説明

溶媒をベースとするコーティングのためのシリコーンを含まない消泡剤

本発明は、溶媒をベースとするコーティング、特に、好ましくはポリアルキルビニルエーテルのグラフトコポリマーをベースとする透明な木材塗料のためのシリコーンを含まない消泡剤に関する。コーティング組成物は、樹脂バインダー成分と、a)式(I)
[式中、Aは、アルキルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、アリルエーテル、アクリレート、メタクリレート、オレフィン、無水マレイン酸又はスチレンから選択される重合性モノマー又はコモノマーであり;[A]mは、1種以上のモノマーAを含み、グラフト骨格であり、ポリアルキルビニルエーテル、ポリフェニルビニルエーテル、ポリアリルエーテル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(アルキルビニルエーテル−コ−アクリレート)、ポリオレフィン、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー又はポリスチレンから選択される、ホモポリマー又はコポリマー又はそれらの混合物を表し、[B]nは、骨格内の単位から分岐がグラフトしている、骨格[A]m+n内の単位を表し;Yは(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルアセテートから選択される重合性モノマー又はコモノマーであり[Y]pは、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルアセテートから選択される1種以上のモノマーのホモ/コポリマーであるグラフト鎖であり;p=1〜5000であり;mは1〜5000の数であり、nは1〜5000の数であり;m+nは30〜5000の数である]のグラフトコポリマー、b)ポリマー、混合ポリマー又はコポリマー[A]m+n;及びc)モノマーYのポリマー、混合ポリマー又はコポリマーを含む消泡剤製剤と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒をベースとするコーティングのためのシリコーンを含まない消泡剤、特に、好ましくは、ポリアルキルビニルエーテルのグラフトコポリマーをベースとする透明な木材塗装に関する。
【0002】
米国特許第3127352号(1964年)は、鉱油中で消泡剤として用いられるポリビニルエーテルを開示している。このポリビニルエーテルは、非エーテル基を含む、1種以上のエチレン性不飽和化合物と共重合することができる。米国特許第3658943号(1972年)は、熱可塑性樹脂と、アルキルビニルエーテル骨格ポリマーにグラフトしたメチルメタクリレートを含むグラフトコポリマーとを含む樹脂組成物を開示している。このコポリマーは、作業性、例えば押出性を向上させる。
【0003】
米国特許第3796774号(1974年)は、メチルメタクリレートのみ、又はアルキルビニルエーテル上にグラフトしたスチレンモノマーのような、1種以上の追加のビニルモノマーを一緒に含むグラフトコポリマー組成物を開示している。このグラフトポリマーはフリーラジカル重合により製造され、押出性を向上させるための樹脂添加剤として用いられる。
【0004】
米国特許第5187201号(1993年)は、平滑化を向上し、及び/又は発泡を防止又は除去するのに効果的な、特定量のアルキルビニルエーテルポリマーを含むコーティング組成物を開示している。このアルキルビニルエーテルポリマーは、一般式RO−CH=CH2及びR’O−CH=CH2のモノマーを含むコポリマーである。
【0005】
WO2008/016545は、骨格構造としての塩素化オレフィン上でのアクリル鎖のグラフト重合を開示している。
【0006】
コーティングにおいて用いる場合、高分子量のポリビニルアルキルエーテルは、例えば平滑化の不良及び孔の形態において、コーティングの欠陥をしばしば起こす場合がある。これらの製品の更なる不利益は、無着色樹脂系において、この不適合がコーティングにおいて顕著な曇りをも起こすことである。
【0007】
消泡剤は、対立する2種の特性、相溶性及び消泡性能を有し、一方の増加は他方を減少させる傾向がある。従って、強力な消泡効果及び相溶性を同時に有する消泡剤を見つけることは非常に困難である。
【0008】
本発明は、広範囲のコーティングシステム、例えば、アルキド、クリアコーティング、合成脂肪酸、(メタ)アクリル酸等のための高い消泡効果及び相溶性の間の良好なバランスに達する適切なアプローチを見つけることに焦点を合わせる。
【0009】
従って、本発明は、樹脂バインダー成分と、
a)式
【化1】

[式中、Aは、アルキルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、アリルエーテル、アクリレート、メタクリレート、オレフィン、無水マレイン酸又はスチレンから選択される重合性モノマー又はコモノマーであり;
[A]mは、1種以上のモノマーAを含み、グラフト骨格であり、ポリアルキルビニルエーテル、ポリフェニルビニルエーテル、ポリアリルエーテル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(アルキルビニルエーテル−コ−アクリレート)、ポリオレフィン、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー又はポリスチレンから選択される、ホモポリマー又はコポリマー又はそれらの混合物を表し、
[B]nは、骨格内の単位から分岐がグラフトしている、骨格[A]m+n内の単位を表し;
Yは(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルアセテートから選択される重合性モノマー又はコモノマーであり;
[Y]pは、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルアセテートから選択される1種以上のモノマーのホモ/コポリマーであるグラフト鎖であり;p=1〜5000であり;
mは1〜5000の数であり、
nは1〜5000の数であり;及び
m+nは30〜5000の数である]のグラフトコポリマー、
b)ポリマー、混合ポリマー又はコポリマー[A]m+n;及び
c)モノマーYのポリマー、混合ポリマー又はコポリマーを含む消泡剤製剤と、を含むコーティング組成物に関する。
【0010】
定義:
ポリマー[A]mは、最終のグラフトコポリマー中の骨格である、開始ポリマーとして用いられる。開始剤と反応した後、それはグラフト点を形成し得る。分子量の範囲は、骨格のホモ/コポリマー、及び用いられるモノマー/コモノマーの性質に依存する。例えば、出発原料としてポリ(イソブチルビニルエーテル)が用いられる場合、適切なMnは3000〜40000g/モルであり、好ましくは5000〜35000g/モルであり、用いられる修飾モノマーにも依存する。
【0011】
ポリマー鎖中の1個以上のポイントは、反応の間に反応部位になり得る。例えば、出発原料としてポリ(イソブチルビニルエーテル)が用いられる場合、グラフトのための可能な2つの部位は、以下の図中のa及びbであり、図において、tert−Hは反応点を形成するために取り除くことができる;
【化2】

