説明

潤滑油劣化センサー、産業用ロボット用減速機および産業用ロボット

【課題】 機械の潤滑油中の汚染物質の種類および量を即時に特定可能にすることができる潤滑油劣化センサーを提供する。
【解決手段】 産業用ロボットに設置されて産業用ロボットの潤滑油131aの劣化を検出するための潤滑油劣化センサー139bは、光を発する白色LED72と、受けた光の色を検出するRGBセンサー73と、潤滑油131aが侵入するための油用隙間60aが形成された隙間形成部材60と、白色LED72、RGBセンサー73および隙間形成部材60を支持する支持部材30と、産業用ロボットに固定されるための筐体20とを備えており、隙間形成部材60は、白色LED72によって発せられる光を透過させ、油用隙間60aは、白色LED72からRGBセンサー73までの光路上に配置されており、筐体20は、支持部材30が回転する場合に油用隙間60aの開口の方向が変化するように支持部材30を回転可能に支持していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械の潤滑油の劣化を検出するための潤滑油劣化センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、潤滑油劣化センサーとして、潤滑油が侵入するためのオイル侵入用空隙部を赤外LED(Light Emitting Diode)からフォトダイオードまでの光路上に形成し、赤外LEDの出射光に対するオイル侵入用空隙部内の潤滑油による光吸収量をフォトダイオードの受光量によって測定することによって、測定した光吸収量と相関する潤滑油の劣化度を判定するオイル劣化度センサーが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたオイル劣化度センサーは、潤滑油の劣化度として潤滑油中の不溶解分の濃度を測定することができるが、潤滑油中の汚染物質の種類を特定することができないという問題がある。
【0004】
潤滑油中の汚染物質の種類を特定する技術としては、潤滑油の濾過後のメンブランフィルタにLEDによって光を照射して、メンブランフィルタ上の汚染物質からの反射光を受光素子でRGBのデジタル値に変換し、変換したRGBのデジタル値に基づいて潤滑油中の汚染物質の種類を特定する技術が知られている(例えば、非特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−146233号公報
【特許文献2】特開平10−104160号公報
【非特許文献1】山口 智彦、外4名、「潤滑油汚染物質の色相判別法」、福井大学 工学部 研究報告、2003年3月、第51巻、第1号、p.81-88
【非特許文献2】本田 知己、「潤滑油の劣化診断・検査技術」、精密工学会誌、2009年、第75巻、第3号、p.359-362
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1、2に記載された技術は、機械から潤滑油を抜き取ってメンブランフィルタで濾過する必要があり、即時性に欠けるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、機械の潤滑油中の汚染物質の種類および量を即時に特定可能にすることができる潤滑油劣化センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の潤滑油劣化センサーは、機械に設置されて前記機械の潤滑油の劣化を検出するための潤滑油劣化センサーであって、光を発する発光素子と、受けた光の色を検出するカラー受光素子と、前記潤滑油が侵入するための隙間である油用隙間が形成された隙間形成部材と、前記発光素子、前記カラー受光素子および前記隙間形成部材を支持する支持部材と、前記機械に固定されるための固定部材とを備えており、前記隙間形成部材は、前記発光素子によって発せられる光を透過させ、前記油用隙間は、前記発光素子から前記カラー受光素子までの光路上に配置されており、前記固定部材は、前記支持部材が回転する場合に前記油用隙間の開口の方向が変化するように前記支持部材を回転可能に支持していることを特徴とする。
【0009】
この構成により、本発明の潤滑油劣化センサーは、発光素子によって発せられた光のうち油用隙間において潤滑油中の鉄粉などの汚染物質によって吸収されなかった波長の光に対して、カラー受光素子によって色を検出するので、機械の潤滑油中の汚染物質の色を即時に検出することができる。つまり、本発明の潤滑油劣化センサーは、カラー受光素子によって検出した色に基づいて機械の潤滑油中の汚染物質の種類および量を即時に特定可能にすることができる。また、本発明の潤滑油劣化センサーは、固定部材が機械に固定された場合に機械の潤滑油の劣化の検出の精度が高くなるように、固定部材が機械に固定された場合の油用隙間の開口の方向が調整されることができる。
【0010】
また、本発明の潤滑油劣化センサーの前記支持部材は、前記固定部材に対する回転の駆動力を接触力によって外部から受ける部分である回転駆動力受部を、前記固定部材が前記機械に固定された場合に前記潤滑油に触れない位置に備えていても良い。
【0011】
この構成により、本発明の潤滑油劣化センサーは、固定部材が機械に固定された後で、機械の潤滑油の劣化の検出の精度が高くなるように、固定部材が機械に固定された場合の油用隙間の開口の方向が調整されることができる。
【0012】
また、本発明の潤滑油劣化センサーは、前記支持部材および前記固定部材の両方に接触することによって前記固定部材に対する前記支持部材の回転を防止する回転防止部材を備えており、前記回転防止部材は、前記支持部材および前記固定部材の両方に接触するための駆動力を接触力によって外部から受ける部分である接触用駆動力受部を、前記固定部材が前記機械に固定された場合に前記潤滑油に触れない位置に備えていても良い。
【0013】
この構成により、本発明の潤滑油劣化センサーは、固定部材が機械に固定された後で、機械の潤滑油の劣化の検出の精度が高くなるように、固定部材が機械に固定された場合の油用隙間の開口の方向が固定されることができる。
【0014】
本発明の潤滑油劣化センサーの前記発光素子は、白色の光を発する白色LEDであっても良い。
【0015】
この構成により、本発明の潤滑油劣化センサーは、発光素子が例えばLED以外のランプである構成と比較して、小型化することができる。
