利用して人体に伝熱できる効果を有する。
5)製造工程が簡単で、安価に温灸器が製造できる。
6)遠赤外線放射物質やよもぎ等の薬草や薬物を台座や粘着剤層に含有させることにより、温熱の体内への浸透性を高め、穏やかな状態で、効率のよい施灸効果を発揮できる。
7)通気面に非通気性テープを設けた温灸器は内袋と外袋を一体化したもので、その資材を節約すると共に、その生産時におけ作業工程をも少なくすることができ、これによってコストを抵下させることができ、保存中も経時変化もせず、経済性の高い温灸器とすることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
易動水値とは、発熱組成物中に存在する水分の中で発熱組成物外へ移動できる余剰水分の量を示す値である。この易動水値について、図8乃至図12を使って説明する。図8に示すように、中心点から放射状に45度間隔で8本の線が書かれたNO.2(JIS P3801 2種)18を、図9及び図10に示すように、ステンレス板22上に置き、前記濾紙18の中心に、内径20mm×高さ8mmの中空円筒状の穴20を持つ長さ150mm×幅100mmの型板19を置き、その中空円筒状の穴20付近に試料21を置き、押し込み板15を型板19上に沿って動かし、試料21を押し込みながら中空円筒状の穴20へ入れ、型板19面に沿って、試料を擦り切る(型押し込み成形)。次に、前記穴20を覆うように非吸水性の70μmポリエチレンフィルム17を置き、更にその上に、厚さ5mm×長さ150mm×幅150mmのステンレス製平板16を置き、発熱反応が起こらないようにして、5分間保持する(図11)。その後、濾紙18を取り出し(図12)、放射状に書かれた線に沿って、水又は水溶液の浸みだし軌跡を中空円筒の穴の縁である円周部24から浸みだし先端までの距離23として、mm単位で読み取る。同様にして、各線上からその距離23を読み取り、合計8個の値を得る。読み取った8個の各値(a,b,c,d,e,f,g,h)を測定水分値とする。その8個の測定水分値を算術平均したものをその試料の水分値(mm)とする。
また、真の水分値を測定するための水分量は内径20mm×高さ8mmの前記発熱組成物等の重量に相当する前記発熱組成物等の配合水分量とし、その水分量に相当する水のみで同様に測定し、同様に算出したものを真の水分値(mm)とする。水分値を真の水分値で除したものに100をかけた値が易動水値である。
即ち、
易動水値=[水分値(mm)/真の水分値(mm)]×100
同一試料に対して、5点測定し、その5個の易動水値を平均し、その平均値をその試料の易動水値とする。
【0008】
本発明において、易動水値0.01〜10の余剰水量を有する発熱組成物を成形した発熱組成物成形体は、基材に積層し、被覆材を被せ、少なくとも発熱組成物成形体の周縁部をシールするだけで温灸器とすることができる。基材や被覆材等の包材に収納した後は、水分を添加する必要がない。従って、工程が著しく簡素化されるので、コスト的にも優位性がある。
本発明での発熱組成物の易動水値(0〜100)は通常、0.01〜10であり、好ましくは1〜10であり、更に好ましくは2〜10であり、更に好ましくは3〜10であり、更に好ましくは5〜10である。また、易動水値が0.01未満の発熱組成物は成形性が不足する。10を超えると発熱組成物の一部水分を吸水や脱水等により除去する必要がある。即ち、吸水性包材等を使用して発熱組成物成形体中の一部水分を吸水や脱水等により除去しないと、短時間で発熱しない。
また、発熱組成物に吸水速度の遅い吸水性ポリマー等を使用し、成型時には高い易動水値を示すが、一定時間後、余剰水が吸水性ポリマーに取り込まれ、発熱組成物成形体の易動水値が10以下の発熱状態になり、前記取り込まれた余剰水は発熱に使われる水分となる場合は、易動水値が0.01〜10の発熱組成物として扱う。
【0009】
本発明の余剰水を連結物質とした、成形性のある発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を用いた温灸器は、前記発熱組成物は凝集助剤、乾燥結合剤、凝集化剤等を使用せず、易動水値0.01〜10で表される適量の余剰水を連結物質とするものである。
発熱組成物中の余剰水は適量になると、組成物の成分中の親水基に対しては双極子相互作用又は水素結合等によって水和し、また、疎水基の周辺においても高い構造性を有して存在すると推定される。これにより砂ダンゴ状態になり、発熱組成物の成形性が生ずると推定される。これは何らかの意味で連結物質である連結水である。これ以外に、自由に動ける自由水と呼べる状態の水分もあり、余剰水が増加すれば構造が軟化し、自由水が増加すると思われる。また、鉄粉が酸化反応を起こす支配因子は、水の存在量と鉄粉表面への酸素供給量である。吸着水膜(100Å未満)程度では水分が十分でなく、酸化速度は小さいといわれている。吸着膜が約1μm程度になると、水分量が十分になる。また、水膜の厚さが薄いため、鉄粉表面への酸素の供給も容易となり、大きな酸化速度を示す。更に膜が厚くなり、吸着膜が1μmを超えると、酸素供給量が減少すると推定される。一定以上の成形性と酸化速度を示す最適水分量を表す易動水値が0.01〜10であるとの知見を得、本発明を完成した。
即ち、適量の余剰水を用いることにより、水分の表面張力で各成分粒子をつなぎ止め、発熱組成物に成形性を生じさせ、水分が実質的にバリア層として機能しないため、発熱組成物は空気と接触して発熱する。更に、活性鉄粉を用いた発熱組成物や活性発熱組成物を用いることにより発熱立ち上がり性の著しく優れ、また、成形性の高い発熱組成物となる。また、成形積層方式により製造した発熱組成物成形体中の水分を包材や吸水性シートに移動させることなく発熱する。更に、発熱組成物成形体をシール部により区分けした区分発熱部を複数設けることにより、温灸器自身が柔軟性を有し、人体各所や曲面を有する物体等の柔軟性の要求される箇所への装着に優れ、使用感に優れた温灸器を提供できる。
また、前記基材、被覆材及び発熱組成物成形体において、少なくとも被覆材と発熱組成物成形体とを粘着剤層を介して、仮着してから、発熱組成物成形体の周縁部及び温灸器周辺部をヒートシールすることにより、ヒートシールの確実性が向上するので、温灸器製造の高速化及びヒートシール幅の小幅化が図れる。
【0010】
水分調整とは、発熱混合物を酸化性ガスと接触処理した後に水又発熱促進剤の水溶液を加えることである。加える量は制限ないが、接触処理により、減量した重量を加えることや所望の易動水値となる重量を加えることが一例として挙げられる。水分調整を行うかどうかは用途により適宜決めればよい。
【0011】
成形性とは、抜き穴を有する抜き型を用いた型通し成形や凹状の型を用いた鋳込み成形により、抜き穴や凹状型の形状で発熱組成物の積層体ができ、型離れを含め成形後、発熱組成物成形体の成形形状を維持することを示すものである。成形性があると発熱組成物成形体が少なくとも被覆材に覆われ、基材と被覆材の間にシール部が形成されるまで、形状が維持されので、所望の形状でその形状周縁部でシールができ、シール部に発熱組成物の崩れ片であるいわゆるゴマが散在しないので、シール切れがなくシールできる。ゴマの存在はシール不良の原因となる。
1)測定装置としては、走行可能な無端状ベルトの上側にステンレス製成形型(中央部に縦60mm×横40mmの四隅がR5に処理された抜き穴を有する厚さ2mm×縦200mm×横200mmの板)と固定可能な擦り切り板を配置し、無端状ベルトの反対側に磁石(厚さ12.5mm×縦24mm×横24mm、磁石が並列に2個)を配置する。前記磁石は、擦り切り板及びその近傍の領域、且つ、成形型の抜き穴の進行方向と垂直な方向の断辺(40mm)で覆われる領域より大きい領域を覆う。
2)測定法としては、前記測定装置の無端状ベルトの上に厚さ1mm×縦200mm×横200mmのステンレス板を置き、その上に厚み70μm×縦200mm×横200mmのポリエチレンフィルムを置き、更にその上にステンレス製成形型を置く。その後、前記成形型の抜き穴の無端状ベルトの進行側端部から50mmの位置に擦り切り板を固定後、前記擦り切り板と前記抜き穴の間で擦り切り板付近に発熱組成物50gを置き、無端状ベルトを1.8m/minで動かし、発熱組成物を擦り切りながら成形型の抜き穴へ充填する。成形型が擦り切り板を完全に通過後、無端状ベルトの走行を停止しする。次に成形型を外し、ポリエチレンフィルム上に積層された発熱組成物成形体を観察する。
3)判定法としては、前記発熱組成物成形体の周縁部において、最大長さが800μmを超える発熱組成物成形体の崩れ片が無く、最大長さ300〜800μmの発熱組成物成形体の崩れ片が5個以内である場合に、前記発熱組成物は成形性があるとする。成形方式に使用する発熱組成物には必須の性質である。これがないと成形方式による温灸器の製造は不可能である。
【0012】
耐圧縮性とは、成形型にて、型内圧縮で、型厚みの70%の厚みの発熱組成物成形体が、圧縮前の発熱組成物成形体の80%以上の温灸器の発熱立ち上がり性(発熱組成物の発熱試験での、試験開始後1分と3分での温度差)を保持することである。例えば、発熱組成物の発熱試験装置を用いて、抜き穴を有する抜き型を用いた型通し成形により、抜き穴に発熱組成物を収納後、型内で、抜き穴と相似形の凸型にて発熱組成物を型厚(3mm)の7/10まで(2.1mm)圧縮し、厚さ2.1mmの発熱組成物成形体を作成する。発熱組成物、基材及び被覆材を使用した同様な方法で作成した、圧縮していない厚さ3mmの発熱組成物成形体からなる標準温灸器と発熱組成物成形体の発熱立ち上がり性(発熱組成物の発熱試験での、試験開始後1分と3分での温度差)が標準温灸器の80%以上であれば、前記発熱組成物は耐圧縮性があるとする。100%以上でもよい。
【0013】
発熱組成物の発熱試験としては、次の通りである。まず、周囲温度20±1℃発熱組成物を非通気性の外袋封入状態で1時間放置する。
1)脚付き支持台の塩化ビニル製支持板(厚さ3mm×縦600mm×横600mm)の中央部下に成形型の抜き穴形状に磁石を設ける。
2)温度センサーを支持板中央部上に置く。
3)厚さ80μmの粘着剤層付き厚さ25μm×長さ250mm×幅200mmのポリエチレンフィルムの中央がセンサーのところにくるようにして、粘着剤層を介して支持板に貼り付ける。
4)外袋から発熱組成物を取り出す。
5)前記ポリエチレンフィルムの中央部上に、長さ80mm×幅50mm×高さ3mmの抜き穴を持つ長さ250mm×幅200mmの型板を置き、その抜き穴付近に試料を置き、押し込み板を型板上に沿って動かし、試料を押し込みながら抜き穴へ入れ、型板面に沿って、試料を擦り切り(型押し込み成形)、型内に試料を充填する、次に支持板下の磁石を除き、温度測定を開始する。発熱温度の測定はデータコレクタを用い、測定タイミング2秒で、10分間温度測定をし、3分後の温度を持って、発熱立ち上がり性を判定する。
【0014】
温灸器の発熱試験としては、JIS温度特性試験に従った。
【0015】
活性鉄粉とは、酸素と鉄の存在する領域を有し、オージェ電子分光法で、その領域の厚みが3nm以上あり、且つ、酸素が存在せず、鉄が存在する領域を有する鉄粉である。又は、ウスタイトの含有量が2〜50重量%の鉄粉である。また、活性鉄粉が鉄粉及びその他の必須成分(炭素成分、反応促進剤、水)の少なくとも何れかを含む混合物を使用して作成された場合は、作成後の混合物から磁石等により鉄粉を分離し、それを試料としてオージェ電子分光法により測定し、酸素と鉄の存在する領域を有し、その領域の厚みが3nm以上あり、且つ、少なくとも酸素と鉄の存在する領域を有する徹子なの中心部領域及び酸素と鉄の存在する領域の下の領域から選ばれた少なくとも1領域において酸素を含まない鉄成分の領域を有する場合、前記鉄粉は活性鉄粉であるとする。又はX線解析装置を用い、ウスタイト量を求め、その量が2〜50重量%以上あれば前記鉄粉は活性鉄粉であるとする。
【0016】
発熱混合物とは、鉄粉と炭素成分と反応促進剤と水を必須成分とし、含水量が1〜30重量%で、易動水値が0.01未満の反応混合物を、0℃以上の環境温度下で、反応混合物の温度上昇分を1℃以上としたものである。酸化性ガス接触処理により、反応混合物に何らかの特性に変化を起こさせれば良く、必ずしも鉄粉が酸化されている必要はないが、酸化されている方が好ましい。その場合、鉄粉は活性鉄粉になっていることが好ましい。
