説明

満水時刻予測装置、満水時刻予測方法及び満水時刻予測プログラム

【課題】第1ダムの下流に設けた第2ダムの満水時刻を精度良く予測可能な満水時刻予測装置、満水時刻予測方法及び満水時刻予測プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】満水時刻を予測する満水時刻予測装置6であって、第1ダムの貯水位が上昇中か下降中かを判定する貯水位変化傾向判定手段と、第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間を算出する時間算出手段と、第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間に第2ダムが満水になるか否かを判定する満水判定手段と、第2ダムが満水になると判定されるまで第1ダムの現在貯水位を1段階ずつ上昇又は下降させて時間算出手段により繰り返し算出される時間を加算して第2ダムの満水時刻を算出する満水時刻算出手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は満水時刻予測装置、満水時刻予測方法及び満水時刻予測プログラムに係り、特に第1ダムと、第1ダムの下流に設けた第2ダムとで構成されるダムシステムにおける第2ダムの満水時刻を予測する満水時刻予測装置、満水時刻予測方法及び満水時刻予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば大規模なダムにおいては、直接、下流の川に放流すると、水温や水量の急激な変化を引き起こすなど、下流への影響が大きかった。この為、大規模なダムには主ダムと副ダムとで構成されるものがあった。主ダムは、上流に設けられるダムである。副ダムは主ダムの下流に設けられるダムである。
【0003】
このように主ダムと副ダムとで構成される大規模なダムでは、主ダムからの放流を副ダムで一旦、バッファしている。副ダムをバッファとして機能させる為には、バッファとしての機能を果たせない状態、すなわち満水状態とならないように留意する必要があった。
【0004】
一方、洪水時等は、本ダムから副ダムへの放流を行い、副ダムの容量を一杯にした満水の状態で運用することが一般的である。なお、副ダムが満水となる場合には、事前に下流域や監視要員へ通知する等、準備作業を行う必要があった。
【0005】
特許文献1及び2には、ダムへの流入量を予測する技術の一例が開示されている。
【特許文献1】特開2000−18984号公報
【特許文献2】特開平5−297909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来、副ダムが満水となるまでの予想時間は、例えば本ダムからの放流量を一定とした単純な方法で計算していた為、あまり精度が良くなかった。これは、主ダムから副ダムへの放流量が、主ダムのゲート開度や主ダムの現在貯水位により刻々と変化する為である。
【0007】
従って、従来は副ダムが満水となる満水時刻を精度良く予測できず、事前に下流域や監視要員へ通知する等の準備作業を適切に行うことができなかった。なお、特許文献1及び2はダムの満水時刻を予測するものではない。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、第1ダムの下流に設けた第2ダムの満水時刻を精度良く予測可能な満水時刻予測装置、満水時刻予測方法及び満水時刻予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、第1ダムと、前記第1ダムの下流に設けた第2ダムとで構成されるダムシステムにおける前記第2ダムの満水時刻を予測する満水時刻予測装置であって、前記第1ダムへの流入量と前記第1ダムからの放流量とに基づき前記第1ダムの貯水位が上昇中か下降中かを判定する貯水位変化傾向判定手段と、前記貯水位変化傾向判定手段による判定の結果に基づき、前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間を前記第1ダムへの流入量,前記第1ダムの現在貯水位及び前記第1ダムのゲート開度に応じた前記第1ダムからの放流量とに基づき算出する時間算出手段と、前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間及び前記第1ダムの現在貯水位における前記第1ダムからの放流量に基づき、前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間に前記第2ダムが満水になるか否かを判定する満水判定手段と、前記満水判定手段により前記第2ダムが満水になると判定されるまで前記第1ダムの現在貯水位を1段階ずつ上昇又は下降させて前記時間算出手段により繰り返し算出される前記時間を加算して前記第2ダムの満水時刻を算出する満水時刻算出手段とを有することを特徴とする。
【0010】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