【0016】
また、本発明の潤滑油劣化センサーの前記隙間形成部材は、前記光路を曲げる反射面が形成されていても良い。
【0017】
この構成により、本発明の潤滑油劣化センサーは、発光素子からカラー受光素子までの光路が一直線である構成と比較して、発光素子およびカラー受光素子を近くに配置して全体を小型化することができる。また、本発明の潤滑油劣化センサーは、隙間形成部材が油用隙間を形成する役割だけでなく、光路を曲げる役割も備えているので、隙間形成部材の代わりに光路を曲げる部材を別途備える構成と比較して、部品点数を減らすことができる。
【0018】
また、本発明の潤滑油劣化センサーの前記隙間形成部材は、前記光路を90度曲げる前記反射面がそれぞれ形成されている2つの直角プリズムを備えており、前記2つの直角プリズムの前記反射面によって前記光路を180度曲げ、前記油用隙間は、前記2つの直角プリズムの間に形成されていても良い。
【0019】
この構成により、本発明の潤滑油劣化センサーは、部品点数の少ない簡単な構成で小型化することができる。
【0020】
また、本発明の潤滑油劣化センサーの前記支持部材は、前記光路の少なくとも一部を囲む光路囲み部を備えており、前記光路囲み部は、光の反射を防止する処理が表面に施されていても良い。
【0021】
この構成により、本発明の潤滑油劣化センサーは、不要な反射光をカラー受光素子が受けることを防止するので、不要な反射光をカラー受光素子が受ける構成と比較して、潤滑油中の汚染物質の色の検出精度を向上することができる。
【0022】
また、本発明の潤滑油劣化センサーの前記隙間形成部材のうち前記油用隙間を形成する面は、撥油処理が施されていても良い。
【0023】
この構成により、本発明の潤滑油劣化センサーは、潤滑油に油用隙間を容易に流通させるので、潤滑油が油用隙間に滞り易い構成と比較して、潤滑油中の汚染物質の色の検出精度を向上することができる。また、本発明の潤滑油劣化センサーは、油用隙間を形成する面に撥油処理が施されている場合、油用隙間を形成する面に汚れが付着し難いので、潤滑油中の汚染物質の色の検出精度が汚れの付着によって低下することを抑えることができる。
【0024】
本発明の産業用ロボット用減速機は、潤滑油劣化センサーと、前記機械としての減速機本体とを備えていることを特徴とする。
【0025】
この構成により、産業用ロボット用減速機の潤滑油劣化センサーは、カラー受光素子によって検出した色に基づいて減速機本体の潤滑油中の汚染物質の種類および量を即時に特定可能にすることができる。したがって、本発明の産業用ロボット用減速機は、即時の故障の予知を可能にすることができる。また、産業用ロボット用減速機の潤滑油劣化センサーは、固定部材が機械に固定された場合の油用隙間の開口の方向が調整されることができる。したがって、本発明の産業用ロボット用減速機は、精度の高い故障の予知を可能にすることができる。
【0026】
本発明の産業用ロボットは、潤滑油劣化センサーと、前記機械としての産業用ロボット本体とを備えており、前記産業用ロボット本体は、アームと、前記アームの関節部に使用される減速機とを備えており、前記潤滑油劣化センサーは、前記減速機の潤滑油の劣化を検出するためのセンサーであることを特徴とする。
【0027】
この構成により、本発明の産業用ロボットの潤滑油劣化センサーは、カラー受光素子によって検出した色に基づいて減速機の潤滑油中の汚染物質の種類および量を即時に特定可能にすることができる。したがって、本発明の産業用ロボットは、即時の故障の予知を可能にすることができる。また、本発明の産業用ロボットの潤滑油劣化センサーは、固定部材が機械に固定された場合の油用隙間の開口の方向が調整されることができる。したがって、本発明の産業用ロボットは、精度の高い故障の予知を可能にすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の潤滑油劣化センサーは、機械の潤滑油中の汚染物質の種類および量を即時に特定可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態に係る産業用ロボットの側面図である。
【図2】図1に示す産業用ロボットの関節部の断面図である。
【図3】図2に示す潤滑油劣化センサーの正面図である。
【図4】アームに取り付けられた状態での図3に示す潤滑油劣化センサーの正面断面図である。
【図5】(a)は、図3に示す潤滑油劣化センサーの平面図である。(b)は、図3に示す潤滑油劣化センサーの底面図である。
【図6】(a)は、図3に示す筐体の正面図である。(b)は、図3に示す筐体の正面断面図である。
【図7】(a)は、図3に示す筐体の側面図である。(b)は、図3に示す筐体の側面断面図である。
【図8】(a)は、図3に示す筐体の平面図である。(b)は、図3に示す筐体の底面図である。
【図9】(a)は、図3に示すホルダーの正面図である。(b)は、図3に示すホルダーの正面断面図である。
【図10】(a)は、図3に示すホルダーの側面図である。(b)は、図3に示すホルダーの側面断面図である。
【図11】(a)は、図3に示すホルダーの平面図である。(b)は、図3に示すホルダーの底面図である。
【図12】図4に示す白色LEDからRGBセンサーまでの光路を示す図である。
【図13】(a)は、図3に示すホルダーキャップの正面図である。(b)は、図3に示すホルダーキャップの正面断面図である。
【図14】(a)は、図3に示すホルダーキャップの平面図である。(b)は、図3に示すホルダーキャップの底面図である。
【図15】潤滑油の流れに対する図3に示す油用隙間の開口の方向と、RGBセンサーによって検出された色の黒色に対する色差ΔEとの関係の一例を示す図である。
【図16】(a)は、潤滑油の流れに対する図3に示す油用隙間の開口の方向が0°である状態を示す図である。(b)は、潤滑油の流れに対する図3に示す油用隙間の開口の方向が45°である状態を示す図である。(c)は、潤滑油の流れに対する図3に示す油用隙間の開口の方向が90°である状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0031】
まず、本実施の形態に係る産業用ロボットの構成について説明する。
【0032】
図1は、本実施の形態に係る産業用ロボット100の側面図である。
【0033】
