説明

潜熱蓄熱材マット及びこれを用いた蓄熱装置

【課題】潜熱蓄熱材の使用状態を改善して、その凝固時の過冷却度を軽減する手段を提供する。
【解決手段】プラスチック製の平らなケ−ス内に潜熱蓄熱材を封入してなる潜熱蓄熱材マットにおいて、該マットの平均厚みを10mm以下にし、及び/又は前記ケ−スを複数の区画に分割して各区画に充填された潜熱蓄熱材の重量を100〜500gにしたことを特徴とする潜熱蓄熱材マット。また、この潜熱蓄熱材マットを用いた蓄熱装置であって、加熱対象物の下面に2〜4段に前記潜熱蓄熱材マットを積層し、その下に電熱面状ヒーターを配し、さらにその下側を断熱材層で被覆し、各マット間にほぼその全面を覆うように伝熱促進用のアルミ薄板又はアルミ箔を挿入したことを特徴とする蓄熱装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱蓄熱材を樹脂シートの袋体又は箱体内に収容した潜熱蓄熱材マットに関し、とくに、その構造により潜熱蓄熱材凝固時の過冷却を防止し得るために、床暖房に用いるのに好適な潜熱蓄熱材マットとこれを用いた蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
50℃以下のて低温の熱を利用するシステムにおいては、潜熱蓄熱材が用いられることが多い。かかるシステムの代表的なものとして、床暖房や屋根の融雪システムがあげられるが、その他にも、太陽熱の蓄熱手段や、温室の温度変動防止手段として潜熱蓄熱材が汎用されている。後者は、温室暖房の熱源が過剰な場合に、その一部を潜熱蓄熱材の蓄熱して熱経済性を高めるとともに、温室内の温度変動を極力小さくして、植物の生育への悪影響を防止しようとするものである。
【0003】
電熱式の床暖房や屋根融雪において、潜熱蓄熱材を用いる最大の目的は、安価な夜間電力を利用して、エネルギーコストを低減することにある。以下、このような夜間電力を利用する電熱蓄熱式の床暖房について、やや詳しく説明する。まず、電熱蓄熱式床暖房を行う場合の床面の構造について述べる。一般の家屋においては、通常は根太等の上にパーティクルボード等の下地床材が張られて、床面の基礎が形成されている。床暖房の場合、この下地床材の上に下から順に、断熱材層、電熱発熱体層、潜熱蓄熱材層が形成され、その上に仕上げ床材が張られる。潜熱蓄熱材層と仕上げ床材の間に、伝熱促進のためアルミ製の均熱板が挿入されることが多い。
【0004】
電熱発熱体は、電熱線を用いる場合と、面状ヒーターを用いる場合に大別される。電熱線を用いる場合、絶縁被覆した電熱発熱線を蛇行させて、床面全体に所定間隔で張り巡らせる。予め電熱線を収容した発熱体のパネルを敷き詰めるという方法を採ることが多い。一方、面状ヒーターは、導電性粉末(例えばカーボン粉)を練り込んだプラスチックシートに直接通電するもので、絶縁被覆した面状ヒーターをそのまま床面に敷設することができるため、床下の厚みを小さくすることができる。一般に、面状ヒーターはPTC(Positive Temparatura Coefficient)の自己温度制御特性を有している場合が多く、近年では安全性や施工の簡便さから、電熱発熱体として面状ヒーターが使われることが多い。
【0005】
潜熱蓄熱材は凝固潜熱の大きい物質で、種々のものがあるが、硫酸ナトリウム水和物(Na2SO4・10H2O)、酢酸ナトリウム水和物(CH3COONa・3H2O)等の無機水和物や、パラフィン等の有機物が実際に使用されている。また、潜熱蓄熱材は、通常は合成樹脂製のケ−ス内に収容して使用される。ケ−スの材質、形状も種々の態様が有り、多数のパイプを並べてケ−スとして使用することもあるが、硬質樹脂の平箱型のケ−スや軟質樹脂の袋帯状のケ−スが用いられることが多い。潜熱蓄熱材層の厚みは、単位面積当りの必要蓄熱量に依存するが、通常は15〜30mm程度のものが用いられる。
【0006】
次に夜間電力利用型の蓄熱式床暖房における通電パターンについて説明する。まず電力単価の安い深夜電力により、潜熱蓄熱材に蓄熱する。すなわち、23時頃ヒーター通電を開始し、潜熱蓄熱材を融解させて(潜熱蓄熱)、さらに所定温度まで昇温する(顕熱蓄熱)。その後、過度に昇温すると潜熱蓄熱材が劣化するので、ヒーター通電をオンオフし、蓄熱材の温度が一定になるように制御する(図10(a)参照)。
【0007】
深夜時間の終了する朝7時以降はヒーターをオフにし、蓄熱材からの放熱で暖房する。蓄熱材の顕熱及び潜熱により、10〜12間程度は床面を所定の温度以上に維持することができる。夕方以降は、蓄熱材の凝固が完了し、その温度が下がってくるので、ヒーターをオンにして床面温度を維持する。その際、潜熱蓄熱材が融解しない程度の熱量供給に留める。23時頃からヒーターの供給熱量を大きくして、深夜電力により蓄熱材へ潜熱・顕熱の蓄熱を行うというサイクルを繰り返す。