上述の如く、本発明によれば、第1ダムの下流に設けた第2ダムの満水時刻を精度良く予測可能な満水時刻予測装置、満水時刻予測方法及び満水時刻予測プログラムを提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。なお、本実施例では上流に設けられるダムを主ダム,下流に設けられるダムを副ダムと呼んでいるが、他の呼び方であってもよい。
【0013】
図1はダム管理システムの一例のシステム構成図である。図1に示したダム管理システムは、貯水位計1,ゲート開度計2,入出力装置4,ダム管理装置5,満水時刻予測装置6,データ通信ネットワーク7及び8を含む構成である。
【0014】
貯水位計1は、主ダム及び副ダムに設けられており、主ダム及び副ダムの貯水位を計測する。貯水位計1には、超音波式やフロート式等がある。ゲート開度計2は、主ダム及び副ダムに設けられており、主ダム及び副ダムのゲート開度を計測する。ゲート開度計2は主ダム及び副ダムのゲート設備から主ダム及び副ダムのゲート開度を入力されるようにしてもよい。 貯水位計1,ゲート開度計2は、データ通信ネットワーク7を介して入出力装置4と接続されている。また、入出力装置4はデータ通信ネットワーク8を介してダム管理装置5及び満水時刻予測装置6と接続されている。
【0015】
入出力装置4は、貯水位計1,ゲート開度計2が計測した主ダム及び副ダムの貯水位,主ダム及び副ダムのゲート開度を貯水位計1,ゲート開度計2から受信する。また、入出力装置4は受信した貯水位やゲート開度に基づいて、主ダムへの流入量を算出する。
【0016】
主ダムへの流入としては、河川からの流入が主なものではあるが、ダム池周辺への降雨による直接的な流入や湧き水等の流入もあるため、流量計を設置して計測することができない。従って、主ダムへの流入量は、貯水位に基づき後述の図6の主ダム貯水位−貯水量対応テーブルから得られる貯水量(ダムの貯水量の変化)と、貯水位とゲート開度に基づき後述の図7の主ダム貯水位−ゲート開度−放流量対応テーブルから得られる主ダムの放流量とより算出して求める。
【0017】
例えば、貯水位が100.00(m)で変化なく、主ダム放流量が10.00(m/s)である場合は、放流量=流入量であるので、流入量は10.00(m/s)と算出できる。また、1時間後に貯水位が99.99(m)に変化し、主ダム放流量が10.00(m/s)のままであった場合、貯水位が減少したが、主ダム放流量が変化していない為、流入量は10.00(m/s)よりは少ない値として算出される。流入量の計算方法は様々な方法が存在するためここでは詳述しないが、本発明においては、流入量が求められれば、いずれの方法により流入量を算出しても構わない。
【0018】
また、入出力装置4は、貯水位計1,ゲート開度計2が計測した主ダム及び副ダムの貯水位,主ダム及び副ダムのゲート開度,それらに基づき算出した主ダムへの流入量をダム管理装置5及び満水時刻予測装置6へ送信する。
【0019】
ダム管理装置5はコンピュータシステム等で構成され、入出力機能,演算機能,ファイリング機能,ゲート制御機能等を有する。ダム管理装置5は入出力装置4を介して主ダム及び副ダムのゲート開度を制御できる。
【0020】
本発明による満水時刻予測装置6はコンピュータシステム等で構成され、満水時刻予測機能,ゲート開度自動制御機能,ダム運用支援機能等を有する。満水時刻予測装置6は入出力装置4を介して受信した主ダム及び副ダムの貯水位,主ダムのゲート開度,主ダムへの流入量を用いて、後述のような満水時刻予測機能,ゲート開度自動制御機能,ダム運用支援機能に係る処理を行う。
【0021】
図1のダム管理システムでは入出力装置4を介してデータ通信ネットワーク7及び8が接続される構成となっているが、データ通信ネットワーク7及び8を統合して一つとした構成(入出力装置4を省略した構成)や3つ以上のデータ通信ネットワークに分けた構成であってもよい。
【0022】
図2は満水時刻予測装置を実現するコンピュータシステムの一例の構成図である。コンピュータシステムは、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置11,出力装置12,ドライブ装置13,補助記憶装置14,主記憶装置15,演算処理装置16およびインターフェース装置17で構成される。
【0023】
入力装置11はキーボードやマウスなどで構成され、各種信号を入力するために用いられる。出力装置12はディスプレイ装置などで構成され、各種ウインドウやデータ等を表示するために用いられる。インターフェース装置17は、モデム,LANカードなどで構成されており、データ通信ネットワーク(以下、単にネットワークと呼ぶ)8に接続する為に用いられる。
【0024】
本発明の満水時刻予測プログラムは、満水時刻予測装置6を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。満水時刻予測プログラムは、記録媒体18の配布やネットワーク8からのダウンロードなどによって提供される。満水時刻予測プログラムを記録した記録媒体18は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0025】
