説明

滑り止め機能を有する靴

【課題】作業時に十分な滑り止め機能を発揮するとともに、通常の歩行の障害とならない滑り止め機構を有する靴を提供すること。
【解決手段】本発明では、靴底(2)の土踏まず部分(5)に滑り止め機構(6)を設けることによって滑り止め機能を有する靴(1)において、滑り止め機構(6)は、弾性を有する靴底(2)に支持体(9)を配設するとともに、支持体(9)に左右一対のスパイクピン(16,17)を支持体(9)と靴底(2)の間に各スパイクピン(16,17)の頭部(18,19)を挟んだ状態で進退自在に装着することにした。特に、内側のスパイクピン(16)を外側のスパイクピン(17)よりも長くすることにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底の土踏まず部分に滑り止め機構を設けることによって滑り止め機能を有する靴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、農作業や土木作業などの作業時には、手作業に集中することができるように、足場を固めて作業するようにしていた。そのため、作業時に装着する靴には、靴底に滑り止め機構を設けたものが用いられている。
【0003】
この滑り止め機構としては、靴底に鋭利なスパイクピンを固定したものや、靴底にバネを取付けたものなどが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−275676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、靴底に鋭利なスパイクピンを固定した構造の滑り止め機構を有する靴では、アスファルトやコンクリートなどの表面が硬い道路では、スパイクピンが道路に突き刺さらずに、歩行が困難となるおそれがあった。
【0006】
また、靴底にバネを取付けた構造の滑り止め機構を有する靴では、足場内部にスプリングが十分に突き刺さらずに、滑り止めとして機能しないおそれがあり、また、長期間の使用によってスプリングが縮んだままとなってしまい、これによっても、滑り止めとして機能しないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、靴底の土踏まず部分に滑り止め機構を設けることによって滑り止め機能を有する靴において、滑り止め機構は、弾性を有する靴底に支持体を配設するとともに、支持体に左右一対のスパイクピンを支持体と靴底の間に各スパイクピンの頭部を挟んだ状態で進退自在に装着することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、内側のスパイクピンを外側のスパイクピンよりも長くすることにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、請求項1に係る本発明では、靴底の土踏まず部分に滑り止め機構を設けることによって滑り止め機能を有する靴において、滑り止め機構は、弾性を有する靴底に支持体を配設するとともに、支持体に左右一対のスパイクピンを支持体と靴底の間に各スパイクピンの頭部を挟んだ状態で進退自在に装着しているために、靴底の弾性を有効利用してスパイクピンを進退させることができるので、スパイクピンに十分に体重をかけてスパイクピンを足場内部に突き刺すことができて、十分な滑り止め機能を発揮させることができるとともに、舗装道路などではスパイクピンが後退して通常の歩行の障害となることはない。
【0011】
また、請求項2に係る本発明では、内側のスパイクピンを外側のスパイクピンよりも長くしているために、内側のスパイクピンの方が外側のスパイクピンに比べて優先的に足場内部に突き刺され、足の内側で踏ん張って身体を固定することができ、足場固定時の身体のふらつきを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係る滑り止め機能を有する靴の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1〜図3に示すように、本発明に係る靴1は、ゴム製の弾性を有する靴底2のつま先部分3とかかと部分4との間の土踏まず部分5に滑り止め機構6を取付けている。
【0014】
この滑り止め機構6は、靴底2の土踏まず部分5の前端部に左右一対の固定ボルト7,8を下方へ向けて取付け、この固定ボルト7,8に矩形板状の支持体9を着脱自在に螺着している。図中、10,11は、固定ナットである。なお、固定ボルト7,8や固定ナット10,11を靴底2の下端面よりも下方に突出させた場合には、これらの固定ボルト7,8や固定ナット10,11も足場内部に突き刺さり、滑り止めとして機能させることができる。また、固定ボルト7,8は、靴底2に貫通孔を形成し、靴1の内側から取付け、固定ボルト7,8の頭部をインソールで被覆するようにしてもよい。この場合には、市販の靴1に後から滑り止め機構6を装着することができる。
【0015】
また、滑り止め機構6は、支持体9の後端部に左右一対のガイド孔12,13を形成するとともに、支持体9の後端部に左右一対の円環状のガイドリング14,15を取付け、これらのガイド孔12,13とガイドリング14,15とを連通させ、さらに、これらのガイド孔12,13とガイドリング14,15に左右一対の硬質のスパイクピン16,17を上下に進退自在に装着している。
【0016】
このスパイクピン16,17は、下端部を先鋭状に形成するとともに、上端部に頭部18,19を形成しており、この頭部18,19を支持体9と靴底2との間に挟んだ状態で支持体9のガイド孔12,13とガイドリング14,15に装着している。これにより、スパイクピン16,17は、支持体9から脱落しないようになっている。
【0017】
特に、上記滑り止め機構6では、左右のスパイクピン16,17のうち内側のスパイクピン16の長さを外側のスパイクピン17の長さよりも長くしている。
【0018】
そして、上記構成の靴1では、足場を固めて行う作業時には、靴底2に体重を掛けることで靴底2でスパイクピン16,17の頭部18,19を押圧してスパイクピン16,17を足場内部に突き刺すことができ、また、舗装道路などを歩行する時には、靴底2が弾性変形してスパイクピン16,17が後退(上方に移動)して、歩行の邪魔にならないようになっている。
【0019】
このように、上記構成の靴1では、弾性を有する靴底2に支持体9を配設するとともに、スパイクピン16,17の頭部18,19を支持体9と靴底2の間に挟んだ状態で支持体9に左右一対のスパイクピン16,17を進退自在に装着している。
【0020】
そのため、上記構成の靴1では、靴底2の弾性を有効利用してスパイクピン16,17を進退させることができるので、足場を固める必要があるときには、スパイクピン16,17に十分に体重をかけてスパイクピン16,17を足場内部に突き刺すことができ、十分な滑り止め機能を発揮させることができ、一方、舗装道路などを歩行するときには、スパイクピン16,17を後退させることができ、スパイクピン16,17が通常の歩行の障害となるのを防止することができる。
【0021】
また、上記構成の靴1では、内側のスパイクピン16を外側のスパイクピン17よりも長くしているために、内側のスパイクピン16の方が外側のスパイクピン17に比べて優先的に足場内部に突き刺され、足の内側で踏ん張って身体を固定することができ、足場固定時の身体のふらつきを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】滑り止め機能を有する靴の側面図。
【図2】同底面図。
【図3】同側面拡大図。
【符号の説明】
【0023】
1 靴 2 靴底
3 つま先部分 4 かかと部分
5 土踏まず部分 6 滑り止め機構
7,8 固定ボルト 9 支持体
10,11 固定ナット 12,13 ガイド孔
14,15 ガイドリング 16,17 スパイクピン
18,19 頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴底の土踏まず部分に滑り止め機構を設けることによって滑り止め機能を有する靴において、
滑り止め機構は、弾性を有する靴底に支持体を配設するとともに、支持体に左右一対のスパイクピンを支持体と靴底の間に各スパイクピンの頭部を挟んだ状態で進退自在に装着したことを特徴とする滑り止め機能を有する靴。
【請求項2】
内側のスパイクピンを外側のスパイクピンよりも長くしたことを特徴とする請求項1に記載の滑り止め機能を有する靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−220410(P2008−220410A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58828(P2007−58828)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【特許番号】特許第4047910号(P4047910)
【特許公報発行日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(507076001)
【Fターム(参考)】