【0008】
このような加熱パターンでの電力コストについて考えてみると以下の如くになる。電力単価は、電力会社との契約によって定められるが、床暖房用の電力単価は、深夜(23時〜7時)が6円/kwH程度、昼間(10〜17時)が24円/kwH程度、朝(7〜10時)と夕方・夜(17〜23時)が20円/kwH程度である。上述の加熱パターンでは、床暖房に必要な電力消費量のうちの70〜80%を深夜電力でまかなうことができる。そのため、平均電力単価は10円/kwH程度になる。これに対して、潜熱蓄熱材を用いない場合の平均電力単価は21円/kwH以上である。
【0009】
また、上述のような加熱パターンにするために必要な潜熱蓄熱材の量を試算してみる。床暖房の必要熱量は、電力換算で0.10〜0.12kwH/m2(86〜103kcal/H・m2)である。潜熱蓄熱材が硫酸ナトリウム10水塩の場合、蓄熱量は約51kcal/kg(内潜熱分約37、顕熱分約14kcal/kg)である。暖房に必要な10時間分の熱量を蓄熱するために必要な蓄熱材の量は、18〜20kg/m2となる。蓄熱材の比重は1.3g/cm3程度であるから、上記の量の蓄熱材の層厚は15〜20mm程度になると考えられる。
【0010】
一方、屋根の融雪システムに、潜熱蓄熱材を用いる場合の屋根裏の構造は、施工方法によって若干相違する。屋根の上で施工する場合は、野地板の上に断熱材層を形成し、その上に面状電熱ヒーター配し、さらにその上に潜熱蓄熱材層を形成し、その上をトタン、瓦、スレート等の屋根材で被覆する。屋根裏から施工する場合は、野地板の下に均熱板を介して潜熱蓄熱材層を形成し、その下に電熱面状ヒーターを配し、さらにその下側を断熱材層で被覆する。
これに使用する電熱面状ヒーター、潜熱蓄熱材や夜間電力を利用する場合の通電パターン等は、床暖房の場合とほぼ同様である。
【0011】
【特許文献1】特開昭57−59981号公報
【特許文献2】特開昭60−92383号公報
【特許文献3】特公昭57−36304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、電熱式床暖房や屋根の融雪システムにおいては、潜熱蓄熱材による電力コスト低減の効果が非常に大きい。潜熱蓄熱材に蓄えられた熱をできるだけ有効に利用するためには、蓄熱材の凝固が緩やかに進行し、凝固潜熱がなるべく一定のレベルで定常的に放出されることが望ましい。しかし実際には、凝固温度以下になっても潜熱蓄熱材の凝固が始まらず、融液の温度がかなり低下してから蓄熱材の凝固が一挙に進行する、いわゆる「過冷却」の現象が起こることが多く、これが蓄熱式熱利用システムの一つの問題点となっている。
【0013】
このような過冷却の悪影響を図を用いて説明する。図10(a)は、過冷却度が小さい場合の蓄熱材の温度パターンで、ヒーターをオフにしたB点以降、蓄熱材は顕熱を放出して温度が下降し、凝固温度TSを少し下廻ったC点で蓄熱材の凝固が始まる。この際、凝固発熱により復熱して凝固材温度が若干上昇するが、その上昇の程度は小さい。その後、緩やかに凝固が進行して、少しづつ凝固熱を放出するため、凝固材温度はかなり長時間一定レベルを保ち、D点で凝固が完了した後、凝固材温度は下降し始める。凝固材温度が制御温度TCまで下がったところで、ヒーターからの通電を開始する。
【0014】
これに対して、図10(b)は、過冷却度がかなり大きい場合で、凝固温度TSまでの温度推移は図10(a)の場合と同じであるが、かなり温度が下がっても凝固が始まらないため、C点の位置がかなり後方にずれる。また、一旦凝固が始まると急激に凝固が進行して、凝固発熱が大きいため復熱のピークが大きくなる。比較的短時間で凝固が進行し放出熱が大きいため、熱損失も大きくなって、凝固完了のD点の位置が図10(a)の場合よりも前方にずれる。そのため、蓄熱材温度が制御温度TCまで下がる時間も早くなり、ヒーターの通電開始時間を早めることが必要になる。
さらに過冷却度が大きい場合には、図10(c)に示すように、蓄熱材温度が制御温度TCになっても凝固が始まらないため通電が開始され、蓄熱材は融液の状態のまま再度加熱されるようになる。この場合は、蓄熱材の顕熱のみが利用され、潜熱蓄熱材として機能していないことになる。
【0015】