また、満水時刻予測プログラムを記録した記録媒体18がドライブ装置13にセットされると、満水時刻予測プログラムは記録媒体18からドライブ装置13を介して補助記憶装置14にインストールされる。ネットワーク8からダウンロードされた満水時刻予測プログラムも同様に、インターフェース装置17を介して補助記憶装置14にインストールされる。補助記憶装置14は、満水時刻予測プログラムを格納すると共に、必要なファイル,データ等を格納する。
【0026】
主記憶装置15は、起動時に補助記憶装置14から満水時刻予測プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16は主記憶装置15に格納された満水時刻予測プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0027】
まず、本願発明の理解を容易とするため、副ダムの満水時刻を予測する従来の満水時刻予測方法について説明する。図3は従来の満水時刻予測方法について説明する為の模式図である。
【0028】
従来の満水時刻予測装置では、副ダム32が満水になる満水時刻の算出を、本ダム31からの放流量が一定(Qos)という条件で以下のように行っていた。まず、従来の満水時刻予測装置は、副ダム32が満水になるまでの容量である副ダム32の空容量を図4の副ダム貯水位−貯水量対応テーブルを用いた2点補間により算出する。
【0029】
図4は副ダム貯水位−貯水量対応テーブルの一例の構成図である。副ダム貯水位−貯水量対応テーブルは副ダム32の貯水位(m)に対応する貯水量(m)を示している。つまり、副ダム貯水位−貯水量対応テーブルを用いれば、副ダム32が、ある貯水位のときの貯水量を求めることができる。
【0030】
なお、図4では、満水の時の貯水位をHFmax,現在の貯水位をHFn,最低の時の貯水位をHF1で表している。また、図4では満水の時の貯水量をVFmax,現在の貯水量をVFn,最低の時の貯水量をVF1で表している。
【0031】
現在の貯水位HFnにおける副ダム32の空容量ΔVFは以下の式(1)により算出される。
【0032】
ΔVF(m)=VFmax−VFn・・・(1)
主ダム31からの放流量がQos(m/s)で一定のとき、空容量ΔVFの副ダム32が満水になるまでの時間T(s)は以下の式(2)により算出される。
【0033】
T=ΔVF÷Qos・・・(2)
従来の満水時刻予測装置では、空容量ΔVFの副ダム32が満水になるまでの時間Tを主ダム31からの放流量が一定という条件で算出している。つまり、従来の満水時刻予測装置は主ダム31からの放流量が一定となるように主ダム31のゲート開度を制御したときの時間Tを算出したものである。また、主ダム31からの放流量が一定となるように主ダム31のゲート開度を制御する操作は、熟練した者が経験と勘により手動操作で行うことが多く、主ダム31からの放流量を一定にすることが難しかった。この為、従来の満水時刻予測装置はゲート開度の制御の有無等により精度が悪くなっていた。
【0034】
そこで、本発明による満水時刻予測装置6は以下のように副ダム32の満水時刻を予測する。図5は本発明による満水時刻予測方法について説明する為の模式図である。
【0035】
図5の模式図は、主ダム31の現在の貯水位をHSn(m),副ダム32の現在の貯水位をHFn(m),主ダム31への流入量をQis(m/s),主ダム31の現在の貯水位HSn(m)及び主ダム31のゲート開度A(%)から決定される主ダム31からの放流量をQAn(m/s)で表している。
【0036】
本発明による満水時刻予測装置6の満水時刻予測機能は、満水時刻予測装置6の演算処理装置16がアクセスできる記憶装置上に格納されている図6の主ダム貯水位−貯水量対応テーブルを用いて、主ダム31の貯水位(m)に対応する貯水量(m)を求めることができる。
【0037】
図6は主ダム貯水位−貯水量対応テーブルの一例の構成図である。主ダム貯水位−貯水量対応テーブルは主ダム3の貯水位(m)に対応する貯水量(m)を示している。つまり、主ダム貯水位−貯水量対応テーブルを用いれば、主ダム31が、ある貯水位のときの貯水量を求めることができる。
【0038】
なお、図6では、満水の時の貯水位をHSmax,現在の貯水位をHSn,最低の時の貯水位をHS1で表している。また、図6では満水の時の貯水量をVSmax,現在の貯水量をVSn,最低の時の貯水量をVS1で表している。
【0039】
また、本発明による満水時刻予測装置6の満水時刻予測機能は、前述した図4の副ダム貯水位−貯水量対応テーブルを用いることにより、副ダム32の貯水位(m)に対応する貯水量(m)を求めることができる。
【0040】
さらに、本発明による満水時刻予測装置6の満水時刻予測機能は、主ダム31の現在の貯水位HSn(m)及び主ダム31のゲート開度A(%)から決定される主ダム31からの放流量QAn(m/s)を、満水時刻予測装置6の演算処理装置16がアクセスできる記憶装置上に格納されている図7の主ダム貯水位−ゲート開度−放流量対応テーブルにより求めることができる。
【0041】
