潰れ抵抗マスク
マスク使用中の使用者の呼吸によってマスク本体部が潰れるのに抵抗する潰れ抵抗手段を含むマスクを開示する。詳細には、様々な実施例において、潰れ抵抗手段は、マスク着用時に外に向かうたわみ力を生ずるように構成された、たわみ部材、補強材料、締結部品、又は、これらの組合せとすることができる。追加的には、潰れ抵抗マスクでの使用に適した二重呼気ベント・アセンブリも、開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスク、特に、潰れ抵抗マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
マスク(respirator)は、製造、清掃、スポーツ及び家庭用など種々の分野の用途を有する。これらの用途では、マスクが、粉塵及び他の微粒子エアロゾルをろ過して使用者の呼吸器系を有害で刺激性の汚染物質から保護する。同様に、マスクは、医療関係の用途も有する。この場合、マスク着用者の呼気をろ過して周囲に放出される細菌又は他の汚染物質の量を最小に抑える構成が有用である。病院の患者は、通常、感染を防止する無菌環境を必要としており、また、病院の患者は、免疫機構が低下して感染し易くなることから、細菌性汚染物質に対するこのような規制は重要である。さらに、病院の患者は浮遊細菌性の病原体をもっていることが多いので病院内にある汚染物質から使用者を保護するために吸気のろ過も行う。
【0003】
そのため、医療関係分野では、特に手術室では、医療従事者は、治療中の患者に存在し得るAIDS、肝炎あるいは他の接触伝染性疾患から自身を保護するために、マスクを頻繁に使用する。
【0004】
或る種類のマスクは、使用者の顔全体を覆うように設計され、別の種類のマスクは、使用者の鼻と口のみを覆うように設計される。追加的なものでは、マスクが使用者の顔の幾つかの部分を覆うように設計される。例えば、或るマスクは、使用者の鼻、目及び口をカバーするように設計される。鼻と口をカバーするマスクのフロントパネル部分は、病原菌及びその他の汚染物質の通過は阻止する一方で空気の通過は許して使用者の呼吸を可能とする材料で作成される。
【0005】
マスクは、また、使用者の顔に緊密なシールを提供するように設計される。このシール構造は、粉塵、微粒子、浮遊性細菌、その他の汚染物質がマスクのろ過材を迂回するのを防ぐことによってマスクの全体的な効果のために重要である。
【0006】
マスクには、そのフロントパネル部分を使用者の頭に確実に取付けるのに使用する固定用具が設けられる。例えば、工業的環境で使用されるマスクには、ゴム又は伸縮性のストラップが通常用いられる。また、手で操作する締結ストラップも、特に医療用マスクで採用可能である。これらのストラップによってマスクが使用者に締着される。そのためには、使用者の顔にマスクをかぶせ、そして、使用者の頭の周りに締結ストラップを伸張して取付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,850,347号明細書
【特許文献2】米国特許第6,715,489号明細書
【特許文献3】英国特許出願第2,103,491号明細書
【特許文献4】米国特許第5,701,893号明細書
【特許文献5】米国特許第6,474,336号明細書
【特許文献6】米国特許第6,923,182号明細書
【特許文献7】米国特許第7,036,507号明細書
【特許文献8】米国特許第4,374,888号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、使い捨てマスクは、特に、工業用目的又は工業に関連する目的に使用のマスクにおいて、使用者の口と鼻をカバーするテント状形状を形成するように構成された複数材料層よりなる薄く成形された本体部を有するのが普通である。あるいは、使い捨てマスクに使用の材料は、大部分平坦であるものの、折り目又はひだを含んでおり、使用の前に、この折り目またはひだを広げて使用者の口及び鼻をカバーするテント状形状にする。使用者を保護すべく、このマスクには、使用者の吸気の全てを通すためのろ過材を利用する。使用者の吸気にともない、マスクの呼吸室に負圧が生じ、これが、使用者の口にぶつかるマスク本体部の潰れを引き起こす。この潰れは、使用者にとっては不快であり、このマスクの通常使用をさまたげる。
【0009】
様々な解決法でこの潰れの問題を解決する試みが行われている。或る種類のマスクでは、マスクの剛性の向上を計るべく、比較的厚い材料、比較的堅い材料が使用され、又は、追加層数を増やす。例えば、米国特許第4,850,347号明細書(特許文献1)、米国特許第6,715,489号明細書(特許文献2)、及び英国特許出願第2,103,491号明細書(特許文献3)参照。ただし、比較的堅い材料は、潰れへの抵抗には有効ではあるが、これは、着用する者の快適さへの要望及び使用者の顔の個々の形状に適合するマスクへの要望には反して作用する。他の解決法には、マスクの構造をより一層強化する各種の折り紙形式の折り目、ひだ、及び他の代替的な幾何学形状が含まれる。例えば、米国特許第5,701,893号明細書(特許文献4)、米国特許第6,474,336号明細書(特許文献5)、米国特許第6,923,182号明細書(特許文献6)、及び米国特許第7,036,507号明細書(特許文献7)参照。そのような複雑な形状は、特殊で、そして、しばしば、より複雑な製造プロセス及び/又は機器を必要とする。また、そのような形状は、多くの場合、ユーザーがマスクの複雑な形状に妨げられることなく適切に着用することに依存する。
【0010】
上述した問題を考慮するに、マスク使用の際における呼吸から引き起こされる潰れに抵抗するマスクへの需要が依然として存在する。このマスクは、適度な快適さと使用者の顔に対する必須なシールを実現する。このマスクは、また、製造での容易さを備えることが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
マスク使用の際の使用者の呼吸によって引き起こされるマスクの潰れに抵抗する特殊な構成要素及び該構成要素の構造を備えるように使い捨てマスクを構成可能であることを発見した。具体的には、この明細書は、使用者の口と鼻をカバーする本体部とマスク使用者の呼吸による本体部の潰れに抵抗する潰れ抵抗手段を有するマスクに関係する。具体的には、多くの実施例において、潰れ抵抗手段は、マスク着用時に外に向かうたわみ力を付与するように構成された、たわみ部材、補強材料、締結部品、又は、これらの任意の組合せとすることができる。さらに、幾つかの実施例では、使用者がマスクを着用しないときには、マスクを実質的に平坦にするに適している。
【0012】
この明細書は、また、マスクに取付けられるのに適している二重呼気ベント・アセンブリに関係する。二重呼気ベント・アセンブリは、内側ベント体の間に延在するストラット材によって連結される2個の内側ベント体を備えた内側ベント・アセンブリを含む。このアセンブリは、マスク本体部の一部分が内側ベント体と外側ベント体の間に配置されるように内側ベント体に連結するに適した一対の外側ベント体をさらに含む。幾つかの実施例では、外側ベント体の前記対は、該外側ベント体間に延在するコネクタによって連結される。
【0013】
最後に、この明細書は、また、本体部と、本体部の両側の側部上の第1及び第2締結部品と、両締結部品と係合するストラップを有するマスクに関係する。第1及び第2締結部品は、マスクを使用者が着用したときに本体部に外に向かうたわみ力を付与するように構成される。
【0014】
本発明の他の目的及び特徴は一部自明であり、一部は後述されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この明細書の説明に従い使用者によって着用されたマスクの正面図である。
【図2】図1に示されるマスクの背面図である。
【図3】この明細書の説明に従うマスクの背面図である。
【図4】使用者に着用された図3に示されるマスクの正面図である。
【図5】この明細書の説明に従うマスクの正面図である。
【図6】図5のマスクの背面図である。
【図7】この明細書の説明に従い使用者によって着用されたマスクの右側面図である。
【図8】図7のマスクの上端断面図である。
【図9】この明細書の説明の内側ベント・アセンブリの図である。
【図10】この明細書の説明の外側ベント体の図である。
【図11】この明細書の説明の外側ベント・アセンブリの図である。
【図12】この明細書の説明の例示的なストラット材の図である。
【図13】この明細書の説明に従うマスクの背面図である。
【図14】この明細書の説明に従うマスクの背面図である。
【図15】この明細書の説明に従うマスクの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[用語の定義]
この明細書の中で、後述する用語や表現は以下に記載の意味を有している。
「使い捨て」は、1回使用の物品に限定されず、1回又は数回の使用後に汚れたり又はその他の事由で使用不能となった場合に廃棄可能な、消費者にとって比較的に廉価な物品も言及する。この「使い捨て」物品は、再利用を目的とした修復処理ではなく、一定の使用後に廃棄されるべく設計される。
「実質的」とは、大部分の程度そうなることをいい、例えば、「実質的にカバーする」とは、或るものが、少なくとも95%カバーされることを意味する。
「整合」とは、直線又は平行線内の物の位置又は配列が有する空間的特性を言う。
「構成する」又は「構成」とは、特定の用途又は使用を目的として、設計し、配列し、セットアップし、又は成形することを意味する。例えば、軍用車両は凹凸地形用に構成され、コンピュータはシステム・パラメータの設定により構成される。
交換可能に使用される「配向」又は「位置」は、何かが位置付けられる場所又は方向の空間的特性を言及しており、例えば、「時計の上の手の位置」。
「上に配設」「沿って配設」「で配設」「に配設」及びこれらの変形表現は、1つの要素が他の要素と一体とすることができ、又は、1つの要素が別の要素に接合し、又は、ともに配置され、又は、近くに配置された別の構造とすることができることを意味する。
「結合」又は「添付」は、それに限定されないが、2つの物を一体的に又は相互に隙間なく接合、接続、締結、連結又は関連させることを含む。「着脱可能に添付」は、2つ以上の物を確実に連結し、且つ、同時に、これらの物の手操作による連結解除が可能なことをいう。
「取付(け)」及びこれからの派生語は、2つの構成要素相互の継ぎ合わせ、接着、接続、接合、縫着、等をいう。2つの構成要素は、相互に一体化され相互に直接に取付けられた場合、又は、各々が中間構成要素に直接に取付けられたような相互に間接に取付けられた場合に、相互に取付けられていると考えられる。「取付(け」及びこれからの派生語は、恒久的な取付け、解除可能な取付け、又は、再締結可能な取付けを含む。付け加えるに、この取付けは、製造工程において又はエンドユーザのいずれにおいても終了することが可能である。
「接続」及びこれからの派生語は、2つの構成要素相互の継ぎ合わせ、接着、接合、取付、縫着、等をいう。2つの構成要素は、相互に直接に接続された場合、又は、各々が中間構成要素に直接に接続されたような相互に間接に接続された場合に、相互に接続されたと考えられる。「接続」及びこれからの派生語は、恒久的な接続、解除可能な接続、又は、再締結可能な接続を含む。
「接合」、「相互接合」及びこれからの派生語は、2つの構成要素相互の継ぎ合わせ、接着、接続、取付、縫着、等をいう。2つの構成要素は、相互に直接に接続された場合、又は、各々が中間構成要素に直接に接続されたような相互に間接に接続された場合に、相互に接合された又は相互接合されたと考えられる。「接合」及びこれからの派生語は、恒久的な接合、解除可能な接合、又は、再締結可能な接合を含む。
「超音波接合」は、ソニックホーンとアンビルロールの間に材料を通すことによって材料(繊維、ウエブ、フイルム、等)を接合する工程をいう。この工程は、Bornslaegerへの米国特許第4,374,888号明細書(特許文献8)に記載されており、この特許文献は、ここで引用したことにより、その全体をこの明細書の一部とする。
「層」は、単一形で使用された場合、単一の構成要素又は複数の構成要素の二重の意味を有する。
「不織」及び「不織ウエブ」は、織成工程又は編成工程の助けなしに形成した材料及び材料ウエブをいう。例えば、不織材料、生地又はウエブは、メルトブローン工程、スパンボンド工程、エアーレイド工程、コンフォーム工程、及びボンドカーデッドウエブ工程などの多くの工程で形成される。
「ポリマー」は、通常、限定はしないが、例えば、ホモ重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、及び交互共重合体などの共重合体、三元重合体、及びこれらの混合物と変態を含む。さらに、特に別の限定をしない限り、「ポリマー」は、分子の可能な全幾何学的配列を含む。この配列には、限定はしないが、アイソタクチックな、シンジオタクチックな、そしてランダムな対称性を含む。
これらの用語は、この明細書の他の部分で追加的な文言で定義されることもある。
【0017】
[開示内容の詳細な説明]
1以上の例を添付図面に図解し、本発明実施例の詳細についての説明を行う。各例は、本発明の説明のために示されるもので、本発明の限定を意味しない。例えば、1つの実施例の一部分として図解され説明された特徴を、別の実施例に使用して第3の実施例を生み出すのに利用することができる。本発明は、これらのそして他の改良及び変形を含むことを企図する。
【0018】
本発明は、本体部と使用者によってマスクが着用されている間に生ずる本体部の潰れに抵抗する潰れ抵抗手段とを有するマスクに関係する。潰れ抵抗手段は、マスクろ過材を介するマスク着用者による吸気の際に生ずるマスク着用者の顔面に対するマスク内側層の潰れを防ぐことを目的とする。この潰れ抵抗手段は、所望の密着性及び機能を有するとともに使用がより一層快適なマスクを提供する。外部からの衝撃力の付加によって生ずる潰れの防止は、必ずしも、この潰れ抵抗手段の目的ではない。また、幾つかの実施例では、使用者に着用されていないときにマスクが実質的に平坦な形態となるに適するようにマスク及び潰れ抵抗手段を構成する。この平坦な形態は、将来的な使用に向けて使用者がマスクを簡便に(例えば、シャツ又はズボンのポケット内に)保管することを可能とする。
【0019】