従来から潜熱蓄熱材の過冷却を防止するために、種々の努力が積み重ねられてきたが、その多くは潜熱蓄熱材中に核発生剤を添加して、凝固核の生成を促進させようとするものである。例えば、硫酸ナトリウム10水塩の過冷却防止剤として、4ホウ酸ナトリウム10水塩が有効なことが旧来から知られている。また、酢酸ナトリウム3水塩の過冷却防止剤として、ピロリン酸ナトリウム(特許文献1)や、リン酸水素2ナトリウム(特許文献2)が提案されている。さらに、炭酸ナトリウム10水塩の過冷却防止剤として、粒径100μm以下の水酸化ストロンチウムや水酸化バリウム等の水和物が好適なことが報告されている(特許文献3)。しかし、本発明者らの知見によれば、かかる過冷却防止剤を添加しても、過冷却の問題を抜本的に解決することは難しく、実用上は問題が残されている。
【0016】
本発明者らは、長年に亘って、面状電熱ヒーターを用いた蓄熱式床暖房や屋根融雪システムの普及に努めてきており、上述したの過冷却現象についても種々の検討を行ってきた。その過程で、過冷却の程度は、核発生剤の有無のみならず、潜熱蓄熱材がケ−スに充填されて使用される状態(使用状態)にも強く依存することを知見した。例えば、ケ−スの厚みやケ−ス内に充填された潜熱蓄熱材の量(ロットの大きさ)等により過冷却の程度が大きく変化する。本発明はこの知見を発展させて完成されたものである。
【0017】
すなわち本発明は、50℃以下の低温熱源の熱を蓄熱する熱利用システムにおいて、潜熱蓄熱材の使用状態を改善して、その過冷却度を軽減する手段を提供することを課題としている。また、本発明は蓄熱式床暖房や屋根融雪システムにおいて、潜熱蓄熱材の使用状態を改善してその過冷却度を軽減し、これにより蓄熱された潜熱の利用効率を高め、もってエネルギーコストを低減する手段を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するための本発明の潜熱蓄熱材マットの第一は、
凝固温度が5〜50℃の潜熱蓄熱材を、プラスチック製の平らなケ−ス(軟質樹脂の袋体又は硬質樹脂の箱体)内に封入してなる潜熱蓄熱材マットであって、潜熱蓄熱材を充填した該マットの平均厚みが10mm以下であることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の潜熱蓄熱材マットの第二は、プラスチック製の平らなケ−ス内に凝固温度が5〜60℃の潜熱蓄熱材を封入してなる潜熱蓄熱材マットであって、前記ケ−スが複数の区画に分割され、各区画に充填された潜熱蓄熱材の重量が100〜500gであることを特徴とするものである。この第二発明のマットにおいても、潜熱蓄熱材を充填した前記マットの平均厚みが10mm以下であることが好ましい。
【0020】
本発明は、潜熱蓄熱材の過冷却特性が、これをケ−スに充填して使用する状態により大きく変化するとの知見に基づくもので、潜熱蓄熱材マットの厚みや、蓄熱材の充填量を上記のように制限することにより、過冷却度(理論上の凝固温度と実際の凝固開始温度との差)を3℃程度以下に抑えることが可能になった。そのため、従来から問題となっている、過冷却による急激な凝固の進行(従って急激な凝固潜熱の放出)を防止しうるため、蓄熱材から潜熱の放出が定常的になり、潜熱の利用効率を高めることができる。
【0021】
また、本発明は、潜熱蓄熱材の凝固温度と、この熱を利用する受熱体の温度差が小さい場合にとくに有効である。したがって、本発明は、潜熱蓄熱材が、硫酸ナトリウム10水塩を主成分とするもの(必要に応じてこれに少量の過冷却防止剤及び/又は固液分離防止剤が添加されていてもよい)であって、これを床暖房に用いる場合にとくに有用である。
【0022】
さらに、本発明の潜熱蓄熱材マットは、前記ケ−スが、少なくともその内面にアルミニウムを蒸着した又はラミネートした軟質合成樹脂のシートからなるものであることが好ましい。これにより、潜熱蓄熱材マットの熱伝導性を高めて、熱の取出しを容易にし得るとともに、マットの製造及び潜熱蓄熱材充填の作業が簡便になり、潜熱蓄熱材マットのコストを低減することができる。
【0023】
本発明の蓄熱装置は、上記の潜熱蓄熱材マットを用いた蓄熱装置であって、仕上げ床材、屋根材等の加熱対象物の下面に、必要に応じて均熱板を介して、2〜4層の前記潜熱蓄熱材マットが積層され、その下側に電熱面状ヒーターが配設され、さらにその下側に必要に応じて断熱材層が形成されてなることを特徴とするものである。この蓄熱装置は、上記の薄手の潜熱蓄熱材マットを複数段積層して用いても、蓄熱材の熱の取出しに支障がないという知見に基づくものである。これにより、薄手の潜熱蓄熱材マットを用いても、昼間電力を十分節減するに必要な潜熱蓄熱材の量を確保することができる。なお、この蓄熱装置においては、積層された潜熱蓄熱材マット相互間に、ほぼその全面を覆うように伝熱促進用のアルミ薄板又はアルミ箔が配設することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、60℃以下の低温熱源の熱を蓄熱する熱利用システムにおいて、潜熱蓄熱材の使用状態を改善して、その過冷却度を軽減することができ、熱の利用効率を高めることが可能になった。また、本発明により、蓄熱式の床暖房や屋根融雪システムにおいて、潜熱蓄熱材の使用状態を改善してその過冷却度を軽減し、これにより暖房用の電力コストを低減することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
