説明

湿分硬化性溶融接着剤、その製造法および該湿分硬化性溶融接着剤の使用

二官能価(ポリ)イソシアネートおよび/または多官能価(ポリ)イソシアネートとポリオールおよびジカルボン酸からなるヒドロキシルポリエステルとの反応生成物を含有する、接着される支持体を直ちに後加工するための湿分架橋性溶融接着剤が記載され、この場合には、ジカルボン酸として13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、13〜22個のメチレン基を有する長鎖の線状ジカルボン酸と任意のポリオールとからなるポリエステルの製造に関する。本発明には、同様に本発明によるポリエステルを有する反応性溶融接着剤の製造および接合、パッキングおよび被覆のための該反応性溶融接着剤の使用が記載されている。
【0002】
高められた温度での溶融接着剤の剪断可使時間を改善するために、エネルギー供給によって架橋されるかまたは湿分により溶融不可能な接着剤に硬化する反応性接着剤が使用される。
【0003】
多数の使用のためには、直ちに後加工を可能にする目的のために、反応性溶融接着剤の塗布後の使用された反応性溶融接着剤の急速な結合が必要とされる。これは、これまで公知の湿分硬化性溶融接着剤の場合には、問題を生じる。
【0004】
即ち、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第2401320号明細書、欧州特許出願公開第0107097号明細書および欧州特許出願公開第0125009号明細書の記載によるイソシアネート官能性ポリマーの種類からの湿分硬化性溶融接着剤の場合には、主にアジピン酸、ブタンジオール−1,4およびヘキサンジオール−1,6からなるポリマーが主鎖として使用される。結合時間の短縮は、樹脂および熱可塑性ポリマーを添加することによって達成されうる。この目的のために、欧州特許出願公開第0232055号明細書には、液状イソシアネート−プレポリマーとエチレン/酢酸ビニルコポリマーまたはメチルスチレン樹脂との組合せが記載されており、欧州特許出願公開第0107097号明細書Aには、液状イソシアネート−プレポリマーと熱可塑性ポリウレタンまたは縮合樹脂との組合せが記載されており、欧州特許出願公開第0246473号明細書には、液状イソシアネート−プレポリマーとアクリレートオリゴマーとの組合せが記載されている。この場合、熱可塑性含量は、空気湿分による架橋後のかかる溶融接着剤の熱剪断可使時間の減少をまねく。
【0005】
実際に、脂肪族ジカルボン酸の代わりに50%を上廻る芳香族ジカルボン酸とのポリエステルを含有する、欧州特許出願公開第0248658号明細書Aによる溶融接着剤は、改善された結合速度を有する。しかし、このような製品は、溶融粘度が高すぎるという欠点を有し、このことは、プレポリマーの製造の場合および溶融接着剤の加工の場合に問題をまねく。好ましい実施態様において、遊離イソシアネートには、ブロッキング剤、例えばカプロラクタムが備えられ、溶融接着剤の貯蔵安定性が改善される。しかし、脱ブロッキングのために、ブロッキングされていないポリイソシアネートとは異なり、本質的によりいっそう高い使用温度が必要とされが、このことは、前記溶融接着剤の初期強度に不利な影響を及ぼす。
【0006】
欧州特許第0340906号明細書には、急速結合するポリウレタン接着剤が記載されており、このポリウレタン接着剤は、少なくとも2つの不定形プレポリマーの混合物からなり、この場合これらの不定形プレポリマーは、異なるガラス転移温度によって特性決定されている。第1のポリウレタンプレポリマーは、室温を上廻るガラス転移温度を有し、第2のポリウレタンプレポリマーは、室温を下廻るガラス転移温度を有する。よりいっそう高いガラス転移温度を有するプレポリマーは、有利にポリエステルジオールとポリイソシアネートとからなる。ポリエステルジオールは、芳香族の酸(例えば、イソフタル酸またはテレフタル酸)および/または脂肪族の酸(例えば、アジピン酸、アゼライン酸またはセバシン酸)と低分子量のジオール(例えば、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール)とからなるコポリマーであることができる。低いガラス転移温度を有するプレポリマーは、線状または僅かに枝分かれされたポリエステル、ポリエーテルまたは別のOH末端基を有するポリマーおよびポリイソシアネートからなる。また、特殊なポリエステル、例えばポリカプロラクトンまたはポリカーボネートが使用されてよい。長鎖のジカルボン酸からなる結晶性ポリエステルは、記載されていない。ポリウレタン溶融接着剤の粘度は、少なくとも30〜90Pa.sの範囲内にある。
【0007】
WO 99/28363には、室温で固体であり、ポリイソシアネートとエチレン系不飽和モノマーからの低分子量ポリマーとからの反応生成物、この場合このポリマーは、活性水素原子を有するものとし、ならびに少なくとも1つのポリオールおよびポリイソシアネートから製造された遊離イソシアネート基を有する少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーからなる、溶剤不含の湿分硬化性ポリウレタン接着剤が記載されている。ポリオールは、ポリエーテルジオール、ポリエーテルトリオール、ポリエステルポリオール、芳香族ポリオールまたはこれらの混合物であってよい。
【0008】