図7は主ダム貯水位−ゲート開度−放流量対応テーブルの一例の構成図である。主ダム貯水位−ゲート開度−放流量対応テーブルは、主ダム31の貯水位(m)及び主ダム31のゲート開度(%)に対応する主ダム31からの放流量(m/s)を示している。つまり、主ダム貯水位−ゲート開度−放流量対応テーブルを用いれば、主ダム31が、ある貯水位及びゲート開度のときの主ダム31からの放流量を求めることができる。
【0042】
満水時刻予測装置6は、起動後、使用者とのユーザインターフェース(UI)として図8のような画面80を出力装置12等に表示する。満水時刻予測装置6の使用者は、例えば出力装置12に表示された画面80の満水予測ボタン81を入力装置11により押下することで本発明による満水時刻の予測を開始する。
【0043】
図9は本発明の満水時刻予測装置6における満水時刻予測機能の処理手順を表した一例のフローチャートである。満水時刻予測装置6は、所定の間隔で、図9の処理を繰り返し実行する。
【0044】
ステップS1に進み、満水時刻予測装置6は主ダム31の貯水位が下降中か否かを以下の式(3)により判定する。
【0045】
ΔQn(m/s)=QAn−Qis・・・(3)
式(3)は、主ダム31からの放流量QAnと主ダム31への流入量Qisとの差分を算出している。主ダム31からの放流量QAnが主ダム31への流入量Qisよりも大きいとき、即ちΔQnが正の値であるとき、満水時刻予測装置6は主ダム31の貯水位が下降傾向(下降中)であると判定する。また、主ダム31からの放流量QAnが主ダム31への流入量Qisよりも小さいとき、即ちΔQnが負の値であるとき、満水時刻予測装置6は主ダム31の貯水位が上昇傾向(上昇中)であると判定する。
【0046】
主ダム31の貯水位が下降中であると判定すると、満水時刻予測装置6はステップS2に進み、主ダム31の貯水位が下降中のときの満水時刻算出処理を行う。主ダム31の貯水位が上昇中であると判定すると、満水時刻予測装置6はステップS3に進み、主ダム31の貯水位が上昇中のときの満水時刻算出処理を行う。
【0047】
図10は、主ダムの貯水位が下降中のときの満水時刻算出処理の手順を表した一例のフローチャートである。ステップS11に進み、満水時刻予測装置6は、主ダム31の現在貯水位HSnの貯水量VSnと、1段階下降した主ダム31の貯水位HSn−1の貯水量VSn−1との差分ΔVn(m)を以下の式(4)により計算する。
【0048】
ΔVn=VSn−VSn−1・・・(4)
差分ΔVnは主ダム31の現在貯水位HSnを1段階下降させて貯水位HSn−1とする為に主ダム31から減らさなければならない貯水量である。
【0049】
ステップS12に進み、満水時刻予測装置6は主ダム31からの放流量QAnと主ダム31への流入量Qisとの差分ΔQnを前述した式(3)により計算する。ここでは主ダム31の貯水位が下降中のときの満水時刻算出処理を説明している為、差分ΔQnは正の値となる。差分ΔQnは単位時間(1秒)毎に減る主ダム31の貯水量である。
【0050】
ステップS13に進み、満水時刻予測装置6は、式(4)により計算した差分ΔVn及び式(3)により計算した差分ΔQnに基づき、主ダム31の貯水位が1段階下降するまでの経過時間t(s)を以下の式(5)により計算する。
【0051】
t=ΔVn÷ΔQn・・・(5)
ステップS14に進み、満水時刻予測装置6は主ダム31の現在の貯水位HSn及び主ダム31のゲート開度Aから決定される主ダム31からの放流量QAnと、主ダム31の貯水位が1段階下降するまでの経過時間tとに基づき、主ダム31の貯水位が1段階下降するまでに副ダム32へ放流された水量QAn・tを以下の式(6)により計算する。
【0052】
QAn・t=QAn×t・・・(6)
ステップS15に進み、満水時刻予測装置6は前述した式(1)により計算した副ダム32の空容量ΔVFと、式(6)により計算した主ダム31の貯水位が1段階下降するまでに副ダム32へ放流された水量QAn・tとを比較して、副ダム32が満水か否かを判定する。
【0053】
副ダム32が満水でないと判定すると、ステップS16に進み、満水時刻予測装置6は満水になるまでの時間T(s),副ダム32の空容量ΔVF(m),nを次のように更新する。
【0054】
満水時刻予測装置6は、副ダム32が満水になるまでの時間Tに、主ダム31の貯水位が1段階下降するまでの経過時間tを加算する。時間Tは、初期値として0が格納されている。また、満水時刻予測装置6は副ダム32の空容量ΔVFから、1段階下降するまでに副ダム32へ放流された水量QAn・tを減算する。さらに、満水時刻予測装置6はnをn−1に更新した後、ステップS11の処理に戻る。ステップS16の処理は、主ダム32の現在貯水位をHSnからHSn−1に1段階下降させたあと、ステップS11〜S15までの処理を繰り返させる為に行う。即ち、満水時刻予測装置6は副ダム32が満水になるまで現在貯水位をHSn,HSn−1,HSn−2,・・・,HS1という様に1段階ずつ下降させながらステップS11〜S15までの処理を繰り返し行う。
【0055】
副ダム32が満水であると判定すると、ステップS17に進み、満水時刻予測装置6は現在時刻に、空容量ΔVFの副ダム32が満水になるまでの時間T(s)を加算して副ダム32の満水時刻を算出する。
【0056】