【0017】
活性発熱組成物とは下記の1〜3の何れかに前記当する発熱組成物である。
1.鉄粉、炭素成分、反応促進剤、水を必須成分とした反応混合物を酸化性ガスと接触処理したもの、又は、その酸化性ガスと接触処理済み混合物を水又は反応促進剤水溶液を加え、水分調整をしたものである。
2.鉄粉、炭素成分、反応促進剤、水を必須成分とし、含水量が1〜30重量%で、易動水値が0.01未満の反応混合物を酸化性ガスと接触処理し、接触時の反応混合部の温度を40℃以上、2秒以上保持したもの、又は、その酸化性ガスと接触処理済み混合物を水又は反応促進剤水溶液を加え、水分調整をしたものである。
3.鉄粉、炭素成分、反応促進剤、水を必須成分とし、鉄粉に活性鉄粉を20〜100%含有する鉄粉を使用してものである。
【0018】
酸化性ガス接触処理とは、発熱組成物の成分を混合した混合物又は発熱組成物を酸化性ガス雰囲気又は酸化ガス吹き込み等により、酸化性ガス(酸素や空気等)と連続的又は断続的に接触させて鉄成分を部分酸化する方法である。酸化程度を決める方法は制限はないが、前記混合物又は発熱組成物の易動水値、酸化性ガスとの接触時間、接触時の発熱温度上昇速度、接触時の発熱温度、接触時の最高発熱温度、接触時の最高発熱温度を過ぎ、降下した所定温度等又はその組み合わせにより、前記混合物又は発熱組成物と酸化性ガスとの接触程度を決め、酸化程度を決める方法が一例として挙げられる。
【0019】
例えば、
1)易動水値が10以下(例えば、0.01未満、0.01以上から10以下)の発熱組成物を撹伴等で流動化させながら空気に暴露し、自己発熱させ、発熱最高温度を超えるまで、所望の時間で、空気を遮断し、室温に戻し、発熱組成物とする。特に、易動水値が0.01未満の発熱混合物又は発熱組成物を攪拌しながら、空気に暴露し、自己発熱させる酸化性ガス接触処理が好ましい。
2)易動水値が10を超える発熱組成物を空気と接触させ、所望の時間で、空気を遮断し、発熱組成物とする。
3)1)又は2)の何れかで得た発熱組成物に、水又は反応促進剤水溶液を加え、水分調整し、混合し、所望の易動水値としたものを発熱組成物とする。水分調整に加える水又は反応促進剤水溶液の重量は、制限はないが、前記混合物又は発熱組成物を空気に暴露する前、即ち、自己発熱する前の重量に対して減量した重量又はそれを超える重量に相当する重量が一例として挙げられる。所望により、前記接触処理前及び又は接触処理時に、前記混合物の加温、発熱組成物の加温及び反応容器の加温、保温、冷却等又はその組み合わせにより、混合物及び発熱組成物の温度状態を制御してもよい。これにより発熱立ち上がり性の著しく優れた発熱組成物が得られる。
【0020】
前記酸化性ガスとは、気体で酸化性があれば如何なるものでもよいが、酸素ガス、空気、又は窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスと酸素を含むガスとの混合気体が一例として挙げられる。特に、空気が好ましい。
【0021】
酸化性ガスの温度、接触処理温度、接触処理時間は接触処理領域の雰囲気が酸欠にならず、鉄成分の酸化反応が起これば制限はなく、所望により適宜決めればよいが、酸化性ガスの温度は好ましくは0〜200℃、更に好ましくは10〜150℃、更に好ましくは20〜100℃である。また、処理時間は、好ましくは1秒〜10分であり、更に好ましくは5秒〜7分であり、更に好ましくは15秒〜5分である。工程においては処理時間は短い方が好ましい。
【0022】
酸化性ガスの使用量は、酸化性ガスの種類、鉄粉の種類や粒度、水分量、処理温度、処理方法などによって調整をすればよいが、空気を使用した場合を一例として挙げれば、鉄粉200gに対して、1気圧下、100℃の空気で、空気の量は、好ましくは1〜1000l/分である。他の酸化性ガスの場合、空気の場合を基準として、酸素の濃度により換算すればよい。
【0023】
所望により、酸化性ガス接触処理時に酸性物質や過酸化物を添加してもよい。過酸化物としては、過酸化水素、オゾンが一例として挙げられる。
【0024】
鉄酸化物皮膜とは、鉄の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物等の酸素を含む鉄からなる皮膜である。
【0025】
鉄酸化物皮膜の厚さは鉄粉の表面についてオージェ電子分光法を用い、深さ方向にFe換算でのスパッタリング速度11nm/分でArでスパッタリングした場合に、Oのピーク強度(Io)とFeのピーク強度(Ii)の比(Io/Ii)が0.05以上となる部分をいう。したがって、本発明の鉄の酸素含有皮膜の厚さは、鉄粉表面から(Io/Ii)が0.05となる深さまでのFe換算での距離である。前記オージェ電子分光法の測定条件は、スパッタリング時間:15分間、スパッタリング速度:11nm/分(Fe換算)である。鉄粉表面から(Io/Ii)が0.05となる深さまでのスパッタリング時間を厚さに換算することにより、鉄酸化皮膜の厚さを算出することができる。
前記鉄粉の表面を覆う鉄酸化物皮膜の厚さは、オージェ電子分光法を用いて、通常、3nm以上であり、好ましくは3〜100μnmであり、更に好ましくは30〜100μnmであり、更に好ましくは30〜50μnm、更に好ましくは30〜1μmであり、更に好ましくは30〜500nmであり、更に好ましくは50〜300nmである。鉄の酸素含有皮膜の厚さが3nm以上とすることにより、鉄の酸素含有皮膜が酸化反応の促進効果を発揮でき、空気等の酸化性ガスと接触して、酸化反応をすぐに開始させることができる。鉄の酸素含有皮膜の厚さが100μnm以上であると、発熱時間が短くなるおそれがあるが、用途によっては使用できる。
【0026】
ウスタイト量とは、×線解析装置を用い、鉄(αFe)の110面のピークの積分強度とFeO(ウスタイト)の220面のピークの積分強度から次式により%表示で表したものである。
ウスタイト量(%)=100×KFeO/(KαFe+KFeO)
KFeO:FeO(ウスタイト)の220面のピークの積分強度
KαFe:鉄(αFe)の110面のピークの積分強度
ウスタイト量は通常は2〜50重量%であり、好ましくは5.01〜50重量%、更に好ましくは5.01〜40重量%であり、更に好ましくは6〜40重量%であり、より更に好ましくは7〜30重量%であり、更に好ましくは7〜25重量%である。50重量%を超えても発熱立ち上がり性はよいが、発熱持続時間が短くなる。2重量%未満であると発熱立ち上がり性が鈍くなる。
【0027】
本発明の固定手段としては、温灸器や発熱部を有するものを所要部に固定できる固定能力を有するものであれば制限はない。
前記固定手段として一般的に採用されている、粘着剤層、鍵ホック、ホックボタン、ベルクロ等の面ファスナー、マグネット、バンド、ひも等及びそれらを組み合わせたものを任意に使用できる。
尚、バンドの場合、面ファスナーと粘着剤層との組み合わせで調整用固定手段を更に構成しても構わない。
ここで、面ファスナーとは、マジックテープ(登録商標)、マジックファスナー(登録商標)、ベルクロファスナー、フックアンドループテープ等の商品名で知られているもので、雌ファスナーであるループと雌ファスナーと締結し得る雄ファスナーであるフックとの組み合わせで締結機能を有するものである。前記ループ機能を有するものとして、不織布や、毛羽立ち、わなを有する糸の織布等があるが、バンドを形成する芯材の表面にこれらループ機能(雌ファスナー機能)を有するものを被覆してもよいが、これ自体でバンドを構成してもよい。雄ファスナー部材であるフック部材は特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリアミド、ポリエステル等から形成されたものが一例として挙げられる。フックの形状は特に限定されるものではないが、断面がI字型、逆L字型、逆J字型、いわゆるきのこ型等の形状のフックがループに引っかかり易く、かつ肌に極度の刺激感を与えない点で好ましい。尚、フックがファスニングテープの全面積に設けられていてもよく、更にテープ基体を省略してフックのみで、ファスニングテープとして使用してもよい。
前記粘着剤層は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、界面活性剤、有機ケイ素化合物、疎水性高分子化合物、焦電物質、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、皮膚や衣服に付着するに必要な粘着力を有するものであれば、制限はなく、溶剤系、水性系、エマルジョン型、ホットメルト型、反応性、感圧系などの各種形態が用いられる。
前記粘着剤層は、非親水性粘着剤から構成される非親水性粘着剤層と親水性粘着剤から構成される親水性粘着剤層とがある。
前記非親水性粘着剤層が吸水性ポリマーや保水剤を含有しで吸水性を改良したものは非親水性粘着剤層として扱う。
前記親水性粘着剤層と基材又は被覆材との間にホットメルト系の粘着剤を設けてもよい。
また、前記親水性粘着剤層を温灸器に設ける場合、制限はなく、温灸器のシール処理後に粘着剤層を温灸器に設けてもよい。
また、粘着剤層としては、通気性を有するものであっても、通気性を有しないものであってもよい。用途に応じて適宜選択をすればよい。通気性としては、全体として通気性があればよい。例えば、部分的に粘着剤が存在し、部分的に粘着剤の存在しない部分があり、領域全体として通気性がある粘着剤層が一例として挙げられる。
通気性の基材及び/又は被覆材に粘着剤をそのまま層状に積層するにあたり、その通気性を維持する方法としては、例えば、粘着剤を印刷、或いは、転写により、粘着剤層を部分的に積層し、その非積層部を通気部とする方法や、粘着剤を糸状に円を描きながら、一方向に移動させたり、ジグザグに移動させたりするなど適宜二次元方向に運行させ、その糸状の粘着剤の隙間に通気性ないし透湿性を推持させたり、粘着剤を発泡させる方法等が一例として挙げられる。
非親水性粘着剤層を構成する粘着剤はアクリル系粘着剤、酢酸ビニル系粘着剤(酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル樹脂系ホットメルト粘着剤)、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤、セルロース系粘着剤、クロロプレン(ネオプレン)系粘着剤、ニトリルゴム系粘着剤、ポリサルファイド系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、スチレン系粘着剤(例えば、スチレン系ホットメルト粘着剤)、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が一例として挙げられる。これらのうち、粘着力が高く、安価で、長期安定性がよく、しかも温熱を与えても粘着力の低下が少ない等の理由より、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤又はホットメルト系高分子物質を含有する粘着剤が望ましい。
前記粘着剤に前記ベースポリマーの他に、所望により、他の成分、例えば、ロジン類、クマロンインデン樹脂、水添石油樹脂、無水マレイン酸変性ロジン、ロジン誘導体類又はC5系石油樹脂等の脂環族系石油樹脂に代表される石油樹脂類等の粘着付与剤や、テルペンフェノール系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂等のフェノール系粘着付与剤(特にアニリン点が50℃以下の粘着付与剤)、ヤシ油、ヒマシ油、オリーブ油、ツバキ油、流動パラフィン等の軟化剤、軟化剤、老化防止剤、充墳剤、骨材、粘着調整剤、粘着改良剤、着色剤、消泡剤、増粘剤、改質剤等を適宜配合し、ナイロン製衣類や混紡布製衣類への粘着性向上等の性能向上を施してもよい。