図1乃至8を参照するに、標準的なマスク10は、本体部12を含む。本体部12は、マスク10を通って吸い込まれ又は吐き出される空気に含まれる少なくとも1以上の成分をろ過し、スクリーニングし、又は他の方法で処理するに適合しているマスク10の部分である。通常、本体部12は、マスク10の所望の最終用途に応じて様々な形状及び寸法とする。さらに、マスクの所望の最終用途に応じて、マスク10の本体部12又はその一部を成形し又は裁断する(これには、少なくとも締結部品22、24の一部を収容するに適合した開口の本体部内への切抜きを含む)。
【0020】
幾つかの実施例では、マスク10の本体部12は、運送又は保管中は平坦な形態をとるのに適合しており、使用の時には、開かれ、広げられ、又は他の様式で展開されて、本体部12が使用者の顔の幾つかの部分をぴったりと覆うのに適している。或る変更実施例では、マスク10の本体部12は、予め形成された又は予めモールド成形されたカップ状形態をとるのに適合していて即使用が可能であり、すなわち、使用者の顔の幾つかの部分をぴったりと覆うのに、本体部12を変形する(すなわち、広げる又は開く)必要はない。
【0021】
通常、本体部12は、当業界に知られている任意の適切な材料を含む。例えば、この明細書に説明のマスク10の本体部12は、任意の不織ウエブ材料、織物材料、編物材料、フイルム、又はこれらの混合材料を含む。特に好ましい実施例では、本体部12は、不織ウエブ材料を含む。ふさわしい不織ウエブ材料には、メルトブローン・ウエブ、スパンボンド・ウエブ、ボンデッドカーデッド・ウエブ、ウェットレイド・ウエブ、エアーレイド・ウエブ、コンフォーム・ウエブ、ハイドロエンタングルド・ウエブ、及びこれらの混合材料が含まれる。また、不織ウエブには、合成繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、等)を含む。
【0022】
図1に図解のマスク10は、使用者が着用した状態で示す。本体部12が、使用者の口と鼻をカバーするタイプである。本体部12は、使用中、使用者とは逆の方向側に面する外面15と、使用中、使用者の方に面する内面13とを有する。マスク10の呼吸室領域(すなわち、口及び鼻孔近傍領域)内で潰れ抵抗手段が潰れを防止するのは、この内面13においてである。本体部12には、マスク10を取り囲む周縁部18が画定される。また、本体部12は、周辺部分16を有するように考えられ、該周辺部分16は、周縁部18から内方へと延びる本体部12の領域で構成され、そして、使用者の顔(すなわち、鼻柱、頬、あご)と接触するように形成されたマスクの全域を含んでいる。本体部12の中央には、中央部分14が在り、周辺部分16によって取り囲まれる。中央部分14は、通常、マスク10の呼吸室を含む、すなわち、使用中に使用者の呼吸によって潰れが最も生じ易いマスク10の部分を含む。
【0023】
図1及び2は、潰れ抵抗手段を備えたマスク10の一実施例を図解する。図1及び2に図解のように、たわみ部材40は、マスク10の一方の側部(すなわち、使用者の顔の左側に隣接する)から本体部12中央部分14を横切って他方の側部(すなわち、使用者の顔の右側に隣接する)へと延びる。図示のたわみ部材40は、マスク10の内面13に沿って延びたストラット材50の形態をとる。たわみ部材40は、本体部12の内面13上の第1の取付け箇所30と該第1の取付け箇所30とは反対の側の該内面13上の第2の取付け箇所32との間をまたぐ構成である。図2に図解のこの実施例では、第1の取付け箇所30は、第1ベント・アセンブリ61と関連し、第2の取付け箇所32は、第2ベント・アセンブリ63と関連する。
【0024】
使用者の呼吸による本体部12の潰れを防止することを目的として、マスク10の使用の際に、たわみ部材40は、概ね、(使用者の顔から離れるように)外向きの弓形に曲げられる。幾つかの実施例では、たわみ部材40は、マスク10の内面13の一般的な形状に対して適合する形状を有する。幾つかの実施例では、たわみ部材40を、本体部の内面13とは異なる形状に成形することもできるが、本体部12の中央部分14内での顔との接触は最小となるように成形するのが好ましい。
【0025】
本体部12の内面13の形状に関する代替的形態に加え、たわみ部材40も、取付け箇所30、32の部分から延びる代替的形状及び構造とすることができる。図1及び2に示すたわみ部材40は、取付け箇所30、32間において、概ね、直線状である。代替として、たわみ部材40は、図9に図解のような波形形状を有する。同様に、たわみ部材40は、図1及び2に示すような一本のまっすぐなストラット材50ではなく、取付け箇所から延びるいくつもの長さを含むことができる。例えば、ストラット材50は、第1及び第2の取付け箇所30、32間に延びる一組の実質的に平行な棒材を含むこともできる。さらに付加するに、又は、代替とするに、たわみ部材40は、潰れに対して抵抗する力をさらに向上する特別な断面形状を有することもできる。例えば、たわみ部材40は、着用者に関連して、凹形、凸形、砂時計形、その他の断面形状を有する。使用中、本体部12の潰れを防ぐのに適するたわみ部材40として機能可能な形状(対称及び非対称の)、構造、断面、及びこれらの組合せは、多数あるものと考えられる。
【0026】
図1及び2に示されるように、ストラット材50は、第1及び第2の取付け箇所30、32間をまたいでおり、使用者が空気を吸い込んだとき、これにより生ずる本体部12の潰れに対し抵抗する力を提供する。ストラット材50は、単に、第1及び第2の取付け箇所30、32で本体部12に取付けることもでき、また、取付け箇所30、32間の長さを自由にまたぐこともできる。代替的には、ストラット材50は、たわみ部材40の長さに沿った1以上の箇所で本体部12に取付けることができる。幾つかの実施例では、たわみ部材40は、該たわみ部材40の全体に沿って本体部12に取付けることができる。
【0027】
このたわみ部材40は、図1及び2に示されるように、マスク10の内面13に沿って配置するのが望ましい。この配置は、顔と本体部12との間での使用の際の設置による本体部12の顔に向かう潰れに対する抵抗を可能とする。外面15に沿って配置されるたわみ部材40を含む別の実施例も考えられる。しかし、そのように外側に配置のたわみ部材では、たわみ部材40によって本体部12の潰れを有効に防ぐためには、たわみ部材40を多数の箇所で本体部12に取付けることが必要である。外側に配置のたわみ部材の比較的に好ましい実施例では、また、内面13に沿って対応するたわみ部材40を含んでおり、この例では、内側及び外側たわみ部材40が協働して本体部の潰れに抵抗する。
【0028】
図1及び2に図解のような、たわみ部材40は、マスク10の他の構成要素に付加される別個の構成要素とすることもでき、又は、複数構成要素の組合せで形成された単一膜とすることもできる。図1及び2に図解のたわみ部材40は、第1及び第2呼気ベント・アセンブリ61、63に取付けられる図12に図解の単純なストラット材50とすることができる。このストラット材50は、第1開口123を有する第1端部51を含んでおり、第1呼気ベント・アセンブリ61の内側ベント体80と外側ベント体93は、該第1開口123を介して協働して第1の取付け箇所30においてストラット材50を本体部13に結合する。同様に、ストラット材50の第2端部53は、第2呼気ベント・アセンブリ63の助けによって同様に本体部12に協働して結合する第2開口125を有する。
【0029】
代替的には、図1及び2に図解のたわみ部材40は、図9に示すような呼気ベント・アセンブリの一部とすることが可能である。図9に図解のように、ストラット材50は、第1内側ベント体81に取付けられる第1端部51と第2内側ベント体83に取付けられる第2端部53を有する。ストラット材50と内側ベント体81、83は、全体で、内側ベント・アセンブリ90を形成する。ストラット材50の長さ55は、第1端部51と第2端部53の間に延在する。この内側ベント体81、83は、図10に図解のように、個々の外側ベント体93に係合して二重呼気ベント・アセンブリを形成するように構成することができる。
【0030】
幾つかの実施例では、外側ベント体は、図11に図解の単一の外側ベント・アセンブリ110で相互に同様に結合される。図11に示すように、第1外側ベント体193は、第1及び第2外側ベント体193、293間に延在するココネクタ112によって第2外側ベント体293に接続される。コネクタ112は、第1外側ベント体193に取付けられた第1コネクタ端部114と第2外側ベント体293に取付けられた第2コネクタ端部116と第1及び第2コネクタ端部114、116間に延在するコネクタ長さ118を有する。図11に示す特定コネクタ長さ118は、追加的に、切り抜き119を含む。
【0031】
内側ベント・アセンブリ90(図9参照)と外側ベント・アセンブリ110(図11参照)を含む二重呼気ベント・アセンブリは、この二重呼気ベント・アセンブリを用いるマスク10の製造工程の単純化を可能にする。2つの別の外側ベント体及び2つの別の内側ベント体(全部で4つの部品)で適応をはかるよりも、むしろ、二重呼気ベント・アセンブリを使用して、2つの部品の間に配設されたマスク10の本体部12によって、一体的な外側ベント・アセンブリ110への単一内側ベント・アセンブリ90の取付けを可能とする。2つの外側ベント体93を備えた内側ベント・アセンブリ90(図10のような)を使用して、使用部品数を4から3へと同様に少なくする。
【0032】
たわみ部材40は、図1及び2中、呼気ベント61、63に取付けられた状態で示されており、これは、付加的に第1及び第2締結部品22、24を含む。代替的実施例では、たわみ部材40は、呼気ベント60を含まない図3乃至6に図解の締結部品のような締結部品22、24に関連する第1及び第2の取付け箇所30、32に取付けられる。別の代替的実施例では、第1及び第2の取付け箇所30、32は、呼気ベント60又は締結部品22、24との関連はない。その代わり、取付け箇所30、32は、本体部12の周縁部18と関連するか、又は、単に、本体部12上の任意の所望箇所である。
【0033】
たわみ部材40の潰れ抵抗手段の別の実施例を、図3及び4に図解する。図示のように、たわみ部材40は、本体部12の一方の側部上の第1の取付け箇所30で本体部12に取付けられた第1たわみ部材41と、本体部12の他方の側である第2の側部上の第2の取付け箇所32で取付けられた第2たわみ部材42とを含む。図4に示すように、第1たわみ部材41は、第1締結部品22に接続し、第2たわみ部材43は、第2締結部品24に接続する。本体部12へのこの接続は、このような構成要素の固定のための適切な手段で公知のように行われる。例えば、第1及び第2たわみ部材41、42を第1及び第2締結部品22、24に接合するのに超音波溶接36の使用が可能である。
【0034】
図3及び4に示すように、第1及び第2たわみ部材41、42は、本体部12の周縁部18の近傍から本体部12の中央部分14へと延在する。個々のたわみ部材41、42は、それぞれ第1及び第2の取付け箇所30、32でのみ結合され、したがって、方持ち支持(cantilevered)されている。図3及び4に示されるたわみ部材41、42には、使用材料量と重量の削減、並びに、マスク10の本体部12を介する空気流の向上を目的として切り抜き44が含まれる。たわみ部材41、42は、マスク10使用中の使用者の呼吸の際における本体部12の潰れに対する抵抗を提供するのに所望されるような、任意の寸法又は形状、対称形又は非対称形とすることができる。
【0035】
使用しない時にはマスク10を平坦状に畳み込み可能であることが所望される場合には、第1及び第2たわみ部材41、43の分離構造がマスク10に利用される。幾つかの実施例では、第1及び第2たわみ部材41、42は、相互作用するように構成される。図3及び4に示されるように、たわみ部材41、42の先端46は、相互に向き合うように延びているが、マスク10の中央部分14内で接触していない。代替的実施例では、先端46同士が重なリ合うように、たわみ部材41、42を比較的長い寸法にする。別の代替的実施例では、先端46を、第2たわみ部材42への第1たわみ部材41の結合を可能とするに適したものとする。例えば、第1及び第2たわみ部材41、42は、マスク10使用時にその相互の着脱可能な係合によってたわみ部材41、42を結合し、マスク10不使用時には非係合とされる協働式ファスナー(嵌合スリット、フックとループ式ファスナー、磁石、など)を含むことができる。
【0036】
本発明の幾つかの実施例において、マスク10の本体部12は、運送又は保管の際は平坦な形態をとるのに適合する一方で、使用の時には、本体部12が使用者の顔の所要部分をピッタリと覆うのに適するように開かれ、広げられ、又は他の様式で展開される。例えば、図3及び4に示されるような第1及び第2たわみ部材41、42は、マスク10が着用されている間は、方持ち支持による潰れに抵抗する力を本体部12に加え、マスク10が着用されていないときには、マスク10の(たわみ部材41、42間でこれに直交する線に沿った)二つ折りを可能とするように構成可能である。
【0037】
代替的には、図1及び2でのようなストラット材50を使用する実施例では、ストラット材50を、マスク10の非使用時に、同様に平坦に折畳むように構成可能である。この折畳みを助長するべく、ストラット材50は、その長さに沿って1以上の剛性を弱めたセグメントを含むことができ、切抜き44を含むことができ、また、マスク10が使用者に着用されていないときの折畳みに抵抗が可能な程ではないが、本体部12の潰れは阻止する程度の剛性を備えた材料で作成することができる。同様に、ストラット材50は、使用中は潰れに対し抵抗する力を提供し、非使用時は実質的に平坦に折畳み可能な利便性を提供するに適した形状とすることができる。例えば、図9に示されるストラット材長さ55の波形スプリング形状は、そのような折畳みを可能とする。
【0038】
図5及び6は、マルチプルたわみ部材40を使用した別の可能な実施例を図解する。第1及び第2たわみ部材41、42は、中央部分14内で、第1及び第2の取付け箇所30、32に取付けられ、本体部12の周縁部18に向かって延在する。たわみ部材41、42は、マスク10の中央部分14内に在る呼気ベント60に関連する。たわみ部材41、42は、それぞれ呼気ベント60に取付けられる別の部品とすることもでき、呼気ベント60に取付けられる単一の部品とすることもでき、又は、各たわみ部材41、42と呼気ベントとにより構成されるユニット部材とすることもできる。