ポリエステルジオールは、1個を上廻るOH基、有利に2個の末位のOH基を有するポリエステルである。ポリエステルは、6〜12個のC原子を有する脂肪族ヒドロキシカルボン酸または6〜12個のC原子を有する脂肪族ジカルボン酸および/または芳香族ジカルボン酸と4〜8個のC原子を有するジオールとから公知方法により製造される。重要なのは、1.アジピン酸、イソフタル酸およびブタンジオール、2.アジピン酸、イソフタル酸およびヘキサンジオール、3.アジピン酸、イソフタル酸、フタル酸、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよび3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエートおよび4.アジピン酸、フタル酸、ネオペンチルグリコールおよびエチレングリコールからなるコポリエステルである。
【0009】
ポリエステルポリオールは、有利に無定形であるが、しかし、僅かに結晶性であってもよい。有利には、無定形のポリエステルと部分結晶性のポリエステルとからなる混合物が使用される。この場合、結晶性は、完成した接着剤が不透明にならないように僅かにのみ成長されていてよい。部分結晶性のポリエステルの融点は、40〜70℃の範囲内、有利に45〜65℃の範囲内にある。好ましい部分結晶性ポリエステルグリコールとしては、3500の分子量および50℃の融点を有するブタンジオールアジペートが使用される。
【0010】
米国特許第6221978号明細書には、エポキシ樹脂およびポリウレタンプレポリマーからなる湿分硬化性ポリウレタン接着剤が記載されている。ポリウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物である。ポリオールは、芳香族二酸と場合によるコモノマー二酸とジオールとの反応生成物である。コモノマー酸としては、ドデカン二酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オクタデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、二量体脂肪酸およびフマル酸が挙げられる。特殊な実施態様において、芳香族二酸は、イソフタル酸であり、コモノマー酸は、アジピン酸である。芳香族二酸がフタル酸を含まないことは、著しく重要なことである。
【0011】
1つの実施態様において、接着剤は、付加的に結晶性ポリエステルポリオールを含有する。結晶性ポリエステルポリオールは、2〜10個のメチレン基を有する脂肪族ジオールと2〜10個のメチレン基を有する脂肪族二酸との反応生成物からなる。1つの特殊な実施態様において、結晶性ポリエステルポリオールは、ヘキサンジオールとドデカン二酸とからなる。
【0012】
接着剤は、低い表面エネルギーで接着するのが困難である支持体の接着に使用される。記載された溶融接着剤の急速な固着挙動は、示されていない。
【0013】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3827224号明細書には、特に高い固着速度を有する湿分硬化性のイソシアネート官能性溶融接着剤が記載されている。この場合、主鎖が有利に純粋に脂肪族であり、ジオールとジカルボン酸とからなる繰返し単位中に少なくとも12個ないし最大26個までのメチレン基を含有するポリエステルを使用することは、本発明にとって本質的なことであり、この場合には、8〜12個のメチレン基を有するジカルボン酸が使用される。特に好ましいのは、10個のメチレン基を有するジカルボン酸である。場合によっては、脂肪族ジカルボン酸は、80モル%まで芳香族ジカルボン酸によって代替されていてよい。
【0014】
高い固着速度を達成させるために、混合物中に少なくとも50質量%、特に75質量%を上廻る、本発明にとって本質的なポリエステルの含量が必要とされる。
【0015】
実際に、本発明は、既に工業的改良を示しているが、しかし、効果的な加工のために固着速度がさらに上昇することは、望ましいことである。
【0016】
従って、さらに上昇された固着速度を保証する、湿分架橋性溶融接着剤を開発するという課題が課された。この課題は、特許請求の範囲に記載された溶融接着剤を提供することによって解決された。更に、この場合に溶剤不含の反応性溶融接着剤の短い固着時間は、量産加工の場合によりいっそう高い作業周期速度(Taktgeschwindigkeit)を可能にする。
【0017】
本発明の対象は、二官能価(ポリ)イソシアネートおよび/または多官能価(ポリ)イソシアネートと、1:1.2〜1:3.0、特に1:1.5〜1:2.5のOH:NCO比で13〜22個のメチレン基を有する線状脂肪族ジカルボン酸と任意のポリオールをベースとするヒドロキシルポリエステルとの反応生成物を含有する溶融接着剤ならびにその製造法である。本発明によるヒドロキシルポリエステルは、1個を上廻るOH基を有し、特に有利には、二官能価である。本発明の範囲内のヒドロキシルポリエステルは、5〜150のOH価、特に10〜50のOH価ならびに10以下、有利に5以下、特に有利に2以下の酸価を有する。本発明によるポリエステルの数平均分子量は、700〜22000g/mol、特に2000〜10000g/molである。
【0018】
意外なことに、酸側に13〜22個のメチレン基を有する線状脂肪族ジカルボン酸を含有するヒドロキシルポリエステルで固着時間は、短縮されることができ、初期強度は、上昇させることができることが見い出された。
【0019】
