説明

漁礁形成用ユニット及び漁礁の形成方法

【課題】 崩壊したり、飛散することなく長期間にわたり安定した漁礁を維持できる安価な漁礁形成用ユニットを提供する。
【解決手段】 複数の漁礁ブロック体2,2…を互いに所定間隔離間させ連結手段(ワイヤロープ3)によって数珠状に連結した漁礁形成用ユニット1であって、前記漁礁ブロック体2,2…に貫通孔を開穿し、該貫通孔内に前記連結手段を貫通させ、固定手段(固定金具7,7…)によって該連結手段に該漁礁ブロック体2,2…を固定するように構成した漁礁形成用ユニットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁礁形成用ユニット及び漁礁の形成方法に関し、特に、崩壊したり、飛散することなく長期間にわたり安定した漁礁を維持できる安価な漁礁を提供するための漁礁形成用ユニット及び漁礁の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、漁礁として、一般にブロックを積み上げて漁礁を造成するものが知られており、例えば、特許文献1にも、河川や海等の水底に複数個のブロックを積み上げて夫々の自重により定置維持させることにより人口漁礁を造成する技術が記載されている。
【特許文献1】特開平8−140520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然しながら、前述したブロックを積み上げて漁礁を造成した場合においては、積み上げたブロックは夫々の自重により定置維持されるものであるため、例えば、底引き漁船の底引き網によってブロックが引きずられて、転倒して漁礁が崩壊したり、飛散するなどの問題があり、他の要因によっても積み上げたブロックが転倒して、漁礁が崩壊したり、飛散する虞があり、長期間にわたり漁礁としての効果を果たすことができなかった。
【0004】
以上の現状に鑑み、本発明は、崩壊したり、飛散することなく長期間にわたり安定した漁礁を維持できる安価な漁礁形成用ユニット及び漁礁の形成方法を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、複数の漁礁ブロック体を互いに所定間隔離間させ連結手段によって数珠状に連結した漁礁形成用ユニットであって、前記漁礁ブロック体に貫通孔を開穿し、該貫通孔内に前記連結手段を貫通させ、固定手段によって該連結手段に該漁礁ブロック体を固定するように構成したことを特徴とする漁礁形成用ユニットを提供するものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、上記連結手段は、ワイヤロープ又はチェーンであることを特徴とする請求項1記載の漁礁形成用ユニットを提供するものである。
請求項3に係る発明は、上記固定手段は、座金とクリップとが一体に形成された固定金具であり、上記連結手段の上記漁礁ブロック体の貫通孔両端位置に該固定金具を設けることにより、該連結手段に該漁礁ブロック体を固定するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の漁礁形成用ユニットを提供するものである。
【0007】
請求項4に係る発明は、上記固定手段は、上記貫通孔と上記連結手段の間に充填するモルタルであり、該モルタルによって該連結手段に上記漁礁ブロック体を固定するように構成したことを特徴とする請求項1,2又は3記載の漁礁形成用ユニットを提供するものである。
【0008】
請求項5に係る発明は、複数の漁礁ブロック体を互いに所定間隔離間させ連結手段によって数珠状に連結した漁礁形成用ユニットであって、前記漁礁ブロック体に貫通孔を開穿し、該貫通孔内に前記連結手段よりも短く形成した補助連結手段を貫通させ、該補助連結手段の両端を該連結手段に連結し、該補助連結手段によって該漁礁ブロック体を保持させるように構成したことを特徴とする漁礁形成用ユニットを提供するものである。
【0009】
請求項6に係る発明は、上記補助連結手段の少なくとも一端にシャックルが設けられ、該シャックルによって該補助連結手段は上記連結手段に連結自在であることを特徴とする請求項5記載の漁礁形成用ユニットを提供するものである。
【0010】
請求項7に係る発明は、上記漁礁ブロック体は、自然石、コンクリートブロック、テトラポット、三柱ブロック、ビーハイブ、六脚ブロック,その他の消波ブロックのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載の漁礁形成用ユニットを提供するものである。