【0012】
第一の実施態様においては、骨格ポリマー[A]mは、ポリアルキルビニルエーテル又はポリフェニルビニルエーテルのホモポリマー又はコポリマーである(請求項2)。
【0013】
ポリアルキルビニルエーテルは、以下の式1の同一であるか又は異なる繰り返し単位、及び/又は非エーテル基、例えば式2のものを含む1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む、1種以上のアルキルビニルエーテルモノマーのホモ/コポリマーである。
【化3】

[式中、R1〜5は同一であるか又は異なり、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基を含む置換基から選択される]。
【0014】
「ヒドロカルビル」は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基、多環式炭化水素、複素環基を含む、炭素及び水素のみを含む一価の置換基であり、特に明記しない限り、本明細書においてヒドロカルビル基は1〜約30個の炭素原子を含むことが好ましい。
【0015】
1-30アルキル基の例は、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−アミル、イソアミル、t−アミル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等である。
【0016】
「置換ヒドロカルビル」は、これらの置換基を含む化合物が対象とされている工程条件下で不活性である、1個以上の置換基を含むヒドロカルビルを意味する。置換基は、工程を実質的に妨害することもない。特に明記しない限り、本明細書におけるヒドロカルビル基は、1〜約30個の炭素原子を含むことが好ましい。「置換」の意味には、芳香族基、芳香族複素環、多環式炭化水素、複素環基、ハロカーボンが含まれる。
【0017】
本明細書において、「不活性官能基」は、置換基を含む化合物が対象とされている工程条件下で不活性である、ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル以外の置換基を意味する。本明細書において、不活性官能基には、酸素原子を含む置換基、窒素原子を含む置換基又はハロゲンを含む置換基が含まれる。不活性官能基の例には、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素及びヨウ素)、エーテル(−OR6又は−TOR7)、C1−C10のエステル、C1−C10のアミン、C1−C10のアルコキシル、ニトリル基が含まれる。
【0018】
本明細書において、「エーテル」は−OR6又は−TOR7を意味する。
【0019】
「窒素原子を含む置換基」は、
【化4】

−NR910、−T−NR1112を意味する。
【0020】
Tはヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル及び不活性官能基であり、本明細書においては、特に明記しない限り、置換基は1〜約30個の炭素原子を含むことが好ましい。
【0021】
本明細書において、「酸素原子を含む置換基」は、ヒドロキシル、アルコキシ(−OR13)、−T−OR14を含む置換基;−COOH、−T−COOH、−COOR15、−T−COOR16を意味する。
【0022】
本明細書において、「ハロゲンを含む置換基」は、ハロカーボンとは異なる、ハロゲン(F、Cl、Br、I)を含む任意の置換基を意味する。
【0023】
本明細書において、「ハロカーボン」は、1個以上のC−X(ここで、X=F、Cl、Br、I)を含む置換ヒドロカルビルを意味する。例えば、mが1〜18、好ましくは4〜18の数である、Cm2m+1−(CH22基。
【0024】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、は、それぞれ独立して水素、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基である。近接している、それらの任意の2個はお互いに連結しているか、環を形成しているという条件で、前記の各置換基は同一であるか、又は異なっていてもよい。
【0025】
ポリアルキルビニルエーテルは、好ましくはポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、ポリイソプロピルビニルエーテル、ポリn−ヘキシルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル(PIBVE)、ポリt−ブチルビニルエーテル、ポリ(2−エチルヘキシルビニルエーテル)、ポリヒドロキシルブチルビニルエーテル、ポリシクロヘキシルビニルエーテル、式CH2=CH−O−(CH22−(CF26−CF3のポリビニルエーテル、式CH2=CH−O−(CH24−(CH2−CH2−O)8−CH3のポリビニルエーテルから選択される(請求項3)。
【0026】
更に好ましくは、ポリアルキルビニルエーテルは、ポリイソブチルビニルエーテル(PIBVE)、ポリメチルビニルエーテル;ポリ(2−エチルヘキシルビニルエーテル);ポリイソプロピルビニルエーテル、ポリ2−メチルブチルビニルエーテル、ポリシクロヘキシルビニルエーテルから選択される。
【0027】
他の実施態様においては、骨格ポリマー[A]mは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリスチレンのホモポリマー又はコポリマーである(請求項4)。
【0028】
ポリ(メタ)アクリレートは、以下の式3
【化5】

[式中、R17は水素又はメチル基を表し、R18は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基を表す]の同一又は異なる繰り返し単位を含む、アルキルアクリレートホモ/コポリマーである。
【0029】
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート(式4)、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(式5)、(メトキシポリエチレングリコール)(メタ)アクリレート(式6)等から選択されるモノマーのホモ/コポリマーである。
【化6】

