説明

測色データ処理装置、測色装置、プログラム及び印刷媒体

【課題】キャリブレーション用パッチを測色して得た測色値の処理に、測色装置がキャリブレーション用パッチの内部を通過したかどうかを反映させる。
【解決手段】キャリブレーション用パッチ51,51,51,51,51,51,…と、キャリブレーション用パッチの前後に配置されキャリブレーション用パッチの幅から測色装置のアパーチャサイズの2倍を減じた長さ以下の幅を持つ基準パッチ52,52,52,52,52,52,52,…とが印刷されたカラーチャート上で測色装置をスライドさせて測色する。すると、測色装置は、あるキャリブレーション用パッチの前後の基準パッチの測色値と下地の測色値とに基づいて、そのキャリブレーション用パッチの内部を通過したかどうかを判定し、キャリブレーション用パッチの測色値をその判定結果に応じて処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測色データ処理装置、測色装置、プログラム、印刷媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙内の予め設定した位置に予め設定された基準濃度のパッチを複数形成した濃度調整用シートを出力し、出力された濃度調整用シート上のパッチを読み取り、読み取られたパッチの濃度から画像を形成する際の濃度変換特性を変更する際、濃度調整用シートは濃度の低い方から分散させて、ハイライト、ミドル、シャドー部が集中しないように用紙内に規則的にパッチを配置し、読み取ったこれらの各パッチの濃度の平均をその基準濃度の測定値として濃度変換特性を変更する技術は知られている(例えば、特許文献1参照)。
キャリブレーション精度を確認するための確認用パッチを印刷・測色し、確認用パッチのうち下地パッチについて、基準値と初期測色値との色ずれ量を把握し、この下地色ずれ量に基づいて、印刷/測色条件の相違に起因する色ずれ量を補償するように初期測色値を補正し、補正後の補正測色値と各確認用パッチの基準値との色ずれ量を評価することにより、キャリブレーション精度を評価する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−226844号公報
【特許文献2】特開2008−72366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、色見本を測色して得た測色データの処理に、測色器が色見本の内部を通過したかどうかを反映させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、連続的に配置された複数の色見本画像と、当該複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置され隣の色見本画像の幅以下の幅をそれぞれ持つ複数の間隙画像とが印刷された媒体上で測色器を移動させる操作に応じて、当該測色器が当該媒体上の移動した領域を測色して得た測色データを取得する取得手段と、前記複数の間隙画像のうちの特定の間隙画像に沿って前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された間隙測色データと、予め取得しておいた基準となる基準測色データとに基づいて、当該測色器が当該特定の間隙画像の隣の特定の色見本画像の内部を通過したかどうかを判定する判定手段と、前記特定の色見本画像に沿って前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された色見本測色データを、前記判定手段による判定結果に応じて処理する処理手段とを備えたことを特徴とする測色データ処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記複数の間隙画像は、それぞれ、前記隣の色見本画像の幅から前記測色器の測色用開口部の幅の2倍を減じて得られる長さ以下の長さの幅を持ち、前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記間隙測色データと、前記媒体の下地の測色データとして予め取得しておいた前記基準測色データとが、予め定めた程度以上類似する場合に、前記測色器の少なくとも一部が前記特定の色見本画像の内部を通過しなかったと判定することを特徴とする請求項1に記載の測色データ処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記複数の間隙画像は、それぞれ、前記測色器の測色用開口部の幅以上の長さの幅を持ち、前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記間隙測色データと、前記複数の間隙画像の測色データとして予め取得しておいた前記基準測色データとが、予め定めた程度以上類似する場合に、前記測色器が前記特定の色見本画像の内部を通過したと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の測色データ処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記複数の間隙画像の測色データとして予め取得しておいた前記基準測色データは、前記媒体に当該複数の間隙画像に関連付けて印刷された画像上で前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された測色データであることを特徴とする請求項3に記載の測色データ処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記処理手段は、前記測色器の少なくとも一部が前記特定の色見本画像の内部を通過しなかったと前記判定手段により判定された場合に、前記取得手段により取得された前記色見本測色データを除外した前記測色データを処理することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の測色データ処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記処理手段は、前記測色器の少なくとも一部が前記特定の色見本画像の内部を通過しなかったと前記判定手段により判定された場合に、前記取得手段により取得された前記色見本測色データを、前記取得手段により取得された前記間隙測色データに基づいて決定される前記特定の色見本画像の内部を通過しなかった前記測色器の部分の大きさに応じて補正することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の測色データ処理装置である。
請求項7に記載の発明は、連続的に配置された複数の色見本画像と、当該複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置され隣の色見本画像の幅以下の幅をそれぞれ持つ複数の間隙画像とが印刷された媒体上での移動に応じて、当該媒体上の移動した領域を測色する測色手段と、前記複数の間隙画像のうちの特定の間隙画像に沿った移動に応じて前記測色手段が測色した結果である間隙測色データと、予め取得しておいた基準となる基準測色データとに基づいて、自装置が当該特定の間隙画像の隣の特定の色見本画像の内部を通過したかどうかを判定する判定手段と、自装置が前記特定の色見本画像の内部を通過したと前記判定手段により判定された場合に、前記特定の色見本画像に沿った移動に応じて前記測色手段が測色した結果である色見本測色データを、前記測色手段が測色した結果を処理する他の装置に出力し、自装置の少なくとも一部が前記特定の色見本画像の内部を通過しなかったと前記判定手段により判定された場合に、少なくともその旨の情報を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする測色装置である。
請求項8に記載の発明は、コンピュータを、連続的に配置された複数の色見本画像と、当該複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置され隣の色見本画像の幅以下の幅をそれぞれ持つ複数の間隙画像とが印刷された媒体上で測色器を移動させる操作に応じて、当該測色器が当該媒体上の移動した領域を測色して得た測色データを取得する取得手段と、前記複数の間隙画像のうちの特定の間隙画像に沿って前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された間隙測色データと、予め取得しておいた基準となる基準測色データとに基づいて、当該測色器が当該特定の間隙画像の隣の特定の色見本画像の内部を通過したかどうかを判定する判定手段と、前記特定の色見本画像に沿って前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された色見本測色データを、前記判定手段による判定結果に応じて処理する処理手段として機能させるためのプログラムである。
