説明

測定用治具

【目的】 本発明は、測定方向が自在にでき、測定が自由にできるとともに、極めて正確な測定すること。
【構成】磁石にて着磁可能な固定台座1に垂設した支柱2と、該支柱2に対して上下動可能で適宜の位置で固着可能な測定具取付部5を備えた枝杆3と、該枝杆3の先端に回転角度自在に設けた腕杆6と、該腕杆6の先端に軸支された小プーリ7とからなること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定方向が自在にでき、測定が自由にできるとともに、極めて正確な測定ができる測定用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属製屋根に荷重等が加わって変形した場合、その変形量を測定するのに、スピンドル可動タイプの変位変換器(測定具)が使用されている。そのスピンドルによる変形量は、該スピンドルが長手方向に移動した距離として測定される。すると、測定箇所の測定量を正確に測定するには、測定量を測定する方向と、前記スピンドルの長手方向とを一致させることが必要であった。このようにしなければ、正確な測定ができない欠点があった。
【0003】
つまり、図4に示すように、金属製屋根の熱伸縮の量を測定するには、その金属屋根の長手方向(流れ方向)と、前記変位変換器のスピンドルの長手方向とを一致するように、何らかの箇所に設置しなければならない。しかし、その設置場所が確保できないことがしばしば生じていた。測定したい方向と、スピンドルの長手方向とを一致させないような変位変換器は存在しなかった。特許文献1は、名称としては、マグネットベースであるが、この支柱関連は省略されており、そのような構成のものは存在しない。さらに、市販されているマグネットベースには、支柱及び枝杆は開示されているのみである。
【特許文献1】特開平5−40409号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、測定したい方向と、変位変換器のスピンドルの長手方向とを一致させないようにできる測定用治具提供を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、磁石にて着磁可能な固定台座に垂設した支柱と、該支柱に対して上下動可能で適宜の位置で固着可能な測定具取付部を備えた枝杆と、該枝杆の先端に回転角度自在に設けた腕杆と、該腕杆の先端に軸支された小プーリとからなることを特徴とする測定用治具としたことにより、前記課題を解決した。
【0006】
請求項2の発明を、請求項1において、前記腕杆は前記枝杆に対して任意の一平面上を回動可能に設けられてなることを特徴とする測定用治具としたことにより、前記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記腕杆及び小プーリは1つとしてなることを特徴とする測定用治具としたことにより、前記課題を解決した。
【0007】
請求項4の発明を、請求項1又は2において、前記腕杆及び小プーリはそれぞれ2つとしてなり、前記枝杆の先端に所定間隔をおいて平行になるように設けられてなることを特徴とする測定用治具としたことにより、前記課題を解決した。また、請求項5の発明を、請求項1又は2において、前記小プーリは前記腕杆の回動平面と同等平面上を回動可能に設けられてなることを特徴とする測定用治具としたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明においては、かかる治具を使用したことにより、特に、測定したい方向と、変位変換器のスピンドルの長手方向とを一致させなくとも、正確な変位量を簡単に測定できる利点がある。さらに、請求項2及び3の発明では、請求項1と同様の効果を奏する。請求項4の発明では、同一方向でも、適宜偏心位置にも良好に対応できる。請求項5の発明では、変位量を特に正確にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は本発明にスピンドルタイプの測定具(変位変換器)を取り付けた斜視図、(B)及び(C)は本発明の要部斜視図である。
【図2】(A)は長尺金属製の折板屋根の裏面に伸縮量を測定するためにワイヤーを設けた裏面図、(B)は(A)に示すX方向のワイヤーをY方向に変換するように取り付けた本発明の側面図、(C)は長尺の金属屋根の要部平面図である。
【図3】(A)はワイヤーのX方向を保持しつつ適宜位置を偏心移動した本発明の別の実施形態の側面図、(B)は(A)の要部平面図、(C)は(A)の要部斜視図である。
