説明

潤滑油の内燃機関への使用

再生可能なディーゼル粒子トラップを備えたディーゼルエンジンに、パラフィン含有量が80重量%を超え、飽和物含有量が98重量%を超え、かつ炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4(但し、nは15〜40)の一連のイソパラフィンを含有する基油を含む潤滑油を使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は潤滑油の内燃機関への使用法(use)に関する。更に詳しくは本発明は、粒子トラップを備えた内燃圧縮点火エンジンに使用するための潤滑油及び燃料パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ここ数十年来、輸送及びその他のエネルギー発生手段用に内燃機関、特に圧縮点火エンジンがますます広く使用されるようになった。更に“ディーゼルエンジン”と言われる圧縮点火エンジンは、ヨーロッパでは乗用車用に、世界的にはヘビーデューティー用に、更には高効率エンジンのため、定常動力発生用に採用される主要タイプのエンジンの中で特徴付けられている。
【0003】
ディーゼルエンジンは内燃機間、更に詳しくは圧縮点火エンジンであり、ガソリンエンジンのように、スパークプラグのような別個の点火源によるのではなく、圧縮による温度上昇で点火するまで、燃料/空気混合物を圧縮することにより点火される。
【0004】
ディーゼルエンジンの普及により、エンジン放出物、更に詳しくは排気ガス流中の排気ガス及び粒状物質について規定の圧力が高まってきた。これらの放出物を全体的に又は個別に減少させることが望ましい。放出物の幾つかはエンジン内で燃焼する燃料を根源とするが、エンジンの潤滑に使用される潤滑油も例えば潤滑油の燃焼生成物を直接放出したり、或いはトラップ性能に影響を与えるなど、放出物に対し影響を与える可能性がある。
【0005】
ディーゼルエンジンからの特に粒状物質の放出を制御すると共に、減少させるため、近年、種々の対策が報告されている。これらの対策には、エンジンの管理、更に詳しくは例えばUS−A−6651614に開示されるような噴射及び燃焼方法が含まれる。例えばEP−A−1108862及びEP−A−1251248に開示されるようなディーゼル粒子トラップ(DPT)は非常に効果的である。このような装置は、軽質及び重質ディーゼルエンジンに使用して、例えばユーロ4規格に従う粒子放出量を保証し、更には添加剤又は選択した燃料により改良され、例えばWO−A−2004046283に開示されるように、更に、触媒した粒子トラップを用いて、エンジンから放出される核形成式粒子の数を減らすため、低硫黄燃料と低硫黄含有量のエンジン油との併用により改良される。
【0006】
ディーゼル粒子トラップの操作は、エンジンの排気放出物から粒状物質を捉えて行う。主として炭化水素由来の有機粒子は、時にはDPT閉塞及び過剰な圧力形成の原因となる。
【0007】
その対策として、いったん粒子トラップが飽和状態になった時、トラップを極高温にしたり、例えば特定量のディーゼル燃料をDPTに噴射して有機粒子状物質を焼き落としている。ディーゼル粒子トラップの再生においては、再生方式で上昇した温度により燃費及びNOxが増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、ディーゼル粒子トラップの再生頻度を減少させる必要がある。
今回、出願人は、特定の潤滑油を用いると、ディーゼル粒子トラップの再生頻度が著しく減少し、その結果、NOx放出物が減少するばかりでなく、燃費も低下することを意外にも見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
したがって、本発明は、再生可能なディーゼル粒子トラップを備えたディーゼルエンジンに、パラフィン含有量が80重量%を超え、飽和物含有量が98重量%を超え、かつ炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4(但し、nは15〜40)の一連のイソパラフィンを含有する基油を含む潤滑油を使用する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】高温ディーゼル粒子トラップの再生事象の頻度を減少させるため、熱電対からのデータ流を処理する方法を示す。
【図2】油排出間隔が最初の(第一の)5000マイルの場合、2つの軽質ユーロ4ディーゼルエンジンテストサイクル間の比較を示す(但し、2つの自動車からのデータは、単一のデータセットに平均した)。
【図3】油排出間隔が次の(第二の)5000マイルの場合、2つの軽質ユーロ4ディーゼルエンジンテストサイクル間の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、圧縮点火内燃機間、即ち、ディーゼルエンジン及び燃焼が間欠的になるように設計した同様なエンジンを潤滑するための潤滑油の使用方法に関する。
【0012】