特殊な実施態様において、オクタデカン二酸および/またはヘキサデカン二酸は、使用される。
【0020】
本発明によるヒドロキシルポリエステルの融点は、30℃〜125℃の範囲内、有利に65℃〜115℃、特に有利に70℃〜110℃の範囲内にある。
【0021】
13〜22個のメチレン基を有する長鎖のジカルボン酸をベースとするヒドロキシルポリエステルの場合、このヒドロキシルポリエステルは、部分的によりいっそう短い炭素鎖を有する脂肪族ポリカルボン酸、有利に脂肪族ジカルボン酸および/または脂環式ポリカルボン酸、有利に脂環式ポリカルボン酸によって代替されてよい。更に、二量体脂肪酸は、本発明による長鎖のジカルボン酸の代替のために適している。酸側には、本発明による長鎖のジカルボン酸の5〜100モル%、有利に20〜100モル%、特に有利に50〜100モル%が含有されている。
【0022】
よりいっそう短い鎖を有する脂肪族ポリカルボン酸の例は、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカン二酸である。脂環式ジカルボン酸の例は、シクロヘキサンジカルボン酸の異性体である。場合によっては、遊離酸の位置に遊離酸のエステル化可能な誘導体、例えば相応する低級アルキルエステルまたは環式無水物が使用されてもよい。
【0023】
本発明によるヒドロキシルポリエステルの他の実施態様において、13〜22個のメチレン基を有する長鎖のジカルボン酸は、短鎖の脂肪族ポリカルボン酸および/または脂環式ポリカルボン酸および/または二量体の脂肪酸以外にかまたはこの短鎖の脂肪族ポリカルボン酸および/または脂環式ポリカルボン酸および/または二量体の脂肪酸の代わりに芳香族ポリカルボン酸、有利にジカルボン酸を含有することができ、この場合このポリエステルは、酸側に本発明による長鎖のジカルボン酸の5〜100モル%、有利に20〜100モル%、特に有利に50〜100モル%を含有する。
【0024】
芳香族ポリカルボン酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸、トリメリット酸およびピロメリット酸である。遊離ポリカルボン酸の位置には、遊離ポリカルボン酸のエステル化可能な誘導体、例えば相応する低級アルキルエステルまたは環式無水物が使用されてもよい。
【0025】
本発明によるヒドロキシルポリエステルが芳香族ポリカルボン酸に由来する構成成分を含有する場合には、このヒドロキシルポリエステルの融点は、30℃〜140℃の範囲内、有利に65℃〜135℃、特に有利に70℃〜130℃の範囲内にある。
【0026】
本発明によるヒドロキシルポリエステルに使用されるポリオールの種類は、それ自体任意である。即ち、脂肪族ポリオールおよび/または脂環式ポリオールおよび/または芳香族ポリカルボン酸が含有されていてよい。ポリオールは、有利に1個を上廻る、特に有利に2個のヒドロキシル基を有する化合物であり、特殊な実施態様においては、一般的な定義とは異なり、モノヒドロキシ化合物でもよい。
ポリオールの例は、エチレングリコール、プロパンジオール−1,2、プロパンジオール−1,3、ブタンジオール−1,4、ペンタンジオール−1,5、ヘキサンジオール−1,6、ノナンジオール−1,9、ドデカンジオール−1,12、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール−1,3、メチルプロパンジオール、メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールおよびその混合物である。
【0027】
芳香族ポリオールは、芳香族ポリヒドロキシ化合物、例えばヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジヒドロキシナフタリン等とエポキシド、例えば酸化エチレンまたは酸化プロピレンとの反応生成物である。ポリオールとして、エーテルジオール、即ち例えばエチレングリコール、プロピレングリコールまたはブタンジオール−1,4をベースとするオリゴマーまたはポリマーは、含有されていてよい。特に好ましいのは、線状の脂肪族グリコールである。
【0028】
ポリオールおよびポリカルボン酸と共に、ラクトンもヒドロキシルポリエステルの合成のために使用されてよい。
【0029】
13〜22個のメチレン基を有する脂肪族ジカルボン酸を含有する本発明によるヒドロキシルポリエステルは、縮合反応のために確立された技術により製造される。このために、任意のポリオールおよび本発明によるポリカルボン酸または場合によっては別の(環状)脂肪族および/または芳香族ポリカルボン酸との混合物中の本発明によるポリカルボン酸またはこれらのエステル交換可能またはエステル化可能な誘導体が使用され、この場合ヒドロキシル基とカルボキシル基との当量比は、1.02〜1.5、有利に1.05〜1.3である。(重)縮合は、150℃〜270℃の温度で3〜30時間で行なわれ、この場合には、理論的に計算された水量の大部分の分離後に真空で作業されることができる。選択的には、(重)縮合を促進させるための触媒および/または反応水を分離するための連行剤を添加しながら作業されてもよい。典型的な触媒は、オルガノチタン化合物またはオルガノ錫化合物、例えばテトラブチルチタネートまたはジブチル錫オキシドである。触媒は、選択的に別の出発物質との反応の開始時または反応の後で初めて装入されてよい。連行剤としては、例えばトルエンまたは多種多様なSolventNaphta(登録商標)品質のものが使用されてよい。選択的には、走行助剤または添加剤、例えば酸化防止剤を有しないかまたは有するヒドロキシルポリエステルが備えられていてよい。
