説明

測距装置および撮像装置

【課題】被写体の測距精度の低下を抑えつつ、消費電力の増加を抑え、かつ、装置のコンパクト化を図ることができる測距装置および撮像装置を提供する。
【解決手段】測距装置3は、筐体20に焦点距離がfaの一対の測距用レンズ51aと51b、焦点距離がfbの一対の測距用レンズ52aと52b、焦点距離がfcの一対の測距用レンズ53aと53b、焦点距離がfdの一対の測距用レンズ54aと54bとを備えている。一対の測距用撮像素子22a,22bは、それぞれ4つの撮像領域221a,222a,223a,224a、221b,222b,223b,224bに分割されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測距装置および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置たるデジタルスチルカメラ(以下、「デジタルカメラ」という)のオートフォーカス(AF)方式として、撮影用の撮像素子を用いたコントラストAF方式や、撮影用の撮像素子は使わずに別途外部測距装置としてステレオカメラを用いた外部AF方式などがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
コントラストAF方式は、撮影用の撮像素子に結像させる主レンズを少しずつ駆動させながら、その都度画像のコントラストを確認して、最もコントラストが高くなる画像を探し出す。画像のコントラストが最も高い時の主レンズの位置をピントが合った状態(合焦)と見なしている。そのため高倍率(約10倍以上)のズームレンズを搭載したデジタルカメラでは、望遠撮影時は主レンズを駆動させる量が大きくなるため、駆動時間が長くなり、AF速度が遅くなるという欠点を持っている。AF速度が遅いとシャッターチャンスを逃してしまうことになる。
【0004】
一方、ステレオカメラを用いた外部AF方式は、撮影用の撮像素子とは別に、所定の間隔を設けて配置した一対の測距用レンズと、各測距用レンズを通して得られる被写体像が結像する一対の平面状の測距用撮像素子とを有している。各測距用撮像素子でそれぞれ撮像された画像間の視差を検出することで、被写体(被測定対象物)までの距離を求める。そのため、ステレオカメラを用いた外部AF方式では、主レンズを少しずつ何度も動かすのではなく、ステレオカメラで検出した被写体までの距離に基づいて主レンズを一気に動かすことができる。よって、高倍率のズームレンズを搭載したカメラにおいてもAF速度が遅くなることはないという利点を有している。
【0005】
従来、ステレオカメラを用いたAF機能を有するデジタルスチルカメラでは、ステレオカメラの測距用レンズとして固定焦点のレンズを採用していた。一方、撮影用の撮像素子に結像させる撮影レンズは、高倍率のズームレンズであり、可変焦点のレンズである。一般的に、デジタルカメラが35mm換算で28mm〜300mmの高倍率ズームレンズを撮影レンズとして用いている場合、測距装置であるステレオカメラの測距用レンズは28mm〜300mmの間の100mm前後の固定焦点のレンズを用いている。
【0006】
しかしながらこの構成では、測距範囲は100mm相当の画角で固定となるため、以下のような問題が生じる。
図8は、撮影レンズの焦点距離28mm、300mmのときの撮影用の撮像素子で撮像される画角と、測距用撮像素子で撮像される画角とを示した図である。図中Aは、レンズの焦点距離28mmのときの画角であり、図中Bは、レンズの焦点距離300mmのときの画角であり、図中Cは、レンズの焦点距離100mmのときの画角、すなわち、測距用撮像素子で撮像される画角である。100aは、測距用撮像素子100の画素である。
【0007】
撮影レンズの焦点距離28mmで被写体を撮像したとき、撮影用の撮像素子で撮像される画角(撮影用の撮像素子の撮影範囲)は、図中Aであるのに対し、測距用撮像素子100で撮像される画角は、図中Cである。このため、28mmの広角撮影時には、測距用撮像素子100では、被写体の中央部分しか撮像することができず、画面の中央付近しか測距できない。よって、中央付近にある被写体にしかピントが合わないおそれがある。
【0008】
一方、撮影レンズの焦点距離が300mmの望遠撮影時には、撮影用の撮像素子で撮像される画角は、図中Bとなり、このときは、測距用撮像素子で被写体のすべてを撮像することができ、全画面を測距できる。しかし、300mmの望遠撮影時は、測距用撮像素子100で撮影画像の測距に用いられる画素は、中央の付近だけである。このように、測距に用いられる画素数が大幅に減るため、測距精度が落ち、被写体に対して誤ったピントに調整してしまうおそれがある。
【0009】
