説明

温蔵庫およびその使用方法

【課題】収納庫内の温度を迅速に安定化させ、容器入り飲料を迅速かつ確実に所望温度まで加温すること。
【解決手段】温蔵庫10は天板11aと、一対の側板11bと、底板11cとを含む収納庫11と、収納庫11内の中央に位置する第1の格子状棚12とを備えている。第1の格子状棚12下面に循環ファン13が取付けられている。収納庫11の天板11a、一対の側板11b,11b、底板11c、および背板14にヒータ16が取付けられ、このヒータ16に背板14に取付けられた適温制御用の第1のサーモスタット15と、上限設定用の第2のサーモスタット35とが接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビン飲料、缶飲料、PET飲料などの容器入り飲料を短時間で適温とすることを可能とする温蔵庫およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビン飲料、缶飲料、PET飲料などの容器入り飲料は、ウォーマー、加温ショーケース等の温蔵庫により飲み頃温度まで加温されて提供されている。この種の温蔵庫は、通常ホットプレートで加温されるが、このようなホットプレートは一般に容器底面からの受熱により加温されるため熱伝達効率が悪く、加温に長時間を要するので、販売量が大きくなると飲料の加温が間に合わなくなるという問題があった。
【0003】
温度設定が可能な加温機器においては、設定温度を高めることにより適温に達するまでの時間を短縮することができるものの、安定時温度が適温の範囲を超えるため、やけど、中味劣化、容器変形などの恐れがある。
【0004】
バックヤードで予熱する方法もあるが、大型のホットストッカーを置く場所のない販売店の解決策にはならない。
【0005】
オーブン方式の温蔵庫では短時間で均一な加温特性を実現しているものも存在するが、加温時間の短縮と安定時の適温維持を任意に制御することは困難である。
【0006】
湯煎による加温は熱伝達効率がよく短時間で適温とすることができるが、PET容器においては容器本体とラベルの間の水が垂れるため不評である。
【0007】
また、特許文献1および特許文献2には、2つのサーモスタットを有する温度制御装置であって、環境温度に応じてこれら2つのサーモスタットを切り換えて使用する装置が開示されている。さらに、特許文献3、特許文献4、および特許文献5には、2つのサーモスタットがそれぞれ異なる対象(例えば冷凍機と霜取り用ヒーター)を制御する技術が示されている。
【特許文献1】特開平3−236557号公報
【特許文献2】特公昭60−33225号公報
【特許文献3】特開昭59−205562号公報
【特許文献4】特開平11−270949号公報
【特許文献5】特開昭61−99075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記したいずれの飲料加温機器においても、加温時間の短縮と適温の維持を両立させることはむずかしい。
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、短時間で庫内を適温までもっていくことができ、かつその後庫内温度を安定化させることができる温蔵庫およびその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、収納庫と、収納庫内に設置されたヒータと、ヒータと電源とを接続する第1配線ラインと、ヒータと電源とを接続するとともに、第1配線ラインに並列に設けられた第2配線ラインと、収納庫内に配置されるとともに、適温制御を行なうため第1配線ラインに介在され、ヒータのオン、オフを行なう第1のサーモスタットと、を備え、電源に第3配線ラインを介して、上限設定用の第2のサーモスタットと切替用リレーとを直列に接続し、この第3配線ラインと電源との間に、第3配線ラインから分岐した第4配線ラインを設け、第2配線ラインおよび第3配線ラインに、各々第1リレー接点および第2リレー接点を設けるとともに、第4配線ラインに押圧スイッチを設け、押圧スイッチをオンとして切替用リレーがオン位置をとり、この切替用リレーにより第1リレー接点および第2リレー接点をオンとしてヒータを連続して作動させ、第2のサーモスタットがオフになった場合に切替用リレーがオフ位置をとり、切替用リレーにより第1リレー接点をオフとしてヒータを第1のサーモスタットによりオン、オフ作動させることを特徴とする温蔵庫である。
【0011】
本発明は、ヒータは収納庫に固着され、オーブン式の温蔵庫を構成することを特徴とする温蔵庫である。
【0012】
本発明は、ヒータは収納庫内に設置されたホットプレートに内蔵され、ホットプレート式の温蔵庫を構成することを特徴とする温蔵庫である。
【0013】