【0030】
式1中のR1及び式3中のR18は、好ましくは、
【化7】

[式中、R19、R20、R21の少なくとも2個は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、不活性官能基を含む置換基、アルキル、アリール、シクロアルキル、例えば、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシルからなる置換基から選択されるメンバーであり、置換されていないR基は水素である]からなる群から選択される。
【0031】
一実施態様においては、骨格ポリマー[A]mはポリオレフィンである(請求項6)。
【0032】
ポリオレフィンは、好ましくは、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニルから選択される。
【0033】
一実施態様においては、ポリマー[A]mは、
・ポリ(イソブチルビニルエーテル−コ−メチルビニルエーテル)、ポリ(イソブチルビニルエーテル−コ−(メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル)、ポリ(メチルビニルエーテル−コ−2−エチルヘキシルビニルエーテル)のような、アルキルビニルエーテルのコポリマー;
・ポリ(2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート−コ−メチルメタクリレート)、ポリ(t−ブチルアクリレート−コ−エチルアクリレート)、ポリ(t−ブチルアクリレート−コ−アセトアセトキシルエチルメタクリレート)のような(メタ)アクリレートのコポリマー;
・ポリ(イソブチルビニルエーテル−コ−ブチルアクリレート)、ポリ(イソブチルビニルエーテル−コ−2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルビニルエーテル−コ−イソブチルメタクリレート)のような、アルキルビニルエーテル及び(メタ)アクリレート)のコポリマー等のコポリマーである(請求項7)。
【0034】
一実施態様においては、ポリマー[A]mはポリマー混合物である(請求項8)。
【0035】
グラフト鎖[Y]pは、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルアセテート及びそれらの誘導体から選択される1種以上のモノマーのホモ/コポリマーであり得る(請求項9)。
【0036】
モノマーの例は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、(メトキシポリエチレングリコール)ビニルエーテルアクリレート又はスチレン及びt−ブチルスチレンである。
【0037】
モノマーYのポリマー又はコポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート又はポリスチレン、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(n−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(i−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート)、ポリスチレン、ポリ(p−t−ブチルスチレン)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−コ−スチレン)及びポリ(メチル−(メタ)アクリレート−コ−t−ブチルアクリレート)等から選択される。
【0038】
mは1〜5000の数である。
【0039】
nは1〜5000の数である。
【0040】
m+nは30〜5000の数である。例えば、開始ポリマーとしてポリ(イソブチルビニルエーテル)ポリマーが用いられる場合、mは好ましくは30〜500であり、更に好ましくは50〜350である。
【0041】
樹脂バインダー成分は、通常の任意のバインダー樹脂、例えば、アルキド樹脂、合成脂肪酸樹脂、(メタ)アクリル酸樹脂等である。
【0042】
本発明の消泡剤製剤中の出発原料は、以下の特徴:
1.ポリマー自身が、アミド系に対する消泡特性を有する
2.開始剤と反応した後、グラフト点を生成し得る
3.開始ポリマーの規格が特定の範囲を有するべきである
を有する、ある種のポリマーである。
【0043】
方法
2.1 記載される消泡剤試料の合成は重合により達成される。分岐は、開始剤の開始ポリマーとの反応により生成する反応点における開始ポリマーからグラフトされる少なくとも1種のモノマー/コモノマーにより生成される。重合のタイプには、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開始剤又は開始剤系を含むか又は含まない、それらの組み合わせが含まれる。
【0044】
2.2 重合及び共重合のための開始剤又は開始剤系は、通常の標準的な開始剤、又は制御された/制御されていない、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のための開始剤系である。
【0045】
2.3 2.1に記載されるラジカル重合のための開始剤又は開始剤系は、無機/有機過酸化物、アゾ開始剤及び過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチル−ペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシジエチルアセテート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートのようなレドックス開始剤、並びに過酸化ベンゾイルのようなレドックス開始剤及びN,N−ジメチルアニリンである。重合条件は、1気圧、10〜200℃、好ましくは20〜120℃、N2雰囲気下である。
【0046】
2.4 2.3に記載される「レドックス開始剤」は、酸化還元反応によりラジカル種を生成し得る酸化剤及び還元剤により生成される。酸化剤は、過酸化ジアシル、過酸化ジアロイル、過酸化アルキル、ジアルキルペロキシジカーボネート、ヒドロペルオキシド、パーエステルであり、還元剤は、アルコール、チオール、ケトン、アルデヒド、アミン及びアミドである。酸化剤の例は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシドであり、還元剤の例は、N,N−ジメチルアニリン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N,N−ジメチル−4−トルイジン、テトラエチレンペンタミンである。
【0047】
2.5 2.2における「開始剤系」は、前記開始剤により生成される系、担体上に支持された開始剤、重合開始剤又は共開始剤と組み合わせた開始剤を意味する。
【0048】
2.6 本明細書において「担体」は、ポリマー材料、シリカ、アルミナ、塩化マグネシウム、二酸化チタン又は前記材料の2種以上の混合物を意味する。
【0049】
2.7 開始剤又は開始剤系は、異なるタイプの重合又は共重合のために用いられ、ここで、前記開始剤又は開始剤系は、以下の条件下(N2雰囲気下、重合圧は0.1〜10MPa、重合温度は−50〜200℃、好ましくは30〜150℃である)において、(共)重合のための同種若しくは異種開始剤又は開始剤系として用いることができる。「開始剤」、「開始剤系」及び「共開始剤」の記載は、前記段落2.2〜2.5において記載されるのと同じように、それぞれ独立である。
【0050】
調製:
消泡剤製剤は、10〜150℃で、開始(コ)ポリマー[A]mの存在下にモノマーYを重合し、このようにして請求項1に記載のグラフトコポリマー、開始ポリマー[A]m、及びモノマー(Y)により生成したポリマーの混合物を得ることにより調製される(請求項10)。
【0051】
グラフトコポリマーは、フリーラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、及びそれらの組み合わせにより合成される。合成方法によれば、主要なパラメータは、(1)開始ポリマーの正しい選択;(2)開始ポリマーの分子量;(3)出発原料の修飾方法;(4)分岐モノマーのタイプ;(5)分岐の量、反応条件により決定し得る分岐の長さ、及び開始ポリマーに対する、用いられるモノマーの相対分子比;(6)開始剤のタイプ、反応温度及び反応時間を含む反応条件である。
【0052】
利点
