説明

測距センサおよびそれを搭載した機器

【課題】 放射光に対する対象物のずれによる誤測距を防止する。
【解決手段】 リードフレーム11に搭載された発光チップ12を含む発光部に、窓17を設けた遮光樹脂16で成る遮光部を設けて、リードフレーム11からの反射光による放射光の広がり部分を遮光する。こうすることにより、本来は放射光の中央部に在るべき対象物が、発光チップ12と受光チップ13との配列方向への位置ずれを起こして放射光の部分から外れたとしても、上記放射光の広がり部分は遮光されて存在しないため、上記放射光の広がり部分での上記対象物からの反射光が受光チップ13に入射することがない。こうして、放射光に対する対象物の位置ずれによる誤測距を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体を検出する場合等に使用される測距センサおよびそれを搭載した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光を用いて対象物を検出するセンサの一例として、特開平9‐318315号公報(特許文献1)に開示された光学式変位測定装置や、特開平10‐132559号公報(特許文献2)に開示された測距センサや、特開2000‐310508号公報(特許文献3)に開示された測距センサがある。
【0003】
上記特許文献1に開示された光学式変位測定装置は、光ビームを発生する投光源と、上記光ビームを測定物体に照射する投光光学系と、上記光ビームの測定物体からの反射光を集光する受光光学系と、上記受光光学系の結像面に配置されて受光スポットの位置を検出する位置検出素子とを備えて、三角測距原理によって測距を行う光学式変位測定装置において、上記測定物における所定の位置に照射されたビームの拡散光を上記受光光学系に集光してできる光は通過させ、それ以外の光が上記受光光学系に入らないようにする遮光体を、上記受光素子上に設けたものである。
【0004】
また、上記特許文献2に開示された測距センサは、発光素子および発光側レンズからなる発光部と受光素子および受光側レンズからなる受光部とを同一面に具備したセンサ本体上に、上記発光部と受光部との間に配置されて上記センサ本体からこのセンサ本体の前方に配置されたフィルターまでの間を遮断する遮光板を備えている。そして、上記フィルターで反射された反射光は、上記遮光板で遮られて上記受光部に入射されないようになっている。
【0005】
また、上記特許文献3に開示された測距センサは、発光素子および発光側レンズからなる発光部と受光素子および受光側レンズからなる受光部とを同一面に具備すると共に、三角測距原理に従って、対象物が所定の位置に配置されていることを検出する。そして、上記発光側レンズの周辺部に、放射光の指向角を狭めることによって上記発光部と対象物との間の非検出物に放射光が照射されることを防止する遮光板を配置している。
【0006】
ところで、図7に示すように、上記投光源や上記発光素子を構成する発光チップ1が発光する際に、上記発光チップ1の側面も発光する。そのために、発光チップ1が搭載されたリードフレーム2に発光チップ1からの光が反射して迷光となり、上記投光源や発光素子の発光範囲が広がることになり、発光チップ1との対向部に配置された発光側レンズ3から投光される放射光の範囲も広がることになる。
【0007】
このように、上記迷光に起因して発光側レンズ3からの放射光が広がり、この放射光の広がり部分5にのみ対象物6が在った場合には、広がった放射光が対象物6で反射されることになる。特に、対象物6が反受光素子8側に存在している場合には、放射光の広がり部分5に在る対象物6からの反射光が受光側レンズ7を通って受光素子8に入射する位置9と、放射光の中央部4における対象物6と同距離の位置に対象物6'が在ると仮定した場合に対象物6'からの反射光が受光側レンズ7を通って受光素子8に入射する位置9'とは、異なることになる。したがって、両対象物6,6'が同距離に在っても、測距センサからの放射光が当たる位置が相違することによって反射光の重心がずれ、結果的に測距センサの出力値が異なることになる。
【0008】
詳述すれば、上記両対象物6,6'が同距離に在るとしても、対象物6'が測距センサからの放射光の中央部4に在る場合と、上記対象物6'の位置が反受光素子8側にずれて放射光の中央部4には対象物6'が無いのに放射光の広がり部分5には対象物6が在る場合とで、放射光の広がり部分5に在る対象物6からの反射光の入射位置9は中央部4における対象物6よりも距離が短い位置に在る対象物6''からの反射光の入射位置9に等しくなる。そのために、三角測距原理によって対象物6までの距離を計測する場合に、両対象物6,6'は測距センサから同距離に在るにも拘わらず反射光の入射位置9,9'が異なることによって、対象物6'までの距離とは異なる距離、即ち対象物6があたかも対象物6'に存在している距離の出力が生じる。その結果、誤測距になるという問題がある。
【0009】
尚、上記対象物6'の位置が受光素子8側にずれて、放射光の中央部4には対象物6'が無いのに拘わらず放射光の広がり部分5'には対象物6'''が在る場合には、放射光の広がり部分5'に在る対象物6'''からの反射光の入射位置9''は受光素子8の検出領域から外れるために、対象物6'''は検出されないのである。
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に開示された光学式変位測定装置の場合には、上記受光素子側に遮光板を設けるものの、上述したような測定物の位置による反射光の違いを区別することはできない。そのために、上述の問題を解決することができないのである。
【0011】
