説明

演奏中止対応カラオケ採点システム

【課題】 カラオケ楽曲の演奏を中止した場合であっても、再度、当該カラオケ楽曲を最初から歌い直すことなく最終的な歌唱採点値を得る。
【解決手段】 演奏中止手段52aの機能により演奏が中止されたカラオケ楽曲の再演奏を指示する再演奏指示手段22dと、歌唱採点手段48の機能により歌唱採点が行われている任意のカラオケ楽曲について、演奏中止手段52aの機能により演奏が中止された場合に、少なくとも、当該カラオケ楽曲の楽曲IDと、採点済区間データと、採点済区間のそれぞれの採点値と、を紐付けして記録する中途採点値記録手段49と、カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、採点済区間については歌唱採点を行わないように制御する採点機能制御手段50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意のカラオケ楽曲の演奏を中止させる演奏中止機能と、所定の採点区間毎に歌唱者の歌唱力を採点する歌唱採点機能と、を有する演奏中止対応カラオケ採点システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在普及している一般的なカラオケ演奏装置は歌唱採点機能を有しており、課題曲に対して歌唱力を競う歌唱力ランキングバトルや、歌唱力段位認定などに利用されている。この歌唱採点機能は、所定の採点区間毎に歌唱音声とリファレンスデータとを比較して歌唱採点値を算出し、すべての採点区間を歌いきると、総合的な歌唱採点結果が表示されるようになっている。
【0003】
また、カラオケ演奏装置を利用して歌唱を行う際には、必ずしもカラオケ楽曲の最後まで歌いきるとは限らず、歌唱の途中でカラオケ楽曲の演奏中止を望む場合があるため、現在普及しているカラオケ演奏装置は、演奏中止機能を有している。カラオケ楽曲の演奏中に当該演奏を中止させるには、例えば、カラオケリモコン装置に設けられた演奏中止スイッチを操作すればよい。ところで、歌唱者はマイクロホンを手に持って歌唱を行うのが一般的であり、この際、カラオケリモコン装置は歌唱者ではなく聴取者の手元にある。したがって、カラオケリモコン装置を用いて演奏中止操作を行うのは聴取者ということになり、歌唱者の意思に反して演奏が中止されてしまうことがある。
【0004】
ところで、従来のカラオケ演奏装置では、演奏中止機能を用いてカラオケ楽曲の演奏が途中で中止された場合、演奏が中止された歌唱採点区間以前の歌唱採点値しか得ることができず、総合的な歌唱採点結果を得るためには、再度、当該カラオケ楽曲を最初から歌い直さなければならなかった。特に、歌唱者の意思に反して演奏が中止された場合には、歌唱者は興ざめし、カラオケ演奏装置を用いた歌唱の楽しさを味わうことができなくなってしまう。
【0005】
従来、上述した不都合に対して、カラオケ楽曲の演奏中止を指示するための手段をマイクロホンに設けることにより、歌唱者の意思に反することなく演奏中止を行うことができる技術が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術は、演奏手段と、マイクロホンと、受信手段と、制御手段とを備えている。そして、演奏手段は、制御手段の制御に従ってカラオケ楽曲を演奏し、マイクロホンは、送信手段の動作をオンオフさせるスイッチを有し、受信手段は、マイクロホンの受信信号から復調した歌唱音声信号をアンプに供給するとともに、受信信号の有無をあらわす状態信号を出力し、制御手段は、演奏手段にカラオケ楽曲を演奏させている際、状態信号が有から無に変化すると、当該楽曲の演奏をフェードアウトさせて中止するようになっている。
【0006】
また、誤操作による演奏の強制終了を防止するための技術が開示されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載された技術は、演奏手段と、音量測定手段と、制御手段とを備えている。そして、演奏手段は、制御手段の制御に従ってカラオケデータに基づいてカラオケ楽曲を演奏し、音量測定手段は、マイクロホンに入力される音声の音量値を出力し、制御手段は、演奏中止処理と、音声入力判断処理と、演奏継続処理とを実行する。ここで、演奏中止処理は、カラオケ演奏手段に楽曲演奏を行わせている際、所定のユーザ入力があると、当該演奏を中止する。また、音声入力判断処理は、カラオケ演奏手段に楽曲演奏を行わせている際、音量測定手段からの音量値に基づいて歌唱継続中か否かを認識する。また、演奏継続処理は、音声入力判断処理において、歌唱継続中であると認識しているときには演奏中止処理を実行しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−57838号公報
【特許文献2】特開2007−271975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の技術を利用したとしても、カラオケ楽曲の演奏が途中で中止されてしまうことがあり、すべての採点区間について総合的な歌唱採点結果を得るためには、再度、当該カラオケ楽曲を最初から歌い直さなければならないという不都合は解消されていない。
【0009】
