説明

潜在的な発癌性について物質を試験するための方法と装置

発癌性について物質を自動的に試験するための装置(2)であって、当該装置は、少なくとも一つのマイクロウェルプレート(1)を置くことができるプレート支持体(3)を有し;予め定められた個数のピペット(40)を持った移動可能なピペット操作ユニット(4)を有し;液体培養培地(50)を収容するある個数の容器(5)を有し、該容器(5)の個数は、ピペット操作ユニット(4)のピペット(40)の個数に対応しており;対応する個数のディッシュ(60)を置くことができるディッシュ支持体(6)を有し、各ディッシュは底部および直立した側壁部(601)を有し;ディッシュ(60)を回転させるための回転手段(63)を有し;各ディッシュ上に蓋(600)を置くための閉鎖手段(62)を有し;閉じられたディッシュ(60)を中間に介在する貯蔵庫(8)へ移送するための移送手段(64、65)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜在的な毒性(potential toxicity)について物質を試験するための方法(process、プロセス)と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
創薬の過程において、規制条件を満たすことができそうもない物質(例えば、そのような物質は、毒性があるか、さもなければ薬品開発のために好適でないと判明し得る)の更なる試験や開発への投資を回避するために、様々な試験が行われている。創薬の過程の非常に早い段階におけるそれらの試験の一つは、いわゆる「エームス試験」である。
【0003】
本質的には、エームス試験は、ある物質が変異原性であるかどうかを決定するための試験であり、(エームス試験で使用された細菌に対して)変異原性である物質は発癌性でもあると判明し得るという仮定に基づいている。実際には、癌を惹起する一部の物質はエームス試験で陽性を与えない(逆の場合もある)が、この試験の簡単さと低コスト性のために、潜在的な発癌性について物質をスクリーニングするプロセスにおいてエームス試験は非常に推奨されている。
【0004】
エームス試験で使用される各細菌(サルモネラ株)は、欠陥(変異)遺伝子を有しており、それにより培養培地中の成分からアミノ酸であるヒスチジンを合成できないため、ヒスチジンを欠いた培養培地では増殖できない。しかしながら、一部の種類の変異は、回復(復帰変異;back mutation)されて遺伝子がその機能を取り戻すことがあり得る。これらの復帰変異体は、従って、ヒスチジンを欠いた培養培地で増殖できる。
【0005】
多くの物質は、それ自体は変異原性(または発癌性)でないが、生体内で代謝されたときに変異原(または発癌物質)に変換される。これが、エームス試験が肝酵素も含む理由である。肝酵素が添加されていない、ヒスチジンを欠いた培養培地で細菌が増殖する場合、その物質自体が変異原性である。肝酵素が添加されていなければそのような細菌増殖が起こらないが、肝酵素が添加されていればそれが起こる場合、その物質の代謝産物が変異原性である。いずれの場合も、その物質は、更なる試験または薬品の開発において更なる検討が為されない。既に述べたように、エームス試験は、その簡単さ、低コスト性、そして該エームス試験で発癌性とされた物質(またはその代謝産物)が実際に発癌性である可能性が高いことにより、創薬過程において通常的に用いられている。加えて、一部の国では、エームス試験を行ったということが規則の要件となっており、薬品を市場に入れるための許可を後に得るためにはそれに従わなければならない。
【0006】
上記の理由のため、エームス試験は、創薬過程において十分に確立された試験である。しかしながら、近年は、非常に多数の物質がごく少量で自動的に合成されるため、試験は、非常に効率的な様式で、そしてこれらの少量の物質を用いて、行われる必要がある。典型的には、これらの物質は、マイクロウェルプレート(例えば、96個のマイクロウェルを有するマイクロウェルプレート)において様々に異なる希釈濃度で提供される。しかしながら、これらの物質の試験、または、少なくともその一部の必須の工程(ステップ)は、今でもなお、かなりの程度が手動で行われている。
【0007】
従って、エームス試験を効率的かつ自動的に行うための方法(プロセス)と装置が必要とされており、好ましくは、該方法および該装置は、マイクロウェルプレート、ペトリ皿、標準的なピペットなどの標準的な研究室設備を用いるのに好適なものであるべきである。それにより、異なる濃度の多数の被検物質ということを考慮して、エームス試験の効率性が大幅に向上され得る。また、必要とされる被検物質が少量のみであるべきである。
【発明の概要】
【0008】
このことを達成するために、本発明は、方法に関する独立請求項の特徴部により特定された方法を提案する。本発明による方法の更なる実施形態は、該方法に関する従属請求項の主題である。
【0009】
本発明によれば、潜在的な発癌性について物質を自動的に試験するための方法(プロセス)は、
複数の物質/サルモネラ混合物(物質/サルモネラ混合物が複数である意)を、マイクロウェルプレートの複数のウェル(wells)中に提供する工程(ステップ)を有し、