本発明は、収納庫と、収納庫内に設置されたヒータと、ヒータと電源とを接続する第1配線ラインと、ヒータと電源とを接続するとともに、第1配線ラインに並列に設けられた第2配線ラインと、収納庫内に配置されるとともに、適温制御を行なうため第1配線ラインに介在され、ヒータのオン、オフを行なう第1のサーモスタットと、を備え、電源に第3配線ラインを介して、上限設定用の第2のサーモスタットと切替用リレーとを直列に接続し、この第3配線ラインと電源との間に、第3配線ラインから分岐した第4配線ラインを設け、第2配線ラインおよび第3配線ラインに、各々第1リレー接点および第2リレー接点を設けるとともに、第4配線ラインに押圧スイッチを設けた温蔵庫の使用方法において、押圧スイッチをオンとして切替用リレーがオン位置をとり、この切替用リレーにより第1リレー接点および第2リレー接点をオンとしてヒータを連続して作動させる工程と、第2のサーモスタットがオフになった場合に切替用リレーがオフ位置をとり、切替用リレーにより第1リレー接点をオフとしてヒータを第1のサーモスタットによりオン、オフ作動させる工程と、を備えたことを特徴とする温蔵庫の使用方法である。
【0014】
本発明は、ヒータは収納庫に固着され、オーブン式の温蔵庫を構成することを特徴とする温蔵庫の使用方法である。
【0015】
本発明は、ヒータは収納庫内に設置されたホットプレートに内蔵され、ホットプレート式の温蔵庫を構成することを特徴とする温蔵庫の使用方法である。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、ホットプレート式、オーブン式を問わず短時間で庫内を適温の上限を超えることなく飲料を加温することができ、かつ適温を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図4は、本発明による温蔵庫の第1の実施の形態を示す図である。
【0018】
図1乃至図4において、温蔵庫10は容器と、容器内に収納された飲料とからなる容器入り飲料23を収納するものであり(図2(b)参照)、容器入り飲料23としてはビンと、ビン内に収納された飲料とからなるビン飲料、缶と、缶内に収納された飲料とからなる缶飲料、PET容器と、PET容器内に収納された飲料とからなるPET飲料等が考えられる。
【0019】
このような温蔵庫10は、天板11aと、一対の側板11b,11bと、底板11cと、背板14とを含む収納庫11と、収納庫11内の上下方向中央に設けられた第1の格子状棚12と、収納庫11内の底板11c上に設けられた第2の格子状棚22と、第1の格子状棚12の下面に取付けられた3つの循環ファン13と、収納庫11に取付けられた複数のヒータ16とを備えた、オーブン式の温蔵庫となっている。
【0020】
このうち収納庫11は上述のように、その内部に設けられた天板11aと、一対の側板11b,11bと、底板11cと、背板14とを含んでおり、収納庫11の正前側は開口し、この開口は扉20により密閉される。
【0021】
また3つの循環ファン13は、図1(c)の平面図に示すように一方の側板11bから他方の側板11bに向かって、直列に配置されており、第1の格子状棚12の下方に設けられている。さらに第2の格子状棚22は、底板11cに支持具21を介して取付けられている。
【0022】
また収納庫11に設けられた複数のヒータ16は、収納庫11の天板11a外面、一対の側板11b,11bの外面、底板11cの外面、および背板14の外面に各々配置されている。
【0023】
さらに収納庫11の背板14は、扉20に対して奥側に配置され、この背板14の裏側下部には、各ヒータ16に接続され、このヒータ16のオンオフを行なう適温制御用の第1のサーモスタット15と、上限設定用の第2のサーモスタット35とが設けられている。
【0024】
一方、扉20の上部には、温蔵庫10の主電源用の電源スイッチ46と、後述する押圧スイッチ44と、ヒータ16のオンオフ状態を示すヒーターランプ47とが並設されている。
【0025】
次に温蔵庫10の電気回路について、図3により説明する。
図3に示すように、ヒータ16は電源30に、第1配線ライン31を介して接続されるとともに第1配線ライン31と並列に設けられた第2配線ライン32を介しても接続されている。さらに第1配線ライン31に、適温制御を行なうための第1のサーモスタット15が直列に設置されている。また、第2配線ライン32に第1リレー接点42が設けられている。
【0026】
さらに電源30に第3配線ライン33を介して、温度の上限を設定する上限設定用の第2のサーモスタット35と、切替用リレー45と、第2リレー接点43が順次直列に設置されている。またこの第3配線ライン33と電源30との間に、第3配線ライン33から分岐した第4配線ライン34が設けられ、この第4配線ライン34には、第3配線ライン33に設置された第2リレー接点43と並列に押圧スイッチ44が設けられている。この押圧スイッチ44は、上述したように収納庫11の正面上部に設けられている(図2(a)(b)参照)。