上述したように、歌唱者の意思に反してカラオケ楽曲の演奏が途中で中止されてしまった場合に、再度、当該カラオケ楽曲を最初から歌い直すのでは、歌唱者のモチベーションが下がってしまうおそれがある。また、カラオケ楽曲が演奏されている途中で、歌唱者に何らかの用事ができたり、喉に不調を感じたりして、歌唱者の意思に基づいてカラオケ楽曲の演奏を途中で中止する場合もある。この場合にも、再度、当該カラオケ楽曲を最初から歌い直すのは、歌唱者にとって負担である。また、同一の利用者がカラオケ演奏装置を独占することになり、他の利用者との間で不公平感が生じるおそれがある。さらに、カラオケ楽曲を最初から歌い直すことにより、カラオケルームの使用時間が延長された場合には、それだけ料金が嵩んでしまう。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、カラオケ楽曲の演奏を中止した場合であっても、再度、当該カラオケ楽曲を最初から歌い直すことなく、最終的な歌唱採点結果を得ることが可能な演奏中止対応カラオケ採点システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の演奏中止対応カラオケ採点システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の演奏中止対応カラオケ採点システムは、任意のカラオケ楽曲の演奏を中止させる演奏中止機能と、所定の採点区間毎に歌唱者の歌唱力を採点する歌唱採点機能と、を有するカラオケシステムであって、再演奏指示手段と、中途採点値記録手段と、採点機能制御手段と、を備えている。
【0012】
再演奏指示手段は、演奏中止機能により演奏が中止されたカラオケ楽曲の再演奏を指示するための手段である。中途採点値記録手段は、歌唱採点機能により歌唱採点が行われている任意のカラオケ楽曲について、演奏中止機能により演奏が中止された場合に、少なくとも、当該カラオケ楽曲の楽曲IDと、採点済区間データと、採点済区間のそれぞれの採点値と、を紐付けして記録するための手段である。採点機能制御手段は、カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、採点済区間については歌唱採点を行わないように制御するための手段である。
【0013】
このような構成からなる演奏中止対応カラオケ採点システムでは、歌唱採点機能により歌唱採点を行うことができ、演奏中止機能により演奏途中で演奏を中止させることができる。そして、歌唱採点が行われているカラオケ楽曲の演奏が中止されると、中途採点値記録手段により、当該カラオケ楽曲の楽曲IDと、採点済区間データと、採点済区間のそれぞれの採点値と、を紐付けして記録する。当該記録は、RAMやHDD等の記憶手段に記憶される。
【0014】
そして、カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、採点機能制御手段の機能により、採点済区間については歌唱採点を行わないように制御される。すなわち、演奏が途中で中止されたカラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、歌唱採点値が記録されていない未採点区間のみについて、歌唱採点機能による歌唱採点が行われる。
【0015】
また、上述した構成に加えて、歌詞表示制御手段をさらに備えることが可能である。歌詞表示制御手段は、カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、当該カラオケ楽曲の歌詞表示において、歌唱採点を行わない採点済区間と歌唱採点を行う未採点区間とを識別可能に表示制御するための手段である。
【0016】
このような構成からなる演奏中止対応カラオケ採点システムでは、演奏が途中で中止されたカラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、歌詞表示制御手段の機能により、歌唱採点を行わない採点済区間と歌唱採点を行う未採点区間とが識別可能となるように、歌詞表示が行われる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の演奏中止対応カラオケ採点システムによれば、歌唱採点が行われているカラオケ楽曲の演奏が途中で中止されると、当該カラオケ楽曲について、楽曲IDと、採点済区間データと、採点済区間のそれぞれの採点値とが紐付けして記録される。そして、当該カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合に、採点済区間については歌唱採点を行わないように制御される。
【0018】
したがって、歌唱採点が行われているカラオケ楽曲の演奏が途中で中止され、当該カラオケ楽曲の再演奏を行う場合に、再度、最初から歌い直す必要がなく、未採点区間のみを歌唱するだけで採点結果を得ることができる。このため、歌唱者の負担を軽減することができるとともに、カラオケ演奏装置を効率的に使用することができる。特に、歌唱者の意思に反してカラオケ楽曲の演奏が中止された場合には、歌唱者のモチベーションを下げることなく、歌唱の楽しさを十分に味わうことが可能となる。
【0019】
