説明

温熱治療方法

従来の温熱療法は、生体の特定の部分を局所的に治療するものであるため、癌細胞が他の部分に転移した場合には、治療効果が得られないという問題点があった。また、癌細胞またはウイルスは、正常細胞に比べて温度感受性が高いことが知られているが、個人個人の温度感受性には違いがあり、癌細胞またはウイルスと、正常細胞との温度感受性の違いを利用して温熱療法を生体に施すことは困難であった。本発明は生体のほぼ全身を温熱療法により治療することを目指した温熱治療方法であり、癌細胞の転移状況などが不明である場合にも、治療効果を得ることを目的とする。また、個人個人の細胞の温度感受性の違いを分析し、個人個人の正常細胞と腫瘍細胞との温度感受性の違いを利用して温熱療法を生体に施すための温熱治療方法である。本発明に係る温熱治療方法は全身麻酔ステップと加温ステップと温度維持ステップとからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は生体を対象とする温熱治療方法に関する。
【背景技術】
温熱療法は通常の治療法では治すことが難しい局所進行がんや、再発がんの治療法をいろいろ検討する場合の選択肢のひとつとされている。
先行技術文献情報として非特許文献1がある。非特許文献1の著者の氏名は、国立がんセンター情報委員会である。非特許文献1の表題は、温熱療法である。非特許文献1の媒体のタイプはオンラインである。非特許文献1の掲載年月日は、2001年12月27日である。非特許文献1の掲載者は、国立がんセンターがん情報サービス係である。非特許文献1の検索日は、2002年8月28日である。非特許文献1の電子的技術情報の情報源は、インターネットである。非特許文献1の電子的技術情報の情報源のアドレスはURL(Uniform Resource Locater)である。
前記URLはhttp://www.ncc.go.jp/jp/ncc−cis/pub/treatment/010705.htmlである。
【発明の開示】
従来の温熱療法は、生体の特定の部分を局所的に治療するものであるため、たとえば、癌細胞が他の部分に転移した場合には、治療効果が得られないという問題点があった。また、癌細胞またはウイルスは、正常細胞に比べて温度感受性が高いことが知られているが、個人個人の温度感受性には違いがあり、癌細胞またはウイルスと、正常細胞との温度感受性の違いを利用して温熱療法を生体に施すことは困難であった。
本発明は生体のほぼ全身を温熱療法により治療することを目指した温熱治療方法であり、癌細胞の転移状況などが不明である場合にも、治療効果を得ることを目的とする。また、個人個人の細胞の温度感受性の違いを分析し、個人個人の正常細胞と腫瘍細胞との温度感受性の違いを利用して温熱療法を生体に施すための温熱治療方法である。本発明に係る温熱治療方法は全身麻酔ステップと加温ステップと温度維持ステップとからなる。
【図面の簡単な説明】
図1は実施形態1の概念図である。
図2は実施形態1のフローの一例の図である。
図3は実施形態2の概念図である。
図4は実施形態3のフローの一例の図である。
図5は実施形態4のフローの一例の図である。
図6は実施形態5の概念図である。
図7は実施形態5のフローの一例の図である。
【発明を実施するための最良の形態】
実施形態1の記載は、主に請求の範囲1の記載について説明している。
実施形態2の記載は、主に請求の範囲2の記載について説明している。
実施形態3の記載は、主に請求の範囲3の記載について説明している。
実施形態4の記載は、主に請求の範囲4の記載について説明している。
実施形態5の記載は、主に請求の範囲5の記載について説明している。
実施形態6の記載は、主に請求の範囲6から請求の範囲9までの記載について説明している。
実施形態7の記載は、主に請求の範囲10から請求の範囲14までの記載について説明している。
実施形態8の記載は、主に請求の範囲15から請求の範囲16までの記載について説明している。
<<実施形態1>>
<概略>
図1は実施形態1の概念を示す図の一例である。生体の平常時体温0101が36.5度である場合に、生体が腫瘍を身体内に有する場合、生体の腫瘍を構成する細胞の活性喪失温度0102は42.5度である。そして、腫瘍を構成しない他の生体の正常細胞の活性喪失温度0103は45度である。この場合に、温熱治療方法は、生体を36.5度から42.5度まで加温する。その際に、生体に麻酔が施されていると生体は加温による苦痛から逃れることができる。そして、生体の深部体温が42.5度に加温された後に、さらに、2時間から4時間の間、生体の深部体温が42.5度に加温された状態を維持する。すると、生体の腫瘍を構成する細胞は活性が喪失した状態になり、死滅してしまう。しかし、腫瘍を構成しない他の生体の正常細胞は活性喪失温度にまで達していないため、通常の活性を有する。そのため生体は身体的な損傷をうけることがなく、生体の身体内の腫瘍を構成する細胞のみを除去できることになる。
<構成>
実施形態1の温熱治療方法は、全身麻酔ステップと加温ステップと温度維持ステップとを有する。