予め定められた個数のピペットをマイクロウェルプレートの前記複数のウェルに向けて移動させる工程を有し、
マイクロウェルプレートの前記ウェル中に収容された各々の物質/サルモネラ混合物の所定の量を、複数のピペット中に吸い取る工程を有し、
吸い取った物質/サルモネラ混合物を有する前記ピペットを、液体培養培地が収容された対応する個数の容器へ移動させる工程を有し、
所定の量の液体培養培地を前記ピペット中に吸い取り、それを各々の吸い取った物質/サルモネラ混合物と混合する工程を有し、
吸い取った物質/サルモネラ混合物と培養培地とを有する前記ピペットを、それ対応する個数のディッシュ(さら)へ移動させる工程を有し、各ディッシュは、底部と、該底部を取り囲む直立した側壁部とを有し、かつ、該ディッシュの底部上には固形培養培地が配置されており、
物質/サルモネラと培養培地との混合物の各々を、前記ピペットからそれらに関連付けられたディッシュ中へと分注する工程を有し、
前記ディッシュを回転させて、それらディッシュ中に分注された物質/サルモネラと液体培養培地との混合物にて、各ディッシュ中の固形培養培地に回転コーティング(スピンコーティング)を行う工程を有し、
前記ディッシュの回転を停止させて、前記の分注された混合物にて、各ディッシュ中の固形培養培地の表面全体に、物質/サルモネラおよび液体培養培地の均一な層を形成させる工程を有し、
前記ディッシュを各蓋により閉じる工程を有し、
閉じられたディッシュを、予め定められた期間、予め定められた条件下でインキュベートする工程を有し、かつ、
ディッシュ中のサルモネラコロニーの個数を数え、それにより前記物質が潜在的に発癌性であるか否かを決定する工程を有する。
【0010】
この方法は、エームス試験を自動的に行うため、および当該試験を行う効率を向上させるために特に好適である。自動的に行われるエームス試験により、比較的短時間のうちに多数の物質/サルモネラ混合物を処理することが可能となるからである。また、例えば、標準的な96ウェルマイクロウェルプレートなどの標準的な研究室設備を使用することも可能であり、プレートのウェル中に、試験される物質/サルモネラ混合物を、ほんの少量、該物質が混合物中に異なる濃度で含有されているようにして提供することができる。加えて、必須ではないが、標準的なペトリ皿を使用することが可能であり、該ペトリ皿中には寒天などの固形培養培地のディスクが配置される。ディッシュ中での固形培養培地(寒天)の回転コーティングは、先ず、物質/サルモネラ混合物を固形培養培地上に分注した後にディッシュを回転させ、次いでディッシュの回転を停止させることにより達成され、該回転コーティングにより、固形培養培地上に混合物の均一な層が生じる。ディッシュを蓋で閉じた後、そして予め定められたインキュベーション期間の後、サルモネラコロニーの個数のカウントを容易かつ確実に行うことができる。
【0011】
本発明による方法の一変形版(バリアント)では、試験される複数の物質/サルモネラ混合物をマイクロウェルプレートの前記ウェル(wells)中に提供する前記工程が、
予め定められた個数の、異なる希釈度の、試験される各物質を用意することを有し、
前記の異なる希釈度の物質をマイクロウェルプレートの異なるウェル中に入れることを有し、
サルモネラ株を前記の異なる希釈度の各物質に混合し、前記の試験される物質を異なる希釈度で含有する、物質/サルモネラ混合物を取得することを有し、かつ、
マイクロウェルプレートの異なるウェル中のこれらの異なる希釈度の物質/サルモネラ混合物を提供することを有する。
【0012】
この変形版は、好ましくは一つの同一のマイクロウェルプレートの異なるウェル中において、それぞれ物質/サルモネラ混合物の形態になっている異なる濃度の試験される物質を、オートマチック処理のためにマイクロウェルプレートが提供される場所から離れた場所で用意することができるという点で有利である。マイクロウェルプレート全体が用意されたら、該プレートは、該プレートが自動的に処理され得る場所に直接送り込まれるか、あるいは、中間に介在する貯蔵庫(intermediate storage)に貯蔵されて、そこから処理のために自動的に送り込まれることもできる。
【0013】
本発明による方法のこの変形版の更なる実施形態では、複数の物質/サルモネラ混合物を提供する前記工程が、更に、前記サルモネラ株を混合する前に、前記の異なる希釈度の各物質に液体形態で肝酵素を添加することを有する。当該方法のこの実施形態は、物質それ自体(または各々の物質/サルモネラ混合物)についてエームス試験を行うのに加えて、物質の潜在的な代謝産物(それらは肝酵素により得られるものである)についてもエームス試験が行われるため、物質それ自体およびその潜在的な代謝産物の両方が自動的にエームス試験に供されるという点で、有利である。代替的には、適当であれば、肝酵素の代わりに緩衝液を添加することができるが、この場合、エームス試験に供されるのは、任意のその代謝産物よりむしろ、物質それ自体である。
【0014】
本発明による方法の更なる変形版では、前記の物質/サルモネラおよび培養培地の混合物をピペットからそれに関連付けられたディッシュ中に分注することに先立って、各ディッシュ中に配置された各固形培養培地が加熱される。この予めの加熱により、各々のディッシュ中に配置された固形培養培地(例、寒天)の親水性が増加し、ひいては更に、分注された物質/サルモネラ混合物の層の均一な形成が改善される。例としては、各ディッシュ中に配置された固形培養培地の加熱は、IR放射線(InfraRed;赤外線)を用いて行うことができる。