図1に示すように、産業用ロボット100は、床、天井などの設置部分900に取り付けられる取付部111と、アーム112〜116と、取付部111およびアーム112を接続する関節部120と、アーム112およびアーム113を接続する関節部130と、アーム113およびアーム114を接続する関節部140と、アーム114およびアーム115を接続する関節部150と、アーム115およびアーム116を接続する関節部160と、アーム116および図示していないハンドを接続する関節部170とを備えている。
【0034】
なお、産業用ロボット100のうち、後述の潤滑油劣化センサー137a、137b、139a、139bなどの潤滑油劣化センサーを除いた部分は、本発明の産業用ロボット本体を構成している。
【0035】
図2は、関節部130の断面図である。なお、以下においては、関節部130について説明するが、関節部120、140〜170についても同様である。
【0036】
図2に示すように、関節部130は、アーム112およびアーム113を接続する本発明の産業用ロボット用減速機としての減速機131と、ボルト138aによってアーム112に固定されたモータ138と、減速機131の潤滑油131aの劣化を検出するための潤滑油劣化センサー139aおよび潤滑油劣化センサー139bとを備えている。
【0037】
減速機131は、減速機本体132と、減速機本体132の潤滑油131aの劣化を検出するための潤滑油劣化センサー137aおよび潤滑油劣化センサー137bとを備えている。
【0038】
減速機本体132は、ボルト133aによってアーム112に固定されたケース133と、ボルト134aによってアーム113に固定された支持体134と、モータ138の出力軸に固定された歯車135aと、減速機131の中心軸の周りに等間隔に3個配置されていて歯車135aと噛み合う歯車135bと、減速機131の中心軸の周りに等間隔に3個配置されていて歯車135bに固定されたクランク軸135cと、ケース133に設けられた内歯歯車と噛み合う2個の外歯歯車136とを備えている。
【0039】
支持体134は、ケース133に軸受133bを介して回転可能に支持されている。ケース133と、支持体134との間には、潤滑油131aの漏れを防止するためのシール部材133cが設けられている。
【0040】
クランク軸135cは、支持体134に軸受134bを介して回転可能に支持されているとともに、外歯歯車136に軸受136aを介して回転可能に支持されている。
【0041】
潤滑油劣化センサー137aおよび潤滑油劣化センサー137bは、ケース133に固定されている。潤滑油劣化センサー139aは、アーム112に固定されている。潤滑油劣化センサー139bは、アーム113に固定されている。
【0042】
図3は、潤滑油劣化センサー139bの正面図である。図4は、アーム113に取り付けられた状態での潤滑油劣化センサー139bの正面断面図である。図5(a)は、潤滑油劣化センサー139bの平面図である。図5(b)は、潤滑油劣化センサー139bの底面図である。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0043】
図3〜図5に示すように、潤滑油劣化センサー139bは、潤滑油劣化センサー139bの各部品を支持するアルミニウム合金製の筐体20と、後述の白色LED72、RGBセンサー73および隙間形成部材60を支持する支持部材30と、支持部材30に保持された隙間形成部材60と、白色LED72およびRGBセンサー73を備えている電子部品群70とを備えている。
【0044】
支持部材30は、筐体20に六角穴付ボルト12によって固定されている。支持部材30は、アルミニウム合金製のホルダー40と、ホルダー40に六角穴付ボルト13によって固定されたアルミニウム合金製のホルダーキャップ50とを備えている。
【0045】
隙間形成部材60は、2つのガラス製の直角プリズム61、62によって構成されており、潤滑油131aが侵入するための隙間である油用隙間60aが2つの直角プリズム61、62の間に形成されている。
【0046】
電子部品群70は、支持部材30にネジ11によって固定された回路基板71と、回路基板71に実装された白色LED72と、回路基板71に実装されたRGBセンサー73と、回路基板71に対して白色LED72およびRGBセンサー73側とは反対側に配置された回路基板74と、回路基板71および回路基板74を固定する複数本の柱75と、回路基板74に対して回路基板71側とは反対側に配置された回路基板76と、回路基板74および回路基板76を固定する複数本の柱77と、回路基板74側とは反対側に回路基板76に実装されたコネクタ78とを備えている。回路基板71、回路基板74および回路基板76は、複数の電子部品が実装されている。また、回路基板71、回路基板74および回路基板76は、互いに電気的に接続されている。
【0047】
潤滑油劣化センサー139bは、筐体20およびアーム113の間からの潤滑油131aの漏れを防止するOリング14と、筐体20およびホルダー40の間からの潤滑油131aの漏れを防止するOリング15と、筐体20およびホルダーキャップ50の間に配置されたOリング16とを備えている。
【0048】
図6(a)は、筐体20の正面図である。図6(b)は、筐体20の正面断面図である。図7(a)は、筐体20の側面図である。図7(b)は、筐体20の側面断面図である。図8(a)は、筐体20の平面図である。図8(b)は、筐体20の底面図である。
【0049】
図3〜図8に示すように、筐体20は、アーム113のネジ穴113aに固定されるためのネジ部21と、アーム113のネジ穴113aに対してネジ部21が回転させられるときにスパナなどの工具によって掴まれるための工具接触部22と、ホルダー40が収納されるホルダー収納部23とを備えている。また、筐体20は、六角穴付ボルト12がねじ込まれるためのネジ穴24と、Oリング14が嵌る溝25と、Oリング16が嵌る溝26とが形成されている。筐体20は、産業用ロボット100のアーム113、すなわち、産業用ロボット本体に固定されるようになっており、本発明の固定部材を構成している。
【0050】