また、再演奏が指示されたカラオケ楽曲の歌詞表示において、歌唱採点を行わない採点済区間と歌唱採点を行う未採点区間とを識別可能に表示制御する構成とした場合には、歌唱者に対して、歌い直しを行うタイミングを明確に知らしめることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る演奏中止対応カラオケ採点システムを適用するカラオケ演奏装置のブロック図。
【図2】中途採点値データの構成を示す説明図。
【図3】本発明の実施形態に係る演奏中止対応カラオケ採点システムによる再演奏/追加採点制御を説明する説明図。
【図4】演奏中止指示/再演奏指示を説明するためのカラオケリモコン装置の模式図。
【図5】再演奏が開始された際、表示装置に表示される歌詞テロップ表示画面の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の演奏中止対応カラオケ採点システムの実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る演奏中止対応カラオケ採点システムは、任意のカラオケ楽曲の演奏を中止させる演奏中止機能と、所定の採点区間毎に歌唱者の歌唱力を採点する歌唱採点機能と、を有しており、主な構成要素として、再演奏指示手段と、中途採点値記録手段と、採点機能制御手段と、を備えている。図1に、本発明の実施形態に係る演奏中止対応カラオケ採点システムを適用するカラオケ演奏装置の構成を示す。
【0022】
<カラオケ演奏装置>
本発明の実施形態のカラオケ演奏装置11は、図1に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、マイクロホン23、ミキシングアンプ24、スピーカ25、表示装置26を備えている。
【0023】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21の送受信手段45に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置22は、楽曲検索手段22aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース22b、演奏中止指示手段22cとして機能する回路基板及びプログラム、再演奏指示手段22dとして機能する回路基板及びプログラム、利用者ID取得手段22eとして機能する回路基板及びプログラム、データの送受信を行うための回路基板及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。このカラオケリモコン装置22に付帯するスイッチ類や、入出力表示部(図示せず)に表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作、演奏中止操作、再演奏開始操作等が行われる。
【0024】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース22bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケ演奏装置11で演奏に供されるカラオケ楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0025】
<演奏中止指示手段>
演奏中止指示手段22cは、カラオケ楽曲の演奏中止を指示するための回路基板及びプログラムからなる。例えば、カラオケリモコン装置22には演奏中止スイッチが設けられており(図4参照)、この演奏中止スイッチを操作することにより演奏中止指示手段22cが機能し、カラオケ本体21に対して演奏中止指示信号を送信する。そして、演奏中止指示信号を受信したカラオケ本体21は、演奏中止手段52aの機能によりカラオケ楽曲の演奏を中止する。また、歌唱採点が行われているカラオケ楽曲の演奏が中止された場合には、中途採点値記録手段49の機能により中途採点値が記録される。
【0026】
<再演奏指示手段>
再演奏指示手段22dは、演奏が中止されたカラオケ楽曲の再演奏を指示するための回路基板及びプログラムからなる。例えば、カラオケリモコン装置22には再演奏指示スイッチが設けられており(図4参照)、この再演奏指示スイッチを操作することにより再演奏指示手段22dが機能し、カラオケ本体21に対して再演奏指示信号を送信する。そして、再演奏指示信号を受信したカラオケ本体21は、再演奏制御手段52bの機能により、演奏が中止されたカラオケ楽曲について所定の採点区間から再演奏を行わせる。
【0027】
<利用者ID取得手段>
利用者ID取得手段22eは、利用者がカラオケ演奏装置11を利用する際に、利用者が所持するID媒体31から利用者IDを取得するための電子回路及びプログラムからなる。利用者ID取得手段22eで取得した利用者IDは、RAM43に一時的に記憶され、ログイン利用者管理手段47で管理される。ID媒体31は、例えば、非接触型のIDカード、携帯電話、携帯情報端末等からなり、利用者IDを記憶して、利用者ID取得手段22eとの間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0028】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、中央制御手段41、ROM42、RAM43、HDD44、送受信手段45、予約管理手段46、ログイン利用者管理手段47、歌唱採点手段48、中途採点値記録手段49、採点機能制御手段50、A/Dコンバータ51、音楽再生制御手段52、演奏中止手段52a、再演奏制御手段52b、映像再生制御手段53、歌詞表示制御手段53aを備えている。