図11は、主ダムの貯水位が上昇中のときの満水時刻算出処理の手順を表した一例のフローチャートである。ステップS21に進み、満水時刻予測装置6は、主ダム31の現在貯水位HSnの貯水量VSnと、1段階上昇した主ダム31の貯水位HSn+1の貯水量VSn+1との差分ΔVn(m)を以下の式(7)により計算する。
【0057】
ΔVn=VSn−VSn+1・・・(7)
差分ΔVnは主ダム31の現在貯水位HSnを1段階上昇させて貯水位HSn+1とする為に主ダム31へ増やさなければならない貯水量である。
【0058】
ステップS22に進み、満水時刻予測装置6は主ダム31からの放流量QAnと主ダム31への流入量Qisとの差分ΔQnを前述した式(3)により計算する。ここでは主ダム31の貯水位が上昇中のときの満水時刻算出処理を説明している為、差分ΔQnは負の値となる。差分ΔQnは単位時間(1秒)毎に増える主ダム31の貯水量である。
【0059】
ステップS23に進み、満水時刻予測装置6は、式(7)により計算した差分ΔVn及び式(3)により計算した差分ΔQnに基づき、主ダム31の貯水位が1段階上昇するまでの経過時間t(s)を以下の式(8)により計算する。
【0060】
t=ΔVn÷|ΔQn|・・・(8)
ステップS24に進み、満水時刻予測装置6は主ダム31の現在の貯水位HSn及び主ダム31のゲート開度Aから決定される主ダム31からの放流量QAnと、主ダム31の貯水位が1段階上昇するまでの経過時間tとに基づき、主ダム31の貯水位が1段階上昇するまでに副ダム32へ放流された水量QAn・tを前述の式(6)により計算する。
【0061】
ステップS25に進み、満水時刻予測装置6は前述した式(1)により計算した副ダム32の空容量ΔVFと、式(6)により計算した主ダム31の貯水位が1段階上昇するまでに副ダム32へ放流された水量QAn・tとを比較して、副ダム32が満水か否かを判定する。
【0062】
副ダム32が満水でないと判定すると、ステップS26に進み、満水時刻予測装置6は満水になるまでの時間T(s),副ダム32の空容量ΔVF(m),nを次のように更新する。
【0063】
満水時刻予測装置6は、副ダム32が満水になるまでの時間Tに、主ダム31の貯水位が1段階上昇するまでの経過時間tを加算する。時間Tは、初期値として0が格納されている。また、満水時刻予測装置6は副ダム32の空容量ΔVFから、1段階上昇するまでに副ダム32へ放流された水量QAn・tを減算する。さらに、満水時刻予測装置6はnをn+1に更新した後、ステップS21の処理に戻る。ステップS26の処理は、主ダム32の現在貯水位をHSnからHSn+1に1段階上昇させたあと、ステップS21〜S25までの処理を繰り返させる為に行う。即ち、満水時刻予測装置6は副ダム32が満水になるまで現在貯水位をHSn,HSn+1,HSn+2,・・・,HSmaxという様に1段階ずつ上昇させながらステップS21〜S25までの処理を繰り返し行う。
【0064】
副ダム32が満水であると判定すると、ステップS27に進み、満水時刻予測装置6は現在時刻に、空容量ΔVFの副ダム32が満水になるまでの時間T(s)を加算して副ダム32の満水時刻を算出する。
【0065】
次に、満水時刻予測機能が算出した満水時刻に副ダム32を満水とするため、主ダム31のゲート開度を自動制御する本発明のゲート開度自動制御機能について説明する。図12は、本発明の満水時刻予測装置におけるゲート開度自動制御機能の処理手順を表した一例のフローチャートである。図12に示したフローチャートの処理は、所定時間毎に行われる。また、所定の時間間隔で実行する図9の処理(及びそれに続く図10もしくは図11の処理)の実行後に続けて図12の処理を行っても良い。
【0066】
ステップS31に進み、満水時刻予測装置6は前回及び今回算出された副ダム32の満水時刻に差異があるか否かを判定する。満水時刻予測装置6は前回及び今回算出された副ダム32の満水時刻に差異が無ければ、処理を終了する。満水時刻予測装置6は前回及び今回算出された副ダム32の満水時刻に差異があれば、ステップS32に進み、前回算出された満水時刻に副ダム32が満水となるように主ダム31のゲート開度を調整する。
【0067】
例えば今回算出された副ダム32の満水時刻が前回算出された副ダム32の満水時刻よりも遅れている場合、満水時刻予測装置6は主ダム31のゲート開度を大きくして主ダム31からの放流量QAnを大きくすることで副ダム32の満水時刻を前回算出された副ダム32の満水時刻に近づけることができる。
【0068】
また、例えば今回算出された副ダム32の満水時刻が前回算出された副ダム32の満水時刻よりも進んでいる場合、満水時刻予測装置6は主ダム31のゲート開度を小さくして主ダム31からの放流量QAnを小さくすることで副ダム32の満水時刻を前回算出された副ダム32の満水時刻に近づけることができる。
【0069】
なお、主ダム31のゲート開度の調整は、例えば前述の式(5)により放流量QAnを決定し、その放流量QAn及び主ダム31の現在貯水位HSnに対応するゲート開度を図7の主ダム貯水位−ゲート開度−放流量対応テーブルから求めて目標ゲート開度とすることにより行う。満水時刻予測装置6は主ダム31のゲート開度が目標ゲート開度となるように自動制御することにより、満水時刻予測機能が算出した満水時刻に精度良く副ダム32を満水とすることができる。