【0011】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを略並列に並べて一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群上に該一段目の漁礁形成用ユニットと略直交するように、且つ、該一段目の漁礁形成用ユニットよりも短く形成した複数の漁礁形成用ユニットを略並列に積み重ねて二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして更に上段の漁礁形成用ユニット群を積み重ねて所定段数の略角錐体状の漁礁を形成することを特徴とする漁礁の形成方法を提供するものである。
【0012】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略同心円状に並べて複数円から成る一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群上に複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略放射状に積み重ねて、漁礁ブロック体が該一段目の漁礁形成用ユニット群よりも外周円が小さい略同心円状の複数円状に並べられた二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして上段の漁礁形成用ユニット群を更に積み重ねて所定段数の略円錐体状の漁礁を形成することを特徴とする漁礁の形成方法を提供するものである。
【0013】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略放射状に並べて漁礁ブロック体が略同心円状の複数円状に並べられた一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群上に複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略同心状に積み重ねて、該一段目の漁礁形成用ユニット群よりも外周円が小さい複数円から成る二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして上段の漁礁形成用ユニット群を更に積み重ねて所定段数の略円錐体状の漁礁を形成することを特徴とする漁礁の形成方法を提供するものである。
【0014】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを不規則的に積み重ねて所定高さの漁礁を形成することを特徴とする漁礁の形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1記載の発明によれば、複数の漁礁ブロック体を互いに所定間隔離間させ連結手段によって数珠状に連結した漁礁形成用ユニットであって、前記漁礁ブロック体に貫通孔を開穿し、該貫通孔内に前記連結手段を貫通させ、固定手段によって該連結手段に該漁礁ブロック体を固定するように構成した漁礁形成用ユニットを提供するので、漁礁ブロック体は連結手段に確実に保持され、該漁礁形成用ユニットで形成した漁礁は、崩壊したり、飛散することなく長期間にわたり安定した漁礁を維持できる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、上記連結手段は、ワイヤロープ又はチェーンであるので、請求項1記載の発明の効果に加え、該ワイヤロープ又はチェーンによって漁礁ブロック体を強固に連結することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、上記固定手段は、座金とクリップとが一体に形成された固定金具であり、上記連結手段の上記漁礁ブロック体の貫通孔両端位置に該固定金具を設けることにより、該連結手段に該漁礁ブロック体を固定するように構成したので、請求項1又は2記載の発明の効果に加え、該固定金具によって、該漁礁ブロック体を該連結手段に確実且つ容易に固定することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、上記固定手段は、上記貫通孔と上記連結手段の間に充填するモルタルであり、該モルタルによって該連結手段に上記漁礁ブロック体を固定するように構成したので、請求項1,2又は3記載の発明の効果に加え、該モルタルによって、前記連結手段に漁礁ブロック体を確実に固定することができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、複数の漁礁ブロック体を互いに所定間隔離間させ連結手段によって数珠状に連結した漁礁形成用ユニットであって、前記漁礁ブロック体に貫通孔を開穿し、該貫通孔内に前記連結手段よりも短く形成した補助連結手段を貫通させ、該補助連結手段の両端を該連結手段に連結し、該補助連結手段によって該漁礁ブロック体を保持させるように構成した漁礁形成用ユニットを提供するので、該補助連結手段によって、漁礁ブロック体