「全身麻酔ステップ」は、身体に腫瘍を有する生体に全身麻酔を施す。「腫瘍」には良性腫瘍と悪性腫瘍がある。異常な細胞である悪性腫瘍を特にがんという。がんは、造血器由来の上皮細胞からなる癌と、非上皮性細胞(間質細胞:支持組織を構成する細胞)からなる肉腫(にくしゅ)と、に大きく分類される。まれにひとつの腫瘍の中で両者が混在する癌肉腫として発生する。発生頻度に関しては、肉腫に比べ癌腫のほうが圧倒的に多く発生する。悪性腫瘍(がん)の特徴として自律性増殖と、浸潤と転移と、悪液質との3点がある。「自律性増殖」とは、がん細胞が生体の正常な新陳代謝の都合を考えず、自律的に勝手に増殖を続け、止まることがないことをいう。「浸潤と転移」とは、がん細胞が周囲にしみ出るように拡がる(浸潤)とともに、身体のあちこちに飛び火(転移)をし、次から次へと新しいがん組織をつくってしまうことをいう。「悪液質(あくえきしつ)」とは、がん組織が他の正常な組織が摂取しようとする栄養をどんどんとってしまい、生体の身体が衰弱することをいう。「良性の腫瘍」は、上記の「自律性増殖」をするが、「浸潤と転移」、「悪液質」をおこすことがない特徴を有する。良性の腫瘍の増殖の速さも悪性腫瘍に比べるとゆっくりしている。「全身麻酔」とは、麻酔ガスを生体の呼気に混合させ生体に麻酔ガスを吸引させることで、生体の意識を失わせることをいう。
「加温ステップ」は、前記生体の深部体温を前記腫瘍を構成する細胞の活性が喪失する温度である活性喪失温度にまで加温する。「生体」とは、哺乳類の生物の身体をいう。例えば、動物の身体であってもよいし、人間の身体であってもよい。「深部体温」とは、生体の身体の内部の温度をいう。例えば、生体の直腸温度であってもよい。「活性」とは、生体の腫瘍を構成する細胞の活動する度合いをいう。「喪失」とは、腫瘍を構成する細胞の活性が喪失することをいう。たとえば、細胞が死滅することでもよい。「活性喪失温度」とは、腫瘍を構成する細胞の活性が喪失する温度をいう。「加温」とは、生体の身体の体温を上昇させることをいう。
「温度維持ステップ」は、前記生体の深部体温を前記温度範囲に2時間から4時間維持する。「温度範囲」とは、生体の深部体温の範囲をいう。たとえば、活性喪失温度でもよい。「2時間から4時間」とは、生体の深部体温を活性喪失温度に2時間から4時間の維持することを限定するものである。このように限定することで生体の細胞の活性を喪失させることができる。「維持」とは、生体の深部体温を前記温度範囲に2時間から4時間維持することをいう。
<処理の流れ>
図2は実施形態1のフロー図の一例である。実施形態1の温熱治療方法は以下のステップを有してもよい。身体に腫瘍を有する生体に全身麻酔を施す(ステップS0201)。前記生体の深部体温を前記腫瘍を構成する細胞の活性が喪失する温度である活性喪失温度にまで加温する(ステップS0202)。前記生体の深部体温を前記活性喪失温度に2時間から4時間維持する(ステップS0203)。
<効果>
生体に全身麻酔を施し、生体の深部体温が42.5度に加温された後に、さらに、2時間から4時間の間、生体の深部体温が42.5度に加温された状態を維持されると、生体の腫瘍を構成する細胞は活性が喪失した状態になり、死滅してしまう。しかし、腫瘍を構成しない他の生体の細胞は活性喪失温度にまで達していないため、通常の活性を有する。そのため生体は身体的な損傷をうけることがなく、生体の身体内の腫瘍のみを除去できる。
<<実施形態1以上>>
<<実施形態2>>
<概略>
実施形態3の温熱治療方法は、実施形態1に記載の全身麻酔ステップと加温ステップと温度維持ステップとを含む治療ステップを5回行う際に、各治療ステップの間隔を48時間乃至72時間設けることを特徴とする。これにより、確実に生体の腫瘍を構成する細胞の活性を喪失させることができる。
図3に実施形態2の概念図の一例を示す。生体に全身麻酔を施し、生体の深部体温が42.5度に加温された後に、さらに、2時間から4時間の間、生体の深部体温が42.5度に加温された状態を維持されるという治療ステップを生体に施すことで、生体の腫瘍を構成する細胞は活性が喪失した状態になり、死滅してしまう。このような治療ステップを第1回目から第5回目まで生体に施す際に、各治療ステップに関して48時間ないし72時間の間隔を設けて5回以上繰り返す。これにより、生体の全身に転移した腫瘍を構成する細胞を確実に除去することができる。
<構成>
実施形態2の温熱治療方法は、実施形態1記載の全身麻酔ステップと加温ステップと温度維持ステップとを含む治療ステップを生体に施す際に、各治療ステップを48時間ないし72時間の間隔を設けて5回以上繰り返すことを特徴とする。「治療ステップ」とは、全身麻酔ステップと加温ステップと温度維持ステップとを含む治療ステップである。「48時間ないし72時間の間隔」とは、治療ステップと治療ステップとの間の間隔が48時間ないし72時間であることを限定するものである。これにより、生体の治療への負荷が低減される。「5回以上」とは、前記治療ステップを生体に5回以上施すことを限定する。これにより、生体の腫瘍を構成する細胞の活性が確実に喪失する。「繰り返す」とは、前記治療ステップを48時間ないし72時間の間隔を設けて5回以上繰り返すことをいう。
<処理の流れ>
本実施形態の処理の流れの一例は、本実施形態の温熱治療方法を除いて、図2のフロー図の一例と同様の内容であるので説明を省略する。
<効果>
治療ステップを48時間ないし72時間の間隔をもう置けて5回以上繰り返すことで生体の全身に転移した腫瘍を構成する細胞を確実に除去することができる。
<<実施形態2以上>>
<<実施形態3>>
<概略>
実施形態3の温熱治療方法は、生体から腫瘍細胞を取得して得られた温度活性情報に基づいた活性喪失温度を利用して生体の腫瘍細胞を除去することを特徴とする。一例として、実施形態3の温熱治療方法を説明する。まず、生体内の腫瘍細胞の位置をMRIなどの医用画像装置を用いて特定する。そして、生体の身体から開腹しない日帰り手術などにより生体の腫瘍を取得する。そして、取得された生体の腫瘍細胞を培養することでその腫瘍細胞の温度活性情報を取得する。たとえば、42度から43度までの間の0.1度単位刻みの温度を有する培養室などでその腫瘍細胞を培養することで、その腫瘍細胞が活性が失われる温度特定するための情報を取得してもよい。そして、その生体の腫瘍細胞の活性喪失温度を取得する。例えば、42.5度とする。そして、その活性喪失温度である42.5度を利用して麻酔を施した生体に温熱治療方法を施す。これにより、その腫瘍細胞を有する生体から腫瘍細胞を除去できる。
