説明

溶存オゾン検知用インキ組成物及び溶存オゾン検知方法

【課題】被検知液に含まれ得る溶存オゾンをより簡便かつ確実に検知・測定できるインキ組成物及び方法を提供する。
【解決手段】被検知液中に含まれる溶存オゾンを検知する方法であって、(1)アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物を被検知液に滴下する工程、(2)前記インキ組成物の変色の有無を確認する工程、を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に含まれる溶存オゾンを検知するために被検知液に滴下される溶存オゾン検知用インキ組成物に関する。また、本発明は、溶存オゾンを検知する方法及び溶存オゾン濃度を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン水に含まれる溶存オゾンを検知する方法としては、これまで種々のタイプの方法が提案されている。例えば、ヨウ化カリウム滴定方法、比色法、検知管による方法、起電力測定による方法、インライン用オゾンモニターによる方法等が知られている(特許文献1〜7など)。
【0003】
しかしながら、これらの測定方法では、1)手間がかかる、2)特殊な装置を必要とする、3)比較的時間がかかる、4)検知精度が低い(定量できない)等の少なくとも1つの問題がある。
【0004】
一方、オゾンガスを検知する方法としては、オゾン検知カードをオゾン雰囲気中に設置した後、変色層の変色による色差又は変色域によりCT値を求めることを特徴とするオゾン濃度の測定方法。
等がある(特許文献8)
しかしながら、上記オゾン検知カードでは、オゾンガスを対象としてCT値(オゾンガス濃度×曝露時間)を検知することができるものの、オゾン水の溶存オゾンを検知する場合には不向きである。すなわち、溶存オゾンの検知に時間がかかる上、溶存オゾン濃度の測定(定量)も行うことが困難である。
【特許文献1】特開平4−15543号公報
【特許文献2】特開平8−30434号公報
【特許文献3】特開平6−3266号公報
【特許文献4】特開平6−308026号公報
【特許文献5】特開平6−294735号公報
【特許文献6】特開平11−140360号公報
【特許文献7】特開平11−237372号公報
【特許文献8】特開2002−69344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の主な目的は、被検知液に含まれ得る溶存オゾンをより簡便かつ確実に検知・測定できるインキ組成物及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の水溶液を用いる場合には上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の溶存オゾン検知用インキ組成物及び溶存オゾン検知方法に係る。
1. 被検知液中に含まれる溶存オゾンを検知するために用いられるインキ組成物であって、アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物。
2. 前記染料の濃度が0.01〜10重量%である、前記項1に記載の溶存オゾン検知用インキ組成物。
3. さらに非変色性色素を含む、前記項1又は2に記載の溶存オゾン検知用インキ組成物。
4. 被検知液に滴下することにより溶存オゾンを検知する、前記項1〜3のいずれかに記載の溶存オゾン検知用インキ組成物。
5. 被検知液中に含まれる溶存オゾンを検知する方法であって、
(1)アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物を被検知液に滴下する工程、
(2)前記インキ組成物の変色の有無を確認する工程、
を含む方法。
6. 被検知液中に含まれる溶存オゾン濃度を測定する方法であって、
(1)重量又は容量が既知の被検知液に、アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物をその変色が生じなくなるまで滴下する工程、
(2)変色が生じなくなるまでに要したインキ量を求める工程、
(3)予め作成されたインキ量と溶存オゾン濃度との関係を示す検量線に基づいて被検知液中の溶存オゾン濃度を求める工程、
を含む方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインキ組成物によれば、被検知液に滴下(添加)してその変色(又は消色)の有無を確認するだけで溶存オゾンの存在を検知することができる。特に、溶存オゾンが存在する場合は、本発明の変色性水溶性染料とオゾンが反応して瞬時に変色又は消色するので、短時間で検知することも可能である。
【0009】
また、予め用意した検量線(インキ組成物の滴下量−オゾン濃度との関係を示す検量線)等を用いることにより、被検知液の溶存オゾン濃度を測定(定量)することが可能である。
【0010】
このように、本発明のインキ組成物ならびに検知方法及び測定方法により、被検知液中に含まれ得る溶存オゾンの検知又はその濃度の測定を比較的容易かつ簡便に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
1.溶存オゾン検知用インキ組成物
本発明の溶存オゾン検知用インキ組成物は、被検知液中に含まれるオゾンを検知するために用いられるインキ組成物であって、アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料(以下「変色性水溶性染料」ということがある。)及び水を含むことを特徴とする。