図9(a)は、ホルダー40の正面図である。図9(b)は、ホルダー40の正面断面図である。図10(a)は、ホルダー40の側面図である。図10(b)は、ホルダー40の側面断面図である。図11(a)は、ホルダー40の平面図である。図11(b)は、ホルダー40の底面図である。図12は、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10aを示す図である。
【0051】
図3〜図5および図9〜図12に示すように、ホルダー40は、直角プリズム61が収納されるプリズム収納部41と、直角プリズム62が収納されるプリズム収納部42と、白色LED72が収納されるLED収納部43と、RGBセンサー73が収納されるRGBセンサー収納部44とを備えている。また、ホルダー40は、プリズム収納部41およびLED収納部43を連通する穴45と、プリズム収納部42およびRGBセンサー収納部44を連通する穴46と、ネジ11がねじ込まれるためのネジ穴47と、六角穴付ボルト13がねじ込まれるためのネジ穴48と、Oリング15が嵌る溝49とが形成されている。
【0052】
プリズム収納部41は、直角プリズム61を挟み込む2つの壁41aを備えており、壁41aにおいて接着剤によって直角プリズム61を固定している。プリズム収納部42は、直角プリズム62を挟み込む2つの壁42aを備えており、壁42aにおいて接着剤によって直角プリズム62を固定している。
【0053】
ホルダー40は、LED収納部43、穴45、プリズム収納部41、プリズム収納部42、穴46およびRGBセンサー収納部44によって、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10aの少なくとも一部を囲んでおり、本発明の光路囲み部を構成している。
【0054】
ホルダー40は、例えば艶消しの黒アルマイト処理のように、光の反射を防止する処理が表面に施されている。
【0055】
なお、ホルダー40は、回路基板71を介して白色LED72およびRGBセンサー73を支持している。また、ホルダー40は、隙間形成部材60を直接支持している。
【0056】
図12に示すように、隙間形成部材60の油用隙間60aは、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10a上に配置されている。
【0057】
直角プリズム61、62は、白色LED72によって発せられる光を透過させる。直角プリズム61は、白色LED72によって発せられる光が入射する入射面61aと、入射面61aから入射した光を反射して光の進行方向を90度曲げる反射面61bと、反射面61bで反射した光が出射する出射面61cとが形成されている。直角プリズム62は、直角プリズム61の出射面61cから出射した光が入射する入射面62aと、入射面62aから入射した光を反射して光の進行方向を90度曲げる反射面62bと、反射面62bで反射した光が出射する出射面62cとが形成されている。
【0058】
直角プリズム61の入射面61a、反射面61bおよび出射面61cと、直角プリズム62の入射面62a、反射面62bおよび出射面62cとは、光学研磨されている。また、直角プリズム61の反射面61bと、直角プリズム62の反射面62bとは、アルミ蒸着膜が施されている。そして、硬度や密着力が弱いアルミ蒸着膜を保護するために、SiO2膜がアルミ蒸着膜上に更に施されている。
【0059】
光路10aは、直角プリズム61の反射面61bで90度曲げられていて、直角プリズム62の反射面62bでも90度曲げられている。すなわち、光路10aは、隙間形成部材60によって180度曲げられている。
【0060】
直角プリズム61の出射面61cと、直角プリズム62の入射面62aとの距離、すなわち、油用隙間60aの長さは、例えば1mmである。油用隙間60aの長さが短過ぎる場合、潤滑油131a中の汚染物質が油用隙間60aを適切に流通し難いので、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度が落ちる。一方、油用隙間60aの長さが長過ぎる場合、白色LED72から発せられた光が油用隙間60a内の潤滑油131a中の汚染物質によって吸収され過ぎてRGBセンサー73まで届き難いので、やはり潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度が落ちる。したがって、油用隙間60aの長さは、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度が高くなるように、適切に設定されることが好ましい。
【0061】
白色LED72は、白色の光を発する電子部品であり、本発明の発光素子を構成している。白色LED72として、例えば、日亜化学工業株式会社製のNSPW500GS-K1が使用されても良い。
【0062】
RGBセンサー73は、受けた光の色を検出する電子部品であり、本発明のカラー受光素子を構成している。RGBセンサー73として、例えば、浜松ホトニクス株式会社製のS9032-02が使用されても良い。
【0063】
図4に示すように、コネクタ78は、潤滑油劣化センサー139bの外部の装置のコネクタ95が接続されて、外部の装置からコネクタ95を介して電力が供給されるとともに、潤滑油劣化センサー139bの検出結果を電気信号としてコネクタ95を介して外部の装置に出力するようになっている。
【0064】
図13(a)は、ホルダーキャップ50の正面図である。図13(b)は、ホルダーキャップ50の正面断面図である。図14(a)は、ホルダーキャップ50の平面図である。図14(b)は、ホルダーキャップ50の底面図である。
【0065】
図3〜図5、図13および図14に示すように、ホルダーキャップ50は、筐体20に対して支持部材30が回転させられるときに六角レンチなどの工具と接触するための工具接触部51を備えている。工具接触部51は、筐体20に対する支持部材30の回転の駆動力を接触力によって外部から受ける部分であり、本発明の回転駆動力受部を構成している。工具接触部51は、筐体20がアーム113に固定された場合に潤滑油131aに触れない位置に配置されている。また、ホルダーキャップ50は、コネクタ78が挿入される穴52と、六角穴付ボルト13が挿入されるための穴53とが形成されている。
【0066】
ホルダーキャップ50は、例えば艶消しの黒アルマイト処理のように、光の反射を防止する処理が表面に施されている。
【0067】
