説明

漏洩磁束密度計測による欠陥評価方法

【課題】FGセンサで測定した漏洩磁束密度にFGセンサ自身の大きさにより計測値が平均化される影響を考慮することにより逆解析の精度の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】FGセンサにより測定した漏洩磁束密度分布と欠陥上に存在する磁荷との幾何学的対応関係を示す応答関数を用いて逆解析を行って磁化の分布を復元させることにより構造物の欠陥形状を評価する欠陥形状の評価方法において、前記応答関数として、FGセンサがセンサ長2Lを有することを考慮して修正した修正応答関数を用いて評価することを特徴とする欠陥形状の評価方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏洩磁束密度を利用した非破壊検査法に関するもので、特に、フラックスゲートセンサを用いたものに関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の安全性・信頼性評価を正しく行うためには構造物内部に存在するき裂・空孔等の損傷箇所を同定する非破壊検査が重要である。
構造物の材料は磁性体であることが多く、電磁気による非破壊検査が有効である。漏洩磁束探傷法はき裂面に生じた漏洩磁束密度を計測することで欠陥の検出を行う検査方法である。しかしながら漏洩磁束密度を計測するだけでは、欠陥寸法・形状等の定量的な評価を行うことはできない。これら欠陥の定量的評価を行うためには、測定した漏洩磁束密度分布と欠陥上に存在する磁荷との幾何学的対応関係を示す応答関数を定式化し、その逆解析を行うことで磁荷の分布を復元させる必要がある。
フラックスゲートセンサ(以降FGセンサと表記)は10−7T程度の高感度磁気センサ(非特許文献1参照)であり、また測定範囲も±2×10−4と広く、1mm程度の低リフトオフ(試料−観測面距離)領域から10mm程度の高リフトオフ領域まで広範囲に使用できるため近年注目されている(非特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】電気学会マグネティックス技術委員会,磁気工学の基礎と応用,p.171,コロナ社,1999
【非特許文献2】T.Suzuki,A.Terasaki,A.Sasamoto,Y.Nishimura and T.Teramoto,Nondestructive evaluation of ferromagnetic structural materials using FG sensor,Electromagnetic Nondestructive Evaluation(XII),IOSPress,2009,pp271−278
【非特許文献3】S.Takaya,T.Suzuki,Y.Matsumoto,K.Demachi and M.Uesaka,Magnetic microstructure of the sensitized SUS304 stainless steel,Electromagnetic Nondestructive Evaluation(VII),IOSPress,2006,pp313−320
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このFGセンサを用いた計測においては、低リフトオフ領域で高い精度を期待できる。しかし一般に低リフトオフ領域では磁束密度の空間的変化率が非常に大きく、これを長さ3mm程度のFGセンサで計測しようとするとこのような局所的変化を正確に捉えることができず、その結果FGセンサの持つ高感度が欠陥形状の高精度評価に結びついていない可能性がある。しかしセンサ長の影響を考慮して逆解析を行った研究報告は本発明者らの知る限り見当たらない。一方高リフトオフ領域では磁束密度の減衰が著しくなり計測に伴う誤差が逆解析に大きく影響する。
そこで本発明では、漏洩磁束密度の計測にこのFGセンサを用いることを想定し、センサ長の影響を考慮した応答関数への改善を行う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、FGセンサにより測定した漏洩磁束密度分布と欠陥上に存在する磁荷との幾何学的対応関係を示す応答関数を用いて逆解析を行って磁荷の分布を復元させることにより磁性体の構造物の欠陥形状を評価する欠陥形状の評価方法において、前記応答関数として、FGセンサがセンサ長2Lを有することを考慮して修正した修正応答関数を用いて評価することを特徴とする。
また、本発明は、上記欠陥の評価方法において、修正応答関数は、構造物の法線方向をz軸、き裂に垂直な方向をy軸にとり、相対するき裂面上に存在する正負の磁荷による磁化双極子がy軸の向きにのみ非ゼロ成分