【0070】
本発明のゲート開度自動制御機能の処理が開始されたあと、満水時刻予測装置6のダム運用支援機能は図13に示すようなフローチャートの処理を開始する。図13は本発明の満水時刻予測装置におけるダム運用支援機能の処理手順を表した一例のフローチャートである。
【0071】
ステップS41に進み、満水時刻予測装置6は満水時刻予測機能が算出した副ダム32の満水時刻から、副ダム32が満水になるまでの残り予想時間を算出する。ステップS42に進み、満水時刻予測装置6はステップS41で算出した残り予想時間に応じて図14の作業内容テーブルから作業内容を読み出し、図15のような満水予測画面150を出力装置12等に表示する。
【0072】
図14は作業内容テーブルの一例の構成図である。作業内容テーブルは、満水時刻予測装置6の演算処理装置16がアクセスできる記憶装置上に格納されており、副ダム32が満水になるまでの残り予想時間に対応付けられて作業内容が格納されている。なお、作業内容テーブルに格納されている作業内容は使用者が設定可能である。満水時刻予測装置6は副ダム32が満水になるまでの残り予想時間に対応付けられている作業内容を図14の作業内容テーブルから読み出して図15の満水予測画面150の作業内容欄151に表示させる。
【0073】
図15は満水予測画面の一例のイメージ図である。図15の満水予測画面150は、入出力装置4や、出力装置12に出力されるもので、作業内容欄151,満水時刻予測機能が算出した副ダム32の満水時刻を表示する満水予想時刻欄152,副ダム32が満水になるまでの残り予想時間を表示する残り予想時間欄153を含むように構成される。
【0074】
このように、使用者は満水予測画面150から副ダム32を満水とする場合に必要な情報を取得できる。また、副ダムが満水となるまでの残り予想時間に応じた作業内容が満水予測画面150に順次表示されるため、使用者は事前に下流域や監視要員へ通知する等の準備作業を作業経験の浅い者であっても適切に行うことができる。
【0075】
本発明による満水時刻予測装置6は、貯水位の変化傾向に応じて副ダム32の満水時刻予測方法を切り替えるので、精度の良く副ダム32の満水時刻を予測できる。以上、本発明による満水時刻予測装置6によれば、ダム運用及び管理の労力を軽減できる。
【0076】
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)
第1ダムと、前記第1ダムの下流に設けた第2ダムとで構成されるダムシステムにおける前記第2ダムの満水時刻を予測する満水時刻予測装置であって、
前記第1ダムへの流入量と前記第1ダムからの放流量とに基づき前記第1ダムの貯水位が上昇中か下降中かを判定する貯水位変化傾向判定手段と、
前記貯水位変化傾向判定手段による判定の結果に基づき、前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間を前記第1ダムへの流入量,前記第1ダムの現在貯水位及び前記第1ダムのゲート開度に応じた前記第1ダムからの放流量とに基づき算出する時間算出手段と、
前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間及び前記第1ダムの現在貯水位における前記第1ダムからの放流量に基づき、前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間に前記第2ダムが満水になるか否かを判定する満水判定手段と、
前記満水判定手段により前記第2ダムが満水になると判定されるまで前記第1ダムの現在貯水位を1段階ずつ上昇又は下降させて前記時間算出手段により繰り返し算出される前記時間を加算して前記第2ダムの満水時刻を算出する満水時刻算出手段と
を有する満水時刻予測装置。
(付記2)
前記時間算出手段は、
前記貯水位変化傾向判定手段による判定の結果に基づき、前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間を、前記第1ダムの現在貯水位と前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降したときの変化後貯水位との貯水量の差分,前記第1ダムへの流入量,前記第1ダムの現在貯水位及び前記第1ダムのゲート開度に応じた前記第1ダムからの放流量とに基づき算出することを特徴とする付記1記載の満水時刻予測装置。
(付記3)
前記満水時刻算出手段により前回算出された前記第2ダムの満水時刻と今回算出された前記第2ダムの満水時刻とに差異があると、前回算出された前記第2ダムの満水時刻に前記第2ダムが満水となるように前記第1ダムのゲート開度を調整するゲート開度調整手段を更に有することを特徴とする付記1記載の満水時刻予測装置。
(付記4)
前記満水時刻算出手段が算出した前記第2ダムの満水時刻,前記第2ダムが満水になるまでの残り予想時間,前記残り予想時間に応じた内容を含む画面を使用者に提示する画面提示手段を更に有することを特徴とする付記1記載の満水時刻予測装置。
(付記5)
第1ダムと、前記第1ダムの下流に設けた第2ダムとで構成されるダムシステムにおける前記第2ダムの満水時刻を予測する満水時刻予測装置の満水時刻予測方法であって、