【0012】
アントラキノン系染料は、アントラキノンを基本骨格とし、第一アミノ基及び第二アミノ基の少なくとも1種のアミノ基を有する限りは特に制限されない。上記アミノ基は、2以上有していても良く、これらは同種又は互いに異なっても良い。例えば、C.I.Acid Blue 56、 C.I.Acid Blue 25、 C.I.Acid Blue 47、 C.I.Acid Blue 35、 C.I.Acid Green 25、 C.I.Acid Green 27、 C.I.Acid Green 44、 C.I.Acid Green 36、 C.I.Acid Violet 34、 C.I.Acid Violet 41、C.I.Acid Blue 23、 C.I.Acid Blue 80、 C.I Acid Blue 138、C.I.Acid Violet 43、 C.I.Acid Violet 48、 C.I.Acid Red 81、 C.I.Acid Red 83等の染料を使用することができる。これらのアントラキノン系染料は、単独で又は2種以上併用することができる。これらアントラキノン系染料の中でも、C.I. Acid Blue 138、C.I.Acid Green 25等の少なくとも1種が好ましい。また、本発明では、これらのアントラキノン系染料の種類(分子構造等)を変えることによって、オゾンの検知感度の制御を行うこともできる。
【0013】
アゾ系染料は、発色団としてアゾ基−N=N−を有するものであれば限定されない。例えば、モノアゾ染料、ポリアゾ染料、金属錯塩アゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染料等が挙げられる。より具体的に染料番号で表記すれば、例えばC.I.Basic Blue 65、C.I.Basic Blue 65、C.I.Basic Blue 54、C.I.Basic Red 69、C.I.Basic Red 88、 C.I.Basic Blue 129等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。
【0014】
メチン系染料としては、メチン基を有する染料であれば良い。従って、本発明において、ポリメチン系染料、シアニン系染料等もメチン系染料に包含される。これらは、公知又は市販のメチン系染料から適宜採用することができる。具体的には、C.I.Basic Red 12、C.I.Basic Red 13、C.I.Basic Red 14、C.I.Basic Red 15、C.I.Basic Red 27、C.I.Basic Red 35、C.I.Basic Red 36、C.I.Basic Red 37、C.I.Basic Red 45、C.I.Basic Red 48、C.I.Basic Yellow 11、C.I.Basic Yellow 12、C.I.Basic Yellow 13、C.I.Basic Yellow 14、C.I.Basic Yellow 21、C.I.Basic Yellow 22、C.I.Basic Yellow 23、C.I.Basic Yellow 24、C.I.Basic Violet 7、C.I.Basic Violet 15、C.I.Basic Violet 16、C.I.Basic Violet 20、C.I.Basic Violet 21、C.I.Basic Violet 39、C.I.Basic Blue 62、C.I.Basic Blue 63等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。
【0015】
トリアリールメタン系染料は限定的でなく、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、C.I.Basic Blue 1、C.I.Basic Blue 26、C.I.Basic Blue 5、C.I.Basic Blue 8、C.I.Basic Green 1、C.I.Basic Red 9、C.I.Basic Violet 12、C.I.Basic Violet 14、C.I.Basic Violet 3等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。これらトリアリールメタン系染料の中でも、C.I.Basic Green 1、C.I.Basic Red 9、C.I.Basic Blue 1等の少なくとも1種を好適に用いることができる。
【0016】
チアジン系染料は特に限定されることなく、公知又は市販のものから選ぶことができる。例えば、C.I.Basic Blue 9、C.I.Basic Blue 25、C.I.Basic Blue 24、C.I.Basic Blue 17、C.I.Basic Green 5、C.I.Solvent Blue 8等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。これらチアジン系染料の中でも、C.I.Basic Blue 9等を好適に用いることができる。
【0017】
オキサジン系染料は、下記式(I)〜(III)の少なくとも1つのオキサジン環を有するものであれば特に限定されない。例えば、オキサジン環を1つ有するモノオキサジン系染料、オキサジン環を2つ有するジオキサジン系染料等も包含される。
【0018】
【化1】