請求項9に記載の発明は、連続的に配置された複数の色見本画像と、前記複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置された複数の間隙画像とが印刷され、前記複数の間隙画像は、それぞれ、隣の色見本画像の幅から測色器の測色用開口部の幅の2倍を減じて得られる長さ以下の長さの幅を持つことを特徴とする印刷媒体である。
請求項10に記載の発明は、連続的に配置された複数の色見本画像と、前記複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置された複数の間隙画像とが印刷され、前記複数の間隙画像は、それぞれ、測色器の測色用開口部の幅以上で、隣の色見本画像の幅以下の長さの幅を持つことを特徴とする印刷媒体である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、測色器が色見本を測色して得た測色データの処理に、測色器が色見本の内部を通過したかどうかを反映させることができる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像形成材料の使用量を抑えつつ、測色器の少なくとも一部が色見本の内部を通過しなかったことを検出することができる。
請求項3の発明によれば、測色器の少なくとも一部が色見本の内部を通過しなかった場合に色見本の内部を通過しなかった測色器の部分の大きさを把握できる余地を残しつつ、測色器が色見本の内部を通過したことを検出することができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、測色器が色見本の内部を通過したことを検出するために用いる画像形成材料の色の選択の幅が広がる。
請求項5の発明によれば、測色器が色見本を測色して得た測色データが誤っている可能性がある場合に、その測色データを処理対象に含めることによる不具合の発生を防止することができる。
請求項6の発明によれば、測色器が色見本を測色して得た測色データが誤っている可能性がある場合に、本構成を有していない場合に比較して、色見本を測色する操作を再度行う手間を軽減することができる。
請求項7の発明によれば、色見本を測色して得た測色データの処理に、自装置が色見本の内部を通過したかどうかを反映させることができる。
請求項8の発明によれば、測色器が色見本を測色して得た測色データの処理に、測色器が色見本の内部を通過したかどうかを反映させることができる。
請求項9の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像形成材料の使用量を抑えつつ、測色器の少なくとも一部が色見本の内部を通過しなかったことを検出可能にすることができる。
請求項10の発明によれば、測色器の少なくとも一部が色見本の内部を通過しなかった場合に色見本の内部を通過しなかった測色器の部分の大きさを把握できる余地を残しつつ、測色器が色見本の内部を通過したことを検出可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるキャリブレーションシステムの構成例を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態で用いるカラーチャートについて示した図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態のカラーチャート上で測色装置をスライドさせたときの経路を例示した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における測色装置の機能構成例を示したブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における測色装置の動作例を示したフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態における測色装置の動作例を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態で用いるカラーチャートについて示した図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のカラーチャート上で測色装置をスライドさせたときの経路を例示した図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における測色装置の機能構成例を示したブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における測色装置の動作例を示したフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態における測色装置の動作例を示したフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態における補正処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるキャリブレーションシステムの構成例を示したものである。
図示するように、このキャリブレーションシステムは、測色装置10と、画像処理装置20とを備えている。
【0009】
測色装置10は、紙等の記録媒体上をスライドさせる操作に応じて、記録媒体に記録された画像の色を測色し、測色結果を画像処理装置20に送信する装置である。ここで、測色装置10は、光源から記録媒体に照射した光に対する反射光を複数のカラーフィルタを通して受光することにより色を測定するフィルタ式のものでも、光源から記録媒体に照射した光に対する反射光を回析格子によって各波長成分に分光して受光することにより色を測定する分光式のものでもよい。
画像処理装置20は、測色装置10から受信した測色結果に基づいて、図示しない画像形成装置で出力される色を調整するキャリブレーション処理を行う装置である。ここで、画像処理装置20は、PC(Personal Computer)でも、画像形成装置の一部を構成する画像処理部でもよい。本実施の形態では、測色した結果を処理する他の装置の一例として、画像処理装置20を設けている。
【0010】
このうち、測色装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、発光回路14と、光源15と、受光素子16と、A/D変換回路17と、通信インターフェースコントローラ(以下、「通信I/Fコントローラ」と表記する)18とを備える。
CPU11は、ROM13等に記憶された各種プログラムをRAM12にロードして実行することにより、後述する各機能を実現する。
RAM12は、CPU11の作業用メモリ等として用いられるメモリである。
ROM13は、CPU11が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
発光回路14は、光源15を発光させるための電流を供給する回路である。
光源15は、記録媒体へ光を照射するランプである。
受光素子16は、記録媒体へ照射した光に対する反射光を受光し、その反射光をアナログ電気信号へ変換する素子である。本実施の形態では、測色手段の一例として、受光素子16を設けている。
A/D変換回路17は、受光素子16が出力したアナログ電気信号をディジタル電気信号へ変換する回路である。
通信I/Fコントローラ18は、他の装置への各種情報の送信及び他の装置からの各種情報の受信を制御するコントローラであり、特に、本実施の形態では、A/D変換回路17が出力したディジタル電気信号を測色結果として画像処理装置20へ送信する。
【0011】
ところで、図1の測色装置10を用いて、カラーチャートに一列に配置された複数のキャリブレーション用のカラーパッチ(以下、「キャリブレーション用パッチ」という)を測色する際、測定者は、これら複数のキャリブレーション用パッチ上をその測定すべき方向(以下、「測定方法」という)に沿ってスライドさせることにより測色する操作を行うが、測定者の熟練度によっては、測色装置10を実際にスライドさせた方向が測定方向からずれてしまう所謂読みはずし等の操作の不具合が生じる場合がある。このような場合、測色結果が誤っているかもしれないので、測色結果をそのまま使って処理を行うと、余計に画質が劣化することがある。
この読みはずし等の操作の不具合を防ぐ方法としては、カラーパッチの幅を大きくすることが考えられる。しかしながら、この方法では、印刷可能なカラーパッチの数が限られるので、キャリブレーション精度が低下してしまう。また、カラーパッチの幅を大きくすると、トナーの消費量が増えるという問題もある。
