説明

潤滑剤組成物中で耐磨耗剤として使用するための1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−スルフィド誘導体

【課題】 潤滑剤組成物への添加成分としての新規の対磨耗剤化合物を開発する。
【解決手段】 化学式I
【化1】


(式中のR1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は本明細書に定義された通りである。)
で表される非酸性で、イオウを含有し、リンを含有している化合物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有害な表面効果や毒性効果を持たずに十分な耐摩耗性を有する潤滑流体中で使用される潤滑剤に関連している。この開示はまた、このような潤滑剤およびこのような潤滑剤を含有する濃縮物の調整、そしてそのような潤滑剤を含んだ潤滑流体で潤滑された機器に関連する。
【発明の背景】
【0002】
潤滑剤組成物中での、イオウおよびリンを含有する化合物の耐磨耗剤としての用法は周知のものである。通常当該のイオウおよびリンを含有する化合物には、アルキル酸ホスフェート、アルキル酸チオホスフェート、アルキル酸ジチオホスフェート、およびそれらのアミンまたは金属塩が含まれる。例えば、亜鉛ジアルキルジチオリン酸(ZDDP)はイオウおよびリンを含有する耐磨耗剤としてよく知られている。亜鉛は環境汚染の要因であるため、当業界は新規の金属を含まない(すなわち無灰の)耐磨耗剤を発見する必要に迫られている。加えて、これらの化合物は酸性官能基を有するため、当該の化合物は潤滑された金属部分の表面を実際に攻撃することがあり、そのためいっそうの磨耗や腐食の原因となる。
【0003】
自動車メーカーがよりパワフルなエンジンを備えたより大きなトラックを製造し続けるため、これらの車両の車軸にかかるトルクの量が極端に増加した。従って相手先ブランド製造業者(Original Equipment Manufacturers(OEM))は潤滑剤業界に対し、トルクの増加と車軸の寿命の延長に取り組むよう、需要を高めた。具体的に必要とされているのは、耐摩耗性、熱安定性、および酸化安定性が改善された潤滑剤組成物である。さらに、L−37テストASTM D−6121のような自動車のスクリーニングテストによって証明される、耐摩耗性および熱安定性を改善することのできる潤滑剤組成物も必要とされている。
【0004】
最後に、既知のイオウおよびリンを含有した耐磨耗化合物に起因する昨今の問題は、潤滑剤組成物中におけるそれらの毒性に関連する。このような化合物は酸性であるため、当該化合物を含有する流体で潤滑された金属部分を攻撃し、それによっていっそうの磨耗および/または腐食の原因となり得る。従ってこれらの化合物は一般に、油溶性のアミンによって中和される。この目的で現在使用されている中和用のアミンは特に有毒で難分解性であり、また生物濃縮性である。従って、今日の耐磨耗剤に代わる環境に優しい化合物として、アミンを含まず、イオウおよびリンを含有する化合物が求められている。
【0005】
以下に説明するある種の新規の化合物は、毒性の低い環境フットプリントを維持する一方で、向上された耐摩耗性や良好な熱安定性のような、潤滑剤に求められる性能特性をもたらすための独自の溶液を提供する潤滑組成物に容易に調合されることが分かっている。
【発明の要約】
【0006】
本開示は、比較的高い処理レートで使用することができ、またサービスを満たす用途と同様に、米国、ヨーロッパ、アジア太平洋、およびアジアを含む世界的な相手先ブランド製造業者(OEM)の耐摩耗性の条件を満たす新規の潤滑剤について記載している。このような添加剤はまた、酸性官能基を含まず、熱安定性がよく、また毒性が低い。
【0007】
本開示のある実施態様では、化学式Iに基づく新規のイオウおよびリンを含有する化合物、
【化1】

