説明

湿式現像装置

【課題】別置きの洗浄装置を必要とせずに、しかも洗浄に際して現像剤供給装置の取外し、取り付け作業を不要とすることができる。
【解決手段】感光体ドラム1に現像ローラ2を転接させて、感光体ドラム表面に作られた静電潜像を、表面の一部を液体現像剤に浸漬した現像剤供給ローラ3から現像ローラに供給された液体現像剤6にて現像するようにした湿式現像装置において、上記液体現像剤を貯留する現像剤タンク5内で、かつ液体現像剤に常時浸漬する位置に、現像剤供給ローラの液体現像剤に浸漬している部分を洗浄する洗浄装置7,8を設けた構成になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤を用いる湿式の電子写真印刷装置に用いられる湿式現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の湿式現像装置は、液体現像剤に周面の一部を浸漬した現像剤供給ローラから現像ローラの表面に液体現像剤が供給され、この現像ローラが感光体ドラムに転接することにより、上記感光体ドラムの表面に作像された静電潜像が液体現像剤にて現像されるようになっている。そして一般に、上記現像剤供給ローラは、その表面に液体現像剤を適量保持するためのセル凹み部をメッシュ状に備えたアニロックスローラが用いられている。
【0003】
このような現像供給ローラにあっては時間経過とともに、これの表面にトナーやその他の異物が固着し、これがセル内に蓄積するに従い、現像ローラへのトナーの適量で、かつ均一な供給精度が徐々に低下して印刷品質が低下してしまうという問題がある。
【0004】
このため、この種の現像剤供給ローラは定期的に洗浄しなければならなかった。
【0005】
従来のこの洗浄方法としては、上記現像剤供給ローラを現像装置から取り外して洗浄溶媒中に浸漬し、あるいは洗浄溶媒中に浸漬した状態で超音波振動を与え、あるいは洗浄溶媒中に浸漬した状態で洗浄部材で擦ることによりローラ表面を洗浄するようにしている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−89627号公報
【特許文献2】特開平7−125187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記した従来技術にあっては、現像剤供給ローラの表面を洗浄する際には、そのつど電子写真印刷装置の湿式現像装置より現像剤供給ローラを取り外して別置きの上記洗浄装置に設置して洗浄し、これを再度装置に取り付けるようにしており、いずれにしても洗浄のために別置きの装備が必要であり、また現像剤供給ローラの取り外し、取り付けや作業者による洗浄作業が必要であり、時間的にも労力的にも、また経済的にも負担が多くかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る湿式現像装置は、感光体ドラムに現像ローラを転接させて、感光体ドラム表面に作られた静電潜像を、表面の一部を液体現像剤に浸漬した現像剤供給ローラから現像ローラに供給された液体現像剤にて現像するようにした湿式現像装置において、上記液体現像剤を貯留する現像剤タンク内で、かつ液体現像剤に常時浸漬する位置に、現像剤供給ローラの液体現像剤に浸漬している部分を洗浄する洗浄装置を設けた構成になっている。
【0009】
そして上記洗浄装置が、現像剤供給ローラの液体現像剤中に浸漬した部分に摺擦するブラシローラであり、また洗浄装置が、現像剤タンク内に液体現像剤に浸漬させて設けた超音波振動子であり、さらに洗浄装置が、現像剤供給ローラの液体現像剤中に浸漬した部分に摺擦するブラシローラと、現像剤タンク内に液体に現像剤に浸漬して設けた超音波振動子である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像剤供給ローラを現像装置から取り外すことなく、現像装置内で洗浄することができ、この現像剤供給ローラの洗浄に際してのこの現像剤供給ローラの取り外し、取り付け作業が不要となって、この種の保守作業が軽減されて作業性が向上して生産効率を高めることができる。
【0011】
その上、現像装置の機外における洗浄装置の設備がなくなり、設備コスト、設置スペースの削減効果が得られ、さらに現像剤供給ローラを洗浄するための洗浄溶剤が不要となって経済的効果を得ることができる。
【0012】
さらに本発明によれば、現像供給ローラの洗浄を、現像装置の作動時に、あるいは休止時に、常時、あるいは任意のときに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例を示す概略的な説明図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す概略的な説明図である。
【図3】本発明の第3の実施例を示す概略的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0015】