前記ホットメルト系の粘着剤としては、粘着性を付与した公知のホットメルト系粘着剤が挙げられ、具体的には、スチレン系粘着剤、ポリエステルをベースポリマーとするポリエステル系粘着剤、アクリル樹脂をベースポリマーとするアクリル系粘着剤、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンをベースポリマーとするポリオレフィン系粘着剤、1,2−ポリブタジエンをベースポリマーとする1,2−ポリブタジエン系粘着剤、或いは、接着性の改善や安定性等を変えたこれらの変性体からなる粘着剤、若しくはこれらの粘着剤の2種以上の混合物が挙げられる。また、発泡させた粘着剤から構成される粘着剤層や粘着剤が架橋されたものから構成される粘着剤層も使用できる。
前記非芳香族系ホットメルト系粘着剤としては、ベースポリマーが芳香族環を含有しないホットメルト系粘着剤であれば、制限はない。オレフィン系ホットメルト系粘着剤やアクリル系ホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。芳香族環を含有しないベースポリマーである非芳香族系ポリマーとしては、オレフィンやジエン等のポリマーやコポリマーが挙げられる。一例としてオレフィン系ポリマーが挙げられる。オレフィン系ポリマーとしては、エチレン、αオレフィンの重合体又は共重合体が挙げられる。また、他のモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン等のジエンも加えたものもよい。
αオレフィンとしては、二重結合が末端にあるモノマーであれば制限はなく、プロピレン、ブテン、ヘプテン、ヘキセン、オクテン等が一例として挙げられる。
芳香族系ホットメルト系粘着剤とは、ベースポリマーが芳香族環を含有するホットメルト系粘着剤で、A−B−A型ブロック共重合体に代表されるスチレン系のホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。
前記A−B−A型ブロック共重合体において、Aブロックはスチレン、メチルスチレン等のモノビニル置換芳香族化合物で、非弾性重合体ブロックであり、Bブロックはブタジエン、イソプレン等の共役ジエンの弾性重合体ブロックであり、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、又はこれらの水添タイプ(SEBS、SIPS等)等が挙げられ、また、これらを混合して用いてもよい。
上記非親水性粘着剤層の水分増加による粘着力低下防止対策として上記非親水性粘着剤粘着剤に更に吸水性ポリマーが配合された粘着剤層も使用できる。
前記親水性粘着剤層を構成する親水性粘着剤としては、親水性ポリマーや水溶性ポリマーを主成分として、粘着性を有し、粘着剤として親水性であれば特に制限はない。
前記親水性粘着剤の構成成分としては、ポリアクリル酸等の親水性ポリマーやポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー、乾燥水酸化アルミニウムやメタケイ酸アルミン酸金属塩等の架橋剤類、グリセリンやプロピレングリコール等の軟化剤類、また、軽質流動パラフィンやポリブテン等の高級炭化水素やミリスチン酸イソプロピル等の一級アルコール脂肪酸エステル、シリコーン油等の含ケイ素化合物、モノグリセリド等の脂肪酸グリセリンエステル、オリーブ油等の植物油等の油性成分、また、パラオキシ安息香酸メチルやパラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤、N−メチル−2−ピロリドン等の溶解剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油やソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤、酒石酸等のオキシカルボン酸、軽質無水ケイ酸、吸水性ポリマー、カオリン等の賦形剤、D−ソルビトール等の保湿剤、エデト酸ナトリウムやパラオキシ安息香酸エステルや酒石酸等の安定化剤、架橋型吸水性ポリマー、ホウ酸等のホウ素化合物、水等が一例として挙げられる。また、これらの任意の組み合わせから構成される。
また、粘着剤層を親水性粘着剤層にした場合、前記親水性粘着剤層と発熱組成物成形体との間に水分保持力の差がある場合にはその間にある基材等の包材を介して、水分の移動が起こり、双方に取って、不都合が起こる。特に保存中に多く起こる。これを防止するために、これらの間に防湿性包材を設けることが好ましい。これを使用することにより、温灸器を非通気性収納袋である外袋に収納し保存する場合、水分移動が防止できる。
粘着剤層に親水性粘着剤層を使用した場合、発熱組成物成形体と親水性粘着剤層との間に設けられた防湿性包材の透湿度は、発熱性能に影響しない範囲で、水分の移動が防止できれば制限はないが、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、通常、2g/m2/day以下であり、好ましくは1.0g/m2/day以下であり、より好ましくは0.5g/m2/day以下であり、更に好ましくは0.01〜0.5g/m2/dayである。ここでは、大気圧下、40℃、90%RHという条件下の値である。尚、前記防湿性包材は基材や被覆材としても使用できるし、単独で基材や被覆材等に積層してもよい。
前記防湿性包材の例としては、金属蒸着フィルム、金属酸化物の蒸着フィルム、金属箔ラミネートフィルム、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合物、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物)系フィルム、二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンコートフィルム、ポリ塩化ビニリデンをポリプロピレン等の基材フィルムに塗布してなるポリ塩化ビニリデンコートフィルム、アルミニウム箔等の金属箔、ポリエステルフィルム基材にアルミニウム等の金属を真空蒸着やスパッタリングしてなる非通気性包材、可撓性プラスチック基材の上に、酸化ケイ素、酸化アルミニウムを設けた構造の透明バリア性フィルムを使用した包装用積層体が一例として挙げられる。前記外袋等に使用されている非通気性包材も使用できる。
また、特開平2002−200108号公報の防湿性包材等の包材も使用でき、この記載内容を本発明に組み入れる。
水含有の親水性粘着剤(ジェル等)を粘着剤層に使用する場合、発熱組成物と前記粘着剤層の水分平衡を調整するために、発熱組成物中の塩化ナトリウム等の反応促進剤や吸水性ポリマー等の水分確保力のある物質の含有量を発熱組成物に対して、10〜40重量%の範囲で、好ましくは15〜40重量%の範囲で、更に好ましくは15〜30重量%の範囲で調整してもよい。
また、透湿性がよく、皮膚への刺激性が低い粘着剤としては、特開平10−265373号公報、特開平9−87173号公報等の含水粘着剤(親水性粘着剤、ジェル)や特開平6−145050号公報、特開平6−199660号公報に記載されているホットメルト塗工できる粘着剤や特開平10−279466号公報や特開平10−182408号公報に記載されているゴム系粘着剤も有用であり、本各文献を引用し、全文を本明細書に組み入れる。
前記粘着剤層を構成する機能性物質とは、機能を有する物質であれば制限はないが、芳香化合物、植物エキス、生薬、香料、スリム化剤、鎮痛剤、血行促進剤、むくみ改善剤、抗菌剤、殺菌剤、防かび剤、消臭剤、脱臭剤、経皮吸収性薬剤、脂肪分解成分、マイナスイオン発生体、遠赤外線放射体、磁気体、湿布剤、化粧料、竹酢液又は木酢液等から選ばれた少なくとも一種を一例として挙げられる。
具体的には、メントール、ベンツアルデヒド等の芳香族化合物、ヨモギエキス等の植物エキス、モグサ等の生薬、ラベンダー、ローズマリー等の香料、アミノフィリン、茶エキス等のスリム化剤、インドメタシン、d1−カンフル等の鎮痛剤、酸性ムコポリサッカライド、カミツレ等の血行促進剤、セイヨウトチンキ、フラボン誘導体等のむくみ改善剤、ホウ酸水、生理的食塩水、アルコール水等の湿布剤、タイソウ抽出液、カフェイン、トナリン等の脂肪分解成分、アロエエキス、ビタミン剤、ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、アミノ酸類等の化粧料、石炭酸誘導体、ホウ酸、ヨード剤、逆性石鹸、サリチル酸系の物質、イオウ、抗生物質等の抗菌剤や殺菌剤、或いは、防かび剤が一例として挙げられる。
経皮吸収性薬剤としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではないが、コルチコステロイド類、消炎鎮痛剤、高血圧剤、麻酔剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗菌性物質、抗真菌物質、皮膚刺激剤、炎症抑制剤、抗てんかん剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、殺菌剤、抗微生物抗生物質、ビタミン類、抗ウィルス剤、むくみ改善剤、利尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、スリム化剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、血行促進剤、局所麻酔剤、脂肪分解成分等及びそれらの混合物が一例として挙げられるが、これらに限定されない。これら薬物は、1種又は必要に応じて2種以上配合されて用いられる。
この薬物の含有量としては、薬効を期待できる範囲であれば特に限定されるものではないが、薬理効果や経済性、更に、粘着力等の観点より、経皮吸収性の薬物の含有量が粘着剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜25重量部、更に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、粘着剤層の設けかたには温灸器が固定できれば制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
【0028】
前記基材や被覆材は非通気性素材や通気性素材から構成される。
前記非通気性素材としては、非通気性があれば制限はない。ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等ポリマーからなるフィルム、シート、塗布物及びそれらに酸化ケイ素等の金属(半導体も含む)化合物を積層したものやそれらを使った複合素材が一例として挙げられる。
【0029】
例えば、多孔質フィルム及び穿孔フィルム等の通気性フィルムや紙類、不織布等の単独で通気性を有するもの、紙類及びそれに通気性フィルムや不織布等を少なくとも1種以上積層し通気性を持たせたもの、不織布にポリエチレンフィルムがラミネートされた非通気性の包材に針などを用いて微細な孔を設けて通気性を持たせたもの、繊維が積層され熱圧着されて通気性を制御された不織布、多孔質フィルム、或いは、多孔質フィルムに不織布を貼り合わせたもの電気掃除機集塵袋用フィルター材等が一例として挙げられる。
ここで、穿孔フィルムとは、ポリエチレンフィルムなどの非通気性フィルムに針で微細な孔を設けて通気性を待たせたものである。
【0030】
通気性としては、発熱が維持できれば制限はなく、多孔質フィルム、穿孔フィルム及び多孔質フィルムに穿孔したもの等が一例として挙げられる。通気度を考慮すると穿孔フィルムが好ましい。
通気面及び通気性素材の透気度は、JIS P8117の測定法によるガーレー式気体透過度に準じた気体透過度で、好ましくは9sec/300cc以下であり、更に好ましくは5sec/300cc以下であり、更に好ましくは3sec/300cc以下であり、更に好ましくは2sec/300cc以下である。
また、ガーレー式気体透過度に準じた気体透過度は約0.4sec/300ccが測定限界であるので、前記測定限界を超える気体透過度はJIS L1096の測定法によるフラジール透気度が好ましくは40以下であり、更に好ましくは1〜40cc/cm2/secであり、更に好ましくは1〜20cc/cm2/secであり、更に好ましくは1〜10cc/cm2/secである。
また、ガーレー式気体透過度に準じた気体透過度で9sec/300ccを超えると、通気度が足りず、発熱立ち上がり性が落ち、最高到達温度も低くなる。
【0031】