またはそれらの油溶性の、トライボロジー的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、あるいはプロアディティブ(proadditive)について記載されている。
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、水素(R1を除く)、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル基から成る群の中から個々に選択された置換基である。このとき前述の(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル;このとき前述の(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、−−(C1−C16)アルキル、(C1−C16)アルケニル、−−CN、−−NR89、−−OR8、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−SO2NR89、NR15SO210、−−SO210および−−CONR811から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR811基のR8およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる。
8およびR9はそれぞれに水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリルから成る群の中から選択された置換基である。前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、−−NR15、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15および−−SO215から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的にインタラプトされている。前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15および−−SO2158またはR9置換基は、水素、ハロゲン、−カルコゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、SO2NR89、NR15SO210、−−SO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって、任意的に置換されている。このとき前述の−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる。
またR8およびR9は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、そのとき前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CF3、−−NO2、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−(C2−C6)アルケニル、−−(C2−C6)アルキニル、−−C=N−OH、−−C=N−O((C1−C6)−アルキル)、−−NR1011、−−OR15、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−CONR1011、−−CONR811、−−SR10、−−SOR10、−−SO210、−−SO2NR1011、−−NHCOR15、−−NR15CONR1011、および−NR12SO210から成る群の中から選択された一つから三つによって任意的に置換されている。ここで前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基の−−(C2−C6)アルケニルおよび−−(C2−C6)アルキニル部分は、一つから三つのR10基によって任意的に置換されていることがあり、また前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、および−−NR15から成る群の中から個々に選択された三つによって任意的にインタラプトされている。
10は−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基である。このとき前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR10置換基は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NR15、および−−O(C1−C6)アルキルから成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されている。
11は水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基である。このとき前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR11ラジカルは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH2、−−NHR12、−−NR122、OR12、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO213、−−CONH2、−−CONHR13、および−−CONR1314から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されている。ここで−−CONR1314のR13およびR14は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することがある。
12およびR13はそれぞれに水素、あるいは−−(C1−C6)アルキルであり、R14は水素または−−(C1−C6)アルキルである。
またR15は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基である。このとき前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR15置換基は、水素、ハロゲン、−−CF3,−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されている。前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することがある。
【0008】
いくつかの実施態様において、R1はエチルを表す。
【0009】
いくつかの実施態様において、R4およびR5はメチルを表す。
【0010】
いくつかの実施態様において、R1はオレイルを表す。
【0011】
いくつかの実施態様において、R1はC1−C6アルキルを表す。さらにいくつかの実施例において、前述のC1−C6アルキルは−OR8で置換されている。
【0012】
いくつかの実施態様において、R8は−−(C2−C9)ヘテロシクリル基である。
【0013】
いくつかの実施態様において、R4およびR5はブチルを表す。
【0014】
いくつかの実施態様において、R6はイソプロピルを表す。
【0015】
以下に挙げるのは本発明に基づいた化合物の非限定的なリストである:
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス[5,5−ジメチル−,2,2’−ジスルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−(2−メチルプロポキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−オレオキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(2−メトキシエトキシ)−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(シクロヘキシルオキシ)−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5−ブチル−2−エトキシ−5−エチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2,2’−[1,6−ヘキサンジイルビス(オキシ)]ビス[5,5−ジメチル−,2,2’−ジスルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(アリルオキシ)−4−メチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−セトキシ,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,4−(1,1−ジメチルエチル)−2−メトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5−ブチル−5−エチル−2−(2−エチルヘキシルオキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−4−メチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−3−イソプロピル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−(2−プロペニルオキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2,2’−[1,4−シクロヘキサンジイルビス(オキシ)]ビス[5,5−ジメチル−,2,2’−ジスルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2,2’−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]ビス[5,5−ジメチル−,2,2’−ジスルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−(1−メチルエトキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5−(1,1−ジメチルエチル)−2−メトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]−4−メチル−,2−スルフィド;
ホスホロチオ酸,環状O,O−トリメチレンO−2−プロピニルエステル;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−エトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5−(1,1−ジメチルエチル)−2−メトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−プロポキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−4,6−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(2−ブテニルオキシ)−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−エトキシ−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
エタノン,2−[(4,4−ジメチル−2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル)チオ]−1−(2−フラニル)−
1−ヘキセン−3−オン,4−[(4,4−ジメチル−2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル)チオ]−5−メチル−1−フェニル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(ヘキサデシルオキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−エトキシ−4−イソプロピル−5,5−ジメチル,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−エトキシ−5,5−ジブチル,2−スルフィド;および
それらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物
【0016】
一つの実施態様において、潤滑剤組成物には、化学式Iに基づいた一つ以上の化合物、あるいはそれらの油溶性のトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物が含まれる。
【0017】
別の実施態様では、潤滑剤組成物には、化学式Iに基づいた一つ以上の化合物、あるいはそれらの油溶性のトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物が含まれる。
【0018】
別の実施態様では、潤滑剤組成物には、a)多量の基油、およびb)化学式Iで表される一つ以上の少量の化合物、あるいはそれらの油溶性のトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含む添加剤組成物が含まれる。
【0019】
別の実施態様では、化学式Iで表される一つ以上の化合物、あるいはそれらの油溶性のトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含む潤滑剤および潤滑剤組成物には、さらに次のうちから一つ以上が含まれる:除気添加剤、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、金属系洗浄剤、油溶性無灰分散剤、有機リン化合物、シール膨張剤、粘度指数向上剤、および極圧添加剤。
【0020】
いくつかの実施態様において、潤滑剤には1,3−ジオールをトリアルキルホスファイトと反応させて中間体を生成し、その中間体を適切なアルコールと反応させ、次にイオウ源と反応させて化学式Iで表される本開示の化合物を生成させる工程から得られる反応生成物が含まれる。
【0021】
いくつかの実施態様において、機械部品の潤滑方法には、前述の機械部品を化学式Iで表される化合物あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ潤滑剤組成物で潤滑することが含まれる。
【0022】
いくつかの実施態様では、機械部品を化学式Iで表される化合物で潤滑することには、さらにギア、車軸、差動装置、エンジン、クランクシャフト、トランスミッション、あるいはクラッチ.から成る群の中から選択された機械部品を潤滑することが含まれている。
【0023】
いくつかの実施態様において、トランスミッションを化学式Iで表される化合物で潤滑することには、さらにオートマチックトランスミッション、マニュアルトランスミッション、自動化されたマニュアルトランスミッション、セミオートマチックトランスミッション、二段クラッチトランスミッション、無段変速機、およびトロイダルトランスミッションから成る群の中から選択されたトランスミッションを潤滑することが含まれる。
【0024】
いくつかの実施態様において、トランスミッション成分を化学式Iで表される化合物で潤滑する方法には、さらに連続スリッピングトルクコンバータークラッチ、スリッピングトルクコンバーター、ロックアップトルクコンバーター、スターティングクラッチ、一つ以上のシフティングクラッチ、または電子制御式コンバータークラッチから成る群の中から選択されたトランスミッション成分を潤滑することが含まれる。
【0025】
いくつかの実施態様では、ギアを化学式Iで表される化合物で潤滑する方法には、さらに自動車のギア、ステーショナリーギアボックス、および車軸から成る群の中から選択されたギアを潤滑させることが含まれる。
【0026】
いくつかの実施態様では、ギアを化学式Iで表される化合物で潤滑する方法には、さらにハイポイドギア、スパーギア、ヘリカルギア、べベルギア、ウォームギア、ラック・ピニオンギア、遊星ギアセット、およびインボリュートギアから成る群の中から選択されたギアを潤滑させることが含まれる。
【0027】
いくつかの実施態様では、差動装置を化学式Iで表される化合物で潤滑する方法には、さらに直進差動装置、旋回差動装置、滑り制限差動装置、クラッチタイプ滑り制限差動装置、およびロッキング差動装置から成る群の中から選択された差動装置を潤滑させることが含まれる。
【0028】
いくつかの実施態様では、エンジンを化学式Iで表される化合物で潤滑する方法には、さらに内燃エンジン、ロータリーエンジン、ガスタービンエンジン、四ストロークエンジン、および二ストロークエンジンから成る群の中から選択されたエンジンを潤滑させることが含まれる。
【0029】
いくつかの実施態様では、エンジンを化学式Iで表される化合物で潤滑する方法には、さらにピストン、ベアリング、クランクシャフト、および/またはカムシャフトを含んだエンジンを潤滑することが含まれる。
【0030】
別の実施態様には、テスト装置を使用し、そのテスト装置を化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ潤滑剤組成物で潤滑することを含んだ、組成物の潤滑特性のテスト法が含まれている。このテスト装置には、ブルックフィールド(Brookfield)粘度計、ビッカース(Vickers)試験機、SAE No.2摩擦試験機、電動式ヒドラマティック4L60−Eオートマチックトランスミッション、ASTM D 471あるいはD 676エラストマー適合テスト機器、NOACK揮発性プロシージャマシン、ASTM D 2882、D 5182、D 4172、D3233、およびD2782磨耗プロシージャに必要とされる任意の試験装置、ASTM発泡プロシージャ装置、ASTM D 130銅腐食テストに必要なテスト装置、インターナショナルハーベスター処理法(International Harvester Procedure Method)BT−9錆コントロールテストによって特定されたテスト用機器、ASTM D 892発泡テストに必要とされるテスト装置、ASTM D 4998ギアの耐摩耗性能テストに必要とされるテスト装置、リンクM1158オイル/フリクションマシン、L−33−1試験機、L−37試験機、L−42試験機、L−60−1試験機、ストラマ(Strama)4−スクウェア電動式プロシージャマシン、FZG試験機および部品、SSP−180プロシージャマシン、ASTM D 5579高温サイクル耐久性プロシージャ用のテスト装置、サウアー・ダンフォスシリーズ(Sauer−Danfoss Series)22またはシリーズ90車軸ピストンポンプ、ジョンディアー(John Deere)シンクロプラストランスミッション、SRV−摩擦磨耗テスター、4−ボール試験機、LFW−1試験機、輪止めクラッチオーバーランニング磨耗テスト(SCOWT)装置、API CJ−4エンジンテスト、L−33耐湿腐食テスト、高温サイクル耐久性テスト(ASTM D 5579)、288−時間VE エンジンオイル性能テスト、L−38標準潤滑剤テスト、デニソン(Denison)P46ピストンポンプテストスタンド、サンドストランド(Sundstrand)ダイナミック腐食テストスタンド、ブロック・オン・リング試験機、そしてメルコン(Mercon(登録商標))、メルコン(Mercon)V、デクスロン(Dexron(登録商標))III、デクスロン(Dexron(登録商標))III−H、キャタピラー(Caterpillar(登録商標))TO−4、アリソン(Allison(登録商標))C−4、JASO、GF−4、GF−5、MIL−E、MIL−L、およびおよびシーケンスIIからVIII規格による性能テスト分析に必要とされる任意のテスト装置が含まれる。
【0031】
別の実施態様において、潤滑流体の耐磨耗特性を向上させる方法には、潤滑流体中に有効量の一つ以上の化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含むことが含まれる。
【0032】
別の実施態様では、潤滑を要する自動車の成分を潤滑しながら潤滑流体の耐磨耗特性を向上させる方法には、1)潤滑を要する自動車の成分に、(a)基油、および(b)一つ以上の化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ潤滑流体を加えること;および2)当該の流体を含んだ自動車の成分を操作することが含まれ、このとき当該流体の耐摩耗性能は、1)の(b)の化合物を含んでいない潤滑流体の性能と相対するように改良されている。
【0033】
別の実施態様において、潤滑剤を作る方法には、1,3−ジオールをトリアルキルホスファイトと反応させて1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成すること;そしてその1,3,2−ジオキサホスホリナンをイオウ分子あるいは有機イオウ化合物と反応させて2−スルフィド−1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成することが含まれる。
【0034】
別の実施態様では、潤滑剤を作る方法に、1,3−ジオールをトリアルキルホスファイトと反応させて1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成し;次にその1,3,2−ジオキサホスホリナンをアルコールと反応させて反応生成物を生成し;その反応生成物をイオウ分子あるいは有機イオウ化合物と反応させて2−スルフィド−1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成することが含まれる。
【0035】
開示されたプロセスには溶媒の使用が含まれることがある。この溶媒は、少なくとも一つの反応物質が可溶性であるかあるいは生成物が可溶であるような任意の不活性の流体物質である。非限定的な例として、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ナフサ、ジエチルエーテルカルビトール、ジブチルエーテルジオキサン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、またガスツーリキッドやポリアルファオレフィンのような基油、そしてプロセスオイルが挙げられる。
【0036】
化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物は、室温(23℃)程度あるいはそれ以上、例えば少なくとも約50℃、さらなる例として約50℃から約150℃、またさらなる例では、約100℃から約120℃で作られる。
【0037】
化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物は別々に形成され、その後潤滑用の流体組成物あるいは機能的な流体組成物に加えられる。一方、化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物は、開示されたホスファイトのようなリンを含有する化合物が、他の成分と融合、混合および/または反応させられ、潤滑用の流体組成物あるいは機能的な流体組成物が形成されたときに形成される。
【0038】
化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物は、結果として得られる化合物が調合された組成物に可溶となるよう、油溶性、すなわちR1のヒドロカルビル鎖が少なくとも炭素原子数が約6であるなど十分な長さである。疎水基を組み込むと、無極性の媒体中での可溶性が高まる原因となる。
【0039】
ある態様で、化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物は、耐摩耗性を向上させる効果のある任意の量で潤滑剤組成物中に存在する。例えばこの化合物は、潤滑剤組成物の総重量に対し、約0.1重量%から約10重量%、例えば約0.3重量%から約8重量%、またさらなる例では約0.3重量%から約6重量%の量で存在する。さらなる例として、化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物は、最終的な流体中に約150ppmから3000ppmのリンをもたらすだけの量で存在する。
【0040】
別の実施態様では、潤滑剤組成物には(a)多量の潤滑油および(b)化学式Iで表される化合物を含んだ少量の添加剤組成物;
【化2】

またはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、あるいはプロアディティブが含まれる。
式中R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は水素、(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリルからなる群の中から個々に選択された置換基である。このとき前述の(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル;このとき前述の(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、−−(C1−C16)アルキル、−−(C1−C16)アルケニル、−−CN、−−NR89、−−OR8、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−SO2NR89、NR15SO210、−−SO210および−−CONR811から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されている。また前述の−−CONR811基のR8およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる。
式中R8およびR9は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリルからなる群の中から個々に選択された置換基であり、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、−−NR15、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO215から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的にインタラプトされている。また前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO2158またはR9置換基は、水素、ハロゲン、−カルコゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、SO2NR89、NR15SO210、−−SO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されている。前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる。
8およびR9は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる。前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CF3、−−NO2、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−(C2−C6)アルケニル、−−(C2−C6)アルキニル、−−C=N−OH、−−C=N−O((C1−C6)−アルキル)、−−NR1011、−−OR15、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−CONR1011、−−CONR811、−−SR10、−−SOR10、−−SO210、−−SO2NR1011、−−NHCOR15、−−NR15CONR1011、および−−NR12SO210から成る群の中から選択された一つから三つにより任意的に置換されている。前述の−−(C2−C6)アルケニル、および前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基の−−(C2−C6)アルキニル部分は、一つから三つのR10基によって任意的に置換されている。また前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、および−−NR15から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的にインタラプトされている。
10は、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基である。前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR10は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NR15、および−−O(C1−C6)アルキルから成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されている。
11は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR11ラジカルは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH2、−−NHR12、−−NR122、OR12、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO213、−−CONH2、−−CONHR13、および−−CONR1314から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されている。−−CONR1314のR13およびR14は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる。
12およびR13はそれぞれに水素、あるいは−−(C1−C6)アルキルであり、
14は水素、あるいは−−(C1−C6)アルキルであり、また
15は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基である。前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR15置換基は、水素、ハロゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されている。前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる。
【0041】
いくつかの実施態様において、潤滑剤組成物は(a)多量の潤滑油、および(b)耐摩耗性の混合物を含み、熱的に安定な化学式Iで表される化合物の効果量を改善している。
【0042】
本開示にはまた、一つ以上の原子が、自然に見られる原子質量あるいは質量数とは異なった原子質量あるいは質量数を有する原子と置換されていることを除けば、化学式Iで表される化合物と同一である同位体で標識された化合物が含まれる。本開示の化合物に組み込むことのできる同位体の例として、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clなど、順に水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体が挙げられる。前記の同位体および/またはその他の原子の同位体を含有する、本開示の化合物、それらのプロアディティブ、および前述の化合物や前述のプロアディティブのトライボロジー的に許容可能な塩もまた、本開示の範囲に含まれる。リン−31、すなわち31P、および炭素−13、すなわち13C同位体は、調整および検出が容易であることから特に好適である。同位体で標識された化学式Iで表される本開示の化合物およびそれらのプロアディティブは通常、同位体で標識されていない試薬を容易に入手できる同位体で標識された試薬で置換するという、開示された方法によって調整することができる。
【0043】
本開示はまた、化学式Iで表される化合物の、トライボロジー的に許容可能な酸付加塩に関連している。ベースとなる前記の本開示の化合物のトライボロジー的に許容可能な酸付加塩を調整するために使用される酸は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、クエン酸、酒石酸塩、重酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカラート、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩[即ち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸)]塩などのような酸付加塩、即ちトライボロジー的に許容許容可能な陰イオンを含有する塩を形成する酸である。
【0044】
本開示はまた、化学式Iの塩基付加塩に関連する。化学式Iで表される本来は酸性の化合物のトライボロジー的に許容可能な塩基性塩を調整するために試薬として使用される化学塩基は、このような化合物の塩基性塩を形成するような塩基である。これらの塩基性塩には、アルカリ金属(例えばカリウムやナトリウム)の陽イオン、アルカリ土類金属(例えばカルシウムやマグネシウム)の陽イオン、N−メチルグルカミン−(メグルミン)やアルカノールアンモニウムのようなアンモニウムあるいはアミン付加塩、またトライボロジー的に許容可能な有機アミンのその他の塩基性塩などが含まれるが、これらに限定はされない。
【0045】
本明細書で使用されている「トライボロジー的に許容可能な塩」という表現は、別段の表記がない限り、本開示の化合物中に存在する酸性基あるいは塩基性基の塩を含む。本来塩基性である本開示の化合物は、各種無機酸および有機酸の多様な塩を形成することが可能である。このような塩基性化合物のトライボロジー的に許容可能な酸付加塩を調整するために使用される酸は、酸付加塩、即ち塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、クエン酸、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ塩酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンコハク酸塩、エタンコハク酸塩、ベンゼンコハク酸塩、p−トルエンコハク酸塩、およびパモ酸塩[即ち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸)]塩などのような、トライボロジー的に許容許容可能な陰イオンを含有する塩を形成する酸である。上述の酸に加え、アミノ基のような塩基性部分を含む本開示の化合物は、各種アミンにより、トライボロジー的に許容可能な塩を形成することができる。
【0046】
本開示にはまた、潤滑剤あるいは化学式Iで表される化合物のプロアディティブを含んだトライボロジー組成物が含まれる。遊離アミノ、アミド、ヒドロキシ、またはカルボン酸基を有する、化学式Iで表される化合物は、プロアディティブに変換することができる。プロアディティブには化合物が含まれ、このときアミノ残基、炭酸塩、カルバミン酸塩、アミド、アルキルエステル等は、化学式Iの置換基に共有結合しているが、プロアディティブから化学式Iで表される化合物が得られるような、潤滑剤を使用した場合の一般的な条件下で十分に不安定である。
【0047】
本開示にはまた、保護基を含有する化学式Iで表される化合物が含まれる。当技術分野に精通した技術者は、精製や保存に役立ち、かつ装置を潤滑するために使用する前に除去することの出来る特定の保護基を用いて本開示の化合物を調整することができることも認識している。官能基の保護および脱保護については、1973年、プレナム出版社発行、J.W.F.マコーミー編集による「有機化学における保護基」(“Protective Groups in Organic Chemistry”,edited by J.W.F.McOmie,Plenum Press(1973))、および1999年、ワイリー・インターサイエンス出版発行、第三版、T.W.グリーンおよびP.G.M.ワッツ著、「有機合成における保護基」(“Protective Groups in Organic Synthesis”,3rd edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Wiley−Interscience(1999))に記載されている。
【0048】
本開示の化合物には、化学式Iで表される化合物のすべての立体異性体(例えばcisおよびtrans異性体)およびすべての光学異性体(例えばRおよびS光学異性体)、またラセミ体、ジアステレオマー、およびこれらの異性体のその他の混合物が含まれる。
【0049】
本開示の化合物、塩、およびプロアディティブは、エノールおよびケト型、またはイミンおよびエナミン型、またそれらの幾何異性体および混合物などを含む、いくつかの互変異性型で存在している。これらの互変異性型はすべて、本開示の範囲中に含まれる。互変異性体は、溶液中に互変異性体のセットの混合物として存在する。固体の場合は、通常一つの互変異性体が主流となる。一つの互変異性体についてのみ説明するが、本開示には当該化合物のすべての互変異性体が含まれる。
【0050】
本開示にはまた、本開示のアトロプ異性体が含まれる。アトロプ異性体は、回転が制限された異性体に分けられる、化学式Iで表される化合物を表す。
【0051】
本開示の化合物には、オレフィン様の二重結合が含まれる。このような結合が存在する場合、本開示の化合物はcisおよびtrans形態およびそれらの混合形態で存在する。
【0052】
「〜によってインタラプトされる」という表現は、環炭素原子が−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N=、−−NH−−、および−−NR1−−から成る群の中から選択された基によって置換されている化合物を指す。例えば、置換基が以下の式で表されるような−−(C6−C10)アリールである場合、
【化3】