【0039】
図5及び6に図解の実施例において、第1たわみ部材41は、本体部12の内面13に沿って第1の取付け箇所30からマスク10の周縁部18へと延在する。第1たわみ部材41は、2つの延長部分に分かれ、1つは第1締結部品22に向かって延び、もう1つは、第4締結部品に向かって延びる。同様に、第2たわみ部材42は、第2の取付け箇所32から第2締結部品24及び第3締結部品26に向かって延びる。
【0040】
第1及び第2たわみ部材41、42は、該第1及び第2たわみ部材41、42がマスク10の周縁部18に向かって方持ち支持されるように第1及び第2の取付け箇所30、32でのみ結合することができる。本体部12の内側の周縁部18の周りにガスケット材161を含む(図6に示されるような)マスク10において、そのように方持ち支持された第1及び第2たわみ部材41、42の先端46は、ガスケット材161と内面13の間の所定の位置に保持される。代替的には、先端46は、各締結部品22、24、26、28、又は、内面13、又は、これらの任意の組合せに結合することができる。
【0041】
図13乃至15は、潰れ抵抗手段としてたわみ部材40を備えたマスク10の別の実施例を図解する。これらの実施例では、たわみ部材40は、本体部12の内面13に沿って配置された補強材料の態様で提供される。この補強材料130は、ホットメルト接着剤、エポキシ、樹脂、又はその他のポリマーなどの接着剤であり、この接着剤は、マスク10の使用中、使用者の呼吸による本体部12の潰れに抵抗するための追加構造を中央部分14の一部に付加するべく、内面13に沿って付着することができる。
【0042】
補強材料130は、図1乃至6に図解のたわみ部材40に類似の単一の連続線内で内面に付着可能である。代替的には、他の形状及びパターンも使用することができる。図13は、補強材料130の不連続な線パターンを図解する。図14は、クロスパターン内に適用した補強材料130の連続線配列を図解する。図15は、重畳する波形パターンに適用された補強材料130の連続線配列を図解する。他のパターンもまた、考慮可能であり、当業者は、マスク10の使用中、本体部12の潰れに抵抗する補強材料130を本体部12の内面13に付着するのに、どのような他の代替的パターンでの補強材料130の付着が可能であるかを理解されよう。
【0043】
図7及び8は、潰れ抵抗手段の別の実施例を図解する。図7及び8に図解のマスク10は、該マスクを使用者が着用したときに、本体部12に外に向かうたわみ力が加わるように構成される。この締結部品71、73は、本体部12とストラップ20の両者に接続されたとき、ストラップ20によって締結部品71、73に加わる引っ張り力を本体部12に伝達するように設計されている。図8において矢印270で示される外に向かうたわみ力が、マスク10の本体部12を、使用者の顔から離れる方向に付勢する。
【0044】
図7及び8に示される実施例では、第1締結部品71と第2締結部品73とは、マスク10の相互に反対の側に取付けられる。締結部品71、73は、本体部12に取付けられる基部75と本体部から離間する締結延長部79であって該基部75のヒール77から延在してストラップ20に係合する締結延長部79とを有する。図7及び8に示されるように締結部品71、73のこの構造は、ヒール77を支点とするレバー又はてことして作動する。図8に示されるように、マスク10が着用されたとき、締結延長部79に係合するストラップ20によって引張り力が(矢印200によって示されるように)加えられる。締結部品71、73は、ヒール77を支点として枢動し、外に向かうたわみ力(矢印271と273に示すように)が基部75に加えられる。基部75でのこのたわみ力が伝達されて、マスク10の本体部12に前述の外に向かうたわみ力270を加える。
【0045】
上記に説明し且つ図1乃至15に図解した潰れ抵抗手段は、それぞれ、別個に利用可能ではあるが、様々な組合せとしても利用可能であることにご留意願いたい。例えば、たわみ部材40を利用する図1及び2に図解のマスク10の実施例は、また、図7及び8に図解の実施例に関連して説明した締結部品71、73を含むこともできる。そのような組合せでは、締結部品71、73により加えられる外に向かうたわみ力によって、ストラット材50に、本体部12での潰れに抵抗する追加の力が与えられる。同様に、使用中の潰れに抵抗するマスク10の提供という最終目標を目指して、前記実施例のいずれかの特徴を、他の実施例の幾つかの又は全ての特徴と組み合わせて使用することが可能である。
【0046】
どの実施例のマスク10においても、マスクを使用者の顔の上に保持するための支持様式は必要である。使用者の顔の上にマスク10を保持するのに様々な接着剤及び別方法の使用が可能であるが、通常は、1以上のストラップ20を使用してマスク10の保持が行われる。しばしば、マスク10の本体部12には、特に、工業用途に設計されたマスク10の本体部12には、2つの薄い伸縮性バンドが一体的に取付けられている。このような2つのストラップ20は、使用者の後頭部及び頭頂を取り囲んで閉鎖気密性の高い着用に役立つことを目的とする。例えば、図5及び6に図解のマスクは、図示された4つの締結部品22、24、26、28を備えた薄いバンドに係合する。快適さを改善するため、及び、薄いバンドで起こるようなストラップ20自体のねじれを防止するため、代替として、幅広のストラップ20を使用することができる。この幅広のストラップは、図1乃至4に示されるようなマスク10に使用することができ、一対の締結部品22、24を備えた本体部12と係合する。
【0047】
ストラップ20は、織物材料、不織材料、ゴム、プラスチック、他の材料又は、これらの混合物で作成可能である。同様に、マスク10の本体部12も、これらの同じ材料の多くを含む。通常、マスク10の本体部12を製作するために選択された材料は、使用者の顔の部分(例えば、使用者の鼻と口)をカバーするのに適した形態へと、裁断され、細長く切断され、又は他の形状に加工される。マスクの本体部製作のために別の層又は構成要素同士の取付けが必要な場合には、例として、熱、接着剤、超音波エネルギー、機械式取付具(例えば、フックとループのファスナー)、縫着、等を利用して層又は構成要素同士の取付けを行うことができる。他の箇所で言及したように、材料は、締結部品への取付けを容易にすることを目的として、何らかの方法で予め切断しておくことができる。
【0048】
弾性を目的として、ストラップ20は、適切なエラストマー繊維形成樹脂又はこれを含有する混合物を使用して作成可能である。本発明のストラップは、伸縮性及び非伸縮性繊維又は微粒子の混合物とすることができる。ストラップ20は、ストレッチボンドラミネート(SBL)のようなエラストマー材料を含む。本発明の別の型式では、ストラップ20は、エラストマー・フイルム又は伸縮性ストランドのような個別の伸縮性部品を含む(例えば、個別の伸縮性ストランドは、相互に離間し且つ実質的に平行な状態で押出され又は形成され、これらのストランドにメルトブローン繊維又は他の繊維が取付けられる)。
【0049】
使用者の顔に対してマスクを確実に保持するには当業界で周知のごとく任意のストラップ20の使用が可能である。
【0050】
異なる締結様式の使用も可能である。図示した幾つかの実施例では、ストラップ20は、頭を取り巻くのに適した柔軟材料(例えば、引き伸ばすのに適した不織材料)で形成する。この柔軟材料より成るストラップ20は、その端部において、マスク10の本体部12上の対応する締結部品22、24に係合可能なストラップ締結部品に取付けられる。締結部品22、24は、当業者に知られている多くの方法でストラップへの取付けが可能である(例えば、ストラップとストラップ締結部品を備えたマスクの使用の際にストラップへのストラップ締結部品の取付けを維持するための、接着剤の使用、溶接、材料を溶融する熱エネルギー又は他のエネルギーの投入、ストラップ締結部品へのストラップ取付けのための、具体的には、ネジ、リベット、スナップ、フックとループより成るファスナー、等、である機械式締結要素の使用、又は、別の同様の方法及び方法の組合せ)。
【0051】
締結部品22、24用の適切な材料には、プラスチック、金属、又は、これらの混合物が含まれる。好ましい材料には、当業者に知られた様々な手段の任意のものによって、特定的には、射出成形によって所望形状での成形が可能な熱可塑性ポリマーを含む。このポリマーには、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリスチレン、ナイロン(商標)、ポリ塩化ビニル、及び同等物が含まれる。
【0052】
ストラップ20は、本体部12に取付けられる締結部品22、24との結合によって形成される締結様式を介してマスク10の本体部12に係合される(この締結様式は、概ね、図1、4、5、6、7及び11の22、24で示されている)。図1、4及び11に示されている締結部品22、24は、曲がった形状又はわん曲した形状であるが、ストラップを引くための締結部品は、上述した要件に適合するならば、当業界で知られた任意の形状にすることができることにご理解願いたい。
【0053】
幾つかの実施例では、マスク10の本体部12上の締結部品22、24は、呼気ベント60として機能するのにも適している(すなわち、マスク10の本体部12上の締結部品22、24を通リ抜けて外へ周囲環境へと至る呼気の流れを容易にするように通気する)。図1及び2において、呼気ベント61、63は、それを通って空気が移動するための通路を有する。幾つかの実施例では、これらのベントは、呼気がマスク着用者の目から遠去かるのを助け、これによって、マスク着用者の目の間、及び、マスク着用者がかけている眼鏡に至る湿気を含有した呼気の量を減らす働きをする。さらに、このベントは、マスクの本体部を通って外に出る呼気の容積測定流れ率よりも大きな容積測定流れ率で該ベントを通り抜ける呼気の流れを提供することができる。ある場合には、ベント、ポート、通路、又は、開口を、多孔材又はろ過材で覆って、周囲環境に放出される呼気中の特定の種類の成分の量を削減することも可能である。
【0054】
マスク10の幾つかの実施例では、図1及び2に図示したと同様の呼気ベント・アセンブリ61、63が、マスク10に備えられる。図9、10及び11は、呼気ベント・アセンブリの様々な型式の異なる部品を図示する。この代表的型式での内側ベント体80は、長円形を有しているが、他の形状も可能である(例えば、円形、等)。内側ベント体80は、マスク10の本体部12の内面13に取付けられ、又は、これに隣接して配置される。可能な一実施例では、それを通って内側ベント体80の一部分を挿入するための開口を設けるべく、マスク10の本体部12を予め切り抜き加工する。例えば、この開口は、マスク着用者の耳の近くの本体部12周縁部近傍の箇所に配置することができる(例えば、図1内で締結部品22、24が配置される箇所と同様)。ストラップ20は、マスク10の一側部に一体的に取付けられ且つマスク10の他側部に着脱可能に取付けられることが可能ではあるが、本発明の幾つかの型式では、図1及び2に図示した代表的型式と同様の呼気ベント・アセンブリは、マスク10の両方の側部に取付けることができる(このアセンブリは、これに対してストラップ締結部品が着脱可能に係合し得る締結部品を含む)。このような型式では、マスク10は、マスク本体部12の両方の側部に予め切り抜き加工した開口を有し、これにより、マスク10の本体部12の両方の側部に対する呼気ベント60の取付けを可能とする。
【0055】
図9に図示の内側ベント体80では、この内側ベント体80から上向きに突出する内側ベント体リム82が、マスク10の本体部12の予め切り抜かれた開口を通って挿入され、エッジ部分84で、少なくともマスク10の本体部12の内面13の部分に隣接して載置する。リム82には、レッジ部86が取付けられ、このレッジ部86は、概略、(1)(空気が通り抜ける開口88の一部分を塞ぐことによって)呼気の流れ制御を支援し、及び/又は、(2)吸気時には呼気ベントを通って吸い込まれる空気の流れを妨害し又はとどめるものの、呼気時には、呼気ベントを通って外へ向かう空気の流れを許す膜(例えば、フイルム、基板、又は複合材)を取付けるためのポイントとして機能する。例えば、開口88を完全にカバーし、そして、レッジ部86のみに取付けられている膜は、マスク使用者が息を吸い込んだときには、開口88の周囲に圧接するように引っ張られ、これにより、内側に向かう空気の流れをさえぎり又は妨害する可動フラップとしての作動が可能である(これによって、マスク本体部を形成する材料中に吸気を通過させる効果が得られる)。マスク使用者が息を吐き出したときには、前記開口の周囲に取付けられていないこの可動フラップとして作動する膜は、前記開口の周囲から押し離されて、呼気ベント内開口を介する空気の外への通過を可能とする。
【0056】
内側ベント体80は、通常、外側ベント体93と係合及び/又は連係可能であるように、成形され及び/又は構成を含む。それで、図10に図示する呼気ベントの代表的型式では、外側ベント体93は、内側ベント体リム82の周囲に適合し且つ係合する外側ベント体リム96を含む。また、マスクの使用中に内側ベント体と外側ベント体とが簡単に分離することのないリム72、82相互の機械的係合のためのリム72、82の設計が可能である。例えば、内側及び外側ベント体のリムは、外側ベント体が内側ベント体の上に載せられて押し付けられたときに、所定の位置で嵌合するフランジ状構造(例えば、スナップ式ファスナー同様)を有することができる。そのような機械式接続は多数知られており、この目的のために使用可能である。内側及び外側ベント体を相互に、また、マスク本体部に取付けることを目的として、他の方法の使用が可能である(例えば、接着剤、溶接、熱接合、等)。
【0057】
図10に図示の外側ベント体93の代表的型式は、また、外側ベント体開口98を2つの別々の空気通路に概ね分割する仕切り材98を含む。内側ベント体80の向きに応じて、且つ、内側ベント体レッジ部86が少なくとも部分的に上方又は下方空気通路をカバーするか否かに係りなく、使用者又は製造者は、呼気(少なくともその一部)を所望の方向に向けることができる。
【0058】
仕切り材は、必ずしも、必要としないことにご留意願いたい。また、呼気又はその一部分を所望の方向に流すように製造者又は使用者が呼気ベント・アセンブリの部品の取付けを選択可能なように別の構成又は配列を使用することができる(例えば、目から離れて、マスク使用者がまた眼鏡又は他の目保護具を着用しているならば、暖かく湿った空気が眼鏡又は目の保護具上に凝縮し、より一層見ずらくする)。