まず、潜熱蓄熱材マットの厚み及び蓄熱材充填量の過冷却度に及ぼす影響について説明する。後記の実施例1に示す方法で、潜熱蓄熱材マットの大きさを一定にし、その厚み(蓄熱材充填後の平均厚み)Hを変えて、凝固時の過冷却度(温度差ΔT)を測定した結果を図6に示す。図に見られるように、Hが6mm程度までは、ΔTは比較的小さいが、Hが6〜10mm以上になると急速にΔTが大きくなり、過冷却が起こり易くなることが知れる。したがって本発明においては、蓄熱材充填後のマットの平均厚みHは10mm以下とする。過冷却の観点からは、Hに下限を設ける必要は無いが、蓄熱材充填量が過少になるので、Hは2mm以上であることが好ましい。したがって、好ましいHの範囲は2〜10mmである。より好ましくは、Hを3〜6mmとする。
【0026】
また、潜熱蓄熱材マットの厚みHを一定値(6mm)とし、マット1区画に充填する潜熱蓄熱材の量(ロットの大きさ)Wを変えてΔTを測定した結果を図7に示す。図に見られるように、Wが300g程度までは、ΔTは比較的小さいが、Hが300〜500g以上になると急速にΔTが大きくなり、過冷却が起こり易くなることが知れる。したがって本発明においては、マット1区画に充填する潜熱蓄熱材の量Wは500g以下とする。過冷却の観点からは、Wに下限を設ける必要は無いが、蓄熱材充填量が過少になるので、Wは100g以上であることが好ましい。したがって、好ましいWの範囲は100〜500gである。より好ましくは、Wを150〜300gとする。
【0027】
さらに、Hを10mm以下(より好ましくは6mm以下)にし、かつWを500g以下(より好ましくは300g以下)にすれば、過冷却の軽減という観点からは最も好ましい結果が得られると予想される。
このように蓄熱材の充填量を限定すると、1個の潜熱蓄熱材マットの面積が小さくなり、その製造及び床面への配設の手間が問題となる。例えば硫酸ナトリウム10水塩(比重1.34g/cm3)300gを層厚6mmに充填するために必要なマットの面積は373cm2(正方形にすれば、1辺は20cm以下)となる。このような小型のマットは、これを床面全体に敷き詰める作業の手間が過大になって好ましくない。そこで、本発明においては、大型のケ−スを複数の小区画に分割し、各区画の蓄熱材の充填量を所定の値以下に限定するという手段をとる。とくに、施工上は、帯状の長尺(例えば長さ1間程度)のケ−スを用意し、その長手方向を分割するという方法によることが好ましい。
【0028】
上記のように、潜熱蓄熱材の過冷却度が、蓄熱材層の層厚やロットの大きさに依存する理由は十分には解明されていないが、以下のような理由によるのではないかと推測される。一般に金属等の凝固においては、放熱壁面から凝固が始まり、凝固層を通して熱が移動することによって凝固が進行する。しかし、潜熱蓄熱材では、凝固層の熱伝導率が金属等に比して著しく小さいため、凝固層が厚くなると伝熱不十分になり、凝固の進行が妨げられることが予想される。そのため、蓄熱材層の層厚が大な場合は、融液の温度がかなり下がるまで凝固がほとんど進行せず、融液が過冷却状態になってから、一挙に凝固が進行するのでないかと考えられる。
また、凝固面(固相と液相界面)の熱の授受は、もっぱら融液との間で行われ、固相側への伝熱量が少ない。そのため、蓄熱材のロットが大きいと融液量が多いため、なかなか融液の温度が降下せず、かなり時間が経過した後一挙に凝固が進行するため、見かけ上過冷却度が大きくなるのでないかと考えられる。
【0029】
本発明は、凝固温度が5〜60℃の全ての潜熱蓄熱材において、過冷却を軽減するのに有効と考えられる。しかし、過冷却がとくに問題となるシステムに本発明を適用することが、より効果的である。その意味で、本発明は硫酸ナトリウム10水塩を潜熱蓄熱材として用いる床暖房システムに適用することが好ましい。その理由は、この潜熱蓄熱材の凝固温度が約31℃と低く(床面温度に近いため)、過冷却度が大きくなると、蓄熱材潜熱の円滑な取出しが困難になるためである。なお、この潜熱蓄熱材は、硫酸ナトリウム10水塩を主成分とするものであれば良く、必要に応じて、過冷却防止剤や固液分離防止剤を含むものであってもよい。