つまり、生体を加温する前に、事前に生体の腫瘍細胞を取得する。そして、その腫瘍細胞を培養することで、その腫瘍細胞の温度活性情報から実施形態1に記載の活性喪失温度を取得する。そうすることで、生体の個人個人の腫瘍細胞の活性喪失温度を取得できる。そして、その活性喪失温度を利用して生体の腫瘍細胞を除去する。個人の腫瘍細胞の温度活性情報に合わせて温熱治療方法を施すことにより生体の腫瘍細胞をを的確に除去することができる。
<構成>
実施形態3の温熱治療方法は、腫瘍細胞取得ステップと腫瘍細胞培養ステップと温度活性情報取得ステップと活性喪失温度取得ステップと腫瘍細胞除去ステップとを有する。
「腫瘍細胞取得ステップ」は、身体に腫瘍を有する生体の腫瘍細胞を取得する。「腫瘍細胞」とは、実施形態1に記載の腫瘍を構成する細胞である。
「腫瘍細胞培養ステップ」は、前記腫瘍細胞取得ステップで取得した腫瘍細胞を培養する。[培養」とは、腫瘍細胞を生体から取り出した状態、たとえば、培養室などにおいて、腫瘍細胞を増殖させることをいう。
「温度活性情報取得ステップ」は、前記腫瘍細胞培養ステップで培養された腫瘍細胞の温度活性情報を取得する。「温度活性情報」とは、生体の腫瘍を構成する細胞の活動する度合いが生体の深部温度により変化する態様を示す情報である。
「活性喪失温度取得ステップ」は、前記温度活性情報取得ステップで取得した温度活性情報に基づいて実施形態1記載の活性喪失温度を取得する。「基づいて」とは、温度活性情報に基づいて活性喪失温度を取得することをいう。
「腫瘍細胞除去ステップ」は、前記活性喪失温度を利用して前記生体の腫瘍細胞を除去する。「利用」とは、生体の腫瘍を構成する細胞を活性喪失温度にすることで腫瘍の細胞の活性が失われることを利用することをいう。「除去」とは、前記生体の腫瘍細胞を除去することをいう。
<処理の流れ>
図4は実施形態3のフロー図の一例を示す。実施形態3の温熱治療方法は以下のステップを有してもよい。身体に腫瘍を有する生体の腫瘍細胞を取得する(ステップS0401)。取得した腫瘍細胞を培養する(ステップS0402)。腫瘍細胞の温度活性情報を取得する(ステップS0403)。温度活性情報に基づいて活性喪失温度を取得する(ステップS0404)。活性喪失温度を利用して生体の腫瘍細胞を除去する(ステップS0405)。
<効果>
生体の個人個人の腫瘍細胞の活性喪失温度を事前に取得し、その活性喪失温度を利用して生体の腫瘍細胞を除去する。個人の腫瘍細胞の温度活性情報に合わせて温熱治療方法を施すことにより生体の腫瘍細胞を的確に除去することができる。
<<実施形態3以上>>
<<実施形態4>>
<概略>
実施形態3に記載の腫瘍細胞取得ステップと腫瘍細胞培養ステップと温度活性情報取得ステップと活性喪失温度取得ステップと腫瘍細胞除去ステップとを有する温熱治療方法により、事前に生体の個人個人の腫瘍細胞の活性喪失温度を取得する。そして、前記活性喪失温度を利用して、実施形態1の全身麻酔ステップと加温ステップと温度維持ステップを有する温熱治療方法を生体に施す。つまり、麻酔を施した生体を加温する際に、生体の個人個人の活性喪失温度にまで生体を加温し、生体を前記活性喪失温度に2時間から4時間維持することで、的確に生体の腫瘍細胞を除去することができる。
<構成>
実施形態4の温熱治療方法は、実施形態3に記載の腫瘍細胞除去ステップが、実施形態1に記載の全身麻酔ステップと加温ステップと温度維持ステップとを含むことを特徴とする。たとえば、実施形態4の温熱治療方法は実施形態1記載の全身麻酔ステップと加温ステップとを有し、そして前記ステップに続いて、実施形態3に記載の温度維持ステップと腫瘍細胞培養ステップと温度活性情報取得ステップとを有してもよい。
<処理の流れ>
図5は実施形態4のフロー図の一例である。実施形態4の温熱治療方法は以下のステップを有してもよい。
身体に腫瘍を有する生体の腫瘍細胞を取得する(ステップS0501)。取得した腫瘍細胞を培養する(ステップS0502)。腫瘍細胞の温度活性情報を取得する(ステップS0503)。温度活性情報に基づいて活性喪失温度を取得する(ステップS0504)。身体に腫瘍を有する生体に全身麻酔を施す(ステップS0505)。生体の深部体温を前記腫瘍を活性喪失温度にまで加温する(ステップS0506)。生体の深部体温を前記温度範囲に2時間から4時間維持する(ステップS0507)。生体の腫瘍細胞を除去する(ステップS0508)。
<効果>
麻酔を施した生体を加温する際に、生体の個人個人の活性喪失温度にまで生体を加温し生体を活性喪失温度に2時間から4時間維持することで、的確に生体の腫瘍細胞を除去することができる。
<<実施形態4以上>>
<<実施形態5>>
<概略>
図6は実施形態5の概念図である。生体の腫瘍を構成する細胞を日帰り手術などの外科手術などにより取得する。また、腫瘍を構成しない他の生体の正常細胞も同時に取得する。そして、双方の温度活性の差分の情報である温度活性差情報を取得する。そして、生体の腫瘍細胞の活性喪失温度が摂氏42.5度で、腫瘍を構成しない他の生体の正常細胞の活性喪失温度が摂氏45度である場合、温度活性差情報は2.5度となる。前記2.5度を2で割った1.25度を前記生体の腫瘍細胞の活性喪失温度である摂氏42.5度に加えると43.75度となる。この生体の腫瘍細胞の活性喪失温度である摂氏42.5度に1.25度をプラスした温度である43.75度が生体を加温すべき温度となる。生体に温熱治療を施す際に、前記生体を加温すべき温度にまで生体を加温し、生体を前記生体を加温すべき温度に2時間から4時間維持することで、生体の骨髄などの生体身体内の深部にある腫瘍を構成する細胞を確実に除去できる。