本発明において、現像剤供給ローラの一部が浸漬している液体現像剤中に、現像剤供給ローラの液体現像剤中に浸漬している部分の表面を常時洗浄するローラ洗浄装置を備えた。
【実施例1】
【0016】
図1は実施例1を示すもので、図中1は感光体ドラム、2はこの感光体ドラム1に転接して、この感光体ドラム1の表面に図示しない露光装置にて感光されて作像された静電潜像をトナー像に現像する現像ローラ、3はこの現像ローラ2に転接してこの現像ローラ2に液体現像剤を供給する現像剤供給ローラ、4は上記現像ローラ2に転接してこれの表面をクリーニングするクリーニングローラであり、これらは同期して各矢印方向に回転するようになっている。
【0017】
上記現像剤供給ローラ3は、現像剤タンク5に貯留された液体現像剤6にこれの表面の一部を浸漬していて、現像剤供給ローラ3の回転に従って、液体現像剤6を現像剤タンク5から現像ローラ2の表面に供給するようになっている。
【0018】
この実施例1では図1に示すように、上記現像剤タンク5内に現像剤供給ローラ3に摺擦する洗浄ブラシローラ7を設けた。この洗浄ブラシローラ7は、現像剤供給ローラ3の常時液体現像剤6に浸漬されている部分の周面に摺擦するようにしてある。そしてこの洗浄ブラシローラ7は、正転、逆転のいずれにも回転可能になっている。
【0019】
しかして、上記洗浄ブラシローラ7を回転することにより、現像剤供給ローラ3の表面は液体現像剤6の液中で摺擦され、液体現像剤6を洗浄液として洗浄される。
【実施例2】
【0020】
図2は実施例2を示すもので、この図において実施例1と同一部材は同一符号で示し説明を省略する。
【0021】
この実施例2では、現像剤タンク5内で、かつ常時液体現像剤6の浸漬される位置に超音波振動子8を設置した。
【0022】
しかして、上記超音波振動子8を駆動することにより、この超音波振動子8から発生された超音波振動により液体現像剤6内に微細な気泡が発生し、この気泡が現像剤供給ローラ3に衝突するときの衝撃波により、液体現像剤6に浸漬している部分の現像剤供給ローラ3の表面に固着したトナーが除去される。
【0023】
液体現像剤6に浸漬されていない位置(機外)においての超音波による洗浄溶剤を用いた洗浄の場合、アニロックスローラのセル部形状に損耗が発生することが従来から知られているが、この実施例2のように、液体現像剤6に浸漬している部分に超音波振動が発生される場合には、液体現像剤6の粘性性状が上記損耗の点で緩衝剤となって、この損耗を減少させるように働き、現像剤供給ローラの長期耐用の面でも効果が得られる。
【実施例3】
【0024】
図3は実施例3を示すもので、この図において実施例1と同一部材は同一符号で示し説明を省略する。
【0025】
この実施例3は上記実施例1と2のそれぞれの構成を併用したもので、現像剤タンク5内に現像剤供給ローラ3の常時液体現像剤6に浸漬している部分の表面に摺擦するようにして洗浄ブラシ7を設け、また常時液体現像剤6に浸漬される位置に超音波振動子8を設置した。
【0026】
上記の各実施例においての各洗浄作用は、各ローラが作動している印刷中に、これと同期して行ってもよく、また定期的に印刷のみを停止させて感光体ドラム1、現像ローラ2、現像剤供給ローラ3、クリーニングローラ4を空運転しながら洗浄装置を稼動させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、電子写真印刷機のほかに、電子写真式複写機、レーザプリンタ、ファクシミリに利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1…感光体ドラム、2…現像ローラ、3…現像剤供給ローラ、4…クリーニンローラ、5…現像剤タンク、6…液体現像剤、7…洗浄ブラシ、8…超音波振動子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムに現像ローラを転接させて、感光体ドラム表面に作られた静電潜像を、表面の一部を液体現像剤に浸漬した現像剤供給ローラから現像ローラに供給された液体現像剤にて現像するようにした湿式現像装置において、
上記液体現像剤を貯留する現像剤タンク内で、かつ液体現像剤に常時浸漬する位置に、現像剤供給ローラの液体現像剤に浸漬している部分を洗浄する洗浄装置を設けた
ことを特徴とする湿式現像装置。
【請求項2】
洗浄装置が、現像剤供給ローラの液体現像剤中に浸漬した部分に摺擦するブラシローラであることを特徴とする請求項1記載の湿式現像装置。
【請求項3】
洗浄装置が、現像剤タンク内に液体現像剤に浸漬させて設けた超音波振動子であることを特徴とする請求項1記載の湿式現像装置。
【請求項4】
洗浄装置が、現像剤供給ローラの液体現像剤中に浸漬した部分に摺擦するブラシローラと、現像剤タンク内に液体に現像剤に浸漬して設けた超音波振動子であることを特徴とする請求項1記載の湿式現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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