【0030】
本発明において、潜熱蓄熱材を充填するケ−スの材質としては、軟質の合成樹脂シートを用いることが好ましい。耐食性、耐薬品性や重量等の観点から、潜熱蓄熱材のケ−スの材質に金属を用いるのは不適切で、合成樹脂が最も好適である。また、このケ−スは、熱の移動を速やかに行うという観点から、できるだけ薄手のものを用いることが望ましい。合成樹脂であれば、厚み0.2mm程度以下のシートを用いることが好ましい。合成樹脂シートには、大別して軟質のものと硬質のものがあるが、上記のような薄手のシートに硬質樹脂を用いると、ケ−スが破損しやすくなって不適切である。したがって、本発明に用いる潜熱蓄熱材ケ−スの材料としては、軟質プラスチックを用いることが好ましい。樹脂の種類をとくに限定する必要はないが、安価で強度や熱伝導度が比較的大きい熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を好適に用いることができる。
【0031】
また、ケ−スの熱伝導という観点からは、充填された蓄熱材とケ−スとの間の熱伝導が問題となり易い。とくに蓄熱材が固体状態にある場合は、ミクロに見ると蓄熱材とケ−スとは局部的にしか接触していないため、伝熱しにくくなる。したがって、ケ−スの樹脂シート内面に熱伝導性のよい金属の層を形成することが、熱伝導性を高める手段として好適である。この金属層の機能は、面に平行な方向の熱伝導を促進することにあり、金属層の厚みは数μm〜数十μm程度で十分である。かかる目的からは、樹脂シートの内面にアルミニウムの蒸着層を形成することが好ましい。
【0032】
図1は、本発明の実施例である潜熱蓄熱材マットの構成を示す図で、図1(a)は全体斜視図、図1(b)は図1(a)のA−A矢視断面図、図1(c)は図1(b)のB部拡大図である。この蓄熱材マットは、袋帯状のケ−ス1内部に潜熱蓄熱材が充填されてなるものである。ケ−ス1は、その長手方向両端部に接合部2a、幅方向中央に接合部2bが形成されて袋状になっており、内部に潜熱蓄熱材3が封入されている。また、長手方向に所定の間隔で、仕切り部4が設けられて、小区画が形成されており、各区画内の潜熱蓄熱材の量は上述した数値範囲内になっている。
【0033】
ケ−ス1は、図1(b)及び図1(c)に見られるように、薄手の軟質樹脂シート(本実施例では、厚み約0.1mmのポリプロピレン樹脂シート5を使用し、その内面に厚み約10μmのアルミ蒸着膜6が形成されてなるものである。この潜熱蓄熱材マットは、長さが約1.8m、幅が約0.2mで、長手方向に9分割に仕切られており、その潜熱蓄熱材充填後の平均マット厚みは約6mm程度になっている。このような帯状の潜熱蓄熱材マットにおいては、仕切り部4は各区画の蓄熱材量を制限するとともに、蓄熱材が長手方向に移動してその量が偏在するのを防止するという意味でも、重要な機能を担っている。
【0034】
本実施例の潜熱蓄熱材マットは、ケ−スが安価であり、かつその製造や蓄熱材の充填が簡便であるという特長を有していることも重要である。図2は、本実施例の潜熱蓄熱材マットの製造方法の説明図で、図2(a)は幅方向中央の接合部2bの形成方法、図2(b)は仕切り部4の形成方法を示す。まず、内面にアルミ蒸着層を形成し、予め折り目を付けた樹脂シート5を、型枠7内にセットし、所定量の潜熱蓄熱材3を載せて、上面が平滑になるように均す。次いで、潜熱蓄熱材層の上側にも樹脂シート5を被せ、上側の樹脂シートの端部を突き合わせて、接合代8を形成する。この接合代を加熱された圧着ロール9で圧着させれば、幅方向中央の接合部2bが形成され、同時に潜熱蓄熱材3の封入も完了する。その後、直立した接合部2bを上部から押圧して折り曲げればよい。
【0035】
一方、仕切り部4は、ケ−ス1内に潜熱蓄熱材3を封入した後に形成することができる。例えば、図2(b)に示すように、エッジ部10を有する作業台11を用い、その上に潜熱蓄熱材3が封入されたケ−ス1を載置し、仕切り部がエッジ10上に来るように位置調整する。エッジ10の内部の潜熱蓄熱材3を両側に押し退ける。この状態で加熱された圧着ロール9で圧着すれば、仕切り部4を形成することができる。このように、本実施例の潜熱蓄熱材マットは、熱融着法で接合部や仕切り部を形成することができ、マットの製造や蓄熱材の充填が簡便である。
【0036】