<構成>
実施形態5の温熱治療方法は、腫瘍細胞取得ステップと正常細胞取得ステップと温度活性差情報取得ステップとを有する。
「腫瘍細胞取得ステップ」は、身体に腫瘍を有する生体の腫瘍細胞を取得する。
「正常細胞取得ステップ」は、前記生体の正常細胞を取得する。「正常細胞」とは、生体の細胞で腫瘍を有さないものをいう。「取得」とは、細胞を生体から切除し、細胞を保管することをいう。
「温度活性差情報取得ステップ」は、前記腫瘍細胞取得ステップで取得された腫瘍細胞と、前記正常細胞取得ステップで取得された正常細胞と、の温度活性差情報を取得する。「温度活性差情報」とは、生体の正常細胞と、腫瘍を構成する細胞とを比較した結果取得された、腫瘍細胞と正常細胞との活動する度合いの差分を示す情報である。
さらに、実施形態5の温熱治療方法は、前記温度活性差情報取得ステップで取得した温度活性差情報に基づいて、前記正常細胞の活性が失われる温度と、前記腫瘍細胞の活性が失われる温度の差である活性差温度が摂氏T度である場合において、実施形態4に記載の活性喪失温度を利用して前記腫瘍細胞を除去する際の生体を加温すべき温度は、活性喪失温度プラス摂氏T/2度であることを特徴とする。「基づいて」とは、温度活性差情報に基づいて活性喪失温度を利用して前記腫瘍細胞を除去することをいう。「活性が失われる」とは、生体の細胞の活動が喪失されることをいう。「活性差温度」とは、正常細胞の活性が失われる温度と、腫瘍細胞の活性が失われる温度の差である。「摂氏T度」とは、正常細胞の活性が失われる温度と、腫瘍細胞の活性が失われる温度の差を示す情報である。「利用」とは、実施形態3で説明済みであるので説明を省略する。「活性喪失温度プラス摂氏T/2度」とは、生体の腫瘍を構成する細胞の活性喪失温度に、正常細胞の活性が失われる温度と、腫瘍細胞の活性が失われる温度の差分を2で割った数を加えた温度である。
<処理の流れ>
図7は実施形態5のフロー図の一例である。実施形態5の温熱治療方法は以下のステップを有してもよい。身体に腫瘍を有する生体の腫瘍細胞を取得する(ステップS0701)。生体の正常細胞を取得する(ステップS0702)。取得された腫瘍細胞と正常細胞との温度活性差情報を取得する(ステップS0703)。生体に全身麻酔を施す(ステップS0704)。生体の深部体温を前記腫瘍を活性喪失温度にまで加温する(ステップS0705)。生体の深部体温を前記温度範囲に2時間から4時間維持する(ステップS0706)。生体の腫瘍細胞を除去する(ステップS007)。
<効果>
生体に温熱治療を施す際に、生体の腫瘍を構成する細胞活性喪失温度プラス前記温度活性差情報である生体を加温すべき温度にまで生体を加温し、生体を前記上限の温度に2時間から4時間維持することで、生体の骨髄などの生体の身体内の深部にある腫瘍を構成する細胞を確実に除去できる。
<<実施形態5以上>>
<<実施形態6>>
<概略>
治療のために生体を前記目標温度に必要な所定時間維持し、並びに、前記生体の白血球を活性化させることで、前記生体内の癌細胞やウィルスを強力に死滅させることができる。このような強力な治療の効果を得るために、生体の深部体温の上昇率を加温する。
<構成>
生体の深部体温を、前記生体の副交感神経優位を維持する程度の上昇率で昇温することが可能である。「副交感神経」とは、生体の身体の機能が支配を受けている2種類の自律神経系である交感神経系と副交感神経系の内の一方の自立神経系である。生体の血液の白血球中の顆粒球とリンパ球は前記自律神経の支配を受けて顆粒球とリンパ球の比率が調節されている。「副交感神経優位」とは、前記副交感神経系の生体の身体の調節により、前記顆粒球とリンパ球の比率に関して、リンパ球の比率が顆粒球の比率よりも多い状態にあることをいう。生体の身体が副交感優位にあると血流がよくなるという効果もある。「維持」とは、前記生体の身体の自立神経系のうちの副交感神経の調節により血液の白血球のリンパ球の比率が顆粒球の比率よりも多い状態が持続することをいう。「上昇率」とは、生体の深部体温を上げる際の単位時間当たりの温度の上げ幅を言う。例えば、前記単位時間が10分で1度の幅、前記生体の深部体温を上昇させる場合の上昇率は1/10(度/分)となる。「昇温」とは、生体の深部体温を上昇させることをいう。
また、前記生体の深部体温を生体の平常時体温から平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間に上昇させる時間が、5分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間から平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間まで上昇させる時間が10分以上である。「平常時体温」とは、前記生体の平常時の体温である。「上昇させる時間」とは、前記生体の深部体温が所定の温度に達するまでに要する時間をいう。「5分以上」とは、前記生体の深部体温が平常時の温度から平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度の温度に達するまでに要する時間が5分以上であることを限定したものである。「10分以上」とは、前記生体の深部体温が平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間から平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間の温度に達するまでに要する時間が10分以上であることを限定したものである。