【0015】
本発明による方法の更なる変形版では、所定の量の液体培養培地をピペット中に吸い取り、それを前記の各々の吸い取った物質/サルモネラ混合物と混合する前記工程が、前記の吸い取った物質/サルモネラ混合物と液体培養培地との混合を行うために、ピペット中に空気を吸引することを有する。空気の吸引により、液体培養培地(例、軟寒天)との物質/サルモネラ混合物の良好な混合が達成される。
【0016】
本発明による、潜在的な発癌性について物質を自動的に試験するための装置に関しては、この装置は、
プレート支持体を有し、前記プレート支持体上には少なくとも一つのマイクロウェルプレートを置くことができ、前記マイクロウェルプレートは、プレートの各ウェル中に複数の物質/サルモネラ混合物または複数の物質/サルモネラ/肝酵素混合物を有するものであり、
移動可能なピペット操作(ピペッティング)ユニットを有し、該ピペット操作ユニットは予め定められた個数のピペットを有しており、
液体培養培地を収容するある個数の容器を有し、該容器のその個数は、ピペット操作ユニットのピペットの個数に対応しており、
ディッシュ支持体を有し、該ディッシュ支持体上には、対応する個数のディッシュを置くことができ、各ディッシュは、底部と、該底部を取り囲む直立した側壁部とを有し、かつ、該ディッシュの底部上には固形培養培地が配置されており、
前記ディッシュを回転させるための回転手段を有し、
前記の各ディッシュを閉じるために、各ディッシュ上に蓋を置くための閉鎖手段を有し、
閉じられたディッシュを中間に介在する貯蔵庫へ移送するための移送手段(transport means)を有し、前記の中間に介在する貯蔵庫は、複数の閉じられたディッシュをインキュベーター(培養器)に送り込むために、それらディッシュを収集できるものである。
【0017】
このような装置により、例えば標準的な96ウェルマイクロウェルプレートなどの標準的な研究室設備を使用して比較的短時間のうちに多数のエームス試験を自動的に行うことが可能となり、プレートのウェル中に、ほんの少量の被検物質を、肝酵素と共にまたは肝酵素なしで、異なる濃度で提供することができる。マイクロウェルプレートは、明確に定められた場所に配置されたプレート支持体上に提供されるため、異なる96ウェルマイクロウェルプレートが常に同じ場所に提供される。移動可能なピペット操作ユニットは、96個の異なるウェルを有するマイクロウェルプレートが提供されたプレート支持体の場所へ、自動的に移動されることができる。ピペット操作ユニットは、予め定められた個数のピペットを有し、かつ、対応する個数のウェルから、対応する数の、物質/サルモネラ混合物、または、物質/サルモネラ/肝酵素混合物を、それぞれ自動的に吸い取ることができ、次いで、それぞれ液体培養培地(例、軟寒天)を収容する対応する個数の容器に向けてピペットを移動させる。ピペット操作ユニットはその後、予め定められた量の液体培養培地を吸引し、吸い取った物質/サルモネラ混合物との、または、吸い取った物質/サルモネラ/肝酵素混合物との混合物が作製される。培養培地を吸い取った後、移動可能なピペット操作ユニットはディッシュ支持体に向けて移動する。ディッシュ支持体では、ディッシュの底部上に配置された固形培養培地(例、寒天)のディスクをそれぞれ収容する、対応する個数のディッシュ(例、ペトリ皿)が待機している。次に、ピペット中に収容された混合物が各回転ディッシュ中に分注される。分注された各液体混合物に作用する遠心力により、混合物は、ディッシュの底部を取り囲む直立した側壁部に押し付けられる。次に回転を停止して、液体混合物を固形培養培地上に均等に分布させ、それにより、均一に分布した膜を形成させる。この膜が形成されたら、閉鎖ユニットが蓋をディッシュ上に置き、閉じられたディッシュはその後、中間に介在する貯蔵庫に向けて移送される。中間に介在する貯蔵庫は、複数のそのようなディッシュを貯蔵することができる。中間に介在する貯蔵庫が全て満たされたら、それをインキュベーターに送り込むことができる。あらかじめ定められたインキュベーション期間の後、サルモネラコロニーの個数のカウントを容易かつ確実に行うことができる。
【0018】
本発明による装置の一つの実施形態は、更に、加熱手段を有し、該加熱手段は、ディッシュ支持体上の各ディッシュ中に配置された各固形培養培地の上方に位置することができる。既に上記したように、これらの加熱手段は、固形培養培地(例、寒天)を一時的に加熱してその親水性を増加させるために使用できる。この装置の特定の実施形態では、前記加熱手段が、ある個数のIR加熱器を有し、該IR加熱器のその個数は、ディッシュ支持体上に同時に配置できるディッシュの個数に対応している。
【0019】
