説明

漂白活性化剤造粒物

【課題】溶解性に優れた漂白活性化剤造粒物を提供する。
【解決手段】(a)漂白活性化剤、及び(b)常温(25℃)で液体の特定のアルコールを含有する漂白活性化剤造粒物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漂白活性化剤造粒物に関する。更に詳しくは、溶解性が良く漂白性能の高い漂白活性化剤造粒物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、漂白剤や漂白洗剤には過炭酸ナトリウムや過硼酸ナトリウムが漂白基剤として主に利用されている。しかし、これらの基剤だけでは十分な漂白性能が得られないことから、TAED(テトラアセチルエチレンジアミン)やAOBS(アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム)などの漂白活性化剤が併用されるようになった。これらの漂白活性化剤は過炭酸ナトリウムのような過酸化物から生成する過酸化水素と反応し、漂白力の強い有機過酸を生じ、衣類の漂白に効果を発揮する。漂白活性化剤は界面活性剤やバインダーなどと共に混合の後造粒され、衣料用洗剤などに配合され使用される場合もある。このような漂白活性化剤造粒物では、例えば特許文献1には、溶解性を高める工夫がなされている。
【特許文献1】特公平5−440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この方法では温水洗濯条件下では比較的速く溶解するが、冷水条件では溶解速度が遅く、漂白活性化剤の機能を十分に引き出すことができない。
【0004】
また、漂白活性化剤造粒物の溶解速度を高めるために、常温(25℃)で液体の界面活性剤を配合する場合もあるが、溶解性を高めようと多量に配合すると漂白活性化剤造粒物のケーキング性などの物性が悪化する場合があった。
【0005】
このように、より高い漂白性能を発揮すべく鋭意研究がおこなわれてきたがまだ十分ではなく、溶解性を向上させた漂白活性化剤造粒物が望まれていた。その際、ケーキング性などの物性を満足しつつ溶解性を向上できることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、漂白活性化剤造粒物に常温(25℃)で液体の特定の化合物を配合することによって、漂白活性化剤造粒物の溶解性が向上し、その結果有機過酸生成速度が向上し漂白性能も向上することを見出した。
【0007】
更に、非イオン界面活性剤と常温(25℃)で液体の特定の化合物を並存させることでより高い効果が得られることを見出した。このことにより、溶解性を向上させながら、非イオン界面活性剤と常温(25℃)で液体の特定の化合物の総配合量をより少ない量に抑制することができ、その結果、ケーキング性などの物性を満足しつつ溶解性を向上させられることを見出した。
【0008】
本発明は、(a)成分:漂白活性化剤、並びに(b)成分:多価アルコール及び下記一般式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる、常温(25℃)で液体の化合物の1種以上を含む漂白活性化剤造粒物、更に、該漂白活性化剤造粒物及び無機過酸化物を含有する漂白剤組成物に関する。
R−O−[(EO)a/(PO)b]−H (I)
(式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を示す。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示す。a及びbは平均付加モル数であり、各々独立して0〜10の数を示す。但し、a、bは同時に0とはならない。)
【0009】
また、本発明は、(a)成分:漂白活性化剤、(b)成分:多価アルコール及び上記一般式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる、常温(25℃)で液体の化合物の1種以上、並びに、(c)成分:非イオン界面活性剤及び/又は(d)成分:バインダー物質を含有する漂白活性化剤造粒物の製造方法であって、(b)成分を含む液状物を(a)成分と混合する工程を有する漂白活性化剤造粒物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溶解性に優れた漂白活性化剤造粒物が得られる。更に、非イオン界面活性剤を併用する場合は、ケーキング等の物性を満足しつつ、溶解性を向上できる。このような本発明の漂白活性化剤造粒物を配合することにより、漂白剤組成物や漂白洗浄剤組成物の漂白性能を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の漂白活性化剤造粒物に用いられる成分について説明する。
<(a)成分>
本発明の漂白活性化剤造粒物は、(a)成分として、漂白活性化剤を含有する。本明細書中において、漂白活性化剤とは、無機過酸化物と反応することで有機過酸を生成する化合物を意味する。漂白活性化剤としては、例えば、下記一般式(1)で表されるエステル結合を有する化合物が挙げられる。
1a−C(=O)−LG (1)
[式中、R1aは、炭素数8〜14の炭化水素基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアルキル基置換アリール基であり、より好ましくは炭素数10〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。LGは脱離基である。]
脱離基LGとしては、例えば、
【0012】
【化1】

【0013】
−O−R2a−(O)p−SO3-及び−O−R2a−(O)p−SO3M(ここでR2a はアルキレン基、pは0又は1、Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。)が挙げられる。なお、R2aのアルキレン基は、炭素数1〜5が好ましい。
【0014】
本発明における漂白活性化剤は、一般式(1)で表される化合物に限定されず、従来一般に用いられてきた漂白活性化剤を用いることができる。例えばテトラアセチルエチレンジアミン、グルコースペンタアセテート、テトラアセチルグリコールウリル、アルカノイルもしくはアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14)オキシベンゼンカルボン酸又はその塩、アルカノイル又はアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14)オキシベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、アルカノイルもしくはアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14、漂白効果の点から好ましくは10〜14)オキシベンゼンカルボン酸又はその塩及びアルカノイル又はアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14、漂白効果の点から好ましくは10〜14)オキシベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上が好ましい。これら漂白活性化剤は、任意の1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。特に、デカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はこのナトリウム塩、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩が好ましい。