【0030】
ポリイソシアネートは、二官能性および/または多官能性の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネートまたは/および脂環式イソシアネートであることができる。芳香族ポリイソシアネートは、特に有利である。ポリイソシアネートの例は、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリエンジイソシアネート異性体、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびその混合物である。
【0031】
溶融接着剤中で、本発明によるヒドロキシルポリエステルの含量は、1〜99質量%、有利に1〜49質量%、特に有利に1〜35質量%である。
【0032】
好ましい実施態様において、溶融接着剤中には、本発明によるヒドロキシルポリエステルと共に、別のポリオールも存在しており、この場合このポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび任意のヒドロキシル官能性成分であることができる。
【0033】
混合されたポリエステルポリオールは、1000g/mol〜30000g/mol、有利に2000g/mol〜10000g/molの分子量Mn(ヒドロキシル価から計算した)を有する任意の構造の液状および/または固体の無定形および/または(部分)結晶性のポリエステルであることができ、この場合には、線状のポリエステルポリオールが有利に使用される。混合されたポリエーテルポリオールは、ポリエーテルジオールおよびポリエーテルトリオールである。このための例は、エチレングリコールおよびプリピレングリコールおよびブタンジオール−1,4からのホモポリマー、およびエチレングリコールとプリピレングリコールとブタンジオール−1,4とからなるコポリマーである。混合されたポリエステルポリオールの分子量Mnは、20g/mol〜10000g/molの範囲内、有利に400g/mol〜6000g/molである。
【0034】
任意のヒドロキシ官能性成分の例は、官能化された(H酸)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)および/またはポリアクリレートおよび/またはエチレン−ビニルアセテート−コポリマー(EVA)である。
【0035】
本発明による溶融接着剤は、他の添加剤を50質量%まで含有することができる。この添加剤は、次のものであることができる:官能化されていないポリマー、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU)および/またはエチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)、顔料または充填剤、例えばタルク、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、カーボンブラックまたは有色顔料、粘着剤、例えばコロホニウム樹脂、炭化水素樹脂、フェノール樹脂、ならびに老化防止剤および助剤。
【0036】
次の実施例および公知技術水準による相応する比較例の記載から明らかなように、溶融接着剤中での本発明によるポリエステルの使用は、以下に記載された試験方法につき示された固着時間の著しい短縮を生じさせる。
【0037】
実施例
次に、本発明は、実施例および比較例につき記載される。しかし、本発明は、必ずしもこの実施例に限定されるものではない。
【0038】
本発明によるヒドロキシルポリエステルの製造
実施例a
オクタデカン二酸−1,18(314g、1.0モル)およびヘキサンジオール−1,6(132g、1.1モル)を蒸留取付け物を備えた1 lのフラスコ中で窒素流中で溶融する。160℃の温度の達成時に水の留去を開始する。1時間で温度を連続的に240℃に上昇させる。この温度でさらに数時間後、水の分離は、緩徐になる。チタンテトラブトキシド50mgを攪拌混入し、真空中でさらに作業し、反応の経過中に依然として留出物が生じるように適合させる。望ましいヒドロキシル価範囲および酸価範囲の達成後に停止させる。ヒドロキシル価、酸価および融点は、第1表の記載により測定され、KOH 30mg、KOH 1mgおよび82℃を達成する。
【0039】
実施例b〜jおよび比較例Va〜Vcにおけるヒドロキシルポリエステルの合成は、実施例aと比較可能な方法で行なわれ、この場合には、第1表中に記載のジカルボン酸およびジオールが使用された。実施例kの場合には、ジメチルテレフタレートとジオールとのエステル交換工程は、確立された技術により前接続され、次に実施例aと同様に実施される。
【0040】
【表1】

【0041】
DMT=ジメチルテレフタレート、AD=アジピン酸、DDS=ドデカン二酸、HDDS=ヘキサデカン二酸、ODDS=オクタデカン二酸、EG=エチレングリコール、BD=ブタンジオール−1,4、HD=ヘキサンジオール−1,6、NPG=ネオペンチルグリコール、OHZ=ヒドロキシル価、KOH mg/gでの記載、DIN 53240−2により測定された、SZ=酸価、KOH mg/gでの記載、DIN EN ISO 2114により測定された、Smp=融点、℃での記載、DSC法、第2の加熱。多数の値が記載される場合には、相応して多数の融点が存在する。