本発明による装置の更なる実施形態では、前記ピペット操作ユニットのピペットが、プレート支持体の平面の法線に対してある傾斜角度で配置されており、隣り合って配置されるピペット同士が、前記法線について互いに逆の傾斜で配置されている。この実施形態は、次の場合に特に有利であって、それは、前述の96ウェルマイクロウェルプレートといった標準的なマイクロウェルプレートを用い、それといっしょに関連付けて、非常に小さい直径を有する先端部を有しつつ円錐状に直径が増加する標準的なピペットチップ、例えば5ml(または更に大きい)の標準的なピペットチップを用いる場合である。このようなマイクロウェルプレートの隣り合ったウェル同士の空間的距離は小さいため、このようなマイクロウェルプレートの隣り合って配置されたウェルにピペットチップが導入される場合には、隣り合って配置されたピペット同士が衝突してしまうため、プレート支持体の平面に対して垂直にこれらの標準的なピペットを配置することはできない。しかしながら、隣り合った標準的なピペットチップが、互いに逆の傾斜でプレート支持体の平面の法線について傾斜して配置されている場合(例えば、一つのピペットチップが前記法線に対して正の角度で傾斜して配置されており、隣り合ったピペットチップが前記法線に対して負の角度で傾斜している場合など)、標準的なピペットチップおよび96ウェルマイクロウェルプレートを使用することが可能であり、かつ、それと同時(sime time)に、隣り合って配置されたピペットチップを、衝突させることなく、マイクロウェルプレートの隣り合って配置されたウェルに導入することが可能である。前記の傾斜の角度は、前記法線に対して最大10゜の範囲内であってよく、とりわけ、前記法線に対して約7.5゜であってよい。
【0020】
本発明による装置の更なる実施形態では、前記ピペット操作ユニットが、スペーシング手段(間隔をあける手段)を有し、該スペーシング手段は、ピペットを互いの方へ向かうようにおよび互いから離れるように横方向に移動させるためのものである。これらのスペーシング手段により、ピペットが、マイクロウェルプレートの隣り合ったウェルから、物質/サルモネラ混合物を、または、物質/サルモネラ/肝酵素混合物を吸い取る位置において、互いに対して非常に近接して配置されることが可能となり、かつ、ピペットを互いから離れるように移動させて、その後、液体培養培地(例、軟寒天)を収容する容器中にピペットを導入することができるようになる。これが実行された際には、それらを互いから更に離れるように、または、互いに更に近付けるように移動させることも、ディッシュ支持体上のディッシュの中心間の空間的距離に応じて可能である。装置のこの実施形態の一つの特定の変形版では、前記スペーシング手段が、固定の歯車伝達比(fixed gear transmission ratio)、を持った歯車を有し、それは、隣り合ったピペット同士の間の距離の比が常に一定であり続けるようになっているものであってよい。これは、技術的観点から単純な実施形態である。
【0021】
本発明による装置の更なる実施形態によれば、ピペットがディスポーザブル(使い捨て)ピペットである。各ピペットが1回だけ使用され得るため、相互汚染(クロス・コンタミネーション)または物質の混合が生じ得ないという点で、これは有利である。
【0022】
本発明の更なる有利な態様は、本発明の実施形態の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明による方法の一つの変形版の、必須の工程の模式的説明を示す。
【図2】図2は、本発明による装置の一実施形態の斜視図を示す。
【図3】図3は、図2の装置の実施形態の詳細を示しており、ピペットが、液体培養培地を収容する容器の近くに配置されている。
【図4】図4は、図2の装置の実施形態の詳細を示しており、ディッシュ支持体中のディッシュの上方のポジションにあるIR加熱器を示している。
【図5】図5は、図2の装置の実施形態の詳細を示しており、ディッシュ支持体中のディッシュの上方の分注用ポジションにあるピペットを示している。
【図6】図6は、ピペットを担持する移動可能なピペット操作ユニットを示している。
【図7】図7は、移動可能なピペット操作ユニットの詳細を示しており、固定の歯車伝達比を有する歯車のある実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による方法のいくつかの必須の工程が図1に示されている。標準的な96ウェルマイクロプレート1が示されており、それらのうち、縦5列および横12列に配置された60個のウェルのみがこの実施形態では使用されている。しかしながら、これは、本明細書中で更に以下において詳細に説明される装置に対応する実施形態が、対応する個数である5つのピペットを備えているからに過ぎない。当然ながら、別の縦列数のマイクロウェルプレート1を使用することが可能であり、特に、このような標準的なマイクロウェルプレート1の96ウェル全てを使用すること、および、該装置において、対応する個数である8つのピペットを備えることが可能である。
【0025】
最初の工程S1では、異なる物質または化合物の希釈物が用意されて、それがマイクロウェルプレート1のウェル10中に導入される。これは、本発明による装置から離れた場所で手動で行うことができるが、当該装置の外側ハウジングの内部において行うこともできる。
【0026】