本発明の消泡剤は、一般的に、広範囲のコーティング系、例えば、アルキド、合成脂肪酸、アクリル酸及びコーティング系において、非常に高性能の消泡効果を維持しながら、混和性の向上を示す。
【0053】
消泡剤としてポリアルキルビニルエーテルのような開始剤ポリマー[A]m自体を用いただけと比較した、向上した混和性のため、かすみの減少、フィルムの不良の減少及び高い光沢が得られるであろう。
【0054】
メチルメタクリレート及びスチレンのような、適切な安いモノマーを、先行技術において用いられている高価なモノマーと比較するために用いることができ、この製剤は、種々の要求に従って容易に調整することができる。
【0055】
使用
本発明は、更に、溶媒をベースとする、好ましくはアルキド系、クリアコーティング、合成脂肪酸系又は(メタ)アクリル酸系等のためのコーティング系についての消泡剤としての請求項1に記載の消泡剤製剤の使用に関する。
【0056】
実施例(合成)
実施例1:メチルメタクリレートとポリ(イソブチルビニルエーテル)のグラフトコポリマー
メチルメタクリレートとポリ(イソブチルビニルエーテル)のグラフトコポリマー(Mn=3×104g/モル、PDI=2.38)は以下のように調製した。機械撹拌機、還流冷却器、追加のじょうご及び窒素吸気口を備えた、100mLの四つ口フラスコに、15gのポリ(イソブチルビニルエーテル)溶液(石油エーテル中、37%)及び0.17gの過酸化ジベンゾイル(70%の固形分、残りは水)を満たした。混合物を、窒素雰囲気下、75℃で加熱し、3mLのメチルメタクリレートを3時間かけて滴下して加えた。滴下による相の添加の終了後、更に18時間反応させ、生成した白色の粘性物質をキシレンで20%まで希釈した。
【0057】
実施例2:
メチルメタクリレート及びスチレンとポリ(イソブチルビニルエーテル)とのグラフトコポリマー
メチルメタクリレート及びスチレンとポリ(イソブチルビニルエーテル)とのグラフトコポリマー(Mn=1.7×104g/モル、PDI=1.83)は以下のように調製した。機械撹拌機、還流冷却器、追加のじょうご及び窒素吸気口を備えた、250mLの四つ口フラスコに、70gのポリ(イソブチルビニルエーテル)溶液(石油エーテル中、37%)、10mLのキシレン及び0.68gの過酸化ジベンゾイル(70%の固形分、残りは水)を満たした。混合物を、窒素雰囲気下、75℃で加熱し、12mLのメチルメタクリレート及び3mLのスチレンを3時間かけて滴下して加えた。反応を更に15時間続け、生成した白色の粘性のある物質をキシレンで20%まで希釈した。
【0058】
実施例3:メチルメタクリレートとポリ(t−ブチルアクリレート)のコポリマー
最初に、窒素雰囲気下、機械攪拌機、還流冷却器、追加のじょうご及び窒素供給口を備えた4つ口フラスコに10gのキシレンを導入した。72gのt−ブチルアクリレート及び0.40gのアゾビス(イソブチロニトリル(AIBN)を混合し、反応温度60℃で、前記フラスコに1時間かけて滴下して加えた。滴下による相の添加の終了後、60℃で更に7時間反応させ、生成したポリマー(Mn=4.5×104g/モル、PDI=2.5)を200mLのキシレンで希釈した。1.7gの過酸化ジベンゾイル(70%の固形、残りは水)をフラスコに加え、混合物を75℃に加熱し、60mLのメチルメタクリレートを4時間かけて滴下して加えた。重合を更に16時間続け、生成した粘性物質をキシレンで20%まで希釈した。
【0059】
実施例4:スチレンとポリ(メチルビニルエーテル)のグラフトコポリマー
スチレンとポリ(メチルビニルエーテル)のグラフトコポリマー(Mn=4.2×104g/モル、PDI=2.59)は以下のように調製した。機械撹拌機、還流冷却器、追加のじょうご及び窒素吸気口を備えた、100mLの四つ口フラスコに、15.8gのポリ(メチルビニルエーテル)溶液(固形分35%)及び0.17gの過酸化ジベンゾイル(70%の固形分、残りは水)を満たした。混合物を、窒素雰囲気下、75℃で加熱し、6mLのスチレンを3時間かけて滴下して加えた。反応を更に18時間続け、生成した粘性物質を、Solvesso 100で20%まで希釈した。
【0060】
実施例5:スチレンとポリ(イソブチルビニルエーテル−コ−ブチルアクリレート)のグラフトコポリマー
スチレンとポリ(イソブチルビニルエーテル−コ−ブチルアクリレート)のグラフトコポリマー(Mn=3.0×104g/モル、PDI=2.47)は以下のように調製した。機械撹拌機、還流冷却器、追加のじょうご及び窒素吸気口を備えた、100mLの四つ口フラスコに、32gのポリ(メチルビニルエーテル)溶液(固形分35%)及び0.34gの過酸化ジベンゾイル(70%の固形分、残りは水)を満たした。混合物を、窒素雰囲気下、75℃で加熱し、12mLのスチレンを3時間かけて滴下して加えた。反応を更に18時間続け、生成した白色の粘性物質をSolvesso 100で20%まで希釈した。
【0061】
実施例6:スチレンとポリ(イソブチルビニルエーテル)のグラフトコポリマー
ポリ(イソブチルビニルエーテル)上のスチレンのグラフトコポリマー(Mn=3.0×104g/モル、PDI=2.38)は以下のように調製した。機械撹拌機、還流冷却器及び窒素吸気口を備えた、100mLの四つ口フラスコに、最初に32gのポリ(イソブチルビニルエーテル)溶液(固形分35%)を導入した。窒素雰囲気下、30℃で、レドックス開始剤、0.24gの過酸化ジベンゾイル(70%の固形分、残りは水)及び0.054gのN,N−ジメチルアニリンを、12mLのスチレンと一緒に、3時間かけて滴下して加えた。重合を更に15時間続け、生成した白色の粘性物質をSolvesso 100で20%まで希釈した。
【0062】
実施例6−1 BPEH開始剤の使用
ポリ(イソブチルビニルエーテル)上のスチレンのグラフトコポリマーは以下のように調製した。機械撹拌機、還流冷却器及び窒素吸気口を備えた、250mLの四つ口フラスコに、32gのポリ(イソブチルビニルエーテル)溶液(固形分35%)、0.14mLのt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(BPEH)を満たした。フラスコを窒素で約0.5時間パージし、窒素雰囲気下、90℃に加熱した。9.5mLのスチレン中の0.14mLのBPEHを3時間かけて滴下して加えた。全反応時間は加熱から約20時間である。生成した白色の粘性液体をSolvesso 100(S−100)で15%まで希釈した。
【0063】
実施例6−2 BPEH開始剤の使用
ポリ(イソブチルビニルエーテル)上のスチレンのグラフトコポリマーは以下のように調製した。機械撹拌機、還流冷却器及び窒素吸気口を備えた、250mLの四つ口フラスコに、30gのポリ(イソブチルビニルエーテル)溶液(固形分35%)、4.75mLのスチレン及び0.14mLのt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(BPEH)を満たした。フラスコを窒素で約0.5時間パージし、窒素雰囲気下、85℃に加熱した。1時間後、系が白色に変化し、4.75mLのスチレン中の0.14mLのBPEHを3時間かけて滴下して加えた。更に20mLのSolvesso 100を5時間かけて滴下して加えた。全反応時間は加熱から約20時間である。生成した白色の粘性液体をSolvesso 100(S−100)で15%まで希釈した。
【0064】
実施例6−3 BPEH開始剤の使用
ポリ(イソブチルビニルエーテル)上のスチレンのグラフトコポリマーは以下のように調製した。機械撹拌機、還流冷却器及び窒素吸気口を備えた、250mLの四つ口フラスコに、30gのポリ(イソブチルビニルエーテル)溶液(固形分35%)、9.5mLのスチレン及び0.14mLのt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(BPEH)を満たした。フラスコを窒素で約0.5時間パージし、窒素雰囲気下、90℃に加熱した。1時間後、系が白色に変化し、5mLのSolvesso 100中の0.14mLのBPEHを2時間かけて滴下して加えた。更に15mLのSolvesso 100を5時間かけて滴下して加えた。全反応時間は加熱から約20時間である。生成した白色の粘性液体をSolvesso 100(S−100)で15%まで希釈した。
【0065】
開始剤、モノマー及び溶媒の量及び添加順番を変え、実施例6−1と類似の方法により、以下の実施例を全て調製した。開始剤として、T−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(BPEH)を用いた。
【0066】
【表1】