を確実に保持することができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、上記補助連結手段の少なくとも一端にシャックルが設けられ、該シャックルによって該補助連結手段は上記連結手段に連結自在であるので、請求項5記載の発明の効果に加え、該シャックルによって前記補助連結手段の前記連結手段への連結が容易になると共に、該補助連結手段によって漁礁ブロック体の保持が容易になる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、上記漁礁ブロック体は、自然石、コンクリートブロック、テトラポット、三柱ブロック、ビーハイブ、六脚ブロック,その他の消波ブロックのうちのいずれかであるので、請求項1,2,3,4,5又は6記載の発明の効果に加え、該漁礁ブロック体を容易に、且つ、安価に得ることができる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを略並列に並べて一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群上に該一段目の漁礁形成用ユニットと略直交するように、且つ、該一段目の漁礁形成用ユニットよりも短く形成した複数の漁礁形成用ユニットを略並列に積み重ねて二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして更に上段の漁礁形成用ユニット群を積み重ねて所定段数の略角錐体状の漁礁を形成する漁礁の形成方法を提供するので、最適な構成及び空間を有し、長期的に安定した漁礁を容易に形成することができる。
【0023】
請求項9記載の発明によれば、請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略同心円状に並べて複数円から成る一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群上に複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略放射状に積み重ねて、漁礁ブロック体が該一段目の漁礁形成用ユニット群よりも外周円が小さい略同心円状の複数円状に並べられた二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして上段の漁礁形成用ユニット群を更に積み重ねて所定段数の略円錐体状の漁礁を形成する漁礁の形成方法を提供するので、最適な構成及び空間を有し、転倒又は、崩壊、飛散が防止され、長期的に安定した漁礁を容易に形成することができる。
【0024】
請求項10記載の発明によれば、請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略放射状に並べて漁礁ブロック体が略同心円状の複数円状に並べられた一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群上に複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略同心状に積み重ねて、該一段目の漁礁形成用ユニット群よりも外周円が小さい複数円から成る二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして上段の漁礁形成用ユニット群を更に積み重ねて所定段数の略円錐体状の漁礁を形成する漁礁の形成方法を提供するので、最適な構成及び空間を有し、転倒又は、崩壊、飛散が防止され、長期的に安定した漁礁を容易に形成することができる。
【0025】
請求項11記載の発明によれば、請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを不規則的に積み重ねて所定高さの漁礁を形成する漁礁の形成方法を提供するので、好適な構成及び空間を有し、転倒又は、崩壊、飛散が防止され、長期的に安定した漁礁を容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1に於いて、1は本発明の漁礁形成用ユニットであり、該漁礁形成用ユニット1は、コンクリートブロック等から成る複数の漁礁ブロック体2,2…を互いに所定間隔d離間させて連結手段であるワイヤロープ3によって数珠状に連結したものである。
【0027】
そして、図2に示す如く、漁礁ブロック体2には貫通孔4が開穿され、貫通孔4内にワイヤロープ3を貫通させ、貫通孔4両端の該ワイヤロープ3に座金5とワイヤクリップ6とが一体に形成された固定手段である2つの固定金具7,7を設け、2つの固定金具7,7によって漁礁ブロック体2をワイヤロープ3に固定するように構成されている。
【0028】