また、生体の深部体温を昇温させる際の前記生体の深部体温の上昇率は、前記生体の深部体温を前記生体の平常時体温から平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間に上昇させる時間が5分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間から平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間まで上昇させる時間が10分以上であり、前記生体の平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間から平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間まで上昇させる時間が15分以上である。「15分以上」とは、前記生体の深部体温が平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間から平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間の温度に達するまでに要する時間が15分以上であることを限定したものである。前記生体の深部体温が15分以内に平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間から平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間の温度に達した際は生体が交感神経優位の状態となってしまうため、生体が交感神経優位となるのを避けるために前記のように「15分以上」と限定する。
また、生体の深部体温を昇温する際の前記生体の深部体温の上昇率は、前記生体の深部体温を前記生体の平常時体温から平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間に上昇させる時間が、5分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間から平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間まで上昇させる時間が10分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間から平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間まで上昇させる時間が15分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間から平常時体温プラス摂氏5度からプラス摂氏5.5度までの間まで上昇させる時間が20分以上である。「20分以上」とは、前記生体の深部体温が平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間から平常時体温プラス摂氏5度からプラス摂氏5.5度までの間の温度に達するまでに要する時間が20分以上であることを限定したものである。前記生体の深部体温が20分以内に平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間から平常時体温プラス摂氏5度からプラス摂氏5.5度までの間の温度に達した際は生体が交感神経優位の状態となってしまうため、生体が交感神経優位となるのを避けるために前記のように「20分以上」と限定する。
<処理の流れ>
生体の深部体温を、前記生体の副交感神経優位を維持する程度の上昇率で昇温する。その際の上昇率は、前記生体の深部体温を前記生体の平常時体温から平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間に上昇させる時間が、5分以上であってもよい。また、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間から平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間まで上昇させる時間が10分以上であってもよい。また、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間から平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間まで上昇させる時間が15分以上であってもよい。また、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間から平常時体温プラス摂氏5度からプラス摂氏5.5度までの間まで上昇させる時間が20分以上であってもよい。
<効果>
生体の深部体温の上昇率を本実施の形態に示された上昇率で加温することにより、前記生体の白血球を活性化させ、前記生体内の癌細胞やウィルスを強力に死滅させることができる。
<<実施形態6以上>>
<<実施形態7>>
<概略>
生体を前記目標温度に必要な所定時間維持し、並びに、前記生体の白血球を活性化させることで、前記生体内の癌細胞やウィルスを強力に死滅させることができる。このような強力な治療の効果を得るために、前記生体の体内深部温度を目標温度に導いた後、治療の効果が生じさせるための所定の時間、前記体内深部温度が目標温度に維持されるようする。これにより、生体のリンパ球優位の状態が保たれる。
<構成>