【0015】
また、これらは粉末状のものを使用することが好ましく、その場合の嵩密度は0.3〜0.7g/mlが好ましく、0.35〜0.6g/mlが更に好ましい。又、その平均粒径としては、造粒性及び溶解性の観点から、0.5〜200μmが好ましく、2〜100μmが更に好ましい。
【0016】
なお、該粒径は、レーザー回折・散乱式粒度分布計(日機装(株)製、マイクロトラックHRA)等を用い、アセトン中で測定することができる。漂白活性化剤造粒物中の(a)成分の含有量は、漂白性能の観点から、10〜95質量%が好ましく、溶解性の観点からは50〜90質量%が更に好ましい。
【0017】
<(b)成分>
本発明の漂白活性化剤造粒物は、(b)成分として、多価アルコール及び上記一般式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる、常温(25℃)で液体の化合物の1種以上を含有する。例えば、(b)成分は、直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜12、好ましくは2〜9、より好ましくは2〜6の多価アルコールから選択される化合物を含む。
【0018】
本発明における多価アルコールであって常温(25℃)で液体の化合物としては特に限定されないが、溶解性及び造粒物物性の観点から、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げられ、グリセリン、エチレングリコール及びプロピレングリコールが好ましく、グリセリンが特に好ましい。これらの多価アルコールは、任意の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、製造の観点から、水等で希釈して用いてもよい。
【0019】
また、上記一般式(I)で表される化合物もアルコールの一種であり、該化合物としては特に限定されないが、溶解性及び造粒物物性の観点から、一般式(I)中、Rの炭素数は2〜5がより好ましく、aは0〜5、更に0〜3が好ましく、bは0〜5、特に0〜3が好ましい。なお、一般式(I)においては、EO単独又はPO単独で配合されてもよく、EOとPOとがランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。
【0020】
溶解性及び造粒物物性の観点から好ましい(b)成分としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルプロピレンジグリコール等が挙げられ、グリセリン、エチレングリコール及びプロピレングリコールが好ましく、グリセリンが特に好ましい。これらの多価アルコール及び一般式(I)の化合物としては、任意の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、製造の観点から、水等で希釈して用いてもよい。
【0021】
本発明で用いられる(b)成分は、常温(25℃)で液体の化合物である。例えば、25℃で固体であるソルビトールなどの多価アルコールのみを選択しても、後述する比較例4のように、溶解性を向上する効果は見出せない。このような相違が生じる理由は必ずしも明らかではないが、本発明のように、常温で液状である物質〔(b)成分〕を造粒物中に含ませることで、使用時に水との親和性が向上し、溶解速度が高まるものと推定している。
【0022】
漂白活性化剤造粒物中の(b)成分の含有量は、0.1〜10質量%が溶解性や造粒物物性の観点から好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましく、0.2〜2質量%が更に好ましい。
【0023】
<(c)成分>
本発明の漂白活性化剤造粒物は、(c)成分として、溶解性及び造粒物物性の観点から、非イオン界面活性剤を含有し得る。本発明の非イオン界面活性剤としては、アルコールにアルキレンオキサイドを付加した非イオン界面活性剤、特に、下記一般式(3)の非イオン界面活性剤が挙げられる。
3a−O[(EO)c/(PO)d]−H (3)
〔式中、R3a は炭素数10〜18、好ましくは12〜14の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示す。cは平均付加モル数であり0〜20の数、dは平均付加モル数であり0〜20の数を示し、c及びdの両者が同時に0の場合を除く。〕
【0024】
一般式(3)中、cは6〜15、更に7〜12が好ましく、dは0〜10、更に1〜5、特に1〜3が好ましい。
【0025】
なお、一般式(3)においては、EO単独又はPO単独で配合されてもよく、EOとPOとがランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。
【0026】
本発明の(c)成分の融点については、漂白活性化剤造粒物の製造時における混合適性から好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下、特に好ましくは20℃以下である。
【0027】
融点の測定方法は、JIS K0064−1992(第1頁〜2頁)に記載される目視による方法により測定できる。
【0028】
本発明における非イオン界面活性剤は特に限定されないが、具体例としては、花王(株)製エマルゲン507〔C12/C13混合アルコールのEO7モル付加物(融点17.5℃)〕、花王(株)製エマルゲン109P〔C12アルコールのEO9.2モル付加物(融点21℃)〕、花王(株)製、エマルゲンKS−108〔C12アルコールのEO5モルPO2モルEO3モル付加物(融点−9℃)〕、花王(株)製エマルゲンKS−110〔C12/C14混合アルコールのEO7モルPO2モルEO3モル付加物(融点20℃)〕、花王(株)製エマルゲンLS−106〔C12アルコールのEO2.5モルPO1.5モルEO3モル付加物(融点−9℃)〕等がある。その中でも溶解性の観点よりEO/PO付加型の非イオン界面活性剤が好ましい。ここでEOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドであり、付加モル数は平均付加モル数である。
【0029】
漂白活性化剤造粒物中の(c)成分の含有量は、0.1〜10質量%が溶解性や造粒物物性の観点から好ましく、1〜5質量%が更に好ましく、1〜3質量%が更に好ましい。
【0030】