前記第1ダムへの流入量と前記第1ダムからの放流量とに基づき前記第1ダムの貯水位が上昇中か下降中かを判定する貯水位変化傾向判定ステップと、
前記貯水位変化傾向判定ステップによる判定の結果に基づき、前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間を前記第1ダムへの流入量,前記第1ダムの現在貯水位及び前記第1ダムのゲート開度に応じた前記第1ダムからの放流量とに基づき算出する時間算出ステップと、
前記時間算出ステップにより算出された前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間及び前記第1ダムの現在貯水位における前記第1ダムからの放流量に基づき、前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間に前記第2ダムが満水になるか否かを判定する満水判定ステップと、
前記満水判定ステップにより前記第2ダムが満水になると判定されるまで前記第1ダムの現在貯水位を1段階ずつ上昇又は下降させて前記時間算出ステップにより繰り返し算出される前記時間を加算して前記第2ダムの満水時刻を算出する満水時刻算出ステップと
を有する満水時刻予測方法。
(付記6)
第1ダムと、前記第1ダムの下流に設けた第2ダムとで構成されるダムシステムにおける前記第2ダムの満水時刻を予測する、記憶装置,演算処理装置を含むコンピュータシステムにおいて実行される満水時刻予測プログラムであって、
前記演算処理装置を、
前記第1ダムへの流入量と前記第1ダムからの放流量とに基づき前記第1ダムの貯水位が上昇中か下降中かを判定する貯水位変化傾向判定手段と、
前記貯水位変化傾向判定手段による判定の結果に基づき、前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間を前記第1ダムへの流入量,前記第1ダムの現在貯水位及び前記第1ダムのゲート開度に応じた前記第1ダムからの放流量とに基づき算出する時間算出手段と、
前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間及び前記第1ダムの現在貯水位における前記第1ダムからの放流量に基づき、前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間に前記第2ダムが満水になるか否かを判定する満水判定手段と、
前記満水判定手段により前記第2ダムが満水になると判定されるまで前記第1ダムの現在貯水位を1段階ずつ上昇又は下降させて前記時間算出手段により繰り返し算出される前記時間を加算して前記第2ダムの満水時刻を算出する満水時刻算出手段と
して機能させる満水時刻予測プログラム。
【0077】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】ダム管理システムの一例のシステム構成図である。
【図2】満水時刻予測装置を実現するコンピュータシステムの一例の構成図である。
【図3】従来の満水時刻予測方法について説明する為の模式図である。
【図4】副ダム貯水位−貯水量対応テーブルの一例の構成図である。
【図5】本発明による満水時刻予測方法について説明する為の模式図である。
【図6】主ダム貯水位−貯水量対応テーブルの一例の構成図である。
【図7】主ダム貯水位−ゲート開度−放流量対応テーブルの一例の構成図である。
【図8】満水時刻予測装置が表示する画面の一例のイメージ図である。
【図9】本発明の満水時刻予測装置における満水時刻予測機能の処理手順を表した一例のフローチャートである。
【図10】主ダムの貯水位が下降中のときの満水時刻算出処理の手順を表した一例のフローチャートである。
【図11】主ダムの貯水位が上昇中のときの満水時刻算出処理の手順を表した一例のフローチャートである。
【図12】本発明の満水時刻予測装置におけるゲート開度自動制御機能の処理手順を表した一例のフローチャートである。
【図13】本発明の満水時刻予測装置におけるダム運用支援機能の処理手順を表した一例のフローチャートである。
【図14】作業内容テーブルの一例の構成図である。
【図15】満水予測画面の一例のイメージ図である。
【符号の説明】
【0079】
1 貯水位計
2 ゲート開度計
4 入出力装置
5 ダム管理装置
6 満水時刻予測装置
7,8 データ通信ネットワーク
11 入力装置
12 出力装置
13 ドライブ装置
14 補助記憶装置
15 主記憶装置
16 演算処理装置
17 インターフェース装置
31 主ダム
32 副ダム
80 画面
81 満水予測ボタン
150 満水予測画面
151 作業内容欄
152 満水予想時刻欄
153 残り予想時間欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ダムと、前記第1ダムの下流に設けた第2ダムとで構成されるダムシステムにおける前記第2ダムの満水時刻を予測する満水時刻予測装置であって、
前記第1ダムへの流入量と前記第1ダムからの放流量とに基づき前記第1ダムの貯水位が上昇中か下降中かを判定する貯水位変化傾向判定手段と、