また、上記特許文献2に開示された測距センサの場合には、上記発光部と受光部との近傍に設けられたフィルター等からの鏡面反射光が上記受光部に入射されないようにすることはできる。しかしながら、上記特許文献1に開示された光学式変位測定装置の場合と同様に、上述の問題を解決することはできない。
【0012】
また、上記特許文献3に開示された測距センサの場合には、放射光の広がりを抑えて、測距センサ近傍に在る被対象物に対しては効果を奏することができる。ところが、検出の対象となる対象物の放射光中心からのずれに対しては、以下のような問題がある。すなわち、測距センサの上記発光側レンズ前面で遮光する場合、例えば、発光チップの中心から0.5mmずれているフレーム上が光って発光源になる場合、上記発光側レンズの焦点位置が5mmであり、レンズ径が半径3mmである場合には、レンズ前面に必要な上記フレーム上の発光源からの光を遮光する遮光板の高さは最低30mmが必要になる。そのため、測距センサ自体が大きくなってしまう。
【特許文献1】特開平9‐318315号公報
【特許文献2】特開平10‐132559号公報
【特許文献3】特開2000‐310508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、この発明の課題は、測距センサを大きくせずに迷光に起因する放射光によって生じる誤測距を防止できる測距センサおよびそれを搭載した機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明の測距センサは、
光を放射する発光素子と、この発光素子からの放射光を集光して所定方向に投光する発光側レンズとを含む発光系と、
上記発光側レンズからの放射光が測距の対象物で反射された反射光を集光する受光側レンズと、この受光側レンズによって集光された上記反射光を受光する受光素子とを含む受光系と、
上記受光素子からの出力信号に基づいて、三角測距原理によって上記対象物までの距離を算出する距離算出部と、
を備えた測距センサであって、
上記発光系で生じる迷光のうち、少なくとも上記発光側レンズから投光される放射光が反受光素子側にずれる迷光を遮光する遮光部を上記発光素子と上記発光側レンズの間に備えたことを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、上記遮光部によって、上記発光系内で発生した迷光に基づく上記発光側レンズからの放射光のうち少なくとも反受光素子側にずれる広がりが遮光される。したがって、本来は上記発光側レンズからの放射光の中央部に在るべき測距の対象物が、上記発光素子と上記発光側レンズとの配列方向に位置ずれを起したとしても、上記発光側レンズからの放射光の広がり部分が無いために、上記位置ずれに起因する誤測距が防止される。また、遮光部を発光素子から発光側レンズ間の発光側光学系に設けることによって、測距センサ事態が大型化することが無い。
【0016】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記遮光部は、
上記発光素子と上記発光側レンズとの間に配設された遮光部材と、
上記遮光部材における上記発光素子との対向部に設けられると共に、上記発光素子からの放射光を上記発光側レンズに導く窓と
を含んでいる。
【0017】
この実施の形態によれば、上記発光素子と上記発光側レンズとの間に配設された遮光部材に窓を開けるといった極めて簡単な構造で、特に、上記発光素子の側面から放射されて上記発光素子が載置されているリードフレームの表面で反射された光に基づく上記発光側レンズからの放射光の広がりが、効果的に遮光される。
【0018】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記窓は、上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心とを通る中心軸を有する筒形を成している。
【0019】
この実施の形態によれば、上記筒形を成す窓における上記発光素子側の縁によって、上記発光側レンズからの放射光の全周囲に亙る広がりが遮光される。
【0020】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記筒形は円筒形である。
【0021】
この実施の形態によれば、上記円筒形を成す窓における上記発光素子側の縁によって、上記発光側レンズからの放射光の全周囲に亙る広がりが、効果的に遮光される。
【0022】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記窓は、上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心とを通る中心軸を有すると共に、上記中心軸と上記受光素子の中心とを含む平面に関して、上記中心軸から上記受光素子側の壁面までの距離が上記中心軸から反受光素子側の壁面までの距離よりも短い非対称形の断面形状を有している。
【0023】
この実施の形態によれば、上記窓における上記中心軸から壁面までの距離が短い上記受光素子側であって上記発光素子側の縁によって、上記発光側レンズからの放射光の反受光素子側への広がりが、効果的に遮光される。
【0024】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記窓は、上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心とを通る中心軸を有すると共に、上記発光素子側から上記発光側レンズ側に向かって開いた漏斗状の形状を有している。
【0025】
この実施の形態によれば、上記漏斗状を成す窓における上記発光素子側の縁によって、上記発光側レンズからの放射光の全周囲に亙る広がりが、効果的に遮光される。さらに、上記漏斗状を成す窓における上記発光側レンズ側寄りの内周壁で反射され迷光となる光量が少なくなって、上記発光側レンズ側寄りの内周壁での反射光による測距への悪影響が低減される。