【0012】
そこで、本実施の形態では、複数のキャリブレーション用パッチに加え、読みはずしを防ぐための基準となるパッチ(以下、「基準パッチ」という)を印刷したカラーチャートを用いて、測色を行う。このようなカラーチャートとしては、2つの態様が考えられるので、以下、1つ目の態様を第1の実施の形態として、2つ目の態様を第2の実施の形態として説明する。尚、キャリブレーション用パッチは色見本画像の一例であり、基準パッチは間隙画像の一例である。
【0013】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態では、キャリブレーション用パッチに挟まれた領域にその中心線に対して対称な基準パッチを印刷したカラーチャートを用いる。ここで、基準パッチの幅は、キャリブレーション用パッチの幅から測色装置10のアパーチャサイズ(測定用開口部の幅)の2倍を減じた長さ以下とする。
【0014】
図2は、このようなカラーチャートの一例を示した図である。
図示するように、カラーチャートには、キャリブレーション用パッチ51,51,51,…と、基準パッチ52,52,52,…とが印刷されている。尚、ここでは、基準パッチを黒色で示したが、黒色には限らない。
【0015】
図3は、図2のカラーチャート上で実際に測色装置10をスライドさせたときの例を示したものである。図において、白抜きの破線で挟まれた領域は、測色装置10をスライドさせたときにそのアパーチャが通過した領域である。
(a)では、アパーチャが通過した領域は、基準パッチと概ね一致している。この場合、アパーチャはカラーパッチの内部を通過している。
(b)では、アパーチャが通過した領域は、基準パッチと一致しないが、部分的に重複している。基準パッチの右端からアパーチャサイズだけ右へずれたとしてもキャリブレーション用パッチの右端を超えないので、この場合、アパーチャはカラーパッチの内部を通過している。
一方、(c),(d)では、アパーチャが通過した領域は、基準パッチと全く重複していない。基準パッチの右端からアパーチャサイズ以上右へずれるとキャリブレーション用パッチの右端を超える可能性があるので、この場合、アパーチャはカラーパッチの外部を含む部分を通過している可能性がある。
【0016】
即ち、本実施の形態において、測色装置10は、基準パッチからの反射光を少しでも検出すれば、カラーパッチを読みはずすことなく正しく測色を行っており、下地からの反射光しか検出しなければ、カラーパッチを読みはずしているために正しく測色を行っていない可能性がある。
【0017】
次に、図2及び図3のカラーチャートを用いて測色を行う測色装置10について詳細に説明する。
図4は、第1の実施の形態における測色装置10の機能構成例を示した図である。
図示するように、測色装置10は、制御部31と、キャリブレーション用測色値記憶部32と、前段測色値記憶部34と、後段測色値記憶部35と、測色値取得部36と、測色値比較部37と、操作判定部38と、情報出力部39とを含む。
【0018】
制御部31は、キャリブレーション用測色値記憶部32、後段測色値記憶部35へのデータの書込み及び消去、後段測色値記憶部35から前段測色値記憶部34へのデータのコピー等の各記憶部に対する処理を行うと共に、測色値取得部36、測色値比較部37、操作判定部38、情報出力部39の動作を制御する。
【0019】
キャリブレーション用測色値記憶部32は、キャリブレーション用パッチの測色値を記憶する。
前段測色値記憶部34は、キャリブレーション用測色値記憶部32に測色値が記憶されたキャリブレーション用パッチの前段(測定方向の上流)に印刷された基準パッチの測色値を記憶する。
後段測色値記憶部35は、キャリブレーション用測色値記憶部32に測色値が記憶されたキャリブレーション用パッチの後段(測定方向の下流)に印刷された基準パッチの測色値を記憶する。
【0020】
測色値取得部36は、A/D変換回路17(図1参照)から出力されたディジタル電気信号を測色値として取得する。本実施の形態では、測色データ、色見本測色データ、間隙測色データの一例として、測色値を用いており、測色データを取得する取得手段の一例として、測色値取得部36を設けている。
測色値比較部37は、現在キャリブレーション用パッチを測色中か基準パッチを測色中かを管理しており、キャリブレーション用パッチを測色中は、測色値取得部36が取得した測色値とキャリブレーション用測色値記憶部32に記憶された前回の測色値とを比較し、基準パッチの測色中は、測色値取得部36が取得した測色値と後段測色値記憶部35に記憶された前回の測色値とを比較する。そして、この比較の結果、測色値が大きく変化していれば、測色中のパッチを切り替える。
【0021】
操作判定部38は、前段測色値記憶部34及び後段測色値記憶部35に記憶された基準パッチの測色値と、予め保持されているカラーチャートの下地の測色値とに基づいて、キャリブレーション用パッチの読みはずしがあったかどうかを判定する。具体的には、前段測色値記憶部34に記憶されたキャリブレーション用パッチの前段の基準パッチの測色値、及び、後段測色値記憶部35に記憶されたキャリブレーション用パッチの後段の基準パッチの測色値の何れかが下地の測色値である場合に、読みはずしがあったと判定する。本実施の形態では、測色器が色見本画像の内部を通過したかどうかを判定する判定手段の一例として、操作判定部38を設けている。
情報出力部39は、操作判定部38により読みはずしがなかったと判定された場合は、キャリブレーション用測色値記憶部32に記憶されたキャリブレーション用パッチの測色値を画像処理装置20(図1参照)に送信し、操作判定部38により読みはずしがあったと判定された場合は、その旨を測色装置10の図示しない表示部に表示する。本実施の形態では、色見本測色データを処理する処理手段、色見本測色データ又は色見本画像の内部を通過しなかった旨の情報を出力する出力手段の一例として、情報出力部39を設けている。
【0022】
図5及び図6は、第1の実施の形態における測色装置10の動作例を示したフローチャートである。尚、このフローチャートは、基準パッチの色が黒色であり、キャリブレーション用パッチの色が白から黒までの色(白、淡いグレイ、濃いグレイ、黒)と区別可能な色であり、連続的に配置されたキャリブレーション用パッチの数がN個である場合の動作例を示している。また、以下では、基準パッチ52上の位置から測色を開始するものとして、測色装置10の動作例を説明する。
図5に示すように、測色装置10では、まず、制御部31が、カラーパッチの数を数えるための変数iに0を代入する(ステップ301)。
【0023】
次に、制御は測色値取得部36に移り、測色値取得部36が、A/D変換回路17(図1参照)から出力されたディジタル電気信号を測色値として取得する(ステップ302)。
そして、測色値比較部37は、パッチフラグが設定済みであるかどうかを判定する(ステップ303)。ここで、パッチフラグとは、現在測色値を取得中のパッチがキャリブレーション用パッチであるのか基準パッチであるのかを示すフラグであり、キャリブレーション用パッチである場合は「Cali」が設定され、基準パッチである場合は「Ref」が設定される。
測色操作開始時には、パッチフラグは未設定であるので、ステップ303での判定はNoとなり、測色値比較部37は、パッチフラグに「Ref」を設定する(ステップ304)。
そして、制御は制御部31に戻り、制御部31が、ステップ302で取得された測色値を後段測色値記憶部35に記憶して(ステップ312)、ステップ302に戻る。
【0024】
次に、制御は測色値取得部36に移り、測色値取得部36が、A/D変換回路17(図1参照)から出力されたディジタル電気信号を測色値として取得する(ステップ302)。
そして、測色値比較部37は、パッチフラグが設定済みであるかどうかを判定する(ステップ303)。
ステップ304でパッチフラグは「Ref」に設定済みであるので、ステップ303での判定はYes、ステップ307での判定は「Ref」となり、測色値比較部37は、ステップ302で取得された測色値が、後段測色値記憶部35に記憶された測色値と大きく異なるかどうかを判定する(ステップ308)。例えば、ステップ302で取得された測色値と後段測色値記憶部35に記憶された測色値との色差が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する。
これらの測色値が大きく異ならないと判定されれば、制御は制御部31に戻り、制御部31が、ステップ302で取得された測色値を後段測色値記憶部35に記憶して(ステップ312)、ステップ302に戻る。
【0025】
