説明

温風暖房機

【課題】岩盤浴のように温められた石から放射される熱及び遠赤外線と、温風吹出し口から温風を排出することを特徴とする温風暖房機を提供することを目的とする。
【解決手段】前記課題解決のために本発明の温風暖房機は、陶磁器あるいは天然石からなる板からなる足載部とその周辺部に設けた吹き出し口からなる温風暖房機である。これにより足裏および足部・腰部等も同時に効率よく採暖が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠赤外線を放射することを特徴とする温風暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、机の下等に置いて足裏及び足全体を温める足温器が知られている。例えば吸気口からファンによって取り入れられた空気を熱源によって温め、足載部周辺に設けた吹出口より排出する構造の足温器が提案されている。(特許文献1)
また、面状ヒーターで加熱された温風及び面状ヒーターと底板裏面板の隙間にある輻射によって加熱された温風を、ファンからの送風により足載部表面に開けられた穴より出し、こたつのような構造にする事で、足及び足全体を温める暖房機が提案されている。(特許文献2)
また、陶板を温めて利用する足温器であって、遠赤外線効果を期待した電気式陶板足温器も提案されている。(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−231907号公報
【特許文献2】特開昭62−233159号公報
【特許文献3】実用新案登録第3139806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の足温器は、足載部を温めるのには暖房効果が得られるものの、足温器から出る温風により、同時に採暖者の足部及び腰部等への暖房の効果を十分に得ることは、難しい状況であった。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、熱源体から発せられる熱エネルギーを効率よく出すことで、採暖者の足裏および足部・腰部等への十分な暖房効果を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の温風暖房機は、陶磁器あるいは天然石からなる板の下方に、少なくとも熱源体に対面する表面に黒体塗料を塗布した金属板を設け、その金属板に非接触状態で配置した熱源体と空気を取り込むための送風ファンとより構成したものである。従って、熱源体に対面する表面に塗られた黒体塗料は、熱源体から発せられる熱エネルギーを効率よく吸収するという作用を有する事となる。また、黒体塗料表面から放射される輻射熱を設置した送風ファンからの送風により効率的に空気の循環を可能にするという作用を有する事となる。
【0007】
また、本発明の請求項2の温風暖房機は、陶磁器あるいは天然石からなる板と前記金属板の間に、陶磁器あるいは天然石からなる板よりも低い熱伝導率を有する耐熱性支持体で構成したものである。陶磁器あるいは天然石からなる板よりも低い熱伝導性を有する耐熱性支持体は、熱源体によって急速に温められた金属板から熱を受け、その熱を緩やかに陶磁器あるいは天然石からなる板へ与えるという作用を得られる事になる。
【0008】
また、本発明の請求項3の温風暖房機は、前記黒体塗料中に遠赤外線放射材料を含有したものである。従って、熱源体からの光を効率よく吸収し、遠赤外線を放射するという作用を得られる事となる。
【0009】
また、本発明の請求項4の温風暖房機は、陶磁器あるいは天然石からなる板の周辺部に温風吹出し口を設ける構成としたものである。従って、送風ファンによって送り出される温風を吹出し口から集中的に吹き出し、採暖者の足部・腰部等を温める効果が得られる事となる。
【0010】