を持ち、このときのy軸方向の磁束密度成分を

とし、FGセンサはy軸に平行な方向に長さ2Lを有するものとしたとき、点

でセンサにより観測される磁束密度


【数7】

【数9】

で表され、ただし、mは台形の個数(分割数)であり、また

はy方向区間

をm分割する区分点のy座標であり、


【数2】

で与えられるものであり、(9)式の

を用いて求めた、次の(10)式
【数10】

で表されるものをもって修正応答関数行列としたことを特徴とする。
また、本発明は、上記欠陥形状の評価方法において、上記修正応答関数行列を用いた逆解析は、Tikhonovの正則化法により、αを正則化パラメータ、

は単位行列、

をセンサ長2LのFGセンサで測定された磁束密度分布であるとすれば、逆解析で求められる磁荷分布

は次の(15)式
【数15】

で得られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、FGセンサのセンサ長を考慮した応答関数を用いるので、従来のセンサ長を考慮しない(センサを点と見なした)ものより、高精度に測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】強磁性体の試験片表面に存在するスリット状のき裂(Defect)を、FGセンサ(Flux gate sensor)を用いた漏洩磁束密度計測(Measurement of magnetic flux leakage)により検出する概念図。
【図2】図1に示した試験片に対してリフトオフ(Liftoff)を1mm、5mm、10mmとした場合に、x=0の線上で求まる磁束密度のy軸方向分布を示した図。
【図3】積分計算を複合台形則に基づく数値積分に置き換えることを示した概念図。
【図4】図1に示した試験片に対してリフトオフ1mmにおける磁束密度分布を(a)に示し、リフトオフ10mmにおける磁束密度分布を(b)に示した図。
【図5】逆解析の評価に用いた半楕円型表面き裂モデルの試験片を示した図。
【図6】図5のモデルにおけるリフトオフが1mmの場合の模擬磁束密度の分布を(a)に示し、リフトオフが10mmの場合の模擬磁束密度の分布を(b)に示した図。
【図7】リフトオフを1mm〜10mmまで変化させたときの応答関数行列、修正応答関数行列の階位を示した図。
【図8】順解析(Forward analysis)と逆解析(Inverse analysis)の流れを示した図。
【図9】リフトオフが1mmの場合のLカーブを示す図(縦軸=残差ベクトルノルム:Regularized term、横軸=正則化項ノルム:Residuals term)。
【図10】リフトオフが1mmの場合の逆解析で得られる磁荷分布を示した図で、(a)は従来の応答関数行列を用いた場合、(b)は修正応答関数行列を用いた場合を示す。
【図11】リフトオフが10mmの場合のLカーブを示す図。
【図12】リフトオフが10mmの場合の逆解析で得られる磁荷分布を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
強磁性体の試験片表面にスリット状のき裂(Defect)が存在する様子を図1に示す。構造物表面の法線方向をz軸、き裂面に垂直な方向をy軸にとる。相対するき裂面上に存在する正負の磁荷を磁気双極子(Magnetic dipole)と見なすと、磁気双極子はy軸の向きのみに非ゼロ成分

を持つ。またこのとき磁束密度は主にy軸方向及びz軸方向に非ゼロの成分



を持つが、本発明では前者を用いることとし、以降文章中の磁束密度とは

を指すものとする。磁気双極子の座標を

と表記すると、点

で観測される磁束密度

は(1)式で与えられる。ただし

は磁気双極子の分布する全領域である。
【0009】
【数1】

【0010】
(1)式の関数

は、磁荷に対する観測点の相対座標値を入力変数とする関数であり、(2)式で具体的に書き表される。ただし

は真空透磁率である。
【0011】
【数2】

【0012】
(2)式は磁気双極子が原点に存在する場合の表現になっていることに注意されたい。(1)式の積分計算を、離散点とした磁気双極子の和で置換する。
【0013】
【数3】

【0014】
ここで



の右肩添え字jは磁気双極子の番号を表し、またNは磁気双極子の総数である。
ある一定のリフトオフを保持する平面上にて観測点を動かすと離散化された観測点ごとに(3)式が成立し、整理すると(4)式の連立方程式を得る。
【0015】
【数4】