出願人は、粒子トラップを備えたディーゼルエンジンにフィッシャー・トロプシュ誘導基油を含む潤滑油を使用すると、粒子トラップの再生頻度が予測し得ないほど著しく減少することを見出した。こうして、NOx放出量が減少するばかりでなく、燃費も低下する。好適なトラップは、触媒した粒子トラップで、これは酸化触媒及びフィルターの両方を備えた連続再生用トラップである。
【0013】
図面の詳細な説明
図1は閾を用いて温度差を濾過した場合のデータの分析方法を示す。温度差を濾過したのは、最高示差温度事象は再生と関連した温度事象なので、最高示差温度事象だけを考慮するためである。図2及び図3では、閾を上昇させると、明らかに2種の潤滑油配合物に対するピーク間示差温度時間に開きがあることが判る。フィッシャー・トロプシュ系配合物は、標準の鉱油APIグループIII基油系配合物よりも常に長いピーク間時間を持っていた。図2及び図3は、閾の関数として、示差温度のピーク間の時間(分及び秒)の簡単な比較を示す。この閾は、閾値を超えた温度上昇である。
【0014】
通常、ディーゼルエンジンは、クランクケース、シリンダーヘッド、及びシリンダーを有する。潤滑油は、通常、クランクケース中に存在し、ここでは、クランクシャフト、ベアリング、及びピストンをクランクシャフトに接続するロッドの底部が潤滑油中で塗布される。これら部品の急速な運動は、潤滑油をピストンリングとシリンダーの内表面間に跳ね飛ばし、潤滑する。この潤滑油膜は、シリンダー内の燃焼容積をクランクケース内の空間から分離するため、ピストンリングとシリンダー壁間のシールとしても働く。潤滑油組成物は、部品間の直接接触を最小化するように、互いに移動する部品の表面間に皮膜を形成してディーゼルエンジンを潤滑する。この潤滑皮膜は、摩擦、摩耗、及び移動する部品間の過熱の生成を減少させる。潤滑部品の表面から熱を置換することにより、冷却流体として作用する。この熱は、互いに移動する部品又は油膜の摩擦によるか、或いは実際の燃焼に由来するのかもしれない。ディーゼルエンジンは、直接噴射型、例えばロータリーポンプ、インラインポンプ、ユニットポンプ、電子ユニット噴射器又はコモンレール型、又は間接噴射型であってよい。重質又は軽質ディーゼルエンジンであってもよい。
【0015】
ディーゼルエンジンは、EP−A−1108862、EP−A−1567622及びEP−A−1251248に開示される連続再生式トラップ(CRT)のようなディーゼル粒子トラップを備える。この種のトラップは、排気ガスを、DPT中に構成したフィルターに強制的に流動させて、排気ガスからディーゼル粒状物質又はすすを除去する装置である。DPTのフィルターが飽和すると、DPTは、蓄積した粒状物質を焼却して、再生するように設計されている。このような再生は、DPT又はDPT自体の前の排気ガスに有機セリウム化合物のような触媒組成物の添加による受動活性化により、或いは活性再生技術により行ってよい。活性再生技術は、フィルターを、高温の排気ガス、すすの燃焼温度、別個の燃料バーナー、比較的低温で粒子を酸化するための高濃度NOx排気ガス又は同様な方法によりフィルターをすすの燃焼温度に加熱する工程を含む。この方法は、“DPT再生”として知られている。ディーゼル粒状物質は、通常、600℃より高温で燃焼する。燃焼を開始すると、更に温度が上昇し、したがって、NOx及びCOの放出量を増大する可能性がある。使用した特定の方法とは関係なく、DPTシステムの活性再生は、再生段階中更に燃料を消費する。したがって、再生頻度の減少は、エネルギー消費量が減少する上、全体の平均燃料排気ガス温度が低下し、その結果、NOx及びCOの生成量が減少するので、有益であることが見出された。
【0016】
潤滑油は、パラフィン含有量が80重量%を超え、飽和物含有量が98重量%を超え、かつ炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4の連続系列のイソパラフィンを含有する基油を含む。基油は、パラフィン含有量が80重量%を超え、飽和物含有量が98重量%を超え、かつ炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4(但し、nは15〜40)の連続系列のイソパラフィンを含有するフィッシャー・トロプシュ誘導基油が好ましい。基油又は基材(i)中の炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4(但し、nは15〜40)であるイソパラフィンの系列中の連続系列の含有量及び存在は、フィールド脱着/フィールドイオン化(FD/FI)技法により測定できる。この技法では、まず基油サンプルを、この測定法に記載されるように、移動相としてヘキサン(測定法に記載)の代りにペンタンを用いた他は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法IP368/01を利用して、極性(芳香族)相と非極性(飽和物)相とに分離する。次に、フィールド脱着/フィールドイオン化(FD/FI)インターフェースを備えたFinnigan MAT90質量分析計を用いて飽和物フラクション及び芳香族フラクションを分析する。なお、FI(“ソフト”イオン化技術)は、このような炭化水素種の炭素数及び水素欠陥を測定するのに使用される。質量分析での化合物種の分類は、形成された特徴的なイオンにより決定され、普通、“z数”で分類される。この分類は全ての炭化水素種について一般式C2n+zで示される。飽和物相は芳香族相とは別に分析されるので、同じ化学量論又はn数を有する他の異なる(シクロ)−パラフィンの含有量を測定することが可能である。分光分析計の結果は、市販のソフトウエア(Sierra Analytics LLC,3453 Dragoo Park Drive,Modesto,Calif.GA95350 USAから入手できるpoly 32)を用いて処理し、各炭化水素種の相対割合を測定する。