また、本発明の請求項5の温風暖房機は、陶磁器あるいは天然石からなる板と耐熱性支持体の接触面近傍あるいは耐熱性支持体と金属板との接触面近傍に温度検知器を配した構成としたものである。従って、熱源体によって温められた金属板の熱を検知し、陶磁器あるいは天然石からなる板が程よい温度に成るように制御出来るという作用を得られる事となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の温風暖房機は、陶磁器あるいは天然石からなる板の下方に、少なくとも熱源体に対面する表面に黒体塗料を塗布した金属板を設けることで熱源体からの熱エネルギーを効率よく吸収し、吸収した熱を金属板に効率よく伝えることを可能にする効果を有する事となる。金属板は熱源体からの熱エネルギーを吸収及び放出することを目的としたものであり、金属板は熱源と反対面は平らなものでもよいが、熱源側は凹凸のある表面やスリット状のもの、ピン状やフィン状の突起物があるもの等その形状を限定するのもではない。
また、その金属板に非接触状態で配置した熱源体と空気を取り込むための送風ファンを設けることで、黒体塗料からの輻射熱を効率よく排出する効果を有する事となる。また、送風ファンは熱源体を挟んで金属板と対角線上に設置してもよいが、熱源体と金属板の間に設置してもその効果は変わらない。
【0012】
本発明で使用する天然石は、御影石・大理石・ブラックシリカ・黒曜石等、遠赤外線放射性の高いものが効果的であり、本発明では、持ち運びやすさ、場所等の実用性を考慮すると、厚み1cmで30cm角のものが適切であった。
【0013】
また、本発明で使用する金属板は、安価で熱伝導性の高いものが適切であり、銅板・アルミニウム板・ステンレス板等が使用でき、本発明では、厚み1.5mmと2.0mmの30cm角のものを使用したが、特に厚みによる有為差は認められなかった。
【0014】
また、本発明に使用する遠赤外線放射材料は、アルミナ・酸化チタン・ブラックシリカ・トルマリン等を微細粉して混合したものを使用した。
【0015】
また、本発明で使用する耐熱性支持体は、木材・厚紙・合板・布・強化プラスチック等を必要に応じて不燃化処理して使用でき、本発明では、厚み0.5mm〜4mmの30cm角のものを使用した。
【0016】
また、本発明の請求項2の温風暖房機は、陶磁器あるいは天然石からなる板と前記金属板の間に、陶磁器あるいは天然石からなる板よりも低い熱伝導率を有する耐熱性支持体で構成することで、金属板から直接陶磁器あるいは天然石からなる板に熱を伝えるよりも緩やかに陶磁器あるいは天然石からなる板に熱を伝達することができ、このため足載部表面の温度差のムラが少なくなり、部分的に熱くなりすぎることなく全面的に渡り心地よい温もりを接触した足裏部に伝えることができるという効果を有する事となる。
【0017】
また、本発明の請求項3の温風暖房機は、前記黒体塗料中に遠赤外線放射材料を含有することで、熱源体からの光を吸収し、遠赤外線を放射するという作用を得られる事となる。この放射された遠赤外線は光の中に含まれ、その光を吹出し口から出し、照射することで体の中から温まるといった遠赤外線特有の効果を得る事が可能となる。
【0018】
また、本発明の請求項4の温風暖房機は、陶磁器あるいは天然石からなる板の周辺部に温風吹出し口を設けることで、温風を吹出すと同時に、暖房機内部で発生させた遠赤外線を吹出し口より放出し、温風と遠赤外線の二重の効果が期待できる。
【0019】
また、本発明の請求項5の温風暖房機は、陶磁器あるいは天然石からなる板と耐熱性支持体の接触面近傍あるいは耐熱性支持体と金属板との接触面近傍に温度検知器を配することで、熱伝導率の高い金属板の熱を感知し、制御することで、人体に接触する面である陶磁器あるいは天然石からなる板の表面温度のムラが少なく一定範囲内の温度になるように、熱源体の強度あるいはオン/オフを調整することを可能にする効果を得られる事となる。
【0020】
また、本発明の温風暖房器に、脚を付けることにより本体を横、斜めにする等、自由に
使用形成できる。
【0021】
また、温風暖房器に直接座る場合は、尻温器としての効果も得られる。
【0022】
また、本発明の温風暖房機に、袋状のものを取り付け、腰部または胸部等まで覆えば、足部・腰部・胸部等の暖房を同時に効率よく行える効果が得られる。
【0023】
温風暖房器を椅子に座って使用する時は、袋状のもの(カバー)を温風暖房機の結合部に結合し、採暖者の腰部または胸部まで覆うことにより、勉強・仕事時等の個人採暖時に適切な効果が得られる。
【0024】