このような処理が、基準パッチ52が測色されている間、繰り返し行われる。その後、測色装置10がスライド操作によってキャリブレーション用パッチ51上に達すると、測色値が大きく変化し、iはNでなく、取得された測色値は白から黒までの色の測色値ではないので、ステップ308での判定はYes、ステップ309での判定はNo、ステップ310での判定はNoとなる。
【0026】
尚、この動作例では、基準パッチ52上の位置から測色を開始することとしたので、ステップ308で測色値が大きく異なると判定された場合、取得された測色値はキャリブレーション用パッチ51の測色値であり白から黒までの色の測色値ではなかったが、基準パッチ52の前段の下地の位置から測色を開始することとすると、ステップ308で測色値が大きく異なると判定された場合、取得された測色値は基準パッチ52の測色値であり白から黒までの色の測色値であることも考えられる。この場合、ステップ310での判定はYesとなって、制御は制御部31に移り、制御部31が、後段測色値記憶部35に記憶された測色値を一旦クリアし(ステップ311)、ステップ302で取得された測色値を改めて後段測色値記憶部35に記憶する(ステップ312)。
【0027】
さて、ステップ310での判定がNoとなった場合、図6に示すように、測色装置10では、まず、測色値比較部37が、パッチフラグに「Cali」を設定する(ステップ351)。
そして、制御は操作判定部38に移り、操作判定部38は、前段測色値記憶部34に測色値が記憶されているかどうかを判定する(ステップ352)。
【0028】
1つ目のキャリブレーション用パッチの測色開始時には、前段測色値記憶部34には測色値が記憶されていないので、ステップ352での判定はNoとなり、制御は制御部31に戻り、制御部31が、変数iに1を加算する(ステップ356)。この場合、iは0であったので1とする。そして、制御部31は、iがNを超えたかどうかを判定し(ステップ357)、超えていれば、処理を終了する。この場合、iは1であるのでNを超えておらず処理は継続される。
その後、制御部31は、後段測色値記憶部35に記憶された測色値を前段測色値記憶部34にコピーし(ステップ358)、キャリブレーション用測色値記憶部32及び後段測色値記憶部35の内容をクリアし(ステップ359)、ステップ302で取得された測色値をキャリブレーション用測色値記憶部32に記憶して(ステップ360)、ステップ302に戻る。
【0029】
次に、再び図5を参照すると、制御は測色値取得部36に移り、測色値取得部36が、A/D変換回路17(図1参照)から出力されたディジタル電気信号を測色値として取得する(ステップ302)。
そして、測色値比較部37は、パッチフラグが設定済みであるかどうかを判定する(ステップ303)。
ステップ351でパッチフラグは「Cali」に設定済みであるので、ステップ303での判定はYes、ステップ307での判定は「Cali」となり、再び図6を参照すると、測色値比較部37は、ステップ302で取得された測色値が、キャリブレーション用測色値記憶部32に記憶された測色値と大きく異なるかどうかを判定する(ステップ361)。例えば、ステップ302で取得された測色値とキャリブレーション用測色値記憶部32に記憶された測色値との色差が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する。
これらの測色値が大きく異ならないと判定されれば、制御は制御部31に戻り、制御部31が、ステップ302で取得された測色値をキャリブレーション用測色値記憶部32に記憶して(ステップ360)、ステップ302に戻る。
【0030】
このような処理が、キャリブレーション用パッチ51が測色されている間、繰り返し行われる。その後、測色装置10がスライド操作によって基準パッチ52上に達すると、ステップ302で取得された測色値が、キャリブレーション用測色値記憶部32に記憶された測色値と大きく異なることになり、ステップ361での判定はYesとなる。
この場合、再び図5を参照すると、測色値比較部37が、パッチフラグに「Ref」を設定する(ステップ304)。
そして、制御は制御部31に移り、ステップ302で取得された測色値を後段測色値記憶部35に記憶して(ステップ312)、ステップ302に戻る。
【0031】
次に、制御は測色値取得部36に移り、測色値取得部36が、A/D変換回路17(図1参照)から出力されたディジタル電気信号を測色値として取得する(ステップ302)。
そして、測色値比較部37は、パッチフラグが設定済みであるかどうかを判定する(ステップ303)。
ステップ304でパッチフラグは「Ref」に設定済みであるので、ステップ303での判定はYes、ステップ307での判定は「Ref」となり、測色値比較部37は、ステップ302で取得された測色値が、後段測色値記憶部35に記憶された測色値と大きく異なるかどうかを判定する(ステップ308)。例えば、ステップ302で取得された測色値と後段測色値記憶部35に記憶された測色値との色差が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する。
これらの測色値が大きく異ならないと判定されれば、制御は制御部31に戻り、制御部31が、ステップ302で取得された測色値を後段測色値記憶部35に記憶して(ステップ312)、ステップ302に戻る。
【0032】
このような処理が、基準パッチ52が測色されている間、繰り返し行われる。その後、測色装置10がスライド操作によってキャリブレーション用パッチ51上に達すると、測色値が大きく変化し、iはNでなく、取得された測色値は白から黒までの色の測色値ではないので、ステップ308での判定はYes、ステップ309での判定はNo、ステップ310での判定はNoとなる。
この場合、再び図6を参照すると、測色値比較部37が、パッチフラグに「Cali」を設定する(ステップ351)。
そして、制御は操作判定部38に移り、操作判定部38は、前段測色値記憶部34に測色値が記憶されているかどうかを判定する(ステップ352)。
【0033】
2つ目以降のキャリブレーション用パッチの測色開始時には、ステップ358で前段測色値記憶部34に測色値が書き込まれているので、ステップ352での判定はYesとなり、操作判定部38は、前段測色値記憶部34に記憶された測色値及び後段測色値記憶部35に記憶された測色値の何れかが下地の測色値であるかどうかを判定する(ステップ353)。ここで、各記憶部に記憶された測色値が下地の測色値であるかどうかは、各記憶部に記憶された予め定めた時間間隔で取得された測色値の中に下地の測色値が閾値以上存在するかどうかを調べることによって行ってもよいし、各記憶部に記憶された予め定めた時間間隔で取得された測色値の平均が予め定められた基準以上下地の測色値に近いかどうかを調べることによって行ってもよい。
【0034】
その結果、前段測色値記憶部34に記憶された測色値及び後段測色値記憶部35に記憶された測色値の両方が下地の測色値でないと判定されれば、情報出力部39は、変数i(この場合は1)と、キャリブレーション用測色値記憶部32に記憶された測色値とを画像処理装置20(図1参照)に対して出力する(ステップ354)。
一方、前段測色値記憶部34に記憶された測色値及び後段測色値記憶部35に記憶された測色値の何れかが下地の測色値であると判定されれば、情報出力部39は、変数i(この場合は1)と、操作に不具合が生じた旨の情報とを測色装置10の図示しない表示部に対して出力する(ステップ355)。尚、この場合、正しくない測色値に基づく処理がなされないように、キャリブレーション用測色値記憶部32に記憶された測色値は処理対象から除外することが望ましい。
【0035】
次に、制御は制御部31に戻り、制御部31が、変数iに1を加算する(ステップ356)。この場合、iは1であったので2とする。そして、制御部31は、iがNを超えたかどうかを判定し(ステップ357)、超えていれば、処理を終了する。この場合、iは2であるのでNを超えておらず処理は継続される。
その後、制御部31は、後段測色値記憶部35に記憶された測色値を前段測色値記憶部34にコピーし(ステップ358)、キャリブレーション用測色値記憶部32及び後段測色値記憶部35の内容をクリアし(ステップ359)、ステップ302で取得された測色値をキャリブレーション用測色値記憶部32に記憶して(ステップ360)、ステップ302に戻る。
【0036】
以降、同じようにキャリブレーション用パッチ51,51,…,51N−1の測色値又は操作に不具合が生じた旨の情報が出力され、キャリブレーション用パッチ51の測色値がキャリブレーション用測色値記憶部32に記憶されているとする。ここで、測色装置10がスライド操作によって基準パッチ52N+1からはずれると、ステップ302で取得された測色値が、後段測色値記憶部35に記憶された測色値と大きく異なることになり、図5のステップ308での判定はYesとなる。或いは、基準パッチ52N+1の左又は右の下地の部分をスライドさせて測色を終了したときも色の変化を検知し、ステップ308での判定はYesとなる。そして、測色値比較部37は、iがNであるかどうかを判定する(ステップ309)。