【0042】
湿分硬化性溶融接着剤の製造および特性決定
次の実施例に記載の湿分硬化性溶融接着剤(RHM)を130℃での溶融粘度(Brookfield Thermosel, Spindel No. 27)、DIN ISO46による軟化点(環および球)および固着時間につき特性決定した。
【0043】
固着時間
固着時間は、T字形で接着される2個のブナ材の支持体(長さ120mm、幅20mm、厚さ5mm)が2kgの重りでの荷重によってもはや分離され得ない強度を達成するまでに必要とされる時間である。接着される面積は、400mm2である。
【0044】
接着を形成させるために、130℃の熱い接着剤を第1の支持体の接着すべき表面上に予熱された金属スパチュラで薄く塗布し、直ちに対応する支持体と"T"の形で接着する。次に、"T"の長い肩部に時間に応じて2kgの重りで荷重をかける。
【0045】
接着と荷重の負荷との時間間隔のために、この間隔は、2分未満の固着時間の場合に5秒であり、2分間を上廻り、10分間未満の固着時間の場合には、30秒間である。
【0046】
固着時間としては、重りの荷重が接着を少なくとも30分間維持した重りの懸吊時点が記載される。このきさいは、秒(s)で行なわれる。
【0047】
例 RHM−No.1
500mlの表面研磨されたフラスコ中でヒドロキシルポリエステル300gを溶融し、130℃で真空中で乾燥させる。その後に、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を1/2.2のOH/NCOモル比で添加し、即座に均質化する。反応成分を完全に反応させるために、130℃で45分間保護ガス雰囲気下で攪拌する。引続き、湿分硬化性溶融接着剤を充填する。生じる溶融接着剤は、5Pa.sの溶融粘度(130℃)を有する。固着時間は、5秒であり、軟化点(環および球)は、53℃である。
【0048】
比較例 RHEM-No.2
実施は、実施例RHM-No.1と同様に行なうが、しかし、この場合には、ヒドロキシルポリエステルgは、ヒドロキシルポリエステルVcによって代替されている。生じる溶融接着剤は、6Pa.sの溶融粘度(130℃)を有する。固着時間は、1800秒を上廻り、軟化点(環および球)は、31℃である。
【0049】
2つの先行する実施例と比較して、本発明によるポリエステルを使用した場合には、固着時間の著しい短縮化を示す。
【0050】
実施例 RHM-No.3
500mlの表面研磨されたフラスコ中でDYNACOLL 7130 45.5質量部、DYNACOLL 7230 45.5質量部およびヒドロキシルポリエステルa 9質量部を溶融し、130℃で真空中で乾燥させる。その後に、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を1/2.2のOH/NCOモル比で添加し、即座に均質化する。反応成分を完全に反応させるために、130℃で45分間保護ガス雰囲気下で攪拌する。引続き、湿分硬化性溶融接着剤を充填する。生じる溶融接着剤は、18Pa.sの溶融粘度(130℃)を有する。固着時間は、50秒であり、軟化点(環および球)は、67℃である。
【0051】
比較例 RHEM-No.4
実施は、実施例RHM-No.1と同様に行なうが、しかし、この場合には、ヒドロキシルポリエステルaは、ヒドロキシルポリエステルVaによって代替されている。生じる溶融接着剤は、14Pa.sの溶融粘度(130℃)を有する。固着時間は、1800秒を上廻り、軟化点(環および球)は、66℃である。
【0052】
2つの先行する実施例と比較して、本発明によるポリエステルを使用した場合には、固着時間の著しい短縮化を示す。
【0053】
RHM-No.5−23
実施は、実施例RHM-No.3の記載と同様に第2表に記載の組成により行なわれる。
【0054】
【表2】

【0055】
4,4′−MDI=4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、例えばDesmodur 44 MC(Bayer社)、Suprasec 1306(Huntsman社)、Isonate M124(Dow社)。
【0056】
DYNACOLL 7130は、ガラス転移温度T=30℃およびヒドロキシル価35mg KOH/gを有するDegussa社の、C2−、C5−およびC10−ジオールとアジピン酸とテレフタル酸とイソフタル酸とからなる無定形ポリエステルである。
【0057】
DYNACOLL 7230は、Tg=−30℃およびヒドロキシル価30mg KOH/gを有するDegussa社の、C2−、C5−およびC6−ジオールとアジピン酸とテレフタル酸とイソフタル酸とからなる液状ポリエステルである。
【0058】
DYNACOLL 7250は、Tg=−50℃およびヒドロキシル価20mg KOH/gを有するDegussa社の、C2−、C5−およびC6−ジオールとアジピン酸とからなる液状ポリエステルである。
【0059】
PPG 1000は、約1000g/molの分子量を有するポリプロピレングリコールである。
【0060】
実施例 RHM-No.24
次の成分からなる湿分硬化性溶融接着剤は、RHM-No.3の記載と同様に製造される:質量部での記載、ポリプロピレングリコール44.2、分子量2000、OH価56、ヒドロキシルポリエステルa 17.7、Elvacite 2901 24.5(Lucite社のOH基含有ポリアクリレート、OH価6mgKOH/g)、Mondur ML 10.2(Bayer社の2,4/4,4′−MDI)