【0026】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記窓は、上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心とを通る中心軸を有すると共に、少なくとも上記発光素子側に位置する小径部と上記発光側レンズ側に位置する大径部とを有する複数段の筒形を成している。
【0027】
この実施の形態によれば、上記複数段の筒形を成す窓における上記小径部の縁により、上記発光側レンズからの放射光の全周囲に亙る広がりが遮光される。さらに、上記複数段の筒形を成す窓における上記大径部の縁側の内周壁での反射光が低減されて、上記大径部の縁側の内周壁での反射光による測距への悪影響が低減される。
【0028】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記筒形は円筒形である。
【0029】
この実施の形態によれば、上記複数段の円筒形を成す窓における上記小径部の縁によって、上記発光側レンズからの放射光の全周囲に亙る広がりが、効果的に遮光される。さらに、上記複数段の円筒形を成す窓における上記大径部の縁側の内周壁での反射光が低減されて、上記大径部の縁側の内周壁での反射光による測距への悪影響が低減される。
【0030】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記窓は、
上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心を通る中心軸を有する筒形の穴部と、
上記穴部の内壁面における上記発光素子側の縁に設けられて、上記中心軸と上記受光素子の中心とを含む平面に対して直交すると共に上記中心軸を含む平面に関して、上記受光素子側を部分的に遮光する遮光板と
を含んでいる。
【0031】
この実施の形態によれば、上記窓を構成する筒形の穴部における上記遮光板が設けられた上記発光素子側の縁によって上記受光素子側が部分的に遮光されて、上記発光側レンズからの放射光の反受光素子側への広がりが、効果的に遮光される。
【0032】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記遮光部は、上記発光側レンズの反発光素子側における上記放射光の広がり部分を遮光できる領域に配設された遮光部材で構成されている。
【0033】
この実施の形態によれば、上記発光側レンズの反発光素子側に配設されて上記遮光部を構成する遮光部材によって、特に、上記発光側レンズの内部反射によって集光されない光に基づく上記発光側レンズからの放射光の広がりが、効果的に遮光される。
【0034】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記遮光部材は、上記発光素子の発光点および上記発光側レンズの中心を通る光軸と上記受光素子の中心とを含む平面に対して直交すると共に上記光軸を含む平面に関して、反受光素子側にのみ配設されている。
【0035】
この実施の形態によれば、上記遮光部材によって、上記発光側レンズからの放射光における上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心とを通る光軸に対して反受光素子側への広がりが、効果的に遮光される。
【0036】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記発光側レンズの反発光素子側に配設されたフィルターと、
上記フィルターを上記発光素子側から保持するフィルター保持部材と
を有し、
上記遮光部材は、上記フィルター保持部材に一端が取り付けられると共に、上記フィルターの内側に沿って延在している。
【0037】
この実施の形態によれば、上記遮光部材は、上記フィルターの内側に沿って延在して配設されている。したがって、外観を損なわないように上記遮光部材を配設することができる。
【0038】
また、1実施の形態の測距センサでは、
上記発光素子と上記発光側レンズとの間に配設された遮光部材と、この遮光部材における上記発光素子との対向部に設けられると共に、上記発光素子からの放射光を上記発光側レンズに導く窓とを含む遮光部を、さらに備えている。
【0039】
この実施の形態によれば、特に、上記発光側レンズの内部反射によって集光されない光に基づく上記発光側レンズからの放射光の広がりに加えて、上記発光素子と上記発光側レンズとの間に配置された遮光部によって、上記発光素子の側面から放射されて上記発光素子が載置されているリードフレームの表面で反射された光に基づく上記発光側レンズからの放射光の広がりが、効果的に遮光される。
【0040】
また、この発明の機器は、
請求項1に記載の測距センサを搭載したことを特徴としている。
【0041】
上記構成によれば、上記測距センサによって、上記発光部内で発生した迷光に基づく上記発光側レンズからの放射光の広がりが遮光されて、本来は上記発光側レンズからの放射光の中央部に在るべき測距の対象物が、上記発光素子と上記発光側レンズとの配列方向に位置ずれを起したとしても、上記位置ずれに起因する誤測距が防止される。したがって、正確に計測された上記対象物までの距離に従って安定した動作を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0042】