特許文献2には、広角用レンズを有するステレオカメラと、望遠用レンズを有するステレオカメラとを備えた測距装置が記載されている。これにより、広角撮影時には広角用レンズを有するステレオカメラを用いて測距することで、画面全体にピント合わせができる。また、望遠撮影時には望遠用レンズを有するステレオカメラを用いて測距することで、測距用撮像素子の全体で被写体を撮像することができ、測距に用いる画素が減少することがないので、被写体に対して正しくピント調整を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の測距装置においては、一対の広角用レンズと広角用レンズを透過した像を撮像するための一対の測距用撮像素子とからなる広角用ステレオカメラと、これとは別に、一対の望遠用レンズと望遠用レンズを透過した像を撮像するための一対の測距用撮像素子とからなる望遠用のステレオカメラを用いている。よって、測距装置のサイズが大きくなり、デジタルカメラに搭載した場合、カメラのコンパクト化が困難となるという課題があった。また、各ステレオカメラの測距離用撮像素子のそれぞれに電力を供給するため消費電力が大きくなる。その結果、デジタルカメラに搭載した場合、電池が消耗してしまい、撮影可能枚数が減ってしまうという不具合が生じてしまう。
【0011】
本発明は以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、被写体の測距精度の低下を抑えつつ、消費電力の増加を抑え、かつ、装置のコンパクト化を図ることができる測距装置および撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、所定の間隔を開けて配置され、複数の画素を持つ一対の測距用2次元撮像素子と、測距対象物の像を一方の測距用2次元撮像素子に結像させる一方側測距用レンズと、上記測距対象物の像を他方の測距用2次元撮像素子に結像させる他方側測距用レンズと、前記測距対象物を撮像したときの各測距用2次元撮像素子の出力信号に基づいて当該装置から測距対象物までの距離を算出する距離算出手段とを備えた測距装置において、各測距用2次元撮像素子を複数の撮像領域に分割し、一方側測距用レンズを、上記一方の測距用2次元撮像素子の分割された各撮像領域に対応するように複数設け、かつ、他方側測距用レンズを、上記他方の測距用2次元撮像素子の分割された各撮像領域に対応するように複数設け、各一方側測距用レンズの焦点距離を互いに異ならせるとともに、各他方側測距用レンズの焦点距離を互いに異ならせ、かつ、各他方側測距用レンズの焦点距離を、複数の一方側測距用レンズのうちのいずれかの焦点距離と同じにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各測距用2次元撮像素子を複数の撮像領域に分割し、互いに焦点距離の異なる側測距用レンズを、測距用2次元撮像素子の分割された各撮像領域に対応するように設けた。これにより、各測距用2次元撮像素子で、焦点距離が互いに異なる測距用レンズで結像された像を撮像することができる。しかも、各他方側測距用レンズの焦点距離は、複数の一方側測距用レンズのうちのいずれかの焦点距離と同じであるから、他方の測距用2次元撮像素子と、一方の測距用2次元撮像素子とで、焦点距離が同じ測距レンズにより結像される撮像領域で撮像された像を用いることで、視差演算により測距することができる。これにより、一対の撮像素子で、焦点距離がそれぞれ異なる測距用レンズで撮像された像により測距を行うことができる。その結果、特許文献2に記載の測距離装置のように、焦点距離が互いに等しいひとつの測距用レンズ対に対してひとつの測距用2次元撮像素子の対を設けるものに比べて、測距用撮像素子の数を減らすことができる。そして、特許文献2と同サイズの測距用2次元撮像素子を用いれば、特許文献2に記載の測距離装置に比べて、測距用撮像素子の配置スペースを削減することができ、装置のコンパクト化を図ることができる。また、一対の測距用2次元撮像素子に電力を供給すればよいため、特許文献2と同サイズの測距用2次元撮像素子を用いれば、特許文献2に比べて、消費電力を抑えることができる。これにより、デジタルカメラに本発明の測距装置を搭載しても、デジタルカメラを小型化することができ、かつ、電池の消耗を抑えて、撮影可能枚数が減るのを抑制することができる。
本発明は、撮像素子を分割して使用するので、特許文献2と同サイズの測距用2次元撮像素子を用いた場合、特許文献2に比べて、測距に用いられる画素数が減るため、特許文献2よりも測距精度は低下する。しかし、ひとつの測距用レンズ対で、広角から望遠まで測距する場合に比べて、望遠撮影時の測距に用いることができる画素数を多くすることができ、広角撮影時には、撮影画像の端部付近まで測距することができる。よって、ひとつの測距用レンズ対で、広角から望遠まで測距する場合に比べて、広角撮像から望遠撮像まで、十分に精度の高い測距を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係るデジタルカメラを示す正面図。
【図2】同デジタルカメラのシステム構成の概要を示すブロック図。
【図3】(a)は、測距装置を示す概略縦断面図。(b)は、測距装置の一対の測距用撮像素子を示す平面図。(c)は、測距装置の各測距用撮像素子を4つの撮像領域に分割することを示す図。(d)は、測距装置の測距用撮像素子を4つの撮像領域に対応する4対の測距用レンズ対を示す平面図。
【図4】測距装置による測距原理を説明するための概略図。
【図5】半導体ウェハ上に形成された複数の撮像素子を示す平面図。
【図6】従来の測距装置を示す概略縦断面図。
【図7】デジタルカメラで写真を撮るときの動作フロー図。