(c)成分を用いる場合、漂白活性化剤造粒物中における(b)成分と(c)成分との総含有量は、1〜10質量%が溶解性や造粒物物性の観点から好ましく、2〜7質量%が更に好ましく、2〜5質量%が更に好ましい。
【0031】
また、(b)成分と(c)成分の質量比は、(c)成分1に対して(b)成分が1.0〜0.02が造粒物物性の観点から好ましく、0.7〜0.05が更に好ましい。
【0032】
<(d)成分>
本発明の漂白活性化剤造粒物は、(d)成分として、バインダー物質を含有し得る。バインダー物質としては、漂白活性化剤造粒物を構成する成分同士を結合させる能力を持つものであれば特に限定されないが、漂白活性化剤造粒物の溶解性の観点から、水及び/又は水溶性有機物が好ましい。水溶性有機物の融点は、漂白活性化剤造粒物の製造時における混合適性の観点から、80℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下である。この水溶性有機物としては、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、炭素数8〜18の飽和又は不飽和脂肪酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールが好ましく、特にポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの平均分子量は、漂白活性化剤造粒物の造粒性及び製造時における混合適正を向上させる観点から、600〜20000が好ましく、1000〜10000がより好ましく、2000〜6000が更に好ましい。この平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(溶出液:アクリロニトリルを10質量%含む0.2Mリン酸緩衝液、標準物質:ポリエチレングリコール)により測定される重量平均分子量である。
【0033】
本発明のポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリプロピレングリコール(平均分子量2000)(融点45〜50℃)、ポリエチレングリコール(平均分子量4000)(融点50〜58℃)、ポリエチレングリコール(平均分子量6000)(融点55〜62℃)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
漂白活性化剤造粒物は、保存安定性の観点から、40℃以下で凝固して結合性を有するように水溶性有機物を選択することが特に好ましい。
【0035】
融点の測定方法は、JIS K0064−1992(第1頁〜2頁)に記載される目視による方法により測定できる。
【0036】
バインダー物質は、漂白活性化剤造粒物の造粒性を向上させる観点から、好ましくは該造粒物中に1〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは7〜20質量%含有する。
【0037】
更に、バインダー物質は、漂白活性化剤造粒物中の粉末含有量に対して0.05〜4倍量(質量比)で使用することが好適であり、特に好ましくは0.07〜3倍量である。
【0038】
<その他の成分>
本発明の漂白活性化剤造粒物は、(a)成分、(b)成分、更に(c)成分、(d)成分に加えて、必要に応じて他の任意成分、例えば、漂白基剤、酵素、炭酸ナトリウム等の無機塩、上記(c)成分以外の界面活性剤、蛍光剤などを配合することもできる。下記にその一例を示す。
【0039】
(1)(c)成分以外の界面活性剤
本発明の漂白活性化剤造粒物は、上記非イオン界面活性剤((c)成分)以外の界面活性剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤を含有し得る。本発明の漂白活性化剤造粒物は、陰イオン界面活性剤、特にアルキル硫酸塩及びアルキルエーテル硫酸塩から選ばれる1種以上を0〜50質量%、より好ましくは1〜20質量%配合することが望ましい。アルキル硫酸塩としては炭素数10〜18のナトリウム塩が好ましく、特にラウリル硫酸ナトリウム又はミリスチル硫酸ナトリウムが好ましい。また、アルキルエーテル硫酸塩としてはアルキル基の炭素数が10〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、またナトリウム塩が良好である。ここでポリオキシエチレン基の重合度(POE)は平均1〜10、好ましくは平均1〜5が良好であり、特にポリオキシエチレン(POE=平均2〜5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(POE=平均2〜6)ミリスチルエーテル硫酸ナトリウムが良好である。
【0040】
(2)固形又は粉末状の酸(安定化剤)
本発明の漂白活性化剤造粒物は、漂白活性化剤の安定化剤として固形又は粉末状の酸を添加しても良い。種類は特に限定されないが、例えばギ酸、コハク酸、フマル酸、クエン酸、リン酸、固体酸性を示すゼオライト等が挙げられ、中でもコハク酸及びクエン酸が好ましい。これらの酸は塩を形成していても良く、対イオンはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等である。これらの含有量は、本発明の漂白活性化剤造粒物中において0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0041】
(3)再汚染防止剤
本発明の漂白活性化剤造粒物は、再汚染防止剤も配合して造粒することができる。その場合の再汚染防止剤は、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等の再汚染防止剤を必要に応じて添加することができる。
【0042】
(4)溶解促進剤
本発明の漂白活性化剤造粒物は、溶解促進剤も配合して造粒することができる。その場合の溶解促進剤は、特に限定されないが、尿素、尿素誘導体、チオ尿酸、パラトルエンスルホン酸塩、水溶性無機塩類等の溶解促進剤を必要に応じて添加することができる。
【0043】
(5)賦形剤
本発明の漂白活性化剤造粒物は、造粒に際して、造粒性等を改善する目的でボウショウ、ゼオライト等の無機塩などを賦形剤として添加することができる。その場合の使用量としては1〜40質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、平均粒径は1〜100μm程度のものを用いると良い。
【0044】
(6)着色剤
本発明の漂白活性化剤造粒物は、外観等を改善する目的で、顔料、色素等を着色剤として配合してもよい。このような着色剤としては、例えばフタロシアニングリーン(C.I.Pigment7,36,37,38等)やウルトラマリンブルー(C.I.Pigment Bule29等)を用いることができ、配合量は造粒物中に0.01〜1質量%、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。
【0045】
(7)表面被覆剤