以上より明らかなように、この発明の測距センサは、発光素子と発光側レンズとの間および上記発光側レンズの反発光素子側のうちの少なくとも一方に配置された遮光部によって、上記発光素子および上記発光側レンズを含む発光部内で発生した迷光に基づく上記発光側レンズからの放射光の広がりを遮光するので、本来は上記発光側レンズからの放射光の中央部に在るべき測距の対象物が、上記発光素子と上記発光側レンズとの配列方向に位置ずれを起したとしても、上記発光側レンズからの放射光の広がり部分を無くして、上記位置ずれに起因する誤測距を防止することができる。
【0043】
また、この発明の機器は、上記測距センサを搭載しているので、本来は上記発光側レンズからの放射光の中央部に在るべき測距の対象物が、上記発光素子と上記発光側レンズとの配列方向に位置ずれを起したとしても、上記位置ずれに起因する誤測距を防止できる。したがって、正確に計測された上記対象物までの距離に従って安定した動作を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0045】
・第1実施の形態
図1は、本実施の形態の測距センサにおける基本構造を示す縦断面図である。図1に示すように、本測距センサは、リードフレーム11上に発光チップ12と受光チップ13とIC(集積回路)14をマウントし、このリードフレーム11と各チップ12,13とIC14とを、透明なエポキシ樹脂などの赤外透過樹脂または透明樹脂15によって封止(1次モールド)する。その際に、発光チップ12を含む発光部と受光チップ13およびIC14を含む受光部とを個別に封止する。さらに、赤外透過樹脂または透明樹脂15によって封止された発光部と受光部とを、並設された状態で一体に包み込むように黒色PPS樹脂などの遮光樹脂16で封止(2次モールド)する。こうして、遮光樹脂16によって、上記受光部と上記発光部との間における光の遮断と外乱光の遮断とを行うのである。但し、遮光樹脂16における発光チップ12との対向部に窓17を設ける一方、受光チップ13との対向部に窓18を設けて、発光チップ12からの放射光および対象物からの反射光の光路を確保するようにしている。こうすることによって、受発光を支障無く行えるのである。
【0046】
さらに、上記遮光樹脂16の側面と前方とを、カーボン入りABS樹脂などの遮光材で成型されたレンズケース21で覆い、このレンズケース21における遮光樹脂16の窓17との対向部には発光側レンズ19を配置する一方、窓18との対向部内側には受光側レンズ20を配置している。さらに、レンズケース21における発光側レンズ19と受光側レンズ20との間と遮光樹脂16の前面との間には、レンズケース21から遮光樹脂16にかけて延在して、上記発光部と受光部とを分離すると共に、発光部から受光部への光を遮光する遮光板22を配置している。
【0047】
上記構成を有する測距センサは、上記IC14によって構成される距離算出部を有しており、受光チップ13を構成するPSD(Position Sensitive Photodetector:半導体位置検出素子)等の受光素子から出力される測距の対象物(以下、単に対象物と言う)からの反射光の入射位置を表す信号に基づいて、三角測距の原理を用いて上記対象物までの測距を検出するのである。
【0048】
上述のような測距センサの構造において、上記発光チップ12はチップ前面だけではなく、チップ側面からも発光する。その場合、チップ側面から放射された光は、発光チップ12が搭載されているリードフレーム11の表面を照射するため、リードフレーム11の表面で照射光が反射されて光源となり得る。その結果、光源の範囲は、発光チップ12だけではなく、リードフレーム11の面も含んで広い範囲となる。そして、リードフレーム11上の光源からの光も発光側レンズ19によって集光されるため、放射光に広がりが発生することになる。
【0049】
その場合は、図7に示すように、測距の対象物6が放射光の広がり部分5に在る場合には、放射光の広がりによる対象物6からの反射光が発生し、対象物6までの距離は放射光の中央部4に在る対象物6'までの距離と同じであるにも拘わらず、放射光の広がり部分5による対象物6からの反射光の受光素子8への入射位置9は、放射光の中央部4による対象物6''(対象物6'よりも近い位置に在る)からの反射光の場合と同じになる。その結果、出力(測距結果)が異なってしまう。
【0050】
そこで、本実施の形態においては、上記放射光の広がりを防止するために、上述した如く、透明樹脂15によって封止された発光部を遮光樹脂16で包み込むように封止すると共に、遮光樹脂16における発光チップ12との対向部に窓17を設けている。こうして、発光チップ12の前面に放射光の広がりを防止する遮光部を設けて、発光側レンズ19に入射する光源の範囲を狭めて放射光の広がりを抑制するのである。即ち、発光チップ12だけではなく、リードフレーム11の面も含んで広い範囲となった光源の範囲を狭めることになる。こうすることにより、発光チップ12からの放射光の範囲が狭くなり、発光チップ12と受光チップ13との配列方向への対象物の位置ずれによって誤測距が生ずる範囲が狭くなるのである。以下、図2〜図6に従って、遮光樹脂16に設ける窓17の具体的形状について述べる。
【0051】
図2は、図1に示す本測距センサにおける発光部の拡大図である。尚、図2(a)は図1に対応する縦断面図であり、図2(b)は図2(a)におけるA‐A'矢視断面図である。図2においては、遮光樹脂16における発光チップ12との対向部に設ける窓17の形状を、中心軸が発光チップ12の発光点と発光側レンズ19の中心とを通る円筒形とし、窓17の断面の直径を、例えば発光チップ12の外形が□0.3mmの場合には0.6mm程度にしている。こうすることによって、遮光樹脂16に設けた窓17の範囲を、発光チップ12の側面から放射された光のリードフレーム11での受光チップ13側の反射光を含む反射光(迷光)全体が遮られる程度に狭くすることができる。
【0052】