【図8】レンズの焦点距離28mm、300mmのときの撮影用の撮像素子で撮像される画角と、測距用撮像素子で撮像される画角とを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る測距装置を備えた撮像装置の一例としてのデジタルカメラを示す正面図、図2は、図1に示したデジタルカメラのシステム構成の概要を示すブロック図である。
【0016】
(デジタルカメラの外観構成)
図1に示すように、本実施形態に係るデジタルカメラ1の正面(前面)側には、光学高倍率ズーム機能を有する撮影レンズ2、測距装置3の前面側のレンズアレイ4等が配置されている。レンズアレイ4の表面には、所定の間隔で左右方向に設けた複数の測距用レンズ51a,52a,53a,54a、51b,52b,53b,54bが一体に形成されている。測距するときは51aと51b、52aと52b、53aと53b、54aと54bを対として、合計4対のステレオカメラとして測距を行う(測距装置3の詳細については後述する)。
【0017】
(デジタルカメラ1のシステム構成)
図2に示すように、このデジタルカメラ1は、複数のレンズ群を有する撮影レンズ2、シャッタ機能を有する絞りユニット10、撮影レンズ2を通して受光面上に結像した被写体像を撮像する撮影用撮像素子としてのCMOSイメージセンサ11を備えている。また、CMOSイメージセンサ11から出力される画素出力信号(電気信号)をデジタル処理して取り込み、表示や記録が可能な画像データに変換処理する画像生成手段たる信号処理部12を備えている。また、レリーズボタン6、撮影モード切換ボタン7(図1参照)等で構成される操作部13からの操作入力情報に基づき、ROM(不図示)に記憶された制御プログラムに基づいてデジタルカメラ1全体のシステム制御等を行う制御部14を備えている。また、信号処理部12で生成された画像データを表示する液晶モニタ(LCD)15を備えている。また、撮影レンズ2のフォーカスレンズ群を駆動する合焦手段としてのフォーカスレンズ駆動部16、撮影レンズ2のズームレンズ群を駆動するズームレンズ駆動部17、絞りユニット10を駆動する絞りユニット駆動部18を備えている。また、当該装置から被写体までの距離を測距する外測式の前記測距装置3等も備えている。信号処理部12で生成された画像データは、着脱自在なメモリカード19に記録される。
【0018】
図3(a)は、測距装置3を示す概略縦断面図であり、図3(b)は、測距装置3の一対の測距用撮像素子22a,22bを示す平面図であり、図3(c)は、測距装置3の各測距用撮像素子22a,22bを4つの撮像領域に分割することを示す図である。また、図3(d)は、測距装置3の測距用撮像素子を4つの撮像領域に対応する4対の測距用レンズ対を示す平面図である。
【0019】
(測距装置3の構成)
図3(a),(b)に示すように、本実施形態の測距装置3は、前面側(図3(a)の上側)が開口した筐体20と、この筐体20の前面側に測距用レンズ51a,52a,53a,54aと測距用レンズ51b,52b,53b,54bが一体に形成されている。測距用レンズ51a,52a,53a,54aと測距用レンズ51b,52b,53b,54bが一体に形成された透明樹脂材からなるレンズアレイ4と、レンズアレイ4と対向する筐体20内の背面側(図3(a)の下側)に配置された薄板状の測距用撮像素子基板21と、測距用撮像素子基板21上に所定の間隔で形成された平面状(2次元)の一対の測距用撮像素子22a,22bと撮像素子基板21の背面に配置された回路基板23を備えている。
【0020】
図3(c),(d)に示すように測距用撮像素子22aは測距用レンズ51a,52a,53a,54aと対向するように配置され、測距用撮像素子22bは測距用レンズ51b,52b,53b,54bと対向するように配置されている。測距用撮像素子22a,22bは、同サイズであり、各測距用撮像素子22a,22bの受光面22a1,22b1はそれぞれ4つの撮像領域221a,222a,223a,224a、221b,222b,223b,224bに分割されている。撮像領域221aは、測距用レンズ51aで結像される画像を撮像し、撮像領域222aは、測距用レンズ52aで結像される画像を撮像する。同様に、撮像領域223a,224aは測距用レンズ53a、54aで結像される画像を写し出し、撮像領域221b,222b,223b,224bは測距用レンズ51b,52b,53b,54bで結像される画像を写し出す。
【0021】
測距用撮像素子22a,22bとして、例えばVGA(640×480画素)サイズの撮像素子を用いた場合、4つの領域に分けると1つの撮像領域は320×240画素となる。したがって、測距用撮像素子22a,22bは320×240画素からなる合計8つの撮像領域221a,222a,223a,224a,221b,222b,223b,224bからなる。実際は4つの撮像領域を区切る遮光壁がある場合は、遮光壁により使えなくなる画素があり、必ずしも320×240画素全部を使えない場合も有るが、以下の説明では、1つの撮像領域を320×240画素として説明する。
【0022】
一方、測距用レンズ51a,52a,53a,54aは全て異なる焦点距離fa,fb,fc,fdのレンズである。同様に測距用レンズ51b,52b,53b,54bも全て異なる焦点距離fa,fb,fc,fdのレンズである。各レンズの焦点距離の関係は以下である。