【図4】従来技術により長尺金属製の折板屋根の熱伸縮状態を測定している略示図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明すると、図1,図2に示す第1実施形態は、主な構成としては、磁石にて着磁可能な固定台座1に垂設した支柱2と、該支柱2に対して上下動可能で適宜の位置で締付具4にて取付可能な枝杆3が設けられている。該枝杆3に対して取付可能な測定具取付部5(例えば、ゲージ取付部、変位変換器等)が備えられている。前記枝杆3の先端に回転角度自在に設けられた1本の腕杆6と、該腕杆6の先端に軸支された小プーリ7とを備えて構成されている。第1実施形態の本発明は、特に、1本の腕杆6から構成されている。
【0011】
前記枝杆3は、前記締付具4にて取付可能であると共に、該締付具4箇所にて前記枝杆3は任意の回転角になるように回転させつつ固定できるように構成されている。また、1本の前記腕杆6は、前記枝杆3に対して任意の一平面上を回動可能に設けられ、適宜の角度位置で蝶螺子6aにて固着可能に構成されている。そして、前記小プーリ7は前記腕杆6の回動平面と同等平面上を回動可能に設けられている。前記枝杆3は、前記支柱2に対して任意の方向に取付可能で固定できるように構成されている。
【0012】
この第1実施形態による本発明での使用状態としては、図1及び2に示すような場合である。金属製屋根の熱伸縮の量を測定するには、図2(C)及び(A)に示すように、金属製屋根の長手方向(X方向)とすると、従来であれば、その変位変換器(測定器)のスピンドルの長手方向(X方向)とを一致するようにしなければならない。
【0013】
本発明では、図2(B)に示すように、1本の腕杆6及び枝杆3を使って、前記枝杆3に対してその変位変換器(測定器)Pのスピンドルaの長手方向を垂直方向(Y方向)に変化させることができるので、その測定具取付部5(変位変換器P等)の多様性を図ることができ、設置場所が確保できる。その変位変換器(測定器)のスピンドルは、ある程度零点位置を補正するようして適宜セットする。スピンドルa先端からは可撓性あるワイヤーbの端が金属製屋根の適宜の面に固定される。
【0014】
また、第2実施形態は、特に、前記腕杆6及び小プーリ7は2つとして構成されているため、基本的には、第1実施形態の部材と同様である。そして、2つの腕杆6,6は、前記枝杆3の先端に所定間隔をおいて平行になるように設けられている〔図3(B)参照〕。つまり、2つの腕杆6,6及び小プーリ7,7以外は、第1実施形態の部材と同様であるため、その説明を省略する。また、2つの腕杆6,6は、長さが同じでも、異なる場合もある。
【0015】
その使用状態について説明すると、図3(A)に示すように、金属製屋根の熱伸縮の量を測定するには、金属製屋根の長手方向(X方向)とすると、従来であれば、その変位変換器(測定器)のスピンドルの長手方向(X方向)とを一致するようにしなければならないが、2つの腕杆6,6が存在することにより、該腕杆6,6を適宜開いて、図3(A)に示すように、小プーリ7,7間隔を任意の間隔Hとすることで、偏芯した状態で測定することができ、極めて正確に測定できる利点がある。
【符号の説明】
【0016】
1…固定台座、2…支柱、3…枝杆、6…腕杆、7…小プーリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石にて着磁可能な固定台座に垂設した支柱と、該支柱に対して上下動可能で適宜の位置で固着可能とする測定具取付部を備えた枝杆と、該枝杆の先端に回転角度自在に設けた腕杆と、該腕杆の先端に軸支された小プーリとからなることを特徴とする測定用治具。
【請求項2】
請求項1において、前記腕杆は前記枝杆に対して任意の一平面上を回動可能に設けられてなることを特徴とする測定用治具。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記腕杆及び小プーリは1つとしてなることを特徴とする測定用治具。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記腕杆及び小プーリはそれぞれ2つとしてなり、前記枝杆の先端に所定間隔をおいて平行になるように設けられてなることを特徴とする測定用治具。
【請求項5】
請求項1又は2において、前記小プーリは前記腕杆の回動平面と同等平面上を回動可能に設けられてなることを特徴とする測定用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−208942(P2011−208942A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73821(P2010−73821)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000175973)三晃金属工業株式会社 (85)
【Fターム(参考)】