図3は前記漁礁形成用ユニット1,1…を用いて形成した漁礁8を示し、該漁礁8は、海底に複数の漁礁形成用ユニット1,1…を略並列に並べて一段目の漁礁形成用ユニット群9を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群9上に該一段目の漁礁形成用ユニット1と略直交するように、且つ、該一段目の漁礁形成用ユニット1よりも短く形成した複数の漁礁形成用ユニット1,1…を略並列に積み重ねて二段目の漁礁形成用ユニット群10を形成し、同様にして更に上段の漁礁形成用ユニット群11,11…を積み重ねて所定段数の略角錐体状の漁礁を形成したものである。
【0029】
図4は前記漁礁8の平面図であり、漁礁8を上方から見た時、漁礁ブロック体2,2…間に漁礁として最適な水平方向の空間a1,a2…が形成されている。
図5は前記漁礁8の正面図であり、漁礁8を前方から見た時、漁礁ブロック体2,2…間に漁礁として最適な垂直方向の空間b1,b2…が形成されている。
【0030】
図6は前記漁礁8の設置状態を示す正面図であり、漁礁8は海底12上に形成され、漁礁8の上端から海面13の間に船、魚等の通行できる一定の空間cを確保している。
【0031】
図7は前記漁礁形成用ユニット1,1…を用いて形成した他の漁礁14を示し、該漁礁14は、海底に複数の漁礁形成用ユニット1,1…を互いに所定間隔離間させ略同心円状に並べて複数円から成る一段目の漁礁形成用ユニット群15を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群15上に複数の漁礁形成用ユニット1,1…を互いに所定間隔離間させ、略放射状に積み重ねて、漁礁ブロック体2,2…が一段目の漁礁形成用ユニット群15よりも外周円の小さい略同心円状の複数円状に並べられた二段目の漁礁形成用ユニット群16を形成し、同様にして更に上段の漁礁形成用ユニット群17を積み重ねて所定段数の略円錐体状の漁礁を形成したものである。尚、この場合に於いて、漁礁形成用ユニット1の各漁礁ブロック体2,2間のワイヤロープ3の間隔は漁礁形成用ユニット1を設置する場所に対応させて適宜調節設定される。
【0032】
この漁礁14に於いても、漁礁として最適な水平方向の空間e1,e2…が確保され、又、漁礁として最適な垂直方向の空間f1,f2…が確保される。
尚、前記漁礁14は海底に複数の漁礁形成用ユニット1,1…を互いに所定間隔離間させ略同心円状に並べて複数円から成る一段目の漁礁形成用ユニット群15を形成したが、これに代えて、図示は省略するが、複数の漁礁形成用ユニット1,1…を互いに所定間隔離間させ略放射状に並べて、漁礁ブロック体2,2…が略同心円状の複数円状に並べられた一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、一段目の漁礁形成用ユニット群上に複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略同心状に積み重ねて、一段目の漁礁形成用ユニット群よりも小さい外周円を有する複数円から成る二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして更に上段の漁礁形成用ユニット群を積み重ねて所定段数の略円錐体状の漁礁を形成することも可能であり、然る時も略同様の効果が期待できる。
【0033】
更に、図示は省略するが、前記漁礁8及び14に代えて複数の漁礁形成用ユニット1,1…を不規則的に積み重ねて所定高さの漁礁を形成することも可能であり、然る時も漁礁ブロック体2間に水平方向及び垂直方向に種々の空間が確保され、前記漁礁8及び14と略同様の効果が期待できる。
【0034】
斯くして、前記漁礁形成用ユニット1は、漁礁ブロック体2,2…をワイヤロープ3で連結しており、固定金具7,7によって漁礁ブロック体2をワイヤロープ3に固定しているので、漁礁ブロック体2,2間の間隔dを適宜設定することにより、最適な空間を有する漁礁8,14を形成できると共に、漁礁ブロック体2,2…がワイヤロープ3によって互いに強固に連結され、且つ、確実に保持されることにより、例え、底引き漁船の底引き網に引っ掛かっても漁礁ブロック体2,2…が底引き網に引きずられて転倒することもなく、漁礁8,14の崩壊、飛散を防止することができる。
【0035】
又、前記漁礁8は、一段目の漁礁形成用ユニット1,1…と略直交するように、二段目の漁礁形成用ユニット1,1…を積み重ねるので、特に、左右及び前後方向への転倒又は、崩壊、飛散が防止され、長期的に安定した漁礁を維持できる。
【0036】
更に、前記漁礁14も、一段目の漁礁形成用ユニット1,1…と略直交するように、二段目の漁礁形成用ユニット1,1…を積み重ねるので、特に、径方向、又は、周方向への転倒又は、崩壊、飛散が防止され、長期的に安定した漁礁を維持できる。