この場合、iがNであるので、再び図6を参照すると、測色値比較部37が、パッチフラグに「Cali」を設定する(ステップ351)。
そして、制御は操作判定部38に移り、操作判定部38は、前段測色値記憶部34に測色値が記憶されているかどうかを判定する(ステップ352)。
【0037】
2つ目以降のキャリブレーション用パッチの測色開始時には、ステップ358で前段測色値記憶部34に測色値が書き込まれているので、ステップ352での判定はYesとなり、操作判定部38は、前段測色値記憶部34に記憶された測色値及び後段測色値記憶部35に記憶された測色値の何れかが下地の測色値であるかどうかを判定する(ステップ353)。
【0038】
その結果、前段測色値記憶部34に記憶された測色値及び後段測色値記憶部35に記憶された測色値の両方が下地の測色値でないと判定されれば、情報出力部39は、変数i(この場合はN)と、キャリブレーション用測色値記憶部32に記憶された測色値とを画像処理装置20(図1参照)に対して出力する(ステップ354)。
一方、前段測色値記憶部34に記憶された測色値及び後段測色値記憶部35に記憶された測色値の何れかが下地の測色値であると判定されれば、情報出力部39は、変数i(この場合はN)と、操作に不具合が生じた旨の情報とを測色装置10の図示しない表示部に対して出力する(ステップ355)。
【0039】
次に、制御は制御部31に戻り、制御部31が、変数iに1を加算する(ステップ356)。この場合、iはNであったのでN+1とする。そして、制御部31は、iがNを超えたかどうかを判定し(ステップ357)、超えていれば、処理を終了する。この場合、iはN+1であるのでNを超えており処理は終了する。
【0040】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、キャリブレーション用パッチの測色開始位置に広範囲にわたって基準パッチを印刷すると共に、キャリブレーション用パッチに挟まれた領域にその中心線に対して対称な基準パッチを印刷したカラーチャートを用いる。ここで、キャリブレーション用パッチ間の基準パッチの幅は、測色装置10のアパーチャサイズ(測定用開口部の幅)以上で、キャリブレーション用パッチの幅以下とする。
【0041】
図7は、このようなカラーチャートの一例を示した図である。
図示するように、カラーチャートには、キャリブレーション用パッチ61,61,61,…と、測定開始位置の基準パッチ62と、キャリブレーション用パッチ間の基準パッチ62,62,62,…とが印刷されている。尚、ここでは、基準パッチを黒色で示したが、黒色には限らない。
また、測定開始位置の基準パッチ62の幅は、キャリブレーション用パッチの幅よりも若干長くしたに過ぎないが、このキャリブレーション用パッチの列が複数ある場合には、隣接する列における基準パッチ62を連結し、測色装置10が測色を開始する際に必ず基準パッチ62上を通過するようにするのが望ましい。本実施の形態では、基準パッチ62の測色値を、測色装置10が基準パッチ62,62,62,…上を通過したかを判断するための基準測色データの一例としての基準測色値とするからである。但し、基準パッチ62を設けることなく、基準パッチ62,62,62,…に関連付けられた別の画像の測色値を基準測色値としてもよいし、予め保持されている測色値(例えば、黒の測色値)を基準測色値としてもよい。
【0042】
図8は、図7のカラーチャート上で実際に測色装置10をスライドさせたときの例を示したものである。図において、白抜きの破線で挟まれた領域は、測色装置10をスライドさせたときにそのアパーチャが通過した領域である。
(a),(b)では、アパーチャが通過した領域は、基準パッチと重複している。基準パッチの右端はキャリブレーション用パッチの右端を超えないので、この場合、アパーチャはカラーパッチの内部を通過している。
一方、(c)では、アパーチャが通過した領域は、基準パッチと全く重複していない。基準パッチの右端から少しでも右へずれるとキャリブレーション用パッチの右端を超える可能性があるので、この場合、アパーチャはカラーパッチの外部を含む部分を通過している可能性がある。
(d)では、アパーチャが通過した領域は、基準パッチと全く重複していないわけではなく、部分的に重複している。基準パッチの右端から少しでも右へずれるとキャリブレーション用パッチの右端を超える可能性があるので、この場合も、アパーチャはカラーパッチの外部を含む部分を通過している可能性がある。
【0043】
即ち、本実施の形態において、測色装置10は、基準パッチからの反射光しか検出しなければ、カラーパッチを読みはずすことなく正しく測色を行っており、下地からの反射光を少しでも検出すれば、カラーパッチを読みはずしているために正しく測色を行っていない可能性がある。
【0044】
次に、図7及び図8のカラーチャートを用いて測色を行う測色装置10について詳細に説明する。
図9は、第2の実施の形態における測色装置10の機能構成例を示した図である。
図示するように、測色装置10は、制御部41と、キャリブレーション用測色値記憶部42と、初期測色値記憶部43と、前段測色値記憶部44と、後段測色値記憶部45と、測色値取得部46と、測色値比較部47と、操作判定部48と、情報出力部49とを含む。
【0045】
制御部41は、キャリブレーション用測色値記憶部42、初期測色値記憶部43、後段測色値記憶部45へのデータの書込み及び消去、後段測色値記憶部45から前段測色値記憶部44へのデータのコピー等の各記憶部に対する処理を行うと共に、測色値取得部46、測色値比較部47、操作判定部48、情報出力部49の動作を制御する。
初期測色値記憶部43は、測定開始位置の基準パッチの測色値(以下、「初期測色値」という)を記憶する。
【0046】
操作判定部48は、前段測色値記憶部44及び後段測色値記憶部45に記憶された基準パッチの測色値と、初期測色値記憶部43に記憶された初期測色値とに基づいて、キャリブレーション用パッチの読みはずしがあったかどうかを判定する。具体的には、前段測色値記憶部44に記憶されたキャリブレーション用パッチの前段の基準パッチの測色値、及び、後段測色値記憶部45に記憶されたキャリブレーション用パッチの後段の基準パッチの測色値の何れかが初期測色値でない場合に、読みはずしがあったと判定する。本実施の形態では、測色器が色見本画像の内部を通過したかどうかを判定する判定手段の一例として、操作判定部48を設けている。
それ以外の構成要素については、第1の実施の形態で既に説明したので、ここでの説明は省略する。
【0047】
図10及び図11は、第2の実施の形態における測色装置10の動作例を示したフローチャートである。尚、このフローチャートは、基準パッチの色が黒色であり、キャリブレーション用パッチの色が白から黒までの色(白、淡いグレイ、濃いグレイ、黒)と区別可能な色であり、連続的に配置されたキャリブレーション用パッチの数がN個である場合の動作例を示している。また、以下では、基準パッチ62上の位置から測色を開始し、基準パッチ62上の位置へと測色を進めるものとして、測色装置10の動作例を説明する。
図10に示すように、測色装置10では、まず、制御部41が、カラーパッチの数を数えるための変数iに0を代入する(ステップ401)。
【0048】
次に、制御は測色値取得部46に移り、測色値取得部46が、A/D変換回路17(図1参照)から出力されたディジタル電気信号を測色値として取得する(ステップ402)。
そして、測色値比較部47は、パッチフラグが設定済みであるかどうかを判定する(ステップ403)。ここで、パッチフラグとは、現在測色値を取得中のパッチがキャリブレーション用パッチであるのか基準パッチであるのかを示すフラグであり、キャリブレーション用パッチである場合は「Cali」が設定され、基準パッチである場合は「Ref」が設定される。
測色操作開始時には、パッチフラグは未設定であるので、ステップ403での判定はNoとなり、測色値比較部47は、パッチフラグに「Ref」を設定する(ステップ404)。
そして、制御は制御部41に戻り、制御部41が、iが0であるかどうかを判定する(ステップ405)。この場合、iが0であるので、ステップ402で取得された測色値を、初期測色値記憶部43に記憶する(ステップ406)と共に、後段測色値記憶部45に記憶して(ステップ412)、ステップ402に戻る。
【0049】