【0016】
ここで

の右肩添え字iは観測点の番号、Mはその総数である。また

は観測点iと磁気双極子jを関係付ける(2)式の応答関数である。(4)式を(5)式で書き表す。(5)式の行列

を以降応答関数行列と呼ぶ。
【0017】
【数5】

【0018】
(4)式は配置された磁気双極子から任意点で観測される磁束密度を与える式であり、これを順解析と位置付ける。以下では順解析で求まる磁束密度分布にリフトオフ(Lift off)がどのように影響するかを検証する。
図1の試験片に対して、リフトオフを1mm、5mm、及び10mmとした場合に、x=0の線上で求まる磁束密度(magnetic flux density)のy軸方向分布を図2に示す。ただし、各リフトオフに対応するグラフは、それぞれの最大値で除すことにより最大値が全て1になるよう正規化(Normalized)している。
リフトオフが1mmの場合を例に、基本的な分布傾向を確認する。無限遠方で磁束密度はゼロであるが、き裂(Defect)に接近すると減少して負値になる。しかしy=±2mm付近で極小値となった後急激に増大し、き裂上(y=0mm)にて最大値をとる峰状分布となる。
本研究で想定するFGセンサ(Flux gate sensor)は長さ3mm、直径1mm程度の円筒形形状をしている(図1参照)。計測されるのはこのセンサ内部全体を貫通する磁束であるが、センサ長とほぼ同程度である|y|<2mmの区間内でこのような急激な増大・減少を示す磁束密度を正確に計測できない可能性がある。
一方、リフトオフが10mmの場合は、リフトオフ1mmの場合と比較すると変化は非常に緩慢であり、センサ長の影響が小さくなると考えられる。
【0019】
上述したように、リフトオフが1mm程度の低リフトオフ領域ではFGセンサがき裂近傍の急激な変化を正確に捉えていない可能性がある。本発明ではそのことを考慮し(5)式の応答関数行列を修正する。
【0020】
センサ内部の磁束密度分布は、センサ中央付近に重みを持つことが現実的と考えられるが、本発明では簡単のため観測される磁束密度の修正に単純平均を用いる。点

でセンサにより観測される磁束密度

は次式で与えられる。
【0021】
【数6】

【0022】
ここで、2L=センサ長である。(1)式〜(3)式と同様な手続きにより、(6)式は(7)式、(8)式のように表記でき、平均化処理が応答関数に作用する。
【0023】
【数7】

【数8】

【0024】
(8)式右辺の

は(2)式で与えられる。この

を実数の範囲で解析的に積分することは困難であるため、(8)式の積分計算を複合台形則に基づく数値積分(図3参照)に置き換えると(9)式が得られる。
【0025】
【数9】

【0026】
ここでmは台形の個数(分割数)であり、また

はy方向区間

をm分割する区分点のy座標である。(9)式の

を用い、修正応答関数行列

が(10)式で求まる。
【0027】
【数10】

【0028】
応答関数行列を修正した効果をここで検証する。以下では、(10)式の

により順解析で求まる磁束密度を

と表記する。すなわち(11)式が成り立つ。
【0029】
【数11】

【0030】
図1に示した諸寸法及び磁気双極子配置に対して、リフトオフが1mm及び10mmの場合に順解析で求まる磁束密度分布を図4に示す。

及び

はそれぞれ(5)式及び(11)式に示す順解析により求まる磁束密度である。また

のmは分割した台形の個数である。
図4(a)において、



が持つ急峻さを失い、y=0で丸くなる分布になった。また符号の反転する位置が1mm程度外側、すなわち|y|が大きくなる方向に移動している。著者らの試行の結果、分割数mを増加させるとm=5程度で