次の工程S2は、試験されるのが、物質または化合物それ自体ではなく、任意のその潜在的な代謝産物である場合にのみ行われる。この工程S2は、予め定められた量の肝酵素混合物を、マイクロウェルプレート1の各ウェル10中に分注することを有する。物質それ自体が試験される場合には、予め定められた量の緩衝溶液を、マイクロプレート1の各ウェル10中に分注することも可能である。
【0027】
次の工程S3は、マイクロウェルプレート1のウェル10中に収容された物質または化合物(あるいは、それぞれ肝酵素または緩衝溶液とのそれらの混合物)の写真をキャプチャー(取得)し、分析するものである。物質または化合物が沈殿する場合には、細菌株により吸収されることができず、これは物質または化合物が溶液中に存在する場合にのみ起こり得る。従って、沈殿が生じる場合には、そこに収容される物質は試験できない。
【0028】
次の工程S4は、予め定められた量の細菌の溶液(例えば、サルモネラ株を含有する溶液など)を、マイクロウェルプレート1の各ウェル10中に分注することを有する。
【0029】
工程S5では、このようにして用意されたマイクロウェルプレート1(そのウェル10中に物質/サルモネラ混合物(または各々の物質/サルモネラ/肝酵素混合物)を収容している)が、予め定められた期間、予め定められた条件下でインキュベートされる(その期間の間、振とうされてもよい)。その後、物質/サルモネラ混合物(または各々の物質/サルモネラ/肝酵素混合物)は、本発明の装置による自動的なエームス試験に供される用意ができた状態となる。当該装置の実施形態は、更に以下で説明される。
【0030】
次の工程S6では、ある個数のピペット40(実施形態では、5つのピペットを記載しており、そのうちの一つのピペット40のみが図1に示されている)がマイクロウェルプレート1のウェル10に向けて移動させられる。そして、ウェル中に収容された所定の量の物質/サルモネラ混合物が、吸引により各ピペット40中に吸い取られる。
【0031】
次の工程S7では、吸い取った物質/サルモネラ混合物を持ったピペット40が、対応する個数の容器へ移動させられ、該容器において、所定の量の液体培養培地50(例えば、温かい軟寒天溶液など)が吸引によりピペット40中に吸い取られる。また、物質/サルモネラ混合物と液体培養培地との良好な混合を達成するために、いくらかの空気もまた吸引されてよい。次いで、物質/サルモネラ/培養培地の混合物を持ったピペット40は、対応する個数のディッシュ60(この実施形態では5個のディッシュであり、それらのうちの1つのディッシュ60のみが図1に示されている)へ移動させられる。
【0032】
ディッシュ60は、各ディッシュの底部上に配置された、実質的に固体の培養培地(寒天ディスク61など)を収容する。記載している実施形態でのディッシュ60は、標準的なペトリ皿である。ピペット40中に収容された混合物を各ディッシュ60中に分注する直前に、寒天ディスクの親水性を増加させるために、工程S8においてIR放射器(IR-radiator)により寒天ディスク61は加熱される。
【0033】
その後、工程S9において、ピペット40中に収容された混合物が、各ディッシュ60の中央に分注される。次いで、分注された混合物により固形寒天ディスク61をコーティングするために、矢印によって示されるように時計回りまたは反時計回りのいずれかにペトリ皿を回転させる。その後、回転が停止され、均一の膜を固形寒天ディスク61上に形成させる。
【0034】
工程S10では、蓋がペトリ皿上に置かれた後、ペトリ皿が、予め定められた期間、予め定められた条件下でインキュベートされる。その後、工程S11において、成長したサルモネラコロニーの個数が各ペトリ皿60中でカウントされる。コロニーが成長していない場合、または、予め定められた閾値となる数よりも少ない個数のコロニーしか成長していない場合、物質またはその代謝産物はそれぞれ、エームス試験に合格である。
【0035】
図2は、本発明による装置2の実施形態を斜視図で示している(外側ハウジングは無し)。装置2は、プレート支持体3(マイクロウェルプレート1を置くことができる)、移動可能なピペット操作ユニット4(予め定められた個数(この実施形態では5つ)のピペット40を有する)、対応する個数の容器5(軟寒天などの液体培養培地50(図1を参照)をそれぞれ収容する)、およびディッシュ支持体6(5つのペトリ皿60を置くことができる)を有する。また、ペトリ皿用の中間に介在する貯蔵庫8、および、未使用のペトリ皿を提供するための、円柱状のカルーセル(caroussel、回転棚)の形態になっているマガジン(格納庫)9を図2に見ることができる。
【0036】
図3は、図2の装置2の実施形態の詳細を示しており、ピペット操作ユニット4のピペット40が、液体培養培地を収容する容器5の近くに配置されている。容器5は、ハウジング51内に配置されており、該ハウジング51には、更に以下で説明されるように、受け皿(pan)52が、使用されたピペット40を回収するために取り付けられている。図3では、ある個数の吸引カップ62を見ることができる。各ペトリ皿60が、ペトリ皿60を回転させるための各駆動装置(drive)63上の位置に到達したら、吸引カップ62が下降する。図3の右下の端に見られるように、ペトリ皿60は、蓋600が閉じられた状態で提供される。ディッシュ60は、各駆動装置63上の位置に移動し、その位置において吸引カップ62が各蓋600へ下降して吸引が行われる。その後、吸引カップ62はそれらに付いた各蓋600と共に再び上昇し、それによりペトリ皿60(蓋を有しない)の底部上に配置されている寒天ディスク61(図1を参照)が露出する。