【0059】
3つの構成要素が相互に係合して組み合わされた呼気ベント・アセンブリ61、63を構成する。図9の図示において上向きの別の構成要素80の内側ベント体レッジ部86は、組み合わされたアッセンブリ110では下向きにされていることにご留意願いたい。また、上記の説明で言及した膜は、図9及び10には示されていないことにもご留意願いたい。さらに、アセンブリの部分である図9及び10の図示では、マスク10の本体部12又はその部分を示していないことにご留意願いたい。これらは、もちろん、少なくとも一部であるが、内側及び外側ベント体の部分の間にはさまれている。
【0060】
一般的には図9、10、11及び12に図示の構成要素は、プラスチック、金属、及び同等物などの実質的に剛性の材料で製作する。
【0061】
上記に説明した構成要素に加えるに、マスク10は、このマスク10の使用を促進する追加的な特徴を含む。例えば、このマスク10の適合性は、使用者が求める鼻に対する所望のぴったり感及びシール性に合うように変形可能なノーズ・クリップ151を含むことによって向上可能である。
【0062】
幾つかの実施例では、ガスケット材161が、着用者の皮膚に向かって内方に面するに適したマスク10の本体部12の周縁部18の少なくとも一部の回りに設置される(例えば、ヒドラゲル(Hydra-gel)、発泡材料、又は同様な材料のようなコンフォート・シールがマスクの周縁部の周りに(マスク/着用者の境界に)設けられる。又は、周囲でのシール及びマスク性能を改善する粘着性シーラント)。
【0063】
本発明の幾つかの型式では、着用者の目の近傍のマスク10の本体部12の周縁部18は、着用者の採用するメガネ類の選択を助ける外形に形成される。さらに、本発明の1以上の型式は、任意の従来のメガネ類又は特別に適合するメガネ類の一部をマスクの或る部分に結びつける又は取付けることを助ける構成要素を含むことができる。着用者の目の近傍のマスク10の周縁部18の部分は、メガネ類の少なくとも一部分との着脱可能な係合に適した、磁石、接着剤、又は、他の機械式の締結装置を含むことも可能である。例えば、マスクの上方の縁部分の近傍に鉄製又は他の磁性内部ワイヤを設けることができる。このワイヤは、メガネ類に設けられた任意の磁石との相互作用が可能である。さらに、このワイヤは、マスク及び/又はメガネ類に適合するように曲げ又は調節することによって、保護眼鏡が顔からずり落ちたり、又は、マスクの外周の回りでずれるのを防ぐのを支援することができる。
【0064】
別の箇所で述べたように、マスクは、使い捨て可能である。例えば、マスク全体(例えば、本体部と、ストラップ締結部品を含むストラップと、本体部に取付けられる締結部品であってストラップ締結部品との着脱可能な係合に適する締結部品と、より成る一つの代表的型式において)を使い捨てとすることができる(例えば、1回きりの使用後に、又は、限定された使用後に)。
【0065】
本発明のマスクの製造者又は販売者は、そのマスクの購入者、消費者又は使用者に伝えるメッセージ、陳述、又はコピーの作成が可能である。このメッセージ、陳述、又はコピーは、マスク使用者に、本発明のマスク又はその使用が、1以上の精神状況、心理状況、又は福利状況に関連するとの思いを起こさせるように作成することができる。このメッセージ、陳述、又はコピーには、例えば、使い捨て、便利、気軽、使用容易、快適、安全、モトクロス、エックス・スポーツ、保守、修理、サイクロクロス、スケートボード、スノーボード、健康管理、手術、外科、及び、これらの派生語又は結合語、又は、別のそのような用語又は状態を含む各種の英数字語句を含むことができる。一実施例では、このメッセージ、陳述又はコピーが、本発明のマスクに伴い、利用を容易にする。別の実施例では、このメッセージ、陳述又はコピーは、本発明のマスク並びに廃棄可能性に関係する。別の実施例では、このメッセージ、陳述又はコピーは、本発明のマスク並びに、用具の販売者、製造者及び/又は供給者の登録商標又は使用商標に関係する。例えば、本発明のマスクを収納する容器内又は容器上に、Kimberly-Clark, Kimberly-Clark Professional, Kleenguard(商標), 3M, Moldex, Gerson、その他のロゴ又は商標名又はマスク製造者・販売者又はこれらの組合せのような、ロゴ又は商標名又は製造者を伴うマスクに関係する陳述を設けることができる。
【0066】
上記に参照のようなメッセージ、コピー、陳述及び/又は英数字語句は、単独での使用も可能であり、別の英数字語句に隣接し、又は、組合せて使用することも可能である。このメッセージ、陳述又はコピーは、新聞広告、テレビ広告、ラジオその他の音声広告、郵送物、イーメイル、インターネットのウエブページその他の投稿、投書欄書込み、注文書、各種の販売促進活動(例えば、取引販売促進活動)、他の会社と共同する販売促進活動、コピー及び同等物、製品を収納する箱又は包装(本発明のマスクが入る)のような(すなわち、有形の媒体に表現された)の形態又は消費者又は潜在的な消費者に情報を広めるための別の形態をとることができる。例えば、有形の媒体に表現されたメッセージでは、本発明のマスクに、Kimberly-Clark, Kimberly-Clark Professional, Kleenguard(商標), 3M, Moldex, Gerson、その他のロゴ又は商標名又はマスク製造者・販売者又はこれらの組合せを関連させることができる。
【0067】
メッセージ、陳述、コピー又は他の知らせを本発明のマスクを収納する包装に関連させる場合(例えば、包装上に、文、画像、シンボル、グラフィック、色彩、又は同等物を印刷することによって、又は、包装内に印刷された指示書を配置することによって、又は、包装又は同等物にそのような指示書、注文書、又は、他の材料を関連させ又は取付けることによって)、その包装の構造の材料は、少なくとも包装の一部を介する水又は蒸気の通過を削減し、妨害し、又は除去するべく選択することができる。さらに、前記包装の構造の材料は、該包装を介する光の透過を抑え又は妨害するべく選択可能であり、これには、選択された波長の電磁波の透過を抑え又は妨害することが含まれる。
【0068】
さらに、水又は蒸気の通過又は浸透を阻止し、削減し、又は除去する容器、パケット、封筒、袋、ラッパー、又は同等物内に、マスクを個別に包み込むことが可能である。この適用を目的として、「包装」「容器」「封筒」「袋」「パケット」及び同等物は、これらが、個々のマスク(例えば、個別の包装が単一のマスクを収納する場合)又は複数のマスク(個々のマスクが個別の包装のような別の材料内に収納保持されているか否かにかかわらず、フイルム又はプラスチック製の容器である柔軟な袋に複数のマスクを収納する場合)のいずれをも収納して保持するのに適している任意の材料であるとの意味において、交換可能である。
【0069】
本発明の幾つかの実施例では、包装は、本発明の1以上のマスクのみを収納するのではなく、他の健康及び衛生用品をも収納する。一実施例では、本発明のマスクは、メガネ類、特に、少なくともマスクの一部に取付け、接着し、又は、吸着する(例えば、磁石の相互作用により)に適したメガネ類と一緒に販売し、引渡し、配給し、又は取引される。この組合せは、先行する段落で説明したような市販且つ包装が可能であることにご留意願いたい。また、この段落で説明したような、包装上の陳述、有形な媒体に表現されたメッセージ、及び包装に、プライベートブランド(本発明のマスクのような製造用品が、他の会社のロゴ又は商標名−多くの場合、小売業者又は卸売業者のロゴ又は商標名−で1つの販売会社によって製造されていることを意味する。)の商標名またはロゴを関係させることが可能であることもご留意願いたい。
【0070】
本発明を詳細に説明したが、添付請求項に記載の開示範囲から逸脱することなく改良及び変更が可能なことは明らかであろう。
【0071】
この明細書の説明又は好実施例の構成要素の導入において、用語「1つの」「その」及び「前記」は、1以上の構成要素が存在することを意味する。用語「含む」及び「有する」は、説明された以外の追加の構成要素があることを意味する。
【0072】
この明細書の開示の範囲を逸脱せずに上記のマスクに様々な変更が可能であるが、この明細書の説明と添付図面に含まれる全ての技術事項は、例示のためであり、限定ではない、と解釈されるべきである。
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスク、特に、潰れ抵抗マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
マスク(respirator)は、製造、清掃、スポーツ及び家庭用など種々の分野の用途を有する。これらの用途では、マスクが、粉塵及び他の微粒子エアロゾルをろ過して使用者の呼吸器系を有害で刺激性の汚染物質から保護する。同様に、マスクは、医療関係の用途も有する。この場合、マスク着用者の呼気をろ過して周囲に放出される細菌又は他の汚染物質の量を最小に抑える構成が有用である。病院の患者は、通常、感染を防止する無菌環境を必要としており、また、病院の患者は、免疫機構が低下して感染し易くなることから、細菌性汚染物質に対するこのような規制は重要である。さらに、病院の患者は浮遊細菌性の病原体をもっていることが多いので病院内にある汚染物質から使用者を保護するために吸気のろ過も行う。
【0003】
そのため、医療関係分野では、特に手術室では、医療従事者は、治療中の患者に存在し得るAIDS、肝炎あるいは他の接触伝染性疾患から自身を保護するために、マスクを頻繁に使用する。
【0004】
或る種類のマスクは、使用者の顔全体を覆うように設計され、別の種類のマスクは、使用者の鼻と口のみを覆うように設計される。追加的なものでは、マスクが使用者の顔の幾つかの部分を覆うように設計される。例えば、或るマスクは、使用者の鼻、目及び口をカバーするように設計される。鼻と口をカバーするマスクのフロントパネル部分は、病原菌及びその他の汚染物質の通過は阻止する一方で空気の通過は許して使用者の呼吸を可能とする材料で作成される。
【0005】
マスクは、また、使用者の顔に緊密なシールを提供するように設計される。このシール構造は、粉塵、微粒子、浮遊性細菌、その他の汚染物質がマスクのろ過材を迂回するのを防ぐことによってマスクの全体的な効果のために重要である。
【0006】
マスクには、そのフロントパネル部分を使用者の頭に確実に取付けるのに使用する固定用具が設けられる。例えば、工業的環境で使用されるマスクには、ゴム又は伸縮性のストラップが通常用いられる。また、手で操作する締結ストラップも、特に医療用マスクで採用可能である。これらのストラップによってマスクが使用者に締着される。そのためには、使用者の顔にマスクをかぶせ、そして、使用者の頭の周りに締結ストラップを伸張して取付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,850,347号明細書
【特許文献2】米国特許第6,715,489号明細書
【特許文献3】英国特許出願第2,103,491号明細書
【特許文献4】米国特許第5,701,893号明細書
【特許文献5】米国特許第6,474,336号明細書
【特許文献6】米国特許第6,923,182号明細書
【特許文献7】米国特許第7,036,507号明細書
【特許文献8】米国特許第4,374,888号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、使い捨てマスクは、特に、工業用目的又は工業に関連する目的に使用のマスクにおいて、使用者の口と鼻をカバーするテント状形状を形成するように構成された複数材料層よりなる薄く成形された本体部を有するのが普通である。あるいは、使い捨てマスクに使用の材料は、大部分平坦であるものの、折り目又はひだを含んでおり、使用の前に、この折り目またはひだを広げて使用者の口及び鼻をカバーするテント状形状にする。使用者を保護すべく、このマスクには、使用者の吸気の全てを通すためのろ過材を利用する。使用者の吸気にともない、マスクの呼吸室に負圧が生じ、これが、使用者の口にぶつかるマスク本体部の潰れを引き起こす。この潰れは、使用者にとっては不快であり、このマスクの通常使用をさまたげる。
【0009】
様々な解決法でこの潰れの問題を解決する試みが行われている。或る種類のマスクでは、マスクの剛性の向上を計るべく、比較的厚い材料、比較的堅い材料が使用され、又は、追加層数を増やす。例えば、米国特許第4,850,347号明細書(特許文献1)、米国特許第6,715,489号明細書(特許文献2)、及び英国特許出願第2,103,491号明細書(特許文献3)参照。ただし、比較的堅い材料は、潰れへの抵抗には有効ではあるが、これは、着用する者の快適さへの要望及び使用者の顔の個々の形状に適合するマスクへの要望には反して作用する。他の解決法には、マスクの構造をより一層強化する各種の折り紙形式の折り目、ひだ、及び他の代替的な幾何学形状が含まれる。例えば、米国特許第5,701,893号明細書(特許文献4)、米国特許第6,474,336号明細書(特許文献5)、米国特許第6,923,182号明細書(特許文献6)、及び米国特許第7,036,507号明細書(特許文献7)参照。そのような複雑な形状は、特殊で、そして、しばしば、より複雑な製造プロセス及び/又は機器を必要とする。また、そのような形状は、多くの場合、ユーザーがマスクの複雑な形状に妨げられることなく適切に着用することに依存する。
【0010】
上述した問題を考慮するに、マスク使用の際における呼吸から引き起こされる潰れに抵抗するマスクへの需要が依然として存在する。このマスクは、適度な快適さと使用者の顔に対する必須なシールを実現する。このマスクは、また、製造での容易さを備えることが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
マスク使用の際の使用者の呼吸によって引き起こされるマスクの潰れに抵抗する特殊な構成要素及び該構成要素の構造を備えるように使い捨てマスクを構成可能であることを発見した。具体的には、この明細書は、使用者の口と鼻をカバーする本体部とマスク使用者の呼吸による本体部の潰れに抵抗する潰れ抵抗手段を有するマスクに関係する。具体的には、多くの実施例において、潰れ抵抗手段は、マスク着用時に外に向かうたわみ力を付与するように構成された、たわみ部材、補強材料、締結部品、又は、これらの任意の組合せとすることができる。さらに、幾つかの実施例では、使用者がマスクを着用しないときには、マスクを実質的に平坦にするに適している。