測距用レンズ51aの焦点距離=測距用レンズ51bの焦点距離=fa
測距用レンズ52aの焦点距離=測距用レンズ52bの焦点距離=fb
測距用レンズ53aの焦点距離=測距用レンズ53bの焦点距離=fc
測距用レンズ54aの焦点距離=測距用レンズ54bの焦点距離=fd
fa≦fb≦fc≦fd
4対のレンズの基線長は全て同じD
【0023】
このような関係にあると、撮像領域221aと撮像領域221bの画像出力信号を取り込み、視差演算することで被写体までの距離を求めることができる。同様に、撮像領域222aと撮像領域222b、撮像領域223aと撮像領域223b、撮像領域224aと撮像領域224bの画像出力信号を取り込み、視差演算することで被写体までの距離を求めることができる。すなわち、本実施形態の測距装置3は、それぞれ4種類の焦点距離(画角)が異なるレンズで結像された4つのステレオカメラで測距できる。これにより、撮影レンズ2のズーム倍率に合わせて4つの中から最適なステレオカメラを選んでその測距データを用いることができる。
【0024】
(測距原理)
ここで、測距装置3によるステレオカメラの測距原理について簡単に説明する。
【0025】
図4に示すように、測距用レンズ51aを通して得られた被写体像a1と、測距用レンズ51bを通して得られた被写体像a2は、被写体a上の同一点が視差△だけずれて測距用撮像素子22a,22bの撮像領域221a,221b表面にそれぞれ結像し、複数の受光素子(画素)で受光されて電気信号に変換される。なお、ここでは原理説明のため、他の測距レンズについては説明を省略する。
【0026】
そして、視差を△、測距用レンズ51aと51bの光軸間の距離(基線長)をD、測距用レンズ51a、51bと被写体101との間の距離をL、測距用レンズ51a,51bの焦点距離をfaとし、L≫faであるときは、下記の式(1)が成り立つ。
【0027】
L=D・fa/△ …式(1)
【0028】
よって、Dとfaは既知なので前記視差△を算出することで距離Lを算出することができる。
【0029】
次に、測距装置3の測距用撮像素子22a,22bの詳細について説明する。
【0030】
撮像素子基板21及び2つの測距用撮像素子22a,22bは、図5に示すように、半導体ウェハ30上に周知の半導体プロセスによって形成された複数の撮像素子31うちから並んだ2つの撮像素子を一体に切り出したものである。
【0031】
半導体ウェハ30上の複数の撮像素子31は、マスクを用いてパターニングが行われているので、切り出した2つの測距用撮像素子22a,22bは高精度に位置合わせされており、更に、受光面22a1,22b1の画素マトリックスは平行である。また、半導体ウェハ30の表面は精度のよい平面であるので、2つの測距用撮像素子22a,22bの法線も必然的に平行となる。
【0032】
ウェハから一体で切り出した2つの測距用撮像素子22a,22bを用いることで、1つずつ調整して組み立てる場合に比べて位置ずれ及び角度ずれを補正するための作業を行うことはなく、撮像領域221a,222a,223a,224a,221b,222b,223b,224bも精度良く配置されるため、4対のステレオカメラはいずれも被写体までの距離を安定して精度よく測距することができる。
【0033】
また、本実施形態で用いられる測距装置3の測距用撮像素子22a,22bは、測距センサとして使うのであって画質は問われないため、デジタルカメラ1の被写体撮像用に使用されるCMOSイメージセンサ11の撮像素子のサイズに比べて大幅に小さくても問題ない。このため、測距装置3の測距用撮像素子22a,22bとして、例えば、携帯電話のカメラモジュールに使われている1/10インチ程度の小さい撮像素子を用いることができる。
【0034】
また、携帯電話のカメラモジュール用の撮像素子は、既に大量生産されているためコスト面でも有利である。中でもVGA(640×480画素)サイズの撮像素子は特に安価である。よって、VGAサイズの2つの撮像素子をそれぞれ4つの領域に分割することで、4対のステレオカメラを構成する。これにより、測距用撮像素子の数を増やすことなく小型で安価なステレオカメラを得ることができる。このようにしてサイズ、コストがUpすることなく高倍ズームのデジタルカメラ1に適した測距装置3を得ることができる。
【0035】
次に4対のステレオカメラにより構成される測距装置3を用いた効果について説明する。ここでは4対を例に説明するが、特に4対ではなくても複数対であれば1対よりも効果があることに変わりはない。
【0036】
4対のステレオカメラの説明の前に、従来の1対のステレオカメラを用いた場合について図6を用いて説明する。1対のステレオカメラでは、2つのVGA(640×480画素)の測距用撮像素子に対して1対のレンズで結像させて視差演算を行って測距する。デジタルカメラが35mm換算で28mm〜300mmの高倍率ズームレンズを搭載している場合、測距装置であるステレオカメラは28mm〜300mmの間の1点を取って、例えば100mmの固定焦点の1対のレンズを搭載することになる。測距用撮像素子の8×6画素を1つの単位としてブロックマッチングを行った場合、最大測距点数は6400点(=80×80)となる。また、4×3画素を1つの単位としてブロックマッチングを行った場合、最大測距点数は、25600(=160×160)である。