穿孔による通気性包材の一例としては、例えば、少なくとも1つのピン、好ましくは、例えば、先細り点及び約0.2mm〜約2mm、好ましくは約0.4mm〜約0.9mmの直径を有する、約20ピン〜約60ピンのアレーを用いる通気孔を有するように、少なくとも1つのフィルム層包材に穿孔することが挙げられる。
代わりに、基材及び被覆材が結合された後、温熱灸の1つの側を例えば、先細り点及び約0.2mm〜約2mm、好ましくは約0.4mm〜約0.9mmの直径を有する、約20ピン〜約60ピンのアレーを用いて穿孔するように、少なくとも1つのフィルム層包材を穿孔することができる。
また、これらのピンを、温熱灸の1つの側を圧縮して、約2%〜約100%、好ましくは約20%〜約100%、更に好ましくは約50%〜約100%の深さに発熱組成物成形体中へ入れて、基材又は被覆材である包材を穿孔してもよい。
上部を覆う包材の穿孔を設けることが好ましいが、下部を覆う包材に穿孔を設けることも可能である。
発熱組成物成形体の熱を発する酸化反応の速度、期間及び温度は、空気との接触領域を変えることにより、特に酸化拡散/透過性を変えることにより、望むように調節することができる。
【0032】
本発明において、微多孔を穿孔した通気性包材としては、例えば、次のような構成のものが挙げられる。
(1)ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セロファン、ポリメチルベンテン又はポリビニルアルコール等からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンコート各種フィルム、アルミ箔ラミネートフィルム、或いは、アルミ蒸着各種フィルム等の耐熱性フィルムに、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合樹脂、アイオノマー、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルム等からなるシール性フィルムを積層接着してなる積層フィルムに、微多孔を穿設してなる積層包材。
(2)上記の耐熱性フィルム単体、或いは、上記(1)の積層フィルムと、熱シール性の不織布(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維、複合繊維、合成パルプ等から作られる湿式、或いは、乾式不織布)とを積層接着してなる積層シートに、微多孔を穿設してなる積層包材。
(3)ヒートシーラブルポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱シール性を有する単体フィルムに、微多孔を穿設してなる包材。
(4)上記の耐熱性フィルム単体、或いは、上記(1)の積層フィルムにシール層としてホットメルトを塗布してなる積層フィルムに、微多孔を穿設してなる包材。
(5)上記(1)の積層フィルムと紙(耐油紙、耐水耐油紙.等各種の紙を含む)又は不織布と、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合樹脂、アイオノマー、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルム等からなるシール性フィルムを積層接着してなる積層包材の両側のフィルムに微多孔を穿設してなる包材。
(6)紙(耐油紙、耐水耐油紙等の各種の紙を含む)にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合樹脂、アイオノマー、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルム等からなるシール性フィルムを積層接着してなる積層包装材料に微多孔を穿設してなる包装材料。
尚、上記(6)の通気性包材は、(1)の通気性包材と貼り着けることなく重ね合わせた二重包装材料として使用することが安全衛生上から好ましい。
【0033】
また、電気掃除機集塵袋用フィルター材としては、制限はなく、市販の電気掃除機集塵袋用フィルター材が使用できる。
例えば、麻パルプ、木材パルプ、エスパルトパルプなどの植物繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維などの合成繊維、PVA繊維、ポリエステルバインダー繊維などの合成バインダ繊維、そしてマイクロガラス繊維を適度な比率で混合して湿式抄紙したフィルター材、また、植物繊維、合成繊維、合成バインダ繊維、マイクロガラス繊維からなる1層又は2層で構成されるシートに対してエマルジョン型バインダを含浸加工させて成るフィルター材である。
ここで、植物繊維として木材パルプ、麻パルプ、合成繊維としてポリエステル繊維、ビニロン繊維、合成バインダ繊維としてポリエステルバインダー繊維、PVA繊維、繊維径1μm以下のマイクロガラス繊維を用いて一度繊維シートを形成する。
麻パルプとしては、マニラ麻のサーモ・メカニカルパルプ(以下TMPと省略)、木材パルプとしては、NBKPが強度を付与するには好ましい。ビニロン繊維とPVA繊維は特に強い強度が必要とされる時にのみ配合する。PVA繊維は融点60〜70℃の全融タイプを用いる。PVA繊維が融けてビニロン繊維や他の繊維を接着し、PVA繊維のバインダ効果とビニロン繊維自身の強度により繊維シートを補強する。ポリエステルバインダー繊維は芯がポリエステル、その外側が変性ポリエステルで構成される芯鞘構造であり、外側の変性ポリエステルの融点が110℃と200℃の2種類ある。前者は抄紙工程で融かし、後者は加工工程で融かす。ポリエステルバインダー繊維の鞘の部分が融けることによりポリエステル繊維や他の繊維が接着される。
繊度についてはマイクロガラス繊維は1μm以下、ポリエステル繊維は5〜15μm(0.5〜2デニール)、ポリエステルバインダー繊維は15〜20μm(2〜4デニール)、ビニロン繊維とPVA繊維は10〜15μm(1〜2デニール)である。ポリエステルバインダー繊維の融解後は革部のみが残るので断面積がおよそ半分になり繊度は10〜15μm(1〜2デニール)になる。ポリエステル繊維と融解後のポリエステルバインダー繊維の繊度が5〜15μmの範囲で等間隔に3水準となるように異なる繊度のものを配合する。このように繊度の異なるポリエステル繊維を組み合わせてフィルター材の空洞を複雑化し、ダストを捕捉しやすくする。繊維長については抄造性より3〜7mmの範囲が好ましい。
【0034】
バインダの種類はアクリル系共重合物、エチレン酢酸ビニル系共重合物、エチレン塩化ビニル系共重合物など、エマルジョンタイプで皮膜を大きくつくらず、適度な柔軟性と強度を併せ持つもので、製袋に用いる接着剤との相性が良いという性質のものが好ましく、バインダの種類は特に限定するものではない。バインダのガラス転移点によって、フィルター材の柔軟性が変化する適度なガラス転移点を持つバインダを選ぶ必要がある。
フィルター材は柔軟である方がよいのでガラス転移点が低いバインダを用いる。フィルター材を硬くする場合はガラス転移点が高いバインダを用いる。
通気性を上げるためにはマイクロガラス繊維による細かい孔の空隙を保つために、熱風乾燥機によってポーラスに仕上げることが好ましい。
【0035】
前記フィルター材の紙層は2層積造もしくは1層構造からなる。2層構造である場合には、集塵袋として使用した時に塵を含んだ空気の入り側であるダスト層(以下DSと省略)と、出側であるクリーン層(以下CSと省略)の2層から構成される。DSでは塵の大部分を補捉するので目を開ける必要と通気性を上げる必要があり、比較的繊度の大きい繊維を配合する。CSでは2μm以下の極めて細かい塵を捕捉するので目を詰める必要があり、マイクロガラス繊維などの繊度の小さい繊維を配合して細かい空隙構造をつくる。従来のフィルター材も同様に2層構造であるが、本発明は合成繊維とマイクロガラス繊維の配合量が多い点が従来のフィルター材と異なっている。DSとCSの坪量の比率については、特に限定はしないが、マイクロガラス繊維のシート全体に対する配合量が適正な値となるように比率を決めればよい。即ち、CSの比率を高くすると、マイクロガラス繊維のシート全体に対する配合量が多くなり漏れ防止効率が上がり、一方、DSが小さくなり目が詰まって通気性が落ちるので、漏れ防止効率と通気性のバランスがとれるように比率を決める。DSとCSの両方の機能を1層で持たせて、マイクロガラス繊維の配合量を多くして、漏れ防止効率を高くしたものが、1層構造のものである。又は2層で構成し、各層の繊維配合を1層構造と同じにして抄造してもよい。
【0036】
2層からなるフィルター材は、植物繊維50〜60重量%、合成繊維30〜40重量%、合成バインダ繊維10〜15重量%からなるDS、植物繊維30〜40重量%、合成繊維30〜50重量%、合成バインダ繊維10〜15重量%、マイクロガラス繊維8〜16重量%からなるCSの2層で繊維シートが先ず構成される。2層の坪量の比率はマイクロガラス繊維がフィルター材の坪量に対し4〜7重量%となるように決めればよい。4重量%以下では漏れ防止効率が悪くなり、7重量%以上では通気性が落ちるので好ましくない。2層の坪量の比率はDSが50〜60重量%、CSが40〜50重量%の範囲であれば、マイクロガラス繊維の配合量が4〜7重量%となり漏れ防止効率が適正となり、またDSの大きさも圧損を下げるのに充分な大きさとなる。DSの植物繊維が50重量%未満では強度が不足し好ましくなく、60重量%以上では通気性が低くなるので好ましくない。
DSの合成バインダ繊維10重量%未満では、ポリエステル繊維、或いは、ビニロン繊維を接着するのには不足となるので好ましくない。合成バインダー繊維15重量%以上では、繊維の融けた部分が目を詰めるので圧損が高くなり好ましくない。CSについても同様な考え方で植物繊維、合成繊維、合成バインダ繊維の配合量の範囲を限定した。繊度についてはCSは小さくする必要があるのでポリエステル繊維は5〜10μm(0.4〜0.6デニール)の繊度のものを主に用いて目を詰めるとよい。各層の繊維配合の比率によって強度・漏れ防止効率・通気性のバランスをとっているので上記の範囲を外れると好ましくない。
【0037】
一例として、ダスト層(DS)として木材パルプ36%、ポリエステル繊維(繊度1.5デニール(=11.5μm)、繊維長5mm)20%、芯鞘型ポリエステルバインダー繊維(繊度4デニール(=20μm)、繊維長5mm、鞘部融点110℃)40%、PVA繊維(繊度1デニール(=10μm)、繊維長3mm、70℃で全融)4%で配合し、クリーン層(CS)として麻TMP(サーモ・メカニカルパルプ)12%、木材パルプ50%、ポリエステル繊維(繊度0.5デニール(=7μm)、繊維長5mm)6%、ポリエステル繊維(繊度1.5デニール(=11.5μm)、繊維長5mm)6%、芯鞘型ポリエステルバインダー繊維(繊度2デニール(=14μm)、繊維長5mm、鞘部融点110℃)18%、PVA繊維(繊度1デニール(=10μm)、繊維長3mm、70℃で全融)4%、マイクロガラス繊維(繊度0.6μm、以下M.Gと省略)4%で配合し、円網抄紙機により2層の坪量比1:1で抄造し、ヤンキードライヤーで120℃で乾燥し、坪量50g/m2のフィルター材として巻き取った。
マイクロガラス繊維(M.G)の配合量は、フィルター材に対して2%になった。このフィルター材より通気性包材を作成した。
【0038】
他の例として、ダスト層(DS)として麻TMP(サーモ・メカニカルパルプ)11%、木材パルプ42%、ポリエステル繊維(繊度0.5デニール(=7μm)、繊維長5mm)18%、ポリエステル繊維(繊度1.5デニール(=11.5μm)、繊維長5mm)18%、芯鞘型ポリエステルバインダー繊維(繊度2デニール(=14μm)、繊維長5mm、鞘部融点110℃)11%で配合し、クリーン層(CS)として麻TMP(サーモ・メカニカルパルプ)9%、木材パルプ29%、ポリエステル繊維(繊度0.5デニール(=7μm)、繊維長5mm)42%芯鞘型ポリエステルバインダー繊維(繊度2デニール(=14μm)、繊維長5mm、鞘部融点110℃)11%、M.G9%で配合し、円網抄紙機により2層の坪量比1:1で抄造し、ヤンキードライヤーで120℃で乾燥し、坪量44g/m2の原紙として巻き取った。
この原紙を加工機に送りエチレン酢酸ビニル系エマルジョン型バインダ(TG0℃)を含浸加工し付着量を固形分で対原紙坪量13.6%とし、熱風乾燥機で130〜160℃で乾燥し、マシンカレンダーで自重加圧して、フィルター材として巻き取った。