【0037】
図4では、各駆動装置63上にある、蓋を有しない一つのペトリ皿60が示されており、該駆動装置は上昇した位置にある。加熱ユニット7は、反射器(リフレクター)71を持ったある個数のIR加熱器70(ディッシュ支持体6上に在り得るペトリ皿60の個数に対応している)を有しており、開いたディッシュの上方にIR加熱器70が配置されるポジションまで、加熱ユニット7が移動している。次いで、各寒天ディスクの親水性を増加させるために、IR加熱器70がIR放射線(IR-radiation)でそれらを照射する。その後、加熱ユニット7は、後方へ移動して離れる。
【0038】
次に、図5に示されるように、ピペット40の先端部が予熱された寒天ディスク61を収容するペトリ皿60上の中央に配置される位置へ、ピペット40を有するピペット操作ユニット4が移動される。次いで、ピペット40中に収容された混合物が寒天ディスクの中央に分注される。その後、駆動装置63がディスクを回転させ、それにより、遠心力が混合物に作用して、各ペトリ皿60の外周にわたる直立した側壁部601に対して混合物を押し付ける。予め定められた期間(例えば1〜2秒)ペトリ皿を回転させた後、回転を停止させて、分注された混合物を中心に向けて逆流させ、それにより、各寒天ディスク上に均一なコーティングを形成させる。次に、蓋600を吸引カップ62(図3を参照)によりディッシュの上に戻し、それによりペトリ皿を再び閉じる。次に、閉じられたペトリ皿60は、好適な移送手段によって送り領域(feed area)に移送される。該送り領域は、ラックの形態の中間に介在する貯蔵庫8へとペトリ皿60を送ることができる。
【0039】
移送手段は、横方向に配置された2つのベルトを有してもよく、それらベルトは、ペトリ皿60を、ディッシュ支持体6(図2を参照)に沿って、左方へ、持ち上げ要素(lifting member)64、および、移し替え手段(transfer means)65に向けて移動させるためのものである。該移し替え手段65は、支持面(bearing surface)650を有し、該支持面上にペトリ皿60が静止することができる。
【0040】
持ち上げ要素64は、ペトリ皿60を移し替え手段65の高さまで持ち上げ、該移し替え手段は、各持ち上げ要素64の左手および右手の側方において移動して出る。次に、該持ち上げ要素64は再び下降し、ペトリ皿60は、該移し替え手段65の支持面650上に静止する。移し替え手段65はその後、元の位置に再び戻される(図4)。次のペトリ皿60が同様にして回収され、それにより、以前に回収されたペトリ皿60は、新たに来る皿により、一つのポジションだけ後方にシフトされる。移し替え手段65がラック8の段数と等しい個数のペトリ皿60を保持するまで、この手順が繰り返されることが好ましい。
【0041】
ペトリ皿60は、ラック8中に下方から導入される。ラック8がペトリ皿60で完全に満たされたら、ラック8は、予め定められた期間(例、2日間)、予め定められた条件下(例、37℃の温度)のインキュベーター(示していない)に送り込むことができる。その後、インキュベート期間中に成長したサルモネラ株のコロニーの数がカウントされ、そしてそれに基づいて前記物質およびその代謝産物がエームス試験に合格したかどうかが決定される。従って、各被検物質について、物質それ自体およびその潜在的な代謝産物がエームス試験に供されることが重要である。ピペット40中に収容された物質の分注が行われたら、ピペット操作ユニット4は回収用受け皿52の方へ戻される。使用されるピペット40はディスポーザブルピペット40であることが好ましいため、一回の使用後、使用されたピペットは回収用受け皿52に挿入され、新たなピペットがピペット操作ユニット4に取り付けられる。ディスポーザブルピペット40は、好適な(不活性の)プラスチック材料から作られていることが好ましい。
【0042】
図6には、ピペット操作ユニット4がより詳細に示されている。小さな距離においてのみ互いから離れているマイクロウェルプレート1のウェル10中にピペット40を導入する必要があるときには、標準的なピペットでは衝突してしまう可能性があることが上記の装置の説明から明らかである。ピペットの先端部400は、ウェル10中に容易に挿入され得る小さい直径を有するのみであるが、ピペットの直径は円錐状に増加する。衝突を回避するために、ピペット40は、プレート支持体3の平面への法線に対してある傾斜角度αで配置されている。隣り合って配置されたピペット40は、衝突を回避するために、互いに反対の傾斜α、−αにて配置されている。傾斜の角度αまたは−αの絶対値は、それぞれ、前記法線に対して最大10゜の範囲内であることが好ましく、例えば7.5゜であってよい。
【0043】