図3および図4に示すように、六角穴付ボルト12は、支持部材30および筐体20の両方に接触することによって筐体20に対する支持部材30の回転を防止するようになっており、本発明の回転防止部材を構成している。六角穴付ボルト12は、六角レンチなどの工具と接触するための工具接触部12aを備えている。工具接触部12aは、支持部材30および筐体20の両方に接触するための駆動力を接触力によって外部から受ける部分であり、本発明の接触用駆動力受部を構成している。工具接触部12aは、筐体20がアーム113に固定された場合に潤滑油131aに触れない位置に配置されている。
【0068】
次に、潤滑油劣化センサー139bの組立方法について説明する。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0069】
まず、ホルダー40のプリズム収納部41のうち直角プリズム61の入射面61aと接触する面と、直角プリズム61の面のうちプリズム収納部41の2つの壁41aとそれぞれ接触する2つの面とに接着剤が塗られ、その接着剤によってプリズム収納部41に直角プリズム61が固定される。また、ホルダー40のプリズム収納部42のうち直角プリズム62の出射面62cと接触する面と、直角プリズム62の面のうちプリズム収納部42の2つの壁42aとそれぞれ接触する2つの面とに接着剤が塗られ、その接着剤によってプリズム収納部42に直角プリズム62が固定される。また、ホルダー40のLED収納部43に白色LED72が接着剤によって固定される。
【0070】
次いで、RGBセンサー73が実装された回路基板71がホルダー40にネジ11によって固定され、白色LED72が回路基板71にハンダによって固定される。更に、コネクタ78など、各種の電子部品が組み上げられて電子部品群70がホルダー40に支持される。
【0071】
次いで、ホルダーキャップ50がホルダー40に六角穴付ボルト13によって固定される。
【0072】
最後に、Oリング15が取り付けられたホルダー40が、Oリング14およびOリング16が取り付けられた筐体20のホルダー収納部23に六角穴付ボルト12によって固定される。
【0073】
次に、アーム113への潤滑油劣化センサー139bの設置方法について説明する。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0074】
まず、筐体20の工具接触部22が工具によって掴まれて、アーム113のネジ穴113aに筐体20のネジ部21がねじ込まれることによって、アーム113に潤滑油劣化センサー139bが固定される。
【0075】
そして、潤滑油劣化センサー139bの外部の装置のコネクタ95がコネクタ78に接続される。
【0076】
次に、産業用ロボット100の動作について説明する。
【0077】
まず、関節部130の動作について説明する。なお、以下においては、関節部130について説明するが、関節部120、140〜170についても同様である。
【0078】
関節部130のモータ138の出力軸が回転すると、モータ138の回転力は、減速機131によって減速されて、減速機131のケース133に固定されたアーム112に対して、減速機131の支持体134に固定されたアーム113を動かす。
【0079】
次に、潤滑油劣化センサー139bの動作について説明する。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0080】
潤滑油劣化センサー139bは、コネクタ78を介して外部の装置から供給される電力によって白色LED72から白色の光を発する。
【0081】
そして、潤滑油劣化センサー139bは、RGBセンサー73によって受けた光のRGBの各色の光量を電気信号としてコネクタ78を介して外部の装置に出力する。
【0082】
なお、潤滑油劣化センサー139bは、RGBセンサー73以外のセンサーを別途搭載していても良い。例えば、潤滑油劣化センサー139bは、潤滑油131aの温度を検出する温度センサーが電子部品群70に含まれている場合には、温度センサーによって検出された温度も電気信号としてコネクタ78を介して外部の装置に出力することができる。
【0083】
次に、潤滑油劣化センサー139bの油用隙間60aの開口60bの方向の調整方法について説明する。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0084】
潤滑油劣化センサー139bの外部の装置は、RGBセンサー73によって検出された色に基づいて減速機131の潤滑油131a中の汚染物質の種類および量を特定することができる。すなわち、潤滑油劣化センサー139bは、潤滑油131a中の汚染物質の色を検出することによって、潤滑油131aの劣化の程度を検出することができる。
【0085】
図15は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向と、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEとの関係の一例を示す図である。図16(a)は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向が0°である状態を示す図である。図16(b)は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向が45°である状態を示す図である。図16(c)は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向が90°である状態を示す図である。
【0086】
なお、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEは、RGBセンサー73によって検出された色のR、G、Bの各値を使用して、次の数1で示す式で計算することができる。
【数1】

【0087】
図15に示す関係を導き出した実験において、潤滑油131aは、劣化の程度が少ない新油が使用されている。
【0088】