尚、図2に示す測距センサにおいては、窓17を円筒形に成している。しかしながら、円筒形に限定されるものではなく、平面多角形や楕円などの筒形であれば差し支えない。
【0053】
図3は、図1に示す本測距センサにおける発光部の図2とは異なる拡大図である。尚、図3(a)は図1に対応する縦断面図であり、図3(b)は図3(a)におけるB‐B'矢視断面図である。図3においては、遮光樹脂16における発光チップ12との対向部に設ける窓17の形状を、中心軸が発光チップ12の発光点と発光側レンズ19の中心とを通る円筒における受光チップ13側を埋め込んで、上記中心軸に平行な平面23を有する形状に成している。つまり、窓17は、上記中心軸と受光チップ13の中心とを含む平面に関して、上記中心軸から受光チップ13側の壁面までの距離が上記中心軸から反受光チップ13側の壁面までの距離よりも短い非対称形の所謂Dカットの断面形状を有しているのである。この例では、発光チップ12の外形が口0.3mmの場合には、発光チップ12の側面から平面23までの距離を0.3mmにし、円筒部分の直径は3mmにしている。こうすることにより、遮光樹脂16に設けた窓17を成す上記円筒における埋込部24によって、発光チップ12の側面から放射されてリードフレーム11で反射された光のうちの受光チップ13側での反射光を遮光することができ、図7における反射光の反受光素子8側に存在している広がり部分5側を効果的に無くすことが出来る。併せて、窓17を成型する際のピンの太さが図2におけるピンより太く、成形し易い。
【0054】
尚、図3に示す測距センサにおいては、窓17を円筒の受光チップ13側を埋め込んだ形状に成している。しかしながら、上記円筒に限定されるものではなく、受光チップ13側を埋め込んだ平面多角形や楕円などの筒形であればよい。
【0055】
図4は、図1に示す本測距センサにおける発光部の図2および図3とは異なる拡大図である。尚、図4(a)は図1に対応する縦断面図であり、図4(b)は図4(a)におけるC‐C'矢視断面図である。図4においては、上記遮光樹脂16における発光チップ12との対向部に設ける窓17の形状を、中心軸が発光チップ12の発光点と発光側レンズ19の中心とを通ると共に、上記中心軸に沿って発光側レンズ19に向かって開いた漏斗状に成している。こうすることにより、上記遮光樹脂16に設けた漏斗状の窓17を形成する薄肉部25によって、発光チップ12の側面から放射された光のリードフレーム11での反射光を遮光することができる。
【0056】
その際に、上記窓17は、発光側レンズ19に向かって開いた漏斗状を成している。したがって、窓17が図2に示す円筒形である場合に比べ、発光チップ12の前面に在る発光点からの放射光が窓17の発光側レンズ19側寄りの内周壁で反射され、迷光となる光量が少なくなって測距に悪影響を及ぼすことを防止することができるのである。
【0057】
図5は、図1に示す本測距センサにおける発光部の他の拡大図である。尚、図5(a)は図1に対応する縦断面図であり、図5(b)は図5(a)におけるD‐D'矢視断面図である。図5においては、上記遮光樹脂16における発光チップ12との対向部に設ける窓17の形状を、中心軸が発光チップ12の発光点と発光側レンズ19の中心とを通ると共に、発光チップ12側に位置する小径部26と発光側レンズ19側に位置する大径部とを有する2段の円筒形を成している。こうすることにより、遮光樹脂16に設けた2段の円筒形を成す窓17の小径部26によって、発光チップ12の側面から放射された光のリードフレーム11での反射光を遮光することができる。
【0058】
その際に、窓17は、発光側レンズ19側が大径であり発光チップ12側が小径である2段の円筒形を成している。したがって、発光側レンズ19側が大径であるため、発光チップ12の前面に在る発光点からの放射光が窓17の発光側レンズ19側寄りの内周壁で反射され、迷光となって測距に悪影響を及ぼすことを防止することができるのである。
【0059】
尚、図5に示す測距センサにおいては、窓17を小径部26と大径部とを有する2段の円筒形としているが、小径部26と大径部との間に中径部を設けて複数段の円筒形としても差し支えない。また、複数段の円筒形に限定されるものではなく、複数段の筒形であれば差し支えない。
【0060】
図6は、図1に示す本測距センサにおける発光部の他の拡大図である。尚、図6(a)は図1に対応する縦断面図であり、図6(b)は図6(a)におけるE‐E'矢視断面図である。図6においては、上記遮光樹脂16における発光チップ12との対向部に設ける窓17の形状を、中心軸が発光チップ12の発光点と発光側レンズ19の中心とを通る円筒の内壁面における受光チップ13側であって発光チップ12側の縁に遮光板27を形成して、上記中心軸に平行な平面28を形成している。こうすることにより、遮光樹脂16に設けた窓17を成す上記円筒内における遮光板27によって、発光チップ12の側面から放射された光のうちリードフレーム11における受光チップ13側での反射光を遮光することができるのである。勿論、発光側レンズ19側の大径であるため、発光チップ12の前面に在る発光点からの放射光が窓17の発光側レンズ19側寄りの内周壁で反射されて迷光となって測距に悪影響を及ばすことを防止することができる。
【0061】
尚、図6に示す測距センサにおいては、窓17を円筒の内壁面に遮光板27を設けて形成している。しかしながら、上記円筒に限定されるものではなく、筒形であればよい。
【0062】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記リードフレーム11に搭載された発光チップ12を含む発光部の前に窓17を設けた遮光樹脂16で成る遮光部を設けて、リードフレーム11からの反射光による放射光の広がり部分を遮光している。したがって、図7において、本来は放射光の中央部4に在るべき測距の対象物6が、発光チップ1と受光チップ8との配列方向への位置ずれを起こして放射光の中央部4から外れたとしても、放射光の広がり部分5は遮光されて存在しないため放射光の広がり部分5での対象物6からの反射光が受光チップ8に入射することがない。したがって、放射光に対する対象物の位置ずれによる誤測距を防止することができるのである。