本発明の漂白活性化剤造粒物は、流動性や非ケーキング性の点から、表面被覆剤によって表面改質を行っても良い。表面被覆剤としては、例えば、アルミノ珪酸塩、珪酸カルシウム、二酸化珪素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物、金属石鹸、粉末の界面活性剤等の微粉体、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩等のポリカルボン酸塩等の水溶性ポリマー、脂肪酸等が挙げられる。
【0046】
本発明の漂白活性化剤造粒物の造粒方法について説明する。
本発明の漂白活性化剤造粒物は、(a)成分及び(b)成分を混合することにより製造し得る。更に、本発明の漂白活性化剤造粒物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び(d)成分を混合することにより製造し得る。例えば(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び(d)成分を溶融混合し、次いで得られた混合物に押出造粒等の造粒を施すことにより製造し得る。
【0047】
本発明の漂白活性化剤造粒物は、(b)成分を含む液状物を(a)成分と混合する工程を有する製造方法により製造することが好ましい。(b)成分を含む液状物は、(b)成分と、(c)成分及び/又は(d)成分とを含有するものが好ましい。液状物は、加熱により溶融状態となっている成分を含んでいてもよく、(b)成分、(c)成分、(d)成分以外の成分を含むこともできる。
【0048】
具体的には、
(i):(b)成分と(c)成分との液状混合物に、(a)成分及び(d)成分を同時に添加して混合する方法、
(ii):(a)成分又は(d)成分のいずれか一方に、(b)成分と(c)成分との液状混合物を添加し、次いで(a)成分又は(d)成分の他方を添加する方法、
(iii):(a)成分と(d)成分との混合物に、(b)成分と(c)成分との液状混合物を添加する方法等が挙げられる。この中でも特に、製造時における混合適性の観点から、上記(ii)の方法、特に(a)成分と、(b)成分と(c)成分との液状混合物とを先に混合し、これに、更に(d)成分を添加する方法が好ましい。
【0049】
他の具体例としては、
(1):(b)成分と(d)成分との液状混合物に、(a)成分及び(c)成分を同時に添加して混合する方法、
(2):(a)成分又は(c)成分のいずれか一方に、(b)成分と(d)成分との液状混合物を添加し、次いで(a)成分又は(c)成分の他方を添加する方法、
(3):(a)成分と(c)成分との混合物に、(b)成分と(d)成分との液状混合物を添加する方法等が挙げられる。この中でも特に、製造時における混合適性の観点から、上記(3)のように(a)成分と(c)成分との混合物に、(b)成分と(d)成分との液状混合物を添加する方法が好ましい。
【0050】
造粒方法については、特に限定されず、従来知られた造粒装置を用いて一般的な造粒方法を利用することができる。例えば攪拌転動造粒法、押出し造粒法、噴霧冷却法等によって製造できる。造粒に用いられる装置としては、攪拌転動造粒法では、例えば、深江工業(株)製ハイスピードミキサー、太平洋機工(株)製プロシェアミキサー等を、押出し造粒法では、例えば、不二パウダル(株)製のペレッターダブル、ツインドームグラン等が挙げられる。
【0051】
造粒の際の温度は、微粉の発生を抑制するとともに適度な粒子強度を付与させるために(c)成分又は(d)成分の融点付近、更に詳細には、(c)成分又は(d)成分の融点より20℃高い温度から5℃低い温度の範囲で押し出すことが好ましい。その際、例えば、平均粒径が700μm〜1500μmの造粒物になるようにスクリーンを選択し、又嵩密度が0.5〜0.8g/mLになるように押し出し圧を調整する。
【0052】
また、その他の造粒法としてはブリケット機による錠剤形状にすることも好ましい造粒法として挙げることができる。
【0053】
本発明では、造粒後、必要に応じ、解砕、球形化等により整粒を行ってもよい。解砕に用いる装置として、不二パウダル(株)製のフラッシュミル、Fitzpatrick社(米国)製のフィッツミル等が挙げられ、球形化に用いる装置として、不二パウダル(株)製のマルメライザー等が挙げられる。解砕機に供給する温度は常温付近まで冷却されていることが好ましく、例えば、造粒物を振動冷却機に供給し、所定の温度まで冷却後に解砕すると、解砕物の解砕機内での付着が抑制される。また、解砕、球形化により発生する微粉や十分に解砕、球形化されなかった粗粉をより低減させるために、更に解砕物を分級してもよい。
【0054】
本発明における漂白活性化剤造粒物の粒子径は特に限定されないが、外観及び溶解性の観点から平均粒子径は100〜5000μmが好ましく、200〜2000μmがより好ましい。粒子形状としては、外観及び分級性の観点からは、球状がもっとも好ましく、球状化をおこなわない押出し造粒物の場合には押出し径と長さの比が1に近いものが好ましい。
【0055】
<漂白剤組成物>
本発明の漂白剤組成物は、上記漂白活性化剤造粒物(I)と、無機過酸化物(II)とを含有し、漂白洗浄剤組成物として使用する場合は、更に、界面活性剤含有洗剤粒子(III)を含有する。
【0056】
〔無機過酸化物(II)〕
本発明で使用する無機過酸化物(II)としては、過硼酸塩類、過炭酸塩類を挙げることができ、特に環境安全性の点から過炭酸塩が好ましい。また、ゼオライトを含有する組成物に過炭酸塩を使用する場合は例えばパラフィン、硼酸塩、過硼酸塩、アルコールのエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール、珪酸化合物から選ばれる一種以上で被覆した過炭酸塩が好ましい。
【0057】
〔界面活性剤含有洗剤粒子(III)〕
本発明では洗浄性能を付与する目的で、漂白剤組成物に界面活性剤含有洗剤粒子(III)を配合することができる。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤等が挙げられる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はそのエステル等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン或いはこれらのコポリマー、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキシド付加物、蔗糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤、アミンオキシド、スルホベタイン、カルボベタイン等の両性界面活性剤、或いは第4級アンモニウム塩類等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、界面活性剤含有洗剤粒子中に好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは20〜50質量%配合される。
【0058】