**は、温度に達した後に滴下を開始したことを意味する。
***は、加熱の1時間後に滴下を開始したことを意味する。
****は、加熱の2時間後に滴下を開始したことを意味する。
【0067】
実施例7:メチルメタクリレート(MMA)及びt−ブチルアクリレートとアルキルビニルエーテルのコポリマーとのグラフトコポリマー
メチルメタクリレート(MMA)及びt−ブチルアクリレートとアルキルビニルエーテルのコポリマーとのグラフトコポリマーは以下のように合成した。
【0068】
機械撹拌機、ドライアイス冷却器、追加のじょうご及び窒素吸気口を備えた100mLの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、78gの乾燥Solvesso 100及びジオキサン中の1mLのBF3・Et2O溶液(0.032M)を導入した。氷−塩浴によりフラスコを−5℃まで冷却し、次いで30mLのイソブチルビニルエーテル、7gのCH2=CH−O−(CH22−(CF23−CF3及び5gのCH2=CH−O−(CH24−O−(CH2−CH2O)8−CH3の混合物を2時間かけて滴下して加えた。2時間後、第二の増量分の0.2mLの触媒溶液を加え、3時間後、反応温度を、更に3時間、室温まで上昇させた。
【0069】
フラスコに0.34gの過酸化ジベンゾイルを導入し、次いでフラスコを75℃まで加熱し、6mLのMMA及び1.5mLのt−ブチルアクリレートの混合物を窒素雰囲気下、3時間かけて滴下して加えた。重合を更に15時間続けた。
【0070】
実施例8〜58は、前駆体のタイプ及び量を下記表1、2に詳述したように代えた以外は、実施例1と同様の方法で調製した。特に明記しない限り、前記前駆体のための開始剤として、過酸化ジベンゾイル(固形分量:70%、残りは水)を用いた。
【0071】
開始ポリマー、モノマー及び開始剤は以下のように定義される。
【0072】
出発原料1−A:ポリ(イソブチルビニルエーテル)(PIBVE);
出発原料1−B:ポリ(メチルビニルエーテル);
出発原料1−C:ポリ(2−エチルヘキシルビニルエーテル);
出発原料1−D:ポリ(イソプロピルビニルエーテル);
出発原料1−E:ポリ(2−メチルブチルビニルエーテル);
出発原料1−F:ポリ(シクロヘキシルビニルエーテル);
出発原料1−G:ポリ(フェニルビニルエーテル);
出発原料1−H:ポリ(メチルビニルエーテル−コ−2−エチルヘキシルビニルエーテル);
出発原料1−I:ポリ(イソブチルビニルエーテル−コ−ブチルアクリレート);
出発原料1−J:ポリ(t−ブチルアクリレート);
出発原料1−K:ポリ(i−ブチルメタクリレート);
出発原料1−L:ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート);
出発原料1−M:ポリ(t−ブチルアクリレート−コ−エチルアクリレート);
出発原料1−N:ポリ(イソブチルビニルエーテル)とポリ(イソブチルビニルエーテル−コ−ブチルアクリレート)との3:1の比の混合物
モノマー2:メチルメタクリレート
モノマー3:t−ブチルアクリレート
モノマー4:i−ブチルアクリレート
モノマー5:スチレン
モノマー6:4−t−ブチルスチレン
モノマー7:2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(式4)
モノマー8:2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(式5)
モノマー9:(メトキシポリエチレングリコール)メタクリレート(式6)
モノマー10:2−エチルヘキシルアクリレート
開始剤1 過酸化ジベンゾイル(BPO)
開始剤2 過酸化ラウロイル
開始剤3 過酸化ジベンゾイル及びN,N−ジメチルアニリン(DMA)
開始剤4 クメンヒドロペルオキシド(CHP)(式:C65C(CH32OOH)及びテトラエチレンペンタミン(TEPA)(式:HN(CH2CH2NHCH2CH2NH22
開始剤5 t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート
【0073】
【表2−1】