生体の体内深部温度を、平常時体温プラス摂氏3度から平常時体温プラス摂氏5.5度の温度である目標温度に所定時間維持する。「体内深部温度」とは、生体の身体の内部の温度をいう。例えば、生体の直腸温度であってもよい。「目標温度」とは、平常時体温プラス摂氏3度から平常時体温プラス摂氏5.5度の間の温度をいう。例えば、癌細胞などを死滅させる温度である。「所定時間」とは、生体の疾患の治療に要する時間である。例えば、生体の癌細胞などを全て死滅させるために要する時間であってもよい。「維持」とは、前記生体の体内深部温度を目標温度にまで上昇させた状態を持続することである。
また、生体の体内深部温度を、平常時体温プラス摂氏3度から平常時体温プラス摂氏5.5度の間の温度である目標温度に15分以上7時間以内維持する。「15分以上7時間以内」とは、前記生体の体内深部温度を、平常時体温プラス摂氏3度から平常時体温プラス摂氏5.5度の間の温度である目標温度に維持する時間が15分以上で7時間以内であることを限定したものである。それは、15分以内に前記生体の体内深部温度が目標温度に達すると生体が交感神経優位の状態になるためである。また、7時間以上、前記生体が目標温度に維持されると生命の危険があるためである。
また、生体の体内深部温度を、生体の平常時体温から前記目標温度に5分から60分の時間内に昇温するために、前記生体の深部体温を平常時体温プラスマイナス1度から前記目標温度に3分から55分の時間内に昇温する。「5分から60分の時間内」とは、前記生体の体内深部温度を、生体の平常時体温から前記目標温度に達するまでに要する時間が5分から60分の時間内であることを限定したものである。「平常時体温プラスマイナス1度」とは、昇温される前の体内深部温度が平常時体温プラスマイナス1度であることを限定したものである。「3分から55分」とは、目標温度に達するまでに要する時間が3分から55分の時間内であることを限定したものである。
また、生体の体内深部温度を、生体の平常時体温から前記目標温度に10分から40分の時間内に昇温するために、前記生体の深部体温を平常時体温プラスマイナス1度から前記目標温度に7分から36分の時間内に昇温する。「10分から40分の時間内」とは、生体の体内深部温度が目標温度に達するまでに要する時間が10分から40分の時間内であることを限定したものである。「10分から40分の時間内」は前記の「5分から60分の時間内」より最適な目標時間である。前記生体の体内深部温度が、生体の平常時体温から前記目標温度に10分以内に達すると生体が交感神経優位となるため「10分から」と限定する。また、「40分の時間内」と限定するのは、40分以上になると生体に負荷がかかるためである。「7分から36分の時間内」とは、体内深部温度が目標温度に達するまでに要する時間が7分から36分の時間内であることを限定したものである。
また、生体の深部体温を、摂氏0.1度の単位で加温する。「摂氏0.1度の単位」とは、摂氏0.1度の単位で加温することをいう。
<処理の流れ>
生体の体内深部温度を、平常時体温プラス摂氏3度から平常時体温プラス摂氏5.5度の間の温度である目標温度に所定時間維持する。その際に、生体の体内深部温度を、平常時体温プラス摂氏3度から平常時体温プラス摂氏5.5度の間の温度である目標温度に15分以上7時間以内維持してもよい。また、前記生体の体内深部温度を、生体の平常時体温から前記目標温度に5分から60分の時間内に昇温するために、前記生体の深部体温を平常時体温プラスマイナス1度から前記目標温度に3分から55分の時間内に昇温してもよい。また、前記生体の体内深部温度を、生体の平常時体温から前記目標温度に10分から40分の時間内に昇温するために、前記生体の深部体温を平常時体温プラスマイナス1度から前記目標温度に7分から36分の時間内に昇温してもよい。
<効果>
生体が目標温度に所定時間維持されるように生体の深部体温を加温することにより白血球を活性化させ、また、生体がリンパ球優位の状態に保たれることにより、前記生体内の癌細胞やウィルスを強力に死滅させることができる。
<<実施形態7以上>>
<<実施形態8>>
<概略>
治療のために生体を前記目標温度に必要な所定時間維持することで、前記生体の白血球を活性化させること、並びに、生体がリンパ球優位の状態に保たれることで、前記生体内の癌細胞やウィルスを強力に死滅させることができる。
<構成>
実施形態8の温熱治療方法は、生体に麻酔を施すステップと、生体を加温するステップと、を有し、前記生体に施した状態で、前記生体を前記生体の平常時体温から前記目標温度に5分から60分以内に昇温し、さらに前記目標温度に15分から7時間維持することで、前記生体の白血球の顆粒球とリンパ球との割合をリンパ球優位に調節する。「白血球の顆粒球とリンパ球との割合」とは、生体の血液中の白血球が有する顆粒球とリンパ球について、白血球内における顆粒球の割合と白血球内におけるリンパ球の割合をいう。「リンパ球優位」とは、前記白血球の顆粒球とリンパ球との割合において、リンパ球の割合が顆粒球の割合より多い状態をいう。「調節」とは、生体の身体の血液の白血球において前記リンパ球優位の状態に生体の身体を誘導することをいう。
また、免疫不全の状態にある生体に麻酔を施すためのステップと、生体を加温するステップと、を有し、麻酔を前記生体に施した状態で、前記生体を前記生体の平常時体温から前記目標温度に8分から47分以内に昇温し、さらに前記目標温度に15分から3時間維持することで、前記生体の白血球の顆粒球とリンパ球との割合を前記生体種の健全な免疫の状態における割合に近づける。「免疫不全の状態」とは、生体の免疫反応がなくなっている状態をいう。たとえば、エイズの患者の生体の状態をいう。「8分から47分の時間内」とは、生体が目標温度に達するまでに要する時間が8分から47分の時間内であることを限定したものである。「15分から3時間」とは、前記生体の体内深部温度を、摂氏40度から42度の間の温度である目標温度に維持する時間が15分から3時間であることを限定したものである。「健全な免疫の状態」とは、生体に免疫反応が存在する状態をいう。