マイクロガラス繊維(M.G)の配合量はフィルター材に対して4%になった。
【0039】
以上のような構成が例示されるが、本発明に使用される包材は、上記の例に限られるものではなく、本発明の目的が達成されるものであれば他の組み合わせでも使用できる。本発明の構成に用いられるプラスチックフィルムは、その厚さに制限はないが、包装適性、取扱強度、穿孔容易性等の点から、その厚さは、好ましくは5〜100μmであり、更に好ましくは10〜100μmである。不織布、微多孔膜等を積層した場合は、この限りではない。また、補強のため各種補強材を複合することも適宜実施される。
【0040】
積層接着の方法も、特に限定されるものではなく、ドライラミ、押出ラミ、熱ラミ等自由に選択可能である。また、上記構成は、あらかじめフィルムとして使用することに限定されず、例えば、耐熱性フィルムに押出ラミネートでポリエチレンフィルム層を作ることや、共押出法で一度に積層フィルムを製造して使用することも可能である。
【0041】
本発明においては、包装材料に少なくとも残膜部を残した未貫通微多孔を穿設する方法として、化学的前処理を含め、機械的穿孔法、レーザー光穿孔法、電子照射穿孔法、プラズマ穿孔法、高圧放電穿孔法他各種の穿孔方法が適用できるが、高圧放電穿孔法が好ましく、効果的である。
【0042】
高圧放電穿孔法として、スパークギャップ方式、真空管方式、ソリッドステート方式のいずれも適用可能であるが、ソリッドステート方式が好ましい方法である。高圧放電穿孔法による穿孔は、放電電極と誘電体ロールの間に高電圧をかけ放電させつつ対象包材を通過させることにより実施される。そして、穿孔密度及び穿孔深度は、放電電極と誘電体ロールの間の距離、電圧、放電電極の形状、誘電体ロールの特性等により、適宜調節される。この場合、穿孔する材料の厚さ、材質、通過速度によっても調整が必要となる
【0043】
本発明の未貫通微多孔を穿設するには、単に放電電極と誘電体ロールの間に高電圧をかけ放電させつつ対象包材を通過させるのみでは不十分で、種々の工夫が必要となる。一つには、前処理として、放電穿孔前に機械的にヤスリ状ロール等で微細な傷痕をつける前処理工程を実施することも有効である。、或いは、酸処理を施しフィルム表面に極性基を作ったのち放電穿孔することも有効である。更に、誘電体ロールに局所放電部を設けるため、被覆された誘電体層に欠落部を分散させて作ったり、導電物を分散させた誘電体層とすることも穿孔密度及び穿孔深度の調節に有効である。
【0044】
穿孔密度として、制限はないが、好ましくは50〜10,000,000孔/cm2であり、更に好ましくは60孔/cm2以上であり、更に好ましくは70孔/cm2以上であり、更に好ましくは80孔/cm2以上であり、更に好ましくは100孔/cm2以上である。
【0045】
孔径としては、発熱組成物成形体等が漏れなければ制限はないが、好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは300μm以下であり、更に好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。
孔径が大き過ぎると発熱組成物成形体等の一部が漏れるおそれがある。
【0046】
積層された包材に穿孔する際には、穿孔対象のフィルムに完全な貫通孔を穿孔する必要があるが、積層された紙又は不織布に孔が達しても通気性包材の機能を阻害しない程度であれば問題ない。また、両面に穿孔対象のフィルムがある場合には、片側ずつ又は両面同時に穿孔することが可能である。
【0047】
また、易動水値0.01未満の発熱組成物は、その反応特性や発熱特性に影響しない範囲において、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダー、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着性素材、増粘剤、賦形剤、水溶性高分子をそれぞれ0.01〜3重量部の範囲内で含有してもよい。
前記凝集助剤とは、特許第3161605号公報(特表平11−508314号公報)に記載されている凝集助剤で、ゼラチン、天然ガム、コーンシロップ等である。
前記凝集化剤とは、特表平2002−514104号公報に記載されている凝集化剤で、コーンシロップ、マルチトールシロップ等である。
前記集塊補助剤とは、特表平2001−507593号公報に記載されている集塊補助剤で、コーンシロップ等である。
前記乾燥バインダーとは、特表平2002−514104号公報に記載されている乾燥バインダーで、微結晶セルロース、マルトデクストリン等又はこれらの混合物である。
前記乾燥結合剤とは、特表平2001−507593号公報に記載されている乾燥結合剤で、マルトデクストリン、噴霧された乳糖等である。
前記乾燥結合材とは、特表平11−508314号公報に記載されている乾燥結合材で、微晶質セルロース、マルトデクストリン等又はこれらの混合物である。
前記粘着性素材又はバインダーとは、特開平4−293989号公報に記載されている粘着性素材又はバインダーで、水ガラス、ポリビニールアルコール(PVA)、カルボキシメツルセルロース(CMC)等である。
前記増粘剤とは、特開平6−343658号公報に記載されている増粘剤で、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン等である。
前記賦形剤とは、特開平7−194641号公報に記載されている賦形剤で、α化でんぷん、アルギン酸ナトリウム等である。
前記水溶性高分子とは、粘着剤層での水溶性高分子が使用できる。
【0048】
本発明は、鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10の発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を、基材と被覆材との間に収納し、前記基材及び/又は前記被覆材の一部に通気面を有し、前記通気面の透気度が9sec/300cc以下とし、前記基材及び/又は前記被覆材に固定手段を設けた温灸器である。
また、本発明の温灸器は、使用時に、外袋から取り出し、台座を人体に粘着し、鉄粉の酸化反応により生じた熱を台座を通して局部的に人体に作用させる。例えば、腹部、腰部、肩部等の加温に用いることができる。
また、通気面は通気性断熱材で覆われ、発熱組成物成形体等の保温と漏れが防止できるものが好ましい。
また、発熱組成物成形体を型内圧縮し、発熱組成物成形体を製造しても良く、本発明では発熱組成物成形体は発熱組成物成形体に含めて扱う。
また、発熱組成物成形体、発熱部、温灸器のサイズは制限なく、用途に合わせて適宜決めればよい。
【0049】
前記発熱組成物成形体等の形状は如何なるものでもよいが、平面形状で、円、楕円、多角形状、星形状、花形状等が一例として挙げられる。立体形状では、多角錐形状、円錐形状、錐台形状、球形状、平行六面体形状、円筒体形状、半円柱体形状、半楕円柱体形状、蒲鉾形状体、円柱体形状、楕円柱体形状等が一例として挙げられる。また、これらの形状は角部にアールを設け、角部を曲線状や曲面状にしてもよいし、中央部等に凹部があってもよい。
前記形状の最大幅は、約0.15cmから約20cm、好ましくは約0.3cmから約10cm、より好ましくは約0.5cmから約5cm、更に好ましくは約1cmから約3cmとすることができる。また、最高の高さは、約0.08cmから約1cm、好ましくは約0.15cmから約0.8cm、より好ましくは約0.2cmから約0.6cm、更に好ましくは約0.2cmから約0.5cmとすることができる。また、最長の長さは、約1.5cmから約20cm、好ましくは約1cmから約15cm、より好ましくは約1cmから約10cm、最も好ましくは約3cmから約5cmとすることができる。
【0050】
また、前記温灸器の形状は制限はなく、前記発熱組成物等と同じ形状とすることができるが、角部にアールを付けて曲線状や曲面状にトリミングしてもよい。
好ましい温灸器の形状の一例として扁平な円形袋状が挙げられ、好ましくは直径約5cm以下であり、更に好ましくは1〜5cmであり、更に好ましくは2〜4cmである。
【0051】
台座は人体への取り付け部となるもので、例えば、芯材を発泡体とする両面粘着テープを用いると好都合である。
その一面を温灸器に貼り付け、他面にはセパレータを貼り付けておく。
尚、台座の中央部に孔を設けてもよく、台座の大きさ並びに孔の大きさは特に限定されるものではないが、孔の大きさの設定によって人体に直接作用する熱の伝熱面積が決定される。もっとも発熱部内に発生した熱を人体に伝えるのみであれば必ずしも孔は必要ではない。
【0052】
本発明の温灸器は気密の袋内に保管しておき、使用時に取り出し、混合物はシート面を通して、空気の供給を受けて、酸化発熱を開始する。一方、台座からセパレータを外し、その粘着面を人体の患部、経穴に貼り付けると、鉄粉の酸化によって生じた発熱は孔を等して人体に伝えられる。台座の中央部に孔を開けた場合の電熱のメカニズムはつぎの通りである。即ち、混合物に生じた発熱はむろん発熱部の全表面より発散するが、前記孔はその両面が発熱部と人体の皮膚とで塞がれているため、この内部には水蒸気がとじこめられることになる。従って、この孔内には蓄熱室として作用し、水蒸気を通じて人体に効率よく熱が伝えられる。また人体よりの発汗による水分も孔内に貯められる。実際孔に囲まれた部分は開放された発熱部の表面部分よりもはるかに高温に保たれ、人体への熱伝達はこの孔の部分のみを通じて集中的に行われる。
尚、混合物中に薬剤を含有させたときには、粋溶性有効成分がこの孔内に溜められて人体に作用する。台座に孔がないときには発熱部内に生じた熱が台座に蓄積され、この熱が中央部に集中して人体に供給される。また、温灸器の表面一部に示温塗料を取りつけておくことにより、混合物の発熱状況を知ることができる。
また、台座の代わりに粘着剤層が設けられている場合も、前記粘着剤層の中央部に孔を設けた場合も同様なことがいえる。
【0053】
温灸器の最高温度は、制限はないが、好ましくは40℃以上であり、更に好ましくは40〜65℃であり、更に好ましくは40〜60℃であり、更に好ましくは40〜50℃であり、更に好ましくは40〜45℃であり、更に好ましくは41〜43℃である。
また、40℃以上の発熱時間は制限はないが、好ましくは1分〜5時間であり、更に好ましくは5分〜5時間であり、更に好ましくは5分〜4時間であり、更に好ましくは10分〜2時間であり、更に好ましくは10分〜1時間であり、更に好ましくは10〜20分である。
【0054】
本発明の温灸器の一実施形態としては、全体的には無孔とし、1.5cmの丸型で厚さを0.5〜0.7mmとするものがある。
台座の中間層は、ボール紙等の紙や、不織布、合成樹脂シート等で形成する。特に、中間層を構成する紙や発泡体、不織布、織布、編物や粘着剤層に遠赤外線放射性物質、もぐさ等を混入して使用するのが好ましい。粘着剤層は、医療用絆創膏等に使用されるような、人の皮膚に対して刺激の少ない粘着剤で形成する。
遠赤外線放射性物質としては、遠赤外線セラミック微粉末、酸化珪素、酸化鉄等を使用することができる。遠赤外線放射物質を水等の液体中に分散させた液状物質を中間層に含浸させたり、遠赤外線放射物質を合成樹脂中に練りこむこと等により、中間層に遠赤外線放射物質を含有させることができる。
【0055】
好ましい製造方法は成形された発熱組成物成形体を減水し、発熱立ち上がり性のよい発熱組成物成形体を製造することが好ましい。一例として、本発明の温灸器は基材上に発熱組成物成形体を積層させた後、空気中で自己発熱させ、40℃以上、温度を上げた後に被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールし、温灸器を作成する。
作成後直ちに非通気性の収納袋である外袋に温灸器を収納する。
発熱組成物成形体の余剰水は成形後、温度を上げることにより、減少させ、温灸器として適度の水分量にする。温度を上げて水分を減らす方法は制限はなく、自己発熱でなくドライの窒素雰囲気中で又は更に、温度をかけて行ってもよいし、空気雰囲気中で温度かけて行ってもよい。自己発熱するかどうかは必須要件ではない。