当該の環はヘテロ原子窒素によってインタラプトあるいは置換され、環炭素がヘテロ原子窒素によって置き換えられた、以下のような環を形成する。
【化4】

本開示の化合物は、このような三つまでの置換あるいはインタラプトに対応することができる。
【0053】
「好適な置換基」とは、化学的およびトライボロジー的に許容可能な官能基、即ち発明の化合物のトライボロジー活性を打ち消さないような部分、を意味することを意図している。このような好適な置換基は、当技術分野に精通した技術者により、日常的に選択されている。好適な置換基の例証的な実例として、ハロ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アラルキルまたはヘテロアラルキル基、アラルコキシまたはヘテロアラルコキシ基、HO−−(C=O)――基、アミノ基、アルキル−およびジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリルカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリルスルホニル基、その他が挙げられるが、これらに限定はされない。当技術分野に精通した技術者は、多くの置換基がさらに別の置換基で置換されることがあることを認識している。好適な置換基のさらなる例には、本明細書で定義されているR1からR15を含んだ、化学式Iで表される化合物の定義に列挙されたものが含まれる。
【0054】
本明細書で使用されている「アルキル」という用語は、本明細書で他の基のアルキル部分と称されているものと同様(例えばアルコキシ)、線状であることも分岐していることもあり(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルなど);またフルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)アルコキシ、(C6−C10)アリルオキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、または(C1−C6)アルキルなどのような上記で定義された1つから3つの好適な置換基により任意的に置換されていることがある。本明細書で使用される「前述のそれぞれのアルキル」という表現は、アルコキシ、アルケニルまたはアルキルアミノなどのような、基内の先行する任意のアルキル部分を指す。
【0055】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、単環、二重環、あるいは三重環の炭素環(例えばシクロプロピル、シクロブチル,シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘプタニル、ビシクロオクタニル、およびビシクロノナニル、その他)を指し;任意的に1つまたは2つの二重結合を含み、またフルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)アルコキシ、(C6−C10)アリルオキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、あるいは(C1−C6)アルキルなどを含むが、これらに限定されることのない、上記で定義された1つから3つの好適な置換基によって任意的に置換されている。
【0056】
本明細書で使用される「ハロゲン」という用語には、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、またはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などが含まれる。
【0057】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソ−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、その他を含み、これらに限定されることのない、炭素数が2つから22の直鎖または分岐鎖の不飽和ラジカルを意味する。これらは上記に定義したように、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)アルコキシ、(C6−C10)アリールオキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、または(C1−C6)アルキルを含むが、これらに限定されることのない、1つから3つの好適な置換基によって任意的に置換されている。
【0058】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、エチニル、プロピニル、ブチニルなどを含みこれらに限定されていない、一つの三重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味し、これらは上記に定義したように、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)アルコキシ、(C6−C10)アリルオキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、または(C1−C6)アルキルを含むが、これらに限定されることのない、1つから3つの好適な置換基によって任意的に置換されている。
【0059】
本明細書で使用される「カルボニル」または「(C=O)」(アルキルカルボニル、アルキル−(C=O)−−またはアルコキシカルボニルなどとして使用されるもの)とは、>C=O部分を、アルキルまたはアミノ基(即ちアミド基)などのような(即ちアミド基)二番目の部分に結合させる結合部のことを意味する。またアルコキシカルボニルアミノ(即ちアルコキシ(C=O)−−NH−−)とは、アルキルカルバメート基のことを指す。またカルボニル基は、本明細書中で(C=O)と同等に定義される。アルキルカルボニルアミノとは、アセトアミドのような基を指す。
【0060】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、その他を含むがそれらに限定されることのない芳香族ラジカルを意味する。これらは上述のように1つから3つの好適な置換基によって任意的に置換されている。
【0061】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、通常O、S、およびNの中から選択された一つのヘテロ原子を環中に有する芳香族複素環基を指す。前述のヘテロ原子に加え、この芳香族基は環中にN原子を四つまで有することがある。例えばヘテロアリール基には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピロリル、オキサゾリル(例えば1,3−オキサゾリル、1,2−オキサゾリル)、チアゾリル(例えば1,2−チアゾリル1,3−チアゾリル)、ピラゾリル、テラゾリル、トリアゾリル(例えば1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、オキサジアゾリル(例えば1,2,3−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば1,3,4−チアジアゾリル)、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリル、その他が含まれる。これらは上記で定義されたフルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)アルコキシ、(C6−C10)アリルオキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、または(C1−C6)アルキルを含むがこれらに限定はされない、1つから3つの好適な置換基によって任意的に置換されている。
【0062】
本明細書で使用される「複素環」という用語は、炭素数が1−9で、N、P、O、S(O)n、またはNRの中から選択された1から4のヘテロ原子を含有する環状基を指す。このような環の例には、ジオキサホスホリナン、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、オキサジニル、オキサチアジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾオキサジニル、その他が含まれる。前述の単環式の飽和または部分的飽和環システムの例としては、1,3,2−ジオキサホスホリナン、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、イミダゾリジン−1−イル、イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−4−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イル、ピペラジン−3−イル、1,3−オキサゾリジン−3−イル、イソチアゾリジン、1,3−チアゾリジン−3−イル、1,2−ピラゾリジン−2−イル、1,3−ピラゾリジン−1−イル、チオモルホリニル、1,2−テトラヒドロチアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロチアジン−3−イル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、1,2−テトラヒドロジアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロジアジン−1−イル、1,4−オキサジン−2−イル、1,2,5−オキサチアジン−4−イル、その他が挙げられる。これらには1つまたは2つの二重結合が任意的に含まれ、また上記で定義されたフルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)アルコキシ、(C6−C10)アリールオキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、または(C1−C6)アルキルを含むがこれらに限定はされない、1つから3つの好適な置換基によって任意的に置換されている。
【0063】
本明細書で使用される「窒素ヘテロ原子」とは、−−N=、>Nおよび−−NHを指し、このとき−−N=は窒素二重結合、>Nは二つの結合を有する窒素、また−−NHは一つの結合を有する窒素を表す。
【0064】
本明細書で使用される「実施態様」とは、化合物を特別に分類すること、あるいは別々の亜属で使用することを表す。このような亜属は、特定のR1またはR4基などのような、一つの特定の置換基によって認識される。他の亜属はすべての化合物など、様々な置換基の組み合わせによって認識され、このときR2は水素、R1は(C1−C6)アルキルである。
【0065】
本明細書で使用される「オイル組成物」、「潤滑組成物」、「潤滑油組成物」、「潤滑油」、「潤滑剤組成物」、「完全に調合された潤滑剤組成物」、および「潤滑剤」などの用語は同義であるとみなされ、多量の基油プラス少量の添加剤組成物を含んだ、完成した潤滑生成物を意味する、完全に置き換え可能な用語である。
【0066】
本明細書で使用される「添加剤パッケージ」、「添加剤濃縮物」、「添加剤組成物」などの用語は同義であるとみなされ、多量の基油ストック混合物を除いた潤滑組成物の一部を意味する、完全に置き換え可能な用語である。
【0067】
本明細書で使用される「試薬」および「添加剤」などの用語は同義であるとみなされ、多量の基油ストック混合物を除いた潤滑組成物の任意の単一の機能成分を意味する、完全に置き換え可能な用語である。
【0068】
本開示のその他の目的および利点は、以下に続く説明で部分的に説明され、および/または本開示を実行することによって理解することができる。本開示の目的および利点は、特許請求の範囲で特に指摘されている要素およびそれらの組み合わせによって実現・達成される。
【0069】
前述の一般的記述および以下の詳しい説明は、共に例示および説明のみを目的としたものであって、特許請求の範囲のように制限的なものではないと理解されるべきである。
【発明の詳細な説明】
【0070】
スキームIに概説された合成ルートを用い、化学式Iで表される化合物を調製することができる。スキームI中の置換基は、化学式IのR1置換基が、以下にさらに詳しく説明するように、スキームIではR1、R1’、およびR1”として表されていることを除いて、化学式Iについて定義された置換基と同様のものである。
【化5】