【0019】
また、本発明では、助色団として少なくとも1つの置換又は未置換のアミノ基を有する塩基性染料等のいずれも使用することができる。
【0020】
これらのオキサジン系染料は、1種又は2種以上で使用することができる。これらは、公知又は市販のものを使用することができる。染料番号で言えば、特に C.I. Basic Blue 3、C.I. Basic Blue 12、C.I. Basic Blue 6、C.I. Basic Blue 10、C.I. Basic Blue 96 等のオキサジン系染料を用いることが望ましい。さらに、C.I. Basic Blue 3 等がより望ましい。
【0021】
キサンテン系染料としては、例えばC.I.Basic Violet 10、 C.I.Basic Violet 11、 C.I.Basic Red 3、 C.I.Basic Red 4、 C.I.Acid Red 50、 C.I.Acid Red 52、 C.I.Basic Violet 9等が挙げられる。これらのキサンテン系染料は、1種又は2種以上で使用することができる。この中でも、特にC.I.Basic Violet 11等が好ましい。
【0022】
本発明のインキ組成物における変色性水溶性染料の濃度は、対象となるオゾン水のオゾン濃度、測定方法等に応じて適宜設定することができる。通常は0.01〜10重量%とすることが好ましく、特に0.1〜2重量%とすることがより好ましい。
【0023】
本発明インキ組成物では、変色性水溶性染料のほかにも、必要に応じて非変色性色素(オゾンにより変色しない非変色性色素)、防腐剤、防カビ剤、湿潤剤等が含まれていても良い。
【0024】
非変色性色素としては、公知の非変色性水溶性染料の中から好適に選択することができる。例えば、Basic Yellow 2、Basic Yellow 13、Basic Yellow 21、Basic Yellow 92等の少なくとも1種を用いることができる。本発明の変色性水溶性染料は、オゾンと反応することにより通常は消色する。このため、例えば被検知液が透明である場合において、非変色性水溶性染料を配合したときには、変色性水溶性染料が消色することで、被検知液が非変色性水溶性染料の色を呈することになる。
本発明インキ組成物は、被検知液に滴下することにより溶存オゾンを検知することができる。すなわち、本発明インキ組成物の使用形態としては、被検知液に滴下すれば良い。滴下する方法は、例えばスポイトによる方法、ピペッターによる方法等の公知の方法を採用することができる。
【0025】
2.溶存オゾン検知方法
本発明は、被検知液中に含まれる溶存オゾンを検知する方法であって、
(1)アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物を被検知液に滴下する工程、
(2)前記インキ組成物の変色の有無を確認する工程、
を含む方法を包含する。
【0026】
第一の工程では、アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物(以下、単に「インキ」ともいう。)を被検知液に滴下する。
【0027】
インキの1回当たりの滴下量は特に制限されないが、通常0.01〜1mL程度(好ましくは0.03〜0.5mL程度)の範囲内で適宜設定することができる。
【0028】
滴下する方法は、一定量のインキを等間隔でインキを供給できる方法が好ましい。例えば、スポイトによる方法、ピペッターによる方法等の公知の方法を採用することができる。
【0029】
被検知液は、本発明検知方法の対象となる液体であり、特に水溶液(例えばオゾン水)を好適に用いることができる。被検知液がオゾン水(オゾン溶解水)である場合は、オゾン濃度は0.05重量ppm以上、特に0.05〜4重量ppm、好ましくは0.1〜1.5重量ppm程度である。
【0030】
第二の工程では、前記インキ組成物の変色の有無を確認する。本発明で用いる変色性水溶性染料は、オゾンと反応することにより通常は消色する(すなわち、被検知液が透明であれば、インキの色が透明になる)。その変色(消色)の有無を観察することによって、被検知液中の溶存オゾンの存在を確認することができる。変色の有無の確認は、目視による方法で良いが、必要に応じて吸光度測定による方法、比色見本との比較による方法等を採用することもできる。
【0031】
3.溶存オゾン濃度測定方法
さらに、本発明は、被検知液中に含まれる溶存オゾン濃度を測定する方法であって、
(1)重量又は容量が既知の被検知液に、アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物をその変色が生じなくなるまで滴下する工程、
(2)変色が生じなくなるまでに要したインキ量を求める工程、
(3)予め作成されたインキ量と溶存オゾン濃度との関係を示す検量線に基づいて被検知液中の溶存オゾン濃度を求める工程、
を含む方法を包含する。
【0032】
第一の工程では、重量又は容量が既知の被検知液に、アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物をその変色が完了するまで滴下する。
【0033】
被検知液は、一定量を採取すれば良い。一般的には、被検知液15〜300mL程度とすれば良い。被検知液にインキを滴下する方法等は、前記溶存オゾン検知方法の場合と同様にすれば良い。
【0034】
第二の工程では、変色が生じなくなるまでに要したインキ量を求める。変色が生じなくなることの確認は、目視で行っても良い。また、必要に応じて、前記溶存オゾン検知方法の場合と同様に、例えば吸光度の測定等により実施することもできる。
【0035】
第三の工程では、予め作成されたインキ量と溶存オゾン濃度との関係を示す検量線に基づいて溶存オゾン濃度を求める。
【0036】
検量線としては、例えば縦軸にオゾン溶解水の濃度をとり、各濃度のオゾン溶解水に対して変色が生じなくなるまでに要したインキ量を横軸にとる。そして、前記の第二の工程におけるインキ量に対応するオゾン濃度を求める。これにより、オゾン濃度が未知であった被検知液のオゾン濃度を知ることが可能となる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0038】
実施例1〜6
下記(1)〜(6)の3種の染料水溶液(インキ組成物)を調製し、これらをオゾン水インジケーターとして用いた。具体的には、下記の染料をイオン交換水に十分溶解させ、一晩奉放置した後、ろ過して残渣分を除去することにより、各水溶液を得た。
【0039】
(1)アゾ系染料水溶液(濃度:1重量%)
アゾ系染料:染料番号C.I.Basic Blue 65
(2)メチン系染料水溶液(濃度:1重量%)
メチン系染料:染料番号C.I.Basic Orange 21
(3)オキサジン系染料水溶液(濃度:1重量%)
オキサジン系染料:染料番号C.I.Basic Blue 3
(4)アゾ系染料水溶液(濃度:0.5重量%)
アゾ系染料:染料番号C.I.Basic Blue 129
(5)メチン系染料水溶液(濃度:0.5重量%)
メチン系染料:染料番号C.I.Basic Violet 7
(6)アゾ系染料+メチン系染料水溶液(濃度:0.5重量%)
アゾ系染料:染料番号C.I.Basic Blue 129
メチン系染料:染料番号C.I.Basic Violet 7
【0040】
試験例1
実施例で得られたオゾン水インジケーターを用いて、濃度が未知のオゾン水(100mL)に滴下した。このとき、下記の項目について評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。なお、表1には、比較のため、1)市販品のカードタイプのインジケーターによる方法、2)ヨウ化カリウムによる滴定法、3)比色法による方法、4)検知管による方法、5)起電力測定による方法によりそれぞれ実施した場合の結果も併せて示す。
(1)濃度検知前に試薬等の調製が必要か否か
必要がない場合を「○」、必要となる場合を「×」とした。
(2)検知するために他の装置が必要かどうか
必要がない場合を「○」、必要となる場合を「×」とした。
(3)検知の操作は容易かどうか
特別な技術を要しない場合は「○」、特別な技術を要する場合は「×」とした。
(4)検知に長時間を要するか否か
3分未満の場合を「○」、3分以上かかる場合を「×」とした。
(5)評価が容易か否か
・視認性が良い場合を「○」、視認性が低い場合を「×」とした。
・検知後に計算、換算等の作業が不要の場合を「○」、必要な場合を「×」とした。
・濃度判定できる場合を「○」、できない場合を「×」とした。
【0041】
【表1】