130℃での粘度は、26Pa.sである。軟化点は、89℃である。固着時間は、10秒間である。
【0061】
比較例 RHM-No.25
実施は、RHM 24と同様に行なわれる。質量部での記載、ポリプロピレングリコール44.2、分子量2000、OH価56、ヘキサンジオールアジペート17.7、分子量約3500、Elvacite 2901 24.5(Lucite社のOH基含有ポリアクリレート、OH価6mgKOH/g)、Mondur ML 10.2(Bayer社の2,4/4,4′−MDI)。
130℃での粘度は、16Pa.sである。軟化点は、64℃である。固着時間は、200秒間である。
【0062】
実施例は、13〜22個のメチレン基を有する長鎖のジカルボン酸をベースとするヒドロキシルポリエステルが溶融接着剤の固着時間を著しく短縮化することを示し、この場合には、既に本発明によるポリエステルは、混合物中で50質量%未満で十分であり、効果を達成させる。
【0063】
本発明による溶融接着剤は、有利に互いに結合された支持体が付加的な機械的固着または別の固着なしに直ちに後加工に供給されるような使用のために適している。この適合は、イソシアネート基の湿分架橋による硬化前であっても、接着部の冷却の際の十分な初期強度の急速な形成に基づく。このような使用の例は、木材加工工業、自動車産業、建築工業、靴工業、繊維工業に見出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二官能価(ポリ)イソシアネートおよび/または多官能価(ポリ)イソシアネートとポリオールおよびジカルボン酸またはその縮合反応に適した誘導体からなるヒドロキシルポリエステルとの反応生成物を含有する、接着される支持体を直ちに後加工するための湿分架橋性溶融接着剤において、ジカルボン酸として13〜22個のメチレン基を有する少なくとも1つの線状の脂肪族ジカルボン酸が使用されていることを特徴とする、湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項2】
ポリエステル1〜99%、質量%を含有する、請求項1記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項3】
ポリエステル1〜49%、質量%を含有する、請求項1記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項4】
ポリエステル1〜35%、質量%を含有する、請求項1記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項5】
ジカルボン酸としてオクタデカン二酸が使用されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項6】
ジカルボン酸としてヘキサデカン二酸が使用されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項7】
ヒドロキシルポリエステルが30℃〜125℃の融点を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項8】
ヒドロキシルポリエステルが65℃〜115℃の融点を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項9】
ヒドロキシルポリエステルが70℃〜110℃の融点を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項10】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の95モル%までがよりいっそう短い炭素鎖を有するジカルボン酸によって代替されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項11】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の80モル%までがよりいっそう短い炭素鎖を有するジカルボン酸によって代替されている、請求項1から10までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項12】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の50モル%までがよりいっそう短い炭素鎖を有するジカルボン酸によって代替されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項13】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の95モル%までが芳香族ジカルボン酸によって代替されている、請求項1から12までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項14】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の80モル%までが芳香族ジカルボン酸によって代替されている、請求項1から13までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項15】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の50モル%までが芳香族ジカルボン酸によって代替されている、請求項1から14までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項16】