次に、制御は測色値取得部46に移り、測色値取得部46が、A/D変換回路17(図1参照)から出力されたディジタル電気信号を測色値として取得する(ステップ402)。
そして、測色値比較部47は、パッチフラグが設定済みであるかどうかを判定する(ステップ403)。
ステップ404でパッチフラグは「Ref」に設定済みであるので、ステップ403での判定はYes、ステップ407での判定は「Ref」となり、測色値比較部47は、ステップ402で取得された測色値が、後段測色値記憶部45に記憶された測色値と大きく異なるかどうかを判定する(ステップ408)。例えば、ステップ402で取得された測色値と後段測色値記憶部45に記憶された測色値との色差が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する。
これらの測色値が大きく異ならないと判定されれば、制御は制御部41に戻り、制御部41が、iが0であるかどうかを判定する(ステップ405)。この場合、iが0であるので、ステップ402で取得された測色値を、初期測色値記憶部43に記憶する(ステップ406)と共に、後段測色値記憶部45に記憶して(ステップ412)、ステップ402に戻る。
【0050】
このような処理が、基準パッチ62及び基準パッチ62が測色されている間、繰り返し行われる。その後、測色装置10がスライド操作によってキャリブレーション用パッチ61上に達すると、測色値が大きく変化し、iはNでなく、取得された測色値は白から黒までの色の測色値ではないので、ステップ408での判定はYes、ステップ409での判定はNo、ステップ410での判定はNoとなる。
【0051】
尚、この動作例では、基準パッチ62上の位置のうち基準パッチ62の前段の位置から測色を開始することとしたので、ステップ408で測色値が大きく異なると判定された場合、取得された測色値はキャリブレーション用パッチ61の測色値であり白から黒までの色の測色値ではなかったが、基準パッチ62上の位置のうち基準パッチ62からはずれた領域の前段の位置から測色を開始することとすると、ステップ408で測色値が大きく異なると判定された場合、取得された測色値は下地の測色値であり白から黒までの色の測色値であることも考えられる。この場合、ステップ410での判定はYesとなって、制御は制御部41に移り、制御部41が、後段測色値記憶部45に記憶された測色値を一旦クリアし(ステップ411)、ステップ402で取得された測色値を改めて後段測色値記憶部45に記憶する(ステップ412)。
【0052】
さて、ステップ410での判定がNoとなった場合、図11に示すように、測色装置10では、まず、測色値比較部47が、パッチフラグに「Cali」を設定する(ステップ451)。
そして、制御は操作判定部48に移り、操作判定部48は、前段測色値記憶部44に測色値が記憶されているかどうかを判定する(ステップ452)。
【0053】
1つ目のキャリブレーション用パッチの測色開始時には、前段測色値記憶部44には測色値が記憶されていないので、ステップ452での判定はNoとなり、制御は制御部41に戻り、制御部41が、変数iに1を加算する(ステップ456)。この場合、iは0であったので1とする。そして、制御部41は、iがNを超えたかどうかを判定し(ステップ457)、超えていれば、処理を終了する。この場合、iは1であるのでNを超えておらず処理は継続される。
その後、制御部41は、後段測色値記憶部45に記憶された測色値を前段測色値記憶部44にコピーし(ステップ458)、キャリブレーション用測色値記憶部42及び後段測色値記憶部45の内容をクリアし(ステップ459)、ステップ402で取得された測色値をキャリブレーション用測色値記憶部42に記憶して(ステップ460)、ステップ402に戻る。
【0054】
次に、再び図10を参照すると、制御は測色値取得部46に移り、測色値取得部46が、A/D変換回路17(図1参照)から出力されたディジタル電気信号を測色値として取得する(ステップ402)。
そして、測色値比較部47は、パッチフラグが設定済みであるかどうかを判定する(ステップ403)。
ステップ451でパッチフラグは「Cali」に設定済みであるので、ステップ403での判定はYes、ステップ407での判定は「Cali」となり、再び図11を参照すると、測色値比較部47は、ステップ402で取得された測色値が、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶された測色値と大きく異なるかどうかを判定する(ステップ461)。例えば、ステップ402で取得された測色値とキャリブレーション用測色値記憶部42に記憶された測色値との色差が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する。
これらの測色値が大きく異ならないと判定されれば、制御は制御部41に戻り、制御部41が、ステップ402で取得された測色値をキャリブレーション用測色値記憶部42に記憶して(ステップ460)、ステップ402に戻る。
【0055】
このような処理が、キャリブレーション用パッチ61が測色されている間、繰り返し行われる。その後、測色装置10がスライド操作によって基準パッチ62上に達すると、ステップ402で取得された測色値が、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶された測色値と大きく異なることになり、ステップ461での判定はYesとなる。
この場合、再び図10を参照すると、測色値比較部47が、パッチフラグに「Ref」を設定する(ステップ404)。
そして、制御は制御部41に戻り、制御部41が、iが0であるかどうかを判定する(ステップ405)。この場合、iが1であるので、ステップ402で取得された測色値を後段測色値記憶部45に記憶して(ステップ412)、ステップ402に戻る。
【0056】
次に、制御は測色値取得部46に移り、測色値取得部46が、A/D変換回路17(図1参照)から出力されたディジタル電気信号を測色値として取得する(ステップ402)。
そして、測色値比較部47は、パッチフラグが設定済みであるかどうかを判定する(ステップ403)。
ステップ404でパッチフラグは「Ref」に設定済みであるので、ステップ403での判定はYes、ステップ407での判定は「Ref」となり、測色値比較部47は、ステップ402で取得された測色値が、後段測色値記憶部45に記憶された測色値と大きく異なるかどうかを判定する(ステップ408)。例えば、ステップ402で取得された測色値と後段測色値記憶部45に記憶された測色値との色差が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する。
これらの測色値が大きく異ならないと判定されれば、制御は制御部41に戻り、制御部41が、iが0であるかどうかを判定する(ステップ405)。この場合、iが1であるので、ステップ402で取得された測色値を後段測色値記憶部45に記憶して(ステップ412)、ステップ402に戻る。
【0057】
このような処理が、基準パッチ62が測色されている間、繰り返し行われる。その後、測色装置10がスライド操作によってキャリブレーション用パッチ61上に達すると、測色値が大きく変化し、iはNでなく、取得された測色値は白から黒までの色の測色値ではないので、ステップ408での判定はYes、ステップ409での判定はNo、ステップ410での判定はNoとなる。
この場合、再び図11を参照すると、測色値比較部47が、パッチフラグに「Cali」を設定する(ステップ451)。
そして、制御は操作判定部48に移り、操作判定部48は、前段測色値記憶部44に測色値が記憶されているかどうかを判定する(ステップ452)。
【0058】
2つ目以降のキャリブレーション用パッチの測色開始時には、ステップ458で前段測色値記憶部44に測色値が書き込まれているので、ステップ452での判定はYesとなり、操作判定部48は、前段測色値記憶部44に記憶された測色値及び後段測色値記憶部45に記憶された測色値の両方が、初期測色値記憶部43に記憶された初期測色値であるかどうかを判定する(ステップ453)。ここで、各記憶部に記憶された測色値が初期測色値であるどうかは、各記憶部に記憶された予め定めた時間間隔で取得された測色値の中に初期測色値が閾値以上存在するかどうかを調べることによって行ってもよいし、各記憶部に記憶された予め定めた時間間隔で取得された測色値の平均が予め定められた基準以上初期測色値に近いかどうかを調べることによって行ってもよい。
【0059】
その結果、前段測色値記憶部44に記憶された測色値及び後段測色値記憶部45に記憶された測色値の両方が初期測色値であると判定されれば、情報出力部49は、変数i(この場合は1)と、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶された測色値とを画像処理装置20(図1参照)に対して出力する(ステップ454)。