【表2−2】

*Solvesso 100中、15%
**開始剤の半分をフラスコに入れ、他の半分をモノマーと一緒に加える;
***全ての開始剤をモノマーと混合し、滴下してフラスコに加えた。
【0074】
【表3】

【0075】
性能スクリーニング
試験を行った系に依存し、判断のための基準は塗布の間の発泡挙動、バインダーの混和性及び/又は塗面の平滑化であった。
【0076】
平滑化は、平滑化剤なしで製剤を用いることによって主に評価し、平滑化は、いわゆる「ミカン肌」及び「クレーター」を観察するために取られる特定の注意を用いて乾燥縮小フィルムから視覚的に判断した。顕著な「ミカン肌」及び「クレーター」は悪い結果と考えられ、クレーターがなく、かすみのない平らな均一な表面は良好な結果として考えられた。
【0077】
バインダーの混和性は、2種の方法により視覚的に評価した。1つは缶内試験によるものであり、缶内のかすみを、関連のある製剤の特定量を缶内に入れ、高剪断速度で撹拌した後のかすみのレベルをランク付けすることにより判断する。他の方法は、ポリエチレンの透明フィルム及び/又はLENETA白黒カード上でのドローダウン試験によるものであった。消泡剤の非混和性により通常におこる、フィルムのかすみ及び不良は、いわゆる「ミカン肌」及び「クレーター」を観察するために取られる特定の注意を用いて視覚的に評価した。顕著な「ミカン肌」及び「クレーター」は悪い結果と考えられ、クレーターがなく、かすみが可能な限り少なく、平らな均一な表面は良好な結果として考えられた。フィルムの光沢は、カードを乾燥させた後、Sheen Tri−Glossmaster260により測定した。
【0078】
消泡挙動は、2種の方法により評価した。1つは、高剪断速度における撹拌後、経時的にマクロ/ミクロフォームの高さを記録することにより判断される、缶内消泡試験である。少ない泡の生成及び残った泡の高さの低いことは、良好な結果と考えられた。他の方法は、撹拌したレットダウン系を透明PEフィルム上に注ぐことにより実施され、消泡効果は、硬化後のフィルムに残る泡の量及びタイプにより判断される、ポアアウト試験である。通常、泡の少ないフィルムは良好な結果と考えられた。
【0079】
種々の固体含有量及び樹脂を有する種々の製剤が、種々の試験について用いられた。製剤中の消泡剤の量は0.1%〜0.7%である。第3表は、以下の製剤において用いられるいくつかの略語を示す。第4表は、原材料の基本情報を示す。
【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
第5表に示す製剤1は、缶内試験、ポアアウト試験及びドローダウン試験のために用いられる。硬化剤と共に、L−75は、全固形含有量が約48%である。
【0083】
【表6】