【0012】
この明細書は、また、マスクに取付けられるのに適している二重呼気ベント・アセンブリに関係する。二重呼気ベント・アセンブリは、内側ベント体の間に延在するストラット材によって連結される2個の内側ベント体を備えた内側ベント・アセンブリを含む。このアセンブリは、マスク本体部の一部分が内側ベント体と外側ベント体の間に配置されるように内側ベント体に連結するに適した一対の外側ベント体をさらに含む。幾つかの実施例では、外側ベント体の前記対は、該外側ベント体間に延在するコネクタによって連結される。
【0013】
最後に、この明細書は、また、本体部と、本体部の両側の側部上の第1及び第2締結部品と、両締結部品と係合するストラップを有するマスクに関係する。第1及び第2締結部品は、マスクを使用者が着用したときに本体部に外に向かうたわみ力を付与するように構成される。
【0014】
本発明の他の目的及び特徴は一部自明であり、一部は後述されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この明細書の説明に従い使用者によって着用されたマスクの正面図である。
【図2】図1に示されるマスクの背面図である。
【図3】この明細書の説明に従うマスクの背面図である。
【図4】使用者に着用された図3に示されるマスクの正面図である。
【図5】この明細書の説明に従うマスクの正面図である。
【図6】図5のマスクの背面図である。
【図7】この明細書の説明に従い使用者によって着用されたマスクの右側面図である。
【図8】図7のマスクの上端断面図である。
【図9】この明細書の説明の内側ベント・アセンブリの図である。
【図10】この明細書の説明の外側ベント体の図である。
【図11】この明細書の説明の外側ベント・アセンブリの図である。
【図12】この明細書の説明の例示的なストラット材の図である。
【図13】この明細書の説明に従うマスクの背面図である。
【図14】この明細書の説明に従うマスクの背面図である。
【図15】この明細書の説明に従うマスクの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[用語の定義]
この明細書の中で、後述する用語や表現は以下に記載の意味を有している。
「使い捨て」は、1回使用の物品に限定されず、1回又は数回の使用後に汚れたり又はその他の事由で使用不能となった場合に廃棄可能な、消費者にとって比較的に廉価な物品も言及する。この「使い捨て」物品は、再利用を目的とした修復処理ではなく、一定の使用後に廃棄されるべく設計される。
「実質的」とは、大部分の程度そうなることをいい、例えば、「実質的にカバーする」とは、或るものが、少なくとも95%カバーされることを意味する。
「整合」とは、直線又は平行線内の物の位置又は配列が有する空間的特性を言う。
「構成する」又は「構成」とは、特定の用途又は使用を目的として、設計し、配列し、セットアップし、又は成形することを意味する。例えば、軍用車両は凹凸地形用に構成され、コンピュータはシステム・パラメータの設定により構成される。
交換可能に使用される「配向」又は「位置」は、何かが位置付けられる場所又は方向の空間的特性を言及しており、例えば、「時計の上の手の位置」。
「上に配設」「沿って配設」「で配設」「に配設」及びこれらの変形表現は、1つの要素が他の要素と一体とすることができ、又は、1つの要素が別の要素に接合し、又は、ともに配置され、又は、近くに配置された別の構造とすることができることを意味する。
「結合」又は「添付」は、それに限定されないが、2つの物を一体的に又は相互に隙間なく接合、接続、締結、連結又は関連させることを含む。「着脱可能に添付」は、2つ以上の物を確実に連結し、且つ、同時に、これらの物の手操作による連結解除が可能なことをいう。
「取付(け)」及びこれからの派生語は、2つの構成要素相互の継ぎ合わせ、接着、接続、接合、縫着、等をいう。2つの構成要素は、相互に一体化され相互に直接に取付けられた場合、又は、各々が中間構成要素に直接に取付けられたような相互に間接に取付けられた場合に、相互に取付けられていると考えられる。「取付(け」及びこれからの派生語は、恒久的な取付け、解除可能な取付け、又は、再締結可能な取付けを含む。付け加えるに、この取付けは、製造工程において又はエンドユーザのいずれにおいても終了することが可能である。
「接続」及びこれからの派生語は、2つの構成要素相互の継ぎ合わせ、接着、接合、取付、縫着、等をいう。2つの構成要素は、相互に直接に接続された場合、又は、各々が中間構成要素に直接に接続されたような相互に間接に接続された場合に、相互に接続されたと考えられる。「接続」及びこれからの派生語は、恒久的な接続、解除可能な接続、又は、再締結可能な接続を含む。
「接合」、「相互接合」及びこれからの派生語は、2つの構成要素相互の継ぎ合わせ、接着、接続、取付、縫着、等をいう。2つの構成要素は、相互に直接に接続された場合、又は、各々が中間構成要素に直接に接続されたような相互に間接に接続された場合に、相互に接合された又は相互接合されたと考えられる。「接合」及びこれからの派生語は、恒久的な接合、解除可能な接合、又は、再締結可能な接合を含む。
「超音波接合」は、ソニックホーンとアンビルロールの間に材料を通すことによって材料(繊維、ウエブ、フイルム、等)を接合する工程をいう。この工程は、Bornslaegerへの米国特許第4,374,888号明細書(特許文献8)に記載されており、この特許文献は、ここで引用したことにより、その全体をこの明細書の一部とする。
「層」は、単一形で使用された場合、単一の構成要素又は複数の構成要素の二重の意味を有する。
「不織」及び「不織ウエブ」は、織成工程又は編成工程の助けなしに形成した材料及び材料ウエブをいう。例えば、不織材料、生地又はウエブは、メルトブローン工程、スパンボンド工程、エアーレイド工程、コンフォーム工程、及びボンドカーデッドウエブ工程などの多くの工程で形成される。
「ポリマー」は、通常、限定はしないが、例えば、ホモ重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、及び交互共重合体などの共重合体、三元重合体、及びこれらの混合物と変態を含む。さらに、特に別の限定をしない限り、「ポリマー」は、分子の可能な全幾何学的配列を含む。この配列には、限定はしないが、アイソタクチックな、シンジオタクチックな、そしてランダムな対称性を含む。
これらの用語は、この明細書の他の部分で追加的な文言で定義されることもある。
【0017】
[開示内容の詳細な説明]
1以上の例を添付図面に図解し、本発明実施例の詳細についての説明を行う。各例は、本発明の説明のために示されるもので、本発明の限定を意味しない。例えば、1つの実施例の一部分として図解され説明された特徴を、別の実施例に使用して第3の実施例を生み出すのに利用することができる。本発明は、これらのそして他の改良及び変形を含むことを企図する。
【0018】
本発明は、本体部と使用者によってマスクが着用されている間に生ずる本体部の潰れに抵抗する潰れ抵抗手段とを有するマスクに関係する。潰れ抵抗手段は、マスクろ過材を介するマスク着用者による吸気の際に生ずるマスク着用者の顔面に対するマスク内側層の潰れを防ぐことを目的とする。この潰れ抵抗手段は、所望の密着性及び機能を有するとともに使用がより一層快適なマスクを提供する。外部からの衝撃力の付加によって生ずる潰れの防止は、必ずしも、この潰れ抵抗手段の目的ではない。また、幾つかの実施例では、使用者に着用されていないときにマスクが実質的に平坦な形態となるに適するようにマスク及び潰れ抵抗手段を構成する。この平坦な形態は、将来的な使用に向けて使用者がマスクを簡便に(例えば、シャツ又はズボンのポケット内に)保管することを可能とする。
【0019】
図1乃至8を参照するに、標準的なマスク10は、本体部12を含む。本体部12は、マスク10を通って吸い込まれ又は吐き出される空気に含まれる少なくとも1以上の成分をろ過し、スクリーニングし、又は他の方法で処理するに適合しているマスク10の部分である。通常、本体部12は、マスク10の所望の最終用途に応じて様々な形状及び寸法とする。さらに、マスクの所望の最終用途に応じて、マスク10の本体部12又はその一部を成形し又は裁断する(これには、少なくとも締結部品22、24の一部を収容するに適合した開口の本体部内への切抜きを含む)。
【0020】
幾つかの実施例では、マスク10の本体部12は、運送又は保管中は平坦な形態をとるのに適合しており、使用の時には、開かれ、広げられ、又は他の様式で展開されて、本体部12が使用者の顔の幾つかの部分をぴったりと覆うのに適している。或る変更実施例では、マスク10の本体部12は、予め形成された又は予めモールド成形されたカップ状形態をとるのに適合していて即使用が可能であり、すなわち、使用者の顔の幾つかの部分をぴったりと覆うのに、本体部12を変形する(すなわち、広げる又は開く)必要はない。
【0021】
通常、本体部12は、当業界に知られている任意の適切な材料を含む。例えば、この明細書に説明のマスク10の本体部12は、任意の不織ウエブ材料、織物材料、編物材料、フイルム、又はこれらの混合材料を含む。特に好ましい実施例では、本体部12は、不織ウエブ材料を含む。ふさわしい不織ウエブ材料には、メルトブローン・ウエブ、スパンボンド・ウエブ、ボンデッドカーデッド・ウエブ、ウェットレイド・ウエブ、エアーレイド・ウエブ、コンフォーム・ウエブ、ハイドロエンタングルド・ウエブ、及びこれらの混合材料が含まれる。また、不織ウエブには、合成繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、等)を含む。
【0022】
図1に図解のマスク10は、使用者が着用した状態で示す。本体部12が、使用者の口と鼻をカバーするタイプである。本体部12は、使用中、使用者とは逆の方向側に面する外面15と、使用中、使用者の方に面する内面13とを有する。マスク10の呼吸室領域(すなわち、口及び鼻孔近傍領域)内で潰れ抵抗手段が潰れを防止するのは、この内面13においてである。本体部12には、マスク10を取り囲む周縁部18が画定される。また、本体部12は、周辺部分16を有するように考えられ、該周辺部分16は、周縁部18から内方へと延びる本体部12の領域で構成され、そして、使用者の顔(すなわち、鼻柱、頬、あご)と接触するように形成されたマスクの全域を含んでいる。本体部12の中央には、中央部分14が在り、周辺部分16によって取り囲まれる。中央部分14は、通常、マスク10の呼吸室を含む、すなわち、使用中に使用者の呼吸によって潰れが最も生じ易いマスク10の部分を含む。
【0023】
図1及び2は、潰れ抵抗手段を備えたマスク10の一実施例を図解する。図1及び2に図解のように、たわみ部材40は、マスク10の一方の側部(すなわち、使用者の顔の左側に隣接する)から本体部12中央部分14を横切って他方の側部(すなわち、使用者の顔の右側に隣接する)へと延びる。図示のたわみ部材40は、マスク10の内面13に沿って延びたストラット材50の形態をとる。たわみ部材40は、本体部12の内面13上の第1の取付け箇所30と該第1の取付け箇所30とは反対の側の該内面13上の第2の取付け箇所32との間をまたぐ構成である。図2に図解のこの実施例では、第1の取付け箇所30は、第1ベント・アセンブリ61と関連し、第2の取付け箇所32は、第2ベント・アセンブリ63と関連する。
【0024】
使用者の呼吸による本体部12の潰れを防止することを目的として、マスク10の使用の際に、たわみ部材40は、概ね、(使用者の顔から離れるように)外向きの弓形に曲げられる。幾つかの実施例では、たわみ部材40は、マスク10の内面13の一般的な形状に対して適合する形状を有する。幾つかの実施例では、たわみ部材40を、本体部の内面13とは異なる形状に成形することもできるが、本体部12の中央部分14内での顔との接触は最小となるように成形するのが好ましい。
【0025】
本体部12の内面13の形状に関する代替的形態に加え、たわみ部材40も、取付け箇所30、32の部分から延びる代替的形状及び構造とすることができる。図1及び2に示すたわみ部材40は、取付け箇所30、32間において、概ね、直線状である。代替として、たわみ部材40は、図9に図解のような波形形状を有する。同様に、たわみ部材40は、図1及び2に示すような一本のまっすぐなストラット材50ではなく、取付け箇所から延びるいくつもの長さを含むことができる。例えば、ストラット材50は、第1及び第2の取付け箇所30、32間に延びる一組の実質的に平行な棒材を含むこともできる。さらに付加するに、又は、代替とするに、たわみ部材40は、潰れに対して抵抗する力をさらに向上する特別な断面形状を有することもできる。例えば、たわみ部材40は、着用者に関連して、凹形、凸形、砂時計形、その他の断面形状を有する。使用中、本体部12の潰れを防ぐのに適するたわみ部材40として機能可能な形状(対称及び非対称の)、構造、断面、及びこれらの組合せは、多数あるものと考えられる。
【0026】
図1及び2に示されるように、ストラット材50は、第1及び第2の取付け箇所30、32間をまたいでおり、使用者が空気を吸い込んだとき、これにより生ずる本体部12の潰れに対し抵抗する力を提供する。ストラット材50は、単に、第1及び第2の取付け箇所30、32で本体部12に取付けることもでき、また、取付け箇所30、32間の長さを自由にまたぐこともできる。代替的には、ストラット材50は、たわみ部材40の長さに沿った1以上の箇所で本体部12に取付けることができる。幾つかの実施例では、たわみ部材40は、該たわみ部材40の全体に沿って本体部12に取付けることができる。
【0027】
このたわみ部材40は、図1及び2に示されるように、マスク10の内面13に沿って配置するのが望ましい。この配置は、顔と本体部12との間での使用の際の設置による本体部12の顔に向かう潰れに対する抵抗を可能とする。外面15に沿って配置されるたわみ部材40を含む別の実施例も考えられる。しかし、そのように外側に配置のたわみ部材では、たわみ部材40によって本体部12の潰れを有効に防ぐためには、たわみ部材40を多数の箇所で本体部12に取付けることが必要である。外側に配置のたわみ部材の比較的に好ましい実施例では、また、内面13に沿って対応するたわみ部材40を含んでおり、この例では、内側及び外側たわみ部材40が協働して本体部の潰れに抵抗する。