また、温度も、必須要件ではなく、水分が減少すれば雰囲気温度には制限はないが、好ましくは20〜300℃であり、更に好ましくは20〜200℃であり、更に好ましくは20〜100℃であり、更に好ましくは20〜80℃であり、更に好ましくは40〜60℃である。処理時間と兼ねあわせて雰囲気温度を決めればよい。
【0056】
本発明の発熱組成物成形体は鉄粉、反応促進剤、水を必須成分とし、易動水値0.01〜10とする余剰水を有し、連結物質である余剰水による成形性を有し、発熱組成物中の水分がバリア層として機能せず、空気と接触して発熱反応を起こす成形性発熱組成物を、ほぼ型穴の高さと同じ高さまで、型穴に充填し成形したものである。
【0057】
また、発熱組成物成形体は前記型穴に充填された発熱組成物を更に、型穴の高さの厚みの50〜99.5%の厚みに圧縮したもので、非柔軟性且つ形状保持性を有し、空気と接触して発熱する。
発熱組成物成形体の厚みを型穴の高さ又は深さを基準にすることにより、圧縮の程度が容易に調整でき、発熱立ち上がり性、発熱持続性、発熱適温保持性等の発熱特性を犠牲にすることなく、形状保持性が保てる。
【0058】
また、前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
【0059】
また、発熱組成物は発熱特性に影響を与えない範囲で、結合剤やアルコール、架橋剤、可塑剤を加えたりしてもよい。
前記結合剤等の割合は、鉄粉100重量部に対し、0.001〜0.25重量部であることが好ましい。
本発明の結合剤としては、凝集助剤、 凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダ、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着バインダ、増粘剤、賦形材等が挙げられる。
【0060】
また、本発明で必要とする易動水0.01〜10の余剰水は予期し得ないことであった。
即ち、粉末表面を余剰水が覆い、バリアとして機能し、発熱反応が著しく落ち、場合によっては発熱組成物から所定量の水分を除去しなければならない可能性も考えられた。
ところが、易動水0.01〜10の余剰水は、余剰水が適量なため、炭素と鉄との結合を助勢し、発熱組成物を過度に希釈することなく堅い圧縮体を生させるとともに、空気と接触してすぐに発熱反応を起こす機能と短時間に高温に達する機能を発熱組成物に与えた。
【0061】
本発明は、易動水値0.01〜10の余剰水を用いることにより、炭素ダストを低減し、種々の製造上の問題を解決し、製造ライン速度と充填重量の正確さとを増大し、発熱性組成物の流動性を改善し、完成発熱部内の発熱性組成物の非均一性を除去し、完成発熱部の性能を改善し、特殊の装置及び環境の必要性を排除し、これらの全てにより所要労カ、健康、安全上の危険性及び全体製造コストを顕著に低下させる。
【0062】
基材及び被覆材としては、発熱特性が維持されば制限はないが、例えば、基材及び被覆材の形成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のフィルム、或いは、これらからなる不織布やこれらを2種以上組み合わせた複合繊維等からなる不織布やそれら不織布と、発熱温度、発熱時間を調整するための調整シートからなる通気性の積層シート等が一例として挙げられる。
また、肌に接する面の不織布は毛羽立てた不織布が好ましい。
また、これらが通気性を有する場合は、所望の発熱特性を与えるために必要な酸素ガスを供給し、発熱組成物(成形体)の飛散を防止し得る包材であり、発熱の持続時間や最高温度の調節が容易等の観点から、通気性としては、発熱が維持できれば制限はない。
例えば、紙、不織布、合成紙、有孔プラスチックフィルム、有効金属泊、或いは、これらの包材に適宜コーティングを施したもの、更にはこれらの積層物などがある。
【0063】
本発明の通気面及び通気性素材の透気度はガーレー式気体透過度(JIS P8117に準じたもの)及びフラジール通気度(JIS L1096)とする。前記通気性素材には通気性断熱材、通気性包材等が含まれる。
【0064】
通気性断熱材としては、限定はないが、通気性があり、保温性があり、発熱組成物成形体等の漏れを防止できるものが好ましく、通気性発泡体、不織布、織布編物、成形フィルム等が一例として挙げられる。
通気性断熱材の材料組成は、コットン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が一例として挙げられる。
【0065】
通気性包材としては、通気性断熱材単独又は通気性断熱材と通気性フィルムとの積層体等が一例として挙げられる。
例えば、穿孔フィルムを使用した例として、多数の小孔を開口した合成樹脂シートとのラミネートシートが一例として挙げられる。
多数の小孔とは、複数の小さい孔で、発熱組成物成形体が灸として発熱できれば制限はないが、約0.25mmφが中心間距離で1mm間隔で、行列に規則的に複数個、設けた孔等が一例として挙げられる。
【0066】
織布としては、木綿、ポリエチレンテレフタレート、レーヨン等の繊維を網組したものが挙げられる。
【0067】
不織布としては、和紙、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の繊維を密着又は圧着させたものを用いることができる。更に、不織布としては、これらの他に、ポリエチレンテレフタレートの繊維又はこれに塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル共重合体を混合した後、加熱溶融し結合させた重合樹脂でもよく、またポリエチレンテレフタレート繊維の表面をポリエチレンで被覆したような積層構造の繊維からなるものも使用できる。
【0068】
これらの他、織布又は不織布と密着性のよい、例えば、ポリエチレンまたは穿孔ポリエチレンでラミネートしたものも十分使用できる。また、包材の片面が上述したようにアルミニウム箔にポリエチレンをラミネートした気体透過性のないものでも、他面に気体透過度が前記条件を満足するようなフィルム、織布又は不織布であれば十分使用可能である。
【0069】
不織布としては、カード不織布、スパンボンド法不織布、空気撚り不織布、熱接着不織布、水撚り不織布、溶融膨潤不織布又は空気貫通接着不織布が一例として挙げられる。
不織布の材料組成は、コットン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等である。
通気断熱材用不織布に特に適した材料は、疎水性ポリプロピレンのカード化された熱接合織物である。
【0070】
通気性発泡体の例としては、ウレタン系、スチレン系、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、アクリル系、塩化ビニル系、シリコーン系などのプラスチックからなるものが一例として挙げられる。2種以上のプラスチックのブレンド物、或いは、異種のプラスチックや発泡状態が異なる層等の重畳物などからなる通気性発泡体であってもよい。また、通気性発泡体は、その外周に通気性を維持した状態のコート層を有して補強されたものであってもよい。
透気度は、ガーレー式気体透過度で、好ましくは9sec/300cc以下である。尚、通気性発泡体の形態は、任意であり、シール目的の隙間などに応じて適宜に決定することができる。一般には、シート形態や棒ないし柱形態などとされる。
【0071】
台座の素材としては、制限はないが、前記発泡体、前記不織布、前記織布、前記編布等が一例として挙げられる。尚、発泡体は独立気泡の発泡体も使用できる。台座の形状も制限はないが、温灸器や発熱部の形状と同じ形状が使用でき、形状は必ずしも温灸器の形状と同一又は相似形にする必要はない。
【0072】
また、台座の中央部又は端部に磁性体や押鍼用固形物を設けてもよい。
台座の構成としては、粘着剤層/発泡体/粘着剤層/セパレータや粘着剤層/不織布/粘着剤層/セパレータ等の構成が一例として挙げられる。
【0073】
前記粘着剤層としては、気密性を有するものであっても通気性を有するものであってもよいが、通気性を有するものが好ましい。通気性としては、部分的に粘着剤が存在し、粘着剤の存在しない部分があり、全体として通気性があればよい。また、親水性であっても、非親水性であっても良い。これらは用途にあわせ、適宜選択できる。
【0074】
通気性の基材及び/又は被覆材に粘着剤をそのまま層状に積層するにあたり、その通気性を椎持する方法としては、例えば、粘着剤を印刷、或いは、転写により、粘着剤層を部分的に積層し、その非積層部を通気部とする方法と、粘着剤を糸状に円を描きながら一方向に移動させたり、ジグザグに移動させたりするなど適宜二次元方向に運行させ、その糸状の粘着剤の陳間が通気性ないし透湿性を維持させたり、粘着剤を発泡させる方法、つまりメルトブロー方式で形成された層とが挙げられる。
【0075】
前記発熱組成物としては、鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10であり、余剰水による成形性を持ち、且つ発熱組成物中の水分がバリア層として機能せず、空気と接触して発熱反応を起こす発熱組成物であれば制限はない。
【0076】
更に、所望により、前記発熱組成物は、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、保水剤、吸水性ポリマー、水素発生抑制剤、pH調整剤、界面活性剤、疎水性高分子化合物、焦電物質、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質、肥料成分、発熱助剤、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
【0077】
また、本発明の発熱組成物等は、その配合割合は特に限定されるものではないが、鉄粉100重量部に対して、炭素成分1.0〜50重量部、保水剤0.01〜10重量部、吸水性ポリマー0.01〜20重量部、pH調整剤0.01〜5重量部、水素発生抑制剤0.01〜12重量部、反応促進剤1.0〜50重量部であり、水は1.0〜60重量部で、発熱組成物として易動水値が0.01〜10になるように配合割合を選択するのが好ましい。
更に、前記発熱組成物に下記のものを鉄粉に対して、下記の配合割合で加えてもよい。
即ち、鉄以外の金属1.0〜50重量部、酸化鉄以外の金属酸化物1.0〜50重量部、界面活性剤0.01〜5重量部、消泡剤0.01〜5重量部、疎水性高分子化合物、骨材、繊維状物焦電物質、遠赤外線放射物質、マイナスイオン発生物質、有機ケイ素化合物はそれぞれ0.01〜10重量部、保湿剤、活性物質、肥料成分、発熱助剤はそれぞれ0.01〜10重量部、酸性物質0.01〜1重量部である。
磁性体を配合する場合はその配合割合は所望により適宜決めればよい。
【0078】
また、発熱組成物の発熱立ち上がり性を向上させる意味から、下記のものが好ましい。
1)発熱組成物の必須成分又はそれに酸性物質やその他必要成分を加えたものを酸化性ガスとの接触処理(自己発熱等)したもの又はそれを水分調整したもの又はその他の成分を加え混合し、発熱組成物としたもの。
2)鉄粉の表面の少なくとも一部に酸化物等の酸素含有被膜を有する活性鉄粉を鉄粉として使用する。
(1)鉄粉の表面についてオージェ電子分光法で求めた3nm以上の厚さの鉄の酸素含有皮膜を有する鉄粉。
(2)ウスタイトの含有量が鉄との×線ピーク強度比で、2〜50重量%の鉄粉。
3)鉄粉の表面の少なくとも一部に酸化物等の酸素含有被膜を有する活性鉄粉を酸素含有被膜を有しない鉄粉に混合したものを鉄粉とて使用する。
【0079】
温灸器中の発熱組成物の易動水値及び混合物や温灸器中の発熱組成物中の鉄粉の鉄酸化被膜の厚さ、ウスタイト量を測定する場合は、発熱組成物や混合物を各項目に従って測定すればよい。即ち、
1)易動水値
温灸器から発熱組成物を取り出し、前記易動水値の測定法に従って測定する。
2)鉄粉の鉄酸化皮膜の厚さ、ウスタイト量
窒素雰囲気下、窒素置換されたイオン交換水に発熱組成物、発熱組成物成形体、発熱組成物圧縮体又は混合物を分散させ、磁石で鉄粉を分離し、窒素雰囲気下で乾燥させたものを測定用試料とする。
【0080】