【0027】
本実施の形態において、収納庫11内に設置されたヒータ16の温度を制御するためのサーモスタットとして、急速加温用サーモスタット(TH2)35と、適温維持用サーモスタット(TH1)15のそれぞれに適した規格のものを用い、2個のサーモスタット15、35を押圧スイッチ44と切替用リレー45とからなる回路により切替えることを特徴としている。
【0028】
急速加温を目的とした第2のサーモスタット(TH2)35は、押圧スイッチ44をオンとすることにより切替用リレー(RL)45が励磁され第2リレー接点43がオンとなり、サーモスタット35を介して自己保持回路が形成される。同時に第1リレー接点42がオンとなりヒータ16に通電される。
【0029】
第2のサーモスタット(TH2)35は加温する飲料が適温となるまで連続して通電することを目的とし、個々の加温特性に合わせてサーモスタットの規格を選択する。飲料が適温に達し、第2のサーモスタット(TH2)35がオフになると自己保持が解除され第1リレー接点42がオフになり、ヒータ制御が適温制御を目的とした第1のサーモスタット(TH1)15に移行する。
【0030】
尚、急速加温用の第2のサーモスタット(TH2)35は適温を検出して自己保持回路をオフする目的にのみ使用されており、一定温度に保持するための制御は行っていない。したがって、第2のサーモスタット(TH2)35としては、温度を検出して自己保持回路をオフできるものであればなんでもよく、例えばバイメタル式サーモスタット、ブルドン管式サーモスタット、あるいはセンサーと電子回路を組み合わせたものでもよい。
【0031】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず例えばPET容器と、PET容器内に収納された飲料とからなる複数のPET飲料23が準備される。次に扉20が開かれ、収納庫11の開口からPET飲料23が収納庫11内に収納され、第1の格子状棚12および第2の格子状棚22上に載置される。
【0032】
次に飲料の中味温度が適温になるよう第1のサーモスタット15で温度制御しながらヒータ16によって収納庫11内を加温する。同時に第1の格子状棚12の下面に取付けられた3台の循環ファン13によって、収納庫11内の空気を循環する。
【0033】
すなわち、まず図3に示すように、急速加温を目的とした第2のサーモスタット(TH2)35は、押圧スイッチ44をオンとすることにより切替用リレー(RL)45が励磁され第2リレー接点43がオンとなり、サーモスタット35を介して自己保持回路が形成される。同時に第1リレー接点42がオンとなりヒータ16に通電される。
【0034】
第2のサーモスタット(TH2)35は加温する飲料が適温となるまで連続して通電することを目的とし、個々の加温特性に合わせてサーモスタットの規格を選択する。
【0035】
飲料が適温に達し、第2のサーモスタット(TH2)35がオフになると自己保持が解除され第1リレー接点42がオフになり、ヒータ制御が適温制御を目的とした第1のサーモスタット(TH1)15に移行する。
【0036】
この場合の収納庫11内の庫内温度およびPET飲料23の飲料の温度(中味温度)の温度変化を図4に示す。
図4に示すように、上限設定用の第2のサーモスタット35を用いて庫内温度を上限(58℃)まで120分というきわめて短時間で上昇させ、次に適温制御用の第1のサーモスタット15を用いて安定温度(55℃)で温度制御した場合(本発明)、中味温度を急速に適温までもっていくことができ、その後中味温度を確実に安定温度に維持することができる。
【0037】
他方、第2のサーモスタット35を用いることなく、単一のサーモスタットを用いて温度制御した場合(比較例)、庫内を急速に適温までもっていくことはできるが、庫内温度および中味温度はその後も緩やかなカーブをもって上昇しつづけてしまう。
【0038】
また、本実施の形態によれば、上述のようにヒータ16を収納庫11の天板11a、底板11c、一対の側板11b、および背板14に各々設けるとともに、収納庫11内の上下方向中央に設けられた第1の格子状棚12の下面に3台の循環ファン13を取付けて収納庫11内の空気を循環させ、さらに第1のサーモスタット15を収納庫11の奥側に設けられた背板14の裏面に取付けたので、より確実に収納庫11内のPET飲料23の中味温度を安定温度(55℃)に維持することができる。
【0039】
第2の実施の形態
次に本発明の第2の実施の形態について図5(a)−(e)および図6により説明する。