次に、本発明の蓄熱装置を床暖房に用いた場合について説明する。図3は、本発明の蓄熱装置を用いた床暖房構造の例を示す斜視図である。この床暖房の構造は、加熱対象物である仕上床板19の下に、均熱板18を介して潜熱蓄熱材マット17、面状電熱ヒーター15、断熱ボード16が上から順次積層されてなるものである。通常の施工の手順は、床基台12に形成された下地床13の上面に、小根太14を所定の間隔(面状ヒーター15が収容できる間隔)で配設し、小根太間に下側から、断熱ボード16、面状電熱ヒーター15、潜熱蓄熱材マット17を順次積層し、その上に均熱板18を介して仕上げ床板19を敷設する。潜熱蓄熱材マット17の上面は、小根太14と同じ高さになるように形成されている。
【0037】
この床暖房構造の特徴は、潜熱蓄熱材マット17として、上述した本発明の潜熱蓄熱材マットが用いられ、かつ厚み2〜10mmのマットが複数層(2〜4層)積層されていることにある。図4は、この積層された潜熱蓄熱材マット17の構成を分解して示す斜視図である。本実施例では、潜熱蓄熱材(主成分硫酸ナトリウム10水塩)を充填した平均厚み約6mmのマットを3段に積層して用いている。マットは、いずれも幅約20cm、長さ約180cmの帯状のもので、約20cm毎に仕切り部4が設けられ、各区画に約300gの潜熱蓄熱材が充填されている。また、各潜熱蓄熱材マット17間には、マットの全面をカバーする大きさのアルミニウム薄板20(厚み約0.1mm)が配されている。このアルミニウム薄板20は、各マット間の伝熱を促進する効果が大きいことが知見されている。
なお、本発明においては、発熱体、断熱層、下地床材、仕上げ床材等を構成する材料をとくに限定する必要はなく、通常の床暖房と同様に施工すれば良い。
【0038】
また、本発明の蓄熱装置を屋根の融雪システムに用いた場合について説明する。図5は、本発明の蓄熱装置を用いた融雪用屋根構造を示す斜視図である。加熱対象物であるトタン板24(瓦棒式トタン)の下に、潜熱蓄熱材マット17、面状電熱ヒーター15、断熱ボード16が上から順次積層されてなるものである。通常の施工の手順は、野地板25の上に垂木26を所定の間隔(面状ヒーター15が収容できる間隔)で配設し、垂木間に下側から、断熱ボード16、面状電熱ヒーター15、潜熱蓄熱材マット17を順次積層し、その上にトタン板24を敷設する。潜熱蓄熱材マット17の上面は、垂木26とほぼ同じ高さになるように形成されている。
【0039】
この融雪陽屋根構造においても、潜熱蓄熱材マット17として、上述した本発明の潜熱蓄熱材マットが用いられ、かつ厚み2〜10mmのマットが複数層(2〜4層)積層されていることが特徴である。この場合も、潜熱蓄熱材マット各層間に、マットの全面をカバーする大きさのアルミニウム薄板を配することが好ましい。
なお、上記の例は、既設の屋根の野地板を外さず、屋根の上で施工する場合を示したものである。これに対して、屋根裏から施工する場合は、加熱対象物が野地板になり、その下に伝熱促進のため均熱板を挿入して、上から順に潜熱蓄熱材マット、面状電熱ヒーターを配設し、その下側を断熱材層で被覆する。この施工方式は、屋根に積雪があっても融雪装置の工事が可能なこと、長尺のヒーターを垂木と直角な方向に配設できるため、軒先だけを部分的に加熱するのが容易なこと等の特長がある。
【実施例】
【0040】
(実施例1)潜熱蓄熱材マットの層厚及び蓄熱材充填量を変えて、凝固時の過冷却特性を調査した。用いた潜熱蓄熱材マットは、内面をアルミ蒸着したポリプロピレン樹脂シート(厚み約0.1mm)のケ−スに、硫酸ナトリウム10水塩系の潜熱蓄熱材(少量の過冷却防止剤及び固液分離防止剤を含む)を充填したものである。ケ−スの大きさを20×20cm一定とし、潜熱蓄熱材の充填量を変えて、充填後のマットの平均厚みHが2,4,6,8,10,15,20mmになるように調節した。また、マットの平均厚みが約6mmの一定値になるように、マットの大きさ(幅20cm一定で長さのみ変更)と潜熱蓄熱材の充填量を比例的に変えて、充填量Wが100,200,300,500,700,1000gになるように調節した。
【0041】
過冷却度の測定に用いた実験装置の構成を図6(a)に示す。雰囲気温度の変動の影響を避けるため、実験は雰囲気を一定温度に調節する機能を有する恒温室21内で行った。この恒温室の床面22は厚み約50mmの断熱材で形成され、その上に小根太14が一対並行に配置され、小根太14間に下側から順次断熱ウール層23、面状電熱ヒーター15、潜熱蓄熱材マット17が配設され、マットの上面に均熱板18(厚み0.5mmのアルミ板)を介して仕上げ床材19が敷設され、その上部は恒温室内に開放されている。小根太の14の幅は、面状電熱ヒーター15及び潜熱蓄熱材マット17を丁度収容できる幅とし、その高さは潜熱蓄熱材マット17の上面とほぼ同じ高さになるようにしている。