前記鉄粉とは、通常の鉄粉、鉄合金粉、鉄粉の表面の少なくとも一部に酸素含有皮膜と有する鉄粉又は鉄合金粉からなる活性鉄粉が好ましい。
【0081】
ここで、本発明の易動水値0.01〜10成形性発熱組成物は余剰水を有しているので、圧力をかけると、簡単に、粒子間が接し、水の表面張力により粒子が固定される。また、本発明の発熱組成物成形体は、成形時の厚み即ち型厚みの50〜99.5%の厚みを維持するので、発熱に必要な水分が圧縮時に失われることなく、圧縮後、水又は反応促進剤溶液を添加することなく、十分に発熱持続時間を確保できる。
【0082】
また、圧縮は、好ましくは型厚みの50〜99.5%であり、更に好ましくは50〜99%であり、更に好ましくは50〜95%であり、更に好ましくは60〜95%であり、更に好ましくは70〜90%である。
【0083】
本発明の発熱組成物成形体は、柔軟性はないが、圧縮後、水又は金属塩を含む水溶液を圧縮体に添加することなく、空気と接触して発熱する成形体であり、炭素成分等による環境の汚染もなく、優れた発熱特性及び形状保持性を有し、温灸器への加工に十分に耐え、発熱部が1つの温灸器や複数の部屋がある間隔を置いて設けられた発熱部を有する温灸器まで、多種の温灸器が製造できる。
即ち、曲線や直線等からなる多種形状、小から大まで、極薄から厚ものまで、幅狭から幅広までの各種サイズの発熱組成物成形体ができ、それに従い、同様の多種形状、各種サイズの発熱部及び温灸器が得られる。
【0084】
本発明の温灸器の製造方法は制限はないが、好ましくは、成形方式により所望の形状を有する温灸器の製造する方法が採用される。
成形方式とは、抜き型を使った型通し成形法や鋳込み型を使った鋳込み成形法により、所望の形状に成形性発熱組成物を成形し、収納用ポケットを有しない、実質的に平面状の基材等に、その成形体を積層し、更に別の基材を被せ、シールして温灸器を製造する方法である。
ここで、型通し成形法とは、抜き型を使用し、長尺の基材の上に型の抜き形状の発熱組成物成形体を積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の周辺部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法である。また、鋳込み成形法とは、凹部を有する鋳込み型への充填と基材への移設により、発熱組成物成形体を長尺基材上へ積層する成型法である。連続式の場合は、ドラム状回転体による凹部への充填と基材への移設により、発熱組成物成形体を長尺基材上へ積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の縁部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法などである。
【0085】
また、本発明の発熱組成物成形体の製造方法は、型穴に成形性発熱組成物を充填し、型穴内の成形性発熱組成物に圧力を加え、型穴の高さの50〜99.5%まで、圧縮する方法である。加圧時の圧力は、成形性発熱組成物を所定の厚みに圧縮できれば、特に制限はない。また、圧縮成形に用いる圧縮治具としては、制限はないが、弾力のある平板やロール、型穴に挿入できる押し込み部を有した弾力性又は非弾力性の平板やロールが一例として挙げられる。
【0086】
また、本発明の温灸器が、穿孔により、通気孔を設けたプラスチックフィルム製の包材を用いる場合、予め、包材を穿孔し、穿孔により、通気孔を設けたプラスチックフィルム製の包材を用いてもよいし、基材に積層された発熱組成物成形体を包材で覆い、発熱組成物成形体の周縁部をシールした後に前記包材を穿孔して通気孔を設けてもよい
【0087】
多孔質フィルムや穿孔フィルム等からなる通気面の通気孔を覆うように剥離可能な状態で、更に非通気性のプラスチックフィルムを密着貼合させた温灸器である場合、包材を構成するプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデンなどにより防湿処理されてもよいOPP、CPP、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル等の各種フィルム、更にはアルミ箔又はアルミ蒸着されたブラスチックフィルム、金属や半導体の酸化物、金属窒化物及び/又は酸素窒化物等が蒸着されたプラスチックフィルム等があげられるがこれらに限定されるものではない。通常、10〜100μmの厚みを有する前記フィルムの1種又は2種以上が重屑して用いられ、更に内層にはヒートシール性を付与するためポリエチレンレンやEVAなどからなるヒートヒートシール層を積層して使用するのが一般的である。ポリエチレンにはメタロセン触媒を使用して製造されたポリエチレンも含まれる。特に低密度ポリエチレンやメタロセン触媒を使用して製造されたポリエチレンが好ましい。
【0088】
尚、基材及び被覆材を必ずしも前述の同質のフィルムで構成する必要はなく、別の種類のフィルムで構成してもよい。
【0089】
包材の通気性をプラスチックフィルムに穿孔することによって得られる場合、針穴の大きさを加減することによって、比較的容易に通気性を調節することができ、また、プラスチックフィルムの表面は平滑なので、通気孔を覆うように更にプラスチックフィルムをしっかりと密着貼合することができる。これに対し、包材が起毛の不織布製であると表面が凹凸でこの上に貼合するガスバリヤー性フィルムとの間に間隙を生じ発熱組成吻の経時変化を招くとともに、剥離する時不織布のケバ立ちを生じるので好ましくない。
【0090】
通気孔の開け方には、全面に設ける方法、基材及び又は被覆材の中央部に集中的に穿孔する方法、基材及び又は被覆材の中央べルト状にエンドレスに設ける方法などあげられ、いずれも適用可能である。
【0091】
通気孔を覆うように密着貼合されるプラスチックフィルムの材質は非通気性であれば特に限定されず、前述した包材の材質から適宜選択すればよい。このフィルムは接着剤等の手段により、剥離可能な状態で基材及び/又は被覆材に密着貼合されるが、使用時に剥離しやすいようにつまみ部分を設けた方が好ましい。
【0092】
更に、次の様な製造方法も採用することもできる。
1)充填方法
接着剤や縫製加工やヒートシール方式等の適宜な方式で基材の端部や間仕切り箇所を結合して袋体を形成し、発熱組成物をその袋体に充填し、その後袋体端を接着する方法がある。一例として、充填方式による分室化された温灸器の製造方法としては、例えば、長尺の基材と、目的とする間仕切り部分及び基材の周縁をヒートシールできる回転式の加熱圧着器を用いて、その加熱圧着器を介し対向配置した長尺基材の縁部及び間仕切り部分の必要箇所をヒートシールしつつ、形成された基材間の空隙からなる分室に通気発熱性の温灸器を供給して封入処理し、その封入処理でカイロ端を接着しつつ次の分室の形成を開始する連続形成方法などである。
2)ポケット方式
特表平11−508786号公報に開示されているように、予め基材に熱成形、機械的エンボス、真空エンボス又は他の許容しうる手段によりポケットを造っておき、前記ポケットに発熱組成物及びその成形体等を充填し、更に、別の基材で、そのポケットを覆い、2つの基材の周囲を結合し、温灸器を製造する方法である。
【0093】
前記温灸器の製造方法には、磁石を使用してもよい。磁石を利用すると、発熱組成物の袋体や型内への収容や、その成形体の型からの離脱が容易にでき、発熱組成物成形体の成形や温灸器の製造がより容易になる。
【0094】
こうして得られた温灸器は、内袋と外袋が一体化された収納袋を用いているのでコスト的、ならびに製造上有利で、しかも保存中、従来の二重包装構造に比べて発熱組成物成形体が経峙変化を受けにくいというメリットを有する。また、温度性能、使用感とも申し分なく、内容物の洩れの心配もないので快適な暖を得ることができるものである。
【実施例】
【0095】
次に本発明をより詳細に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらのみ限定されるものではない。
(実施例1)
図1及び図2には平面形状が円形の温灸器1を示す。
図に示す通り、本発明の温灸器1は、発熱組成物を成形した発熱組成物成形体2を、基材5と、被覆材6との間に収容し、その露出面の片面に粘着剤層7を備える。この、粘着剤層7には、セパレータ8が貼着されている。その形状は、直径3cm、外周部のシール部4が3mmの円形状である。
発熱組成物として、還元鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)7.0重量部、木粉(粒度300μm以下)5.0重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)0.8重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重量部、11%食塩水を混合した易動水値4.3の発熱組成物を使用した。この発熱組成物を、型の厚み3mmの平面形状が円形状の抜き穴を有する抜き型を使用して、3mmの厚さを有する発熱組成物成形体2とした。
基材5は、ポリエチレンフィルムにより構成される。粘着剤層7は、厚さ30μmのアクリル系粘着剤により構成されている。
また、被覆材6は、厚さ70μmのポリエチレンフィルムに目付量40g/m2のナイロン製不織布を積層した通気性材料で構成され、直径0.25mmの孔が中心間0.6mmで行列に規則的に複数個穿孔され、通気度は0.5sec/300ccとした。
前記温灸器1を外袋に密封収納し、24時間、室温で放置した。
24時間後に外袋から温灸器を取り出し、人体の患部、経穴に貼り付け、発熱試験を行ったが、3分で、40℃以上になり、最高温度60℃になり、15分後には30℃に温度が下がり、お灸として十分に効果があった。
【0096】
(実施例2)
本実施例では、図3に示すように、発泡体を基材とする両面粘着テープ7を直径2cmの円形に切り取り、中央に約3mmの伝熱用孔を設けて、その一面を温灸器1に貼り付け、他面にはセパレータ8を貼り付けた。
発熱組成物として、酸化性ガス処理装置として換気扇の羽形状の回転翼を備えたミキサーからなるバッチ式攪拌槽を酸化性ガス接触処理装置として使い、酸化性ガスとして空気を用いた。
まず、還元鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)、3.5重量部、11%食塩水5重量部からなる、易動水値0.01未満の反応混合物を接触処理装置容器内に入れた。
次に、20℃の環境下、前記接触処理装置容器の上部を開放して、空気に接触させ攪拌しながら、自己発熱させ、最高発熱温度が25℃になったところで、木粉(粒度300μm以下)5重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)1.2重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重量部、11%食塩水を混合し、易動水値10の発熱組成物を得た。
次に、実施例1で使用した抜き型を使用して、発熱組成物成形体2を成形し、毛羽立てた不織布とポリエチレンフィルムの積層体でポリエチレン側にポリエチレンと5重量%のEVAからなるヒートシール層を設けた基材5上に積層し、次に、電気掃除機集塵袋用フィルター材にウレタン発泡体を積層した被覆材7を被せ、発熱組成物成形体2の周辺部をヒートシールし、カットして直径3cm×シール幅3mmの円形の温灸器1を製造した。尚、被覆材の通気度はフラジール通気度で12cc/cm2/sであった。
前記温灸器を外袋に密封収納し、24時間、室温で放置した。
24時間後に外袋から温灸器を取り出し、人体の患部、経穴に貼り付け、発熱試験を行ったが、3分で、40℃以上になり、最高温度60℃になり、15分後には30℃に温度がさがり、お灸として十分に効果があった。
【0097】
(実施例3)
本実施例では、被覆材7として、ポリエチレンをラミネートした厚さ0.4mmのナイロンシートに、直径が0.1〜0.15mmの小孔を、透気度が1.0sec/300ccになるように穿設した層を設け、更に、その上に、厚さ0.15mmのポリエステルフィルムを剥離自在としたものを使用した。