【0063】
ところで、上記実施の形態における図3および図6では、上記放射光の広がり部分のうち、窓17の中心軸と受光チップ13の中心とを含む平面に対して直交すると共に上記中心軸を含む平面に関して、反受光チップ13側への広がり部分のみを遮光する場合について説明している。しかしながら、受光チップ13側への広がり部分も遮光可能なように窓17を構成しても一向に構わない。
【0064】
・第2実施の形態
本実施の形態は、前面にフィルターが設置されている測距センサに関する。図8は、本実施の形態の測距センサにおける基本構造を示す縦断面図である。本測距センサは、図1に示す測距センサの前面を覆ってフィルター45が形成されている。
【0065】
図8において、リードフレーム31,発光チップ32,受光チップ33,IC34,赤外透過樹脂または透明樹脂35,遮光樹脂36,窓37,窓38,発光側レンズ39,受光側レンズ40,レンズケース41および遮光板42は、図1に示す測距センサにおけるリードフレーム11,発光チップ12,受光チップ13,IC14,赤外透過樹脂または透明樹脂15,遮光樹脂16,窓17,窓18,発光側レンズ19,受光側レンズ20,レンズケース21および遮光板22と同じである。
【0066】
本実施の形態においては、レンズケース41の両側部に両側部が固定されると共に、発光側レンズ39および受光側レンズ40よりも前方に延在しているフィルター保持部材43を設ける。そして、フィルター保持部材43の先端部に赤外光透過材で形成されたフィルター45を取り付け保持することによって、発光側レンズ39および受光側レンズ40よりも前方の所定の位置にフィルター45を配置するのである。さらに、上記フィルター45とレンズケース41との間には、フィルター45からレンズケース41にかけて延在して、発光側レンズ39を含む発光部と受光側レンズ40を含む受光部とを分離すると共に、発光部から受光部への光を遮光する遮光板44を配置している。
【0067】
この場合、図9に示すように、上記発光チップ32の前面から放射された光が、発光側レンズ39によって集光され、フィルター45を通って対象物48に向けて投光される。その際に、上記第1実施の形態の場合と同様に、リードフレーム31表面での反射による迷光が発生して放射光が広がる。または、発光側レンズ39の内部反射によって集光されない光によっても迷光が生じ放射光が広がる。その結果、フィルター45を透過した後の放射光に、放射光の中央部46と放射光の広がり部分47とが生ずることになる。
【0068】
したがって、本実施の形態の場合にも、上記第1実施の形態の場合と同様に、測距の対象物48'に放射光の広がり部分47のみが投光されることによって、本来の対象物48に放射光の中央部46が投光された場合とは異なって、対象物48よりも近い位置に在る対象物48''に放射光の中央部46が投光された場合と同じ検出信号が受光チップ33から出力され、誤測距となってしまう。
【0069】
そこで、本実施の形態においては、上記フィルター保持部材43における発光チップ32および発光側レンズ39を含む発光側の先端部であって、発光チップ32の発光点および発光側レンズ39の中心を通る光軸と受光チップ33の中心とを含む平面に対して直交すると共に上記光軸を含む平面に関して、反受光チップ33側に、放射光の広がり部47を遮光する遮光部材49をフィルター45に沿って設けるのである。こうすることによって、発光側レンズ39からの放射光の広がり部分のうち、特に発光側レンズ39の中心に対して受光側レンズ40とは反対側に生ずる放射光の広がり部分47が遮光部材49によって遮光される。したがって、図9において、本来、放射光の中央部46に存在すべき測距の対象物48が、発光チップ32と受光チップ33との配列方向における反受光チップ33側へ位置ずれを起こしたとしても、放射光の広がり部分47そのものが存在しないため対象物48'からの反射光が無くなる。その結果、対象物48の反受光チップ33側へのずれによる誤測距を防止することができるのである。
【0070】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記レンズケース41における発光側レンズ39および受光側レンズ40よりも前方にフィルター保持部材43を設けて、このフィルター保持部材43にフィルター45を取り付け保持する。そして、フィルター保持部材43における発光側の先端部に、放射光の広がり部47を遮光する遮光部材49を設けている。したがって、発光側レンズ39からの放射光の広がり部分47、特に、発光側レンズ39の内部反射によって集光されない光の存在による放射光の広がりを、効果的に遮光することができるのである。
【0071】
尚、上記第2実施の形態においては、上記発光側レンズ39の中心に対して受光側レンズ40と反対側に生ずる放射光の広がり部分47を遮光する遮光部材49のみを設けている。しかしながら、発光側レンズ39の中心に対して受光側レンズ40と同じ側に生ずる放射光の広がり部分を遮光する遮光部材を設けても一向に構わない。あるいは、放射光の広がり部分の総てを遮光可能なように遮光部材を設けることも可能である。
【0072】
また、上記第2実施の形態においては、外観を損なわないように、フィルター45の内側にフィルター45に沿って遮光部材49を設けている。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、発光側レンズ39の反発光チップ32側における上記放射光の広がり部分を遮光できる領域であれば、何処の場所に遮光部材49を設けても差し支えない。