【0017】
基油は、フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン系蝋の水素化異性化、次いで、好ましくは接触脱蝋のような或る種の脱蝋により好ましく得られる。ここで“フィッシャー・トロプシュ合成法で得られる”又は“フィッシャー・トロプシュ誘導”とは、基油がフィッシャー・トロプシュ縮合法の合成生成物か、又は該生成物からの誘導体であることを意味する。“非フィッシャー・トロプシュ誘導”とは、これに従って解釈してよい。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料は、GTL(Gas−To−Liquids)(ガスから液体までの)燃料とも言える。
【0018】
フィッシャー・トロプシュ反応は、一酸化炭素及び水素を長鎖の、通常、パラフィン系の炭化水素に転化する。
n(CO+2H)=(−CH−)+nHO+熱
この反応は、適当な触媒の存在下、通常、高温(例えば125〜300℃、好ましくは175〜250℃)及び/又は高圧(例えば5〜100バール、好ましくは12〜50バール)で行われる。
所望ならば、2:1以外の水素:一酸化炭素比を使用してよい。一酸化炭素及び水素、自体は、有機又は無機で、天然又は合成の供給源、通常、天然ガス、又は有機的に誘導したメタンのいずれかから誘導してよい。
【0019】
ここで説明するようなフィッシャー・トロプシュ蝋から誘導した基油は、本明細書ではフィッシャー・トロプシュ誘導基油という。前記フィッシャー・トロプシュ誘導基油の製造に使用できるフィッシャー・トロプシュ法の例は、例えばいわゆるSasolの商用スラリー相蒸留物技術、Shell中間蒸留物合成法又はエクソンモービル“AGC−21”法である。これらの方法及びその他の方法は、例えばEP−A−776959、EP−A−668342、US−A−4943672、US−A−5059299、WO−A−9934917及びWO−A−9920720に詳細に記載されている。通常、これらのフィッシャー・トロプシュ合成生成物は、炭素原子数が1〜100、更には100を超える炭化水素を含有する。この炭化水素生成物は、ノーマルパラフィン、イソパラフィン、酸素化生成物及び不飽和生成物を含有する。基油が所望のイソパラフィン系生成物の1種ならば、比較的重質のフィッシャー・トロプシュ誘導原料を使用すると有利である。比較的重質のフィッシャー・トロプシュ誘導原料は、炭素原子数が30以上の化合物を30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは55重量%以上含有する。更に、フィッシャー・トロプシュ誘導原料中の炭素原子数60以上の化合物と炭素原子数30以上の化合物との重量比は、好ましくは少なくとも0.2、更に好ましくは少なくとも0.4、なお更に好ましくは少なくとも0.55である。好ましくはフィッシャー・トロプシュ誘導原料は、ASF−α値(Anderson−Schulz−Flory連鎖成長ファクター)が少なくとも0.925、好ましくは少なくとも0.935、更に好ましくは少なくとも0.945、なお更に好ましくは少なくとも0.955のC20+フラクションを含有する。このようなフィッシャー・トロプシュ誘導原料は、前述のような比較的重質のフィッシャー・トロプシュ生成物を生成するいずれの方法でも得られる。全てのフィッシャー・トロプシュ法が必ずしもこのような重質生成物を生成するものではない。好適なフィッシャー・トロプシュ法の例はWO−A−9934917に記載されている。フィッシャー・トロプシュ誘導基油は、硫黄及び窒素含有化合物を含有しないか、或いは極めて微量含有する。これは、殆ど不純物を含まない合成ガスを使用するフィッシャー・トロプシュ反応で誘導された生成物に普通のことである。硫黄及び窒素水準は、一般に現在、硫黄に対しては5mg/kg、窒素に対しては1mg/kgをそれぞれの検出限界とする限界未満である。
【0020】
本方法は、一般にフィッシャー・トロプシュ合成及び少なくとも水素化異性化工程を含む。水素化異性化工程は、(a)フィッシャー・トロプシュ生成物を好適な触媒の存在下で水素化分解/水素化異性化する工程、(b)工程(a)の生成物を1種以上の蒸留物燃料フラクションと、基油又は基油中間体フラクションとに分離する工程を含む。
【0021】