また、図15において、「静止時」とは、潤滑油131aの流れが止まっている時を示している。潤滑油131aの流れが止まっている時、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向は、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEに影響を与えない。したがって、「静止時」においてRGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEは、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向と、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEとの関係の判断基準となる。
【0089】
また、図15において、36[rpm]および45[rpm]は、アーム112に対するアーム113の回転速度を1分間当たりの回転数で示している。潤滑油劣化センサー139bは、アーム113に取り付けられているので、アーム112に対するアーム113の回転によって潤滑油131a中を移動することになる。すなわち、36[rpm]および45[rpm]は、潤滑油劣化センサー139bに対する潤滑油131aの流れの速さを間接的に表している。
【0090】
図16において、油用隙間60aを表す矢印以外の矢印は、潤滑油131aの流れを示している。
【0091】
潤滑油131aの劣化の検出の精度は、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEで判断されることができる。すなわち、図15において、潤滑油131aの劣化の検出の精度は、アーム112に対するアーム113の回転数が45[rpm]である場合であって、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向が0°および45°である場合に低下している。このように、潤滑油131aの劣化の検出の精度は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向によって低下する場合がある。
【0092】
潤滑油劣化センサー139bは、油用隙間60aの開口60bの方向が調整されることが可能である。
【0093】
まず、筐体20に対して支持部材30が回転可能となるように、工具接触部12aに差し込まれた工具によって六角穴付ボルト12が緩められる。
【0094】
次いで、筐体20の工具接触部22が工具によって掴まれることによってアーム113に対する筐体20の回転が防止された状態で、工具接触部51に挿し込まれた工具によって筐体20に対して支持部材30が回転させられる。油用隙間60aの開口60bの方向は、筐体20に対する支持部材30の回転によって変化する。
【0095】
最後に、筐体20に対して支持部材30が回転不可能となるように、工具接触部12aに差し込まれた工具によって六角穴付ボルト12が締められる。
【0096】
以上に説明したように、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、白色LED72によって発せられた白色の光のうち油用隙間60aにおいて潤滑油131a中の汚染物質によって吸収されなかった波長の光に対して、RGBセンサー73によって色を検出するので、減速機131の潤滑油131a中の汚染物質の色を即時に検出することができる。つまり、各潤滑油劣化センサーは、RGBセンサー73によって検出した色に基づいて減速機131の潤滑油131a中の汚染物質の種類および量をコンピューターなどの外部の装置によって即時に特定可能にすることができる。なお、各潤滑油劣化センサーは、RGBセンサー73によって検出した色に基づいて潤滑油中の汚染物質の種類および量を特定する電子部品が電子部品群70に含まれていても良い。
【0097】
一般的に、産業用ロボットは、関節部に使用されている減速機の性能によってアームの軌跡の精度などが大きく左右される。したがって、産業用ロボット用減速機は、性能が落ちた場合に適切に交換されることが大切である。しかしながら、産業用ロボット用減速機が交換される場合、その産業用ロボット用減速機を備えている産業用ロボットや、その産業用ロボットが設置されている生産ラインが停止されなければならない。そこで、産業用ロボット用減速機の交換時期を把握するために、産業用ロボット用減速機の故障が適切に予知されることは非常に重要である。ここで、産業用ロボット100の各潤滑油劣化センサーは、上述したように、RGBセンサー73によって検出した色に基づいて減速機131の潤滑油131a中の汚染物質の種類および量をコンピューターなどの外部の装置によって即時に特定可能にすることができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、即時の故障の予知を可能にすることができる。
【0098】
潤滑油131aには、摩擦面の摩擦を低減するためのMoDTC、MoDTPなどの有機モリブデンなどの摩擦低減剤、摩擦面の焼き付きを抑える性能である極圧性を向上するためのSP系添加剤などの極圧添加剤、スラッジの発生や付着を抑えるためのCaスルフォネートなどの分散剤など、各種の添加剤が添加される場合がある。これらの添加剤は、潤滑油131aの劣化とともに、例えば、産業用ロボット100および減速機の金属表面に付着、結合したり、沈降したりして潤滑油131aから分離される。つまり、潤滑油131a中の添加剤の減少量は、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機の故障の予知に活用されることができる。各潤滑油劣化センサーは、潤滑油131a中の鉄粉の量だけでなく、潤滑油131aに添加されている各種の添加剤の減少に伴う基油の劣化度やスラッジ等の汚染物質の増加を、検出した色に基づいて特定することができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、鉄粉濃度のみに基づいて減速機の故障を予知する技術と比較して、故障の予知の精度を向上することができる。
【0099】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、支持部材30が回転する場合に油用隙間60aの開口60bの方向が変化するように支持部材30を回転可能に筐体20が支持しているので、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合に産業用ロボット100の潤滑油131aの劣化の検出の精度が高くなるように、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合の油用隙間60aの開口60bの方向が調整されることができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、精度の高い故障の予知を可能にすることができる。