【0071】
スキームIより、化学式(1)および(1a)の化合物を、R1'あるいはR1''、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7の位置で任意的に置換されている1,3−ジオール(7)と、例えばトリエチルまたはトリメチルホスファイトのような、一般的にはトリアルキルホスファイトであるような、一般式P(OR13(6)で表される亜リン酸化合物とを反応させることによって調製して、環状亜リン酸である1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物(5)を生成することができる。等モル量の反応条件下で、化合物(7)および(6)を反応させ、主要生成物として1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物を得ることができる。このとき、化合物5のR’は、亜リン酸化合物6のR1官能基によってもたらされる。しかしながら、例えば3:2の比率など、超過量のジオール化合物(7)が提供された場合は、主要生成物は1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物となり、このとき化合物5のR’官能基はジオール化合物(7)から得られる。1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物(5)は次にイオウ源(2)、一般的には硫化イソブチレン(SIB)などのイオウ分子あるいは有機イオウ化合物と反応して、通常2−スルフィド−1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物、化合物(1)、として分類されるチオホスフェート化合物が得られる。
【0072】
一方、1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物(5)を、さらに一般式R1’’−OH(4)のアルコール化合物、例えばオレイルアルコールのような長鎖アルコールとエステル交換反応させ、1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物(5)のR1'の位置に官能性をもたらすこともある。新規の1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物、化合物(3)は、アルコール(4)のR1''官能基を維持する。続いて1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物、化合物(3)、をイオウ源(2)と反応させ、2−スルフィド−1,3,2−ジオキサホスホリナン化合物、化合物(1a)が得られる。
【0073】
いくつかの実施例では、化学式Iで表される一つ以上の化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物が潤滑組成物中に組み込まれる。潤滑剤組成物は、化学式Iで表される一つ以上の化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んで調整される。潤滑剤組成物には、a)多量の基油、およびb)化学式Iで表される一つ以上の化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ少量の添加剤組成物が含まれる。
【0074】
追加の添加剤成分
本開示の別の態様において、化学式Iで表される化合物が添加剤組成物に調合され、基油中に混合されて潤滑流体が得られる。このような流体は、以下に説明する成分および添加剤を含みこれらに限定されることのない、一つ以上の選ばれた成分および添加剤で任意的に調合される。このような添加剤には、除気添加剤、消泡剤(発泡防止剤)、酸化防止剤、防錆剤、耐磨耗剤、着色剤、腐食防止剤、分散剤、極圧添加剤、摩擦低減剤、金属不活性剤、金属系洗浄剤、有機リン化合物、流動点降下剤、シール膨張剤、および/または粘度指数向上剤などが含まれるが、これらに限定はされない。添加剤については数あるなかでも通常、C.V.スマリア、その他著、「潤滑剤」、ページ1−11(1967年)(C.V.Smalheer et al.,Lubricant Additives,pages 1−11(1967))、および米国特許第4,105,571号に記載されている。補足的な添加剤として、市販の添加剤も含まれる。
【0075】
好適な油溶性の無灰分散剤は、コハク酸イミド分散剤、コハク酸エステル分散剤、コハク酸エステル−アミド分散剤、マンニッヒ塩基分散剤、またそれらのリン酸化された形態、ホウ素化された形態、およびリン酸化かつホウ素化された形態から成る群の中から選択される。
【0076】
任意の添加剤を選択する際に、選択された成分が添加剤パッケージおよび完成された潤滑剤組成物中に可溶であるか、または安定的に分散すること、また組成物のその他の成分と適合性があることの確認が大切である。なるべくであれば、当技術分野に精通した技術者は、完成した組成物全体において、規定どおりに必要とされたあるいは希望された、中でも改善された極圧性能や熱安定性などの組成物の性能特性に大きな悪影響が出ないように、追加的な任意添加剤または添加剤の組み合わせやその量を選択することが期待される。
【0077】
通常、ベース流体の性能特性や特性を向上させるのに十分な、少量の補助的な添加剤成分が潤滑油中で使用される。従って当該の量は、使用されたベース流体の粘度特性、完成された流体に求められる粘度特性、完成した流体に求められる使用条件、および完成された流体に求められる性能特性などの要因によって異なる。
【0078】
しかしながら、一般的に言うと、以下に述べるベース流体中の追加成分の一般的な濃度(別段の記載が無い限りは重量パーセント)が例示的である。
【0079】
目的とする性能を提供するのに十分な量のそれぞれの添加剤を、選択された基油中に混ぜ合わせる。特定の組成物の有効量は容易に確認できるが、零時の目的のため、代表的な有効量の一般的なガイドを提供する。下記の量は完全に調合された潤滑流体に対する重量%で示されている。
【0080】
成分 範囲1および2(重量%)の例
耐摩耗性化合物 0−10 0.3−6
分散剤 0−20 2−8
極圧添加剤 0−5 2−4
防錆剤 0−1.5 0.05−1.0
腐食防止剤 0−5 0.05−3
乳化破壊剤 0−5 0.005−1.0
消泡剤 0−0.5 0.001−0.1
希釈剤 0−10 1.0−5.0
潤滑基油 残り
【0081】
使用される個々の成分は別々にベース流体中に混ぜ合わされるか、必要に応じて各種のサブコンビネーションで混ぜ合わされることが分かっている。通常、このような混合ステップの特定の順番は重要ではない。さらに、このような成分は、希釈剤中に、別々の溶液の形態で混ぜ合わされることもある。しかしながら、混合作業を簡易化し、混合エラーの起こる可能性を低減し、また濃縮物全体により互換性や可溶性が得られることから、使用される添加剤成分を濃縮物の形態で混合することが好ましい。
【0082】
従って添加剤濃縮物は、すべての添加剤成分、および必要に応じて、上述の濃度に一致した完成した流体混合物を得るのだけの量の、何らかの基油成分を含むように調合されている。ほとんどの場合、添加剤濃縮物には、濃縮物の取り扱いや混合を簡易化するため、軽油などの一つ以上の希釈剤が含まれる。従って、溶媒が低温や高温、また引火点、および完成されたパワートランスミッション用流体組成物の性能を妨げるような量では存在しないことを条件として、約50重量%までの一つ以上の希釈剤あるいは溶媒を含んだ濃縮物が使用される。この点で、本開示に準じて使用された添加剤成分は、このような成分から調合された添加剤濃縮物またはパッケージの引火点が約170℃またはそれ以上となるように、ASTM D−92テスト法を使用して選択されまた釣り合いが取られる。
【合成例】
【0083】
例A
【化6】

【0084】
2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス(5,5−ジメチル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン)の調製において、熱電対(サーモカップル)、蒸留カラム、機械かくはん機、および1Lの丸底フラスコを備えた1Lの反応装置に、亜リン酸トリエチル(500g)およびネオペンチルグリコール(448g)を加えた。この混合物を大気圧で3時間、次に減圧下で2時間、100℃から120℃に加熱し、低沸点の副産物を蒸留させた。結果として得られた物質には、主成分として2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス(5,5−ジメチル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン)が含まれていた。
【0085】
イオウ分子をイオウ源として使用して2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス(5,5−ジメチル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン)を硫化するため、1L反応装置内で、2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス(5,5−ジメチル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン)(471g)を含んだ混合物を、窒素環境下で90℃以下まで加熱した。この反応装置にイオウを加え、次にこの混合物を8時間、90℃から130℃まで加熱し、主成分として2,2’−スルフィド−2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス(5,5−ジメチル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン)を含んだ白色の個体を得た。
【0086】
別の方法として、2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス(5,5−ジメチル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン)のin situ硫化では、イオウ源として硫化イソブチレン(SIB)が使用される。潤滑組成物中で、2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス(5,5−ジメチル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン)は、超過量の硫化イソブチレンの存在下で、1時間、60℃に加熱された。大部分の開始ジオキサホスホリナンは、潤滑組成物のP−31 NMR分析で見られるように、2,2’−スルフィド−2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス(5,5−ジメチル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン)に硫化された。
【0087】
例B
【化7】

【0088】
2−エトキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンの調整において、熱電対(サーモカップル)、蒸留カラム、機械かくはん機および1Lの丸底フラスコを備えた1Lの反応装置に、亜リン酸トリエチル(600g)およびネオペンチルグリコール(376g)を加えた。この混合物を大気圧で3時間、次に減圧下で2時間、100℃から110℃まで加熱し、低沸点の副産物を蒸留させた。結果として得られた物質には主成分として2−エトキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンが含まれていた。
【0089】
2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス(5,5−ジメチル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン)のin situ硫化では、イオウ源として硫化イソブチレンが使用される。潤滑組成物中で、2−エトキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンを超過量の硫化イソブチレンの存在下、60℃で1時間加熱した。大部分の開始ジオキサホスホリナンは、潤滑組成物のP−31 NMR分析で見られるように、2−スルフィド−2−エトキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンに硫化された。
【0090】
例C
【化8】

【0091】
2−オレオキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンの調製では、熱電対(サーモカップル)、蒸留カラム、機械かくはん機および1Lの丸底フラスコを備えた1Lの反応装置に、亜リン酸トリエチル(600g)とネオペンチルグリコール(376g)を加えた。この混合物を大気圧で3時間、次に減圧下で2時間、100℃から110℃まで加熱し、次に減圧下で,低沸点の副産物を蒸留させた。結果として得られる物質には、主成分として2−エトキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンが含まれていた。
【0092】
別の1L反応装置中で、267gの2−エトキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンを、減圧下、400gのオレイルアルコールの存在のもとで3時間、100℃に加熱した。この工程中で低沸点の副産物が蒸留された。結果として得られる物質には、主成分として2−オレオキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンが含まれていた。
【0093】
2−オレオキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンのin situ硫化では、イオウ源として硫化イソブチレンが使用される。潤滑組成物中で、2−オレオキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンを、超過量の硫化イソブチレンの存在下、1時間60℃に加熱した。大部分の開始ジオキサホスホリナンは、潤滑組成物のP−31 NMR分析で見られるように、2−スルフィド−2−オレオキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンに硫化された。潤滑組成物中で、2−エトキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンを超過量の硫化イソブチレンの存在下、60℃で1時間加熱した。大部分の開始ジオキサホスホリナンは、潤滑組成物のP−31 NMR分析で見られるように、2−スルフィド−2−エトキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンに硫化された。
【0094】
例D
【化9】

【0095】
熱電対(サーモカップル)、蒸留カラム、機械かくはん機および1Lの丸底フラスコを備えた500mLの反応装置に、亜リン酸トリエチル(134g)および2,2,4−トリメチル1,3−ペンタン−ジオール(118g)を加えた。システム内の圧力を100mmHg以下に減圧し、次に窒素によって増加させ大気圧まで戻した。この混合物を、大気圧で3時間、次に減圧(−28inHg)下で2時間、80℃から105℃まで加熱して低沸点の副産物を蒸留させた。結果として得られる物質には、主成分として2−エトキシ−4−イソプロピル−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンが含まれていた。
【0096】
潤滑組成物中、2−エトキシ−4−イソプロピル−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンを、超過量の硫化イソブチレンの存在下、60℃で1時間加熱した。大部分の開始ジオキサホスホリナンは、潤滑組成物のP−31 NMR分析で見られるように、2−スルフィド−2−エトキシ−4−イソプロピル−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンに硫化された。
【0097】
例E
【化10】