工程(b)で得られた基油の粘度及び流動点が所望通りならば、別途の処理は必要ではなく、この油は、本発明の基油として使用できる。所望ならば、基油中間体フラクションの流動点は、好ましい低流動点の油を得るため、好適には工程(b)で得られた油を溶剤脱蝋又は好ましくは接触脱蝋により工程(c)で更に低下させてよい。基油の所望粘度は、蒸留により中間体基油フラクション又は脱蝋油から所望粘度と一致する好適な沸点範囲の生成物を単離して得られる。蒸留は真空蒸留工程が好適かも知れない。
【0022】
工程(a)の水素化転化/水素化異性化反応は、水素及び触媒の存在下で行うことが好ましい。このような触媒は、該反応に好適であるとして当業者に知られているものから選択できるが、その幾つかは以下に詳細に説明する。触媒は、原則として、当該技術分野でパラフィン系分子の異性化に好適であることが知られているいかなる触媒であってもよい。一般に好適な水素化転化/水素化異性化触媒は、非晶質シリカ−アルミナ(ASA)、アルミナ、弗素化アルミナ、モレキュラシーブ(ゼオライト)又はこれら2種以上の混合物のような耐火性酸化物担体上に水素化成分を担持して構成される。本発明の水素化転化/水素化異性化工程に適用される好ましい触媒の第一の種類は、水素化成分として白金及び/又はパラジウムを含む水素化転化/水素化異性化触媒である。非常に好ましい水素化転化/水素化異性化触媒は、非晶質シリカ−アルミナ(ASA)担体上に白金及びパラジウムを担持して構成される。白金及び/又はパラジウムは、担体の総重量に対し元素として計算して、好適には0.1〜5.0重量%、更に好適には0.2〜2.0重量%存在する。両方存在する場合、白金対パラジウムの重量比は、広範な限界内で変化してよいが、好適には0.05〜10、更に好適には0.1〜5の範囲である。ASA触媒上の好適な貴金属の例は、例えばWO−A−9410264及びEP−A−0582347に開示されている。弗素化アルミナ担体上の白金のような他の好適な貴金属基触媒は、例えばUS−A−5059299及びWO−A−9220759に開示されている。
【0023】
好適な第二の種類の水素化転化/水素化異性化触媒は、少なくとも1種の第VIB族金属、好ましくはタングステン及び/又はモリブデンと、少なくとも1種の第VIII族非貴金属、好ましくはニッケル及び/又はコバルトとを水素化成分として含む触媒である。通常、両金属は酸化物、硫化物又はそれらの組合わせで存在してよい。第VIB族金属は、触媒の総重量に対し元素として計算して、好適には1〜35重量%、更に好適には5〜30重量%の量で存在する。第VIII族非貴金属は、担体の総重量に対し元素として計算して、好適には1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%の量で存在する。特に好適であることが判っている、この種の水素化転化触媒は、弗素化アルミナ上にニッケル及びタングステンを担持してなる触媒である。前記非貴金属系触媒は硫化物形態で使用することが好ましい。使用中、触媒を硫化物形態に維持するには、原料中に若干の硫黄が存在する必要がある。原料中には硫黄が好ましくは10mg/kg以上、更に好ましくは50〜150mg/kgの範囲で存在する。非硫化物形態で高活性であることが判っている、なお更に好ましい触媒は、第VIII族非貴金属、例えば鉄、ニッケルを、第IB族金属、例えば銅と共同で酸性支持体上に担持して構成される。銅は、パラフィンのメタンへの水素化分解を抑えるために存在することが好ましい。触媒の細孔容積は、水吸収法で測定して好ましくは0.35〜1.10ml/gの範囲であり、表面積はBET窒素吸着法で測定して好ましくは200〜500m/gの範囲であり、また嵩密度は0.4〜1.0g/mlの範囲である。触媒支持体は、アルミナが5〜96重量%、好ましくは20〜85重量%の広範囲で存在してよい非晶質シリカ−アルミナ製が好ましい。シリカ含有量は、SiOとして、好ましくは15〜80重量%の範囲である。支持体は、バインダー、例えばアルミナ、シリカ、第IVA族金属酸化物、及び各種粘土、マグネシア等、好ましくはアルミナ又はシリカを少量、例えば20〜30重量%含有してもよい。非晶質シリカ−アルミナ微小球体の製造については、Ryland,Lloyd B.,Tamele,M.W.及びWilson,J.N.,Cracking Catalysts,Catalysis;第VII巻、編集Paul H.Emmett,Reinhold Publishing Corporation,ニューヨーク、1960、pp.5−9に記載されている。この触媒は、溶液からこれら金属を支持体上に同時に含浸し、100〜150℃で乾燥し、次いで空気中、200〜550℃で焼成して製造される。第VIII族金属は約15重量%以下、好ましくは1〜12重量%の量で存在し、一方、第IB族金属は、通常、これより少量、第VIII族金属に対して、例えば1:2〜約1:20の重量比の量で存在する。
【0024】
この触媒は、溶液からのこれら金属を支持体上に同時に含浸し、100〜150℃で乾燥し、次いで空気中、200〜550℃で焼成して製造される。第VIII族金属は約15重量%以下、好ましくは1〜12重量%の量で存在し、一方、第IB族金属は、通常、これより少量、第VIII族金属に対して、例えば1:2〜約1:20の重量比の量で存在する。
通常の触媒を以下に示す。
Ni、重量% 2.5〜3.5
Cu、重量% 0.25〜0.35