図5(a)−(e)に示す温蔵庫10は、ヒータ16を収納庫11の天板11a、一対の側板11b,11b、底板11c、および背板14に設ける代わりに、ヒータ16を内蔵した第1のホットプレート52、第2のホットプレート53、および第3のホットプレート54を設けた点が異なるのみであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。図5(a)−(e)および図6に示す第2の実施の形態において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分は同一符号を符しておく。
【0040】
図5(a)−(e)に示すようにこのような温蔵庫10は、天板11aと、一対の側板11b,11bと、底板11cと、背板14とを含む収納庫11と、収納庫11内の上部に設けられた第1のホットプレート52と、収納庫11内の底板11c上に設けられた第2のホットプレート53と、第1のホットプレート52と第2のホットプレート53との間に設けられた第3のホットプレート54と、を備えたホットプレート式の温蔵庫となっている。
【0041】
このうち収納庫11は上述のように、その内部に設けられた天板11aと、一対の側板11b,11bと、底板11cと、背板14とを含んでおり、収納庫11の正前側は開口し、この開口は扉20により密閉される。天板11a、一対の側板11b,11b、および背板14は、それぞれガラス板等からなる透明部分を含んでおり、外方から収納庫11内部のPET飲料23等を視認し易いようになっている。また背板14は、扉20に対して奥側に配置されている。
【0042】
さらに第1のホットプレート52、第2のホットプレート53、および第3のホットプレート54は、それぞれ背面側から正面側に向けて下方に傾斜して配置されている。すなわち各ホットプレート52、53、54は、各々扉20側より背板14側の方が高くなっている。これにより、収納庫11内部のPET飲料23等が取り出しやすいようになっている。
【0043】
また収納庫11内に設けられた第1のホットプレート52(図5(e))、第2のホットプレート53(図5(d))、および第3のホットプレート54(図5(e))は、各々略平面U字形状を有するヒータ16を内蔵されている。
【0044】
ホットプレート52、53、54のうち第2のホットプレート53の裏側中央部には、第2のホットプレート53のヒータ16に接続され、このヒータ16のオンオフを行なう適温制御用の第1のサーモスタット15と、上限設定用の第2のサーモスタット35とが設けられている。第2のホットプレート53に設けられた第1のサーモスタット15および第2のサーモスタット35は、後述する電気回路(図3)によって制御される。
【0045】
一方、第1のホットプレート52および第3のホットプレート54の裏側中央部には、各ヒータ16に接続され、各ヒータ16のオンオフを行なう温度制御用のサーモスタット15が設けられている。第1のホットプレート52および第3のホットプレート54のヒーター16は、各々単一のサーモスタット15により個別に制御される。
【0046】
このように第2のホットプレート53のヒータ16と、第1のホットプレート52および第3のホットプレート54のヒータ16とでは、その制御方法が異なっている。すなわち第1のホットプレート52および第3のホットプレート54のヒータ16は、第2のホットプレート53のヒータ16と異なり、それぞれ1個のサーモスタット15により制御される。この場合、第1のホットプレート52および第3のホットプレート54のヒーター16の容量(面積)を大きくしすぎると、ヒーター16の温度上昇が早まる。これによりサーモスタット15が制御運転(すなわちヒーター16のオンオフ動作)を開始するのが早まり、良好な温度制御を行なうことが困難となる。したがって、第2のホットプレート53のヒータ16の面積(容量)は、第1のホットプレート52および第3のホットプレート54のヒータ16の面積(容量)より小さくなっている(図5(d)(e)参照)。
【0047】
なお、図5(c)の背面図に示すように、電源スイッチ46、押圧スイッチ44、およびヒーターランプ47は、底板11cの背面側に設置されている。
【0048】
次に温蔵庫10の電気回路について、図3により説明する。
図3に示すように、第2のホットプレート53のヒータ16は電源30に、第1配線ライン31を介して接続されるとともに第1配線ライン31と並列に設けられた第2配線ライン32を介しても接続されている。さらに第1配線ライン31に、適温制御を行なうための第1のサーモスタット15が直列に設置されている。また、第2配線ライン32に第1リレー接点42が設けられている。
【0049】