本発明の漂白剤組成物は、漂白活性化剤造粒物(I)を好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜20質量%、無機過酸化物(II)を好ましくは20〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%含有する。また、界面活性剤含有洗剤粒子(III)を配合する場合の漂白洗浄剤組成物は、漂白活性化剤造粒物(I)を好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜8質量%、無機過酸化物(II)を好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、界面活性剤含有洗剤粒子(III)を好ましくは60〜99.4質量%、より好ましくは70〜97質量%含有する。
【0059】
更に本発明では、漂白活性化剤造粒物(I)と無機過酸化物(II)の質量比は、漂白効果の点から(I)/(II)=2/1〜1/20、特に1/1〜1/15が好ましい。
【0060】
本発明では、炭酸ナトリウムを漂白剤組成物又は漂白洗浄剤組成物中に1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%配合することができる。例えば、ライト灰、デンス灰等を挙げることができるが中でも平均粒径300±200μm、特に300±100μmのデンス灰が好ましい。
【0061】
本発明では、漂白洗浄効果を高めるためにA型、X型、P型ゼオライト等の結晶性アルミノ珪酸塩を、漂白剤組成物又は漂白洗浄剤組成物中に40質量%以下、より好ましくは1〜40質量%配合することができる。特にA型ゼオライトが好ましい。平均1次粒子径は好ましくは0.1〜10μm、特に0.1〜5μmである。
【0062】
本発明では、無機過酸化物の安定性をはかる目的で金属封鎖剤を漂白剤組成物又は漂白洗浄剤組成物中に0.0005〜30質量%、より好ましくは0.01〜15質量%配合することができる。金属封鎖剤としては(1)フィチン酸等のリン酸系化合物又はその塩類、(2)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸又はその塩類、(3)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸又はその塩類、(4)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸またはその塩類、(5)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はその塩類、(6)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、カルボキメチル酒石酸等の有機酸又はその塩類、(7)アミノポリ(メチレンホスホン酸)若しくはポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)又はそれらの塩類等が挙げられる。
【0063】
これらの中で、上記(2)、(5)及び(6)からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、特に上記(2)及び(5)が好ましい。
【0064】
本発明では漂白効果を向上させる目的でプロテアーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等の酵素を漂白剤組成物又は漂白洗浄剤組成物中に配合することができる。特にプロテアーゼ又はセルラーゼの1種以上を用いることが好ましい。セルラーゼとしては、細菌セルラーゼと真菌セルラーゼを挙げることができ、特に5〜9.5に至適pHを有するものが好ましい。例えば、特開平63−264699号公報4頁右上欄13行目〜5頁右下欄12行目に記載のものを使用することができ、特に好アルカリ性微生物バチルス・エスピー KSM−635(FERM BP−1485)又はその変異株から生産されるアルカリセルラーゼを使用することが好ましい。また、特開平8−53699号公報第5欄3行目〜21行目のセルラーゼを使用することもできる。より具体的には、花王(株)製のKAC500(登録商標)、ノボ・ノルディスク社製のセルザイム(登録商標)等の酵素造粒物を挙げることができる。また、プロテアーゼとしては至適pHが8以上、好ましくは8〜11のアルカリプロテアーゼが好ましい。例えば、アルカラーゼ、サビナーゼ(ノボ・ノルディスク社製、登録商標)、プラフェクト(ジェネンコ社製、登録商標)、KAP4.3G、KAP11.1G(何れも花王(株)製、登録商標)等が挙げられるが、特にKAP4.3G、KAP11.1Gが優れている。酵素は、洗浄効果の点で漂白剤組成物又は漂白洗浄剤組成物中に酵素原末として0.005〜3質量%、好ましくは0.01〜2質量%配合される。また、プロテアーゼとセルラーゼを併用する場合はプロテアーゼとセルラーゼの質量比を酵素原末として1/50〜1/1、好ましくは1/30〜1/2とすることが好ましい。
【0065】
なお、これら任意成分は、漂白剤組成物又は漂白洗浄剤組成物中に、上記のような漂白活性化剤造粒物(I)、無機過酸化物(II)及び/又は界面活性剤含有洗剤粒子(III)とは別途アフターブレンドとして配合してもよいし、漂白活性化剤造粒物(I)及び/又は界面活性剤含有洗剤粒子(III)中に配合してもよい。なお、界面活性剤含有洗剤粒子(III)は、漂白活性化剤を含有するものでもよい。ただし、漂白活性化剤は該粒子中の40質量%未満、更には10質量%以下、特に実質的に含まないことが好ましい。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。実施例中の%は、特記しない限り質量基準である。
【0067】
実施例1
下記式(I)の漂白活性化剤〔以下、漂白活性化剤(I)という〕8.45kg、コハク酸(川崎化成工業(株)製)0.26kg、グリセリン(花王(株)製:日本薬局方)0.39kgを混合機(ホソカワミクロン(株)製:ナウターミキサーNX-S型)に仕込み、ジャケット温度80℃、自転回転数121rpm、公転回転数5.5rpmで混合・昇温し、粉体の温度が60℃になった時点で予め70℃で溶融したポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)3.9kgを加え、更に25分混合を行った後に混合物を抜き出した。次に、得られた混合物を押出し造粒機(不二パウダル製:ペレッターダブルEXD-60)により孔径700μmのスクリーンを通して押出して圧密化した。得られた押出し物を冷却した後、整粒機(不二パウダル製:フラッシュミルFL200)にて解砕し、分級によって粒径を350-1410μmに調整して漂白活性化剤造粒物を得た。
【0068】
【化2】

【0069】
実施例2