【0100】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーにおいて、支持部材30は、筐体20に対する回転の駆動力を接触力によって外部から受ける部分である工具接触部51を、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合に潤滑油131aに触れない位置に備えている。したがって、各潤滑油劣化センサーは、筐体20が産業用ロボット100に固定された後で、産業用ロボット100の潤滑油131aの劣化の検出の精度が高くなるように、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合の油用隙間60aの開口60bの方向が調整されることができる。
【0101】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーにおいて、支持部材30および筐体20の両方に接触することによって筐体20に対する支持部材30の回転を防止する六角穴付ボルト12は、支持部材30および筐体20の両方に接触するための駆動力を接触力によって外部から受ける部分である工具接触部12aを、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合に潤滑油131aに触れない位置に備えている。したがって、各潤滑油劣化センサーは、筐体20が産業用ロボット100に固定された後で、産業用ロボット100の潤滑油131aの劣化の検出の精度が高くなるように、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合の油用隙間60aの開口60bの方向が固定されることができる。
【0102】
また、各潤滑油劣化センサーは、発光素子が白色の光を発する白色LEDであるので、発光素子が例えばLED以外のランプである構成と比較して、小型化することができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、小型化することができる。なお、本発明の発光素子は、白色LED以外のものであっても良い。例えば、発光素子は、LED以外のランプであっても良い。また、発光素子は、赤色のLED、あるいは、LED以外の赤色のランプと、緑色のLED、あるいは、LED以外の緑色のランプと、青色のLED、あるいは、LED以外の青色のランプとを備えており、それらのLED、あるいは、LED以外のランプから発せられる各色の光を合成して白色の光を発するものであっても良い。
【0103】
また、各潤滑油劣化センサーは、隙間形成部材60に光路10aを曲げる反射面61b、62bが形成されているので、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10aが一直線である構成と比較して、白色LED72およびRGBセンサー73を近くに配置して全体を小型化することができる。また、各潤滑油劣化センサーは、隙間形成部材60が油用隙間60aを形成する役割だけでなく、光路10aを曲げる役割も備えているので、隙間形成部材60の代わりに光路10aを曲げる部材を別途備える構成と比較して、部品点数を減らすことができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、小型化することができるとともに、部品点数を減らすことができる。
【0104】
特に、各潤滑油劣化センサーは、光路10aを90度曲げる反射面61b、62bがそれぞれ形成されている2つの直角プリズム61、62によって隙間形成部材60が構成されており、2つの直角プリズム61、62の反射面61b、62bによって光路10aを180度曲げ、2つの直角プリズム61、62の間に油用隙間60aが形成されている構成であるので、部品点数の少ない簡単な構成で小型化することができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、部品点数の少ない簡単な構成で小型化することができる。
【0105】
また、各潤滑油劣化センサーは、光路10aの少なくとも一部を囲むホルダー40を備えており、光の反射を防止する処理がホルダー40の表面に施されている構成であるので、不要な反射光をRGBセンサー73が受けることを防止することができる。そのため、各潤滑油劣化センサーは、不要な反射光をRGBセンサー73が受ける構成と比較して、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度を向上することができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、故障の予知の精度を向上することができる。
【0106】
また、各潤滑油劣化センサーは、隙間形成部材60のうち油用隙間60aを形成する面、すなわち、直角プリズム61の出射面61cおよび直角プリズム62の入射面62aに撥油処理が施されていても良い。各潤滑油劣化センサーは、直角プリズム61の出射面61cおよび直角プリズム62の入射面62aに撥油処理が施されている場合、潤滑油131aに油用隙間60aを容易に流通させるので、潤滑油131aが油用隙間60aに滞り易い構成と比較して、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度を向上することができる。また、各潤滑油劣化センサーは、直角プリズム61の出射面61cおよび直角プリズム62の入射面62aに撥油処理が施されている場合、直角プリズム61の出射面61cおよび直角プリズム62の入射面62aに汚れが付着し難いので、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度が汚れの付着によって低下することを抑えることができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、故障の予知の精度を向上することができる。
【0107】