【0028】
図1及び2に図解のような、たわみ部材40は、マスク10の他の構成要素に付加される別個の構成要素とすることもでき、又は、複数構成要素の組合せで形成された単一膜とすることもできる。図1及び2に図解のたわみ部材40は、第1及び第2呼気ベント・アセンブリ61、63に取付けられる図12に図解の単純なストラット材50とすることができる。このストラット材50は、第1開口123を有する第1端部51を含んでおり、第1呼気ベント・アセンブリ61の内側ベント体80と外側ベント体93は、該第1開口123を介して協働して第1の取付け箇所30においてストラット材50を本体部13に結合する。同様に、ストラット材50の第2端部53は、第2呼気ベント・アセンブリ63の助けによって同様に本体部12に協働して結合する第2開口125を有する。
【0029】
代替的には、図1及び2に図解のたわみ部材40は、図9に示すような呼気ベント・アセンブリの一部とすることが可能である。図9に図解のように、ストラット材50は、第1内側ベント体81に取付けられる第1端部51と第2内側ベント体83に取付けられる第2端部53を有する。ストラット材50と内側ベント体81、83は、全体で、内側ベント・アセンブリ90を形成する。ストラット材50の長さ55は、第1端部51と第2端部53の間に延在する。この内側ベント体81、83は、図10に図解のように、個々の外側ベント体93に係合して二重呼気ベント・アセンブリを形成するように構成することができる。
【0030】
幾つかの実施例では、外側ベント体は、図11に図解の単一の外側ベント・アセンブリ110で相互に同様に結合される。図11に示すように、第1外側ベント体193は、第1及び第2外側ベント体193、293間に延在するココネクタ112によって第2外側ベント体293に接続される。コネクタ112は、第1外側ベント体193に取付けられた第1コネクタ端部114と第2外側ベント体293に取付けられた第2コネクタ端部116と第1及び第2コネクタ端部114、116間に延在するコネクタ長さ118を有する。図11に示す特定コネクタ長さ118は、追加的に、切り抜き119を含む。
【0031】
内側ベント・アセンブリ90(図9参照)と外側ベント・アセンブリ110(図11参照)を含む二重呼気ベント・アセンブリは、この二重呼気ベント・アセンブリを用いるマスク10の製造工程の単純化を可能にする。2つの別の外側ベント体及び2つの別の内側ベント体(全部で4つの部品)で適応をはかるよりも、むしろ、二重呼気ベント・アセンブリを使用して、2つの部品の間に配設されたマスク10の本体部12によって、一体的な外側ベント・アセンブリ110への単一内側ベント・アセンブリ90の取付けを可能とする。2つの外側ベント体93を備えた内側ベント・アセンブリ90(図10のような)を使用して、使用部品数を4から3へと同様に少なくする。
【0032】
たわみ部材40は、図1及び2中、呼気ベント61、63に取付けられた状態で示されており、これは、付加的に第1及び第2締結部品22、24を含む。代替的実施例では、たわみ部材40は、呼気ベント60を含まない図3乃至6に図解の締結部品のような締結部品22、24に関連する第1及び第2の取付け箇所30、32に取付けられる。別の代替的実施例では、第1及び第2の取付け箇所30、32は、呼気ベント60又は締結部品22、24との関連はない。その代わり、取付け箇所30、32は、本体部12の周縁部18と関連するか、又は、単に、本体部12上の任意の所望箇所である。
【0033】
たわみ部材40の潰れ抵抗手段の別の実施例を、図3及び4に図解する。図示のように、たわみ部材40は、本体部12の一方の側部上の第1の取付け箇所30で本体部12に取付けられた第1たわみ部材41と、本体部12の他方の側である第2の側部上の第2の取付け箇所32で取付けられた第2たわみ部材42とを含む。図4に示すように、第1たわみ部材41は、第1締結部品22に接続し、第2たわみ部材43は、第2締結部品24に接続する。本体部12へのこの接続は、このような構成要素の固定のための適切な手段で公知のように行われる。例えば、第1及び第2たわみ部材41、42を第1及び第2締結部品22、24に接合するのに超音波溶接36の使用が可能である。
【0034】
図3及び4に示すように、第1及び第2たわみ部材41、42は、本体部12の周縁部18の近傍から本体部12の中央部分14へと延在する。個々のたわみ部材41、42は、それぞれ第1及び第2の取付け箇所30、32でのみ結合され、したがって、方持ち支持(cantilevered)されている。図3及び4に示されるたわみ部材41、42には、使用材料量と重量の削減、並びに、マスク10の本体部12を介する空気流の向上を目的として切り抜き44が含まれる。たわみ部材41、42は、マスク10使用中の使用者の呼吸の際における本体部12の潰れに対する抵抗を提供するのに所望されるような、任意の寸法又は形状、対称形又は非対称形とすることができる。
【0035】
使用しない時にはマスク10を平坦状に畳み込み可能であることが所望される場合には、第1及び第2たわみ部材41、43の分離構造がマスク10に利用される。幾つかの実施例では、第1及び第2たわみ部材41、42は、相互作用するように構成される。図3及び4に示されるように、たわみ部材41、42の先端46は、相互に向き合うように延びているが、マスク10の中央部分14内で接触していない。代替的実施例では、先端46同士が重なリ合うように、たわみ部材41、42を比較的長い寸法にする。別の代替的実施例では、先端46を、第2たわみ部材42への第1たわみ部材41の結合を可能とするに適したものとする。例えば、第1及び第2たわみ部材41、42は、マスク10使用時にその相互の着脱可能な係合によってたわみ部材41、42を結合し、マスク10不使用時には非係合とされる協働式ファスナー(嵌合スリット、フックとループ式ファスナー、磁石、など)を含むことができる。
【0036】
本発明の幾つかの実施例において、マスク10の本体部12は、運送又は保管の際は平坦な形態をとるのに適合する一方で、使用の時には、本体部12が使用者の顔の所要部分をピッタリと覆うのに適するように開かれ、広げられ、又は他の様式で展開される。例えば、図3及び4に示されるような第1及び第2たわみ部材41、42は、マスク10が着用されている間は、方持ち支持による潰れに抵抗する力を本体部12に加え、マスク10が着用されていないときには、マスク10の(たわみ部材41、42間でこれに直交する線に沿った)二つ折りを可能とするように構成可能である。
【0037】
代替的には、図1及び2でのようなストラット材50を使用する実施例では、ストラット材50を、マスク10の非使用時に、同様に平坦に折畳むように構成可能である。この折畳みを助長するべく、ストラット材50は、その長さに沿って1以上の剛性を弱めたセグメントを含むことができ、切抜き44を含むことができ、また、マスク10が使用者に着用されていないときの折畳みに抵抗が可能な程ではないが、本体部12の潰れは阻止する程度の剛性を備えた材料で作成することができる。同様に、ストラット材50は、使用中は潰れに対し抵抗する力を提供し、非使用時は実質的に平坦に折畳み可能な利便性を提供するに適した形状とすることができる。例えば、図9に示されるストラット材長さ55の波形スプリング形状は、そのような折畳みを可能とする。
【0038】
図5及び6は、マルチプルたわみ部材40を使用した別の可能な実施例を図解する。第1及び第2たわみ部材41、42は、中央部分14内で、第1及び第2の取付け箇所30、32に取付けられ、本体部12の周縁部18に向かって延在する。たわみ部材41、42は、マスク10の中央部分14内に在る呼気ベント60に関連する。たわみ部材41、42は、それぞれ呼気ベント60に取付けられる別の部品とすることもでき、呼気ベント60に取付けられる単一の部品とすることもでき、又は、各たわみ部材41、42と呼気ベントとにより構成されるユニット部材とすることもできる。
【0039】
図5及び6に図解の実施例において、第1たわみ部材41は、本体部12の内面13に沿って第1の取付け箇所30からマスク10の周縁部18へと延在する。第1たわみ部材41は、2つの延長部分に分かれ、1つは第1締結部品22に向かって延び、もう1つは、第4締結部品に向かって延びる。同様に、第2たわみ部材42は、第2の取付け箇所32から第2締結部品24及び第3締結部品26に向かって延びる。
【0040】
第1及び第2たわみ部材41、42は、該第1及び第2たわみ部材41、42がマスク10の周縁部18に向かって方持ち支持されるように第1及び第2の取付け箇所30、32でのみ結合することができる。本体部12の内側の周縁部18の周りにガスケット材161を含む(図6に示されるような)マスク10において、そのように方持ち支持された第1及び第2たわみ部材41、42の先端46は、ガスケット材161と内面13の間の所定の位置に保持される。代替的には、先端46は、各締結部品22、24、26、28、又は、内面13、又は、これらの任意の組合せに結合することができる。
【0041】
図13乃至15は、潰れ抵抗手段としてたわみ部材40を備えたマスク10の別の実施例を図解する。これらの実施例では、たわみ部材40は、本体部12の内面13に沿って配置された補強材料の態様で提供される。この補強材料130は、ホットメルト接着剤、エポキシ、樹脂、又はその他のポリマーなどの接着剤であり、この接着剤は、マスク10の使用中、使用者の呼吸による本体部12の潰れに抵抗するための追加構造を中央部分14の一部に付加するべく、内面13に沿って付着することができる。
【0042】
補強材料130は、図1乃至6に図解のたわみ部材40に類似の単一の連続線内で内面に付着可能である。代替的には、他の形状及びパターンも使用することができる。図13は、補強材料130の不連続な線パターンを図解する。図14は、クロスパターン内に適用した補強材料130の連続線配列を図解する。図15は、重畳する波形パターンに適用された補強材料130の連続線配列を図解する。他のパターンもまた、考慮可能であり、当業者は、マスク10の使用中、本体部12の潰れに抵抗する補強材料130を本体部12の内面13に付着するのに、どのような他の代替的パターンでの補強材料130の付着が可能であるかを理解されよう。
【0043】
図7及び8は、潰れ抵抗手段の別の実施例を図解する。図7及び8に図解のマスク10は、該マスクを使用者が着用したときに、本体部12に外に向かうたわみ力が加わるように構成される。この締結部品71、73は、本体部12とストラップ20の両者に接続されたとき、ストラップ20によって締結部品71、73に加わる引っ張り力を本体部12に伝達するように設計されている。図8において矢印270で示される外に向かうたわみ力が、マスク10の本体部12を、使用者の顔から離れる方向に付勢する。
【0044】
図7及び8に示される実施例では、第1締結部品71と第2締結部品73とは、マスク10の相互に反対の側に取付けられる。締結部品71、73は、本体部12に取付けられる基部75と本体部から離間する締結延長部79であって該基部75のヒール77から延在してストラップ20に係合する締結延長部79とを有する。図7及び8に示されるように締結部品71、73のこの構造は、ヒール77を支点とするレバー又はてことして作動する。図8に示されるように、マスク10が着用されたとき、締結延長部79に係合するストラップ20によって引張り力が(矢印200によって示されるように)加えられる。締結部品71、73は、ヒール77を支点として枢動し、外に向かうたわみ力(矢印271と273に示すように)が基部75に加えられる。基部75でのこのたわみ力が伝達されて、マスク10の本体部12に前述の外に向かうたわみ力270を加える。
【0045】
上記に説明し且つ図1乃至15に図解した潰れ抵抗手段は、それぞれ、別個に利用可能ではあるが、様々な組合せとしても利用可能であることにご留意願いたい。例えば、たわみ部材40を利用する図1及び2に図解のマスク10の実施例は、また、図7及び8に図解の実施例に関連して説明した締結部品71、73を含むこともできる。そのような組合せでは、締結部品71、73により加えられる外に向かうたわみ力によって、ストラット材50に、本体部12での潰れに抵抗する追加の力が与えられる。同様に、使用中の潰れに抵抗するマスク10の提供という最終目標を目指して、前記実施例のいずれかの特徴を、他の実施例の幾つかの又は全ての特徴と組み合わせて使用することが可能である。
【0046】
どの実施例のマスク10においても、マスクを使用者の顔の上に保持するための支持様式は必要である。使用者の顔の上にマスク10を保持するのに様々な接着剤及び別方法の使用が可能であるが、通常は、1以上のストラップ20を使用してマスク10の保持が行われる。しばしば、マスク10の本体部12には、特に、工業用途に設計されたマスク10の本体部12には、2つの薄い伸縮性バンドが一体的に取付けられている。このような2つのストラップ20は、使用者の後頭部及び頭頂を取り囲んで閉鎖気密性の高い着用に役立つことを目的とする。例えば、図5及び6に図解のマスクは、図示された4つの締結部品22、24、26、28を備えた薄いバンドに係合する。快適さを改善するため、及び、薄いバンドで起こるようなストラップ20自体のねじれを防止するため、代替として、幅広のストラップ20を使用することができる。この幅広のストラップは、図1乃至4に示されるようなマスク10に使用することができ、一対の締結部品22、24を備えた本体部12と係合する。
【0047】
ストラップ20は、織物材料、不織材料、ゴム、プラスチック、他の材料又は、これらの混合物で作成可能である。同様に、マスク10の本体部12も、これらの同じ材料の多くを含む。通常、マスク10の本体部12を製作するために選択された材料は、使用者の顔の部分(例えば、使用者の鼻と口)をカバーするのに適した形態へと、裁断され、細長く切断され、又は他の形状に加工される。マスクの本体部製作のために別の層又は構成要素同士の取付けが必要な場合には、例として、熱、接着剤、超音波エネルギー、機械式取付具(例えば、フックとループのファスナー)、縫着、等を利用して層又は構成要素同士の取付けを行うことができる。他の箇所で言及したように、材料は、締結部品への取付けを容易にすることを目的として、何らかの方法で予め切断しておくことができる。