Al−SiO重量% 65〜75
Al(バインダー)重量% 25〜30
表面積 290〜325m/g
細孔容積(Hg) 0.35〜0.45ml/g
嵩密度 0.58〜0.68g/ml
【0025】
他の種類の好適な水素化転化/水素化異性化触媒は、モレキュラシーブ型材料、好適には少なくとも1種の第VIII族金属成分、好ましくはPt及び/又はPdを水素化成分として含有するモレキュラシーブ型材料をベースとする触媒である。好適なゼオライト材料及びその他のアルミノシリケート材料としては、ゼオライトβ、ゼオライトY、超安定Y、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−48、MCM−68、ZSM−35、SSZ−32、フェリエライト、モルデナイト、及びSAPO−11、SAPO−31のようなシリカ−アルミノホスフェートが挙げられる。好適な水素化転化/水素化異性化触媒の例は、例えばWO−A−9201657に記載されている。これら触媒の組合せも可能である。極めて好適な水素化転化/水素化異性化方法は、ゼオライトβ又はZSM−48をベースとする触媒を使用する第一工程と、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−48、MCM−68、ZSM−35、SSZ−32、フェリエライト、モルデナイトをベースとする触媒を用いる第二工程とを含む方法である。後者のグループのうち、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−48が好ましい。このような方法の例は、US−A−20040065581に記載されている。この文献は、白金及びゼオライトβを含む第一工程触媒と白金及びZSM−48を含む第二工程触媒を用いる方法を開示している。これらの方法は、別途の脱蝋工程を必要としない基油生成物を生成できる。
【0026】
前述のようなシリカ−アルミナ担体を含む非晶質触媒を用いてフィッシャー・トロプシュ生成物に対し、まず第一水素化異性化工程を行い、次いでモレキュラシーブを含む触媒を用いて第二水素化異性化工程を行うという組合せも、本発明で使用される基油の好ましい製造法として確認された。更に好ましくは、第一及び第二工程は直列流で行う。最も好ましくは、前記非晶質触媒及び/又は結晶性触媒の床を含む単一反応器で行う。
【0027】
工程(a)では原料は、触媒の存在下、高温高圧で水素と接触させる。温度は通常、175〜380℃、好ましくは250℃より高く、更に好ましくは300〜370℃の範囲である。圧力は通常、10〜250バール、好ましくは20〜80バールの範囲である。水素は、ガスの1時間当り空間速度 100〜10000Nl/l/hr、好ましくは500〜5000Nl/l/hrで供給できる。炭化水素原料は、重量の1時間当り空間速度 0.1〜5kg/l/hr、好ましくは0.5kg/l/hrを超え、更に好ましくは2kg/l/hr未満で供給してよい。水素対炭化水素原料比は、100〜5000Nl/kg、好ましくは250〜2500Nl/kgの範囲であってよい。
【0028】
工程(a)での転化率は、1パス当り370℃よりも高い沸点を有する原料が、370℃より低い沸点を有するフラクションまで反応する原料の重量%として定義される。この転化率は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%であるが、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは65重量%以下である。前記定義で使用される原料は、工程(a)の全炭化水素原料であり、したがって、工程(b)で得られる高沸点フラクションを任意に再循環させた分も含まれる。
【0029】
工程(b)では工程(a)の生成物は、1種以上の蒸留物燃料フラクションと、 所望の粘度特性を有する基油又は基油前駆体フラクションとに分離される。流動点が所望の範囲でなければ、基油の流動点は、脱蝋工程(c)、好ましくは接触脱蝋により更に低下させる。このような実施態様では、工程(a)の生成物の広沸点範囲のフラクションを脱蝋するのが更に有利かも知れない。そうすると、得られる脱蝋生成物から、所望の粘度を有する1種以上の基油が蒸留により有利に単離できる。脱蝋は、例えばWO−A−02070629(この文献はここに援用する)に記載されるように、接触脱蝋で行うことが好ましい。脱蝋工程(c)の原料の最終沸点は、所望ならば工程(a)の生成物の最終沸点以下であってよい。
【0030】
基油成分の100℃での動粘度は、1〜25mm/sである。この100℃での動粘度は、好ましくは2〜15mm/s、更に好ましくは2.5〜8.5mm/s、なお更に好ましくは2.75〜5.5mm/sである。
100℃での動粘度は、なお好ましくは5.5mm/s未満、更に好ましくは4mm/s未満、最も好ましくは3mm/s未満である。フィッシャー・トロプシュ誘導基油の混合物も同様に使用できることは明らかである。基油の流動点は、好ましくは−30℃未満である。基油の引火点は、ASTM D92で測定して、好ましくは120℃を超え、更に好ましくは140℃さえ超える。
【0031】