【0073】
また、上記第1実施の形態においては、上記発光部における発光側レンズ19と発光チップ12との間にのみ上記遮光部を設けるようにし、上記第2実施の形態においては、さらに上記発光部における発光側レンズ39の反発光チップ32側にも上記遮光部を設けるようにしている。しかしながら、この発明は、これに限定されるものではなく、上記発光部における発光側レンズ19,39の反発光チップ12,32側にのみ上記遮光部を設けるようにしても一向に構わない。
【0074】
・第3実施の形態
本実施の形態は、上記第1実施の形態および第2の実施の形態における測距センサを搭載した機器に関する。本実施の形態においては、上記機器の具体的例として洋式便器に取付けて使用する温水洗浄装置を挙げて説明する。勿論、人体等の対象物の有無や上記対象物までの距離の情報を必要とする機器であれば温水洗浄装置に限定されるものではない。
【0075】
図10は、本洋式便座の平面図である。図10に示すように、洋式便座51には、上記第1実施の形態あるいは上記第2実施の形態に記載の構造を有する測距センサ52を内蔵した温水洗浄装置58が取り付けられている。そして、図10(a)に示すように、洋式便座51の前に立った人体53を検出して温水洗浄装置58の便蓋や便座(図示せず)の開閉を自動的に行うようになっている。そして、図10(b)に示すように、予め設定された所定距離よりも遠い位置であって光軸54を外れた位置に障害物体55のみが存在する場合には、上述したような放射光の広がり部分の光線56の存在によって、障害物体55を検出してしまう場合がある。
【0076】
しかしながら、本実施の形態においては、上記第1,第2実施の形態に記載の測距センサ52を使用しているため、放射光の広がり角度θを従来の測距センサよりも狭くでき、放射光の広がりの光線57によって障害物体55が検知され難くなる。したがって、不必要に便蓋が開閉するのを防止し、消費電力を節約できるのである。
【0077】
尚、上述したように、本実施の形態においては、上記機器の具体的例として温水洗浄装置を挙げて説明したが、ATM(自動現金受け払い機)や自動扉等の対象物の存在や距離の情報を必要とする機器であれば構わない。特に、空調が行われている店と外部環境とを仕切る自動扉の場合、本当に店に出入りする人のみを検知して扉を開閉するのが望ましく、店内で商品を見て回る人をも検知して扉を開閉してしまうと室内の空気が外部に不必要に逃げてしまいエネルギーロスとなって好ましくない。そこで、上記第1実施の形態あるいは上記第2実施の形態に記載の構造を有する測距センサを用いれば、扉の前に立った人(本当に出入したい人)のみを検知して扉を開閉することができるのである。
【0078】
ところで、上記温水洗浄装置やATMや自動扉等の機器においては、上記測距センサ52によって得られた人体53までの距離が予め定められた所定距離以下になると便蓋を開く等の動作が開始(オン)する一方、上記所定値よりも大きくなると上記動作が終了(便蓋を閉める等:オフ)するようになっている。そして、上述したように、図7において、放射光の広がり部分のうち、発光チップ1の発光点および発光側レンズ3の中心を通る光軸と受光チップ7の中心とを含む平面に対して直交すると共に上記光軸を含む平面に関して、反受光チップ7側への広がり部分5に人体53が居る場合には、測距センサ52は、人体53までの距離を、実際に人体53が居る位置6までの距離よりも近い位置6''までの距離と判定する。これに対して、受光チップ7と同じ側への広がり部分に人体53が居る場合には、測距センサ52は、人体53までの距離を、実際に人体53が居る位置までの距離よりも遠いと判定することになる。
【0079】
したがって、上記人体53が、上記動作がオフする領域(オフ領域)におけるオンする領域(オン領域)との境界に近い位置に居る場合であって、反受光チップ側への広がり部分に居る場合には、人体53は上記オフ領域に居るにも拘わらずオン領域に居ると誤判定されて、便蓋を開く等の誤動作が生じてしまう。これに対して、人体53が、受光チップと同じ側への広がり部分に居る場合には、人体53までの計測距離が実距離よりも遠くなるため人体53がオン領域に居ると誤判定されることはない。
【0080】
そこで、上記温水洗浄装置やATMや自動扉等の機器に搭載する測距センサ52においては、上記放射光の広がり部分のうち、少なくとも、上記光軸と受光チップの中心とを含む平面に対して直交すると共に上記光軸を含む平面に関して、反受光チップ側への広がり部分を遮光する必要がある。勿論、さらに加えて受光チップと同じ側への広がり部分をも遮光したり、総ての広がり部分を遮光するように構成しても一向に構わない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の測距センサにおける縦断面図である。
【図2】図1における窓の形状を示す図である。
【図3】図2とは異なる窓の形状を示す図である。
【図4】図2および図3とは異なる窓の形状を示す図である。
【図5】図2〜図4とは異なる窓の形状を示す図である。
【図6】図2〜図5とは異なる窓の形状を示す図である。
【図7】対象物の位置ずれに起因する誤測距の説明図である。
【図8】図1とは異なる測距センサにおける縦断面図である。
【図9】図8に示す測距センサによる効果の説明図である。
【図10】図1および図8に示す測距センサを搭載した機器を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
11,31…リードフレーム、
12,32…発光チップ、
13,33…受光チップ、
15,35…赤外透過樹脂または透明樹脂、