【0048】
弾性を目的として、ストラップ20は、適切なエラストマー繊維形成樹脂又はこれを含有する混合物を使用して作成可能である。本発明のストラップは、伸縮性及び非伸縮性繊維又は微粒子の混合物とすることができる。ストラップ20は、ストレッチボンドラミネート(SBL)のようなエラストマー材料を含む。本発明の別の型式では、ストラップ20は、エラストマー・フイルム又は伸縮性ストランドのような個別の伸縮性部品を含む(例えば、個別の伸縮性ストランドは、相互に離間し且つ実質的に平行な状態で押出され又は形成され、これらのストランドにメルトブローン繊維又は他の繊維が取付けられる)。
【0049】
使用者の顔に対してマスクを確実に保持するには当業界で周知のごとく任意のストラップ20の使用が可能である。
【0050】
異なる締結様式の使用も可能である。図示した幾つかの実施例では、ストラップ20は、頭を取り巻くのに適した柔軟材料(例えば、引き伸ばすのに適した不織材料)で形成する。この柔軟材料より成るストラップ20は、その端部において、マスク10の本体部12上の対応する締結部品22、24に係合可能なストラップ締結部品に取付けられる。締結部品22、24は、当業者に知られている多くの方法でストラップへの取付けが可能である(例えば、ストラップとストラップ締結部品を備えたマスクの使用の際にストラップへのストラップ締結部品の取付けを維持するための、接着剤の使用、溶接、材料を溶融する熱エネルギー又は他のエネルギーの投入、ストラップ締結部品へのストラップ取付けのための、具体的には、ネジ、リベット、スナップ、フックとループより成るファスナー、等、である機械式締結要素の使用、又は、別の同様の方法及び方法の組合せ)。
【0051】
締結部品22、24用の適切な材料には、プラスチック、金属、又は、これらの混合物が含まれる。好ましい材料には、当業者に知られた様々な手段の任意のものによって、特定的には、射出成形によって所望形状での成形が可能な熱可塑性ポリマーを含む。このポリマーには、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリスチレン、ナイロン(商標)、ポリ塩化ビニル、及び同等物が含まれる。
【0052】
ストラップ20は、本体部12に取付けられる締結部品22、24との結合によって形成される締結様式を介してマスク10の本体部12に係合される(この締結様式は、概ね、図1、4、5、6、7及び11の22、24で示されている)。図1、4及び11に示されている締結部品22、24は、曲がった形状又はわん曲した形状であるが、ストラップを引くための締結部品は、上述した要件に適合するならば、当業界で知られた任意の形状にすることができることにご理解願いたい。
【0053】
幾つかの実施例では、マスク10の本体部12上の締結部品22、24は、呼気ベント60として機能するのにも適している(すなわち、マスク10の本体部12上の締結部品22、24を通リ抜けて外へ周囲環境へと至る呼気の流れを容易にするように通気する)。図1及び2において、呼気ベント61、63は、それを通って空気が移動するための通路を有する。幾つかの実施例では、これらのベントは、呼気がマスク着用者の目から遠去かるのを助け、これによって、マスク着用者の目の間、及び、マスク着用者がかけている眼鏡に至る湿気を含有した呼気の量を減らす働きをする。さらに、このベントは、マスクの本体部を通って外に出る呼気の容積測定流れ率よりも大きな容積測定流れ率で該ベントを通り抜ける呼気の流れを提供することができる。ある場合には、ベント、ポート、通路、又は、開口を、多孔材又はろ過材で覆って、周囲環境に放出される呼気中の特定の種類の成分の量を削減することも可能である。
【0054】
マスク10の幾つかの実施例では、図1及び2に図示したと同様の呼気ベント・アセンブリ61、63が、マスク10に備えられる。図9、10及び11は、呼気ベント・アセンブリの様々な型式の異なる部品を図示する。この代表的型式での内側ベント体80は、長円形を有しているが、他の形状も可能である(例えば、円形、等)。内側ベント体80は、マスク10の本体部12の内面13に取付けられ、又は、これに隣接して配置される。可能な一実施例では、それを通って内側ベント体80の一部分を挿入するための開口を設けるべく、マスク10の本体部12を予め切り抜き加工する。例えば、この開口は、マスク着用者の耳の近くの本体部12周縁部近傍の箇所に配置することができる(例えば、図1内で締結部品22、24が配置される箇所と同様)。ストラップ20は、マスク10の一側部に一体的に取付けられ且つマスク10の他側部に着脱可能に取付けられることが可能ではあるが、本発明の幾つかの型式では、図1及び2に図示した代表的型式と同様の呼気ベント・アセンブリは、マスク10の両方の側部に取付けることができる(このアセンブリは、これに対してストラップ締結部品が着脱可能に係合し得る締結部品を含む)。このような型式では、マスク10は、マスク本体部12の両方の側部に予め切り抜き加工した開口を有し、これにより、マスク10の本体部12の両方の側部に対する呼気ベント60の取付けを可能とする。
【0055】
図9に図示の内側ベント体80では、この内側ベント体80から上向きに突出する内側ベント体リム82が、マスク10の本体部12の予め切り抜かれた開口を通って挿入され、エッジ部分84で、少なくともマスク10の本体部12の内面13の部分に隣接して載置する。リム82には、レッジ部86が取付けられ、このレッジ部86は、概略、(1)(空気が通り抜ける開口88の一部分を塞ぐことによって)呼気の流れ制御を支援し、及び/又は、(2)吸気時には呼気ベントを通って吸い込まれる空気の流れを妨害し又はとどめるものの、呼気時には、呼気ベントを通って外へ向かう空気の流れを許す膜(例えば、フイルム、基板、又は複合材)を取付けるためのポイントとして機能する。例えば、開口88を完全にカバーし、そして、レッジ部86のみに取付けられている膜は、マスク使用者が息を吸い込んだときには、開口88の周囲に圧接するように引っ張られ、これにより、内側に向かう空気の流れをさえぎり又は妨害する可動フラップとしての作動が可能である(これによって、マスク本体部を形成する材料中に吸気を通過させる効果が得られる)。マスク使用者が息を吐き出したときには、前記開口の周囲に取付けられていないこの可動フラップとして作動する膜は、前記開口の周囲から押し離されて、呼気ベント内開口を介する空気の外への通過を可能とする。
【0056】
内側ベント体80は、通常、外側ベント体93と係合及び/又は連係可能であるように、成形され及び/又は構成を含む。それで、図10に図示する呼気ベントの代表的型式では、外側ベント体93は、内側ベント体リム82の周囲に適合し且つ係合する外側ベント体リム96を含む。また、マスクの使用中に内側ベント体と外側ベント体とが簡単に分離することのないリム72、82相互の機械的係合のためのリム72、82の設計が可能である。例えば、内側及び外側ベント体のリムは、外側ベント体が内側ベント体の上に載せられて押し付けられたときに、所定の位置で嵌合するフランジ状構造(例えば、スナップ式ファスナー同様)を有することができる。そのような機械式接続は多数知られており、この目的のために使用可能である。内側及び外側ベント体を相互に、また、マスク本体部に取付けることを目的として、他の方法の使用が可能である(例えば、接着剤、溶接、熱接合、等)。
【0057】
図10に図示の外側ベント体93の代表的型式は、また、外側ベント体開口98を2つの別々の空気通路に概ね分割する仕切り材98を含む。内側ベント体80の向きに応じて、且つ、内側ベント体レッジ部86が少なくとも部分的に上方又は下方空気通路をカバーするか否かに係りなく、使用者又は製造者は、呼気(少なくともその一部)を所望の方向に向けることができる。
【0058】
仕切り材は、必ずしも、必要としないことにご留意願いたい。また、呼気又はその一部分を所望の方向に流すように製造者又は使用者が呼気ベント・アセンブリの部品の取付けを選択可能なように別の構成又は配列を使用することができる(例えば、目から離れて、マスク使用者がまた眼鏡又は他の目保護具を着用しているならば、暖かく湿った空気が眼鏡又は目の保護具上に凝縮し、より一層見ずらくする)。
【0059】
3つの構成要素が相互に係合して組み合わされた呼気ベント・アセンブリ61、63を構成する。図9の図示において上向きの別の構成要素80の内側ベント体レッジ部86は、組み合わされたアッセンブリ110では下向きにされていることにご留意願いたい。また、上記の説明で言及した膜は、図9及び10には示されていないことにもご留意願いたい。さらに、アセンブリの部分である図9及び10の図示では、マスク10の本体部12又はその部分を示していないことにご留意願いたい。これらは、もちろん、少なくとも一部であるが、内側及び外側ベント体の部分の間にはさまれている。
【0060】
一般的には図9、10、11及び12に図示の構成要素は、プラスチック、金属、及び同等物などの実質的に剛性の材料で製作する。
【0061】
上記に説明した構成要素に加えるに、マスク10は、このマスク10の使用を促進する追加的な特徴を含む。例えば、このマスク10の適合性は、使用者が求める鼻に対する所望のぴったり感及びシール性に合うように変形可能なノーズ・クリップ151を含むことによって向上可能である。
【0062】
幾つかの実施例では、ガスケット材161が、着用者の皮膚に向かって内方に面するに適したマスク10の本体部12の周縁部18の少なくとも一部の回りに設置される(例えば、ヒドラゲル(Hydra-gel)、発泡材料、又は同様な材料のようなコンフォート・シールがマスクの周縁部の周りに(マスク/着用者の境界に)設けられる。又は、周囲でのシール及びマスク性能を改善する粘着性シーラント)。
【0063】
本発明の幾つかの型式では、着用者の目の近傍のマスク10の本体部12の周縁部18は、着用者の採用するメガネ類の選択を助ける外形に形成される。さらに、本発明の1以上の型式は、任意の従来のメガネ類又は特別に適合するメガネ類の一部をマスクの或る部分に結びつける又は取付けることを助ける構成要素を含むことができる。着用者の目の近傍のマスク10の周縁部18の部分は、メガネ類の少なくとも一部分との着脱可能な係合に適した、磁石、接着剤、又は、他の機械式の締結装置を含むことも可能である。例えば、マスクの上方の縁部分の近傍に鉄製又は他の磁性内部ワイヤを設けることができる。このワイヤは、メガネ類に設けられた任意の磁石との相互作用が可能である。さらに、このワイヤは、マスク及び/又はメガネ類に適合するように曲げ又は調節することによって、保護眼鏡が顔からずり落ちたり、又は、マスクの外周の回りでずれるのを防ぐのを支援することができる。
【0064】
別の箇所で述べたように、マスクは、使い捨て可能である。例えば、マスク全体(例えば、本体部と、ストラップ締結部品を含むストラップと、本体部に取付けられる締結部品であってストラップ締結部品との着脱可能な係合に適する締結部品と、より成る一つの代表的型式において)を使い捨てとすることができる(例えば、1回きりの使用後に、又は、限定された使用後に)。
【0065】
本発明のマスクの製造者又は販売者は、そのマスクの購入者、消費者又は使用者に伝えるメッセージ、陳述、又はコピーの作成が可能である。このメッセージ、陳述、又はコピーは、マスク使用者に、本発明のマスク又はその使用が、1以上の精神状況、心理状況、又は福利状況に関連するとの思いを起こさせるように作成することができる。このメッセージ、陳述、又はコピーには、例えば、使い捨て、便利、気軽、使用容易、快適、安全、モトクロス、エックス・スポーツ、保守、修理、サイクロクロス、スケートボード、スノーボード、健康管理、手術、外科、及び、これらの派生語又は結合語、又は、別のそのような用語又は状態を含む各種の英数字語句を含むことができる。一実施例では、このメッセージ、陳述又はコピーが、本発明のマスクに伴い、利用を容易にする。別の実施例では、このメッセージ、陳述又はコピーは、本発明のマスク並びに廃棄可能性に関係する。別の実施例では、このメッセージ、陳述又はコピーは、本発明のマスク並びに、用具の販売者、製造者及び/又は供給者の登録商標又は使用商標に関係する。例えば、本発明のマスクを収納する容器内又は容器上に、Kimberly-Clark, Kimberly-Clark Professional, Kleenguard(商標), 3M, Moldex, Gerson、その他のロゴ又は商標名又はマスク製造者・販売者又はこれらの組合せのような、ロゴ又は商標名又は製造者を伴うマスクに関係する陳述を設けることができる。
【0066】
上記に参照のようなメッセージ、コピー、陳述及び/又は英数字語句は、単独での使用も可能であり、別の英数字語句に隣接し、又は、組合せて使用することも可能である。このメッセージ、陳述又はコピーは、新聞広告、テレビ広告、ラジオその他の音声広告、郵送物、イーメイル、インターネットのウエブページその他の投稿、投書欄書込み、注文書、各種の販売促進活動(例えば、取引販売促進活動)、他の会社と共同する販売促進活動、コピー及び同等物、製品を収納する箱又は包装(本発明のマスクが入る)のような(すなわち、有形の媒体に表現された)の形態又は消費者又は潜在的な消費者に情報を広めるための別の形態をとることができる。例えば、有形の媒体に表現されたメッセージでは、本発明のマスクに、Kimberly-Clark, Kimberly-Clark Professional, Kleenguard(商標), 3M, Moldex, Gerson、その他のロゴ又は商標名又はマスク製造者・販売者又はこれらの組合せを関連させることができる。
【0067】
メッセージ、陳述、コピー又は他の知らせを本発明のマスクを収納する包装に関連させる場合(例えば、包装上に、文、画像、シンボル、グラフィック、色彩、又は同等物を印刷することによって、又は、包装内に印刷された指示書を配置することによって、又は、包装又は同等物にそのような指示書、注文書、又は、他の材料を関連させ又は取付けることによって)、その包装の構造の材料は、少なくとも包装の一部を介する水又は蒸気の通過を削減し、妨害し、又は除去するべく選択することができる。さらに、前記包装の構造の材料は、該包装を介する光の透過を抑え又は妨害するべく選択可能であり、これには、選択された波長の電磁波の透過を抑え又は妨害することが含まれる。