図6(b)に、実施例1における温度測定の位置を示す。温度測定は、1枚の潜熱蓄熱材マット17の下側温度(TA)上側温度(TB)及び恒温室室温(TC)の三か所につき連続測定を行った。なお、面状電熱ヒーターはミサト(株)製プラヒート(幅約20cm、厚み約4mmのもの)を用いた。
【0042】
実験の手順は、以下の通りである。まず、面状ヒーターに通電して、潜熱蓄熱材マットに蓄熱されTAが所定の値になったところで、ヒーターをオフにし、恒温室内に熱を放出させる。この時のTA,TBパターンを模式的に示すと図6(d)のようになる。すなわち、通電停止後潜熱蓄熱材マットの顕熱が放出されて、温度が次第に降下するが、TA,TBが凝固温度Ts(28℃)よりやや下がったところで凝固が始まり、過冷却が進行すると急激な凝固発熱のため若干の複熱が認められる。この複熱点Pの位置は、TA,TBともにほぼ同じである。この時の潜熱蓄熱材の温度がTav=(TA+TB)/2であるとして、温度差ΔT=Ts−Tavを過冷却度の指標とみることができる。このようにして測定したマットの平均厚みHと温度差ΔTの関係を図7に、潜熱蓄熱材の充填量WとΔTの関係を図8に示す。なお、図7、8ともに、複数回の測定値のバラツキの範囲を矢印で示している。この結果から、先に述べた本発明の適正条件を明らかにすることができる。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同じ実験装置で、潜熱蓄熱材マットが一層の場合とこれをを積層した場合の床暖房効果について調査した。積層した場合はマットAとして上記と同様に作製した幅20×60cmを3区画に分割し、各区画に300gの蓄熱材を充填した(平均厚み約6mmの)潜熱蓄熱材マットを用い、これを2段積層し、その間に伝熱促進用のアルミニウム薄板(厚み0.1mm)を挿入して、蓄熱材層を形成した。
また、一層の場合はマットBとして、同様に幅20×60cmを3区画に分割し、各区画に500gの蓄熱材を充填した(平均厚み約10mmの)潜熱蓄熱材マットを用いた。面状ヒータは、マットA,Bともに実施例1と同じものを用いた。また、実施例2では、恒温室内21内の温度制御は行わず、これを室内空間と見做し、恒温室の外部を屋外と見做して、屋外の温度をほぼ一定値(約10℃)に制御した。
【0044】
実施例2における温度測定点を図6(c)に示す。すなわち温度測定は、潜熱蓄熱材マット17の上側温度(TB)、仕上げ床材上面温度(TD:床面温度)、恒温室室温(TC)及び恒温室外部気温(TE:外気温度)の4点につき行った。この床暖房装置で、深夜(23時〜7時)に通電し、昼間はヒーター電力をオフにして、各測定点の温度変化を測定した結果の例を図9に示す。図9(a)は、マットAを2段積層した場合、図9(b)は、マットBを1段で用いた場合である。
【0045】
2段に積層した場合、図9(a)に見られるように、23時に通電を開始して約3時間で、TBは43℃程度になるので、その後はヒーター電力をオンオフして、TBが45℃を超えないように制御する。朝7時における床面温度TDは28℃、室温TCは23℃、外気温度TEは10℃である。朝7時にヒーター電力を完全にオフにすると、潜熱蓄熱材はまず顕熱を放出して温度降下する。約4時間経過後(11時頃)TBが30℃程度まで降下する。この時のTDは25℃、室温TCは21℃程度である。さらに3時間程度経過して(14時頃)TBが25℃程度になったところで、蓄熱材の凝固が始まり潜熱を放出するため、TBはほぼ一定に保たれる。しかしその2時間半程度後(16時半頃)TBが逆に上昇する複熱現象が見られる。
【0046】
この複熱現象は、2段の潜熱蓄熱材マットのうち、上側のマットの蓄熱材の過冷却が進行し、急激に凝固が進行して発熱することによるものと考えられる。しかし、この複熱によりTBは、せいぜい凝固温度(28℃)に到達する程度であるから、極端な熱損失の増大をもたらすおそれはない。このように複熱のピークが小さいことが本発明の効果である。さらに、蓄熱材の熱放出が進行し、その4〜5時間後(20時頃)再度複熱のピークが認められる。これは下側マットの蓄熱材が、過冷却により急激に凝固が進行して発熱することによるものと思われる。その後23時まで、TBは25℃程度に維持される。23時に通電を開始する前の床面温度TDは18℃程度、室温TCは15℃程度であった。
【0047】
一方、マットBを一段で用いた場合(図9(b))を、2段積層した場合(図9(a))と比較すると、以下のような相違があることが知れる。
(1)複熱のピークが1個しかなく、複熱の程度が大きい。
(2)復熱後のTBの温度効果の速度が大きい。
(3)床面温度TD及び室温TCが低いレベルで推移している。