【0037】
尚、前記漁礁形成用ユニット1は、漁礁ブロック体2,2…をワイヤロープ3で連結したが、ワイヤロープ3に代えて、チェーンを用いても良く、然る時も同様な効果が期待できる。
【0038】
図8は、前記固定金具(図2に於いて7)に代えて用いられる漁礁ブロック体2のワイヤロープ3への固定方法を示しており、漁礁ブロック体2に開穿した貫通孔18にワイヤロープ3を貫通させ、貫通孔18とワイヤロープ3の間に固定手段としての接着用のモルタル19を充填してワイヤロープ3に漁礁ブロック体2を固定するものである。
【0039】
然る時も前記固定金具(図2に於いて7)と略同様な効果が期待できる。
図9は、前述した漁礁ブロック体2のワイヤロープ(図2に於いて3)への固定方法に代えて用いられる他の保持方法を示しており、前記ワイヤロープに代えて連結手段としてチェーン20が用いられ、チェーン20には、チェーン20よりも短く形成した補助連結手段としての補助チェーン21が、補助チェーン21の両端に設けられたシャックル22,22を介して連結される。そして、漁礁ブロック体2に開穿した貫通孔18に、一方のシャックル22を補助チェーン21と共に貫通させ、補助チェーン21の両端のシャックル22,22をチェーン20に連結して漁礁ブロック体2を補助チェーン21によって保持させるものである。
【0040】
尚、該補助チェーン21には両端にシャックル22,22が設けられているが、この構成に代えて、補助チェーン21の一端にシャックル22を設け、他端にコモンリンク(図示せず)を設けても良い。
【0041】
然る時も前記固定金具(図2に於いて7)を用いて保持した場合と略同様な効果が期待できると共に、前記シャックル22によって連結が容易になり、漁礁ブロック体2を容易に保持できる。
【0042】
図10は、前述の説明に於いて、前記漁礁ブロック体2にコンクリートブロックを用いたが、コンクリートブロックに代えて用いることができる種々の漁礁ブロック体を示し、図に於いて23〜26は夫々テトラポット、三柱ブロック、ビーハイブ、六脚ブロックである。更に、その他の消波ブロック等を用いても良く、これらは、何れも、新しいもの、古いもの、廃棄予定のもの、壊れたものを用いても良い。そして、当然ながら、漁礁ブロック体として自然石を用いることも可能である。特に、自然石は形、大きさが違うため海中でも自然に近い環境を形成できると共に、周りの自然環境(海)に負荷を与えないという利点がある。
【0043】
そして、これらの漁礁ブロック体を複数種類用いて前述の漁礁形成用ユニットを形成しても良く、或いは、一種類の漁礁ブロック体を複数用いて前述の漁礁形成用ユニットを形成しても良い。
【0044】
そして、然る時も、前述と略同様な効果が期待できると共に、漁礁ブロック体を種々選択できるため、漁礁ブロック体を容易に、且つ、安価に得ることができる。
【0045】
又、前述したように複数の漁礁形成用ユニット1,1…を不規則的に所定の高さに積み重ねて漁礁を形成しても良く、然る時も漁礁としての好適な空間は確保され、自然環境に近い好適な漁礁が形成される。
【0046】
そして、その場合に於いて、特に、漁礁ブロック体として自然石を用いた場合は、更に、自然環境に近い好適な漁礁が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による漁礁形成用ユニットの一部斜視図である。
【図2】図1に示す漁礁ブロック体の固定方法を示す一部切欠斜視図である。
【図3】本発明による漁礁の斜視図である。
【図4】本発明による漁礁の平面図である。
【図5】本発明による漁礁の正面図である。
【図6】本発明による漁礁の設置状態を示す正面図である。
【図7】本発明による他の漁礁の斜視図である。
【図8】本発明による他の漁礁ブロック体の固定方法を示す一部切欠平面図である。
【図9】本発明による漁礁ブロック体の保持方法を示す一部切欠平面図である。
【図10】本発明による他の漁礁ブロック体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 漁礁形成用ユニット
2 漁礁ブロック体
3 ワイヤロープ
4,18 貫通孔
5 座金
6 ワイヤクリップ
7 固定金具
8,14 漁礁
9,10,11,15,16,17 漁礁形成用ユニット群
19 モルタル
20 チェーン
22 シャックル
23 テトラポット
24 三柱ブロック
25 ビーハイブ
26 六脚ブロック
d 所定間隔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の漁礁ブロック体を互いに所定間隔離間させ連結手段によって数珠状に連結した漁礁形成用ユニットであって、前記漁礁ブロック体に貫通孔を開穿し、該貫通孔内に前記連結手段を貫通させ、固定手段によって該連結手段に該漁礁ブロック体を固定するように構成したことを特徴とする漁礁形成用ユニット。