【0029】
<中央制御手段>
中央制御手段41は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM42等に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0030】
<ROM/RAM>
ROM42は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのアプリケーションプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM43は、アプリケーションプログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM43を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM43を構成してもよい。本実施形態では、RAM43に、予約待ち行列43a、中途採点値データ43b、採点結果データ43cが記憶されるようになっている。
【0031】
<HDD>
HDD44は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース(楽曲DB)44a及び映像データベース(映像DB)44bが格納されている。なお、HDD44に替えて、あるいはHDD44とともに、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0032】
楽曲データベース44aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞テロップデータは演奏データに同期されたカラオケ楽曲の歌詞文字データである。なお、歌詞文字データには、歌詞文字の表示色データ、色変わりデータ等が含まれている。映像データベース44bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0033】
<送受信手段>
送受信手段45は、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信が行われる。
【0034】
<予約管理手段>
予約管理手段46は、利用者により楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲され、送受信手段45を介して送信された当該選曲者の利用者情報(例えば利用者ID)及び選曲された楽曲IDを対応付けて予約待ち行列43aとしてRAM43に格納し、管理するためのプログラムである。なお、楽曲選択の表示や予約待ち行列43aの表示は、カラオケリモコン装置22の入出力表示部(図示せず)及び表示装置26のいずれか一方、あるいは双方で行うことができる。
【0035】
<ログイン利用者管理手段>
ログイン利用者管理手段47は、現に当該カラオケ演奏装置11にログインしている利用者を、利用者IDに基づき特定して管理するためのプログラムからなる。すなわち、ログイン利用者管理手段47では、利用者ID取得手段22eにより利用者IDが取得された場合に、この利用者IDに基づいてカラオケ演奏装置11にログインしている利用者を特定して管理する。
【0036】
<歌唱採点手段>
歌唱採点手段48は、歌唱者の歌唱力を所定の採点区間において採点するためのプログラムからなる。歌唱採点では、マイクロホン23より入力された歌唱者の音声信号から、音程、声量、テンポ等の歌唱評価データを抽出するとともに、この歌唱評価データと演奏楽曲の主旋律等のリファレンス情報とを比較して採点を行う。なお、本実施形態では、演奏が中止された後に再演奏が行われるカラオケ楽曲では、未採点区間のみについて、歌唱採点手段48による歌唱採点が行われ、既に採点済みの採点済区間における歌唱採点値(中途採点値データ43b)を用いて総合的な歌唱採点値が算出されて、採点結果データ43cとしてRAM43に記録される。
【0037】
<中途採点値記録手段>
中途採点値記録手段49は、歌唱採点機能により歌唱採点が行われている任意のカラオケ楽曲について、演奏中止手段52aの機能により演奏が中止された場合に、少なくとも、当該カラオケ楽曲の楽曲IDと、採点済区間データと、採点済区間のそれぞれの採点値と、を紐付けして記録するためのプログラムからなる。なお、中途採点値データ43bは、RAM43に記憶される。図2に、中途採点値データ43bの構成を示す。中途採点値データ43bは、図2に示すように、演奏が中止された楽曲IDと、採点済区間データと、採点済区間のそれぞれの採点値とが紐付けされて構成されている。なお、中途採点値データ43bとして、利用者IDを含めて記録してもよい。利用者IDを含めて中途採点値データ43bを記録した場合には、歌唱者を特定して再演奏及び歌唱採点の続行を行うことができる。
【0038】
<採点機能制御手段>