漂白活性化剤(I)8.45kg、陰イオン界面活性剤(花王(株)製:エマール10パウダー(以下、E-10Pと呼ぶ))1.5kg、コハク酸(川崎化成工業(株)製)0.26kg、グリセリン(花王(株)製:日本薬局方)0.59kgを混合機(ホソカワミクロン(株)製:ナウターミキサーNX-S型)に仕込み、ジャケット温度80℃、自転回転数121rpm、公転回転数5.5rpmで混合・昇温し、粉体の温度が60℃になった時点で予め70℃で溶融したポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)2.21kgを加え、更に25分混合を行った後に混合物を抜き出した。次に、得られた混合物を押出し造粒機(不二パウダル製:ペレッターダブルEXD-60)により孔径700μmのスクリーンを通して押出して圧密化した。得られた押出し物を冷却した後、整粒機(不二パウダル製:フラッシュミルFL200)にて解砕し、分級によって粒径を350-1410μmに調整して漂白活性化剤造粒物を得た。
【0070】
実施例3
非イオン界面活性剤(花王(株)製:エマルゲンKS108S95)0.65kgとグリセリン(花王(株)製:日本薬局方)0.39kgとの予備混合物、漂白活性化剤(I)8.45kg、コハク酸(川崎化成工業(株)製)0.26kgを混合機(ホソカワミクロン(株)製:ナウターミキサーNX-S型)に仕込み、ジャケット温度80℃、自転回転数121rpm、公転回転数5.5rpmで混合・昇温し、粉体の温度が60℃になった時点で予め70℃で溶融したポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)3.25kgを加え、更に25分混合を行った後に混合物を抜き出した。次に、得られた混合物を押出し造粒機(不二パウダル製:ペレッターダブルEXD-60)により孔径700μmのスクリーンを通して押出して圧密化した。得られた押出し物を冷却した後、整粒機(不二パウダル製:フラッシュミルFL200)にて解砕し、分級によって粒径を350-1410μmに調整して漂白活性化剤造粒物を得た。
【0071】
実施例4
非イオン界面活性剤(花王(株)製:エマルゲンKS108S95)0.33kgとグリセリン(花王(株)製:日本薬局方)0.13kgとの予備混合物、漂白活性化剤(I)9.49kg、陰イオン界面活性剤(花王(株)製:E-10P)1.50kg、コハク酸(川崎化成工業(株)製)0.26kgを混合機(ホソカワミクロン(株)製:ナウターミキサーNX-S型)に仕込み、ジャケット温度80℃、自転回転数121rpm、公転回転数5.5rpmで混合・昇温し、粉体の温度が60℃になった時点で予め70℃で溶融したポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)1.3kgを加え、更に25分混合を行った後に混合物を抜き出した。次に、得られた混合物を押出し造粒機(不二パウダル製:ペレッターダブルEXD-60)により孔径700μmのスクリーンを通して押出して圧密化した。得られた押出し物を冷却した後、整粒機(不二パウダル製:フラッシュミルFL200)にて解砕し、分級によって粒径を350-1410μmに調整して漂白活性化剤造粒物を得た。
【0072】
実施例5
グリセリン(花王(株)製:日本薬局方)の量を0.26kgに変更し、非イオン界面活性剤(花王(株)製:エマルゲンKS108S95)の量を0.26kgに変更し、ポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)の量を1.24kgに変更した他は実施例4と同条件にて造粒物を作製した。
【0073】
実施例6
グリセリン(花王(株)製:日本薬局方)の量を0.026kgに変更し、非イオン界面活性剤(花王(株)製:エマルゲンKS108S95)の量を0.65kgに変更し、ポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)の量を1.08kgに変更した他は実施例4と同条件にて造粒物を作製した。
【0074】
実施例7
漂白活性化剤(I)の量を9.1kgに変更し、グリセリン(花王(株)製:日本薬局方)の量を0.26kgに変更し、陰イオン界面活性剤(花王(株)製:E-10P)の量を1.69kgに変更し、コハク酸(川崎化成工業(株)製)の量を0.39kgに変更し、ポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)の量を1.17kgに変更し、かつ非イオン界面活性剤を花王(株)製エマルゲンKS108S95から花王(株)製エマルゲンKS110S95に変更し、この非イオン界面活性剤(花王(株)製:エマルゲンKS110S95)を0.39kg配合した他は実施例4と同条件にて造粒物を作製した。
【0075】
実施例8
グリセリンの代わりにジエチレングリコールモノブチルエーテルを0.26kg配合した以外は実施例7と同条件にて造粒物を作製した。
【0076】
実施例9
グリセリンの代わりにエチレングリコールを0.26kg配合した以外は実施例7と同条件にて造粒物を作製した。
【0077】
実施例10
グリセリンの代わりにプロピレングリコールを0.26kg配合した以外は実施例7と同条件にて造粒物を作製した。
【0078】
実施例11
漂白活性化剤(I)の量を9.75kgに変更し、グリセリン(花王(株)製:日本薬局方)の量を0.065kgに変更し、非イオン界面活性剤(花王(株)製:エマルゲンKS108S95)の量を0.46kgに変更し、陰イオン界面活性剤(花王(株)製:E-10P)の量を1.43kgに変更し、ポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)の量を1.04kgに変更した他は実施例4と同条件にて造粒物を作製した。
【0079】
実施例12
漂白活性化剤(I)の代わりにテトラアセチルエチレンジアミンを9.1kg配合した以外は実施例7と同条件にて造粒物を作製した。
【0080】
比較例1
漂白活性化剤(I)8.45kg、コハク酸(川崎化成工業(株)製)0.26kgを混合機(ホソカワミクロン(株)製:ナウターミキサーNX-S型)に仕込み、ジャケット温度80℃、自転回転数121rpm、公転回転数5.5rpmで混合・昇温し、粉体の温度が60℃になった時点で予め70℃で溶融したポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)4.29kgを加え、更に25分混合を行った後に混合物を抜き出した。次に、得られた混合物を押出し造粒機(不二パウダル製:ペレッターダブルEXD-60)により孔径700μmのスクリーンを通して押出して圧密化した。得られた押出し物を冷却した後、整粒機(不二パウダル製:フラッシュミルFL200)にて解砕し、分級によって粒径を350-1410μmに調整して漂白活性化剤造粒物を得た。
【0081】
比較例2
漂白活性化剤(I)9.49kg、陰イオン界面活性剤(花王(株)製:E-10P)1.24kg、コハク酸(川崎化成工業(株)製)0.26kgを混合機(ホソカワミクロン(株)製:ナウターミキサーNX-S型)に仕込み、ジャケット温度80℃、自転回転数121rpm、公転回転数5.5rpmで混合・昇温し、粉体の温度が60℃になった時点で予め70℃で溶融したポリエチレングリコール(花王(株)製:K-PEG6000LA)2.02kgを加え、更に25分混合を行った後に混合物を抜き出した。次に、得られた混合物を押出し造粒機(不二パウダル製:ペレッターダブルEXD-60)により孔径700μmのスクリーンを通して押出して圧密化した。得られた押出し物を冷却した後、整粒機(不二パウダル製:フラッシュミルFL200)にて解砕し、分級によって粒径を350-1410μmに調整して漂白活性化剤造粒物を得た。