【0037】
下記表1は、主レンズの焦点距離と、そのとき測距に用いられる測距点数とを示すものである。
【表1】

【0038】
表1に示すように、300mmにズームすると、8×6画素を1つの単位としてブロックマッチングを行った場合、測距点数は711点(27×27:80×100/300=27)に減少し、4×3画素を1つの単位としてブロックマッチングを行った場合、測距点数は2844点(53×53:160×100/300=53)減少し、約1/10の測距点数しか得られなくなってしまう。すなわち300mmの望遠ズームにしたときには、100mm以下の時に比べて、測距点が1/10以下に減ってしまい測距誤差を生じてしまう可能性がある。
【0039】
また、28mmの広角のときは、全ての測距点数(8×6:6400点、4×3:25600点)で測距できているが、画面の中央部しか測距できないため、中央付近にある被写体にしかピントが合わないおそれがある。
【0040】
次に、本実施形態の測距装置3として4対のステレオカメラを用いる場合について説明する。4対のステレオカメラでは、2つのVGA(640×480画素)の撮像素子22a,22bをそれぞれ4分割して1つ当たりはQVGA(320×240画素)の撮像素子として、これに4対のレンズで結像させて視差演算を行って測距する。デジタルカメラが35mm換算で28mm〜300mmの高倍率ズームレンズを搭載している場合、測距装置であるステレオカメラは28mm〜300mmの間の4点、1例として画角30mm,60mm,120mm,240mm相当の画角を有する4つの焦点距離fa,fb,fc,fdのレンズを搭載するものとする(表2参照)。
【表2】

【0041】
本実施形態においては、上述したように、VGA(640×480画素)の撮像素子を4分割した320×240画素の撮像素子を用いて撮像している。4×3画素を1つの単位としてブロックマッチングを行って視差演算した場合、測距点数は320×240画素を4×3画素で割って6400点(=80×80)となる。
【0042】
下記表3は、主レンズの焦点距離と、そのとき測距に用いられる測距点数とを示すものである。
【表3】

【0043】
30mm相当のレンズ(51aと51b)を用いたステレオカメラ部1によってデジタルカメラの光学ズーム28mm〜60mmまでをカバーする場合、測距点数は28mm時の6400点から60mm時の1600点(40×40:80×30/60=40)に減少し、1/4(=1600/6400)の測距点数となる。よって、35mm〜60mmまでは、60mm相当のレンズ(52a,52b)を用いることで、6400点の測距点数を確保することができる。また、35〜60mmまでのとき、60mm相当のレンズ(52a,52b)を用いた場合、画面の端部付近は、測距できないが、従来の100mm相当のレンズのみを用いた測距装置に比べれば、測距できない範囲は少ない。よって、従来の100mm相当のレンズのみを用いた測距装置に比べれば、ピントが合わないおそれがある範囲を少なくすることができ、広角時でもほぼ全体的にピントの合った画像を得ることができる。30mmを越えて60mmまでの間でどのレンズを用いて測距するかは、測距点数の減少と、画像の測距できない範囲との兼ね合いで適宜決めればよい。例えば、撮影レンズ2の焦点距離が、30mm付近のときは、60mmレンズを用いた場合、測距できない範囲が大きい。逆に30mmレンズを用いた場合は、測距点数の減少は少なく、画面全体を測距できる。よって、例えば、30mm〜35mmまでは、30mmレンズで測距を行い、35mmを越えて60mmまでは、60mmレンズで測距してもよい。
【0044】
同様にして60mm相当のレンズ(52aと52b)を用いるステレオカメラ部2によってデジタルカメラのズームを60mmから120mmまでをカバーする場合、測距点数は60mm時の6400点から120mm時の1600点(40×40:80×60/120=40)に減少し、1/4(=1600/6400)の測距点数となる。よって、60mmを超えて120mmまでは、120mmのレンズで測距することで、6400点の測距点数で測距することができる。また、この場合、撮影レンズ2の焦点距離が75mmのとき、測距点は4096点(64×64:80×60/75=64)で、4000点以上確保できているので、60mm相当のレンズ(52a,52b)を用いて画面全体を測距し、75mmを越えて120mmまでは、120mmレンズ(53a,53b)を用いて測距して、6400点の測距点で測距してもよい。これにより、測距点が4000を下回ることがなくなり、精度のよい測距を維持することができる。
【0045】