さらに電源30に第3配線ライン33を介して、温度の上限を設定する上限設定用の第2のサーモスタット35と、切替用リレー45と、第2リレー接点43が順次直列に設置されている。またこの第3配線ライン33と電源30との間に、第3配線ライン33から分岐した第4配線ライン34が設けられ、この第4配線ライン34には、第3配線ライン33に設置された第2リレー接点43と並列に押圧スイッチ44が設けられている。この押圧スイッチ44は、上述したように収納庫11の背面下部に設けられている(図5(c)参照)。
【0050】
本実施の形態において、第2のホットプレート53のヒータ16の温度を制御するためのサーモスタットとして、急速加温用サーモスタット(TH2)35と、適温維持用サーモスタット(TH1)15のそれぞれに適した規格のものを用い、2個のサーモスタット15、35を押圧スイッチ44と切替用リレー45とからなる回路により切替えることを特徴としている。
【0051】
急速加温を目的とした第2のサーモスタット(TH2)35は、押圧スイッチ44をオンとすることにより切替用リレー(RL)45が励磁され第2リレー接点43がオンとなり、サーモスタット35を介して自己保持回路が形成される。同時に第1リレー接点42がオンとなりヒータ16に通電される。
【0052】
第2のサーモスタット(TH2)35は加温する飲料が適温となるまで連続して通電することを目的とし、個々の加温特性に合わせてサーモスタットの規格を選択する。飲料が適温に達し、第2のサーモスタット(TH2)35がオフになると自己保持が解除され第1リレー接点42がオフになり、ヒータ制御が適温制御を目的とした第1のサーモスタット(TH1)15に移行する。
【0053】
尚、急速加温用の第2のサーモスタット(TH2)35は適温を検出して自己保持回路をオフする目的にのみ使用されており、一定温度に保持するための制御は行っていない。したがって、第2のサーモスタット(TH2)35としては、温度を検出して自己保持回路をオフできるものであればなんでもよく、例えばバイメタル式サーモスタット、ブルドン管式サーモスタット、あるいはセンサーと電子回路を組み合わせたものでもよい。
【0054】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず例えばPET容器と、PET容器内に収納された飲料とからなる複数のPET飲料23が準備される。次に扉20が開かれ、収納庫11の開口からPET飲料23が収納庫11内に収納され、第1のホットプレート52、第2のホットプレート53、および第3のホットプレート54上に載置される。
【0055】
次にPET飲料23の中味温度が適温になるよう各ホットプレート52、53、54に設けられたサーモスタット15で温度制御しながら、各ヒータ16によって第1のホットプレート52、第2のホットプレート53、および第3のホットプレート54を加温する。
【0056】
このうち第2のホットプレート53を加温する際の作用について述べる。すなわち、まず図3に示すように、急速加温を目的とした第2のサーモスタット(TH2)35は、押圧スイッチ44をオンとすることにより切替用リレー(RL)45が励磁され第2リレー接点43がオンとなり、サーモスタット35を介して自己保持回路が形成される。同時に第1リレー接点42がオンとなりヒータ16に通電される。
【0057】
第2のサーモスタット(TH2)35は加温する飲料が適温となるまで連続して通電することを目的とし、個々の加温特性に合わせてサーモスタットの規格を選択する。
【0058】
飲料が適温に達し、第2のサーモスタット(TH2)35がオフになると自己保持が解除され第1リレー接点42がオフになり、ヒータ制御が適温制御を目的とした第1のサーモスタット(TH1)15に移行する。
【0059】
この場合の収納庫11内の第2のホットプレート53に設けられた第2のサーモスタット35近傍におけるプレートの温度およびPET飲料23の飲料の温度(中味温度)の温度変化を図6に示す。
図6に示すように、上限設定用の第2のサーモスタット35を用いて第2のホットプレート53の温度を上限(58℃)まで120分というきわめて短時間で上昇させ、次に適温制御用の第1のサーモスタット15を用いて安定温度(55℃)で温度制御した場合(本発明)、第2のホットプレート53に載置されたPET飲料23の中味温度を急速に適温までもっていくことができ、その後第2のホットプレート53に載置されたPET飲料23の中味温度を確実に安定温度に維持することができる。
【0060】
他方、第1のホットプレート52および第3のホットプレート54のように、第2のサーモスタット35を用いることなく、単一のサーモスタットを用いて温度制御した場合(比較例)、サーモスタット15によりプレート温度が一定になるよう制御されるため、中味温度を急速に加温することはできず、適温に達するまで長時間を要してしまう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施の形態による温蔵庫の正面図、図1(b)は温蔵庫の側面図、図1(c)は温蔵庫の平面図。