【0068】
さらに、水又は蒸気の通過又は浸透を阻止し、削減し、又は除去する容器、パケット、封筒、袋、ラッパー、又は同等物内に、マスクを個別に包み込むことが可能である。この適用を目的として、「包装」「容器」「封筒」「袋」「パケット」及び同等物は、これらが、個々のマスク(例えば、個別の包装が単一のマスクを収納する場合)又は複数のマスク(個々のマスクが個別の包装のような別の材料内に収納保持されているか否かにかかわらず、フイルム又はプラスチック製の容器である柔軟な袋に複数のマスクを収納する場合)のいずれをも収納して保持するのに適している任意の材料であるとの意味において、交換可能である。
【0069】
本発明の幾つかの実施例では、包装は、本発明の1以上のマスクのみを収納するのではなく、他の健康及び衛生用品をも収納する。一実施例では、本発明のマスクは、メガネ類、特に、少なくともマスクの一部に取付け、接着し、又は、吸着する(例えば、磁石の相互作用により)に適したメガネ類と一緒に販売し、引渡し、配給し、又は取引される。この組合せは、先行する段落で説明したような市販且つ包装が可能であることにご留意願いたい。また、この段落で説明したような、包装上の陳述、有形な媒体に表現されたメッセージ、及び包装に、プライベートブランド(本発明のマスクのような製造用品が、他の会社のロゴ又は商標名−多くの場合、小売業者又は卸売業者のロゴ又は商標名−で1つの販売会社によって製造されていることを意味する。)の商標名またはロゴを関係させることが可能であることもご留意願いたい。
【0070】
本発明を詳細に説明したが、添付請求項に記載の開示範囲から逸脱することなく改良及び変更が可能なことは明らかであろう。
【0071】
この明細書の説明又は好実施例の構成要素の導入において、用語「1つの」「その」及び「前記」は、1以上の構成要素が存在することを意味する。用語「含む」及び「有する」は、説明された以外の追加の構成要素があることを意味する。
【0072】
この明細書の開示の範囲を逸脱せずに上記のマスクに様々な変更が可能であるが、この明細書の説明と添付図面に含まれる全ての技術事項は、例示のためであり、限定ではない、と解釈されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクであって、
このマスクの使用者の口と鼻をカバーするのに適合した本体部と、
このマスクの使用中、使用者の呼吸に起因する前記本体部の潰れに抵抗する潰れ抵抗手段とを含むことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記本体部は、さらに、中央部分と周辺部分とを含んでおり、該周辺部分は、該中央部分を取り囲んでおり且つ前記本体部の周縁部及びマスク使用者の顔と接触するように構成された前記本体部の全域を含み、
前記潰れ抵抗手段の少なくとも一部分は前記中央部分内に配置されることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記潰れ抵抗手段が、たわみ部材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項4】
さらに、前記本体部の一方の側部上に配置された第1の取付け箇所と前記本体部の他方の側部上に配置された第2の取付け箇所とを含み、前記たわみ部材が、前記第1の取付け箇所と前記第2の取付け箇所の間に延在することを特徴とする請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記たわみ部材が、前記第1及び第2の取付け箇所においてのみ前記本体部に結合されることを特徴とする請求項4に記載のマスク。
【請求項6】
さらに、第1の取付け箇所と第1たわみ部材を含み、前記第1たわみ部材は、前記第1の取付け箇所から延在し、且つ、前記第1たわみ部材は、前記本体部の内面に沿って延在することを特徴とする請求項3に記載のマスク。
【請求項7】
さらに、第2の取付け箇所と第2たわみ部材を含み、前記第2たわみ部材は、前記第2の取付け箇所から延在し、且つ、前記第2たわみ部材は、前記本体部の内面に沿って延在することを特徴とする請求項6に記載のマスク。
【請求項8】
前記第1たわみ部材は、前記第2たわみ部材に対して結合するように構成されることを特徴とする請求項7に記載のマスク。
【請求項9】
前記第1の取付け箇所は前記本体部の一方の側部上に配置され、前記第2の取付け箇所は前記本体部の他方の側部上に配置されることを特徴とする請求項7に記載のマスク。
【請求項10】
前記第1の取付け箇所及び前記第2の取付け箇所は両方とも前記本体部の中央部分上に配置され、前記第1及び第2たわみ部材は、前記第1及び第2の取付け箇所から前記本体部の周縁部に向かって延在することを特徴とする請求項7に記載のマスク。
【請求項11】
さらに、前記本体部の前記中央部分上に配置された呼気ベントを含み、該呼気ベントは、前記第1及び第2の取付け箇所を含むことを特徴とする請求項10に記載のマスク。
【請求項12】
前記第1たわみ部材は、前記第1の取付け箇所でのみ前記本体部に結合されることを特徴とする請求項6乃至11のいずれかの請求項に記載のマスク。
【請求項13】
前記たわみ部材が、前記本体部の内面に沿って配置された補強材料を含むことを特徴とする請求項3に記載のマスク。
【請求項14】
前記本体部の一方の側部上に配置された第1呼気ベント・アセンブリと前記本体部の他方の側部上に配置された第2呼気ベント・アセンブリとを含み、
前記第1及び第2呼気ベント・アセンブリの各々は、
内側ベント体開口を画定した内側ベント体と、該内側ベント体に取付けられ且つ外側ベント体開口を画定した外側ベント体と、前記内側ベント体開口及び前記外側ベント体開口の両者間に配設された膜とを有し、
前記本体部の少なくとも一部が前記内側ベント体の一部と前記外側ベント体の一部の間に配置されるように構成されており、
前記潰れ抵抗手段は、ストラット材を含み、
該ストラット材は、
前記第1呼気ベント・アセンブリの前記内側ベント体に取付けられる第1端部と、
前記第2呼気ベント・アセンブリの前記内側ベント体に取付けられる第2端部との間で所定の長さをもって延在し、前記ストラット材は、前記本体部の内面に沿って前記第1及び第2呼気ベント・アセンブリの間に延在するに適合していることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項15】
前記第1呼気ベント・アセンブリの前記外側ベント体と、
前記第2呼気ベント・アセンブリの前記外側ベント体と、
コネクタとから成る外側ベント・アセンブリをさらに含み、
前記コネクタは、前記第1呼気ベント・アセンブリの前記外側ベント体に結合された第1コネクタ端部と、前記第2呼気ベント・アセンブリの前記外側ベント体に結合された第2コネクタ端部と、前記第1コネクタ端部と前記第2コネクタ端部の間に延在するコネクタ長さを含むことを特徴とする請求項14に記載のマスク。
【請求項16】
前記潰れ抵抗手段が、
前記本体部の一方の側部に取付けられる第1締結部品と、
前記本体部の他方の側部に取付けられる第2締結部品と、
前記第1及び第2締結部品の両方に係合するストラップとを含み、
マスクが使用者に着用されたときに、外に向かうたわみ力を前記本体部に加えるように前記第1及び第2締結部品が構成されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかの請求項に記載のマスク。
【請求項17】
マスクが使用者によって着用されていないとき、マスクが実質的に平坦となるのに適合していることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかの請求項に記載のマスク。
【請求項1】
マスクであって、
このマスクの使用者の口と鼻をカバーするのに適合した本体部と、
このマスクの使用中、使用者の呼吸に起因する前記本体部の潰れに抵抗する潰れ抵抗手段とを含むことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記本体部は、さらに、中央部分と周辺部分とを含んでおり、該周辺部分は、該中央部分を取り囲んでおり且つ前記本体部の周縁部及びマスク使用者の顔と接触するように構成された前記本体部の全域を含み、
前記潰れ抵抗手段の少なくとも一部分は前記中央部分内に配置されることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記潰れ抵抗手段が、たわみ部材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項4】
さらに、前記本体部の一方の側部上に配置された第1の取付け箇所と前記本体部の他方の側部上に配置された第2の取付け箇所とを含み、前記たわみ部材が、前記第1の取付け箇所と前記第2の取付け箇所の間に延在することを特徴とする請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記たわみ部材が、前記第1及び第2の取付け箇所においてのみ前記本体部に結合されることを特徴とする請求項4に記載のマスク。
【請求項6】
さらに、第1の取付け箇所と第1たわみ部材を含み、前記第1たわみ部材は、前記第1の取付け箇所から延在し、且つ、前記第1たわみ部材は、前記本体部の内面に沿って延在することを特徴とする請求項3に記載のマスク。
【請求項7】
さらに、第2の取付け箇所と第2たわみ部材を含み、前記第2たわみ部材は、前記第2の取付け箇所から延在し、且つ、前記第2たわみ部材は、前記本体部の内面に沿って延在することを特徴とする請求項6に記載のマスク。
【請求項8】
前記第1たわみ部材は、前記第2たわみ部材に対して結合するように構成されることを特徴とする請求項7に記載のマスク。
【請求項9】
前記第1の取付け箇所は前記本体部の一方の側部上に配置され、前記第2の取付け箇所は前記本体部の他方の側部上に配置されることを特徴とする請求項7に記載のマスク。
【請求項10】
前記第1の取付け箇所及び前記第2の取付け箇所は両方とも前記本体部の中央部分上に配置され、前記第1及び第2たわみ部材は、前記第1及び第2の取付け箇所から前記本体部の周縁部に向かって延在することを特徴とする請求項7に記載のマスク。
【請求項11】
さらに、前記本体部の前記中央部分上に配置された呼気ベントを含み、該呼気ベントは、前記第1及び第2の取付け箇所を含むことを特徴とする請求項10に記載のマスク。
【請求項12】
前記第1たわみ部材は、前記第1の取付け箇所でのみ前記本体部に結合されることを特徴とする請求項6乃至11のいずれかの請求項に記載のマスク。
【請求項13】
前記たわみ部材が、前記本体部の内面に沿って配置された補強材料を含むことを特徴とする請求項3に記載のマスク。
【請求項14】
前記本体部の一方の側部上に配置された第1呼気ベント・アセンブリと前記本体部の他方の側部上に配置された第2呼気ベント・アセンブリとを含み、
前記第1及び第2呼気ベント・アセンブリの各々は、
内側ベント体開口を画定した内側ベント体と、該内側ベント体に取付けられ且つ外側ベント体開口を画定した外側ベント体と、前記内側ベント体開口及び前記外側ベント体開口の両者間に配設された膜とを有し、
前記本体部の少なくとも一部が前記内側ベント体の一部と前記外側ベント体の一部の間に配置されるように構成されており、
前記潰れ抵抗手段は、ストラット材を含み、
該ストラット材は、
前記第1呼気ベント・アセンブリの前記内側ベント体に取付けられる第1端部と、
前記第2呼気ベント・アセンブリの前記内側ベント体に取付けられる第2端部との間で所定の長さをもって延在し、前記ストラット材は、前記本体部の内面に沿って前記第1及び第2呼気ベント・アセンブリの間に延在するに適合していることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項15】
前記第1呼気ベント・アセンブリの前記外側ベント体と、
前記第2呼気ベント・アセンブリの前記外側ベント体と、
コネクタとから成る外側ベント・アセンブリをさらに含み、
前記コネクタは、前記第1呼気ベント・アセンブリの前記外側ベント体に結合された第1コネクタ端部と、前記第2呼気ベント・アセンブリの前記外側ベント体に結合された第2コネクタ端部と、前記第1コネクタ端部と前記第2コネクタ端部の間に延在するコネクタ長さを含むことを特徴とする請求項14に記載のマスク。
【請求項16】
前記潰れ抵抗手段が、
前記本体部の一方の側部に取付けられる第1締結部品と、
前記本体部の他方の側部に取付けられる第2締結部品と、
前記第1及び第2締結部品の両方に係合するストラップとを含み、
マスクが使用者に着用されたときに、外に向かうたわみ力を前記本体部に加えるように前記第1及び第2締結部品が構成されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかの請求項に記載のマスク。
【請求項17】
マスクが使用者によって着用されていないとき、マスクが実質的に平坦となるのに適合していることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかの請求項に記載のマスク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2011−526522(P2011−526522A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515690(P2011−515690)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052626
【国際公開番号】WO2010/001288
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(310007106)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052626
【国際公開番号】WO2010/001288
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(310007106)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
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