また、表3に示すように、120mm相当のレンズ(53aと53b)を用いるステレオカメラ部3によってデジタルカメラのズームを120mmから240mmまでをカバーする場合、測距点数は120mm時の6400点から240mm時の1600点(40×40:80×120/240=40)に減少し、1/4(=1600/6400)の測距点数となる。よって、120mmを超えて240mmまでは、240mmのレンズ(54a,54b)で測距することで、6400点の測距点数で測距することができる。また、撮影レンズ2の焦点距離が150mmmまでは、120mmの測距レンズ(53a,53b)を用いても、4000点以上測距点数を確保できる(64×64=4096点:80×120/150=64)。よって、撮影レンズの焦点距離が、150mmまでは、120mm相当の測距レンズ(53a,53b)で測距することで、測距の精度を保ちつつ、全画面で測距することができる。また、撮影レンズ2の焦点距離が、150mmを越えると、測距点数が、4000を下回るので、150mmを越えるときは、240mm相当の測距用レンズ(54a,54b)で測距し、6400の測距点で測距する。
【0046】
そして、240mm相当のレンズ(54aと54b)を用いるステレオカメラ部4によってデジタルカメラのズームを240mmから300mmまでをカバーする。300mmの場合は4096点(64×64:80×240/300=64)に減少し、約1/1.6(=4096/6400)の測距点数となり、測距点は、4000以上を確保できる。よって、表1に示すように、100mmのレンズのみで撮影レンズの焦点距離に対応させたものに比べて300mmのときの測距点数(2844点)よりも十分多くの画素で測距を行うことができる。これにより、300mmの望遠時においても、正確な測距を行うことができ、望遠撮影時においても精度の高いピント合わせ(合焦)を行うことができる。
【0047】
表4に、本実施形態における撮影レンズ2の焦点距離Lと、測距に用いるレンズとの関係の一例を示す。
【表4】

【0048】
このように、本実施形態においては、撮影レンズ2の焦点距離が300mmの望遠撮影時でも、測距点数を4000点以上(画素に換算すると、4096×3×4=49152画素)確保することができる。このように十分な測距点数(画素)が確保できるため望遠撮像時でも正確な測距が可能になる。これにより、ピントはずれの無い写真を撮ることができる。また、撮影レンズ2の焦点距離が28mmの広角撮影時では、35mm相当の測距レンズ(51a,51b)を用いて測距するので、100mm相当の測距レンズで測距する場合に比べて、画像の端部付近まで測距することができる。これにより、100mm相当の測距レンズで測距する場合に比べて、画像の端部付近まで良好にピントを合わせることができる。
【0049】
また、本実施形態においては、測距用撮像素子22a,22bを4分割で用いることで、各測距用レンズ対(51aと51b、52aと52b、53aと53b、54aと54b)毎に一対の測距用撮像素子を設けるものに比べて、測距用撮像素子の数を減らすことができ、測距装置3の小型化を図ることができる。また、一対の測距用撮像素子に電力を供給すればよいので、消費電力の増加を抑制することができる。また、320×240画素の測距用撮像素子を4対用いれば、本実施形態と同じ効果が得られると考えられるが、この場合、測距装置のための特別な測距用撮像素子を製造する必要があり、測距用撮像素子のコストが嵩むという課題が生じる。一方、本実施形態は、上述したように、携帯電話のカメラモジュール用の撮像素子として既に大量生産され、安価なVGA(640×480画素)サイズの撮像素子を分割して320×240画素の撮像領域にしているので、320×240画素の測距用撮像素子を4対設ける場合に比べて、装置を安価にすることができる。
【0050】
(測距動作)
次に、デジタルカメラ1で被写体を撮影する際における、測距装置3の測距動作について説明する。
【0051】
図7は、デジタルカメラ1で写真を撮るときの動作フロー図である。
撮影者が電源スイッチ(不図示)をON(S1)して撮影モードに設定する(S2)と、制御部14から測距装置3に測距開始指令信号が出力される。次にズーム倍率を設定する(S3)。ズーム倍率が設定されたら、設定されたズーム倍率に対応する測距レンズを備えたステレオカメラ部で被写体との距離を測定する(S4)。撮影したい被写体が遠くにあったり、動き回るものであったり被写体に応じて、適切なズーム倍率に変える。ズーム倍率を変えたらその倍率に対応する測距レンズを備えたステレオカメラ部で再度測距が行われる。
【0052】
測距ができたら、得られた距離値に基づいて合焦手段としてのフォーカスレンズ駆動部16を駆動してピントが合うようにレンズを位置調整する(S5)。レンズを合焦位置に位置あわせしたら、被写体像をCMOSイメージセンサ11の受光面に結像させる。CMOSイメージセンサ11の各画素から出力される画素出力信号を取り込み、被写体の輝度を算出する。
【0053】
算出された被写体の輝度情報は制御部14に出力される。そして、制御部14は、入力された輝度情報に基づいて、被写体に対して適正な露光量となるように調整する(S6)。具体的には、絞りユニット10の開放状態(絞り値)と、CMOSイメージセンサ11の電子シャッタ回数等を設定する。絞りユニット10の開放状態は、絞りユニット駆動部18の駆動によって制御される。
【0054】