の分布形状はほぼ収束した。一方、図4(b)では、



はほぼ同等の挙動を示した。
以上より、低リフトオフ領域にて観測される磁束密度の分布が、応答関数の修正により大きく影響を受けること、また高リフトオフ領域ではその影響は小さいことがわかった。
【実施例】
【0031】
上記ではセンサ長の影響を考慮した応答関数を導き順解析によりその効果を確認した。ここでは実用的なモデルに対して逆解析を行いその効果を検証する。そのモデルを試験片上の半楕円型表面き裂(semielliptical surface defect)とし、外観図を図5に示す。き裂断面の寸法は、長軸半径と短軸半径がそれぞれ5mmと2.5mmである。
逆解析での入力情報となる磁束密度は本来実験的に計測して得られるが、ここではこれを数値計算、すなわち順解析にて代用する。またこの磁束密度を模擬磁束密度と呼ぶことにし、以下でその導出過程を説明する。
図5のy=0の断面上に磁気双極子を格子状に配置する。配置間隔はx軸方向、z軸方向共に0.25mmとした。そして半楕円型領域内部に位置するものはその大きさを−1で与えた。また磁束密度を観測する点は、観測面(z=リフトオフとなるxy平面)の−15≦x≦15[mm]、−20≦y≦20[mm]範囲内にx軸、y軸方向共に0.5mm間隔で格子上に配置した。これより観測点数M=4941、磁気双極子点数N=1701となった。
逆解析に使用する磁束密度は、(5)式から求まる

ではなく、(11)式から求まる

とすべきである。さらに現実に則し、ここでは観測に伴う誤差を考慮する。誤差の大きさは

の最大値の1%に設定し、その分布は平均値ゼロの一様乱数とした。以上より模擬磁束密度は(12)式の

で与えられる。
【0032】
【数12】

【0033】
(12)式の

は上述した誤差を表すベクトルである。また

は図5に示す磁気双極子の分布を表すベクトルである。リフトオフが1mm及び10mmの場合に(12)式にて得られる

の分布を図6に示す。
【0034】
逆解析にて求めようとする磁気双極子の分布は、(10)式の

と(12)式の

を用いると(13)式の評価関数

を最小にする

となる。
【0035】
【数13】

【0036】
(12)式の

が順解析における入力値であるのに対し、(13)式の

が逆解析における出力値となることに注意されたい。

の最小化により適切な

が得られるかどうかは行列

の性質に支配される。そこで以下では

及び(4)式の

について、一次独立性の観点から調べる。
リフトオフを1mm〜10mmまで変化させたときの



の階位(一次独立な方程式の個数)を図7に示す。観測点数M=4941であるため見掛け上M個の方程式が存在するが、実質的に一次独立なものは600以下であることが分かる。これは求めるべき双極子の個数Nよりも少ない。
また、リフトオフが大きくなるに従い階位は低下すること、及び全てのリフトオフを通じて



よりも階位が低くなることが読み取れる。前者については図2に示したようにリフトオフ増大化によって磁束密度分布が緩慢になること、そして後者については磁束密度の平均化処理が、共に同じような方程式を増やす方向に寄与するためと考えられる。
このように一次独立性が低下した連立方程式から解を得ようとすると、誤差が過大に評価され振動解となることが多い。そこで適切な解を得る方法として、Tikhonovの正則化法による(13)式の適切化を図る。すなわち(13)式の

に代えて(14)式に示す

の最小化を行う。
【0037】
【数14】

【0038】
ここでαは正則化パラメータ、

は単位行列である。また右辺第一項は残差ノルム項、第二項が正則化項と呼ばれる。

が最小となるとき、M>Nならば

は(15)式で得られる。
【0039】
【数15】

【0040】
(15)式は修正した応答関数行列

を逆解析に用いる場合の解である。次で述べるように、比較対象とする従来の応答関数

を逆解析に用いる場合は、(16)式で与えられる

が解となる。
【0041】
【数16】

【0042】
以上で述べた順解析と逆解析の流れを図8に示す。
【0043】
リフトオフが1mmの場合において、横軸・縦軸にそれぞれ残差ベクトルノルム、正則化項ノルムをとり、正則化係数αを10−7〜10の範囲で変化させたときのプロット点が連なる曲線を図9に示す。これはLカーブとも呼ばれ,曲線の折れ曲がり個所付近のαが最も適切な磁荷分布を与えるとされる。逆解析画像を元にこの付近に位置する適切な正則化パラメータを検討した結果、