また、リクライニングするイスに座って使用する時は、袋状のもの(カバー)を温風暖房機の結合部に結合し、採暖者の腰部または胸部まで覆ったものであり、読書・音楽鑑賞・テレビ視聴・仮眠等、くつろぐ時の個人採暖時に適切な効果が得られる。
【0025】
また、本発明の温風暖房機に脚を付け、その上に腰掛け、袋状のもの(カバー)を採暖者の腰部または胸部から、温風暖房機まで覆うことにより、温風により採暖者の腰部・胸部を温めるとともに、尻部も心地よく温めることができ、岩盤にでも座っているような効果が得られる。
【0026】
また、温風暖房機に脚が無い、または、脚を折った状態のものは、座椅子となり座敷に座る状況等により、高さを調整できる。
【0027】
また、本発明の温風暖房機を斜めに立て、袋状のもの(カバー)を、本発明の温風暖房機と採暖者の首から下部分を覆うことにより、仮眠する時等くつろぐ時に適切な効果が得られる。 また、本発明の温風暖房機の温風を高温にすることにより、熱射と遠赤外線放射作用によりサウナとしての効用も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は温風暖房機の構造を示した断面図である。
【図2】図2はひだ付き温風暖房機の構造を示した断面図である。
【図3】図3の(1),(2),(3),(4),(5)は温風暖房機の応用活用例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための形態を実施例1から実施例4で説明する。なお、図面において1は陶磁器あるいは天然石からなる板、2は耐熱性支持体、3は金属板、4は黒体塗料、5は反射板、6は熱源体、7は送風ファン、8は吸気口、9は吹出し口、10は温度検知器、11は温度調整機、12はひだ部、13は脚部、14はカバー、15は結合部である。
【実施例1】
【0030】
図1は本発明の温風暖房機を説明するための構造を示した断面図であり、1に御影石、2に木材、3にアルミニウム板、4は遠赤外線放射材料を50%含有した黒体塗料、5はステンレス製反射板、6はハロゲンヒーター、7は送風ファン、8は吸気口、9は吹出し口、10は温度センサー、11は温度調整機である。
【0031】
図1に示した温風暖房機の電源(図面では省略)を入れると、ハロゲンヒーター6が点灯し黒体塗料に光及び熱を照射する。熱はアルミニウム板3に蓄熱されると同時に木材2に熱を伝達し、木材2に伝達された熱は御影石1に伝えられる。温度調整機の中のプログラムは御影石1の最表面が42±2℃に成るように設定されており、温度センサー10にて所定の温度を感知した場合においてハロゲンヒーター6の強度を調整するものである。
送風ファン7は吸気口8から外気を取り込み、ハロゲンヒーター6の光および熱を効率よく黒体塗料の塗布されたアルミニウム板3に伝え、アルミニウム板3及び黒体塗料4から放出される輻射熱を吹出し口から排出する。
遠赤外線放射材料はハロゲンヒーター6から受けた光および熱によって遠赤外線を放射し、放射された遠赤外線はステンレス製反射板5によって反射され、光とともに吹出し口9から温風暖房機の外へ排出される。
【実施例2】
【0032】
図2はひだ付き温風暖房機の構造を示した断面図であり1に陶器、2に集成材、3にステンレス板、4は遠赤外線放射材料を50%含有した黒体塗料、5はアルミ製反射板、6はカーボンヒーター、7は送風ファン、8は吸気口、9は吹出し口、10は温度センサー、11は温度調整機、12はひだ部である。
【0033】
図2に示した温風暖房機の電源を入れると、カーボンヒーター6が点灯し黒体塗料に光及び熱を照射する。熱はステンレス板3に蓄熱されると同時に集成材2に熱を伝達し、集成材2に伝達された熱は陶器1に伝えられる。温度調整機の中のプログラムは陶器1の最表面が42±2℃に成るように設定されており、温度センサー10にて所定の温度を感知した場合においてカーボンヒーター6の強度を調整するものである。
送風ファン7は吸気口8から外気を取り込み、カーボンヒーター6の熱を効率よく黒体塗料の塗布されたステンレス板3に伝え、ステンレス板3及び黒体塗料4から放出される輻射熱を吹出し口から排出する。ステンレス板3の形状はひだ部12を有する構造となっており、このひだ部12によって表面積を大きくし、より多くの熱を吸収及び伝達を可能にするものである。このひだ部12にはステンレス板3の表面と同様に黒体塗料4が塗布してあり、ひだ部12の無い構造の温風暖房機よりも多くの輻射熱を吹出し口9より外に排出する事を可能にするものである。