潤滑基油の粘度指数は、100〜600、更に好ましくは110〜200、なお更に好ましくは120〜150の範囲である。
【0032】
潤滑油は基油成分としてパラフィン系基油を排他的に含有するか、複数のパラフィン系基油を組合わせるか、或いはパラフィン系基油を1種以上の追加の基油成分と組合わせて含有する。追加の基油は、全流体潤滑配合物に対し好適には20重量%未満、更に好ましくは10重量%未満、再び更に好ましくは5重量%未満含有する。このような基油の例は、鉱油をベースとするパラフィン型及びナフテン型基油及び合成基油、例えばポリ−α−オレフィン、ポリアルキレングリコール、エステル等である。
【0033】
潤滑油は、好ましくは更に飽和環式炭化水素を全潤滑油に対し5〜10重量%含有する。これは潤滑油中の各種異なる成分の低温相溶性を向上させるためである。
【0034】
本発明の潤滑油は、更に粘度向上剤を、0.01〜30重量%の量含有することが好ましい。粘度指数向上剤(VI向上剤、粘度調整剤又は粘度向上剤としても知られている)は、潤滑油に高低温操作性を付与する。これらの添加剤は低温で受容可能な粘度を付与し、また好ましくは剪断安定性である。本発明の潤滑油は、更に少なくとも1種の他の追加の潤滑油成分、例えば極性及び/又は非極性の潤滑基油、及び性能添加剤を有効量含有することが好ましい。性能添加剤は、限定されるものではないが、例えば金属性無灰分酸化防止剤、無灰分分散剤、金属性無灰分洗浄剤、腐食兼錆防止剤、金属失活剤、金属性及び非金属性低灰分−燐含有及び燐非含有−、硫黄含有及び硫黄非含有−耐摩耗剤、金属性及び非金属性低灰分−燐含有及び燐非含有−、硫黄含有及び硫黄非含有−極圧添加剤、焼付き防止剤、流動点降下剤、蝋改質剤、粘度調整剤、シール適合性剤、摩擦調整剤、潤滑性剤、汚染防止剤、発色剤、消泡剤、解乳化剤、及び通常使用される添加剤パッケージである。多数の常用添加剤の検討については、D.Klamann in Lubricants and Related Products(潤滑油及び関連製品),Verlag Chemie,Deerfield Beach,フロリダ;ISBN 0−89573−177−0、及びM.W.Ranneyによる“Lubricant Additives(潤滑性添加剤)”,Noyes Data Corporation of Parkridge,ニュージャージー(1973)発行参照。
【0035】
本燃料組成物は圧縮点火エンジン用に好適で、即ち、沸点範囲及び他の構造により圧縮点火エンジン用燃料として働かせるのに好適な1種以上の燃料成分を含有する。したがって、燃料組成物は、オクタン価が40以上、硫黄含有量が100ppm未満、及び引火点が68℃以上である。
【0036】
燃料成分の沸点は通常のディーゼル燃料(“ガス油”)の沸点範囲、即ち、約150〜400℃又は170〜370℃の範囲である。好適には300〜370℃の90%w/w蒸留温度を有する。燃料組成物は、全体として、例えば硫黄含有量が500ppmw(重量ppm)以下、好ましくは350ppmw以下、最も好ましくは100又は50ppmw以下、或いは更には10ppmw以下の低又は超低硫黄燃料組成物或いは硫黄を含まない燃料組成物であることが好ましい。
【0037】
燃料組成物が自動車用ディーゼル燃料組成物の場合、例えばEN 590:99のような現在、利用可能な標準規格内に入ることが好ましい。密度は好適には15℃で0.82〜0.845g/cm、最終沸点(ASTM D86)は360℃以下、セタン価(ASTM D613)は51以上、動粘度(ASTM D445)は40℃で2〜4.5cSt、硫黄含有量(ASTM D622)は350ppmw以下、及び/又は合計芳香族含有量(IP 391(mod))は11未満である。
【0038】
燃料組成物は1種以上の燃料成分を含有し、そのうち少なくとも1種はパラフィン系ガス油成分であることが好ましい。パラフィン系ガス油成分は、密度が15℃で0.76〜0.79g/cm、セタン価(ASTM D613)が65以上、好ましくは70を超え、好適には74〜85、動粘度(ASTM D445)が40℃で2〜4.5、好ましくは2.5〜4.0、更に好ましくは2.9〜3.7cSt、硫黄含有量(ASTM D2622)が5ppmw以下、好ましくは2ppmw以下である。
【0039】
燃料組成物はパラフィン系成分、好ましくはイソ−及び線状パラフィンを、好ましくは80%w/w以上、更に好ましくは90%w/w以上、最も好ましくは95%w/w以上含有する。イソパラフィン対ノーマルパラフィンの重量比は、好適には0.3を超え、12以下であってよく、好適には2〜6である。燃料組成物は芳香族化合物を10質量%未満含有する。
【0040】
パラフィン系ガス油成分は、フィッシャー・トロプシュ合成法で、特にガス油及び/又はケロシンの沸点範囲を有する生成物フラクションから得ることが好ましい。
この燃料自体は、添加剤を含有してもよいし、含有しなくてもよい。添加剤を含有する場合、例えば帯電防止剤、パイプラインドラッグレデューサー(drag reducer)、流れ改良剤(例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体又はアクリレート/無水マレイン酸共重合体)、潤滑性添加剤、酸化防止剤及び蝋沈降防止剤から選ばれる1種以上の添加剤を含む。