【0082】
比較例3
ポリエチレングリコール(花王(株):K-PEG6000LA)の量を1.43kgに変更し、グリセリンを配合しない他は実施例7と同条件にて造粒物を作製した。
【0083】
比較例4
グリセリンの代わりにソルビトールを0.26kg配合した以外は実施例7と同条件にて造粒物を作製した。
【0084】
比較例5
非イオン界面活性剤(花王(株)製:エマルゲンKS108S95)の量を0.52kgに変更し、グリセリンを配合しない他は実施例11と同条件にて造粒物を作製した。
【0085】
比較例6
ポリエチレングリコール(花王(株):K-PEG6000LA)の量を1.43kgに変更し、グリセリンを配合しない他は実施例12と同条件にて造粒物を作製した。
【0086】
実施例及び比較例で得られた漂白活性化剤造粒物の溶解時間、及びケーキング性を表1〜6に示す。また、一部の造粒物については、有機過酸生成率も測定した。なお、これらの評価は以下の方法で行った。
【0087】
<溶解時間>
水温20℃又は10℃のイオン交換水を用い、実施例又は比較例で得られた漂白活性化剤造粒物を7質量%添加し、マグネチックスターラーにより攪拌混合(スターラーピース:長さ30mm、直径5mm、回転数:350rpm)し、イオン交換水の電気伝導度の変化を電気伝導度計で経時的に測定した。イオン交換水中の漂白活性化剤造粒物のとけ残りがないのを確認した後、次式によって溶解率(%)を求め、90%(質量基準)溶解するのに必要な時間をT-90溶解時間として示した。
溶解率(%)=(電気伝導度値/電気伝導度の最大値)×100
【0088】
<ケーキング性>
縦10cm、横6cm、高さ4cmの紙製の箱に、実施例又は比較例で得られた漂白活性化剤造粒物を120g入れ、縦9.5cm、横5.5cmのアクリル板で落し蓋をし、この蓋の上に250gの重りをのせ、30℃/50%Rhの環境中に4日間保存した。その後、重り及びアクリル板を除去し、漂白活性化剤造粒物の固まりの程度を目視及び手触りで以下のように判定した。
I…ほとんど固まりはない。
II…多少固まりが発生するが、軽く触る程度で固まりが崩壊し粒状に戻る。
III…固まりが多く発生する。
IV…全体的に固まり、ハンドリング性に問題がある。
【0089】
<有機過酸生成率測定方法>
1Lビーカーにイオン交換水1Lを入れ、これにLAS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の5質量%水溶液を3ml、炭酸ナトリウムの5質量%水溶液を3ml、過酸化水素の0.2質量%水溶液を10ml添加した水溶液をマグネチックスターラー(直径10mm、長さ30mmの円柱形のスターラーピースを使用)で1分攪拌(100rpm)した。その後、実施例又は比較例で得られた漂白活性化剤造粒物を0.05g添加して、任意の時間(2分間、5分間、及び10分間)攪拌し、0.3%カタラーゼ水溶液10mlを加え、更に1分間攪拌した。この溶液に10質量%ヨウ化カリウム溶液10mlと20質量%硫酸溶液20mlを添加した。次に、0.02mol/lのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定を行い、下式によって有機過酸生成率を算出した。結果は図1、2および表6に示した。
【0090】
【数1】

【0091】
式中、漂白活性化剤有効分は、漂白活性化剤造粒物中の漂白活性化剤の質量(g)である。但し、漂白活性化剤がテトラアセチルエチレンジアミンである場合には、1分子より2分子の有機過酸を生成可能であるため、漂白活性化剤造粒物中の漂白活性化剤の質量(g)の2倍量を漂白活性化剤有効分とする。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
【表5】

【0097】
【表6】

【0098】
実施例13〜16及び比較例7〜8
上記実施例1〜12及び比較例1〜6で得られた一部の漂白活性化剤造粒物を用いて漂白剤組成物及び漂白洗浄剤組成物を調製し、以下の評価を行った。各組成物の調製に用いた成分は以下のものである。
【0099】
(1)無機過酸化物
特開昭59−196399号公報の実施例1に基づきメタホウ酸ナトリウム・4水和物で被覆した過炭酸ナトリウム(5%被覆)。過炭酸ナトリウムは、日本パーオキサイド社製のものを用いた。
【0100】
(2)界面活性剤含有洗剤粒子
直鎖アルキル(炭素数12)ベンゼンスルホン酸ソーダ2000g、ラウリル硫酸ナトリウム500g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本触媒製エマルゲン510L)300g、アクリル酸−マレイン酸コポリマー(BASF製ソカランcp−5)300g、牛脂脂肪酸ナトリウム300g、炭酸ソーダ600g、1号シリケート1500g、4A型ゼオライト1500g、バランス量のぼう硝、PEG(重量平均分子量13000)100gから50%固形分の水スラリーを調製し、これを噴霧乾燥(乾燥温度190℃)して得られた粒子をハイスピードミキサー(深江工業製FS−GC−10型)に入れ、さらにポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO平均付加モル数8)500g、4A型ゼオライト1500gを添加し、造粒を行い得た界面活性剤含有洗剤粒子。平均粒径:430μm、嵩密度:780g/L。
【0101】
(3)その他の成分
・アルカリプロテアーゼ:花王(株)製KAP4.3G
・炭酸ナトリウム:セントラル硝子(株)製
・硫酸ナトリウム:四国化成(株)製
【0102】
下記表7に示す漂白剤組成物は、漂白活性化剤造粒物及び無機過酸化物を含有し、表8に示す漂白洗浄剤組成物は、漂白活性化剤造粒物、無機過酸化物、及び界面活性剤含有洗剤粒子を含有する組成物である。表7に示す漂白剤組成物及び表8に示す漂白洗浄剤組成物に関し、有機過酸生成率及び漂白性能(漬け置き条件又は洗濯条件)について、以下の方法で評価した。
【0103】
<漂白性能(1):漬け置き条件>
漂白剤組成物を漂白活性化剤の濃度が0.05質量%になるように10℃、500mlの水道水に溶解させ、下記の通り調製したカレー汚染布(親油性汚れ)5枚ずつを30分間浸漬させた。その後水道水ですすぎ、乾燥させて、次式により漂白率を算出した。
【0104】
【数2】

【0105】
反射率は日本電色工業製NDR−10DPで460nmフィルターを使用して測定した。
【0106】
(カレー汚染布の調製)
ハウス食品製レトルトカレー(カレーマルシェ)の固形分をメッシュで除去した後、得られた液を煮沸するまで加熱した。この液に木綿金布#2003を浸し、約15分間煮沸した。そのまま火からおろし約2時間程度放置し室温まで放置した後、布を取りだし、余分に付着しているカレー液をへらで除去し、自然乾燥させた。その後プレスし、10cmラ10cmの試験片として実験に供した。