前記貯水位変化傾向判定手段による判定の結果に基づき、前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間を前記第1ダムへの流入量,前記第1ダムの現在貯水位及び前記第1ダムのゲート開度に応じた前記第1ダムからの放流量とに基づき算出する時間算出手段と、
前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間及び前記第1ダムの現在貯水位における前記第1ダムからの放流量に基づき、前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間に前記第2ダムが満水になるか否かを判定する満水判定手段と、
前記満水判定手段により前記第2ダムが満水になると判定されるまで前記第1ダムの現在貯水位を1段階ずつ上昇又は下降させて前記時間算出手段により繰り返し算出される前記時間を加算して前記第2ダムの満水時刻を算出する満水時刻算出手段と
を有する満水時刻予測装置。
【請求項2】
前記満水時刻算出手段により前回算出された前記第2ダムの満水時刻と今回算出された前記第2ダムの満水時刻とに差異があると、前回算出された前記第2ダムの満水時刻に前記第2ダムが満水となるように前記第1ダムのゲート開度を調整するゲート開度調整手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の満水時刻予測装置。
【請求項3】
前記満水時刻算出手段が算出した前記第2ダムの満水時刻,前記第2ダムが満水になるまでの残り予想時間,前記残り予想時間に応じた内容を含む画面を使用者に提示する画面提示手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の満水時刻予測装置。
【請求項4】
第1ダムと、前記第1ダムの下流に設けた第2ダムとで構成されるダムシステムにおける前記第2ダムの満水時刻を予測する満水時刻予測装置の満水時刻予測方法であって、
前記第1ダムへの流入量と前記第1ダムからの放流量とに基づき前記第1ダムの貯水位が上昇中か下降中かを判定する貯水位変化傾向判定ステップと、
前記貯水位変化傾向判定ステップによる判定の結果に基づき、前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間を前記第1ダムへの流入量,前記第1ダムの現在貯水位及び前記第1ダムのゲート開度に応じた前記第1ダムからの放流量とに基づき算出する時間算出ステップと、
前記時間算出ステップにより算出された前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間及び前記第1ダムの現在貯水位における前記第1ダムからの放流量に基づき、前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間に前記第2ダムが満水になるか否かを判定する満水判定ステップと、
前記満水判定ステップにより前記第2ダムが満水になると判定されるまで前記第1ダムの現在貯水位を1段階ずつ上昇又は下降させて前記時間算出ステップにより繰り返し算出される前記時間を加算して前記第2ダムの満水時刻を算出する満水時刻算出ステップと
を有する満水時刻予測方法。
【請求項5】
第1ダムと、前記第1ダムの下流に設けた第2ダムとで構成されるダムシステムにおける前記第2ダムの満水時刻を予測する、記憶装置,演算処理装置を含むコンピュータシステムにおいて実行される満水時刻予測プログラムであって、
前記演算処理装置を、
前記第1ダムへの流入量と前記第1ダムからの放流量とに基づき前記第1ダムの貯水位が上昇中か下降中かを判定する貯水位変化傾向判定手段と、
前記貯水位変化傾向判定手段による判定の結果に基づき、前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間を前記第1ダムへの流入量,前記第1ダムの現在貯水位及び前記第1ダムのゲート開度に応じた前記第1ダムからの放流量とに基づき算出する時間算出手段と、
前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間及び前記第1ダムの現在貯水位における前記第1ダムからの放流量に基づき、前記時間算出手段が算出した前記第1ダムの貯水位が1段階上昇するか下降するまでの時間に前記第2ダムが満水になるか否かを判定する満水判定手段と、
前記満水判定手段により前記第2ダムが満水になると判定されるまで前記第1ダムの現在貯水位を1段階ずつ上昇又は下降させて前記時間算出手段により繰り返し算出される前記時間を加算して前記第2ダムの満水時刻を算出する満水時刻算出手段と
して機能させる満水時刻予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−3779(P2009−3779A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165316(P2007−165316)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】