これらの差が生じた理由は、以下のように考えられる。まず、(1)はマットが1段のため複熱ピークが1個であり、蓄熱材の充填量が多いため、複熱の程度が大きくなっている。また、(2)は凝固複熱時に短時間で急激に発熱すること、及び蓄熱材の量が少ないことによると考えられる。さらに(3)は、蓄熱材マットの温度効果が大きいこと、及び厚めの蓄熱材マットであるため、これが電熱抵抗となって、ヒーターの熱が十分床面に伝達されていないためでないかと考えられる。
【0048】
いずれにしても本実施例により、薄手の潜熱蓄熱材マットを積層した床暖房構造においても、蓄熱材マットからの熱の取出しを円滑に行うことができ、かつ厚手ののマットを1段で(積層しないで)用いる場合よりも、マットに蓄熱され熱の利用効率が良くなることが確かめられた。なお、実際の床暖房では、本実験の条件より放熱がやや大きいと思われるので、潜熱蓄熱材マットの段数をさらに多く(例えば3段に)すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例である潜熱蓄熱材マットの構成を示す図である。
【図2】本実施例の潜熱蓄熱材マットの製造方法の例を示す説明図である。
【図3】本発明の蓄熱装置を用いた床暖房構造の例を示す斜視図である。
【図4】本発明の蓄熱装置を用いた融雪用屋根構造の例を示す斜視図である。
【図5】図3の床暖房構造における潜熱蓄熱材マットの積層構造を分解して示す斜視図である。
【図6】本実施例における実験装置及び実験方法の説明図である。
【図7】本実施例における潜熱蓄熱材マットの厚みと過冷却度の関係を示す図である。
【図8】本実施例における潜熱蓄熱材充填量と過冷却度の関係を示す図である。
【図9】本実施例の床暖房構造における床面及び室温の測定結果の例を示す図である。
【図10】床暖房における潜熱蓄熱材の過冷却の影響を説明するための図である。
【符号の説明】
【0050】
1:ケ−ス
2a,2b:接合部
3:潜熱蓄熱材
4:仕切り部
5:合成樹脂シート
6:アルミ蒸着膜
7:型枠
8:接合代
9:圧着ロール
10:エッジ部
11:作業台
12:床基台
13:下地床
14:小根太
15:面状電熱ヒーター
16:断熱ボード
17:潜熱蓄熱材マット
18:均熱板
19:仕上げ床板
20:アルミニウム薄板
21:恒温室
22:恒温室の床面
23:断熱ウール層
24:トタン板
25:野地板
26:垂木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の平らなケ−ス内に凝固温度が5〜60℃の潜熱蓄熱材を封入してなる潜熱蓄熱材マットであって、該マットの平均厚みが10mm以下であることを特徴とする潜熱蓄熱材マット。
【請求項2】
プラスチック製の平らなケ−ス内に凝固温度が5〜60℃の潜熱蓄熱材を封入してなる潜熱蓄熱材マットであって、前記ケ−スが複数の区画に分割され、各区画に充填された潜熱蓄熱材の重量が100〜500gであることを特徴とする潜熱蓄熱材マット。
【請求項3】
潜熱蓄熱材が充填された前記マットのの平均厚みが10mm以下である請求項2に記載の潜熱蓄熱材マット。
【請求項4】
前記潜熱蓄熱材が、硫酸ナトリウム10水塩を主成分とし、必要に応じてこれに少量の過冷却防止剤及び/又は固液分離防止剤が添加されてなるものである請求項1から3のいずれかに記載の潜熱蓄熱材マット。
【請求項5】
前記ケ−スが、少なくともその内面にアルミニウムを蒸着した軟質合成樹脂のシートからなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の潜熱蓄熱材マット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の潜熱蓄熱材マットを用いた蓄熱装置であって、加熱対象物の下面に必要に応じて均熱板を介して、2〜4層の前記潜熱蓄熱材マットが積層され、その下側に電熱面状ヒーターが配設され、さらにその下側に必要に応じて断熱材層が形成されてなる蓄熱装置。
【請求項7】
前記の積層された潜熱蓄熱材マット相互間に、ほぼその全面を覆うように伝熱促進用のアルミ薄板又はアルミ箔が配設されていることを特徴とする請求項6に記載の蓄熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−303687(P2007−303687A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129290(P2006−129290)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(591091249)エスケーサイエンス有限会社 (3)
【Fターム(参考)】