また、装置2の説明から明らかなように、ピペット40は、マイクロウェルプレート1の隣り合って配置されたウェル10に導入されるため、互いに対して非常に小さい距離で配置される必要がある一方、容器5中に導入される必要があるときには、互いに対してより大きな距離となるよう、互いから離れる必要がある。また、各々の開いたペトリ皿60の上に適切に位置するために、互いから更に離れる必要がある。ピペット40のこの動きは、スペーシング機構(間隔を置いて配置する機構)41により達成でき、その一実施形態が図6に示されており、また、詳細部VIIを拡大した図が図7に示されている。スペーシング機構41は、2つのベルト410、411を有し、それらは2つのハブ(hub)412、413を周って係合するようにガイドされている。2つのハブ412、413のうちの一方は、電気的に駆動され得る。各ハブ412、413は、それぞれ2つのハブ部分414、415を有しており、一つのハブ部分414はより大きな直径を有し、他方のハブ部分415はより小さい直径を有する。5つのピペット40のうちの中央のピペットは、ベルト410、411のいずれにも取り付けられておらず、一方、中央のピペットのすぐ隣りの2つのピペット40は、ベルト411(これは、より小さい直径を有するハブ部分415を周ってガイドされている)に取り付けられており、一つのピペット40はベルト411の上側部分に取り付けられており、他のピペット40は下側部分に取り付けられている。従って、ベルト411がガイドされる方向に応じて、ピペット40は、互いの方へ向かうか、または互いから離れるように移動する。同様の考慮が、最も外側のピペット40にも当てはまる。最も外側のピペット40は共にベルト410(これは、より大きい直径を有するハブ部分414を周ってガイドされている)に取り付けられており、ピペット40の一つはベルト410の上側部分に取り付けられており、他のピペットは下側部分に取り付けられている。ハブ部分413および414の直径の比を選択することにより、固定の歯車伝達比(例えば、2:1、3:1、またはその他何でも)を達成できる。
【0044】
本発明による装置および方法の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明の一般的教示から離れることなく、様々な変更が為され得ることは当業者に明らかである。従って、保護の範囲は、記載された実施形態に限定されることは意図されず、むしろ、添付の特許請求の範囲により定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜在的な発癌性について物質を自動的に試験するための方法であって、当該方法は、
複数の物質/サルモネラ混合物をマイクロウェルプレート(1)の複数のウェル(10)中に提供する工程を有し、
予め定められた個数のピペット(40)を、マイクロウェルプレート(1)の前記複数のウェル(10)に向けて移動させる工程を有し、
マイクロウェルプレート(1)の前記ウェル(10)中に収容された各々の物質/サルモネラ混合物の所定の量を、複数のピペット(40)中に吸い取る工程を有し、
吸い取った物質/サルモネラ混合物を有する前記ピペット(40)を、液体培養培地(50)が収容された対応する個数の容器(5)へ移動させる工程を有し、
所定の量の液体培養培地(50)を前記ピペット(40)中に吸い取り、それを各々の吸い取った物質/サルモネラ混合物と混合する工程を有し、
吸い取った物質/サルモネラ混合物と培養培地とを有する前記ピペット(40)を、それに対応する個数のディッシュ(60)へ移動させる工程を有し、各ディッシュ(60)は、底部と、該底部を取り囲む直立した側壁部(601)とを有し、かつ、該ディッシュ(60)の底部上には固形培養培地(61)が配置されており、
物質/サルモネラと培養培地との混合物の各々を、前記ピペット(40)からそれらに関連付けられたディッシュ(60)中へと分注する工程を有し、
前記ディッシュ(60)を回転させて、それらディッシュ中に分注された物質/サルモネラと液体培養培地との混合物にて、各ディッシュ中の固形培養培地(61)に回転コーティングを行う工程を有し、
前記ディッシュ(60)の回転を停止させて、前記の分注された混合物にて、各ディッシュ(60)中の固形培養培地(61)の表面全体に、物質/サルモネラおよび液体培養培地の均一な層を形成させる工程を有し、
前記ディッシュを各蓋(600)によって閉じる工程を有し、
閉じられたディッシュ(60)を、予め定められた期間、予め定められた条件下でインキュベートする工程を有し、かつ、
前記ディッシュ(60)中のサルモネラコロニーの個数を数え、それにより前記物質が潜在的に発癌性であるか否かを決定する工程を有する、
前記方法。
【請求項2】
試験される複数の物質/サルモネラ混合物をマイクロウェルプレートの前記ウェル中に提供する前記工程が、
予め定められた個数の、異なる希釈度の、試験される各物質を用意することを有し、
前記の異なる希釈度の物質をマイクロウェルプレート(1)の異なるウェル(10)中に入れることを有し、
サルモネラ株を前記の異なる希釈度の各物質に混合し、前記の試験される物質を異なる希釈度で含有する、物質/サルモネラ混合物を取得することを有し、かつ、