一方、前段測色値記憶部44に記憶された測色値及び後段測色値記憶部45に記憶された測色値の何れかが初期測色値でないと判定されれば、情報出力部49は、変数i(この場合は1)と、操作に不具合が生じた旨の情報とを測色装置10の図示しない表示部に対して出力する(ステップ455)。尚、この場合、正しくない測色値に基づく処理がなされないように、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶された測色値は処理対象から除外することが望ましい。
【0060】
次に、制御は制御部41に戻り、制御部41が、変数iに1を加算する(ステップ456)。この場合、iは1であったので2とする。そして、制御部41は、iがNを超えたかどうかを判定し(ステップ457)、超えていれば、処理を終了する。この場合、iは2であるのでNを超えておらず処理は継続される。
その後、制御部41は、後段測色値記憶部45に記憶された測色値を前段測色値記憶部44にコピーし(ステップ458)、キャリブレーション用測色値記憶部42及び後段測色値記憶部45の内容をクリアし(ステップ459)、ステップ402で取得された測色値をキャリブレーション用測色値記憶部42に記憶して(ステップ460)、ステップ402に戻る。
【0061】
以降、同じようにキャリブレーション用パッチ61,61,…,61N−1の測色値又は操作に不具合が生じた旨の情報が出力され、キャリブレーション用パッチ61の測色値がキャリブレーション用測色値記憶部42に記憶されているとする。ここで、測色装置10がスライド操作によって基準パッチ62N+1からはずれると、ステップ402で取得された測色値が、後段測色値記憶部45に記憶された測色値と大きく異なることになり、図10のステップ408での判定はYesとなる。或いは、基準パッチ62N+1の左又は右の下地の部分をスライドさせて測色を終了したときも色の変化を検知し、ステップ408での判定はYesとなる。そして、測色値比較部47は、iがNであるかどうかを判定する(ステップ409)。
この場合、iがNであるので、再び図11を参照すると、測色値比較部47が、パッチフラグに「Cali」を設定する(ステップ451)。
そして、制御は操作判定部48に移り、操作判定部48は、前段測色値記憶部44に測色値が記憶されているかどうかを判定する(ステップ452)。
【0062】
2つ目以降のキャリブレーション用パッチの測色開始時には、ステップ458で前段測色値記憶部44に測色値が書き込まれているので、ステップ452での判定はYesとなり、操作判定部48は、前段測色値記憶部44に記憶された測色値及び後段測色値記憶部45に記憶された測色値の両方が、初期測色値記憶部43に記憶された初期測色値であるかどうかを判定する(ステップ453)。
【0063】
その結果、前段測色値記憶部44に記憶された測色値及び後段測色値記憶部45に記憶された測色値の両方が初期測色値であると判定されれば、情報出力部49は、変数i(この場合はN)と、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶された測色値とを画像処理装置20(図1参照)に対して出力する(ステップ454)。
一方、前段測色値記憶部44に記憶された測色値及び後段測色値記憶部45に記憶された測色値の何れか初期測色値でないと判定されれば、情報出力部49は、変数i(この場合はN)と、操作に不具合が生じた旨の情報とを測色装置10の図示しない表示部に対して出力する(ステップ455)。
【0064】
次に、制御は制御部41に戻り、制御部41が、変数iに1を加算する(ステップ456)。この場合、iはNであったのでN+1とする。そして、制御部41は、iがNを超えたかどうかを判定し(ステップ457)、超えていれば、処理を終了する。この場合、iはN+1であるのでNを超えており処理は終了する。
【0065】
ところで、この動作例では、ステップ453で、前段測色値記憶部44に記憶された測色値及び後段測色値記憶部45に記憶された測色値の何れかが初期測色値でないと判定された場合、ステップ455で、操作の不具合が生じた旨の情報を出力したり、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶されているキャリブレーション用パッチの測色値を処理対象から除外したりしたが、これ以外の動作を行うようにしてもよい。例えば、図示しない補正部が、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶されているキャリブレーション用パッチの測色値を、前段測色値記憶部44に記憶された基準パッチの測色値及び後段測色値記憶部45に記憶された基準パッチの測色値に基づいて補正することが考えられる。そして、この補正後の測色値を画像処理装置20に送信するようにしてもよい。
【0066】
図12は、この補正部による補正方法について説明するための図である。この図は、図7のカラーチャートからキャリブレーション用パッチ61及び基準パッチ62,62の部分を抜き出したものであるが、説明の都合上、図7とはパッチの長さの関係を変えて示してある。また、白抜きの丸印は、ある時点において測色装置10のアパーチャが位置した領域を示す。尚、この補正を行う場合、基準パッチの幅は、キャリブレーション用パッチの幅からアパーチャサイズの2倍を減じて得られた長さよりも長いものとする。また、キャリブレーション用パッチとしては、同じ色相で明度が異なる色のものが連続的に配置されているとする。
【0067】
(a)は、測色装置10のアパーチャが基準パッチ62,62の内部に位置する場合である。この場合、ステップ453での判定はYesとなり、アパーチャはキャリブレーション用パッチ61の内部を通過してきたと思われる。従って、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶されたキャリブレーション用パッチ61の測色値は補正されない。
【0068】
(b)は、測色装置10のアパーチャの一部が基準パッチ62,62の外部に位置する場合である。この場合、ステップ453での判定はNoとなる。そこで、補正部は、前段測色値記憶部44に記憶された基準パッチ62の測色値の明度に基づいて、測色装置10のアパーチャの基準パッチ62からのずれ量Dを算出すると共に、後段測色値記憶部45に記憶された基準パッチ62の測色値の明度に基づいて、測色装置10のアパーチャの基準パッチ62からのずれ量Dを算出する。尚、ずれ量D,Dの算出は、例えば、予め定めた明度とずれ量との対応を参照して行うとよい。これにより、(b)では、基準パッチ62からのずれ量D及び基準パッチ62からのずれ量Dの両方とも、基準パッチ62,62の右端からキャリブレーション用パッチ61の右端までのずれ量Pを超えていないことが分かり、アパーチャはキャリブレーション用パッチ61の内部を通過してきたと思われる。従って、補正部は、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶されたキャリブレーション用パッチ61の測色値を補正しない。
【0069】
(c)も、測色装置10のアパーチャの一部が基準パッチ62,62の外部に位置する場合である。この場合も、ステップ453での判定はNoとなる。そこで、補正部は、前段測色値記憶部44に記憶された基準パッチ62の測色値の明度に基づいて、測色装置10のアパーチャの基準パッチ62からのずれ量Dを算出すると共に、後段測色値記憶部45に記憶された基準パッチ62の測色値の明度に基づいて、測色装置10のアパーチャの基準パッチ62からのずれ量Dを算出する。尚、ずれ量D,Dの算出は、例えば、予め定めた明度とずれ量との対応を参照して行うとよい。これにより、(c)では、基準パッチ62からのずれ量D及び基準パッチ62からのずれ量Dの両方とも、基準パッチ62,62の右端からキャリブレーション用パッチ61の右端までのずれ量Pを超えていることが分かり、アパーチャの一部はキャリブレーション用パッチ61の外部を通過してきたと思われる。従って、補正部は、キャリブレーション用測色値記憶部42に記憶されたキャリブレーション用パッチ61の測色値を、ずれ量Dからずれ量Pを減じて得られるずれ量及びずれ量Dからずれ量Pを減じて得られるずれ量の平均のずれ量に基づいて補正する。尚、この補正は、例えば、予め定めた明度とずれ量との対応を参照して行うとよい。つまり、上記平均のずれ量に対応する明度が、ずれない場合のX倍であるとすると、キャリブレーション用パッチ61の明度を(1/X)倍にする補正を行うとよい。
【0070】
以上により、第1の実施の形態及び第2の実施の形態についての説明を終了する。