【0084】
レットダウンシステムを、製剤に従って製造した。40gのレットダウンシステムを瓶の中に入れ、缶内試験のために4000rpmで2分間撹拌した。ポアアウト試験及びドローダウン試験は、レットダウンをL75と3:1の比で混合し、DISPERMATにより4000rpmで1分間分散させた直後に実施した。
【0085】
製剤2は、異なる固体含有量でポアアウト試験及びドローダウン試験のために調整し得る、平滑化剤を含まないアルキド樹脂製剤であった。異なる固体含有量を有する製剤は異なる粘度をもたらすであろう。通常、高い固体含有量により生じる高い粘度は、消泡の困難さを増加するであろう。
【0086】
【表7】

【0087】
用法1:
レットダウンシステムを前記製剤に従って製造し、DISPERMATにより2000rpmで2分間分散させた。少なくとも18時間後、レットダウンシステムをL75及び希釈剤(ブチルアセテート:PMA=9:1)と3:1:2の比で、1000rpmで1分間混合する。その後、ポリエチレンの透明フィルム上、及びLENETA白黒カード上でドローダウンを1/2回実施した。LENETA白黒カードについて、75μmのスパイラルバーを用いて自動塗布器によりドローダウンを実施し、フィルムの不良及び光沢を評価した。100μmのスパイラルバーの自動塗布器により、透明なポリエチレンフィルム上でドローダウンを実施した。オーブン(60°)中で1時間フィルムを加熱した後、50μmのスパイラルバーの自動塗布器により、透明なポリエチレンフィルム上で他のドローダウンを実施した。乾燥後、試料の混和性及び平滑性を判断するためにフィルムのかすみ及び欠点を評価する。コーティングの全固形含有量は約40%である。
【0088】
用法2:
レットダウンシステムを前記製剤に従って製造し、DISPERMATにより2000rpmで2分間分散させた。少なくとも18時間後、レットダウンシステムを、L75及び希釈剤と9:3:1の比で混合し、DISPERMATにより2000rpmで1分間分散させた。次いで、ポリエチレンの透明フィルム上のポアアウト試験のためにミキサーを用いる。乾燥フィルム上に残った泡の量及びタイプ、並びにフィルムの透明性は、消泡性能及び混和性の情報を与えるであろう。このコーティングの全固体含有量は約56%である。
【0089】
用法3:
レットダウンシステムを前記製剤に従って製造し、DISPERMATにより2000r/pで2分間分散させた。少なくとも18時間後、レッドダウンシステムをL75と3:1の比で混合し、DISPERMATにより2000r/mで1分間分散させた。次いで、ポリエチレンの透明フィルム上のポアアウト試験のためにミキサーを用いる。乾燥フィルム上に残った泡及びフィルムの透明性は、消泡性能及び混和性の情報を与えるであろう。この製剤の全固体含有量は約60%である。
【0090】
製剤3:合成脂肪酸樹脂を含むクリアコーティング製剤
【表8】

【0091】
レットダウンシステムを前記製剤に従って製造し、DISPERMATにより2000rpmで2分間分散させた。少なくとも18時間後、レットダウンシステムを、L75及び希釈剤(ブチルアセテート:PMA=9:1)と3:1:2の比で、1000rpmで1分間、混合する。その後、100μmのスパイラルバーの自動塗布器機により、透明なポリエチレンフィルム上でドローダウンを実施した。オーブン(60°)中で1時間フィルムを加熱した後、50μmのスパイラルバーの自動塗布器により、透明なポリエチレンフィルム上で他のドローダウンを実施した。乾燥後、試料の混和性及び平滑性を判断するためにフィルムのかすみ及び欠点を評価する。
【0092】
ポアアウト試験のために、レットダウンシステムを、DISPERMATにより1000rpmで1分間分散させた。次いで、ポリエチレンの透明フィルム上のポアアウト試験のために、ただちにミキサーを用いる。乾燥フィルム上に残った泡の量及びタイプ、並びにフィルムの透明性は、消泡性能及び混和性の情報を与えるであろう。
【0093】
製剤4:アクリル酸樹脂を含むクリアコーティング製剤
【表9】

【0094】
用法1:
レットダウンシステムを前記製剤に従って製造し、DISPERMATにより2000rpmで2分間分散させた。少なくとも18時間後、レットダウンシステムを、L75及び希釈剤(ブチルアセテート:PMA=9:1)と3:1:2の比で、1000rpmで1分間、混合する。その後、100μmのスパイラルバーの自動塗布器機により、透明なポリエチレンフィルム上でドローダウンを実施した。オーブン(60)中で1時間フィルムを加熱した後、50μmのスパイラルバーの自動塗布器により、透明なポリエチレンフィルム上で他のドローダウンを実施した。乾燥後、試料の混和性及び平滑性を判断するためにフィルムのかすみ及び欠点を評価する。
【0095】
ポアアウト試験のために、レットダウンシステムを、DISPERMATにより1000rpmで1分間分散させた。次いで、ポリエチレンの透明フィルム上のポアアウト試験のために、ただちにミキサーを用いる。乾燥フィルム上に残った泡の量及びタイプ、並びにフィルムの透明性は、消泡性能及び混和性の情報を与えるであろう。
【0096】
製剤5:アルキド樹脂を含むプライマー製剤
【表10】