遠赤外線放射材料はカーボンヒーター6から受けた光および熱によって遠赤外線を放射し、放射された遠赤外線はアルミニウム製反射板5によって反射され、光ともに吹出し口9から温風暖房機の外へ排出される。
【実施例3】
【0034】
ここでは実施例2の構成を使い温度調整機を使用しない状態で足載部である陶板上の表面温度を測定した結果を以下に示す。
下記表1は、耐熱性支持体が無い場合と入れた場合の温度ばらつきを示したグラフである。 グラフ上の1,2,3の折れ線は、耐熱性支持体のない時の足載面の奥=1、中=2、手前=3の温度の上昇度を示す。
また、グラフ上の4,5,6の折れ線は、耐熱性支持体を入れた時の足載面の奥=4、中=5、手前=6の温度の上昇度を示す。
この結果からわかるように耐熱性支持体を入れることにより温度ばらつきは抑制され部分的に極度に熱くなりすぎることが防止され安全に使用することができるものである。
【表1】

【実施例4】
【0035】
図3は温風暖房機の応用活用例を示した説明図であり、13は脚部、14はカバー、
15は結合部、である。
【0036】
図3(1)は、イスの使用時、袋状のもの(カバー14)を温風暖房機の結合部15に結合し、採暖者の腰部または胸部まで覆ったものである。
【0037】
図3(2)は、リクライニングするイスの使用時、袋状のもの(カバー14)を温風暖房機と採暖者の腰部または胸部まで覆ったものである。
【0038】
図3(3)は、本発明の温風暖房機に脚を付け、その上に腰掛け、袋状のもの(カバー14)を採暖者の腰部または胸部から、温風暖房機まで覆ったものである。
【0039】
図3(4)は、図3の(3)の温風暖房機に脚が無い、または、脚を折った状態のもので、座敷に座る状況等により、高さを調整できるものであり、温風暖房機と採暖者の腰部または胸部まで覆ったものである。
【0040】
図3(5)は、本発明の温風暖房機を斜めに立て、袋状のもの(カバー14)を、本発明の温風暖房機と採暖者の首から下部分を覆ったものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の温風暖房機によれば、採暖者の足裏・足部・腰部等を同時に効率よく採暖できる暖房機を提供できる。
【符号の説明】
【0042】
1 陶磁器あるいは天然石からなる板
2 耐熱性支持体
3 金属板
4 黒体塗料
5 反射板
6 熱源体
7 送風ファン
8 吸気口
9 吹出し口
10 温度検知器
11 温度調整機
12 ひだ部
13 脚部
14 カバー
15 結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陶磁器あるいは天然石からなる板の下方に、少なくとも熱源体に対面する表面に黒体塗料を塗布した金属板を設け、その金属板に非接触状態で配置した熱源体と空気を取り込むための送風ファンを具備したことを特徴とする温風暖房機。
【請求項2】
陶磁器あるいは天然石からなる板と前記金属板の間に、陶磁器あるいは天然石からなる板よりも低い熱伝導率を有する耐熱性支持体を有することを特徴とする請求項1記載の温風暖房機。
【請求項3】
前記黒体塗料は遠赤外線放射材料を含有したことを特徴とする請求項1記載の温風暖房機。
【請求項4】
陶磁器あるいは天然石からなる板の周辺部に温風吹き出し口を設けた請求項1記載の温風暖房機。
【請求項5】
陶磁器あるいは天然石からなる板と前記金属板の対向面近傍に温度検知器を配したことを特徴とする請求項1記載の温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−253185(P2010−253185A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109628(P2009−109628)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(307043197)
【Fターム(参考)】