【0098】
熱電対(サーモカップル)、蒸留カラム、機械かくはん機および1Lの丸底フラスコを備えた100mLの反応装置に、亜リン酸トリエチル(18g)と2,2−ジブチル1,3−プロパンジオール(20g)を加えた。システム内の圧力を100mmHg以下に減圧し、次に窒素によって増加させ大気圧まで戻した。この混合物を、大気圧で3時間、次に減圧下(−28inHg)で2時間、100℃から110℃まで加熱して低沸点の副産物を蒸留させた。結果として得られる物質には、主要成分として2−エトキシ−5,5−ジブチル1,3,2−ジオキサホスホリナンが含まれていた。
【0099】
潤滑組成物中で、2−エトキシ−5,5−ジブチル1,3,2−ジオキサホスホリナンを超過量の硫化イソブチレンの存在下、60℃で1時間加熱した。大部分の開始ジオキサホスホリナンは、潤滑組成物のP−31 NMR分析で見られるように、2−スルフィド−2−エトキシ−5,5−ジブチル1,3,2−ジオキサホスホリナンに硫化された。
【0100】
テストサンプル
完成された流体テストのサンプルA、B、C、DおよびEは、順に例A、B、C、DおよびEに基づいた耐摩耗性の化合物を含んで調整される。六番目のサンプルであるテストサンプルFは、コントロール群として使用され、リンを含有した耐磨耗剤を含んでいない。テストサンプルはこれ以外には皆同様である。テストサンプル組成物を表1に示す。
【表1】

【0101】
テスト
サンプルA、B、C、D、E、およびFに(ASTM D6121に基づいて)L−37 Test Greenを行った。L−37 Test Greenは、最終的な駆動軸が低速高トルクで使用された際に、摩損、付着磨耗、塑性変形、および表面疲労から保護する潤滑剤の能力を測定する。十分に保護されていないと、ギアおよび/またはベアリングの早期故障の原因となる。テスト終了後、リングギア、ピニオン、およびピニオンミーティングをギアから取り除き、評価した。このテストの合格条件を表2に示す。
【表2】

【0102】
完成された流体サンプルA、B、C、D、E、およびFのそれぞれに、ASTM D6121に基づいたL−37 Test Greenを行った。テストの終了後、各ギアセットに評価を行った。サンプルA、B、C、D、およびEの結果は合格で、一般的なギアオイル中での耐摩耗性成分としての例A、B、C、D、およびEの実用性を実証した(表3)。
【表3】

【0103】
本開示の実施例に基づいた潤滑剤組成物および/または潤滑剤添加物はさらに、耐摩耗性能における十分な熱安定性を示した。
【0104】
本明細書の全体を通した多くの箇所で、多数の米国特許、欧州特許出願(公開済み)、PCT国際特許広報、および参考文献が参照されている。このような引用文献はすべて、完全に説明されたものとして本開示に明白に組み込まれている。
【0105】
本明細書および特許請求の範囲の英文において使用されている「a」および・または「an」などの単語は、一つのものあるいは一つ以上のものを指すことがある。本明細書および特許請求の範囲で使用されている、成分の量や、分子量、パーセンテージ、比率、反応条件などの特性を表す数値はすべて、特記されていない限り、「約」という言葉で修飾されていると理解されるべきである。従って、それに反する指定がない限り、本明細書および特許請求の範囲で示されている数値パラメータは、開示された実施例によって得ようとされている希望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、また請求項の範囲に対応する原理の適応を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも使用された有効数字の数と通常の四捨五入の使用を考慮に入れて解釈されるべきものである。開示された実施例の広い範囲を説明する数値の範囲およびパラメータは近似値ではあるが、特定な例において示される数値はできる限り正確に記録されている。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定に見られる標準偏差の結果必然的に生じる若干のエラーを本質的に含んでいる。
【0106】
本開示では主に上記においてギアの耐摩耗性の向上されたギア液の例を実証しているが、この流体の実施例の利点は、他の潤滑流体にも同様に適用可能であると考えられている。本開示の範囲にはギアオイル、油圧油、エンジンオイル、ヘビーデューティー油圧油、産業用オイル、パワーステアリング液、ポンプオイル、トラクター液、およびユニバーサルトラクター液などが含まれるが、これらに限定はされない。装置に関する実施例には、本開示に基づいた潤滑流体を含むギア、エンジン、油圧メカニズム、パワーステアリング装置、ポンプ、その他が含まれるが、これらに限定はされない。
【0107】
本開示の他の実施態様は、本明細書および図1を検討し、本明細書に開示された発明を実施することにより、当技術分野に精通した技術者には明白なものである。本明細書および実施例は例示としてのみ解釈され、本発明の真の範囲および精神は、特許の請求の範囲に示される。
【0108】
本発明の主な特徴及び態様を示せば以下のとおりである。
1.下記の化学式Iで表される化合物、
【化11】

あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、またはプロアディティブを含む潤滑剤組成物であって、
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7は、水素、(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリルから成る群のなかから個々に選択された置換基であり、前述の(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル;前述の(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、−−(C1−C16)アルキル、−−(C1−C16)アルケニル,−−CN、−−NR89、−−OR8、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−SO2NR89、NR15SO210、−−SO210および−−CONR811から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR811基のR8およびR11は、それらが結合している原子とともに−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
8およびR9はそれぞれに、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリルから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、−−NR15、−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO215から成る群の中から選択された一つから三つによって任意的にインタラプトされており、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO2158またはR9置換基は、水素、ハロゲン、−−カルコゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、SO2NR89、NR15SO210、−−SO21、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
8およびR9はそれらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CF3、−−NO2、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−(C2−C6)アルケニル、−−(C2−C6)アルキニル、−−C=N−OH、−−C=N−O((C1−C6)−アルキル)、−−NR1011、−−OR15、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−CONR1011、−−CONR811、−−SR10、−−SOR10、−−SO210、−−SO2NR1011、−−NHCOR15、−−NR15CONR1011、および−−NR12SO210から成る群の中から選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基の−−(C2−C6)アルケニル、および−−(C2−C6)アルキニル部分は、一つから三つのR10基によって任意的に置換されており、また前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、および−−NR15から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的にインタラプトされており、
10は、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR10置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NR15、および−−O(C1−C6)アルキルから成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、
11は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR11ラジカルは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH2、−−NHR12、−−NR122、OR12、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO213、−−CONH2、−−CONHR13、および−−CONR1314から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、−−CONR1314のR13およびR14はそれらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
12およびR13はそれぞれに水素あるいは−−(C1−C6)アルキルであり、
14は水素あるいは−−(C1−C6)アルキルであり、また、
15は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR15置換基は、水素、ハロゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる、
ことを特徴とする潤滑剤組成物。
2.R1がC−Cアルキルを表している、上記1に記載の化合物。
3.R4およびR5がメチルを表している、上記1に記載の化合物。
4.R1がオレイルを表している、上記1に記載の化合物。
5.R1がエチルを表している、上記2に記載の化合物。
6.前述のC1−C6アルキルが−OR8で置換されている、上記2に記載の化合物。
7.R8が−−(C2−C9)ヘテロシクリル基である、上記6に記載の化合物。
8.R4およびR5がブチルを表している、上記1に記載の化合物。
9.R6がイソプロピルを表している、上記2に記載の化合物。
10.以下から成る群の中から選択された、上記1に記載の化合物:
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2,2’−[(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(オキシ)]ビス[5,5−ジメチル−,2,2’−ジスルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−(2−メチルプロポキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−オレオキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(2−メトキシエトキシ)−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(シクロヘキシルオキシ)−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5−ブチル−2−エトキシ−5−エチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2,2’−[1,6−ヘキサンジイルビス(オキシ)]ビス[5,5−ジメチル−,2,2’−ジスルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(アリルオキシ)−4−メチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−cetyl,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,4−(1,1−ジメチルエチル)−2−メトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5−ブチル−5−エチル−2−(2−エチルヘキシルオキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−4−メチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−3−イソプロピル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−(2−プロペニルオキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2,2’−[1,4−シクロヘキサンジイルビス(オキシ)]ビス[5,5−ジメチル−,2,2’−ジスルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2,2’−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]ビス[5,5−ジメチル−,2,2’−ジスルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−(1−メチルエトキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5−(1,1−ジメチルエチル)−2−メトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]−4−メチル−,2−スルフィド;
ホスホロチオ酸,環状O,O−トリメチレンO−2−プロピニルエステル;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−エトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5−(1,1−ジメチルエチル)−2−メトキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,5,5−ジメチル−2−プロポキシ−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−4,6−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(2−ブテニルオキシ)−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−メトキシ−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−エトキシ−5,5−ジメチル−,2−スルフィド;
エタノン,2−[(4,4−ジメチル−2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル)チオ]−1−(2−フラニル)−
1−ヘキセン−3−オン,4−[(4,4−ジメチル−2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル)チオ]−5−メチル−1−フェニル−,1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−(ヘキサデシルオキシ)−,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−エトキシ−4−イソプロピル−5,5−ジメチル,2−スルフィド;
1,3,2−ジオキサホスホリナン,2−エトキシ−5,5−ジブチル,2−スルフィド;および
それらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物。
11.潤滑剤組成物であり、
a)多量の基油と、
b)上記1に記載の一つ以上の化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ少量の添加剤組成物
を含んだ潤滑剤組成物。
12.コハク酸イミド分散剤、コハク酸エステル分散剤、コハク酸エステル−アミド分散剤、マンニッヒ塩基分散剤、それらのリン酸化された形態、およびそれらのホウ素化された形態から成る群の中から選択された油溶性の無灰分散剤をさらに含んでいる、上記11に記載の添加剤組成物。
13.除気添加剤、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、金属系洗浄剤、有機リン化合物、シール膨張剤、粘度指数向上剤、および極圧添加剤のうち一つ以上をさらに含んだ、上記11に記載の添加剤組成物。
14.前述の機械部品を、化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物の含まれた、上記1に定義された潤滑剤組成物で潤滑することを含む、機械部品の潤滑方法。
15.前述の機械部品に、ギア、車軸、差動装置、エンジン、クランクシャフト、トランスミッション、またはクラッチなどが含まれている、上記14に記載の方法。
16.前述のトランスミッションが、オートマチックトランスミッション、マニュアルトランスミッション、自動化されたマニュアルトランスミッション、セミオートマチックトランスミッション、二段クラッチトランスミッション、無段変速機、およびトロイダルトランスミッションから成る群の中から選択されている、上記15に記載の方法。
17.前述のトランスミッションに、連続スリッピングトルクコンバータクラッチ、スリッピングトルクコンバータ、ロックアップトルクコンバーター、スターティングクラッチ、一つ以上のシフティングクラッチ、あるいは電子制御式コンバータークラッチが含まれるような、上記15に記載の方法。
18.前述のギアが、自動車のギア、ステーショナリーギアボックス、および車軸から成る群の中から選択されている、上記15に記載の方法。
19.前述のギアが、ハイポイドギア、スパーギア、ヘリカルギア、べベルギア、ウォームギア、ラック・ピニオンギア、遊星ギアセット、およびインボリュートギアから成る群の中から選択されている、上記15に記載の方法。
20.前述の差動装置が、直進差動装置、旋回差動装置、滑り制限差動装置、クラッチタイプ滑り制限差動装置、およびロッキング差動装置から成る群の中から選択されている、上記15に記載の方法。
21.前述のエンジンが、内燃エンジン、ロータリーエンジン、ガスタービンエンジン、4ストロークエンジン、および2ストロークエンジンから成る群の中から選択されている、上記15に記載の方法。
22.前述のエンジンに、ピストン、ベアリング、クランクシャフト、および/またはカムシャフトが含まれている、上記15に記載の方法。
23.テスト装置を使用して組成物の潤滑特性をテストする方法であり、テスト装置を、化学式Iで表される、上記1で定義された化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ潤滑剤組成物で潤滑することから成り、前述のテスト装置は以下の装置から成る群の中から選択される:ブルックフィールド(Brookfield)粘度計、ビッカース(Vickers)試験機、SAE No.2摩擦試験機、電動式ヒドラマティック4L60−Eオートマチックトランスミッション、ASTM D 471あるいはD 676エラストマー適合テスト機器、NOACK揮発性プロシージャマシン、ASTM D 2882、D 5182、D 4172、D3233、およびD2782磨耗プロシージャに必要とされる任意の試験装置、ASTM発泡プロシージャ装置、ASTM D 130 銅腐食テストに必要なテスト装置、インターナショナルハーベスタープロシージャ法(International Harvester Procedure Method)BT−9錆コントロールテストによって特定されたテスト用機器、ASTM D 892発泡テストに必要とされるテスト装置、ASTM D 4998ギアの耐摩耗性能テストに必要とされるテスト装置、リンクM1158オイル/フリクションマシン、L−33−1試験機、L−37試験機、L−42試験機、L−60−1試験機、ストラマ(Strama)4−スクウェア電動式プロシージャマシン、FZG試験機および部品、SSP−180プロシージャマシン、ASTM D 5579高温サイクル耐久性プロシージャ用のテスト装置、サウアー・ダンフォス(Sauer−Danfoss)シリーズ22またはシリーズ90車軸ピストンポンプ、ジョンディアー(John Deere)シンクロプラストランスミッション、SRV−摩擦磨耗テスター、4−ボール試験機、LFW−1試験機、輪止めクラッチオーバーランニング磨耗テスト(SCOWT)装置、API CJ−4エンジンテスト、L−33耐湿腐食テスト、高温サイクル耐久性テスト(ASTM D 5579)、288−時間VEエンジンオイル性能テスト、L−38標準潤滑剤テスト、デニソン(Denison)P46ピストンポンプテストスタンド、サンドストランド(Sundstrand)ダイナミック腐食テストスタンド、ブロック・オン・リング試験機、そしてメルコン(Mercon(登録商標))、メルコン(Mercon)V、デクスロン(Dexron(登録商標))III、デクスロン(Dexron(登録商標))III−H、キャタピラー(Caterpillar(登録商標))TO−4、アリソン(Allison(登録商標))C−4、JASO、GF−4、GF−5、MIL−E、MIL−L、およびおよびシーケンスIIからVIII規格による性能テスト分析に必要とされる任意のテスト装置、ことを特徴とする方法。
24.潤滑流体の耐磨耗特性を向上させる方法であり、潤滑流体に、上記1に記載の、一つ以上の有効量の化合物あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含有させることを含む方法。
25.潤滑を要する自動車の成分を潤滑しながら潤滑流体の耐磨耗特性を向上させる方法であり、
1)潤滑を要する自動車の成分に、(a)基油、および(b)上記1に記載の一つ以上の化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ潤滑流体を加えること;および
2)当該の流体を含んだ自動車の成分を操作することを含み、
このとき当該流体の耐摩耗性能が、1)の(b)の化合物を含んでいない潤滑流体の性能と比較して改良されているような方法。
26.潤滑剤添加物を作る方法であり、
1,3−ジオールをトリアルキルホスファイトと反応させて1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成すること、また
1,3,2−ジオキサホスホリナンをイオウ分子あるいは有機イオウ化合物と反応させて2−スルフィド−1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成させること
を含んだ方法。
27.潤滑剤添加物を作る方法であり、
1,3−ジオールをトリアルキルホスファイトと反応させて1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成すること、
1,3,2−ジオキサホスホリナンをアルコールと反応させて反応性生物を形成すること、および
その反応生成物とイオウ分子あるいは有機イオウ化合物を反応させて2−スルフィド−1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成すること
を含んだ方法。
28.
(a)多量の潤滑油と、
(b)下記の化学式I
【化12】

で表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、またはプロアディティブを含んだ少量の添加剤組成物
の混合物を含んだ潤滑剤組成物であって、
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、水素、(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリルからなる群から個々に選択された置換基であり、前述の(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル;前述の(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、−−(C1−C16)アルキル、−−(C1−C16)アルケニル、−−CN、−−NR89、−−OR8、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−SO2NR89、NR15SO210、−−SO210、および−−CONR811から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR811のR8およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
8およびR9はそれぞれに、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリルからなる群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、−−NR15、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO215から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって、任意的にインタラプトされており、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO2158あるいはR9置換基は、水素、ハロゲン、−カルコゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、SO2NR89、NR15SO210、−−SO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
8およびR9は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CF3,−−NO2、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−(C2−C6)アルケニル、−−(C2−C6)アルキニル、−−C=N−OH、−−C=N−O((C1−C6)−アルキル)、−−NR1011、−−OR15、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−CONR1011、−−CONR811、−−SR10、−−SOR10、−−SO210、−−SO2NR1011、−−NHCOR15、−−NR15CONR1011、および−−NR12SO210から成る群の中から選択された一つから三つによって、任意的に置換されており、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基の−−(C2−C6)アルケニル、および−−(C2−C6)アルキニル部分は、一つから三つのR10基によって任的に置換されており、また前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、および−−NR15から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって、任意的にインタラプトされており、
10は、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR10置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NR15、および−−O(C1−C6)アルキルから成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、
11は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR11ラジカルは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH2、−−NHR12、−−NR122、OR12、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO213、−−CONH2、−−CONHR13、および−−CONR1314から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、−−CONR1314のR13およびR14は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
12およびR13はそれぞれに水素、あるいは−−(C1−C6)アルキルであり、
14は水素または−−(C1−C6)アルキルであり、また、
15は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR15置換基は、水素、ハロゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる、
ことを特徴とする潤滑剤組成物。
29.組成物に、化学式Iで表される熱的に安定な化合物の耐摩耗性改善有効量が含まれている、上記28に記載の潤滑剤組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式Iで表される化合物、
【化1】

あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、またはプロアディティブを含む潤滑剤組成物であって、
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7は、水素、(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリルから成る群のなかから個々に選択された置換基であり、前述の(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル;前述の(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、−−(C1−C16)アルキル、−−(C1−C16)アルケニル,−−CN、−−NR89、−−OR8、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−SO2NR89、NR15SO210、−−SO210および−−CONR811から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR811基のR8およびR11は、それらが結合している原子とともに−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
8およびR9はそれぞれに、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリルから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、−−NR15、−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO215から成る群の中から選択された一つから三つによって任意的にインタラプトされており、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO2158またはR9置換基は、水素、ハロゲン、−−カルコゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、SO2NR89、NR15SO210、−−SO21、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
8およびR9はそれらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CF3、−−NO2、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−(C2−C6)アルケニル、−−(C2−C6)アルキニル、−−C=N−OH、−−C=N−O((C1−C6)−アルキル)、−−NR1011、−−OR15、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−CONR1011、−−CONR811、−−SR10、−−SOR10、−−SO210、−−SO2NR1011、−−NHCOR15、−−NR15CONR1011、および−−NR12SO210から成る群の中から選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基の−−(C2−C6)アルケニル、および−−(C2−C6)アルキニル部分は、一つから三つのR10基によって任意的に置換されており、また前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、および−−NR15から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的にインタラプトされており、
10は、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR10置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NR15、および−−O(C1−C6)アルキルから成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、
11は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR11ラジカルは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH2、−−NHR12、−−NR122、OR12、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO213、−−CONH2、−−CONHR13、および−−CONR1314から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、また−−CONR1314のR13およびR14はそれらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
12およびR13はそれぞれに水素あるいは−−(C1−C6)アルキルであり、
14は水素あるいは−−(C1−C6)アルキルであり、また、
15は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR15置換基は、水素、ハロゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる、
ことを特徴とする潤滑剤組成物。
【請求項2】
潤滑剤組成物であり、
a)多量の基油と、
b)請求項1に記載の一つ以上の化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ少量の添加剤組成物
を含んだ潤滑剤組成物。
【請求項3】
前述の機械部品を、化学式Iで表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物の含まれた、請求項1に定義された潤滑剤組成物で潤滑することを含む、機械部品の潤滑方法。
【請求項4】
テスト装置を使用して組成物の潤滑特性をテストする方法であり、テスト装置を、化学式Iで表される、請求項1で定義された化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ潤滑剤組成物で潤滑することから成り、前述のテスト装置は以下の装置から成る群の中から選択される:ブルックフィールド(Brookfield)粘度計、ビッカース(Vickers)試験機、SAE No.2摩擦試験機、電動式ヒドラマティック4L60−Eオートマチックトランスミッション、ASTM D 471あるいはD 676エラストマー適合テスト機器、NOACK揮発性プロシージャマシン、ASTM D 2882、D 5182、D 4172、D3233、およびD2782磨耗プロシージャに必要とされる任意の試験装置、ASTM発泡プロシージャ装置、ASTM D 130 銅腐食テストに必要なテスト装置、インターナショナルハーベスタープロシージャ法(International Harvester Procedure Method)BT−9錆コントロールテストによって特定されたテスト用機器、ASTM D 892発泡テストに必要とされるテスト装置、ASTM D 4998ギアの耐摩耗性能テストに必要とされるテスト装置、リンクM1158オイル/フリクションマシン、L−33−1試験機、L−37試験機、L−42試験機、L−60−1試験機、ストラマ(Strama)4−スクウェア電動式プロシージャマシン、FZG試験機および部品、SSP−180プロシージャマシン、ASTM D 5579高温サイクル耐久性プロシージャ用のテスト装置、サウアー・ダンフォス(Sauer−Danfoss)シリーズ22またはシリーズ90車軸ピストンポンプ、ジョンディアー(John Deere)シンクロプラストランスミッション、SRV−摩擦磨耗テスター、4−ボール試験機、LFW−1試験機、輪止めクラッチオーバーランニング磨耗テスト(SCOWT)装置、API CJ−4エンジンテスト、L−33耐湿腐食テスト、高温サイクル耐久性テスト(ASTM D 5579)、288−時間VEエンジンオイル性能テスト、L−38標準潤滑剤テスト、デニソン(Denison)P46ピストンポンプテストスタンド、サンドストランド(Sundstrand)ダイナミック腐食テストスタンド、ブロック・オン・リング試験機、そしてメルコン(Mercon(登録商標))、メルコン(Mercon)V、デクスロン(Dexron(登録商標))III、デクスロン(Dexron(登録商標))III−H、キャタピラー(Caterpillar(登録商標))TO−4、アリソン(Allison(登録商標))C−4、JASO、GF−4、GF−5、MIL−E、MIL−L、およびおよびシーケンスIIからVIII規格による性能テスト分析に必要とされる任意のテスト装置、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
潤滑流体の耐磨耗特性を向上させる方法であり、潤滑流体に、請求項1に記載の、一つ以上の有効量の化合物あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含有させることを含む方法。
【請求項6】
潤滑を要する自動車の成分を潤滑しながら潤滑流体の耐磨耗特性を向上させる方法であり、
1)潤滑を要する自動車の成分に、(a)基油、および(b)請求項1に記載の一つ以上の化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩または溶媒和物を含んだ潤滑流体を加えること;および
2)当該の流体を含んだ自動車の成分を操作することを含み、
このとき当該流体の耐摩耗性能が、1)の(b)の化合物を含んでいない潤滑流体の性能と比較して改良されているような方法。
【請求項7】
潤滑剤添加物を作る方法であり、
1,3−ジオールをトリアルキルホスファイトと反応させて1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成すること、また
1,3,2−ジオキサホスホリナンをイオウ分子あるいは有機イオウ化合物と反応させて2−スルフィド−1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成させること
を含んだ方法。
【請求項8】
潤滑剤添加物を作る方法であり、
1,3−ジオールをトリアルキルホスファイトと反応させて1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成すること、
1,3,2−ジオキサホスホリナンをアルコールと反応させて反応性生物を形成すること、および
その反応生成物とイオウ分子あるいは有機イオウ化合物を反応させて2−スルフィド−1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成すること
を含んだ方法。
【請求項9】
(a)多量の潤滑油と、
(b)下記の化学式I
【化2】

で表される化合物、あるいはそれらのトライボロジー的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、またはプロアディティブを含んだ少量の添加剤組成物
の混合物を含んだ潤滑剤組成物であって、
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、水素、(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリルからなる群から個々に選択された置換基であり、前述の(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル;前述の(C1−C6)アルキル、−−(C1−C6)アルケニル、−−(C3−C7)シクロアルキル、および−−(C2−C9)ヘテロシクリル置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、−−(C1−C16)アルキル、−−(C1−C16)アルケニル、−−CN、−−NR89、−−OR8、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−SO2NR89、NR15SO210、−−SO210、および−−CONR811から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR811のR8およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
8およびR9はそれぞれに、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリルからなる群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、−−NR15、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO215から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって、任意的にインタラプトされており、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、−−(C1−C9)ヘテロアリール、COR15、および−−SO2158あるいはR9置換基は、水素、ハロゲン、−カルコゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリル)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、SO2NR89、NR15SO210、−−SO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
8およびR9は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CF3,−−NO2、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−(C2−C6)アルケニル、−−(C2−C6)アルキニル、−−C=N−OH、−−C=N−O((C1−C6)−アルキル)、−−NR1011、−−OR15、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO215、−−CONR1011、−−CONR811、−−SR10、−−SOR10、−−SO210、−−SO2NR1011、−−NHCOR15、−−NR15CONR1011、および−−NR12SO210から成る群の中から選択された一つから三つによって、任意的に置換されており、前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基の−−(C2−C6)アルケニル、および−−(C2−C6)アルキニル部分は、一つから三つのR10基によって任的に置換されており、また前述の−−(C2−C9)ヘテロシクリル基は、−−(C=O)、−−SO2、−−S−−、−−O−−、−−P−−、−−N−−、−−NH−−、および−−NR15から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって、任意的にインタラプトされており、
10は、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR10置換基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NR15、および−−O(C1−C6)アルキルから成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、
11は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR11ラジカルは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH2、−−NHR12、−−NR122、OR12、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO213、−−CONH2、−−CONHR13、および−−CONR1314から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、−−CONR1314のR13およびR14は、それらが結合している窒素原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができ、
12およびR13はそれぞれに水素、あるいは−−(C1−C6)アルキルであり、
14は水素または−−(C1−C6)アルキルであり、また、
15は、水素、−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールから成る群の中から選択された置換基であり、前述の−−(C1−C6)アルキル、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−(C6−C10)アリール、および−−(C1−C9)ヘテロアリールR15置換基は、水素、ハロゲン、−−CF3、−−CN、−−(C1−C6)アルキル、−−NH(C1−C6)アルキル、−−NH(C3−C7)シクロアルキル、−−NH(C2−C9)ヘテロシクリル、−−NH(C6−C10)アリール、−−NH(C1−C9)ヘテロアリール、−−N((C1−C6)アルキル)2、−−N((C3−C7)シクロアルキル)2−、−−N((C2−C9)ヘテロシクリール)2、−−N((C6−C10)アリール)2、−−N((C1−C9)ヘテロアリール)2、−−O(C1−C6)アルキル、−−O(C3−C7)シクロアルキル、−−O(C2−C9)ヘテロシクリル、−−O(C6−C10)アリール、−−O(C1−C9)ヘテロアリール、−−(C3−C7)シクロアルキル、−−(C2−C9)ヘテロシクリル、−−CO210、−−CONH2、−−CONHR10、および−−CONR1011から成る群の中から個々に選択された一つから三つによって任意的に置換されており、前述の−−CONR1011基のR10およびR11は、それらが結合している原子と共に−−(C2−C9)ヘテロシクリルを形成することができる、
ことを特徴とする潤滑剤組成物。

【公開番号】特開2008−274273(P2008−274273A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102260(P2008−102260)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】