【請求項2】
上記連結手段は、ワイヤロープ又はチェーンであることを特徴とする請求項1記載の漁礁形成用ユニット。
【請求項3】
上記固定手段は、座金とクリップとが一体に形成された固定金具であり、上記連結手段の上記漁礁ブロック体の貫通孔両端位置に該固定金具を設けることにより、該連結手段に該漁礁ブロック体を固定するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の漁礁形成用ユニット。
【請求項4】
上記固定手段は、上記貫通孔と上記連結手段の間に充填するモルタルであり、該モルタルによって該連結手段に上記漁礁ブロック体を固定するように構成したことを特徴とする請求項1,2又は3記載の漁礁形成用ユニット。
【請求項5】
複数の漁礁ブロック体を互いに所定間隔離間させ連結手段によって数珠状に連結した漁礁形成用ユニットであって、前記漁礁ブロック体に貫通孔を開穿し、該貫通孔内に前記連結手段よりも短く形成した補助連結手段を貫通させ、該補助連結手段の両端を該連結手段に連結し、該補助連結手段によって該漁礁ブロック体を保持させるように構成したことを特徴とする漁礁形成用ユニット。
【請求項6】
上記補助連結手段の少なくとも一端にシャックルが設けられ、該シャックルによって該補助連結手段は上記連結手段に連結自在であることを特徴とする請求項5記載の漁礁形成用ユニット。
【請求項7】
上記漁礁ブロック体は、自然石、コンクリートブロック、テトラポット、三柱ブロック、ビーハイブ、六脚ブロック,その他の消波ブロックのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載の漁礁形成用ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを略並列に並べて一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群上に該一段目の漁礁形成用ユニットと略直交するように、且つ、該一段目の漁礁形成用ユニットよりも短く形成した複数の漁礁形成用ユニットを略並列に積み重ねて二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして更に上段の漁礁形成用ユニット群を積み重ねて所定段数の略角錐体状の漁礁を形成することを特徴とする漁礁の形成方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略同心円状に並べて複数円から成る一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群上に複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略放射状に積み重ねて、漁礁ブロック体が該一段目の漁礁形成用ユニット群よりも外周円が小さい略同心円状の複数円状に並べられた二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして上段の漁礁形成用ユニット群を更に積み重ねて所定段数の略円錐体状の漁礁を形成することを特徴とする漁礁の形成方法。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略放射状に並べて漁礁ブロック体が略同心円状の複数円状に並べられた一段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、該一段目の漁礁形成用ユニット群上に複数の漁礁形成用ユニットを互いに所定間隔離間させ略同心状に積み重ねて、該一段目の漁礁形成用ユニット群よりも外周円が小さい複数円から成る二段目の漁礁形成用ユニット群を形成し、同様にして上段の漁礁形成用ユニット群を更に積み重ねて所定段数の略円錐体状の漁礁を形成することを特徴とする漁礁の形成方法。
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれか一に記載の複数の漁礁形成用ユニットを不規則的に積み重ねて所定高さの漁礁を形成することを特徴とする漁礁の形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−67971(P2006−67971A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258664(P2004−258664)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(504338896)株式会社村上石材工業 (2)
【Fターム(参考)】