また、生体を加温することにより生体が有するヒートショックプロテインが増加する。ヒートショックプロテインとは生体の細胞が生産するたんぱく質の一種である。前記たんぱく質が増加すると、生体の筋肉繊維の損傷が抑制される効果がある。これにより、生体内に筋肉繊維の損傷がある際にも、生体を加温して生体に温熱療法を施してもよいことがわかる。
さらに、ヒートショックプロテインが、熱、がん抑制タンパク質として有名なP53などを介してアポトーシスを誘導する。また、ヒートショックプロテインが、生体の細胞の表面や細胞の外に放出され、がんやウイルス感染の細胞のペプチドを噛み込んだ形で、その抗原性を増す。そして、ヒートショックプロテインが、免疫の細胞に効率的に抗原提示する。これにより、生体の免疫の活動が活性化される。「アポトーシス」とは細胞の計画的な死をいう。「計画的」とは、以下のステップ1からステップ6の6つのステップを有することをいう。「6つのステップ」とは、遺伝子が収められている核が凝縮するステップ1と、凝縮した核の中に密度の濃い部分ができるステップ2と、前記核に収められている遺伝子が分解酵素でバラバラにされるステップ3と、生体の細胞の表面の膜の構造が破壊されるステップ4と、生体の細胞の本体部分に当たる細胞質が細切れになるステップ5と、前記核の中でその生体の細胞が自身の蛋白質分解酵素を用いて自分自身を分解するステップ6とである。そして、ヒートショックプロテインの機能は以下の5つの機能を有する。「5つの機能」とは、タンパク質の品質を管理する機能と、新しく生まれたタンパク質のうち品質が不良である約3割のタンパク質を分解する機能と、生体のタンパク質のうち変性したタンパク質の立体の構造を再構成する機能と、生体の細胞内でのタンパク質を前記分解した結果、MHCclassIの発現と抗原提示を促進する機能と、ウイルスや腫瘍の抗原のペプチドとヒートショックプロテインが複合体を形成することで、生体の細胞の表面で抗原提示をする機能とである。ヒートショックプロテインが有する生体の細胞の表面での抗原提示をする機能により、がんのワクチン療法の際のアジュバント効果が生じる。「アジュバント」とは、生体の免疫が活性化することをいう。
また、生体はホメオスタシスの機能を有する。「ホメオスタシス」とは、生体が生体の体温及び血圧及び心拍数などを常に一定の範囲内の数値に収まるようにする機能をいう。一例として、生体の血圧が上昇した際には、前記ホメオスタシスの機能により、前記生体の血圧が上昇する以前の通常の血圧の状態に戻る。そして、生体が加温されることにより生体の前記ホメオスタシスの機能が活性化されてもよい。
<処理の流れ>
生体に麻酔を施すためのステップと、生体を加温するステップと、を有してもよいし、また、麻酔を前記生体に施した状態で、前記生体を前記生体の平常時体温から前記目標温度に5分から60分以内に昇温してもよいし、また、さらに前記目標温度に15分から7時間維持してもよい。そして、免疫不全の状態にある生体に麻酔を施すためのステップと、生体を加温するステップと、を有してもよい、また、生体に麻酔を施した状態で、前記生体を前記生体の平常時体温から前記目標温度に8分から47分以内に昇温してもよいし、また、さらに前記目標温度に15分から3時間維持してもよい。
<効果>
生体が目標温度に所定時間維持されるように前記生体収納部に満たされた生体の深部体温を加温することにより、前記生体の白血球を活性化させ、並びに、生体が生体収納部に浸漬された後に液体に浸漬されない状態になっても前記白血球が有する顆粒球とリンパ球との割合をリンパ球優位に調節させることで、前記生体内の癌細胞やウィルスを強力に死滅させることができる。
<<実施形態8以上>>
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、生体のほぼ全身を温熱療法により治療することができる。また、癌細胞の転移状況などが不明である場合にも、治療効果を得ることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図5】

【図4】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に腫瘍を有する生体に全身麻酔を施す全身麻酔ステップと、前記生体の深部体温を前記腫瘍を構成する細胞の活性が喪失する温度である活性喪失温度にまで加温する加温ステップと、前記生体の深部体温を前記温度範囲に2時間から4時間維持する温度維持ステップと、を有する温熱治療方法。
【請求項2】
前記全身麻酔ステップと、前記加温ステップと、前記温度維持ステップと、を含む治療ステップを48時間ないし72時間の間隔を設けて5回以上繰り返すことを特徴とする温熱治療方法。
【請求項3】
身体に腫瘍を有する生体の腫瘍細胞を取得する腫瘍細胞取得ステップと、前記腫瘍細胞取得ステップで取得した腫瘍細胞を培養する腫瘍細胞培養ステップと、前記腫瘍細胞培養ステップで培養された腫瘍細胞の温度活性情報を取得する温度活性情報取得ステップと、前記温度活性情報取得ステップで取得した温度活性情報に基づいて前記活性喪失温度を取得する活性喪失温度取得ステップと、前記活性喪失温度を利用して前記生体の腫瘍細胞を除去する腫瘍細胞除去ステップと、を有する温熱治療方法。
【請求項4】
前記腫瘍細胞除去ステップは、請求の範囲1の3つのステップを含むことを特徴とする温熱治療方法。
【請求項5】