【0041】
本発明は更に、ディーゼル粒子トラップを備えたディーゼルエンジンを、パラフィン含有量が80重量%を超え、飽和物含有量が98重量%を超え、かつ(i)炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4(但し、nは15〜40)の一連のイソパラフィンを含有する基油又は基材を含む潤滑油組成物で潤滑する工程を含む前記ディーゼルエンジンの操作方法に関する。
【0042】
この方法は、全体の燃費及び排気ガス放出物を低減しながら、同時にDPT成分の寿命を延ばすという利点を有する。更に、潤滑油の酸化安定性が高いため、潤滑油の品質に影響を及ぼすことなく、操作時間を延長でき、したがって、エンジンを腐食させる有機酸のような酸化生成物の形成を低下させる。
以下の非限定的実施例により本発明を更に説明する。
【実施例】
【0043】
実施例1
背合わせ試験を用いた実験において、ユーロ4ディーゼルエンジン搭載メルセデスC級乗用車を、GTL基油(油A)又は鉱物水素化蝋(hydrowax)系グループIII基油(油B)のいずれかとブレンドした同等の5W−40エンジンクランクケース潤滑油配合物で走行させた。各車は、車対車(car−to−car)効果を考慮して、A−B−A又はB−A−Bの順序の潤滑油で走行させた。複数のディーゼル粒子トラップ(DPT)を、その上流の熱電対及び下流の熱電対の複数対でモニターした。
【0044】
ディーゼル粒子トラップの再生頻度は、トラップを横断する温度差スパイクにより排気システム内の背圧ピークとしてモニターした。トラップの再生頻度は、10,000マイルの油排出間隔(ODI)の間中、ダータロガーにより連続的にモニターした。
【0045】
燃料組成物
2種の自動車用ガス油組成物を製造した。フィッシャー・トロプシュ自動車用ガス油(F−T AGO)ブレンドで、R655潤滑性向上剤及びSTADIS 450帯電防止剤を250mg/kg含むベース燃料(S040990)からなる。従来の自動車用ガス油(鉱物AGO)は、ヨーロッパEN590規格に適合する50ppm硫黄燃料である。燃料コードはDK1703である。両燃料の組成を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
ガス油燃料F1はEP−A−0583836に記載の方法と同様にして、2段階水素化転化法により製造したフィッシャー・トロプシュ(FT)(SMDS)合成生成物である。比較用燃料は、従来の鉱油誘導低硫黄自動車用ガス油である。
【0048】
潤滑油
2種の潤滑油組成物を使用した。この試験の目的のため、基油はグループIII基油とした。
2種のフィッシャー・トロプシュ誘導基油(BO1及びBO2)は、マレーシア(Bintulu,マレーシア)のシェルMDSで得られた水素化異性化フィッシャー・トロプシュ蝋から接触脱蝋して得られた基油である。
【0049】
比較のため、水素化蝋供給原料(燃料水素化分解器塔底蝋)スレートから誘導した2種の鉱物誘導基油(BO3及びBO4)を使用した。これらの基油は、SK Corporation,Ulsan,韓国からYuBaseグループIII基油(YuBaseは商標)として市販されている。BO1及びBO2もBO3及びBO4も市販の添加剤パッケージを含む潤滑油に配合した。これらの配合物は、現在の商用5W−40 APICH4 Low SAPSディーゼルエンジン油をベースとする(表2参照)。フィッシャー・トロプシュブレンドは、100℃での動粘度及び−30℃でのコールドクランク粘度(VdCCS)がYuBaseブレンドと同等であった。表3は配合物の特性を示す。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】


以上に示した潤滑油組成物及び燃料組成物を使用して、それぞれ自動車用ユーロ4エンジンを操作した(表4)。
【0052】
【表4】


DPT再生頻度は次のように測定した。
【0053】
メルセデスユーロ4軽質ディーゼルエンジンについてのDPT再生頻度:
1つはディーゼル粒子トラップの上流に置き、1つは同トラップの下流に置いた2つの熱電対を用いてディーゼル粒子トラップ(DPT)をモニターした各熱電対(K型熱電対)の温度は、Grant SQ800データロガーを用いて記録した。データ記録の停止/開始として働かせるため、データロガーには点火信号も供給した。データロガーからデータをデータ処理用Micro Soft Excelスプレッドシートにダウンロードした。再生事象は、有機堆積物を燃焼させるため、DPTへの燃料噴射による顕著な温度上昇を含む。熱電対により、DPTでの最高温度事象は、自動車の作動中、連続的にモニターできた。これら2つの熱電対間の示差温度は、再生事象についての一層正確な表示を与えた。
【0054】