レリーズボタン6が押圧操作されると、合焦でかつ適正な露光量(CMOSイメージセンサ11の電子シャッタ回数、絞りユニット10の絞り値等)で被写体を撮影する(S7)。信号処理部12は、CMOSイメージセンサ11から出力される画素出力信号をデジタル処理して取り込み、表示や記録が可能な画像データに変換処理する。信号処理部12で生成された画像データは、メモリカード19にデータ保存され(S8)、液晶モニタ(LCD)15に静止画像として表示される(S9)。
【0055】
このように電源スイッチをONにして撮影モードを設定した後で、ズーム倍率を変えたらその倍率にあわせて改めて測距が行われることになる。このときに少しでも早くピント合わせを行うためにズーム倍率にあわせて4つのステレオカメラ部の中から最適な焦点距離(画角)を持つステレオカメラ部を選択する。例えばデジタルカメラのズーム倍率を200mm相当に変えた時は、表4からもわかるようにレンズ54aと54bを用いるステレオカメラ部4によって測距した距離値に基づいてレンズを位置調整する。逆にステレオカメラ部4だけが距離値を算出すれば良く、ステレオカメラ部1,2,3は距離値を算出する必要は無い。
【0056】
ステレオカメラ部4だけであれば320×240画素のエリアだけを視差演算すればよいため、測距用撮像素子の全画素(640×480画素)を演算する場合に比べて計算量は1/4となる。これにより計算時間も1/4に短縮され、高速にオートフォーカスできるようになる。
【0057】
このようにズーム倍率を認識すれば、それに適したステレオカメラを選択することができる。それにより必要な撮像領域だけについて視差演算をすることで、全画面を測距点数が少なくなることなく測距可能になることに加えて、AF速度を高速化することもできるようになる。
【0058】
上記では、デジタルカメラに本実施形態の測距装置3を適用した例について説明したが、例えば、デジタルビデオカメラ、車載搭載用カメラ、携帯機器搭載用カメラ、FA用カメラなどズーム機能を持つ撮像装置の被写体との測距を行う測距装置として搭載することが可能である。
【0059】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の(1)〜(4)態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
所定の間隔を開けて配置され、複数の画素を持つ一対の測距用2次元撮像素子22a,22bと、測距対象物の像を一方の測距用2次元撮像素子22aに結像させる一方側測距用レンズと、測距対象物の像を他方の測距用2次元撮像素子に結像させる他方側測距用レンズと、測距対象物を撮像したときの各測距用2次元撮像素子22a,22bの出力信号に基づいて当該装置から測距対象物までの距離を算出する制御部14などの距離算出手段とを備えた測距装置において、各測距用2次元撮像素子22a,22bを複数の撮像領域221a〜224a,221b〜224bに分割し、一方側測距用レンズを、一方の測距用2次元撮像素子22aの分割された各撮像領域221a〜224aに対応するように複数設け、かつ、他方側測距用レンズを、他方の測距用2次元撮像素子22bの分割された各撮像領域221b〜224bに対応するように複数設け、各一方側測距用レンズ51a〜54aの焦点距離を互いに異ならせるとともに、各他方側測距用レンズ51b〜54bの焦点距離を互いに異ならせ、かつ、各他方側測距用レンズ51b〜54bの焦点距離を、複数の一方側測距用レンズ51a〜54aのうちのいずれかの焦点距離と同じにした。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように各測距用レンズ対(51aと51b、52aと52b、53aと53b、54aと54b)毎に一対の測距用撮像素子を設けるものに比べて、測距用撮像素子の数を減らすことができ、測距装置3の小型化を図ることができる。また、320×240画素の測距用撮像素子を4対用いれば、本実施形態と同じ効果が得られると考えられるが、この場合、測距装置のための特別な測距用撮像素子を製造する必要があり、測距用撮像素子のコストが嵩むという課題が生じる。一方、上記(1)に記載の態様では、例えば、携帯電話のカメラモジュール用の撮像素子として既に大量生産され、安価なVGA(640×480画素)サイズの撮像素子を分割して用いることができるので、測距用撮像素子を4対設ける場合に比べて、装置を安価にすることができる。
また、撮影レンズ2の焦点距離が300mmの望遠撮影時でも、測距点数を4000点以上(画素に換算すると、4096×3×4=49152画素)確保することができる。このように十分な測距点数(画素)が確保できるため望遠撮像時でも正確な測距が可能になる。これにより、ピントはずれの無い写真を撮ることができる。また、撮影レンズ2の焦点距離が28mmの広角撮影時では、35mm相当の測距レンズ(51a,51b)を用いて測距するので、100mm相当の測距レンズで測距する場合に比べて、画像の端部付近まで測距することができる。これにより、100mm相当の測距レンズで測距する場合に比べて、画像の端部付近まで良好にピントを合わせることができる。
【0060】
(2)