【0097】
プライマーレットダウンシステムを製剤に従って製造した。ポアアウト試験のために、少なくとも18時間後、レットダウンシステムを、L75と4:1の比で混合し、DISPERMATにより1000rpmで1分間分散させた。次いで、ポリエチレンの透明フィルム上のポアアウト試験のために、ミキサーを用いる。乾燥フィルム上に残った泡の量及びタイプは、消泡性能の情報を与えるであろう。
【0098】
ドローダウン試験のために、レットダウンシステムを、L75及び希釈剤(BA:PMA=9:1)と4:1:3で混合し、DISPERMATにより1000rpmで1分間分散させた。その後、100μmのスパイラルバーの自動塗布器機により、透明なポリエチレンフィルム上でドローダウンを実施した。オーブン(60)中で1時間フィルムを加熱した後、50μmのスパイラルバーの自動塗布器により、透明なポリエチレンフィルム上で他のドローダウンを実施した。乾燥後、試料の混和性及び平滑性を判断するためにフィルムの欠点及び平滑化性能を評価する。
【0099】
スクリーニング試験:基本的に、第3〜第4表中の実施例1〜58の性能を、製剤1〜5に従い試験を行った。ほとんどの試料について、高い消泡効果を維持しながら、混和性がある程度向上することが観察された。一般に、いくつかの主要な実施例は代表的な消泡剤として理解され、試験結果の一部を下記表に要約した。
【0100】
結果:
第10表は、用法1とともに製剤2を用いることによる、白黒カード上のフィルムの光沢の結果を示す。ここで示す試料、実施例1、9、10、17、31は、20%固体含有量である。試料が基準と比較して高い光沢を示すことが明らかである。
【0101】
【表11】

【0102】
いくつかの主要な試料のスクリーニングの結果を第11、12、13及び14表に示す。第11表の結果は、用法1及び2とともに製剤2を用い、第12、13及び14表の結果は、それぞれ製剤3、4及び5を用いる。実施例2、4、5、13、17及び29、50の試料は、15%固体含有量を有する。
【0103】
【表12】

【0104】
【表13】

【0105】
【表14】

【0106】
【表15】

【0107】
明らかに、いくつかのクリアコーティング及びプライマーシステムにおける我々の試料の優れた性能は、我々の発明の発想及び試料が利点を有することを証明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂バインダー成分と、
a)式
【化1】

[式中、Aは、アルキルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、アリルエーテル、アクリレート、メタクリレート、オレフィン、無水マレイン酸又はスチレンから選択される重合性モノマー又はコモノマーであり;
[A]mは、1種以上のモノマーAを含み、グラフト骨格であり、ポリアルキルビニルエーテル、ポリフェニルビニルエーテル、ポリアリルエーテル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(アルキルビニルエーテル−コ−アクリレート)、ポリオレフィン、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー又はポリスチレンから選択される、ホモポリマー又はコポリマー又はそれらの混合物を表し、
[B]nは、骨格内の単位から分枝鎖がグラフトしている、骨格[A]m+n内の単位を表し;
Yは(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルアセテートから選択される重合性モノマー又はコモノマーであり;
[Y]pは、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルアセテートから選択される1種以上のモノマーのホモ/コポリマーであるグラフト鎖であり;p=1〜5000であり;
mは1〜5000の数であり、
nは1〜5000の数であり;及び
m+nは30〜5000の数である]のグラフトコポリマーと、
b)ポリマー、混合ポリマー又はコポリマー[A]m+nと;及び
c)モノマーYのポリマー、混合ポリマー又はコポリマー
を含む消泡剤製剤とを含むコーティング組成物。
【請求項2】
[A]mが、ポリアルキルビニルエーテル又はポリフェニルビニルエーテルのホモポリマー又はコポリマーである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
[A]mが、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、ポリイソプロピルビニルエーテル、ポリn−ヘキシルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル(PIBVE)、ポリt−ブチルビニルエーテル、ポリ−2−エチルヘキシルビニルエーテル、ポリヒドロキシルブチルビニルエーテル、ポリシクロヘキシルビニルエーテル、式CH2=CH−O−(CH22−(CF26−CF3のポリビニルエーテル、式CH2=CH−O−(CH24−(CH2−CH2−O)8−CH3のポリビニルエーテルから選択される、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
[A]mが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリスチレンのホモポリマー又はコポリマーである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
Aが、メチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート(式4)、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(式5)、(メトキシポリエチレングリコール)(メタ)アクリレート(式6)
【化2】

から選択される、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
[A]mがポリオレフィンである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
[A]mが、アルキルビニルエーテルのコポリマー、(メタ)アクリレートのコポリマー、又はアルキルビニルエーテルと(メタ)アクリレートとのコポリマーである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
[A]mがポリマー混合物である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
グラフト鎖[Y]pが、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルアセテートから選択される1種以上のモノマーのホモ/コポリマーである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
10〜150℃で、開始(コ)ポリマー[A]mの存在下でモノマーYを重合し、このようにして請求項1に記載のグラフトコポリマー、開始ポリマー[A]m、及びモノマー(Y)により生成したポリマーの混合物を得、前記混合物をバインダー樹脂に加えることにより、請求項1に記載のコーティング製剤を製造する方法。
【請求項11】
溶媒をベースとするコーティング系、好ましくはアルキド系、クリアコーティング、合成脂肪酸系及びアクリル酸系のための消泡剤製剤における、消泡剤として、又は1/それ以上の成分としての、請求項1に記載の消泡剤製剤の使用。

【公表番号】特表2011−521036(P2011−521036A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508869(P2011−508869)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055463
【国際公開番号】WO2009/138343
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】