得られたデータを図2及び図3に示す。図2、3から明らかなように、GTL潤滑油の場合、再生頻度の利点はODIの第二の5000マイルで特に明示された。これはトラップがGTLベースの潤滑油により長い間、良好な状態を維持するばかりでなく、再生方法で燃料の使用量が少なくなる結果、最小限の(marginal)燃費の向上になることも意味する。自動車をGTLベースの潤滑油で走行させた場合、低い再生頻度から明らかなように、ディーゼル粒子トラップの条件という点では指導的な(directional)利点があることが見出された。
試験中、ディーゼル粒子再生の合計数を下記表5に示す。
【0055】
【表5】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】US−A−6651614
【特許文献2】EP−A−1108862
【特許文献3】EP−A−1251248
【特許文献4】WO−A−2004046283
【特許文献5】EP−A−1567622
【特許文献6】EP−A−776959
【特許文献7】EP−A−668342
【特許文献8】US−A−4943672
【特許文献9】US−A−5059299
【特許文献10】WO−A−9934917
【特許文献11】WO−A−9920720
【特許文献12】WO−A−9201657
【特許文献13】US−A−20040065581
【特許文献14】WO−A−02070629
【非特許文献】
【0057】
【非特許文献1】Ryland,Lloyd B.,Tamele,M.W.及びWilson,J.N.,Cracking Catalysts,Catalysis;第VII巻、編集Paul H.Emmett,Reinhold Publishing Corporation,ニューヨーク、1960、pp.5−9
【非特許文献2】D.Klamann in Lubricants and Related Products(潤滑油及び関連製品),Verlag Chemie,Deerfield Beach,フロリダ;ISBN 0−89573−177−0、及びM.W.Ranneyによる“Lubricant Additives(潤滑性添加剤)”,Noyes Data Corporation of Parkridge,ニュージャージー(1973)発行

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能なディーゼル粒子トラップを備えたディーゼルエンジンに、パラフィン含有量が80重量%を超え、飽和物含有量が98重量%を超え、かつ炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4(但し、nは15〜40)の一連のイソパラフィンを含有する基油を含む潤滑油を使用する方法。
【請求項2】
前記基油は、100℃での動粘度が3〜25mm/sである請求項1に記載の使用法。
【請求項3】
前記潤滑油組成物は、100℃での動粘度が5.0mm/s(cSt)を超え、ASTM D5293による−15℃での冷時始動疑似動力学粘度が9500mPas(cP)未満であり、ASTM D4684による−20℃での小型回転粘度試験値が60000mPas(cP)未満である請求項1又は2に記載の使用法。
【請求項4】
前記燃料がフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用法。
【請求項5】
前記フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、パラフィン炭素数がC8からC18に増大するのに従って、一般に増大するイソパラフィン対n−パラフィン質量比を有すると共に、前記燃料は硫黄を0.05%m/m未満及び芳香族を10質量%未満含有する請求項4に記載の使用法。
【請求項6】
ディーゼル粒子トラップを備えたディーゼルエンジンを、パラフィン含有量が80重量%を超え、飽和物含有量が98重量%を超え、かつ(i)炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4(但し、nは15〜40)の一連のイソパラフィンを含有する基油又は基材を含む潤滑油組成物で潤滑する工程を含む前記ディーゼルエンジンの操作方法。
【請求項7】
前記基油の100℃での動粘度が3〜25mm/sである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記潤滑油組成物は、100℃での動粘度が0.5mm/s(cSt)を超え、ASTM D5293による−15℃での冷時始動擬似動力学粘度が9500mPas(cP)未満であり、ASTM D4684による−20℃での小型回転式粘度試験値が60000mPas未満である請求項6又は7に記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−537035(P2010−537035A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522383(P2010−522383)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061363
【国際公開番号】WO2009/027496
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】