16,36…遮光樹脂、
17,18,37,38…窓、
19,39…発光側レンズ、
20,40…受光側レンズ、
21,41…レンズケース、
22,27,42,44…遮光板、
25…薄肉部、
26…小径部、
43…フィルター保持部材、
45…フィルター、
46…放射光の中央部、
47…放射光の広がり部分、
48,48',48''…対象物、
49…遮光部材、
51…洋式便座、
52…測距センサ、
53…人体、
55…障害物体、
56,57…放射光の広がり部分の光線、
58…温水洗浄装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放射する発光素子と、この発光素子からの放射光を集光して所定方向に投光する発光側レンズとを含む発光系と、
上記発光側レンズからの放射光が測距の対象物で反射された反射光を集光する受光側レンズと、この受光側レンズによって集光された上記反射光を受光する受光素子とを含む受光系と、
上記受光素子からの出力信号に基づいて、三角測距原理によって上記対象物までの距離を算出する距離算出部と、
を備えた測距センサであって、
上記発光系で生じる迷光のうち、少なくとも上記発光側レンズから投光される放射光が反受光素子側にずれる迷光を遮光する遮光部を上記発光素子と上記発光側レンズの間に備えたことを特徴とする測距センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の測距センサにおいて、
上記遮光部は、
上記発光素子と上記発光側レンズとの間に配設された遮光部材と、
上記遮光部材における上記発光素子との対向部に設けられると共に、上記発光素子からの放射光を上記発光側レンズに導く窓と
を含むことを特徴とする測距センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の測距センサにおいて、
上記窓は、上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心とを通る中心軸を有する筒形を成していることを特徴とする測距センサ。
【請求項4】
請求項2に記載の測距センサにおいて、
上記窓は、上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心とを通る中心軸を有すると共に、上記中心軸と上記受光素子の中心とを含む平面に関して、上記中心軸から上記受光素子側の壁面までの距離が上記中心軸から反受光素子側の壁面までの距離よりも短い非対称形の断面形状を有していることを特徴とする測距センサ。
【請求項5】
請求項2に記載の測距センサにおいて、
上記窓は、上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心とを通る中心軸を有すると共に、上記発光素子側から上記発光側レンズ側に向かって開いた漏斗状の形状を有していることを特徴とする測距センサ。
【請求項6】
請求項2に記載の測距センサにおいて、
上記窓は、上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心とを通る中心軸を有すると共に、少なくとも上記発光素子側に位置する小径部と上記発光側レンズ側に位置する大径部とを有する複数段の筒形を成していることを特徴とする測距センサ。
【請求項7】
請求項2に記載の測距センサにおいて、
上記窓は、
上記発光素子の発光点と上記発光側レンズの中心を通る中心軸を有する筒形の穴部と、
上記穴部の内壁面における上記発光素子側の縁に設けられて、上記中心軸と上記受光素子の中心とを含む平面に対して直交すると共に上記中心軸を含む平面に関して、上記受光素子側を部分的に遮光する遮光板と
を含むことを特徴とする測距センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の測距センサにおいて、
上記発光側レンズの反発光素子側における上記放射光の広がり部分を遮光できる領域に配設された遮光部材を設けたことを特徴とする測距センサ。
【請求項9】
請求項8に記載の測距センサにおいて、
上記遮光部材は、上記発光素子の発光点および上記発光側レンズの中心を通る光軸と上記受光素子の中心とを含む平面に対して直交すると共に上記光軸を含む平面に関して、反受光素子側にのみ配設されていることを特徴とする測距センサ。
【請求項10】
請求項8に記載の測距センサにおいて、
上記発光側レンズの反発光素子側に配設されたフィルターと、
上記フィルターを上記発光素子側から保持するフィルター保持部材と
を有し、
上記遮光部材は、上記フィルター保持部材に一端が取り付けられると共に、上記フィルターの内側に沿って延在していることを特徴とする測距センサ。
【請求項11】
請求項9に記載の測距センサにおいて、
上記発光素子と上記発光側レンズとの間に配設された遮光部材と、この遮光部材における上記発光素子との対向部に設けられると共に、上記発光素子からの放射光を上記発光側レンズに導く窓とを含む遮光部を、さらに備えていることを特徴とする測距センサ。
【請求項12】
請求項1に記載の測距センサを搭載したことを特徴とする機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−153730(P2006−153730A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346695(P2004−346695)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(301068491)株式会社パンウォシュレット (10)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】