ではα=10−1

ではα=10−2を得た。

については、Lカーブの折れ曲がり点よりも幾分αが大きいところで最適な磁荷分布となる傾向を得た。
このとき逆解析で得られる磁荷分布を図10に示す。すなわち図10の(a)と(b)は(16)式の

と(15)式の

の分布をそれぞれ示し、後述する図12も同様である。また図中の黒実線は実際のき裂面の境界を表している。実際に配置した磁気双極子の分布

は負値であるにも拘わらず、図10(a)の

は表面(z=0)付近で正値の磁荷が現れ、明らかに

と異なる結果となった。αを多少変化させてもこのような傾向が見られた。これは図2で見られたように、応答関数の違いにより、磁束密度が欠陥近傍で符号を反転する位置が違ってくることが原因と考えられる。一方図10(b)の

はそのような磁荷符号の反転が生じず表面近傍は正確に磁荷が再現されており,実際のき裂面境界とほぼ一致するプロファイルを得ることができた。
次にリフトオフを10mmとした場合のLカーブのグラフを図11に、磁荷分布を図12にそれぞれ示す。図11では




がほぼ同様の挙動を示している。これは正則化の観点からは、図9と比較して図11で



の差が縮小したことを意味する。また同じく図10の場合と比較して図12の(a)

と(b)

間の相違も縮小したと言える。しかし詳細に両者を比較すれば、この場合においても図12(b)の方が図12(a)よりも正確な欠陥形状を示しており、応答関数を修正した効果が現れたと考えられる。
以上、逆解析に用いる応答関数行列を修正したことにより、低リフトオフ領域から高リフトオフ領域まで欠陥形状を正確に再現する効果が確認されたこと、特に低リフトオフ領域ではその効果が顕著に現れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上記(8)式の積分を数値積分で行うに際し、複合台形則に基づいた数値積分を用いて(9)式を導いたが、他の数値積分の手法を用いることも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FGセンサにより測定した漏洩磁束密度分布と欠陥上に存在する磁荷との幾何学的対応関係を示す応答関数を用いて逆解析を行って磁荷の分布を復元させることにより磁性体の構造物の欠陥形状を評価する欠陥形状の評価方法において、
前記応答関数として、FGセンサがセンサ長2Lを有することを考慮して修正した修正応答関数を用いて評価することを特徴とする欠陥形状の評価方法。
【請求項2】
上記修正応答関数は、構造物の法線方向をz軸、き裂に垂直な方向をy軸にとり、相対するき裂面上に存在する正負の磁荷による磁化双極子がy軸の向きにのみ非ゼロ成分

を持ち、このときのy軸方向の磁束密度成分を

とし、FGセンサはy軸に平行な方向に長さ2Lを有するものとしたとき、点

でセンサにより観測される磁束密度


【数7】

【数9】

で表され、ただし、mは台形の個数(分割数)であり、また

はy方向区間

をm分割する区分点のy座標であり、


【数2】

で与えられるものであり、(9)式の

を用いて求めた、次の(10)式
【数10】

で表されるものをもって修正応答関数行列としたことを特徴とする請求項1記載の欠陥形状の評価方法。
【請求項3】
上記修正応答関数行列を用いた逆解析は、Tikhonovの正則化法により、αを正則化パラメータ、

は単位行列、

をセンサ長2LのFGセンサで測定された磁束密度分布であるとすれば、逆解析で求められる磁荷分布

は次の(15)式
【数15】

で得られることを特徴とする請求項2記載の欠陥形状の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−247194(P2012−247194A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116518(P2011−116518)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名 「保全学」 Vol.9,No.4 発行者名 特定非営活動法人 日本保全学会 発行年月日 平成23年1月10日
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】