採点機能制御手段50は、カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、採点済区間については歌唱採点を行わないように制御するためのプログラムからなる。すなわち、演奏が中止されたカラオケ楽曲の再演奏が指示されると、採点機能制御手段50の機能により歌唱採点手段48を制御して、採点済区間については歌唱採点を行わず、歌唱採点値が記録されていない未採点区間のみについて、歌唱採点機能による歌唱採点が行われる。そして、すべての採点区間について歌唱採点が終了すると、歌唱採点手段48の機能により総合的な歌唱結果を得ることができる。
【0039】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段52は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース44aから抽出された演奏データをデジタル再生するとともにアナログ変換してミキシングアンプ24に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ24は、マイクロホン23から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段52から送出される演奏音声信号とをミキシングするとともに、アンプ機能により増幅してスピーカ25より出力させるための装置である。なお、本実施形態では、歌唱採点手段48において歌唱音声信号を利用するため、マイクロホン23からの歌唱音声信号が、カラオケ本体21のA/Dコンバータ51へ入力されている。
さらに、音楽再生制御手段52は、演奏中止手段52aとして機能するプログラムと、再演奏制御手段52bとして機能するプログラムと、を含んでいる。
【0040】
<演奏中止手段>
演奏中止手段52aは、カラオケリモコン装置22の演奏中止指示手段22cからの演奏中止信号を受信した場合に、現在演奏中のカラオケ楽曲について、その演奏を中止させるためのプログラムからなる。そして、歌唱採点が行われているカラオケ楽曲の演奏が中止された場合には、中途採点値記録手段49の機能により中途採点値データ43bが記録される。
【0041】
<再演奏制御手段>
再演奏制御手段52bは、カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合に、演奏が中止されたタイミングよりも所定時間前から再演奏が開始されるように制御するためのプログラムからなる。すなわち、カラオケリモコン装置22の再演奏指示手段22dから再演奏指示信号を受信すると、再演奏制御手段52bの機能により、RAM43に記録された中途採点値データ43bを参照して、例えば、演奏が中止された採点区間の1区間前から再演奏が開始するような制御を行う。
【0042】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段53は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース44bから抽出した映像データ及び楽曲データベース44aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置26に出力するための電子回路である。この際、カラオケ楽曲の演奏進行に従って、歌詞文字が色変わりして表示される。
さらに、映像再生制御手段53は、歌詞表示制御手段53aとして機能するプログラムを含む構成とすることができる。
【0043】
<歌詞表示制御手段>
歌詞表示制御手段53aは、カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、当該カラオケ楽曲の歌詞表示において、歌唱採点を行わない採点済区間と歌唱採点を行う未採点区間とを識別可能に表示制御するためのプログラムからなる。採点済区間と未採点区間とを識別可能とするためには、例えば、歌詞文字の表示色やフォントをそれぞれ異なるものとすればよい。
【0044】
表示装置26は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等により構成される。
【0045】
<再演奏/追加採点制御>
次に、図3〜図5を参照して、本発明の実施形態の演奏中止対応カラオケ採点システムによる再演奏及び追加採点の制御を説明する。図3は、演奏中止対応カラオケ採点システムによる再演奏/追加採点制御を説明する説明図、図4は、演奏中止指示/再演奏指示を説明するためのカラオケリモコン装置の模式図、図5は、再演奏が開始された際、表示装置に表示される歌詞テロップ表示画面の模式図である。
【0046】
カラオケ楽曲が演奏されている際に、カラオケリモコン装置22の演奏中止スイッチが操作されると(図4参照)、演奏中止指示手段22cの機能により演奏中止指示信号がカラオケ本体21へ送信され、演奏中止手段52aの機能により、当該カラオケ楽曲の演奏が中止される。図3に示す例では、歌唱採点手段48の機能を用いて歌唱採点が行われているカラオケ楽曲について、採点区間「5」の途中で演奏が中止されている。カラオケ楽曲の演奏が中止されると、中途採点値記録手段49の機能により、当該カラオケ楽曲の楽曲IDと、採点済区間データ(採点区間「1」〜採点区間「4」の採点が行われた旨のデータ)と、採点済区間のそれぞれの採点値(採点区間「1」〜採点区間「4」の各採点値)とが紐付けされた中途採点値データ43bが作成され、RAM43に記録される。