また、上記(1)に記載の態様において、一対の測距用2次元撮像素子は、同一ウェハ上に形成されて切り出された撮像素子である。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、各測距用2次元撮像素子別々のウェハ上に形成されて切り出しされた撮像素子の場合のように各測距用2次元撮像素子をそれぞれ調整して組み立てる場合に比べて、測距用2次元撮像素子間の位置ずれ及び角度ずれを抑制することができる。これにより、4対のステレオカメラ部はいずれも被写体までの距離を安定して精度よく測距することができる。
【0061】
(3)
また、ズーム機能を有する撮影レンズ2と、ズームレンズを通して被写体像が結像されるCMOSイメージセンサ11などの撮影用撮像素子と、撮影用撮像素子から出力される信号に基づいて画像データを生成する信号処理部12などの画像生成手段と、当該装置から被写体までの距離を測定する測距装置3などの測距手段と、測距手段の測定結果に基づいて、被写体の焦点合わせを行うフォーカスレンズ駆動部16などの合焦手段とを備えたデジタルカメラ1などの撮像装置において、測距手段として上記(1)または(2)に記載の態様の測距装置を用いた。
かかる構成を備えることで、広角から望遠までピントの合った画像データを得ることができる。また、デジタルカメラを小型化することができ、かつ、電池の消耗を抑えて、撮影可能枚数が減るのを抑制することができる。
【0062】
(4)
また、上記(3)に記載の態様のデジタルカメラ1などの撮像装置において、撮影レンズ2のズーム倍率に応じて、当該装置から被写体までの距離を算出するために用いる測距用2次元撮像素子の撮像領域を選択する。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、必要な撮像領域だけについて視差演算をすることになるので、測距用撮像素子の全画素(640×480画素)を演算する場合に比べて計算量が少なくなる。これにより計算時間も1/4に短縮され、高速にオートフォーカスできる。
【符号の説明】
【0063】
1:デジタルカメラ
2:撮影レンズ
3:測距装置
4:レンズアレイ
6:レリーズボタン
7:撮影モード切換ボタン
10:絞りユニット
11:イメージセンサ
12:信号処理部
13:操作部
14:制御部
16:フォーカスレンズ駆動部
17:ズームレンズ駆動部
18:ユニット駆動部
19:メモリカード
20:筐体
21:測距用撮像素子基板
22a,22b:測距用撮像素子
23:回路基板
30:半導体ウェハ
31:撮像素子
51a,52a,53a,54a:測距用レンズ
51b,52b,53b,54b:測距用レンズ
101:被写体
221a,222a,223a,224a:撮像領域
221b,222b,223b,224b:撮像領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2002−90616号公報
【特許文献2】特開2008−286527号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を開けて配置され、複数の画素を持つ一対の測距用2次元撮像素子と、
測距対象物の像を一方の測距用2次元撮像素子に結像させる一方側測距用レンズと、
上記測距対象物の像を他方の測距用2次元撮像素子に結像させる他方側測距用レンズと、
前記測距対象物を撮像したときの各測距用2次元撮像素子の出力信号に基づいて当該装置から測距対象物までの距離を算出する距離算出手段とを備えた測距装置において、
各測距用2次元撮像素子を複数の撮像領域に分割し、
一方側測距用レンズを、上記一方の測距用2次元撮像素子の分割された各撮像領域に対応するように複数設け、かつ、他方側測距用レンズを、上記他方の測距用2次元撮像素子の分割された各撮像領域に対応するように複数設け、
各一方側測距用レンズの焦点距離を互いに異ならせるとともに、各他方側測距用レンズの焦点距離を互いに異ならせ、かつ、各他方側測距用レンズの焦点距離を、複数の一方側測距用レンズのうちのいずれかの焦点距離と同じにしたことを特徴とする測距装置。
【請求項2】
請求項1の測距装置において、
前記一対の測距用2次元撮像素子は、同一ウェハ上に形成されて切り出された撮像素子であることを特徴とする測距装置。
【請求項3】
ズーム機能を有する撮影レンズと、
前記ズームレンズを通して被写体像が結像される撮影用撮像素子と、
前記撮影用撮像素子から出力される信号に基づいて画像データを生成する画像生成手段と、
当該装置から前記被写体までの距離を測定する測距手段と、
測距手段の測定結果に基づいて、前記被写体の焦点合わせを行う合焦手段とを備えた撮像装置において、
前記測距手段として請求項1または2の測距装置を用いたことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3の撮像装置において、
前記撮影レンズのズーム倍率に応じて、当該装置から前記被写体までの距離を算出するために用いる前記測距用2次元撮像素子の撮像領域を決定することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−61560(P2013−61560A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201061(P2011−201061)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】