身体に腫瘍を有する生体の腫瘍細胞を取得する腫瘍細胞取得ステップと、前記生体の正常細胞を取得する正常細胞取得ステップと、前記腫瘍細胞取得ステップで取得された腫瘍細胞と、前記正常細胞取得ステップで取得された正常細胞と、の温度活性差情報を取得する温度活性差情報取得ステップと、を有し、前記温度活性差情報取得ステップで取得した温度活性差情報に基づいて、正常細胞の活性が失われる温度と、腫瘍細胞の活性が失われる温度の差である活性差温度が摂氏T度である場合において、前記活性喪失温度を利用して前記腫瘍細胞を除去する際の生体を加温すべき温度は、活性喪失温度プラス摂氏T/2度であることを特徴とする、温熱治療方法。
【請求項6】
前記生体の深部体温を、前記生体の副交感神経優位を維持する程度の上昇率で昇温することを特徴とする請求の範囲1に記載の温熱治療方法。
【請求項7】
前記上昇率は、前記生体の深部体温を生体の平常時体温から平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間に上昇させる時間が、5分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間から平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間まで上昇させる時間が10分以上である請求の範囲6に記載の温熱治療方法。
【請求項8】
前記上昇率は、前記生体の深部体温を前記生体の平常時体温から平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間に上昇させる時間が5分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間から平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間まで上昇させる時間が10分以上であり、前記生体の平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間から平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間まで上昇させる時間が15分以上である、請求の範囲7に記載の温熱治療方法。
【請求項9】
前記上昇率は、前記生体の深部体温を前記生体の平常時体温から平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間に上昇させる時間が、5分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏1度からプラス摂氏1.5度までの間から平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間まで上昇させる時間が10分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏2度からプラス摂氏2.5度までの間から平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間まで上昇させる時間が15分以上であり、前記生体の深部体温を平常時体温プラス摂氏4度からプラス摂氏4.5度までの間から平常時体温プラス摂氏5度からプラス摂氏5.5度までの間まで上昇させる時間が20分以上である請求の範囲8に記載の温熱治療方法。
【請求項10】
前記生体の体内深部温度を、平常時体温プラス摂氏3度から平常時体温プラス摂氏5.5度の温度である目標温度に所定時間維持する請求の範囲6に記載の温熱治療方法。
【請求項11】
前記生体の体内深部温度を、平常時体温プラス摂氏3度から平常時体温プラス摂氏5.5度の温度である目標温度に15分以上7時間以内維持するための加温をする請求の範囲6に記載の生体温熱治療装置。
【請求項12】
前記生体の体内深部温度を、生体の平常時体温から前記目標温度に5分から60分の時間内に昇温するために、前記生体の深部体温を平常時体温プラスマイナス1度から前記目標温度に3分から55分の時間内に昇温する請求の範囲7又8又9に記載の温熱治療方法。
【請求項13】
前記生体の体内深部温度を、生体の平常時体温から前記目標温度に10分から40分の時間内に昇温するために、前記生体の深部体温を平常時体温プラスマイナス1度から前記目標温度に7分から36分の時間内に昇温する請求の範囲7又8又9に記載の温熱治療方法。
【請求項14】
前記生体の深部体温を、摂氏0.1度の単位で加温する請求の範囲6から13のいずれか一に記載の温熱治療方法。
【請求項15】
前記生体に麻酔を施すステップと前記生体を前記生体の平常時体温から前記目標温度に5分から60分以内に昇温するステップと、前記生体をさらに前記目標温度に15分から7時間維持するステップと、前記生体の白血球の顆粒球とリンパ球との割合をリンパ球優位に調節するステップと、を有する請求の範囲6に記載の温熱治療方法。
【請求項16】
免疫不全の状態にある生体に麻酔を施すステップと、前記生体を前記生体の平常時体温から前記目標温度に8分から47分以内に昇温するステップと、前記生体をさらに前記目標温度に15分から3時間維持するステップと、前記生体の白血球の顆粒球とリンパ球との割合を前記生体種の健全な免疫の状態における割合に近づけるステップと、を有する請求の範囲6に記載の温熱治療方法。

【国際公開番号】WO2004/024041
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【発行日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535834(P2004−535834)
【国際出願番号】PCT/JP2002/009296
【国際出願日】平成14年9月11日(2002.9.11)
【出願人】(500188543)株式会社日本厚生科学研究所 (3)
【Fターム(参考)】