【0107】
<漂白性能(2):洗濯条件>
漂白洗浄剤組成物を漂白活性化剤の濃度が0.003質量%になるように10℃、1Lの水道水に溶解させ、上記の通り調製したカレー汚染布(親油性汚れ)5枚入れてターゴトメーターにて100rpmで洗浄した。洗浄条件は洗浄時間:10分、硬度:4ーDH、水温:10℃、すすぎ:水道水にて5分で行った。漂白率は上記と同様の方法で算出した。
【0108】
<有機過酸生成率測定方法>
1Lビーカーにイオン交換水1Lを入れ、これにLAS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の5質量%水溶液を3ml、炭酸ナトリウムの5質量%水溶液を3ml添加した水溶液をマグネチックスターラー(直径10mm、長さ30mmの円柱形のスターラーピースを使用)で1分攪拌(100rpm)した。その後、実施例又は比較例で得られた漂白剤組成物を、漂白活性化剤造粒物が0.05gとなるように添加して、5分間攪拌した後、0.3%カタラーゼ水溶液10mlを加え、更に1分間攪拌した。この溶液に10質量%ヨウ化カリウム溶液10mlと20質量%硫酸溶液20mlを添加した。次に、0.02mol/lのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定を行い、下式によって有機過酸生成率を測定した。
【0109】
【数3】

【0110】
式中、漂白活性化剤有効分は、漂白活性化剤造粒物中の漂白活性化剤の質量(g)である。
【0111】
【表7】

【0112】
【表8】

【0113】
造粒物中の漂白活性化剤含有量が異なると溶解時間が変わるため、上記実施例、比較例では、造粒物中の漂白活性化剤含有量が同じもので対比する必要がある。
【0114】
表1の実施例1と比較例1の溶解時間の比較から、(b)成分の常温(25℃)で液体の特定の化合物を配合することによって造粒物の溶解性が高まることがわかる。また、表2の実施例4〜6と比較例2との比較から、(c)成分の非イオン界面活性剤を併用することによって更に溶解性が高まっていることがわかる。
【0115】
図1及び2に示す有機過酸生成率測定結果から、(b)成分と(c)成分を含有する実施例7の漂白活性化剤造粒物では、比較例3の漂白活性化剤造粒物に比べて有機過酸生成率が高く、また表7に示す漂白性能評価結果から、漂白性能も高いことがわかる。このことから、本発明の漂白活性化剤造粒物は、(b)成分を配合することによって溶解性が向上し、その結果衣類の漂白に寄与する有機過酸生成速度が速まることによって漂白性能が向上するものと推察される。
【0116】
また、本発明の漂白活性化剤造粒物は、低温時における溶解性の向上が顕著であり、漂白性能向上のほか、漂白活性化剤造粒物のとけ残りが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】実施例7及び比較例3にて得られた漂白活性化剤造粒物の20℃における攪拌時間と有機過酸生成率の関係を示すグラフ
【図2】実施例7及び比較例3にて得られた漂白活性化剤造粒物の10℃における攪拌時間と有機過酸生成率の関係を示すグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成分:漂白活性化剤、並びに(b)成分:多価アルコール及び下記一般式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる、常温(25℃)で液体の化合物の1種以上を含む漂白活性化剤造粒物。
R−O−[(EO)a/(PO)b]−H (I)
(式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を示す。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示す。a及びbは平均付加モル数であり、各々独立して0〜10の数を示す。但し、a、bは同時に0とはならない。)
【請求項2】
(b)成分が、常温(25℃)で液体の多価アルコールである請求項1に記載の漂白活性化剤造粒物。
【請求項3】
(b)成分が、エチレングリコール、グリセリン、及びプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールである請求項1又は2に記載の漂白活性化剤造粒物。
【請求項4】
更に、(c)成分:非イオン界面活性剤を含有する請求項1〜3いずれか1項に記載の漂白活性化剤造粒物。
【請求項5】
更に、(d)成分:バインダー物質を含有する請求項1〜4いずれか1項に記載の漂白活性化剤造粒物。
【請求項6】
(d)成分のバインダー物質が、ポリアルキレングリコールである請求項5記載の漂白活性化剤造粒物。
【請求項7】
(d)成分の重量平均分子量が、600〜20000である請求項5又は6に記載の漂白活性化剤造粒物。
【請求項8】
(b)成分を0.1〜10質量%、(c)成分を0.1〜10質量%、そして(d)成分を1〜30質量%含有する、請求項5〜7いずれか1項に記載の漂白活性化剤造粒物。
【請求項9】
(c)成分が融点30℃以下であり、そして(d)成分が融点80℃以下である、請求5〜8いずれか1項に記載の漂白活性化剤造粒物。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか1項に記載の漂白活性化剤造粒物及び無機過酸化物を含有する漂白剤組成物。
【請求項11】
更に、界面活性剤含有洗剤粒子を含有する請求項10記載の漂白剤組成物。
【請求項12】
(a)成分:漂白活性化剤、(b)成分:多価アルコール及び下記一般式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる、常温(25℃)で液体の化合物の1種以上、並びに、(c)成分:非イオン界面活性剤及び/又は(d)成分:バインダー物質を含有する漂白活性化剤造粒物の製造方法であって、
(b)成分を含む液状物を(a)成分と混合する工程を有する漂白活性化剤造粒物の製造方法。
R−O−[(EO)a/(PO)b]−H (I)
(式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を示す。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示す。a及びbは平均付加モル数であり、各々独立して0〜10の数を示す。但し、a、bは同時に0とはならない。)
【請求項13】
(b)成分を含む液状物が、(b)成分と、(c)成分及び/又は(d)成分とを含有する請求項12記載の漂白活性化剤造粒物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−332346(P2007−332346A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10164(P2007−10164)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】