【0047】
ここで、カラオケリモコン装置22の再演奏スイッチが操作されると(図4参照)、再演奏指示手段22dの機能により再演奏指示信号がカラオケ本体21へ送信され、再演奏制御手段52bの機能により、RAM43に記録された中途採点値データ43bを参照して、演奏が中止された採点区間の1区間前から演奏が開始するように、当該カラオケ楽曲の演奏が再開される。図3に示す例では、採点区間「5」の途中で演奏が中止されているので、1区間前の採点区間「4」の途中(例えば、採点区間「5」の10秒前)から演奏が再開される。この際、フェードインを行うことにより、歌唱者及び聴取者に違和感を与えることなく、再演奏を開始することができる。そして、歌唱採点手段48の機能により、採点が途中で中止された採点区間「5」以降の採点が行われる。
【0048】
この際、図5に示すように、歌詞表示制御手段53aの機能により、既に歌唱採点が実施された採点済区間では、歌詞文字が白色で表示され、未だ歌唱採点が実施されていない未採点区間では、歌詞文字が青色で表示される。これにより、歌唱者は、採点済区間と未採点区間を識別することができる。図5に示す例では、歌い出し区間である採点区間において、演奏の進行に伴って歌詞文字を色変わり表示させている。
【0049】
<他の実施形態>
本発明の演奏中止対応カラオケ採点システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的等に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【0050】
<ネットワークカラオケシステム>
また、上述した実施形態は、カラオケ演奏装置11をスタンドアロンで使用した例を示しているが、各カラオケ店舗等に設置されたカラオケ演奏装置11を端末装置とし、インターネット回線等を用いて、端末装置とホスト装置とをネットワーク接続した構成とすることもできる。この場合には、ホスト装置において、利用者IDや、中途採点値データ等を集中管理することにより、ネットワーク接続された各カラオケ演奏装置11において同様のサービスを提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
11 カラオケ演奏装置
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
22c 演奏中止指示手段
22d 再演奏指示手段
22e 利用者ID取得手段
23 マイクロホン
24 ミキシングアンプ
25 スピーカ
26 表示装置
31 ID媒体
41 中央制御手段
42 ROM
43 RAM
43a 予約待ち行列
43b 中途採点値データ
43c 採点結果データ
44 HDD
44a 楽曲データベース
44b 映像データベース
45 送受信手段
46 予約管理手段
47 ログイン利用者管理手段
48 歌唱採点手段
49 中途採点値記録手段
50 採点機能制御手段
51 A/Dコンバータ
52 音楽再生制御手段
52a 演奏中止手段
52b 再演奏制御手段
53 映像再生制御手段
53a 歌詞表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のカラオケ楽曲の演奏を中止させる演奏中止機能と、所定の採点区間毎に歌唱者の歌唱力を採点する歌唱採点機能と、を有するカラオケシステムであって、再演奏指示手段と、中途採点値記録手段と、採点機能制御手段と、を備え、
前記再演奏指示手段は、演奏中止機能により演奏が中止されたカラオケ楽曲の再演奏を指示し、
前記中途採点値記録手段は、前記歌唱採点機能により歌唱採点が行われている任意のカラオケ楽曲について、前記演奏中止機能により演奏が中止された場合に、少なくとも、当該カラオケ楽曲の楽曲IDと、採点済区間データと、採点済区間のそれぞれの採点値と、を紐付けして記録し、
前記採点機能制御手段は、前記カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、前記採点済区間については歌唱採点を行わないように制御する、
ことを特徴とする演奏中止対応カラオケ採点システム。
【請求項2】
歌詞表示制御手段をさらに備え、
前記歌詞表示制御手段は、前記カラオケ楽曲の再演奏が指示された場合には、当該カラオケ楽曲の歌詞表示において、歌唱採点を行わない採点済区間と歌唱採点を行う未採点区間とを識別可能に表示制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の演奏中止対応カラオケ採点システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−237388(P2010−237388A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84452(P2009−84452)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】