尚、キャリブレーション用パッチ間の基準パッチの幅は、第1の実施の形態では、キャリブレーション用パッチの幅から測色装置10のアパーチャサイズの2倍を減じた長さ以下とし、第2の実施の形態では、測色装置10のアパーチャサイズ以上で、キャリブレーション用パッチの幅以下としたが、これに限るものではない。即ち、基準パッチの測色値に基づくキャリブレーション用パッチの読みはずしの可能性を判定するためには、基準パッチの幅が少なくともキャリブレーション用パッチの幅以下であればよい。
【0071】
また、本実施の形態では、基準パッチの測色値に基づいてキャリブレーション用パッチの読みはずしの可能性を判定する処理を、測色装置10内で行うようにしたが、これには限らない。例えば、測色装置10から測色値を受信する画像処理装置20内で行うようにしてもよい。或いは、図1には示していないが、測色装置10から受信した測色値を情報処理装置が画像処理装置20に送信するシステムにおいて、情報処理装置内でこのような処理を行うようにしてもよい。尚、この場合、画像処理装置20、情報処理装置は、測色データ処理装置の一例である。
【0072】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0073】
10…測色装置、20…画像処理装置、31,41…制御部、32,42…キャリブレーション用測色値記憶部、34,44…前段測色値記憶部、35,45…後段測色値記憶部、36,46…測色値取得部、37,47…測色値比較部、38,48…操作判定部、39,49…情報出力部、43…初期測色値記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に配置された複数の色見本画像と、当該複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置され隣の色見本画像の幅以下の幅をそれぞれ持つ複数の間隙画像とが印刷された媒体上で測色器を移動させる操作に応じて、当該測色器が当該媒体上の移動した領域を測色して得た測色データを取得する取得手段と、
前記複数の間隙画像のうちの特定の間隙画像に沿って前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された間隙測色データと、予め取得しておいた基準となる基準測色データとに基づいて、当該測色器が当該特定の間隙画像の隣の特定の色見本画像の内部を通過したかどうかを判定する判定手段と、
前記特定の色見本画像に沿って前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された色見本測色データを、前記判定手段による判定結果に応じて処理する処理手段と
を備えたことを特徴とする測色データ処理装置。
【請求項2】
前記複数の間隙画像は、それぞれ、前記隣の色見本画像の幅から前記測色器の測色用開口部の幅の2倍を減じて得られる長さ以下の長さの幅を持ち、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記間隙測色データと、前記媒体の下地の測色データとして予め取得しておいた前記基準測色データとが、予め定めた程度以上類似する場合に、前記測色器の少なくとも一部が前記特定の色見本画像の内部を通過しなかったと判定することを特徴とする請求項1に記載の測色データ処理装置。
【請求項3】
前記複数の間隙画像は、それぞれ、前記測色器の測色用開口部の幅以上の長さの幅を持ち、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記間隙測色データと、前記複数の間隙画像の測色データとして予め取得しておいた前記基準測色データとが、予め定めた程度以上類似する場合に、前記測色器が前記特定の色見本画像の内部を通過したと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の測色データ処理装置。
【請求項4】
前記複数の間隙画像の測色データとして予め取得しておいた前記基準測色データは、前記媒体に当該複数の間隙画像に関連付けて印刷された画像上で前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された測色データであることを特徴とする請求項3に記載の測色データ処理装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記測色器の少なくとも一部が前記特定の色見本画像の内部を通過しなかったと前記判定手段により判定された場合に、前記取得手段により取得された前記色見本測色データを除外した前記測色データを処理することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の測色データ処理装置。
【請求項6】
前記処理手段は、前記測色器の少なくとも一部が前記特定の色見本画像の内部を通過しなかったと前記判定手段により判定された場合に、前記取得手段により取得された前記色見本測色データを、前記取得手段により取得された前記間隙測色データに基づいて決定される前記特定の色見本画像の内部を通過しなかった前記測色器の部分の大きさに応じて補正することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の測色データ処理装置。
【請求項7】
連続的に配置された複数の色見本画像と、当該複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置され隣の色見本画像の幅以下の幅をそれぞれ持つ複数の間隙画像とが印刷された媒体上での移動に応じて、当該媒体上の移動した領域を測色する測色手段と、
前記複数の間隙画像のうちの特定の間隙画像に沿った移動に応じて前記測色手段が測色した結果である間隙測色データと、予め取得しておいた基準となる基準測色データとに基づいて、自装置が当該特定の間隙画像の隣の特定の色見本画像の内部を通過したかどうかを判定する判定手段と、
自装置が前記特定の色見本画像の内部を通過したと前記判定手段により判定された場合に、前記特定の色見本画像に沿った移動に応じて前記測色手段が測色した結果である色見本測色データを、前記測色手段が測色した結果を処理する他の装置に出力し、自装置の少なくとも一部が前記特定の色見本画像の内部を通過しなかったと前記判定手段により判定された場合に、少なくともその旨の情報を出力する出力手段と
を備えたことを特徴とする測色装置。
【請求項8】
コンピュータを、
連続的に配置された複数の色見本画像と、当該複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置され隣の色見本画像の幅以下の幅をそれぞれ持つ複数の間隙画像とが印刷された媒体上で測色器を移動させる操作に応じて、当該測色器が当該媒体上の移動した領域を測色して得た測色データを取得する取得手段と、
前記複数の間隙画像のうちの特定の間隙画像に沿って前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された間隙測色データと、予め取得しておいた基準となる基準測色データとに基づいて、当該測色器が当該特定の間隙画像の隣の特定の色見本画像の内部を通過したかどうかを判定する判定手段と、
前記特定の色見本画像に沿って前記測色器を移動させる操作に応じて前記取得手段により取得された色見本測色データを、前記判定手段による判定結果に応じて処理する処理手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項9】
連続的に配置された複数の色見本画像と、
前記複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置された複数の間隙画像と
が印刷され、
前記複数の間隙画像は、それぞれ、隣の色見本画像の幅から測色器の測色用開口部の幅の2倍を減じて得られる長さ以下の長さの幅を持つことを特徴とする印刷媒体。
【請求項10】
連続的に配置された複数の色見本画像と、
前記複数の色見本画像によって生じる複数の間隙にそれぞれ配置された複数の間隙画像と
が印刷され、
前記複数の間隙画像は、それぞれ、測色器の測色用開口部の幅以上で、隣の色見本画像の幅以下の長さの幅を持つことを特徴とする印刷媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−205221(P2012−205221A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70188(P2011−70188)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】