【0042】
試験例2
3種類の濃度未知のオゾン水1〜3(100mL)に対し、実施例で得られたオゾン水インジケーター(アゾ系染料水溶液(1))を攪拌しながら滴下した。目視によりオゾン水が着色されるまでに要したオゾン水インジケーターの滴下量を測定した。予めインジケーターに対して作成した検量線(滴下量−オゾン濃度)に基づいてオゾン水濃度を測定した。その結果を表2に示す。表2には、各オゾン水の濃度をヨウ化カリウム滴定により実際に測定した結果を併せて示す。
【0043】
【表2】

【0044】
試験例3
3種類の濃度未知のオゾン水4〜6(100mL)に対し、実施例で得られたオゾン水インジケーター(アゾ系染料+メチン系染料水溶液(6))を攪拌しながら滴下した。目視によりオゾン水が着色されるまでに要したオゾン水インジケーターの滴下量を測定した。予めインジケーターに対して作成した検量線(滴下量−オゾン濃度)に基づいてオゾン水濃度を測定した。その結果を表3に示す。表3には、各オゾン水の濃度をヨウ化カリウム滴定により実際に測定した結果を併せて示す。
【0045】
【表3】

【0046】
以上の結果より、本発明のインジケーターにより測定した結果は、実際の測定値とほぼ同じ結果が得られることがわかる。すなわち、本発明のインジケーターにより、より簡便にオゾン水濃度を測定できることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知液中に含まれる溶存オゾンを検知するために用いられるインキ組成物であって、アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物。
【請求項2】
前記染料の濃度が0.01〜10重量%である、請求項1に記載の溶存オゾン検知用インキ組成物。
【請求項3】
さらに非変色性色素を含む、請求項1又は2に記載の溶存オゾン検知用インキ組成物。
【請求項4】
被検知液に滴下することにより溶存オゾンを検知する、請求項1〜3のいずれかに記載の溶存オゾン検知用インキ組成物。
【請求項5】
被検知液中に含まれる溶存オゾンを検知する方法であって、
(1)アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物を被検知液に滴下する工程、
(2)前記インキ組成物の変色の有無を確認する工程、
を含む方法。
【請求項6】
被検知液中に含まれる溶存オゾン濃度を測定する方法であって、
(1)重量又は容量が既知の被検知液に、アントラキノン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料の少なくとも1種の水溶性染料及び水を含む溶存オゾン検知用インキ組成物をその変色が生じなくなるまで滴下する工程、
(2)変色が生じなくなるまでに要したインキ量を求める工程、
(3)予め作成されたインキ量と溶存オゾン濃度との関係を示す検量線に基づいて被検知液中の溶存オゾン濃度を求める工程、
を含む方法。

【公開番号】特開2008−8784(P2008−8784A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180182(P2006−180182)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(390039734)株式会社サクラクレパス (211)
【Fターム(参考)】