ヒドロキシルポリエステルが、芳香族ジカルボン酸をコモノマーとして含有する限り、30℃〜140℃の融点を有する、請求項1から15までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤。
【請求項17】
二官能価(ポリ)イソシアネートおよび/または多官能価(ポリ)イソシアネートとポリオールおよびジカルボン酸またはその縮合反応に適した誘導体からなるヒドロキシルポリエステルとの反応生成物を含有する、接着される支持体を直ちに後加工するための湿分架橋性溶融接着剤の製造法において、ジカルボン酸として13〜22個のメチレン基を有する1つの線状の脂肪族ジカルボン酸を使用することを特徴とする、湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項18】
ジカルボン酸としてオクタデカン二酸を使用する、請求項17記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項19】
ジカルボン酸としてヘキサデカン二酸を使用する、請求項17または18記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項20】
ヒドロキシルポリエステルが30℃〜125℃の融点を有する、請求項17から19までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項21】
ヒドロキシルポリエステルが65℃〜115℃の融点を有する、請求項17から20までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項22】
ヒドロキシルポリエステルが70℃〜110℃の融点を有する、請求項17から21までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項23】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の95モル%までがよりいっそう短い炭素鎖を有するジカルボン酸によって代替される、請求項17から22までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項24】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の80モル%までがよりいっそう短い炭素鎖を有するジカルボン酸によって代替される、請求項17から23までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項25】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の50モル%までがよりいっそう短い炭素鎖を有するジカルボン酸によって代替される、請求項17から24までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項26】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の95モル%までが芳香族ジカルボン酸によって代替される、請求項17から25までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項27】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の80モル%までが芳香族ジカルボン酸によって代替される、請求項17から26までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項28】
13〜22個のメチレン基を有する線状の脂肪族ジカルボン酸の50モル%までが芳香族ジカルボン酸によって代替される、請求項17から27までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項29】
ヒドロキシルポリエステルが、芳香族ジカルボン酸をコモノマーとして含有する限り、30℃〜140℃の融点を有する、請求項17から28までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の製造法。
【請求項30】
接着される支持体を直ちに後加工に使用するための、請求項1から16までのいずれか1項に記載の湿分架橋性溶融接着剤の使用。

【公表番号】特表2007−523240(P2007−523240A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553465(P2006−553465)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053670
【国際公開番号】WO2005/090428
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(501073862)デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】