【図2】図2(a)は本発明の第1の実施の形態による温蔵庫の正面図であって扉によって密閉された状態を示す図、図2(b)は温蔵庫の正面図であって扉を便宜的に取外した状態を示す図。
【図3】図3は温蔵庫の電気回路を示す図。
【図4】図4は本発明の第1の実施の形態による温蔵庫の作用効果を示す経過時間と温度の関係を示す図。
【図5】図5(a)は本発明の第2の実施の形態による温蔵庫の正面図、図5(b)は温蔵庫の側面図、図5(c)は温蔵庫の背面図、図5(d)は図5(a)のD−D線断面図、図5(e)は図5(a)のE−E線断面図。
【図6】図6は本発明の第2の実施の形態による温蔵庫の作用効果を示す経過時間と温度の関係を示す図。
【符号の説明】
【0062】
10 温蔵庫
11 収納庫
11a 天板
11b 側板
11c 底板
12 第1の格子状棚
13 循環ファン
14 背板
15 第1のサーモスタット
16 ヒータ
20 扉
22 第2の格子状棚
30 電源
31 第1の配線ライン
32 第2の配線ライン
33 第3の配線ライン
34 第4の配線ライン
35 第2のサーモスタット
41 第1スイッチ
42 第2スイッチ
43 第3スイッチ
44 押圧スイッチ
45 切替用リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納庫と、
収納庫内に設置されたヒータと、
ヒータと電源とを接続する第1配線ラインと、
ヒータと電源とを接続するとともに、第1配線ラインに並列に設けられた第2配線ラインと、
収納庫内に配置されるとともに、適温制御を行なうため第1配線ラインに介在され、ヒータのオン、オフを行なう第1のサーモスタットと、を備え、
電源に第3配線ラインを介して、上限設定用の第2のサーモスタットと切替用リレーとを直列に接続し、この第3配線ラインと電源との間に、第3配線ラインから分岐した第4配線ラインを設け、
第2配線ラインおよび第3配線ラインに、各々第1リレー接点および第2リレー接点を設けるとともに、第4配線ラインに押圧スイッチを設け、
押圧スイッチをオンとして切替用リレーがオン位置をとり、この切替用リレーにより第1リレー接点および第2リレー接点をオンとしてヒータを連続して作動させ、
第2のサーモスタットがオフになった場合に切替用リレーがオフ位置をとり、切替用リレーにより第1リレー接点をオフとしてヒータを第1のサーモスタットによりオン、オフ作動させることを特徴とする温蔵庫。
【請求項2】
ヒータは収納庫に固着され、オーブン式の温蔵庫を構成することを特徴とする請求項1記載の温蔵庫。
【請求項3】
ヒータは収納庫内に設置されたホットプレートに内蔵され、ホットプレート式の温蔵庫を構成することを特徴とする請求項1記載の温蔵庫。
【請求項4】
収納庫と、収納庫内に設置されたヒータと、ヒータと電源とを接続する第1配線ラインと、ヒータと電源とを接続するとともに、第1配線ラインに並列に設けられた第2配線ラインと、収納庫内に配置されるとともに、適温制御を行なうため第1配線ラインに介在され、ヒータのオン、オフを行なう第1のサーモスタットと、を備え、電源に第3配線ラインを介して、上限設定用の第2のサーモスタットと切替用リレーとを直列に接続し、この第3配線ラインと電源との間に、第3配線ラインから分岐した第4配線ラインを設け、第2配線ラインおよび第3配線ラインに、各々第1リレー接点および第2リレー接点を設けるとともに、第4配線ラインに押圧スイッチを設けた温蔵庫の使用方法において、
押圧スイッチをオンとして切替用リレーがオン位置をとり、この切替用リレーにより第1リレー接点および第2リレー接点をオンとしてヒータを連続して作動させる工程と、
第2のサーモスタットがオフになった場合に切替用リレーがオフ位置をとり、切替用リレーにより第1リレー接点をオフとしてヒータを第1のサーモスタットによりオン、オフ作動させる工程と、
を備えたことを特徴とする温蔵庫の使用方法。
【請求項5】
ヒータは収納庫に固着され、オーブン式の温蔵庫を構成することを特徴とする請求項4記載の温蔵庫の使用方法。
【請求項6】
ヒータは収納庫内に設置されたホットプレートに内蔵され、ホットプレート式の温蔵庫を構成することを特徴とする請求項4記載の温蔵庫の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−112716(P2009−112716A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292176(P2007−292176)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(391058381)キリンビバレッジ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】