これに、実施例2の発熱組成物を使用し、厚さ0.05mmのポリエチレンフィルムにアルミニウムが蒸着された基材5上に発熱組成物成形体2を積層し、前記被覆材6を被せ、発熱組成物成形体2の周縁部をヒートシールして、平均内径が2cm、深さが6mmで外寸が3.5cmの温灸器1を成形した。尚、温灸器には、粘着剤層7として、両面粘着テープを設けた。
次に、被覆材6の表面に、薬物として、乾燥モグサを、平均径が2cm、厚さが約0.3mmになるように添着した。
【0098】
尚、上記実施例の他に、図4に示すように、台紙13を貼着した温灸器1とすることもできる。台紙13は、粘着材層7、発泡体からなる芯材13A、粘着材層7及びセパレータ8を積層した構造をしている。また、図5に示すように、温灸器1の台紙13の中央部に円形状の穴12を設けてもよい。
また、更に、図6に示すように、温灸器1の被覆材4の通気面に通気孔14を覆うように剥離可能な非通気性のプラスチックフィルム9を接着層10を介して貼着する構造とすることもできる。
また、温灸器1の外形は、図7に示すように、(a)そらまめ形、(b)アイマスク形、(c)繭形、(d)瓢箪形、(e)角丸長方形、(f)長方形、(g)角丸正方形、(h)正方形、(i)卵形、(j)ブーメラン、(k)まが玉形、(l)星形、(m)翼形、(n)翼形、(o)鼻形、(p)花形等任意に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の温灸器の一実施例の平面図
【図2】同Z−Zの断面図
【図3】本発明の温灸器の他の実施例の断面図
【図4】本発明の温灸器の他の実施例の平面図
【図5】本発明の温灸器の他の実施例の平面図
【図6】本発明の温灸器の他の実施例の断面図
【図7】本発明の温灸器形状の変形例の平面図
【図8】本発明の易動水値の測定用の濾紙の平面図
【図9】本発明の易動水値の測定を説明するための斜視図
【図10】本発明の易動水値の測定を説明するための断面図
【図11】本発明の易動水値の測定を説明するための断面図
【図12】本発明の水又は溶液の浸みだし距離測定用濾紙の平面図
【符号の説明】
【0100】
1 温灸器
2 発熱組成物成形体
3 発熱部
4 シール部
5 基材
6 被覆材
7 粘着剤層
8 セパレータ
9 非通気性フィルム
10 接着層
11 つまみ部
12 空間
13 台紙
13A 芯材
14 通気孔
15 押し込み板
16 平板
17 非吸水性フィルム(ポリエチレンフィルム等)
18 中心点から放射状に45度間隔で8本の線がかかれた濾紙
19 中空円筒状の穴を持つ型板
20 穴
21 試料
22 ステンレス板
23 水又は溶液の浸みだし先端までの距離
24 濾紙上の中空円筒状の穴相当位置
25 水又は溶液の浸みだし距離測定用濾紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10の発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を、基材と被覆材との間に収納し、前記基材及び/又は前記被覆材の一部に通気面を有し、前記通気面の透気度が9sec/300cc以下とし、前記基材及び/又は前記被覆材に固定手段を設けたことを特徴とする温灸器。
【請求項2】
前記発熱組成物は、結合剤を含有し、前記結合剤の割合が、鉄粉100重量部に対し、0.001〜0.25重量部であることを特徴とする請求項1に記載の温灸器。
【請求項3】
前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の温灸器。
【請求項4】
前記固定手段は、粘着剤を表面に付した台座であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の温灸器。
【請求項5】
前記粘着剤層が設けられている面に、磁性体又は押鍼具を設けたことを特徴とする請求項4に記載の温灸器。
【請求項6】
前記通気面の一部は、通気性断熱材により構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の温灸器。
【請求項7】
前記通気性断熱材は、通気性発泡体であることを特徴とする請求項6に記載の温灸器。
【請求項8】
前記発熱組成物成形体は、酸化性ガスにより接触処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の温灸器。
【請求項9】
前記発熱組成物は、少なくとも鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分とした混合物を、酸化性ガスにより接触処理した成分を含有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の温灸器。
【請求項10】
前記鉄粉は、少なくとも表面の一部が鉄酸化皮膜で覆われ、前記鉄酸化被膜の厚さが3nm以上であり、且つ、少なくとも中心部領域及び鉄酸化被膜の下の領域から選ばれた少なくとも1領域において酸素を含まない鉄成分の領域を有する活性鉄粉を20〜100重量%含有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の温灸器。
【請求項11】
前記鉄粉は、少なくとも表面の一部がウスタイト被膜で覆われ、鉄とのX線強度比として、前記ウスタイト量が2〜50重量%である活性鉄粉を20〜100重量%含有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の温灸器。
【請求項12】
前記発熱組成物成形体は、圧縮されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の温灸器。
【請求項13】
前記基材と前記被覆材は、粘着剤により仮着された後、前記基材及び/又は被覆材に設けられたヒートシール層によりヒートシールされたヒートシール部を有し、前記ヒートシール部には、前記粘着剤の粘着剤成分が含まれていることを特徴とする請求項4乃至12の何れかに記載の温灸器。
【請求項14】
前記発熱組成物成形体の少なくとも一部を、仮着部に移動させることにより、ヒートシールされていない仮着部を開着することを特徴とする請求項13に記載の温灸器。
【請求項15】
前記基材と前記被覆材とをヒートシールすることにより、複数の前記発熱組成物成形体は、ヒートシール部を介して複数設けられ、前記通気面の少なくとも一部が通気調整材で覆われていることを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の温灸器。
【請求項16】
前記通気面の少なくとも一部は、穿孔により形成された通気孔を備え、前記通気孔は、剥離することができるように非通気性のプラスチックフィルムが貼着されていることを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の温灸器。
【請求項17】
前記通気孔は、前記基材又は前記被覆材の中央部に集中して設けられていることを特徴とする請求項16に記載の温灸器。
【請求項1】
鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とした、易動水値が0.01〜10の発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を、基材と被覆材との間に収納し、前記基材及び/又は前記被覆材の一部に通気面を有し、前記通気面の透気度が9sec/300cc以下とし、前記基材及び/又は前記被覆材に固定手段を設けたことを特徴とする温灸器。
【請求項2】
前記発熱組成物は、結合剤を含有し、前記結合剤の割合が、鉄粉100重量部に対し、0.001〜0.25重量部であることを特徴とする請求項1に記載の温灸器。
【請求項3】
前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の温灸器。
【請求項4】
前記固定手段は、粘着剤を表面に付した台座であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の温灸器。
【請求項5】
前記粘着剤層が設けられている面に、磁性体又は押鍼具を設けたことを特徴とする請求項4に記載の温灸器。
【請求項6】
前記通気面の一部は、通気性断熱材により構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の温灸器。
【請求項7】
前記通気性断熱材は、通気性発泡体であることを特徴とする請求項6に記載の温灸器。
【請求項8】
前記発熱組成物成形体は、酸化性ガスにより接触処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の温灸器。
【請求項9】
前記発熱組成物は、少なくとも鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分とした混合物を、酸化性ガスにより接触処理した成分を含有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の温灸器。
【請求項10】
前記鉄粉は、少なくとも表面の一部が鉄酸化皮膜で覆われ、前記鉄酸化被膜の厚さが3nm以上であり、且つ、少なくとも中心部領域及び鉄酸化被膜の下の領域から選ばれた少なくとも1領域において酸素を含まない鉄成分の領域を有する活性鉄粉を20〜100重量%含有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の温灸器。
【請求項11】
前記鉄粉は、少なくとも表面の一部がウスタイト被膜で覆われ、鉄とのX線強度比として、前記ウスタイト量が2〜50重量%である活性鉄粉を20〜100重量%含有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の温灸器。
【請求項12】
前記発熱組成物成形体は、圧縮されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の温灸器。
【請求項13】
前記基材と前記被覆材は、粘着剤により仮着された後、前記基材及び/又は被覆材に設けられたヒートシール層によりヒートシールされたヒートシール部を有し、前記ヒートシール部には、前記粘着剤の粘着剤成分が含まれていることを特徴とする請求項4乃至12の何れかに記載の温灸器。
【請求項14】
前記発熱組成物成形体の少なくとも一部を、仮着部に移動させることにより、ヒートシールされていない仮着部を開着することを特徴とする請求項13に記載の温灸器。
【請求項15】
前記基材と前記被覆材とをヒートシールすることにより、複数の前記発熱組成物成形体は、ヒートシール部を介して複数設けられ、前記通気面の少なくとも一部が通気調整材で覆われていることを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の温灸器。
【請求項16】
前記通気面の少なくとも一部は、穿孔により形成された通気孔を備え、前記通気孔は、剥離することができるように非通気性のプラスチックフィルムが貼着されていることを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の温灸器。
【請求項17】
前記通気孔は、前記基材又は前記被覆材の中央部に集中して設けられていることを特徴とする請求項16に記載の温灸器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−275084(P2007−275084A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207844(P2004−207844)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(503289805)マイコール・プロダクツ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(503289805)マイコール・プロダクツ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
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