なお、隙間形成部材60の直角プリズム61、62は、本実施の形態においてガラス製であるが、例えばシリコン樹脂など、ガラス以外の材質で形成されていても良い。シリコン樹脂でプリズム61、62を形成することにより、油用隙間60aを形成する面に汚れが付着し難くすることができる。
【0108】
また、隙間形成部材60は、本実施の形態において2つの直角プリズム61、62によって構成されているが、3つ以上のプリズムによって構成されていても良い。
【0109】
なお、各潤滑油劣化センサーは、白色LED72およびRGBセンサー73の配置が本実施の形態において説明した配置以外の配置であっても良い。例えば、各潤滑油劣化センサーは、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10aが一直線であっても良い。
【0110】
また、各潤滑油劣化センサーは、直角プリズム以外の構成によって、光路10aを曲げるようになっていても良い。
【0111】
また、各潤滑油劣化センサーは、電力の供給手段として、例えば、電池などのバッテリーを使用し、外部の装置への検出結果の出力手段として、例えば、ワイヤレス通信を使用しても良い。
【0112】
また、潤滑油劣化センサーの設置位置は、本実施の形態において示した位置に限らず、産業用ロボット100の用途などに合わせて適宜設定されることが好ましい。
【符号の説明】
【0113】
10a 光路
12 六角穴付ボルト(回転防止部材)
12a 工具接触部(接触用駆動力受部)
20 筐体(固定部材)
30 支持部材
40 ホルダー(光路囲み部)
51 工具接触部(回転駆動力受部)
60 隙間形成部材
60a 油用隙間
60b 開口
61 直角プリズム
61b 反射面
61c 出射面(油用隙間を形成する面)
62 直角プリズム
62a 入射面(油用隙間を形成する面)
62b 反射面
72 白色LED(発光素子)
73 RGBセンサー(カラー受光素子)
100 産業用ロボット(機械)
112〜116 アーム
120、130、140、150、160、170 関節部
131 減速機(産業用ロボット用減速機)
131a 潤滑油
132 減速機本体(機械)
137a、137b、139a、139b 潤滑油劣化センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械に設置されて前記機械の潤滑油の劣化を検出するための潤滑油劣化センサーであって、
光を発する発光素子と、受けた光の色を検出するカラー受光素子と、前記潤滑油が侵入するための隙間である油用隙間が形成された隙間形成部材と、前記発光素子、前記カラー受光素子および前記隙間形成部材を支持する支持部材と、前記機械に固定されるための固定部材とを備えており、
前記隙間形成部材は、前記発光素子によって発せられる光を透過させ、
前記油用隙間は、前記発光素子から前記カラー受光素子までの光路上に配置されており、
前記固定部材は、前記支持部材が回転する場合に前記油用隙間の開口の方向が変化するように前記支持部材を回転可能に支持していることを特徴とする潤滑油劣化センサー。
【請求項2】
前記支持部材は、前記固定部材に対する回転の駆動力を接触力によって外部から受ける部分である回転駆動力受部を、前記固定部材が前記機械に固定された場合に前記潤滑油に触れない位置に備えていることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油劣化センサー。
【請求項3】
前記支持部材および前記固定部材の両方に接触することによって前記固定部材に対する前記支持部材の回転を防止する回転防止部材を備えており、
前記回転防止部材は、前記支持部材および前記固定部材の両方に接触するための駆動力を接触力によって外部から受ける部分である接触用駆動力受部を、前記固定部材が前記機械に固定された場合に前記潤滑油に触れない位置に備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の潤滑油劣化センサー。
【請求項4】
前記発光素子は、白色の光を発する白色LEDであることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の潤滑油劣化センサー。
【請求項5】
前記隙間形成部材は、前記光路を曲げる反射面が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の潤滑油劣化センサー。
【請求項6】
前記隙間形成部材は、前記光路を90度曲げる前記反射面がそれぞれ形成されている2つの直角プリズムを備えており、前記2つの直角プリズムの前記反射面によって前記光路を180度曲げ、
前記油用隙間は、前記2つの直角プリズムの間に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の潤滑油劣化センサー。
【請求項7】
前記支持部材は、前記光路の少なくとも一部を囲む光路囲み部を備えており、
前記光路囲み部は、光の反射を防止する処理が表面に施されていることを特徴とする請求項1から請求項6までの何れかに記載の潤滑油劣化センサー。
【請求項8】
前記隙間形成部材のうち前記油用隙間を形成する面は、撥油処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項7までの何れかに記載の潤滑油劣化センサー。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れかに記載の潤滑油劣化センサーと、前記機械としての減速機本体とを備えていることを特徴とする産業用ロボット用減速機。
【請求項10】
請求項1から請求項8までの何れかに記載の潤滑油劣化センサーと、前記機械としての産業用ロボット本体とを備えており、
前記産業用ロボット本体は、アームと、前記アームの関節部に使用される減速機とを備えており、
前記潤滑油劣化センサーは、前記減速機の潤滑油の劣化を検出するためのセンサーであることを特徴とする産業用ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−96955(P2013−96955A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242852(P2011−242852)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】