マイクロウェルプレート(1)の異なるウェル(10)中のこれらの異なる希釈度の物質/サルモネラ混合物を提供することを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の物質/サルモネラ混合物を提供する前記工程が、更に、前記サルモネラ株を混合する前に、前記の異なる希釈度の各物質に、液体の形態になっている肝酵素を添加することを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の物質/サルモネラおよび培養培地の混合物をピペット(40)からそれに関連付けられたディッシュ(60)中に分注することに先立って、各ディッシュ(60)中に配置された各固形培養培地(61)が加熱される、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
各ディッシュ(60)中に配置された固形培養培地(61)の加熱が、IR放射線を用いて行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
所定の量の液体培養培地(50)をピペット(40)中に吸い取り、それを前記の各々の吸い取った物質/サルモネラ混合物と混合する前記工程が、前記の吸い取った物質/サルモネラ混合物と液体培養培地(50)との混合を行うために、ピペット(40)中に空気を吸引することを有する、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
潜在的な発癌性について物質を自動的に試験するための装置(2)であって、当該装置は、
プレート支持体(3)を有し、該プレート支持体上には少なくとも一つのマイクロウェルプレート(1)を置くことができ、該マイクロウェルプレート(1)は、該プレート(1)の各ウェル(10)中に複数の物質/サルモネラ混合物または複数の物質/サルモネラ/肝酵素混合物を有するものであり、
移動可動なピペット操作ユニット(4)を有し、該ピペット操作ユニットは予め定められた個数のピペット(40)を有しており、
液体培養培地(50)を収容するある個数の容器(5)を有し、該容器(5)のその個数は、ピペット操作ユニット(4)のピペット(40)の個数に対応しており、
ディッシュ支持体(6)を有し、該ディッシュ支持体上には、対応する個数のディッシュ(60)を置くことができ、各ディッシュ(60)は、底部と、該底部を取り囲む直立した側壁部(601)とを有し、かつ、該ディッシュ(60)の底部上には固形培養培地(61)が配置されており、
前記ディッシュ(60)を回転させるための回転手段(63)を有し、
前記の各ディッシュ(60)を閉じるために、各ディッシュ上に蓋(600)を置くための閉鎖手段(62)を有し、
閉じられたディッシュ(60)を中間に介在する貯蔵庫(8)へ移送するための移送手段(64、65)を有し、前記の中間に介在する貯蔵庫(8)は、複数の閉じられたディッシュ(60)をインキュベーターに送り込むために、それらディッシュを収集できるものである、
前記装置(2)。
【請求項8】
加熱手段(7)を更に有し、該加熱手段は、ディッシュ支持体(6)上の各ディッシュ(60)中に配置された各固形培養培地(61)の上方に位置することができる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記加熱手段(7)が、ある個数のIR加熱器(70、71)を有し、該IR加熱器のその個数は、ディッシュ支持体(6)上に同時に配置できるディッシュ(60)の個数に対応している、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ピペット操作ユニット(4)のピペット(40)が、プレート支持体(3)の平面の法線に対してある傾斜角度(α、−α)で配置されており、隣り合って配置されるピペット(40)同士が、前記法線について互いに逆の傾斜(α、−α)にて配置されている、請求項7〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
角度(α、−α)が、前記法線に対して最大10゜の範囲内であり、とりわけ、前記法線に対して約7.5゜である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ピペット操作ユニット(4)が、ピペット(40)を互いの方へ向かうようにおよび互いから離れるように横方向に移動させるためのスペーシング手段(41)を有する、請求項7〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
スペーシング手段(41)が、固定の歯車伝達比を持った歯車(410、411、412、413、414、415)を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
ピペット(40)がディスポーザブルピペット(40)である、請求項7〜13のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−520664(P2012−520664A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500268(P2012−500268)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053605
【国際公開番号】WO2010/106162
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】